説明

洗浄・脱水機のパレット保持装置

【課題】高速回転による脱水時に大きいパレットから小さいパレットまで一台で確実にパレットの保持が行なえるようにする。
【解決手段】上下動可能な昇降テーブル11の上昇時に、前記昇降テーブル11の上面に載ったパレッ3トの前後、左右の4面をそれぞれ上方から押える押えピン53を駆動モータM3によって高速の回転動力が与えられる回転体43に設ける。
前記押えピン53は、常時は付勢手段63により付勢された突出状態にあって上昇するパレット3の大きさに対応して押圧される後退したピンと、パレットの前後、左右の4面にそれぞれ近接して突出状態のまま残る突出したピンの組合せ状態となる上下に伸縮自在の構造によってパレット3の前後、左右の4面を押える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きさに制約されることなく高速回転による脱水又は洗浄・脱水を可能とした洗浄・脱水機のパレット保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフォークリフトによって荷物を運ぶパレットにあっては、使用目的に応じて大きいものから小さいものである。
【0003】
パレットはフォークリフトによって使用できるよう矩形に作られた木製の外に、例えば、食料品、飲料品、薬品等を運ぶパレットにあっては合成樹脂等の材質で作られている。
【0004】
飲料品等を運ぶパレットにあっては、衛生管理の面から定期的に洗浄され繰り返し使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄完了後のパレットは、近年、例えば、脱水機にかけて水切り、乾燥するのが主流となっているが、前記した如くパレットは使用目的に応じて大きいものから小さいものである。
【0006】
脱水時のパレットの保持は、パレットの前後、左右の4面を保持部材によって押えるようになるが、4面を押える保持部材は予めパレットの4面を押える位置に特定された設計となっているために、例えば、標準のパレットに対して小さい時、あるいは、大きい時には保持ができなくなり、一台では対応ができない問題を有していた。
【0007】
そこで本発明にあっては、大きいパレットから小さいパレットまで一台で対応できる洗浄・脱水機のパレット保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、上下動可能な昇降テーブルの上昇時に、前記昇降テーブルの上面に載ったパレットの前後、左右の4面をそれぞれ上方から押えるパレット保持装置であって、前記パレット保持装置は、駆動モータによって高速の回転動力が与えられる回転体と、前記回転体に下向きに突出して設けられ前記回転体の中心を通るX方向とY方向に沿って配列された複数の押えピンとを有し、前記押えピンは、常時は付勢手段により付勢された突出状態にあって上昇するパレットの大きさに対応して押圧される後退したピンと、パレットの前後、左右の4面にそれぞれ近接して突出状態のまま残る突出したピンの組合せ状態となる上下に伸縮自在の構造になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、押えピンは上下に伸縮自在で下向きに複数配列して設けられているため、セット時に大きさの異なるパレットに対応して押圧される後退したピンとパレットの前後、左右の4面に近接して突出状態のまま残る突出したピンの組合せによって、パレットの大きさに制約されることなく、パレットの底面を支持した状態で、上方から前後、左右の4面を確実に押えることができる。この結果、突出した状態にある押えピンは高速回転時にパレットが外方へ振り出されるのを阻止する保持手段として働くため、大きいパレットから小さいパレットまで一台の保持装置によって確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図8の図面を参照しながら本発明にかかる遠心脱水機の実施形態について具体的に説明する。
【0011】
始めに、図7は本発明にかかる遠心脱水機全体の概要説明図を示している。
【0012】
遠心脱水機1は、パレット3を搬送する搬送装置5と、搬送装置5によって送られてくるパレット3を脱水位置の中心軸線Z上で停止させる位置決めストッパ7と、位置決めストッパ7によって停止したパレット3を脱水位置となるパレット保持装置9まで上昇させる上下動可能な昇降テーブル11とを備えている。
【0013】
搬送装置5は、駆動プーリ13と従動プーリ15とに搬送ベルト17がエンドレスに掛け回された構造となっていて、図8に示す如く所定の幅を有して左右一対のフレーム19にそれぞれ支持されている。
【0014】
各駆動プーリ13は駆動モータM1によってそれぞれ回転動力が与えられることで搬送ベルト17を矢印イ方向へ駆動するもので、脱水中の搬送ベルト17は常に作動状態にある。
【0015】
搬送ベルト17は、パレット3を搬送するもので、その外側にはパレット3を搬送方向に沿って正しくガイドするガイド板21がそれぞれ設けられている。ガイド板21は搬送ベルト17と共に大きさの異なるパレット3に対応してガイド幅Lの調整が可能となっている。
【0016】
具体的には、搬送装置5の左右のフレーム19に可動台23を設け、その可動台23を幅方向(矢印ロ)への移動を可能とする一対のガイドレール25と移動用のねじ杆27とによって移動装置29を構成する。ねじ杆27の右ねじ部27a及び左ねじ部27bは前記可動台23のナット部23aと螺合し合い、例えば、ねじ杆27の正転で左右の可動台23、即ち、ガイド板21は拡がる方向への移動が可能となる。また、逆転で左右の可動台23、即ち、ガイド板21は互いに近づく方向への移動が可能となっている。ねじ杆27は正転、逆転可能な駆動モータM2によって回転動力が与えられる。
【0017】
移動装置29は、前後2箇所にそれぞれ配置され、前記駆動モータM2の回転動力はベベルギヤ等の入ったギヤボックス30から伝導軸31を介して各ねじ杆27に同時に伝達される。これにより、前後に長い搬送装置5をパレット3の大きさに対応したサイズのガイド幅Lに支障なく調整が行なえるようになっている。
【0018】
位置決めストッパ7は、搬送ベルト17と搬送ベルト17の間に位置し、図7に示す如く脱水位置の中心軸線Zに対してストッパ部7aが前進したストッパ位置aから後退したストッパ位置bまで前進、後退が可能で、かつ、ストッパ部7aが搬送装置5から上昇した作動位置cと下降した待機位置dとに上下動自在となっている。
【0019】
ストッパ部7aの作動位置cと待機位置dは、油圧等の第1の駆動装置35によって垂直ロッド37を上下動自在に制御することで行なわれる。
【0020】
この場合、ストッパ部7aが作動位置cにある時、洗浄容器3は脱水位置の中心軸線Z上で停止するため、後続のパレット3は待機ストッパSによって待機位置で待機停止状態におかれることが望ましい。
【0021】
待機ストッパSは、昇降テーブル11が上昇した脱水中とストッパ部7aが下降した待機位置dにある時、パレット停止状態にあって、昇降テーブル11が下降した脱水完了時とストッパ部7aが上昇した作動位置cにある時、下降してパレット停止状態を解除するようになっている。
【0022】
ストッパ部7aのストッパ位置aからストッパ位置bまでは、油圧等の第2の駆動装置37によって水平ロッド39を水平方向に伸長制御することで行なわれる。
【0023】
昇降テーブル11は搬送ベルト17と搬送ベルト17の間に位置し脱水位置の中心軸線Z上に配置され、昇降装置41によって搬送装置5の搬送面よりテーブル上面が下位に位置する下降位置(実線)とパレット保持装置9まで上昇する上昇位置(二点鎖線)とに上下動自在となっている。昇降テーブル11のテーブル上面は脱水作動中も含めてパレット3を支持する支持面となっている。
【0024】
パレット保持装置9は、回転数が正確に管理できる、例えば、サーボモータ等の駆動モータM3によって高速回転可能な回転体43を有する
回転体43は図2に示す如く多角形に形成されたフレーム枠45にベース板47が設けられている。
【0025】
ベース板47は、軽量化を図るために打ち抜き孔49が設けられると共にパレット3の大きさに対応してそのパレット3の前後、左右の4面を押える押えピン53がX方向とY方向に沿ってそれぞれ平行に複数配列されている。
【0026】
X方向に沿って配列された平行な複数の押えピン53はパレット3の前後(図面左右)を押える押え用となっている。数は直列に6箇ずつ設けられ、標準のパレットを始めとして直列に並んだ最も外側に位置する押えピン53は一番大きいパレットの前後を、内側に位置する押えピン53は一番小さいパレットの前後をそれぞれ押える押え用となる。
【0027】
Y方向に沿って配列された平行な複数の押えピン53は、パレット51の両側となる左右(図面上下)を押える押え用となっている。数は直列に4箇ずつ設けられ、標準のパレットを始めとして直列に並んだ最も外側に位置する押えピン53は一番大きいパレットの左右を、内側に位置する押さえピン53は一番小さいパレットの両側となる左右をそれぞれ押える押え用となる。
【0028】
なお、押えピン53の数は適宜設定される。
【0029】
一方、押えピン53は図3に示す如くピン本体55がシリンダ部57に対して伸縮自在の構造となっていて、シリンダ部57は前記ベース板47に取付板59を介して固定ボルト61によって固定支持されている。
【0030】
ピン本体55はシリンダ部57の内部に設けられた付勢手段となるコイルばね63によって常時下向きに付勢された突出(図3実線)した状態と、下から押上げ力Fが働いた時にコイルばね63に抗して後退、上昇した状態(図4実線)とに上下動自在となっている。
【0031】
この場合、ピン本体55の上下動時にシリンダ部57内の空気が摺動抵抗として働くことがないよう、シリンダ部57に、内と外に通じる貫通孔67を設けるようにすることが望ましい。
【0032】
また、ピン本体55が左右に回動することなく位置決めされた状態で直すぐ上下動するよう、図5に示す如くピン本体55に所定幅の面とり部55aを設け、その面とり部55aと対応するガイド面69を前記取付板59の取付孔71に設けるようにすることが望ましい。
【0033】
ピン本体55の下降端となる先端には、図6に示す如くピン本体55の外径より径大の4角な接触プレート73が取付けられている。
【0034】
接触プレート73はピン本体55に対して偏位して取付けられることで、パレット3とピン本体55との接触が可能となっていて、広い接触面積によってパレット3と接触する時にパレット3に設けられた、例えば、スリット溝内に嵌り込むことなくスリット溝を跨いで確実にパレット3の支持が行なえるようになっている。
【0035】
このように構成されたパレット保持装置9によれば、前後、左右に位置決めされた状態で昇降テーブル11によって上昇するパレット3は、下向きに突出する各押えピン53と接触し合う。この時、図2実線で示す大きさのパレット3、あるいは、二点鎖線で示す大きさのパレット3にあっては、それぞれ各パレット3の内側に位置する押えピン53はパレット3によって押上げられ、後退する。一方、パレット3より外側に位置する押えピン53はパレット3の前後、左右の4面に近接して突出したまま残る。
【0036】
前後、左右の4面に近接して残る押えピン53は、高速回転時に外側へ振り出されるパレット3の動きを拘束する保持手段として働くようになる。
【0037】
この結果、1つのパレット保持装置9によって大きいパレット3から小さいパレット3まで確実に保持することが可能となり、脱水処理を迅速に完了するようになる。
【0038】
なお、本実施形態では遠心脱水装置について説明したが、回転させながら洗浄し、洗浄完了後、高速回転によって水切り脱水する洗浄・脱水を兼ねる装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明にかかるパレット保持装置を示した概要説明図。
【図2】図1のA−A線切断概要説明図。
【図3】押えピンの取付け状態を示した一部分の概要切断面図。
【図4】パレットによって下方から押上げられた押えピンを示した一部分の概要切断面図。
【図5】押えピンと取付板との嵌合状態の関係を示した分解説明図。
【図6】押えピンの先端に接触プレートを取付けた概要説明図。
【図7】本発明にかかる遠心脱水機全体の概要説明図。
【図8】パレットの大きさに対応して搬送装置を移動する移動装置の概要説明図。
【符号の説明】
【0040】
3 パレット
9 パレット保持装置
11 昇降テーブル
43 回転体
53 押えピン
55 ピン本体
57 シリンダ部
63 コイルばね(付勢手段)
M3 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動可能な昇降テーブルの上昇時に、前記昇降テーブルの上面に載ったパレットの前後、左右の4面をそれぞれ上方から押えるパレット保持装置であって、
前記パレット保持装置は、駆動モータによって高速の回転動力が与えられる回転体と、
前記回転体に下向きに突出して設けられ前記回転体の中心を通るX方向とY方向に沿って配列された複数の押えピンとを有し、
前記押えピンは、常時は付勢手段により付勢された突出状態にあって上昇するパレットの大きさに対応して押圧される後退したピンと、パレットの前後、左右の4面にそれぞれ近接して突出状態のまま残る突出したピンの組合せ状態となる上下に伸縮自在の構造になっていることを特徴とする洗浄・脱水機のパレット保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−208839(P2009−208839A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56887(P2008−56887)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(396013329)株式会社クレオ (12)
【出願人】(506314427)株式会社 オーディエム (3)
【Fターム(参考)】