説明

洗浄シート

本発明は、シートの外側面の少なくとも1つの上に複数の枕部材を有する洗浄シートを提供する。複数の枕部材は、シートの外側面上に三次元のパターンをつくる。洗浄シートは、枕部材間に微粒子用流通路又は溝を有し、それが、硬い面をシートで洗浄する間にシートの中間部分に向かって微粒子の移動を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃、糸くず、毛髪、砂、食べ滓、草などの除去及び閉じ込めに特に好適な洗浄シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥した塵埃タイプを洗浄するための不織布シートの使用は、当該技術分野において既知である。そのようなシートは通常、熱又は接着剤で結合、又は交絡若しくは他の力で結合可能な繊維の複合物を使用している。例えば、米国特許第3,629,047号及び同第5,144,729号を参照されたい。これらの洗浄シートは、手によるダスティングとして、又はプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)により販売されるスイファー(SWIFFER)(登録商標)洗浄器具若しくはS.C.ジョンソン社(Johnson Company)により販売されるプレッジ・グラビット(PLEDGE GRAB-IT)(登録商標)洗浄器具などの洗浄器具と組み合わせてのどちらで使用されてもよい。洗浄シートを器具と共に使用するときは、シートは通常、洗浄器具のモップヘッドにモップヘッドの上面にあるつかみ具により機械的に取付けられ、洗浄シートの一部が洗浄される床と接触して、ほこり、糸くず、パンくず、及びその他の粒子などの汚れを収集して捕捉するようになっている。洗浄シートのクリーニング性能は、シートに捕捉される微粒子の量又は重量による、汚れを捕捉するシートの素質能力に関係するその「洗浄効力」により画定されるが、特にシートが洗浄器具と共に使用されるとき、シートの全面と比較して実際に使用されるシートの面に関係する「洗浄効率」によっても画定できる。洗浄器具には、米国特許第6,305,046号(キングリー(Kingry)ら、2001年11月23日発行、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter and Gamble Company)に譲渡)に記載されているものなど、実質的に平坦な底面を有するモップヘッドを含むものがある。洗浄シートがそのような洗浄器具と共に使用されて、次に、モップヘッドから取り外されるとき、塵埃及び粒子は、モップヘッドの前縁部及び後縁部に隣接するシートの部分に蓄積して、シートの中間部分が実質的に未使用のままである傾向が観察できる。器具の平らな底面を変化させて洗浄シートをより多くさらすことによって、モップ操作の「洗浄効率」を増加させるいくつかの試みがなされた。例えば、洗浄シートと床面の間の前縁表面積を増加させるために、あるモップヘッドは、「王冠状」又は湾曲状底面を設けて、モップ操作中にモップヘッドが「前後に揺動又は傾斜」可能にされており、その結果、シートのより大きな部分が床面上の汚れに接触することができる。王冠状底面付きのモップヘッドを有するそのような洗浄器具の例が、米国特許出願09/788,761(ウィルマン(Willman)ら、2000年2月24日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に記載されている。更に加えて、床面に当る洗浄シートの接触表面間の開放領域を増加させるために、洗浄器具の底面が三次元の外見をも有し得ることが、米国特許出願09/788,761(ウィルマン(Willman)ら)にも記載されている。汚れの捕捉及び保持を増大するために、モップ操作を改善し、洗浄シートの「洗浄効力」を増大する別の解法は、米国特許出願09/082,349(フェレシュテコウ(Fereshtehkhou)ら、1998年5月20日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に記載されたもののように、洗浄シートに添加物を含ませることである。洗浄シートの「洗浄効力」を増大する別の解法は、洗浄シートの両面に三次元の外見をつくることである。米国特許出願09/082,396(フェレシュテコウ(Fereshtehkhou)ら、1998年5月20日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)は、三次元の外見を有するそのような洗浄シートを開示している。
【0003】
洗浄シートの「洗浄効率」を改善するこれら全ての努力にもかかわらず、粒子はシートの前縁部及び後縁部に沿って蓄積するか又は「集合する」傾向があり、結果として、洗浄シートの一部分を依然として未使用のままで残すので、シートの一部分が未使用のままであることがさらに観察できる。
【0004】
したがって、改善された汚れの除去、及び改善された又はより完全なシートの利用の両方を提案する洗浄シートを提供する必要が引き続きある。これに関して、洗浄シートの側面の少なくとも1つに枕部材と、枕部材間の微粒子用流通路とを提供することにより、粒子が洗浄シートのより広い面に達することができるので、洗浄される面からより多くの及びより大きい微粒子をシートが除去するので、シートの洗浄効率及び洗浄効力が改善されることが判明した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、先行技術の問題を克服すること、特に、より大きい「洗浄効力及び洗浄効率」を有する洗浄シートを提供することが、本発明の目的である。特に、本明細書において次に詳細に説明される、有意な三次元性を有する不織布構造体を提供することが本発明の目的である。
【0006】
先に説明したように、洗浄シートが洗浄器具と共に使用されるとき、同シートは、モップヘッドと洗浄される硬い面との間に「挟まれる」。現在市販されているものなどの洗浄シートが、皺、穴、又はグラウト線を有する硬い面を洗浄するために使用されるとき、これらの洗浄シートは、その中に入っている塵埃又は粒子を除去することができないことが観察された。洗浄操作中、既知の洗浄シートは、平坦になる(ユーザにより加えられる圧力のために)傾向があり、シートがグラウト線、穴、又は他の凹凸若しくは皺を横切って移動するときでも実質的に平坦なままである。これらの洗浄シートは、これらのグラウト線内で広がることも、グラウト線の形に適合することもできないので、同シートは、その中に入っている微粒子を除去することができない。
【0007】
それ故に、本発明の別の目的は、包装から取り出された後、及び/又は洗浄される硬い面の穴若しくはグラウト線を横切って移動するとき、良好なリバウンド(跳ね返り)特性、面の皺に対する突出部の良好な適合性を有し、その最初の形を回復できる、実質的に不ぞろいでない三次元の外見又はパターンを有する洗浄シートを提供することである。
【0008】
洗浄シートを作製するために使用される繊維性材料(好ましくは不織布材)は、硬い面を洗浄シートで拭くとき微粒子を捕捉する孔又は空間を含む。これらの孔/空間の数及び寸法は、シートの「洗浄効力」、すなわち、洗浄シートが除去できる微粒子の量及び寸法に影響を及ぼす。洗浄シートを作製するために使用される基材材料の坪量(g/m2で表される)及び厚さ(又はキャリパー)が既知であるとき、孔/空間の数及び寸法は、決定され得る基材材料の空間体積に関係する。典型的な洗浄操作中、洗浄シートを形成する基材材料は、ユーザが加えた圧力により圧縮される。その結果、シートの空間体積は、部分的に減少し、孔/空間の寸法も減少する。孔/空間の寸法が減少するので、シートの「洗浄効力」も同様に減少する。
【0009】
それ故に、本発明の別の目的は、洗浄シートに圧力が加えられるとき大きい空間体積を維持する、その外側表面の少なくとも1つから伸びる枕部材を好ましくは有する洗浄シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される本発明は、基材を含む、硬い面から微粒子を除去するための洗浄シートに関し、前記基材は長さ及び幅を有し、前記基材は第1側面及び第2側面を含み、前記第1側面は複数の枕部材を含み、前記枕部材は前記第1側面上に巨視的な三次元のパターンをつくる。
【0011】
本発明はまた、長さ、幅、及び厚さを有する基材を含む、硬い面から粒子を除去するための洗浄シートにも関し、前記基材は繊維性不織布材の少なくとも1つの層を含み、前記基材が約0.5g/cm2未満の、好ましくは約0.1g/cm2〜約0.5g/cm2の圧縮力を受けるとき、前記基材は少なくとも約21cm3/(基材のグラム)の空間体積を有する。
【0012】
本発明は、長さ、幅、及び厚さを有する基材を含む、硬い面から微粒子を除去するための洗浄シートに関し、前記基材は繊維性不織布材の少なくとも1つの層を含み、前記基材が約0.5g/cm2〜約1g/cm2の圧縮力を受けるとき、前記基材は少なくとも約17.5cm3/(基材のグラム)の空間体積を有する。
【0013】
本発明はまた、請求項38に記載の洗浄シートを提供することと、硬い面に洗浄シートの第1側面を接触させることとを含む、硬い面から微粒子を除去する方法にも関する。
本発明は、少なくとも1枚の洗浄シートと、ハンドルとを備える洗浄器具とを含む洗浄キットに関する。
本明細書で引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるということの容認として解釈されるべきでない。
【0014】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定も、本明細書に明示的に記載されたものとして包含されると理解される必要がある。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定も、本明細書に明確に記載されたものとして包含する。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、より広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲も、全て本明細書に明確に記載されたものとして包含する。
他に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲におけるすべての割合、比率、及び百分率は重量基準であり、すべての数値限定は、当該技術分野において許容可能な通常の程度の精度で使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書の洗浄シートの利用性を限定する意図はないが、最近のモップ器具に関連付けてその使用を簡単に説明することが、本発明を明瞭化する助けになるであろうと考えられる。
【0016】
上記の従来の乾燥モップの操作では、ユーザは、シートを自分の手で保持するか、又はシートをハンドルに取り付けて、硬い面を洗浄シートで拭く。床面など広い面を洗浄するための一般的なやり方とは、下記のセクションVIにおいてより詳細に説明される、洗浄シートを洗浄器具のモップヘッドに機械的に取り付けることであり、次に、粒子を洗浄シート内及び/又はシート上に捕捉するためにその面をモップで拭くことである。従来のモップヘッドは、約255〜約430mmの長さと約90mm〜約127mmの幅とを有する実質的に方形の形を有する。従来の洗浄シートはまた、典型的には実質的に方形の形を有し、モップヘッドに取り外し可能に取り付け可能であるような寸法である。従来の洗浄シートの寸法は、長さが約470〜約275mm、幅が約200〜約270mmで変化する。洗浄シートは様々な寸法及び/又は形を有し、しかも同じ効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。
【0017】
従来の洗浄シートは、様々な寸法の粒子を捕捉できる繊維性材料又は布地を提供するために、典型的には水流交絡プロセスにより作製される繊維性材料の1つ又はそれ以上の不織布層から作製される。従来の洗浄シートの外側面、すなわち、上部面及び下部面は実質的に平坦であり(少なくとも巨視的なレベルで)、その結果、床面の凹凸又はグラウト線にある粒子を取り除くことができない。ある表面を乾燥ダスティングするために使用される従来の洗浄シートには、実質的に水がない。洗浄シートによる粒子の捕捉及び保持を増大することによってシートの洗浄効力を増大するために、ワックス、油、又はワックスと油との混合物などの添加物がこれらの洗浄シートに加えられてもよいが、それにもかかわらず、これらの添加物により、これらのシートが洗浄される面の凹凸の中に「深く」達するのが、可能になることはない。
【0018】
最近の洗浄シートは、洗浄シートと硬い面との間で利用可能な洗浄シートの開放表面積を増大するために、その外側面の少なくとも1つに三次元の外見又はパターンを有し得る。洗浄シート上の外見をつくるのに好適な1つの方法が、米国特許出願09/082,396(フェレシュテコウ(Fereshtehkhou)ら)に開示されており、同出願では、ポリエステルの繊維性層がポリプロピレンから作製されたスクリムと水流交絡されてもよく、次に、加熱される。シートに加えられた熱はスクリムを収縮させ、その結果、シートの外側面の少なくとも1つの上で、事実上不ぞろいである巨視的に三次元の外見をつくる。しかし、これらの洗浄シートが圧縮されて包装される場合、又は単に洗浄シートが洗浄器具と共に使用されるとき、これらのシートは平坦になる傾向があり、また凹凸部分を洗浄するのに十分な、巨視的に三次元の外見を適切に製造又は生じないことが観察された。これらのシートにはまた、割れ目、グラウト線などにある汚れを洗浄するのに十分な、全体的な厚さ/嵩もない。その結果、これらのシートは、その三次元の非平坦外側面により提供される効果の一部を失う。加えて、洗浄シート上で得られる不ぞろいなパターン/外見は、シートが塵埃/粒子に最適に接触するのを可能にしないと考えられる。
【0019】
初期の洗浄器具は、実質的に平坦な底面を有するモップヘッドに回転可能に接続したハンドルを含む。そのような洗浄器具が従来の洗浄シート又は最近の洗浄シートのどちらかと共に使用されるとき、かなり大量の塵埃及び/又は粒子が、モップヘッドの前縁部及び後縁部に隣接する洗浄シートの部分に蓄積する傾向がある。結果として、シートの大部分が未使用のままとなる。
【0020】
この問題を解決するための努力において、最近のモップ器具は、非平坦化も可能な「王冠形」底面、すなわち、湾曲の一定の角度又は変化する角度を有する湾曲した底面を有するモップヘッドを含む。洗浄操作中、モップヘッドの前及び後の「揺れ」又は「傾き」の動きは、モップヘッドの非平坦底底面との組み合わせで、従来の洗浄シート又は最近の洗浄シートのどちらの洗浄効率をも高める。不運にも、塵埃及び/又は粒子は、シートのかなりの部分に達することができずに蓄積し続けるので、シートの相対的に広い部分が、未使用のままであることが観察された。洗浄シートが、湾曲したモップヘッドを有する洗浄器具と共に使用されるとき、シートの前側部分及び後側部分は未使用のままであることが観察された。
【0021】
先に検討した改良は、単独で又は洗浄器具との組み合わせでのどちらでも使用される洗浄シートの洗浄効率をある程度高めるが、洗浄シートの外側面の少なくとも1つに改善された三次元の外見又はパターンをつくることにより、全体的な洗浄効率及び効力の両方を更に高めることができると考えられる。この三次元の外見又はパターンは、塵埃/粒子がシートのより広い面積に達するのを可能にする、複数の枕部材間にある溝又は流通路を有してもよい。三次元の外見又はパターンは、好ましくは事実上不ぞろいでない。つまり、これらの通路又は溝は、粒子がシートの中央部分に向かって「流れる」のを可能にし、結果として、シートの有用性(すなわち、効率)を改善する。加えて、複数の枕部材を有する洗浄シートの少なくとも1つの側面が、湾曲したモップヘッドを有する洗浄器具と共に硬い面を洗浄するために使用されて、これらの枕部材を有する側面が硬い面と接触するとき、シートの前側部分及び後側部分は硬い面を洗浄する一助となる。シートの前側部分及び後側部分にある枕部材は、シートから硬い面に向かって伸び、洗浄される硬い面に接触できる。
【0022】
シートの洗浄効力は、シートに圧力が加えられるのが停止して、枕部材が洗浄される面のトポグラフィーにおける変化(例えば、グラウト線又は推移ストリップ)に適合できるとき、その最初の三次元の形を回復できる、巨視的に三次元のパターン又は外見を有する洗浄シートを提供することにより、改善可能であるとも考えられる。三次元のパターンはまた、汚れ及びより大きい微粒子を洗浄シートの特定区域/領域に向けるので、汚れ/微粒子は、捕捉されるか又は閉じ込められる。
【0023】
前記考察が、本発明により対象とされており、次に続く詳細開示から明らかとなろう。
本発明の好ましい実施形態についてここから詳細に説明するが、その例は添付図により例示し、添付図において、同じ数字は全ての図において同じ数字を示し、下二桁が同じ要素(例えば、20と120)は類似の要素を意味する。
【0024】
I.定義
本明細書で使用するとき、用語「含む」は、本発明を実施するに際して、多様な構成要素、成分、又は工程を組み合わせて使用できることを意味する。したがって、用語「含む」は、より制限的な用語「から本質的に成る」及び「から成る」を包含する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「水流交絡」は、一般的に、繊維状材料(例えばポリエステル)の緩い層が孔あきパターン付き部材上に支持されて、個々の繊維を機械的に交絡して布地を形成するのに十分に大きい水圧差にかけられるという、材料を作製するためのプロセスを意味する。孔あきパターン付き部材は、例えば編まれたスクリーン、穿孔された金属プレートなどで形成可能である。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「枕部材」は、構造体の外側面を画定する繊維性材料の少なくとも2つの層で形成され、これら2つの層の間に体積を有する巨視的に三次元の構造体を意味する。「枕部材」に対する好適な類似語は、「バブルラップ(発泡ビニールシート)」に見出される巨視的に三次元の構造体である。「枕部材」の内側体積は、実質的に中空である(すなわち、その外側の繊維性層によってのみ画定される)か、又は部分的に繊維が充填されて(すなわち、繊維がその外側層の間における体積のいくらかを占める)いてもよい。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「Z次元」は、本発明の洗浄シートの長さ及び幅に直交する次元、又はその組み合わせを指す。Z次元は通常、シートの厚さの方向に対応する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「X−Y次元」は、洗浄シートの厚さに直交する平面、又はその組み合わせを指す。X次元及びY次元は通常、シート又はシート構成要素の長さ及び幅それぞれに対応する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「層」は、その主要寸法がx−y、すなわち長さ及び幅に沿うものである、洗浄シートの部材又は構成要素を指す。層という用語は、必ずしも材料の単一の層又は単一のシートに限定されないことを理解する必要がある。したがって、層は、必要な種類の材料のいくつかのシート又はウェブの、積層体又は組み合わせを含むことができる。それ故に、用語「層」は、「複数層」及び「層状の」という用語を含む。
【0030】
本明細書で説明される本発明の目的では、洗浄シートの「上部」層は、洗浄される面から相対的により離れた層である(すなわち、器具の関係では、使用中の器具のハンドルに相対的により近い)。用語「下側」層は、逆に、洗浄される表面に比較的より近い洗浄シートの層を意味する(すなわち、器具との関係では、使用中の器具のハンドルから比較的より遠い)。逆に、層又は洗浄シートの「上面」は、洗浄される表面から比較的より遠い表面である。用語「下面」は、逆に、通常の洗浄操作中に洗浄される表面に比較的より近い、層又は洗浄シートの表面を意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「巨視的な三次元性」は、三次元の洗浄シートを説明するために使用される場合、見る人の目とシートの平面との間の垂直の距離が約30cmであるとき肉眼で容易に見える三次元のパターンを意味する。換言すれば、本発明の三次元の構造体は、シートの面の1つが複数の平面で存在し、非平面的である洗浄シートであり、その構造体を約30cm離れて見るとき、これらの平面間の距離が肉眼で認められる。対照的に、用語「平面的」は、片面又は両面に細かい表面収差を有する洗浄シートに関し、見る人の目とウェブ平面との間の垂直の距離が約30cm以上である場合、表面収差は肉眼で容易に認められない。換言すれば、巨視的規模では、見る人は、シートの片面又は両面が、三次元であるために複数の平面で存在することに気がつかない。本発明の巨視的に三次元の構造体は、任意にスクリム材料を含む。
【0032】
II.洗浄シート
図1に関し、洗浄器具(図示せず)のモップヘッドに機械的に取り外し可能に取り付け得る洗浄シート10の1つの外側面が説明されている。この外側面は、洗浄シートの外側面から外向きに伸びる複数の枕部材110で画定される三次元の外見又はパターンを含む。洗浄シート10は、セクションIIIでより詳細に説明される画像形成プロセスにその後かけられる繊維性材料の1つ又はそれ以上の層から作製されてもよい。好ましい実施形態では、洗浄シート10は、繊維性材料の3つの層を含む。カード加工したウェブ材料の第1及び第2層はそれぞれ、「支持」層の上面及び底面に対してわずかに水流交絡される。1つの実施形態では、支持層は、ポリプロピレンから作製されるスパンボンド層であってもよい。次に、得られる不織布基材が画像形成プロセスにかけられて、枕部材10をつくる。
【0033】
図2は、複数の枕部材が説明されている拡大平面図である。枕部材110は、その長さLp、幅Wp、及び高さHpで画定されてもよい(図2及び図3に示されている)。枕部材の間の空間は、距離Dpx及びDpyで画定されてもよい(図2及び図3に示されている)。
【0034】
図3は、図2において示されるシートの3−3の軸線に沿った部分の断面図である。シート10を作製するために使用される基部基材は、少なくとも不織布材の第1層310及び第2層410を含む。1つの実施形態では、枕部材110を形成するために、第1層310の一部分が第2層410から離れて(すなわち、Z方向に)伸びる。明確にする目的で、長さLp及び幅WpはX−Y平面において測定され、またそれぞれ、X軸線上の枕部材の最大長と、Y軸線上の枕部材の最大幅とを表すことが理解される。高さHpは、Z次元において測定され、Z軸線上の枕部材の最大高さを表している。寸法Hpは、枕部材の高さを表し、枕部材を支持する基部基材の厚さを含まないことを当業者は理解するであろう。加えて、寸法Hpは、2つの枕部材間の「谷」又は流通路の「深さ」も表すことを当業者は理解するであろう。距離Dpxは、同一列の(すなわち、X軸線に沿った)連続する2つの枕部材間の最も近い距離であり、距離Dpyは、連続する2列の2つの枕部材間の最も近い距離である。1つの実施形態では、Lpは、約2〜125mm、好ましくは約3〜75mm、より好ましくは約4〜50mmであり、Wpは、約2〜125mm、好ましくは約3〜75mm、より好ましくは約4〜50mmであり、Hpは、約0.50〜12.0mm、好ましくは約0.75〜10.0mm、より好ましくは約0.90〜9.0mmである。寸法Lp、Wp、及びHpを変化させることにより枕部材110の全体的な形を調整できることを当業者は理解するであろう。枕部材110として好適である、X−Y平面における断面の形の非限定的な例には、正方形、長方形、平行四辺形、台形、三角形、多角形、円形、環形、扇形、弓形、楕円形、楕円形の一部、又は他のいかなる幾何学的な形若しくは幾何学的な形の組み合わせが挙げられる。三次元の意味において、これらの基部の平面的な形は、押し出される(Z方向において)とき、枕部材110に、立方体、直平行六面体、平行六面体、ピラミッド、ピラミッドの錘台、柱体、中空の柱体、円錐形、円錐形の錘台、球台、球帯、球扇形、薄く切った柱体、蹄状体、角錐台、他のいかなる三次元の形、又は三次元の形の組み合わせを提供できる。これらの二次元及び三次元の形の実施例の図面は、カート・ギーク(Kurt Gieck)による「エンジニアリング・フォーミュラズ」(Engineering Formulas)第5版(マックグローヒル・ブック・カンパニー(McGraw-Hill Book Company)(ニューヨーク州、ニューヨーク)に見出される。1つの実施形態では、図1に示したように枕部材の列又は並び1110を得るために、洗浄シート10の外側面の少なくとも1つに複数の枕部材110がつくられてもよい。1つの実施形態では、同一列の連続する2つの枕部材間の距離Dpxは、約0.1〜約20mm、好ましくは約0.5〜約10mm、より好ましくは約1.0〜8mmであり、連続する2列の隣接する2つの枕部材間の距離Dpyは、約0.1〜約20mm、好ましくは約0.5〜約10mm、より好ましくは約1.0〜8mmである。
【0035】
好ましい実施形態では、枕部材110の列1110はシート10の長さ(前縁部及び後縁部に対応する)に実質的に平行である。1つの実施形態では、洗浄シート10は、好ましくは互いに平行である枕部材110の複数の列1110を有してもよい。1つの実施形態では、連続する2列1110及び1115はシート上にあり、枕部材110は、シートのX−Y平面において垂直に及び水平の両方向で一直線になっていてもよい。この実施形態では、列1110は枕部材の奇数列を表し、列1115は枕部材の偶数列を表す。
【0036】
図4において概略的に説明した1つの実施形態では、連続する2列1110及び1115はシート上にあり、第2列1115の枕部材115は第1列110の枕部材110に関してずれている(すなわち、Y軸線に沿って一直線ではない)。図5は、複数の枕部材が説明されている拡大平面図である。シート上の枕部材の配置は、距離Dpx、Dpy、Dtと、角度α(又は(AOB)(図5に示されている)とで画定できる。距離Dpxは、同一列において(すなわち、X軸線に沿って)連続する2つの枕部材間の最も近い距離であり、距離Dpyは、2列の連続する2つの枕部材間の最も近い距離であり、これらの連続する2つの枕部材は、Y軸線に沿って実質的に一直線をなし、距離Dtは、連続する列における最も近い2つの枕部材間の最も近い直交する距離である。角度α(又はAOB)は、X軸線及びY軸線において隣接する3つの枕部材の中心(図5において点A、O、及びBとして示されている)から引いた線で画定される角度であり、枕部材A及びBは終点であり、Oは画定した角度の中心点である。この実施形態では、角度α(又は図5に示されるように(ABO))は、約5〜約85°、好ましくは約30〜約60°、より好ましくは約45°に等しい。枕部材の列がずれている場合、洗浄シート上の枕部材110の数が増加し、その結果、シートの「洗浄効率」及び「洗浄効力」の両方を改善できることを当業者は理解するであろう。1つの実施形態では、連続する2列1110及び1115にある枕部材間の距離Dtは、約0.1〜20mm、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1.0〜8mmから成っている。1つの実施形態では、枕部材110及び/又は115は、重なり合わない(すなわち、分離して、流通路210を形成する)。枕部材110及び/又は115が重なり合うことを防ぐために、形と、寸法Lp、Wp、Dpx、Dpy、及びDtとは、選択できることを、当業者は理解するであろう。1つの実施形態では、洗浄シート10は、全てが同一形及び/又は同一のLp、Wp、及びHpの寸法を有する複数の枕部材110を有してもよい。別の実施形態では、洗浄シート10は、様々な形及び/又はLp、Wp、及びHpの寸法を有する複数の枕部材110を有してもよい。例えば、シート10の枕部材のあるものはアーチ形の断面を有し、他のものは三角形の断面を有してもよく、シートの枕部材のあるものは相対的に大きく、他のものは相対的に小さくてもよい。1つの実施形態では、連続する枕部材間の距離Dpxは、シートの側面縁部から中央部分まで徐々に増加してもよい。逆に、連続する枕部材間の距離Dpxは、シートの縁部から中央部分まで徐々に減少してもよい。1つの実施形態では、洗浄シート10は複数の列を形成する複数の枕部材110を有し、連続する列の各対間の距離Dtは実質的に同一であってもよい。別の実施形態では、洗浄シート10は複数の列を形成する複数の枕部材110を有し、第1列と第2列との間の距離Dtは、第2列と第3列との間の距離Dtより短くてもよい。1つの実施形態では、連続する列の間の距離Dtは、シートの縁部から中央部分まで徐々に増加してもよい。逆に、連続する列の間の距離Dtは、シートの縁部から中央部分まで徐々に減少してもよい。
特に、洗浄シートが硬い面を洗浄するために使用されるとき、各枕部材の三次元性と各枕部材間の開放空間とにより、塵埃/粒子用の「流通路」210がつくられる。
【0037】
洗浄器具に取り付けた標準的な洗浄シートで硬い面を一般的に洗浄する操作中に、様々な寸法を有する様々なタイプの粒子が、モップヘッドの縁部に隣接する部分に蓄積する傾向があり、洗浄シートの中間部分に達する機会がないことが観察された。理論に束縛されるものではないが、洗浄シートに「流通路」を設けると、粒子がシートの中間部分に達するのが可能になると考えられる。結果として、洗浄シートのより広い部分が使用され、より多くの粒子が捕捉され、その結果、その洗浄効率及び効力が増大する。複数の枕部材及び「流通路」を有する洗浄シートが、ある面を洗浄するために使用されるとき、塵埃/粒子は最初、モップヘッドの前縁部に隣接するシートの部分に蓄積する傾向がある。しかし、粒子は、集合が結局破断するまで蓄積し続けるので、相対的に短時間内に、この粒子の集合は、弱まる傾向がある。この粒子の集合が破断するとき、これらの粒子を捕捉する枕部材(シートの中間部分により近い)に接触するまで、粒子は「流通路」内で自由に「流れる」。結果として、シートの前縁部分及び後縁部分は、「自己洗浄性」と見ることができる。この現象は典型的な洗浄操作中により一層明白である。ユーザが硬い面を器具に取り付けたシートで洗浄するとき、ハンドルに、また結果として洗浄シートに加わる圧力は一定でないことが観察された。加えて、ユーザは、異なる区域を洗浄するために又は床面の物体を避けるために、モップヘッドを(ハンドルの回転により)移動/回転させることが多い。典型的にはこれらの回転中にユーザが加える圧力は少ない。圧力及び方向においてこのように何度も変化すると、迅速に破断する傾向がある粒子の集合を弱らせ、結果として、シートの中央部分に向かう粒子の流れを増加させる。加えて、硬い面を洗浄するために、洗浄シートの外側面の少なくとも1つに「流通路」を有する三次元パターンを含む洗浄シートが使用されるとき、より大きい粒子は、もはやモップヘッドの前側で押されることはなく、シートの中間部分内の(すなわち、シートの前縁部及び後縁部から離れた)「大きい」流通路(又は三次元の溝)に捕捉されることが観察された。そのような洗浄シートは、モップ操作中に後に残される汚れ及びより大きい粒子の量を低減する。
【0038】
特に、流通路210を画定する複数の枕部材110を有する洗浄シート10は、洗浄操作中に塵埃/粒子を洗浄シートの中間部分に向かって更に「移動させる」ことによりシートの洗浄効力を改善する。ある列の枕部材が先の列及び後の列にある枕部材に関してずれている複数の列1110を有する洗浄シートは、流通路210が相対的に入り組み、それが、流通路内で「流れる」粒子が枕部材110に接触する可能性を増大するので、より一層効果的であるとも考えられる。
【0039】
図6に説明した別の実施形態では、洗浄シート20の外側面の1つは、外向きに伸びる複数の長手方向枕部材120で画定される三次元の外見又はパターンを含む。
図7及び図8は、複数の長手方向枕部材120が説明されている拡大図である。長手方向枕部材120は、その長さLlp、幅Wlp、及び高さHlpで画定されてもよい(図7及び図8に示されている)。シート上の枕部材の配置は、距離Dlp、Dly、及び角度β(図7に示されている)で画定されてもよい。距離Dlpは、同一列の連続する2つの長手方向枕部材120間の最も近い距離である。距離Dlyは、2列の連続する2つの長手方向枕部材120間の最も近い距離であり、連続するこれら2つの枕部材は、Y軸線に沿って実質的に一直線をなし、角度βは、枕部材の長手方向軸線L−Lとシートの前縁部との間の角度である。1つの実施形態では、Llpは、約3〜250mm、好ましくは4〜175mm、より好ましくは5〜75mmであり、その幅Wlpは、約1〜50mm、好ましくは約2〜40mm、より好ましくは約3〜30mmであり、またHlpは、約0.5〜12mm、好ましくは約0.75〜10mm、より好ましくは約0.9〜9mmである。1つの実施形態では、線状の枕部材は、そのLlp、Wlp、又はHlpの寸法の1つが一定で、他の寸法のいずれか1つ又は両方が増加的に又は減少的に変化してもよい。例えば、長さLlp及び幅Wlpが一定で、高さHlpが変化してもよい。1つの実施形態では、長手方向枕部材120は、洗浄シート上にあってもよく、角度βは、約10〜約170°、好ましくは約20〜約160°、より好ましくは約30〜約150°、更により好ましくは約45〜135°である。
【0040】
1つの実施形態では、図6に示したように長手方向枕部材の列又は並び1120を得るために、洗浄シート20の外側面の少なくとも1つの上に複数の枕部材120がつくられてもよい。1つの実施形態では、連続する2つの長手方向枕部材の長手方向軸線は実質的に平行であって、2つの長手方向枕部材が流通路220を画定してもよい。1つの実施形態では、距離Dlpは、約0.1〜約20mm、好ましくは約0.5〜約10mm、より好ましくは約1〜8mmである。高さHlp及び距離Dlp(連続する2つの長手方向枕部材間の最も近い距離)は、シート20の中間部分に向かって移動するために塵埃/粒子が使用可能な流通路の高さ及び幅も提供することを当業者は理解するであろう。
【0041】
1つの実施形態では、連続する2列1120及び1125にある枕部材間の距離Dlyは、約0〜20mm、好ましくは0〜10mm、より好ましくは0〜8mmから成っている。この実施形態では、列1120は長手方向枕部材の奇数列を表し、列1125は長手方向枕部材の偶数列を表す。
【0042】
1つの実施形態では、シート20上に三次元のパターンがつくられてもよく、そのパターンが複数の列1120を含む。図6に示した1つの実施形態では、シート20は、同じ方向を向いた(すなわち、シートの前縁部に対して同じ角度βを有する)複数の長手方向枕部材120を有する第1列1120と、図6及び図7に示したように枕部材125がシートの長さに関して枕部材120の鏡像であるように向いた長手方向枕部材125を有する第2列1125とを含む(すなわち、シートの前縁部に対する枕部材125の長手方向軸線は、約180−β°に等しい)。1つの実施形態では、第1列1120は、同じ方向を向いた複数の長手方向枕部材120を有し(すなわち、シートの前縁部に対して同じ角度βを有する)、第2列1125は、枕部材125が角度β(先に説明したような)と異なる角度を向くような配向の長手方向枕部材125を有する。1つの実施形態では、長手方向枕部材の連続するいかなる2列でも、第2列1125の枕部材125は、シートの長さに関して第1列1120の枕部材120の鏡像である。図9に示した好ましい実施形態では、枕部材125は、列1120の枕部材120に関してずれている。
【0043】
図10に示した1つの実施形態では、シート20の外側面の少なくとも1つに三次元の外見又はパターンがつくられてもよく、所定の列1120の連続するいかなる2つの長手方向枕部材120a及び120bでも、第2の長手方向枕部材120bは、シート20の幅に関して第1の長手方向枕部材120aの鏡像である。1つの実施形態では、連続する2つの長手方向枕部材120a及び120bの収束する2つの末端部間の距離Dlcは、約0〜約20mm、好ましくは約0〜約15mmである。この実施形態では、距離Dlcが実質的に0に等しいとき、長手方向枕部材120は「ジグザグ」模様を形成する。図11及び図12に示したこの実施形態では、シートの中間部分に向かう流通路を塵埃/粒子に提供するために、枕部材のいかなる所定の「ジグザグ」の列でも、先端部220(シートの前縁部又は後縁部を向いている)の高さHlpは、好ましくは先端部320(シートの中間部分を向いている)の高さHlpより高い。好ましい実施形態では、先端部320の高さHlpは、ほぼ0mmに等しい。
【0044】
図13に示した別の実施形態では、洗浄シート30の外側面の1つは、外向きに伸びる複数のV字形(又は山形)枕部材130で画定される三次元の外見又はパターンを含む。
図14及び図15は、複数のV字形枕部材が説明されている拡大図である。V字形枕部材130は、第1長手方向部分131及び第2長手方向部分132を含み、それらは、それらの長さLse(同部分の外側の長さと一致する)及びLsi(同部分の内側の長さと一致する)、幅Ws、高さHs、並びに第1部分131と第2部分132との間の閉じた角度δで画定されてもよい。特に、第1長手方向部分131及び第2長手方向部分132は、共通の点で収束することにより、塵埃/粒子、及び特に部分131及び132の遊離繊維と絡み合う相対的に大きい粒子(直径約1〜10mm)を捕捉できる「ポケット」136を形成する。1つの実施形態では、両方の部分131及び132のLse、Lsi、Ws、及びHsの寸法は、図14及び図15に示したように実質的に等しい。1つの実施形態では、Lseは、約3〜75mm、好ましくは4mm〜60mm、より好ましくは5〜40であり、Lsiは、約2.5mm〜74.5mm、好ましくは3.5mm〜59.5mm、より好ましくは4.5mm〜39.5mmであり、Wsは、約0.5mm〜20mm、好ましくは約0.75mm〜15mm、より好ましくは約1.0mm〜10mmであり、Hsは、約0.50mm〜12mm、好ましくは約0.75mm〜10mm、より好ましくは約0.90mm〜9mmであり、またδは、約5〜約175°、好ましくは5〜120°、より好ましくは約5〜75°である。別の実施形態では、第1部分131のLse、Lsi、Ws、及びHsの寸法の1つ又はそれ以上は、第2部分132のLse、Lsi、Ws、及びHsの寸法と異なってもよい。1つの実施形態では、Ls、Ws、又はHsの寸法の1つ又は2つが一定で、他は変化してもよい。例えば、Ls及びWsの寸法が一定で、Hsの寸法が、枕部材130の先端部と長手方向部分131、132の末端部との間で徐々に増加又は減少してもよい。1つの実施形態では、Hsの寸法は、枕部材130の先端部と長手方向部分131、132の末端部との間で、約12mm〜約0mm、好ましくは約10mm〜約0.50mm、より好ましくは約9mm〜約0.75mmで徐々に減少してもよい。
【0045】
同様に図13〜図15に示した1つの実施形態では、V字形枕部材130は洗浄シート上にあってもよく、各V字形枕部材の対称の軸線A−Aとシートの前縁部との間の角度Θは、約5〜175°、好ましくは30〜150°、より好ましくは60〜120°であり、更により好ましくは約90°である。図15は、図14に示したV字形枕部材130を有するシート30の側面図である。
【0046】
1つの実施形態では、図13及び図14に示したようなV字形枕部材の列又は並び1130を得るために、複数のV字形枕部材130が洗浄シート30の外側面の少なくとも1つの上につくられてもよい。1つの実施形態では、列1130の全てのV字形枕部材が、同一方向を向いて(又は指して)いてもよい。好ましい実施形態では、V字形枕部材は、洗浄シート30上に配置されて、洗浄シート30の第1半分の枕部材は全て、(Y軸線に沿って)同じ方向、好ましくはシート30の前縁部を向き、シート300の第2半分のV字形枕部材は全て、反対方向、すなわちシート30の後縁部を向いている。枕部材130は、X軸線上の連続する2つの枕部材の頂点間の距離Dppxと、Y軸線上の連続する2列にある隣接する2つの枕部材の頂点間の距離Dppyとで更に画定されてもよい。1つの実施形態では、Dppxは、約9〜225mm、好ましくは12mm〜180mm、より好ましくは15mm〜120mmであり、Dppyは、約1.0mm〜150mm、好ましくは約1.5mm〜120mm、より好ましくは2.0mm〜80mmである。
【0047】
好ましい実施形態では、同一列の連続する2つのV字形枕部材130及び135は、図16〜図18に示したように反対方向を向いている。この実施形態では、枕部材は、それらのLse、Lsi、Ws、Hs、δ、Dppx、及びDppyの寸法を特徴としてもよいが、X軸線上の2つの枕部材130及び135の外側頂点330及び335間の距離Dip(図17及び図18に示されている)と、同一列の連続する2つの枕部材の長手方向部分132と133との間の及び/又は131と134との間の距離Dss(すなわち、溝幅)と、第1列の枕部材130と次又は前の列の枕部材135との間の距離Dllとをも特徴としてもよい(前記距離は全て図17に示されている)。1つの実施形態では、Dipは、約1.5mm〜約40mm、好ましくは約2mm〜25mm、より好ましくは約2.5mm〜約12.5mmであり、Dssは、約0.1mm〜約20mm、好ましくは約0.5mm〜10mm、より好ましくは約1mm〜約8mmであり、Dllは、約0.1mm〜約20mm、好ましくは約0.5mm〜10mm、より好ましくは約1mm〜約8mmである。
【0048】
この実施形態では、先に検討したように、連続する2つのV字形枕部材は塵埃/粒子に流通路230を提供する。特に、連続するV字形枕部材の方向を変えると、塵埃/粒子の一部が、V字形枕部材130の「ポケット」136及び部分131、132(シートの中間部分を向いている)と、V字形枕部材135の部分133、134(シートの前縁部又は後縁部を向いている)とに捕捉されるのを可能にするだけでなく、捕捉されなかった粒子の一部が流通路230に流れ込み、次の列1137に達するのも可能にする。この実施形態では、列1130はV字形枕部材の奇数列を表し、また列1137はV字形枕部材の偶数列を表す。理論に束縛されるものではないが、V字形枕部材135の外側頂点部分は、粒子の一部分を偏向させ、それらが流通路230に押し込まれると考えられる。粒子が一旦次の又は第2列1137に達すると、それらは主に、第2列1137のV字形枕部材130の「ポケット」136の方を向く。
【0049】
洗浄される硬い面が大量の塵埃/粒子で覆われているとき、第1列1130のV字形枕部材130の「ポケット」136は、迅速に「充満する」ことがある。加えて、塵埃/粒子は、モップヘッドの前縁部及び後縁部に隣接するシートの部分に集合する傾向もある。この粒子の集合は臨界質量に達した後破断し、捕捉されなかった粒子の一部分は流通路230に流れ込む。結果として、V字形枕部材の第1列1130は、その後より多くの粒子を「捕捉」できる。更にその上、先に検討したように、典型的な洗浄操作中、シートに加えられる圧力の大きさとモップヘッドの配向とは変化することも観察された。これらの変化が集合した粒子を弱体化させ、その結果、それがより迅速に破断して、粒子が流通路230に流れ込み、V字形枕部材の次の列に達するのを可能にする傾向がある。
【0050】
別の実施形態では、V字形枕部材130を含む三次元のパターンが、洗浄シート30の外側面の少なくとも1つにつくられてもよく、第1列1130のV字形枕部材130の外側頂点330は、図19及び図20に示したように、第2列1137の隣接するV字形枕部材130の部分131、132で画定される区域内にあってもよい。同様に、第2列1137のV字形枕部材135の外側頂点335は、第1列1130のV字形枕部材135の部分133、134で画定される区域内にあってもよい。
【0051】
図21に示した別の実施形態では、洗浄シート40の外側面の1つは、外向きに伸びる複数の「タコ」形枕部材140で画定される三次元の外見又はパターンを含む。
図22は、複数の「タコ形」枕部材140が説明されている拡大図である。「タコ形」枕部材140は、中央部分140aと、同部分140aから放射状に伸びる、少なくとも1つであるが好ましくは複数の「脚」部分140bとを含む。1つの実施形態では、「タコ形」枕部材140は、約1〜約12本、好ましくは約4〜約8本の「脚」部分140bを有する。1つの実施形態では、中央部分140aは、少なくとも約1mm、好ましくは少なくとも約2mmの半径を有する実質的にディスク(平円)形を有する。1つの実施形態では、中央部分140aは、約0.5〜約12mm、好ましくは約0.5〜約8mm、より好ましくは約1〜約5mmの半径を有する。1つの実施形態では、「脚」部分140bは、少なくとも約2mm、好ましくは少なくとも約4mmの長さLl(これは、中央のディスクの周辺部から放射状の脚上の最も遠い箇所までの距離である)を有する。1つの実施形態では、「脚」部分140bは、約2mm〜約12mm、好ましくは約4mm〜約10mmの長さLlを有する。1つの実施形態では、「脚」部分140bは実質的に直線であってもよい。別の実施形態では、「脚」部分140bは放射状に「揺れて」いてもよい。1つの実施形態では、洗浄シート40は、その外側面の少なくとも1つに複数の「タコ形」枕部材140を含む。
【0052】
洗浄シートの外側面の少なくとも1つに多種多様の三次元のパターンがつくられてもよく、尚も同じ効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。様々な寸法又は形を有する様々な三次元のパターンを組み合わせることが可能で、尚も同じ効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。三次元のパターンの非限定的な例には、M字形、N字形、W字形、X字形、Y字形、又はこれらのいかなる組み合わせも挙げられる。加えて、三次元のパターンは内側に又は外側に(すなわち、放物線状に又は双曲線状に)湾曲してもよく、尚も同じ効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。
【0053】
1つの実施形態では、洗浄シートは偶数列の枕部材を含む。別の実施形態では、洗浄シートは奇数列の枕部材を含む。
【0054】
図23に示した1つの実施形態では、洗浄シートの外側面の少なくとも1つの部分だけが枕部材を含む。1つの実施形態では、洗浄シート50は、その外側面の少なくとも1つの上に複数列の枕部材150を有し、シート上の枕部材の最初の列と最後の列との間の距離Wflは、洗浄シートの全幅Wの約90%未満、好ましくは約75%未満、より好ましくは約60%未満、更により好ましくは約30%未満である。図23に示した1つの実施形態では、複数列の枕部材150は実質的に洗浄シート150の中間部分にある。
【0055】
図24に示した別の実施形態では、複数列の枕部材150は洗浄シート50の外側面の少なくとも1つの上にあり、シート50の中間部分にはいかなる枕部材150もない。1つの実施形態では、いかなる枕部材150もないシートの中間部分の幅Wmは、洗浄シート50の全幅Wの少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約33%、最も好ましくは少なくとも約50%である。
【0056】
図23及び図24に説明した洗浄シート50はV字形枕部材を含むが、枕部材の他のいかなる形でも同じ効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。
【0057】
1つの実施形態では、いかなる枕部材150もないシートの部分は、添加物でコーティングされてもよく、並びに/又はこれらの部分上に直接印刷されてもよい指示、ロゴ、及び/若しくは商標を含んでもよい。
【0058】
図25及び図26に示した1つの実施形態では、洗浄シート60の外側層の少なくとも1つは、ユーザに情報及び/又は指示を伝え得る、少なくとも1つであるが、好ましくは複数の枕部材160によりつくられる三次元のパターンを含む。1つの実施形態では、少なくとも1つの枕部材160はロゴ及び/又は商標であってもよく、それが先に検討したような洗浄効果をもたらすことに加えて、ユーザに洗浄シートの「由来」を伝える。1つの実施形態では、少なくとも1つであるが、好ましくは複数の枕部材160は、例えばことばの形態で消費者に指示を提供し、伝達する。これらの指示は、洗浄シート60の使用及び/又は取り付けの方法をユーザに説明してもよい。1つの実施形態では、洗浄シート60の外側面の1つの上に複数の枕部材160がつくられてもよく、少なくとも1語、好ましくは「下」、「上」、「下に」、「上に」、「床」、「表面」から成る群から選択される1語、及びこれらのいかなる組み合わせも、ユーザが、この又はこれらの語を有する外側面を見るときにユーザに見える。特に、ユーザに指示を提供する枕部材を有する洗浄シートは、先に検討した洗浄シートと類似の洗浄効果をもたらすが、シートを適切に/任意に使用する方法をユーザが理解するのを可能にもする。これは、例えば、枕部材が全て、シートの外側面の1つの上にあるときの事例であってもよい。枕部材160により形成されたこれらの指示は、シートの第1外側面が添加物でコーティングされ、第2外側面がコーティングされないとき、又は両方の外側面が様々な効果/特性を有することがある添加物でコーティングされるときにも有効である。全てのその洗浄効果をもたらすために、枕部材が洗浄される面に向かって伸びるように、そのような洗浄シートは使用される及び/又はモップヘッドに取り付けられるべきである。
【0059】
III.三次元のパターンを有する洗浄シートを作製する方法
本明細書で説明される洗浄シートは、いくつかのプロセスによる織物又は不織布基材いずれかを使用して作製可能である。洗浄シートを作製するのに好適なプロセスの非限定的な例には、形成体上、特にベルトに敷き詰められる溶融材料を使用する形成操作、フィルム上に実施される機械的作用/変性を伴う形成操作、画像表面付きのドラムを有する画像形成装置を含む画像形成/パターン化プロセス、及び/又はエンボス操作によるもの、並びにこれらの組み合わせが含まれる。枕部材付きの洗浄シートに使用される基材は、主要な三次元寸法及び坪量要求が一旦決定されると、いくつかの方法(例えば、水流交絡、スパンボンド、メルトブローン、カード加工後樹脂結合、カード加工後通気結合、カード加工後熱接着、エアレイドなど)により作製可能である。しかしながら、好ましい基材は不織布であり、特に当技術分野で周知の水流交絡により形成された不織布であるのは、これらが非常に望ましい開放繊維構造を提供するからである。したがって、好ましい洗浄シートは、本明細書で説明する特性を有する不織布基材である。本発明の好ましい不織布洗浄シートを形成するのに特に好適な材料には、例えば、天然セルロース、及びポリオレフィン類(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル類、ポリアミド類、合成セルロース(例えばレーヨン(登録商標))などの合成繊維、並びにこれらの混合物が挙げられる。同様に有用であるのは、木綿又はそのブレンドなどの天然繊維、及び様々なセルロース源から誘導された繊維である。水流交絡した繊維状シートを作製するのに好ましい出発原料は、カード加工、スパンボンド、メルトブローン、エアレイド、又は他の構造の形態であってもよい合成材料である。特に好ましいのは、ポリエステル類、特にカード加工されたポリエステル繊維である。繊維の疎水性又は親水性の程度は、除去すべき汚れのタイプ、添加物が存在するときには提供される添加物のタイプ、生分解性、入手しやすさ、及びそのような考慮点の組み合わせいずれかの点から、シートの所望の目的にしたがって最適化される。一般に、より生分解性の材料は親水性であるが、より有効な材料は疎水性の傾向がある。
【0060】
洗浄シートを、単一の繊維状層から形成してもよいが、好ましくは、少なくとも2つの別個の層の複合物である。好ましくは、シートは、水流交絡プロセスにより作製された不織布である。この点に関して、繊維の別個の層を水流交絡する前に、層のそれぞれを僅かに交絡してから、層群を交絡により結合するのが望ましい。
【0061】
本明細書で説明した洗浄シートは、少なくとも約40g/m2、好ましくは約50g/m2〜90g/m2の間、より好ましくは約55g/m2〜約80g/m2の間の坪量を有することができる。
好適な洗浄シートの非限定的な例は、次のように作製可能である:
【0062】
(実施例1)
次の寸法:Lp=約9.4mm、Wp=約6.8mm、Hp=約1.6mm、Dpx=約4.8mm、Dpy=約2.4mm、Dt=約1.5mm、α=約45°を有する複数の枕部材を備える、外側面の1つの上に三次元のパターンを有する洗浄シートは、図27に説明されている次のプロセスにより作製可能である。
【0063】
約26.5g/m2の坪量を有し、次の特性、長さ37mm及び1.5dpfを有するポリエステル短繊維(ウェルマン社(Wellman,Inc.)からタイプ203繊維として入手可能)を含むカード加工ウェブの第1層が、約15g/m2の坪量を有するポリプロピレンのスパンボンドウェブ層上にあてがわれる。次に、二重層のウェブを形成するために、これらの2層が水流交絡される。次に、得られる二重層のウェブを乾燥させて、前駆体ウェブを形成する。次に、約26.5g/m2の坪量を有し、次の特性、長さ37mm及び1.5dpfを有するポリエステル短繊維(ウェルマンファイバー(Wellman Fiber)社からタイプ203繊維として入手可能)を含むカード加工ウェブの第2層が、前駆体ウェブ上にあてがわれ、スパンボンドウェブ層は、カード加工ウェブの第1層と第2層との間に「挟まれ」、再度、水流交絡される。次に、約68g/m2の総坪量を有する、得られる3層ウェブ70は、全てポリマーグループ社(Polymer Group Inc.)に譲渡された米国特許第6,502,288号(ブラック(Black)ら、2003年1月7日発行、)、米国特許出願20030019088(カーター(Carter)、2003年1月30日発行)、PCT国際公開特許WO02/46509(ブラック(Black)ら、2002年6月13日発行)、及びPCT国際公開特許WO02/058006(カーター(Carter)ら、2002年7月25日発行)に記載されている画像形成装置75で水力により更に画像形成/パターン化される。この画像形成装置75は、画像形成/パターン化ドラム175を含む。画像形成装置は、画像移動装置75の画像形成面により画定される三次元の空洞と協力して作用する複数の交絡マニホルド(多様体)275に関して移動可能な可動式画像形成面を含み、この3層の画像形成及びパターン化を行う。先に説明した枕部材を「つくる」ために使用されるドラム175の画像形成面の平面図が、図28に説明されている。ドラム175の画像形成面は、水流交絡プロセスの水を排出するために、底面に排水孔2175を有する複数の空洞1175を含む。洗浄シート上で得られる枕部材のLp、Wp、Dt、Dpx、及びDpyの寸法は、ドラム175の上面から見える空洞(又は「画像」)の対応するLp、Wp、Dt、Dpx、及びDpyの寸法と実質的に同じであることを当業者は理解するであろう。
【0064】
画像形成/パターン化プロセス中に、ドラム175の画像形成面上で3層ウェブ70が水力により衝撃を受け、カード加工ウェブの少なくとも1つの繊維のいくらかがドラム175の空洞1175内で押され、引っ張られて(すなわち拡張して)枕部材を形成する。図29は、線29−29に沿った画像形成ドラムの断面図を示し、Hicは、空洞1175の「内側の深さ」を表し、Htcは画像形成ドラム175の厚さを表している。続いて、得られる画像形成した/パターン化したウェブを乾燥させ、適切な寸法に切断して、洗浄シートを形成する。
【0065】
(実施例2)
次の寸法:Lp=約9.4mm、Wp=約6.8mm、Hp=約1.6mm、Dpx=約2.4mm、Dpy=約4.8mm、Dt=約1.5mm、α=約45°を有する複数の枕部材を備え、洗浄シートの外側面の1つに三次元のパターンを形成する洗浄シートは、次のプロセスにより作製可能である。
【0066】
約58g/m2の坪量を有し、次の特性、長さ37mm及び1.5dpfを有するポリエステル短繊維(ウェルマン社(Wellman,Inc.)からタイプ203繊維として入手可能)を含むカード加工ウェブの第1層が、約10g/m2の坪量を有するポリプロピレンのスパンボンドウェブの層の上にあてがわれる。次に、二重層のウェブを形成するために、これらの2層が水流交絡される。次に、約68g/m2の坪量を有する、得られる二重層ウェブが、先に検討した画像形成装置で水力により更に画像形成/パターン化される。続いて、得られる画像形成した/パターン化したウェブを乾燥させ、適切な寸法に切断して、洗浄シートを形成する。
【0067】
(実施例3)
次の寸法:Lse=約19.9mm、Lsi=約9mm、Ws=約4.5mm、Hp=約1.4mm、γ=約45°、Dip=約11mm、Dppy=約22、Dppx=約21mm、Dll=約2.5mm、及びDss=約2.5mm(図17に示されているように)を有し、洗浄シートの外側面の1つに三次元パターンを形成する洗浄シートは、次のプロセスにより作製可能である。
【0068】
約29.2g/m2の坪量を有し、次の特性、長さ37mm及び1.5dpfを有するポリエステル単繊維(ウェルマン社(Wellman,Inc.)からタイプ203繊維として入手可能)を含むカード加工ウェブの第1層が、約15g/m2の坪量を有するポリプロピレンのスパンポンドウェブの層の上にあてがわれる。次に、二重層のウェブを形成するために、これらの2層が水流交絡される。次に、得られる二重層のウェブを乾燥させて、前駆体ウェブを形成する。次に、約23.8g/m2の坪量を有し、次の特性、長さ37mm及び1.5dpfを有するポリエステル短繊維(ウェルマン社(Wellman,Inc.)からタイプ203繊維として入手可能)を含むカード加工ウェブの第2層が、前駆体ウェブの上にあてがわれて、スパンボンドのウェブ層は、カード加工ウェブの第1層と第2層との間に「挟まれ」て、再度、水流交絡される。次に、約68g/m2の総坪量を有する、得られる3層ウェブが、先に検討した画像形成装置で水力により更に画像形成/パターン化される。先に説明したV字形の枕状部材を「つくる」ために使用されるドラム175の画像形成面の平面図が、図30に説明されている。続いて、得られる画像形成した/パターン化したウェブを乾燥させ、適切な寸法に切断して、洗浄シートを形成する。
【0069】
ドラムの画像形成面は、枕部材を支持するシートの面の反転画像と見ることもできる(すなわち、シート上の枕部材は、画像形成ドラム上の空洞に対応する)ことを当業者は理解するであろう。その結果、ドラムの画像/パターンの寸法は実質的にX−Y平面におけるシート上の枕部材の寸法に等しく、ドラム上の空洞の深さは少なくとも洗浄シートの枕部材の高さに等しい。
【0070】
IV.典型的な洗浄操作中の洗浄シート。
先に検討したように、硬い面、特に家で見られる床面が完全に平坦なことは稀である。床面がグラウト線で分離したセラミックタイルを含む場合、塵埃及び他のタイプの微粒子がグラウト線内に入る傾向があり、グラウト線の深さ次第で取り除くのが特に困難である。加えて、床面及び他のタイプの硬い面は、相対的に明白な推移ストリップ(例えば、部屋と部屋との間、及び幅木間に見出される木若しくは金属のストリップ又はジョイント)を有することがある。
【0071】
実質的に平坦である洗浄シートは、微粒子を取り除き、また捕捉するために、これらのグラウト線の深くまで達する及び/又は硬い面のトポグラフィーの変化に適合することができない。
【0072】
圧縮された後、最初の形を回復できる枕部材によりつくられる巨視的な三次元のパターンを有する洗浄シートは、硬い面のトポグラフィーの変化に適合でき、結果として、より高い洗浄性能を提供することが判明した。
【0073】
面のトポグラフィーの変化に対する、枕部材を有するシートの形の回復及び適合性を視覚化するために、次の実験が行われる。
【0074】
幅約7mm及び深さ約2.5mmのグラウト線1180が、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)の第1ブロック180の上面の中間部分の幅に沿って作製される。上記の実施例3に説明したものなど、枕部材1280によりつくられる巨視的な三次元のパターンを含む洗浄シート280が、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)180の第1ブロックと、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)380の実質的に平坦な第2ブロックとの間に「挟まれ」、枕部材を含むシートの側面が、グラウト線1180を有する第1ブロック180の面に向く。洗浄シート280に約2g/cm2の圧力の圧縮荷重をかけるために、第1ブロックと第2ブロックとの間の距離が約1mmであるように、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)の第2ブロック(モップヘッドの底面を模倣)380を、洗浄シート280に(すなわち、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)の第1ブロックに向かって)押し付ける。
【0075】
枕部材1280が一旦グラウト線1180に達し、次に、同線内で拡張する一方、洗浄シートが、図31及び図33において矢印で示した方向に引っ張られると、プレキシグラス(PLEXIGLAS)(登録商標)の2つのブロック180及び380の側面上にあり、顕微鏡(0.75xの倍率を有する)に接続したデジタルビデオカメラ(約30フレーム/secで記録する)が、枕部材1280の展開を撮影するために使用される。
【0076】
図31は、洗浄シート280を矢印Dで示した方向に移動させる間にグラウト線に達する前の、黒インキの1滴でしるしをつけた枕部材1280を示す、先に説明した実験の拡大写真である。
【0077】
図32は、洗浄シート280を矢印Dで示した方向に更に移動させる間にグラウト線1180に達し、矢印Pで示した黒いしるしの寸法の増加により示されるようにグラウト線内で拡張し始めるときの、図31に示した枕部材1280を示す、先に説明した実験の拡大写真である。
【0078】
図33は、洗浄シート280を矢印Dで示した方向に更に移動させる間に、矢印Pで示した黒いしるしの寸法の増加により示されるようにグラウト線1180内で十分に拡張したときの、図32に示した枕部材1280を示す、先に説明した実験の拡大写真である。
【0079】
図31〜図33は、枕部材が洗浄される硬い面のトポグラフィーの変化に適合できることを示している。枕部材はグラウト線内で拡張可能であり、結果として、グラウト線から微粒子を取り除くことができる。枕部材が、硬い面上の推移ストリップなど、明白な傾斜に達するとき、同様の効果をもたらすことを当業者は理解するであろう。
【0080】
先に検討したように、好ましくはシートの外側面の少なくとも1つの上に配置されて、不ぞろいでないパターンをつくる複数の枕部材によりつくられる流通路は、洗浄操作中に微粒子をシートの中間部分に向かって「流れ」させる。
【0081】
枕部材を有する三次元のパターンの、汚れ/粒子への効果と、粒子をシートの中間部分に向けるその能力とを視覚化するために、次の実験が行われる。
【0082】
(微粒子の流れの実験)
汚れ、塵埃、及び他の典型的な微粒子物質の混合物約0.5gが、透明な床面(少なくとも約90cm×90cm)の上面上に均一につけられる。この実験に使用される混合は、真空式掃除機の貯臓器から回収され、典型的な床面上に見出せる種類の典型である。
【0083】
洗浄シートが、「王冠形の」及び非平坦な底面又は平坦な底面のどちらかを有するスイファー(SWIFFER)(登録商標)洗浄器具のモップヘッドに機械的に取り付けられる。モップヘッドに取り付けた洗浄シートは、透明な面の1つの角から始まり、前向きの動きでこの透明な面を拭くために使用される(すなわち、シートの前縁部は常に塵埃/粒子と交わる)。モップヘッドが透明な床面の縁の1つに達する前に、透明な面の別の区域を洗浄するために、モップヘッドは回転させられる。モップヘッドが透明な面を横切って移動し、洗浄シートが塵埃/粒子を収集する間、透明な床の下にあるデジタルビデオカメラ(約30フレーム/sで記録する)が使用されて、洗浄シートの面と塵埃/粒子の動きとを撮影する。
【0084】
次に、洗浄シートの底面での塵埃/粒子のレベル(濃度)を示すいくつかの画像がデジタルビデオテープから「抜き取られ」て、シートの下部での塵埃/粒子のレベルの伸展を示し、またシートの中間部分に向かう塵埃/粒子の伸展(又は移動)が観察される。この実験は、外側面の1つの上に枕部材を有し、上記の実施例3により作製される試料シートで行われる。
【0085】
図34〜図36は、V字形枕部材を含む、三次元のパターンを有する洗浄シート85の底面の写真であり、これらはこの実験中に様々な時間間隔で撮られている。この洗浄シートは、上記の実施例3に説明したプロセスにより作製される。洗浄シートは、「王冠形」及び「非平坦」底面を有するスイファー(SWIFFER)(登録商標)洗浄器具のモップヘッドに取り付けられる。
【0086】
図34〜図36は、洗浄シートの黒い部分が増加していることを示し、これは、モップ操作プロセス中により広いシート面が利用されたことを示す。モップ操作プロセスを更に観察すると、複数の枕部材と、微粒子用の明確な溝又は流通路とを有する三次元のパターンを含む洗浄シートは、局所的な機能性を提供することを示す。枕部材が汚れ/粒子を捕捉する一方、溝は遊離した汚れ/粒子185をシートの中間部分に向かって流れる。シートの前縁部分に収集された塵埃/粒子は、シートの中間部分に向かって周期的に移動する。加えて、図34〜図36は、V字形枕部材によりつくられたポケットに、塵埃/粒子が迅速に充満することを示している。
【0087】
実質的に平坦な面を有するモップヘッドに、同様の洗浄シートが取付けられるとき、モップヘッドの平坦な底面にもかかわらず同様の効果が達成され、微粒子がシートの中間部分に向かってある程度移動可能であることが観察される。
【0088】
その結果、枕部材によりつくられた微粒子用流通路及び巨視的な三次元のパターンを有する洗浄シートは、より多くの従来の洗浄シートと比較して、塵埃/粒子を捕捉するのに有効な、より広い使用可能面積を有する。
【0089】
繊維性材料から作製した洗浄シートで硬い面を拭くとき、硬い面上にある粒子は、シートの繊維の間に絡まるので、シートに捕捉される。その結果、繊維性材料から作製したシートの洗浄効力は、ある程度、シートに存在する孔及び空間体積の大きさによる。より大きい空間体積を有する洗浄シートは、より多くの及び/又はより大きい微粒子を捕捉する傾向があることを当業者は理解するであろう。
【0090】
洗浄シートで硬い面を洗浄する操作中に、洗浄シートは、ユーザの手又は洗浄道具のどちらかと、洗浄される硬い面との間に「挟まれる」。結果として、洗浄シートは、約0g/cm2(手によるダスティングに関連する圧力の低いレベルに相当する)〜約20g/cm2(ユーザによりハンドルに加えられる最大圧力に相当する)で変化し、また主に、シートのZ次元において加えられる圧力の圧縮荷重を受ける。この圧縮荷重は、シートを平坦にする傾向があり、結果として、シートにおける空間体積の大きさを低減する。ユーザは、典型的にはモップヘッドを前方に押して、次に、モップヘッドを引っ張る、モップヘッドを床面から持ち上げて自分自身に近づける、又はモップヘッドを回転させるのどれかを行う。理論に束縛されるものではないが、ユーザがモップヘッドを前方に押すとき、シートに加えられる圧力は、ユーザがモップヘッドの移動方向を変えるまで徐々に増大すると考えられる。その結果、洗浄シートが圧縮されている間大きい空間体積を維持する洗浄シートは、同シートがより多くの及び/又はより大きい微粒子を捕捉できるので、改善された洗浄効力を有する。先に説明したような枕部材によりつくられる三次元のパターンを有する洗浄シートは、ユーザが硬い面を拭くときに相対的に大きい空間体積を維持できる。
【0091】
弛緩した状態の、及び洗浄操作中の洗浄シートにおける空間体積の大きさを評価するために、次の実験が行われる。
【0092】
(圧縮の分析方法)
繊維性基材の圧縮特性は、ウェブの変形が増大するときの、圧縮に対するウェブの抵抗力を測定することにより得られる。次の基材を試験する:
カード加工したポリエステル繊維がポリプロピレンスクリムの網目材料の周囲で水流交絡されるスパンレースプロセスにより作製され、S.C.ジョンソン社(S.C.Johnson Company)から販売されているプレッジ・グラビット(PLEDGE GRAB-IT)(登録商標)洗浄シート。
【0093】
カード加工したポリエステル繊維がポリプロピレンスクリムの網目材料の周囲で水流交絡されるスパンレースプロセスにより作製され、花王(the Kao Company)から販売されているクイックル(QUICKLE)(登録商標)洗浄シート。スパンレースプロセス中に、ウェブが、形成ベルト上で水流交絡される。
【0094】
カード加工したポリエステル短繊維の2層がポリプロピレンのスパンボンドウェブの周囲で水流交絡されるスパンレースプロセスにより作製されるスイファー(SWIFFER)(登録商標)洗浄シート。
【0095】
上記の実施例3で説明したものなど、三次元のパターンを有する洗浄シートの試料。
【0096】
1枚の洗浄シートから約5cm×5cmの寸法の基材片を切断することにより、各タイプの基材の5つの試験試料が調製される。三次元のパターンを有する同一タイプの基材の5つの試験試料が1枚の洗浄シートから切断され、それらは全て、同数の枕部材を含む。
【0097】
圧縮データは、機械的ユニット、電子インターフェースユニット、及びコンピュータからなるKES測定機(Kawabata Evaluation System)から得られる。機械的ユニット及び電子インターフェースユニットは共に、KES−FB3圧縮試験機、No.9900217CS(カトーテック株式会社(Kato Tech Co.)(601−8447京都市南区西九条唐戸町26)により作製される)として既知である。この器具は、製造者により毎年、度盛りを修正されている。ウェブ試料上の圧縮力の分析を完全にするために、各実験前に器具の目盛りを0に合わせる。KES測定機の測定プログラムのソフトを、次のように設定する:(1)FB−3標準試験(圧縮試験用)を選択し、(2)圧縮特性の任意条件表において、カテゴリー(範疇)のそれぞれで次の項目が選択される:
【0098】
【表1】

この最初の設定後、加圧プレートと加圧されるプレート(どちらも約2cm2)との間の間隙が、加圧されるプレート上に5cm×5cmの基材の試料の1つを挿入するのに十分に大きくなるように、器具を手動で調節する(ウェブの残りの部分は、周りの試料台の上面にある)。側面の1つの上に枕部材を有する基材の試料が、加圧プレート上に配置され、枕部材は加圧プレートの方を向く。次に、器具が最初の圧縮荷重を検出するまで、加圧プレートを再度手動で試料に向かって下げる。次に、圧縮荷重が0に戻るまで、加圧プレートを手動で引っ込める。電子ユニットの“INT”ボタンを押すことにより器具はコンピュータにつながる。コンピュータの加圧ドロップダウンメニューの「測定開始」キーをクリックすると、ウェブの分析が開始される。測定プロセスが完了した(すなわち、圧縮で最大圧力に達し、続いて、最初の加圧プレートの位置に戻った)後、その結果、すなわち、加圧プレートが移動した距離に対する加わった力の大きさが記録されて、次に、更なる分析のためにマイクロソフト(MICROSOFT)(登録商標)エクセルまで伝達される。次に、電子インターフェースユニットにある’フォース’ボタンを押すことにより、機械はPCから分離される。次に、GAP−SETダイヤルを手動で回転させ、加圧プレートを上げて、試料を取り除く。各試料についてこのプロセスを繰り返した。試料の最初の間隙の設定値(圧縮力0で)から加圧プレートの移動距離を引くことにより、いかなる圧縮力でのウェブの厚さも計算可能である(マイクロソフト(MICROSOFT)(登録商標)エクセルにより)。
【0099】
この実験中、ウェブ片を加圧されるプレート上に配置し、ウェブのX−Y平面は、ロードセルの真上にある加圧されるプレートと実質的に平行になり、加圧されるプレートにウェブを押し付けて圧縮するために、可動式加圧プレートをZ次元において約0.02mm/sの速度で移動させる。ウェブの各試料は、約3.0g/cm2の圧縮力がウェブの試料に加えられたことをロードセルが示すまで圧縮される。試験が終了するまで、0.5秒毎にデータが記録される。
【0100】
各タイプの基材の5つの試料を試験され、その中間曲線の結果がプロットされて、各タイプの基材の厚さを基材に加えられた圧縮力の大きさの関数として表す、図37に示したグラフが得られる。
【0101】
(ウェブの空間体積の決定)
基材の空間体積は、米国特許第5,562,650号(エベレット(Everett)ら、1996年10月8日発行、キンバリー・クラーク社(Kimberly-Clark Company)に譲渡)に開示されているように、その坪量及び厚さから近似可能である。調査したウェブに関し、折り畳まないシートで重量及び厚さが測定される。坪量は、既知の面積の乾燥したシート試料(約10cm×10cm)を計量し、結果を、機械的にウェブのg/m2の単位に変換することにより決定される。シートの厚さ(mmで測定)は、先に説明したようなウェブの圧縮試験中にKES測定機を使用して得られる。最初の非圧縮シートの厚さが、上記で決定/説明した最初の間隙の設定値である。
【0102】
g/cm3で表される結果を得るために、単位を適切に変換し、基材の坪量を基材の厚さで割ることにより、ウェブの「見かけの密度」が計算できる。基材の「見かけの密度」を計算する方法は、米国特許第4,515,656号(メメガーJr.(Memeger,Jr.)、1985年5月7日発行、デュポン社(E.I.DuPont de Nemours and Company)に譲渡)に見出せる。全てのシートについて、相対的に平坦な三次元であろうとも又は枕部材を有する三次元であろうとも、厚さはシートの平面に垂直に測定される。説明したように、相対的に非平坦なシートについて、シートの非常に拡張した部分の厚さが、「見かけの」密度(すなわち、シートの全ての面積が同一の最大の程度まで均一に拡張した場合、シートの密度が有する)を算出する際に使用される。換言すれば、「見かけの密度」は、平坦なプレート間で、拡張したシートが占める空間として算出される(すなわち、KES圧縮試験機の加圧されるプレートと加圧プレートとの間の最初の間隙の距離)。「見かけの密度」は、次のように画定される:
【0103】
【数1】

ρ=「見かけの」密度(ウェブのg/cm3
BW=坪量(g/m2
t=圧縮力0での厚さ(mm)(荷重なし、最初の間隙の設定値)
【0104】
今後の全ての検討において、試料の見かけの空間体積を計算するためにこの「見かけの」密度の値が使用される。繊維性不織布ウェブの見かけの空間体積は、その構造体においてどのくらいの空気の空間(すなわち、又は多孔性)が存在するかの尺度である。繊維のない空間体積は、ウェブの見かけの空間体積−繊維の特定体積である。本発明の目的では、繊維の特定体積は、繊維のない体積より少ないので、関係する繊維のない空間体積は、見かけの空間体積にほぼ等しくてもよい。したがって、繊維性不織布のウェブの空間体積は、次のように画定される:
【0105】
【数2】

空間体積ウェフ゛=ウェブの空間体積(cm3/ウェブのg)
ρ=「見かけの」密度(ウェブのg/cm3
【0106】
見かけの密度及びウェブの空間体積は、先の実験においてKES圧縮試験機で得られた厚さのデータから、様々な圧縮荷重について決定できることを当業者は理解するであろう。上記を要約すると、KES測定機により、ウェブが圧縮されるときのウェブの様々な厚さでのウェブの圧縮力が測定及び報告される。ウェブの坪量及びそのウェブの圧縮された厚さを知るか又は算出することにより、特定の圧縮荷重でのウェブの空間体積を決定できる。これらの結果が図38に示されている。
【0107】
図38は、約0.5g/cm2未満の圧縮荷重が、枕部材によりつくられる三次元のパターンを有する洗浄シートにかけられるとき、空間体積の大きさが、少なくとも約21cm3/ウェブのg、好ましくは少なくとも約22cm3/ウェブのg、より好ましくは少なくとも約23cm3/ウェブのgであることを示している。
【0108】
図38は、約0.5g/cm2〜約1g/cm2の圧縮荷重が、枕部材によりつくられる三次元のパターンを有する洗浄シートにかけられるとき、空間体積の大きさが、少なくとも約17.5cm3/ウェブのg、好ましくは少なくとも約18.5cm3/ウェブのg、より好ましくは少なくとも約19.5cm3/ウェブのgであることも示している。
【0109】
図38は、約1g/cm2〜約1.75g/cm2の圧縮荷重が、枕部材によりつくられる三次元のパターンを有する洗浄シートにかけられるとき、空間体積の大きさが、少なくとも約16cm3/ウェブのgであることを示している。
【0110】
理論に束縛されるものではないが、枕部材を形成し、X−Y平面の外側にある繊維の一部は、圧縮荷重により枕部材が完全に平坦になるのを防ぐ「ばね」として作用すると考えられる。繊維は、洗浄操作中に枕部材内の高レベルの多孔性を維持する一助となり、その結果、シートの「洗浄効力」を増大する。これらの繊維がZ軸線に近づく程、圧縮への抵抗が大きく、またシートの「洗浄効力」がより大きくなることを当業者は理解するであろう。
【0111】
その結果、枕部材を有する先に説明した洗浄シートは、使用中、相対的に大きい空間体積を維持することが可能であり、またより高い洗浄効力を有する。
【0112】
複数の枕部材によりつくられる巨視的な三次元のパターンを有する先に開示した洗浄シートは、米国特許第5,968,204号(ワイズ(Wise)、1999年10月19日発行、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に開示されるような手袋を形成するためにも使用でき、同手袋の外側面の少なくとも1つが、複数の枕部材によりつくられる巨視的な三次元パターンを含むことを当業者は評価するであろう。
【0113】
V.添加物
枕部材を含む先に説明した洗浄シートのいかなるシートの洗浄効力も、シートの外側面、好ましくは枕部材を有する外側面の少なくとも1つに添加物を加えることにより、更に改善可能である。
【0114】
1つの実施形態では、複数の枕部材を含むシートの外側面に添加物を加えることができ、添加物はこの外側面に均一にある。
別の実施形態では、複数の枕部材を含むシートの外側面に添加物を加えることができ、先に説明した流通路が添加物でコーティングされ、枕部材の上部部分には実質的に添加物がない。
【0115】
別の実施形態では、複数の枕部材を含むシートの外側面に添加物を加えることができ、枕部材の上部部分が添加物でコーティングされ、流通路には実質的に添加物がない。
別の実施形態では、複数の枕部材を含むシートの外側面に添加物を加えることができ、添加物は、外側面上でX−Y平面において不均一にある。1つの実施形態では、シートの中央の長手方向部分(シート幅の約33%)は、シートの前縁部及び後縁部にそれぞれ隣接する、基材の2つの外側部分より高濃度の添加物を含む。
好適な添加物の非限定的な例には、油、ワックス、粘着性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0116】
特にシートへの汚れの付着性を改善する添加物を、好ましい低濃度で使用することにより、驚くほど優れたクリーニング、空気中の塵埃の抑制、消費者の好ましい印象、特に触覚的印象が得られ、更に香料、害虫駆除成分、抗カビ剤を含む抗菌剤、及び多数のその他の有益成分、特に添加物に可溶性又は分散性であるものを組み込み、付加する手段が添加物により得られる。これらの効果はほんの一例である。添加物が、基材、パッケージ、及び/又は処理される面に悪影響を与える可能性がある場合、添加物が低濃度であることが特に望ましい。
【0117】
好適な添加物の非限定的な例は、米国特許出願09/082,349(フェレシュテコウ(Fereshtehkhou)ら、1998年5月20日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)と、同時係属の米国特許仮出願60/448,745(ポリシシオ(Policicchio)ら、2003年2月20日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(the Procter & Gamble Company)に譲渡)とに記載されている。
好ましい実施形態では、添加物はマイクロクリスタリンワックスを含む。
【0118】
VI.洗浄器具
先に説明した洗浄シートは、手によるダスティングのために別個に使用されても、又は洗浄道具と組み合わせて使用されてもよい。
【0119】
図39は、ハンドル190を含み、好ましくはハンドル190に回転可能に接続したモップヘッド290を含む洗浄道具90を示している。洗浄器具の例は、米国特許出願09/788,761(ウィルマン(Willman)ら、2000年2月24日出願、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡)に記載されている。モップヘッドはいかなる形又は寸法を有してもよく、米国特許第6,305,046号(キングリー(Kingry)ら、2001年10月23日発行、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter and Gamble Company)に譲渡)に記載されているようなモップヘッドの付近で洗浄シートを保持するための取り付け構造体1190を含んでもよいが、洗浄シートを保持するために、また同じ効果をもたらすために、他のいかなる種類の保持手段が使用されてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0120】
別の好適なタイプの洗浄道具が、ハンドルに取り外し可能に取り付け可能であるモップ本体を含むPCT国際公開特許WO02/34101(タナカ(Tanaka)、2002年5月2日発行、ユニチャーム社(the Uni-Charm Corporation)に譲渡)に開示されている。
【0121】
主題発明の特定の実施形態について説明してきたが、主題発明の様々な変形及び変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施可能であることは当業者に明らかである。更に、本発明をある特定の実施形態と関連させて説明したが、限られた手段によるものであり、本発明の範囲は添付の請求項によって定義され、従来技術で認められるのと同様に広範に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】複数の枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図2】図1に示した枕部材の拡大図。
【図3】図2の枕部材の断面図。
【図4】複数の枕部材を含む別の洗浄シートの平面図。
【図5】図4に示した枕部材の拡大図。
【図6】複数の長手方向枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図7】図6に示した長手方向枕部材の拡大図。
【図8】図7の枕部材の側面図。
【図9】長手方向枕部材の別の配置の拡大図。
【図10】長手方向枕部材の別の配置の拡大図。
【図11】「ジグザグ」模様の長手方向枕部材の拡大図。
【図12】図11の長手方向部材の側面図。
【図13】複数のV字形枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図14】図13に示したV字形枕部材の拡大図。
【図15】図14のV字形枕部材の側面図。
【図16】複数のV字形枕部材の別の配置を含む洗浄シートの平面図。
【図17】図16に示したV字形枕部材の拡大図。
【図18】図16に示したV字形枕部材の別の拡大図。
【図19】複数のV字形枕部材の別の配置を含む洗浄シートの平面図。
【図20】図19に示したV字形枕部材の拡大図。
【図21】複数のタコ形枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図22】図21に示したタコ形枕部材の拡大図。
【図23】複数のV字形枕部材の別の配置を含む洗浄シートの平面図。
【図24】複数のV字形枕部材の別の配置を含む洗浄シートの平面図。
【図25】複数の枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図26】複数の枕部材を含む洗浄シートの平面図。
【図27】複数の枕部材を含む洗浄シートの好適な製造プロセスの略図。
【図28】図27の画像形成装置の平面図。
【図29】図28の画像形成装置の断面図。
【図30】V字形枕部材をつくるのに好適な画像形成装置の平面図。
【図31】枕部材が溝に達する前の、複数の枕部材を含む洗浄シートの側面の写真。
【図32】枕部材が溝に達したときの、図31の洗浄シートの側面の写真。
【図33】枕部材が溝内で拡張したときの、図32の洗浄シートの側面の写真。
【図34】洗浄操作中の、複数の枕部材を有するシートの底面の写真。
【図35】洗浄操作の後半での、図34のシートの底面の写真。
【図36】洗浄操作の後半での、図35のシートの底面の写真。
【図37】ウェブに加えられる圧縮力の関数としてのウェブ試料の厚さのグラフ。
【図38】ウェブに加えられる圧縮力の関数としてのウェブ試料のウェブ空間体積のグラフ。
【図39】硬い面を洗浄するための洗浄器具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ及び幅を有する基材を含む、硬い面から微粒子を除去する洗浄シートであって、前記基材が第1側面及び第2側面を含み、
前記第1側面が、複数の枕部材を含み、
前記枕部材が前記第1側面上に巨視的な三次元のパターンをつくることを特徴とする洗浄シート。
【請求項2】
前記基材が少なくとも、繊維性不織布材の第1層及び第2層を含む請求項1の洗浄シート。
【請求項3】
前記巨視的な三次元のパターンが不ぞろいでないパターンである請求項1の洗浄シート。
【請求項4】
前記枕部材が2mm〜125mmの長さLp、2mm〜125mmの幅Wp、及び0.5mm〜12mmの高さHpを有する請求項3の洗浄シート。
【請求項5】
前記第1側面が複数列の枕部材を含み、同一列の連続する2つの枕部材間の距離Dpxが、0.1〜10mmであり、また連続する2列の隣接する2つの枕部材間の距離Dpyが、0.1〜10mmである請求項4の洗浄シート。
【請求項6】
前記第1側面が前縁部、後縁部、及び中間部分を有し、
前記第1側面が前記枕部材間に流通路を含み、
それによって、前記硬い面が前記基材で拭かれ、前記第1側面が前記硬い面に接触するとき、前記微粒子が前記流通路内で前記中間部分に向かって移動する請求項4の洗浄シート。
【請求項7】
前記枕部材がV字形枕部材であり、
前記V字形枕部材が第1長手方向部分及び第2長手方向部分を有し、
前記第1部分が前記第2部分に接続し、その結果、ポケットを形成する請求項3の洗浄シート。
【請求項8】
前記第1側面が第1半分部分及び第2半分部分を有し、
前記第1半分部分にある前記V字形枕部材が前記洗浄シートの前縁部を向き、また前記第2半分部分にある前記V字形枕部材が前記洗浄シートの後縁部を向いている請求項7の洗浄シート。
【請求項9】
連続するV字形枕が互いに反対方向を向いている請求項7の洗浄シート。
【請求項10】
前記硬い面が前記洗浄シートで拭かれ、前記第1側面が前記硬い面に接触するとき、前記V字形枕部材の前記ポケットが微粒子を収集する請求項7の洗浄シート。
【請求項11】
前記基材が少なくとも40g/m2の坪量を有する請求項1の洗浄シート。
【請求項12】
前記第1側面又は第2側面の少なくとも1つが添加物を含む請求項1の洗浄シート。
【請求項13】
前記枕部材が、前記第2層の対応する部分から離れてZ次元に広がる前記第1層の部分でつくられる請求項2の洗浄シート。
【請求項14】
請求項1に記載の少なくとも1枚の洗浄シートと、
ハンドルを備える洗浄器具とを含む洗浄キット。
【請求項15】
請求項1に記載の洗浄シートを提供することと、
前記硬い面に前記洗浄シートの前記第1側面を接触させることと
を含む、硬い面から微粒子を除去する方法。
【請求項16】
長さ、幅、及び厚さを有する基材を含む、硬い面から微粒子を除去するための洗浄シートであって、
前記基材が繊維性不織布材の少なくとも1つの層を含み、
前記基材が少なくとも0.5g/cm2の圧縮力を受けるとき、前記基材が少なくとも21cm3/(基材のグラム)の空間体積を有することを特徴とする洗浄シート。
【請求項17】
前記基材が0.5g/cm2〜1g/cm2の圧縮力を受けるとき、前記基材が少なくとも17.5cm3/(基材のグラム)の空間体積を有する請求項16の洗浄シート。
【請求項18】
前記基材が0.5g/cm2〜1g/cm2の圧縮力を受けるとき、前記基材が少なくとも18.5cm3/(基材のグラム)の空間体積を有する請求項17の洗浄シート。
【請求項19】
前記基材が第1側面及び第2側面を含み、
前記第1側面が複数の枕部材を含み、
前記枕部材が前記第1側面上に巨視的な三次元のパターンをつくる請求項16の洗浄シート。
【請求項20】
請求項16に記載の洗浄シートを提供することと、
前記硬い面に前記洗浄シートの前記第1側面を接触させることと
を含む、硬い面から微粒子を除去する方法。
【請求項21】
請求項16に記載の少なくとも1枚の洗浄シートと、
ハンドルを備える洗浄器具とを含む洗浄キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2006−518223(P2006−518223A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518506(P2005−518506)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/004963
【国際公開番号】WO2004/073479
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】