説明

洗浄装置、洗浄方法、およびそのモニター方法

表面を洗浄するための装置であって、この洗浄装置は、チャンバーを形成する本体と、チャンバーに液体流を入れるための入口と、チャンバーから液体流を出すための出口と、出口に連結され、表面を洗浄するための液体の出力流を発生するノズルと、本体に連結され、音響エネルギーをチャンバー内の液体に導入して、音響エネルギーがノズルから流出する液体内に存在するようにする音響変換器と、ノズルから流出する液体内に気泡を発生させるための気泡発生器と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄装置、洗浄方法および洗浄のモニター方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄は、多くの研究、商用および公共サービス処理に不可欠な部分であり、3つの明らかな例として、製造、健康管理および研究室での作業がある。洗浄は単純でないことが多い。というのは、被洗浄物は、手の届かない多くの隙間や空洞および非常に危険な潜在的汚染物質(適例としては生検用内視鏡)を有し、複雑である。また、被洗浄物は、扱いにくく(この適例としてはサラダや野菜、マイクロチップ、皮膚、法医材料などがある)、最小レベルの引っかき傷や損傷(光学レンズ、宝石類、高級時計のガラスと表面、あるいは高級車表面処理など)しか許容できない。多くの場合、洗浄にかけられる時間は制限されている。というのは、洗浄後に次の処理工程や使用のため、対象物を移動させなければならないからである(使用できる装置の数が制限されているからであり―内視鏡の場合―、あるいは処理量が低下すると利益が減少するからである−サラダの例のように)。
【0003】
洗浄は、「天然」産品でさえも、大量の水を使用する。例えば、1トンの羊毛を生産するのに、現在、約500トンの水を利用する必要がある。病院や食肉処理場から出るバイオハザード廃棄物、あるいは化学プラントや原子力プラント関連の洗浄を考慮すると、節水は非常に大きな問題となる。徹底して洗浄することは、洗浄対象物を損傷しない、水を過剰に使用しない、流れ出る化学物質で環境を汚染しない、および過剰なエネルギー、労働力と時間を使わないといった要件と相いれないことはよくあることである。
【0004】
超音波洗浄は長年にわたる周知の技術であり、超音波洗浄槽を利用し、気泡のインボリューション(involution)による慣性キャビテーションと、高速液体噴流を発生することによって表面の汚染を除去することができる。超音波洗浄槽におけるキャビテーションを活用することによって、数十年間、頑丈な洗浄対象物(すなわち、キャビテーション浸食損傷が問題でない場合)を有する用途に好適な超音波洗浄装置が提供されてきた。これは、洗浄対象物の大きさが浸漬できるほど小さい場合であり、また、例えば、事故的汚染に起因する現場洗浄を行うための携帯除染装置を必要とする緊急性がない洗浄の場合である。このような多くの洗浄例において、サンプルはさらなる処理の前に洗浄されるか、より広範な手順の一部として好適な媒体内に分散される。そのとき、洗浄や処理は超音波槽を利用することによって容易になる。これには、好適な容器を超音波槽内に浸漬することが必ず伴う。
【0005】
洗浄作用は、容器それ自体内での激しいキャビテーションの発生およびこれらの現象と当該被洗浄物の壁部との相互作用によることがよくある。洗浄作用は、液体の慣性が気泡の力に対して優性効果を有するというキャビテーション事象によるものである。これは、例えば、高速液体噴流が、気泡壁のインボリューションの結果として気泡を通り、液体または固体に当たって衝撃を発生したときである。または、例えば、気泡が、「瞬間的」あるいは「慣性的」キャビテーション事象でほぼ球状対称に崩壊して、液体内の衝撃波と、フリーラジカルのような高反応化学種を発生するときである。そして、これは、例えば、気泡の雲が同時に崩壊してこれらの効果を拡大し、雲効果なしで予想されたときよりも大きくなったときである。従って、実際のメカニズムは、「瞬間的キャビテーション」と、より正確には、激しい崩壊様相がこれらの極端な状態の局地的発生となる慣性キャビテーションと関連することがよくある。
【0006】
しかし、このような超音波洗浄装置は、一つあるいは複数の問題がある。すなわち、表面の損傷、洗浄不良、特に、例えば隙間のような三次元の表面、そして大きな対象物や面を洗浄することができないといった問題である。さらに、被洗浄物を超音波洗浄槽へ挿入すると、洗浄能力を低下するように音場が混乱する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、公知の表面洗浄処理、特に超音波洗浄のこれらの問題を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面を洗浄するための装置を提供する。本装置は、チャンバーを形成する本体と、チャンバーに液体流を入れるための入口と、チャンバーから液体流を出すための出口と、出口に連結され、表面を洗浄するための液体の出力流を発生するノズルと、本体に連結され、音響エネルギーをチャンバー内の液体に導入して、音響エネルギーがノズルから流出する液体内に存在するようにする音響変換器と、ノズルから流出する液体内に気泡を発生させるための気泡発生器とを有する。
【0009】
好ましくは、気泡発生器は、液体内に電解的に気泡を発生させる電極を有する。通常は、電極は、液体流の方向を横切るように延びる導電性導線の配列を有する。
【0010】
選択肢として、気泡発生器はノズル内に配置される。
【0011】
洗浄装置は、気泡発生器を制御して気泡のパルスを発生させる、気泡発生器用の第一の制御装置をさらに有してもよい。
【0012】
洗浄装置は、音響変換器を制御して音響エネルギーのパルスを発生させる音響変換器用の第二の制御装置をさらに有してもよい。好ましくは、第二の制御装置は、音響変換器を断続的にオンオフ切り替えして音響エネルギーパルスを発生させる。洗浄装置は、音響エネルギーパルスを振幅または周波数変調する変調器をさらに有してもよい。
【0013】
好ましくは、第一の制御装置と第二の制御装置は、気泡と音響エネルギーのパルスが相互に制御された時間的関係を有して発生するように連係される。
【0014】
この連係によって、確実に、音と気泡が被洗浄表面位置で同時に発生する。この液体もしくは流れでもよいが、これに至る音と気泡の移動時間が異なることを考慮に入れることによって、ノズルにおけるこれらの相対的なオンオフタイミングを変化させて、この音と気泡を発生させることができる。このことは、ノズルと被洗浄面との間の液体の長さに依存する。音は、1km/秒以上の速度で液体を通って移動し、一方、気泡の速度は液体の流速に関連する。音がオンになると、振幅あるいは周波数を変調することもできる。従って、これを特に好適に実施することによって、二つの作用のタイミングを連係させることができる。すなわち、気泡群を発生させ洗浄面に移動させている間、音場は完全に消す。気泡群が洗浄面に到達すると、音場を活性化する。この音場は連続させることができるし、あるいは振幅または周波数を変調することができる。
【0015】
気泡が移動中に合体するのを阻止するため気泡が流れを下る間、音場をオフにする。これは、音を制御するために最も簡単なやり方である。しかしながら、ある用途では(例えば、少量の水と正確により高レベルの界面活性剤を有する)、気泡が流れを下る間、音場を全体的にオフにする必要はないかもしれない。また、例えば、音をより高い周波数に切り替えるなど、他のやり方を利用してもよい。
【0016】
好ましくは、本体は、音響変換器が取り付けられた後壁と、略円錐形の構成要素とを有し、構成要素は、後壁から前方に延びて、出口と連通する相対的に小さな半径を有する端部を形成する。後壁と構成要素は、変換器から出口に延び、半径が減少するチャンバーを形成する。略円錐形の構成要素は幾何学的円錐形、あるいは、ホーン状またはベル状のような非幾何学的形状を有していてもよい。略円錐形の構成要素は、例えば、細胞状泡沫物質またはゴムで形成されてもよいし他の物質を利用してもよい。物質の選択は、コーン内の音響壁境界条件をノズルおよびノズルを出た液体流内の音響壁境界条件と(できるだけ実用的に)一致させるための要件によって決まる。これは、流れに沿った音響エネルギーの流れを阻害する、コーン、ノズルと液体流間のはっきりしたインピーダンスの不一致を避けるためである。
【0017】
さらに、本発明の好適な実施例において使われるチャンバーとノズルが採用する設計原理は、チャンバーとノズルの内壁における音響境界条件が、一旦液体流がノズルを出ると、液体流に発生する音響境界条件と一致すべきであるということである。ここで開示される実施例では、自由空気内に液体流を生じさせ、従って、チャンバーの内壁は圧力解放の必要があり、細胞状泡沫またはゴムのような圧力解放物質を使って圧力解放境界を得た。しかしながら、本発明の他の実施例によれば、液体(例えば、水)の洗浄噴流が空気中に導かれずに、その代わりに、他の被洗浄物品、内径の小さい内視鏡の洗浄のための、例えば、パイプに噴射される場合、その実施例では、その被洗浄物品の各音響境界条件に一致した内壁条件を有するチャンバーを使い、圧力解放特性は必要としないかもしれない。
【0018】
洗浄装置は、複数の入口通路を有する入口マニホルドをさらに有し、複数の入口通路は、それぞれ、入口端部で入口に連結され、出口端部で本体に連結され、および/または、洗浄装置は、入口に遮音装置を有する。
【0019】
洗浄装置は、表面活性剤を液体に添加するための装置を備えてもよい。
【0020】
本発明はさらに表面を洗浄するための方法を提供するものであり、この方法は、ノズルからの液体流を表面に向けて導くステップを有し、液体流は音響エネルギーと、ノズルから流出する液体内に伴われた気泡とを含んでいる。
【0021】
表面とは、例えば空洞の外面または内面である。液体流は、例えば、チューブ(例えば、内視鏡)またはドリンクディスペンサーノズルのようなパイプの内部に液体を噴射することによって、表面に対してあるいはその表面の近傍に導かれる。
【0022】
洗浄方法は、液体中に電解的に気泡を発生させるステップをさらに有する。
【0023】
好ましくは、気泡は、ノズル内で、またはノズルの自由端からある距離だけ離れたところで、発生される。例えば、気泡発生器、例えば、気泡を発生する電解質電線が、ノズルの先端から例えば1cmほどの短い距離に位置決めされると、流体流の安定性が増加する。
【0024】
好ましくは、気泡は断続的に発生される。
【0025】
洗浄方法は、音響エネルギーのパルスを発生するステップをさらに有する。
【0026】
さらに、パルス内の音響エネルギーは周波数または振幅が変調される。
【0027】
好ましくは、液体流は、実質的に同時に表面に達する気泡の波と音響エネルギーのパルスによって表面に衝撃を与える。
【0028】
好ましくは、音響エネルギーは、液体流が、音響変換器からノズルに延びる、半径が減少する略円錐形のチャンバーを通って流れるときに、音響変換器によって液体に導かれる。
【0029】
このような円錐形のチャンバーは必須ではなく、円筒形パイプのような本体によって形成された、例えば、一定断面の他のチャンバー形状を、他の用途に使ってもよい。
【0030】
好ましくは、チャンバーへ入る液体流は入口マニホルドによって複数の平行流に分割され、入口マニホルドは複数の入口流路を有し、各入口流路は入口端部で入口に連結され、出口端部でチャンバーに連結される。
【0031】
洗浄方法は、チャンバーの入口管路を音響変換器から音響的に分離するステップをさらに有する。
【0032】
本発明は、表面を洗浄する方法をさらに提供する。この方法は、気泡をその表面に供給するとともに、変調された音響エネルギーを利用して気泡(bubbles)中に表面波を発生させて気泡の非慣性的崩壊を起こすステップを有する。
【0033】
好ましくは、気泡および音響エネルギーは、表面に向かって導かれる液体流内にある。
【0034】
一般的に、表面は、少なくとも、一つの空洞、凹部または細孔を有し、気泡は、少なくとも一つの空洞、凹部または細孔に入ることができる大きさとされる。
【0035】
好ましくは、音響エネルギーは、気泡が少なくとも一つの空洞、凹部または細孔にある時、気泡の表面を励振する。
【0036】
好ましくは、気泡と音響エネルギーが、気泡と音響エネルギーのパルスが実質的に同時に表面に入射するように、パルスとして表面に導かれる。
【0037】
本発明は、本発明者らによる下記の知見に少なくとも部分的に基づくものである。すなわち、超音波洗浄を実施するとき、洗浄のために慣性的キャビテーションを発生する必要がないということである。本発明の好適な実施例によれば、音響的な刺激を受ける表面(あるいは表面の隙間内)に対して気泡作用を利用することによって表面洗浄(汚染除去)を行う洗浄装置が提供される。これは、界面における慣性的崩壊を避け、従って、公知の超音波洗浄装置および方法の寄生的浸食メカニズムを避けるものである。しかしながら、被洗浄面が十分に頑丈な場合、本発明の実施例に従って慣性キャビテーションを任意に発生することができる。
【0038】
理論に縛られるものではないが、本発明の好適な態様においては、気泡作用の運動は、慣性的崩壊に至る液体の収束慣性というよりも非慣性キャビテーションに至る気相内の圧力によって支配されるものと考えられる。洗浄は、気泡壁上に表面波(気泡形状振動とも称せられる)を形成することによってさらに改善される。従って、好ましくは、本発明の装置および方法は、洗浄対象の固体/液体界面から離れてはいるが近接している気泡を生じさせ、非慣性崩壊を、そしてもし可能ならば気泡壁上の表面波を生じさせるのに十分な適正な音波で気泡をその表面に対して供給する。
【0039】
しかしながら、上述のように、特に頑丈な表面の場合、さらに慣性的崩壊によって、その表面に過剰な損傷を与えることなく、表面の洗浄がさらに改善する。
【0040】
本発明の好適な実施例のさらなる特徴は、非慣性キャビテーションを利用して、液体流または注水管/水栓の出口を介して、そのような洗浄能力を提供することであり、これによって、浸漬の必要性を回避し、洗浄装置を運搬可能とする。これは、ホースあるいは水栓を用いて洗浄流体の流れを供給する既存の洗浄装置に好適に適用することによって達成できる。本発明の好適な実施例の装置は、公知の浸漬装置と比較して、水および/または電力をも節約できる。
【0041】
本発明の好適な実施例は、表面除染を究極の目的として、液体内の気泡を励振するという新規の用法を採用した装置および方法を提供することができる。本発明によれば、可搬あるいは固定のホースおよび水栓(例えば、法医学的、検視用、考古学的検査用)を使って、実質的にどのような面も洗浄できる。すなわち、外面あるいは内面や、硬い面あるいは柔らかい面、無機物(例えば、内視鏡)や有機体すなわち生体、食料品(例えば、レタスのひだ)、人間の膚(例えば、外科医の指の爪の下)も含まれる。除染の対象とする面には、建物、施設、インフラ(例えば、食肉処理場、病棟、手術室)、および、これら(個人物、キーボード、電話機など)の中に入れられた、あるいは外で使われた関連物が含まれる。特に、これらの装置および方法は、細孔、空洞、凹部、隙間、パイプ、チューブあるいはチャンバーの界面あるいはその中の面で目標とする気泡の励振を利用している。これらの気泡は、表面、表面内の細孔、空洞、凹部あるいは隙間の洗浄、あるいはパイプ、チューブあるいはチャンバーにおける洗浄を含み有益に動作するものとして示されてきた。従って、これは、様々なタイプの面を洗浄する新規で有力な方法を示している。
【0042】
特に、本発明は、本発明者らによる次のような知見に少なくとも基づくものである。すなわち、表面洗浄は、適切な音響励振によって駆動される(表面波を含む)気泡振動の発生により達成される。また、隙間の洗浄は、流れの過程、水力学的効果あるいは音響放射力を介した捕捉を含みつつ、しかしこれに限定されることなく、細孔および他の表面の特徴部への気泡の捕捉を介して達成できる。これらの気泡は振動して隙間から物体を除去する。これらの事象の音響励振は液体の流れに沿って得られる。気泡群効果を利用し、液体を介して音を被洗浄面に伝送する。流通装置、形状、物体および気泡群の音響的特徴によって被洗浄面への効率的音響移送を可能とする。比較的低い流速を利用して、洗浄液の消耗を最小限にすることができる。
【0043】
更に、気泡を発生するための好適なメカニズムとして、電気化学的気泡播種技術が開発され、活用されてきた。パルス化音響励振と並行したパルス化気泡の発生(気泡群を形成する)によって被洗浄面に「活発な」気泡を発生することができる。随意的にオンオフ切替される音響エネルギーと共に、振幅あるいは周波数が変調された音場を利用し、洗浄装置によって好適な気泡群の存在する界面に供給される音圧を最大にすることができる。パルス化された気泡の発生と、パルス化された音響励振を独立して制御することによって、ノズルにおける気泡の発生が音響励振のパルスの発生から独立したものとなる。このような独立した制御によって気泡のパルスと音響エネルギーのパルスを別々に変更することができる。その結果、被洗浄面において、気泡と音響エネルギーのパルスを表面上あるいはその近傍で実質的に同時に、入射させることができ、表面あるいはその近傍で気泡の非慣性キャビテーションを起こす音響エネルギーによって基板の効率的洗浄を可能とすることができる。
【0044】
そのような音響エネルギーのパルス化は、パルス間で音場をオフにするために必ずしも必要ではなく、その代わりに、振幅または周波数の変調によって音響エネルギーを変調して、低エネルギー背景によって分離された高エネルギー音響パルスを得ることができる。
【0045】
実施例によっては、気泡群が流れを移動するときに、音をオフにし(音響的に誘発された気泡の合体を防ぐため)、次いで、気泡群が被洗浄面に到達したときに、音をオンにして、変調された音響エネルギーを供給する。これらの気泡が洗浄を行い、流れの中に分散し始めると、音をオフにし、他の気泡群がノズルで発生し、工程が繰り返される。
【0046】
音が異なる速度で気泡へと液体流を移動することを考慮することによって、独立制御は達成することができる。気泡と音を発生するのに利用する電流源のタイミングは、気泡群と超音波の両方を表面に確実に同時に到達できるようにすることなどである。これを基準とすると、気泡と音のチューブを通過する異なる時間が、音と気泡を発生する電流を励起するタイミングを決定し、もしもタイミングがそのように決定されるとそれらの励起は交互になる。基本的な技術概念は、液体流への異なる通過時間を利用して、気泡と音響エネルギーを被洗浄面において確実に同時に発生させることである。
【0047】
また、新規の電気化学的な技術を用いて、表面上における流体流と気泡の作用によるその位置での洗浄の程度をモニターする。本発明は、また、洗浄面が配置される場所の近くの、あるいは、その表面に埋め込んだ、センサを使用して洗浄の有効性をモニターする装置も含む。
【0048】
従って、洗浄装置は、表面の洗浄をモニターするための装置をさらに有し、該モニター装置は、電気化学セルを形成する第一の電極と第二の電極を有し、それぞれ表面の一部に配置され、抵抗測定装置によって相互に連結されている。
【0049】
本発明は、さらに表面の洗浄をモニターするための方法を提供する。この装置は、電気化学セルを形成する第一の電極と第二の電極を、洗浄面の各部にそれぞれ配置し、その間の抵抗を測定する。
【0050】
一般に、第一の電極は、洗浄される空洞、凹部または細孔に配置され、第二の電極は、前記表面の外側部分に配置される。
【0051】
好ましくは、この方法は、抵抗の減少を測定して、空洞、凹部または細孔の洗浄を示すことを含む。
【0052】
本発明の好適な実施例の洗浄装置の場合、ノズルの材質と形状、および駆動音響周波数は、少なくとも一つのモードが液体流内においてエバネッセント(evanescent)でないように、選択する。ノズルは、円錐体の音場と液体流の音場の間における著しいインピーダンス不整合を防止するように設計する。用途によっては(例えば、液体流がノズルを出たときに気体によって囲まれる場合)、特定の(しかし、限定されない)これの好適な明らかな象徴が、ノズルおよび/または円錐体の構造において的確に(あるいはほぼ)圧力解放を行う物質の利用である。流速とノズルの設計は、液体流がノズルから目標に至る音の伝達を阻害する限りにおいて、液体流が洗浄目標面に到達する前に、液体流が全体性を喪失(例えば、液滴に分割する、好ましくない気泡を引きずる、など)しないように、選択される。円錐体の形状は、円錐体から液体流に至り、次いでノズルを通る音の伝達を補助するように設計する。振幅または周波数が変調された音場は、装置を通って目標物に流れる液体内の圧力伝達を劇的に改善する。
【0053】
ここで、本発明の実施例を、添付図を参照し例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一実施例による洗浄装置の概略側面図である。
【図2】本発明の第二実施例による洗浄装置の概略側面図である。
【図3】本発明の第三実施例による洗浄装置の概略斜視図である。
【図4】本発明の洗浄装置のいずれの実施例においても使用されるコーンの代替形状を示す概略図である。
【図5】本発明の洗浄装置のいずれの実施例においても発生しうる音響エネルギーパルスと気泡パルスの発生を示す洗浄サイクルにおける一連のステップを示す側面図としての配置図である。
【図6】本発明の洗浄装置の任意の実施例におけるノズルでの時間に関連したパルスを提供するための、(a)音響エネルギー(音)の発生と(b)気泡の発生の位相関係を示し、かつ、音響エネルギーの変調を追加的に示す図である。
【図7】図6に示すデューティサイクルを使用した、変調圧力シーケンスおよび非変調圧力シーケンスに対する目標表面に記録された音響圧力信号を示す図である。
【図8】本発明の任意の実施例の洗浄装置における、連続モードまたは変調モードで、音響エネルギーによって発生する、水中聴音器で測定した、圧力と時間の関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例による表面の洗浄をモニターする方法で使用する、清浄なあるいは非清浄な表面で測定した、抵抗と時間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1を参照すると、本発明の第一実施例による洗浄装置が示されている。
【0056】
全体を2として示す洗浄装置は、中央チャンバー6を形成する中空体4を有している。中空体4は後壁8と略円錐部材10を有しており、略円錐部材10は、前方に位置する開口部12で終端している。一般的に、略円錐部材10と後壁8の両方とも回転対称である、つまり、円形である。しかしながら、他の幾何学的形態であってもよい。本明細書において、用語「略円錐形の」は、幾何学的な円錐形の構造のみならず次のような構造も含むように広く解釈すべきである。例えば、図1に示すような内側からみて凹状内壁を有する、あるいは図2に示すような一定の半角を有するベル状である。あるいは、図4に示すような(内側から見て凸状内壁を有する)角状である。従って、略円錐部材10は、ベル状構造あるいは角状構造のような円錐体を形成している。簡潔にするため、以下「ホーン(horn)」と称する。
【0057】
ノズル14は開口部12から前方に延び、液体出口16を形成している。液体入口18は後壁8にあるいは後壁8に隣接して配置されている。典型的にはフレキシブルホースの形態の液体供給管20が液体入口18と連通している。音響変換器22が後壁8に取り付けられている。制御器23が音響変換器22の作動を制御する。一般に、変換器22は後壁8の外面に取り付けられ、後壁8の表面積のかなりの割合を超えて延在している。別法として、変換器22は後壁8上の、あるいは後壁8を貫通して、中央チャンバー内に内蔵してもよい。実際に、チャンバー壁内の圧力解放条件を得るには(例えば、流れを、内視鏡の内孔のような、空洞内に噴出しなければならない)、洗浄装置は、後壁変換器を使うか、あるいはホーンの内面に変換器を設ける。特定の用途のため、流れがノズルを出た時点の(例えば、流れを内視鏡の内部の洗浄に使用中の場合)圧力解放境界条件に合わす必要がない場合には、変換器は、ホーンあるいはノズルの壁上のような、どこにでも取り付けることができることに注目すべきである。
【0058】
使用時には、液体が連続して流れて液体供給管20を通って中央チャンバー6に入り、次いでそこを出てノズル14の出口16を通り液体の流れ24を形成する。液体の流れ24は洗浄対象の基板28の表面26に対して導かれる。特に、表面26には、図1に誇張して示された隙間30のような三次元の表面特徴がある。
【0059】
気泡生成器32が、出口16の、流体の流れ方向における、上流のノズル14内に設けられている。気泡生成器32は、基板表面26に衝撃を与える液体流が変換器22からの音響エネルギーのみならず気泡を有するように、液体流内に気泡を発生させる。
【0060】
液体流内に気泡を生じさせるためには幾つかの選択肢がある。この選択肢にはガス圧入、および液体内の水の電気化学的分解による原位置電気化学的気泡生成がある。原位置電気化学的気泡生成の場合、構造体内に電極を内蔵させることによって気泡の生成を制御する。また、構造体内に電極を内蔵させることは、50〜100μm径の白金ワイヤを噴出口(出口の1センチメートル手前)のノズルを通して装着することによって好ましく達成される。
【0061】
図2を参照すると、本変形実施例において、後壁40は、例えば、プラスチックや、アルミニウムやステンレススチールのような金属のプレートからなる。このプレートは液体入口42と音響変換器44を備えている。音響変換器44は、それ自身がプレート40の裏面に接着された、あるいは保持された切頂円錐体46を備えてもよい。ホーンを有する略円錐部材48は、プレート40の前方に延び、気泡生成器52が配置された一体ノズル50を形成している。
【0062】
図1の実施例において、中空体4は、一体にかつ単一物体で構成してもよく、後壁8はホーン10と一体である。本実施例において、ホーンは、流体が反対に導かれるときに圧力解放境界面として機能できる物質から構成され、その結果、ホーンの物質の音響エネルギーが、ホーンの内面の流動液体に効果的、効率的に伝わる。本実施例における洗浄装置の目的は、音響エネルギーを流動流体の流れに導入し、次いで、ホーンの円錐形を利用して、その流れを出口を通して処理面に導き、音響エネルギーと流体流動の両方を集中させることであり、同時に、円錐面に対する音響損失および摩擦損失を最小化することである。
【0063】
上述の実施例は、液体がノズルを出た後で空気に囲まれたときに、音響エネルギーを液体流に導入するという特定の用途を対象としている。これは、例えば、外科医の指の爪の下の洗浄、あるいはレタスの洗浄に適用できる。しかしながら、液体流が、被洗浄物に導かれる他の用途(内視鏡の洗浄のような)の場合には、ノズルを出た液体流は圧力解放境界条件を有していないかもしれない。また、その実施例の場合には、異なる物質、すなわち非圧力解放の物質からなるホーンを採用することができる。
【0064】
ノズルと出口は、流体流に沿った音響伝導が可能な形状と寸法を有するように形成される。一様流の流れを形成することは有益である。ホーン、出口と入口の形状と寸法を好適に組み合わせて、変換器からの音響エネルギーを含む液体の所望の滑らかな流れを得ることは、当業者の能力の範囲内に十分に含まれる。
【0065】
上記のように、新規の電気化学技術を利用して、表面上での流体流と気泡の作用による原位置(in-situ)洗浄の程度をモニターすることができる。
【0066】
本実施例において、洗浄装置は、表面の洗浄をモニターするための装置をさらに備えている。このモニター装置は、電気化学セルを形成する第1電極200と第2電極202を有しており、第1電極200と第2電極202は、それぞれ表面の一部に配置され、抵抗測定装置204によって相互に接続されている。表面洗浄のモニター方法において、第1電極200は表面の外部に配置され、第2電極202は被洗浄空洞あるいは凹部に配置される。抵抗測定装置204を用いて第1電極と第2電極間の抵抗を測定し、空洞あるいは凹部の洗浄を示す抵抗の減少を測定する。図9に示すように、初期抵抗値Aは、モニター表面部が洗浄されると、著しく減少して値Bに応じて、変化する。
【0067】
本発明の本態様において、平らな、凹んだ、あるいは管状の電極を用いた、超音波ホーンの先端の真下での電気化学洗浄測定では2つ以上の電極からなる電気化学セルを利用した。洗浄液体は電解液の役割を果たした。汚染した作動電極の抵抗はつぎのようにモニターした。すなわち、空洞あるいは凹部が汚れていたとき、作動電極は、液体電解質との電気的接触がない、あるいは少ないかもしれない。従って、相対的に高い抵抗が2つの電極間に存在するかもしれない。それに対して、空洞あるいは凹部が洗浄され、従って、作動電極が溶剤と接触すると低抵抗が測定された。これは、洗浄時間の定量的測定に対して非常に効果的な方法を提供する。本方法は、装置の非補償抵抗の測定によるものである。
【0068】
従って、もしも装置の非補償抵抗を時間関数としてモニターできれば、この方法を利用して空洞、凹部あるいは細孔の洗浄を検知することができる。この方法は、空洞、凹部あるいは細孔に関する定量化が可能なデータを提供できる。電極の静電容量の影響をなくすため、低振幅高周波(100kHz、200mVゼロ頂点間振幅)の交流電圧信号を作用電極(例えば、0.5mm径の白金凹部電極)と基準電極(通常、大きな金属物、例えば、銅板)との間に印加した。次に、流した電流を用いて装置の抵抗を時間関数として直接測定するができる。本装置の使用に唯一必要となる化学物質は、塩化カリウム(KCl)または食塩(NaCl)のような溶剤を伝導性とする支持電解質である。塩化カリウム(KCl)と食塩(NaCl)は両方とも比較的安価で処分しやすい。本方法は、目標の超音波洗浄の効率性を研究するために考えられた種々の機能を利用して表面の洗浄をモニターする。
【0069】
本発明の洗浄方法を実施するには特定用途のモニター用部品を必要とせず、洗浄だけを必要とする場合には、KClまたはNaClまたは同等品などの電解質は洗浄液中には必要でない。
【0070】
図3を参照すると、他の実施例において、ホース形状の入口管60がマニホルド62に連結されている。マニホルド62は、入口液体流を分割して、第二入口管64内の複数の異なる入口流管路に送る。第二入口管64は、入口管60を、ホーン70に連結された後壁68の各入口66に連結している。後壁68とホーン70の集合体とマニホルド62は、共通ハウジング72内で連結されていてもよい。ホーン70は出口74に連結されている。
【0071】
図4を参照すると、ホーン80の他の形状が開示されている。ホーン80は、円筒状下流部82と、双曲面(あるいは、放物状、カテノイドなどのような別の角形状)外広がり上流部84を有している。
【0072】
ホーンが、音響エネルギーと摩擦損失の両方を最小化する定流体流出口を供給するように形成されていれば、ホーンの種々の異なる形状的構成を採用してもよいことは、図1〜図4のすべてから理解されるであろう。これにより、被洗浄面に衝撃を与える流体流に最適な音響特性および流体特性が提供される。さらに、そのようなホーン状構造はある用途では必須ではない。また、チャンバーは、他の形状でもよく、また、音響エネルギーを流体流に導入でき、ノズルから出て行くようにすることのできる、本体のどのような物質で形成してもよい。
【0073】
液体流がノズルを出て気体を通って流れる、従って、ホーンの内壁が圧力解放となる必要がある場合、ホーン用に特に好適な物質は、ホーンの音場と音場を流れる液体流の音場との間のインピーダンス不整合を回避できる細胞状泡沫物質あるいはゴムである。流速とノズルの構造は、液体流が被洗浄面に到達する前に一体性を喪失することがないように選択される。ホーンの形状は、ホーンから、ノズルを介して流れる液体流への音の伝達を助けるように構成されている。例えば、ホーンが細胞状泡沫物質の場合、ホーンは、固体発泡ブロック内に円錐空洞を形作ることによって形成する(しかし、ブロックを切断するような他の製造工程を利用することができる)。
【0074】
最も典型的には、ホーンとノズルは回転対称である。
【0075】
いずれの実施例においても、音響エネルギーが液体供給管20に沿って逆に伝達されるのを防止する遮音装置を入口に設けてもよい。図1に25で概略示される遮音装置は、選択周波数レンジを随意に有する音響フィルター、および/または液体供給管20内で狭くなるベンチュリ管、および/または膨張室を有する。および/または、駆動周波数が、(圧力解放物質から形成された十分に小さな径のマニホルド入口で生ずるような)、入口に対する全モードのカットオフ周波数未満となるように、管径を制御する。
【0076】
これらの実施例において、装置の寸法を変更して液体流の容量を変えることができる。容量を小さくしたり大きくしたりすることは、少なくとも一つのモードが液体流で消えることがないという条件において、流速、ノズルの寸法および駆動音響周波数を調整することによって達成され、それによって、好適な音場と活発な気泡が発生する、表面に衝撃を与える洗浄溶液流を供給することができる。このモードは、壁の音響境界条件が認められる場合、平面波モードである。必要な体積流量を得、かつ流れがノズルの自由端を超える十分な距離を投じることができるように、小さな出口孔が必要である。平面波モードを除いて(音響境界条件によって伝播が許容される場合、液体流が空気を通って流れれば、その場合ではない)、各モードに対して、液体噴流の下方へ音響伝送が、特性「カットオフ」周波数(Fco)以下に制限されることは望ましくない。固体壁が流れを囲むようにして、その流れが固体チューブ内へ通過する場合、最低周波数モードは平面波であり、そのモードに対するカットオフ周波数はないであろう。しかしながら、高次モードはカットオフ周波数を有しているであろう。液体流が、ノズルを出るときに、気層を通って流れるような特定の場合には、流れの湾曲壁における境界条件は圧力解放であり、そのような条件の場合、最低モードに対するカットオフ周波数(Fco)は、次の式によって計算される。
Fco = 2.4048c/2πa ...(式1)
ここで、cは流体内における音速を示し、aは液体流半径を示している。例えば、約10mmの内径の流出口の場合で、かつ1500m/secの液体中の音速を仮定すると、最低モードに対する液体流のカットオフ周波数は約114kHzである(高次モードは高カットオフ周波数を有している)。しかしながら、後で検討するように、流体特性と気泡の閉じ込めは、カットオフ周波数に影響を与える。例えば、気泡は液体中の音速を下げ、従って、モードのカットオフ周波数を低くする。
【0077】
気泡生成器32は、音響的に励起されて、被洗浄面に衝撃を与える気泡を生成する。気泡は音響エネルギーによって振動し、被洗浄面上の隙間および細孔に入り込むことができるため、その結果、気泡は基板面を効果的に洗浄する。
【0078】
気泡生成器32は、例えば針を介して、気泡を、流体流に直接噴射するように作用する。なお、針を振動させる選択肢もある。気泡の生成に関する他の選択肢としては、キャビテーション(水力学的あるいは音響的)あるいは自由面気泡閉じ込めの利用、化学気体の生成、液体流における水の電解分解による気泡の電気化学的現場生成のより好適な手段などがある。電解気泡生成に適した気泡生成器32は電極を有し、この電極は、電導ワイヤのアレイ、例えば、出口を横切るように延びる、50μm径の白金ワイヤを有する。電極は電気エネルギー源(図示せず)に接続されている。電力が供給されると、電気エネルギーが流体流の水を電解的に分解し、酸素ガスと水素ガスの両方の気泡の流れを発生する。酸素ガスと水素ガスは流体流に取り込まれ、目標の被洗浄面に向かって導かれる。
【0079】
図5は、各気泡群に対する洗浄サイクルの一連のステップを示す図である。
【0080】
図5(a)に示されているように、気泡生成器は、制御器98によって制御され、気泡が断続的に形成されて断続的気泡群100(あるいは波)を形成し、気泡群が被洗浄面102に対して連続的に衝撃を与える。気泡が被洗浄面102に激突したとき、気泡は音響エネルギーによって駆動されて振動し、隙間を貫通して、隙間を音響エネルギーによって洗浄する。
【0081】
また、図5に示されるように、変換器からの振幅あるいは周波数が変調された音響エネルギーが断続的にパルス化される。これによって、音響エネルギーのパルスが発生し、これが、協調するようにして、上述の断続気泡群100と相互に作用する。
【0082】
図5(b)は、音響変換器のスイッチが切られたときに、気泡群100が被洗浄面102に向かって導かれる液体流とともに下流に移動した状態を示している。気泡群100は、図5(c)に示されるように、被洗浄面102に到達する。図5(d)は、次のことを示している。すなわち、気泡群100が被洗浄面102に到達すると、音響変換器にスイッチが入り、音場パルスを発生し、任意的に振幅あるいは周波数が変調された音場パルスを発生する。これが液体を通って音速で被洗浄面102に向かって伝送される。パルスの音響エネルギーは洗浄面102で気泡群の気泡を活性化し、洗浄面102の気泡の非慣性崩壊によって、改善された洗浄を行う。また、他の選択肢として、気泡に表面波を発生させ、および/または、他の選択肢として、高エネルギー洗浄事象(例えば、気泡の内部崩壊やジェッティングなど)を発生させることによって改善された洗浄を行う。これによって、単一の気泡群に対する洗浄サイクルを完了する。次いで、それに続く気泡群に対する次の洗浄サイクルを、図5(a)に示されるように次の気泡群を発生させることによって開始する。
【0083】
図6に示されるように、ノズルでは、音パルスの発生と気泡パルスの発生との間には特定の位相関係がある。この位相関係は、音響エネルギーと気泡が液体を通ってノズルから離れるように伝送されるとともに、変化する。これは、音響エネルギーと気泡が被洗浄面に向かう液体を通って異なる速度で伝送されるからである。目的は位相関係を提供することであり、この位相関係は、一般的に、気泡発生および音響エネルギーパルスの発生間の遅延時間tを含んでいる。その結果、音響エネルギーと気泡が同相でかつ同時に被洗浄面に到達する。図示の例では、流速と目標までの距離とともに変化する遅延時間tが生じている。
【0084】
本実施例において、気泡が発生してからと気泡が被洗浄面へ移動するまでの間、音は止められている。気泡は断続的に励振され電気化学的気泡発生の断続的オンオフ特性と同調している。図6の実施例において、気泡は、100ミリ秒の周期で、一般的に10秒間の発生期間に、発生する。各気泡発生が終了した後、一般的に30ミリ秒の遅延があり、その後で、60ミリ秒の期間、音が出される(あるいは、他の実施例では、変調されて高エネルギーパルスを発生する)。次いで、それに続く洗浄サイクルにおいて、音が止められ、同時に気泡が発生される。
【0085】
これらの値は一つの特定の装置に適用するものであって、装置のサイズが大きいあるいは小さいときには、値は大きくなりあるいな小さくなる。この遅延時間は、流速および距離に依存している。この遅延時間は可変とすることができ、例えば、長尺のパイプ(内視鏡)が洗浄対象であれば、遅延時間を変更して、液体流の方向に沿った異なる位置で洗浄を行うことができる。
【0086】
各音響エネルギーパルス内において、音響エネルギーは、図6に示すように、振幅変調あるいは周波数変調される(振幅変調は、変換器の駆動電圧の変更が適例である)。振動数に依存する変調周期は一般的に1ミリ秒である。
【0087】
図7に示すように、気泡群がパルス化されて発生すると、気泡群が被洗浄面にそれぞれ衝突したとき、変調圧力が気泡群毎に、被洗浄面に印加される。このような変調圧力は一般的に100ミリ秒毎に発生する。前述のように、各気泡群は音響エネルギーによって振動し、洗浄効果を発揮する。
【0088】
図8は、連続モードまたは変調モードにおける、定駆動音場用のハイドロフォンでの圧力を示す図である。図8に示すように、一定の音響エネルギーが被洗浄面に衝突したとき、被洗浄面に発生する圧力は比較的低く、一定である。対して、音響エネルギーの変調波が被洗浄面に衝突したとき、波毎に被洗浄面で解放される最大エネルギーは、非常に大きい。
【0089】
従って、パルス化した気泡の発生と、パルス化した音響エネルギーの発生を協調させて利用することによって、音響エネルギーが被洗浄面上にあるときに、気泡も被洗浄面上に存在するように気泡が被洗浄面上で励振される。更に、気泡と音響エネルギーの両方によって得られる洗浄衝撃が音響エネルギーを、パルスより高い周波数で振幅変調あるいは周波数変調することによって大きくし、洗浄効果を大きく改善する。一組の音響エネルギーパルス間に形成された気泡群の存在によってそれらの音響エネルギーパルスが分離される。各気泡群は単独で被洗浄面に衝突し、かつ、連続する音響エネルギーパルスの音響エネルギーによって単独で励振する。
【0090】
本発明の装置および方法のさらなる一態様によれば、界面活性剤を液体に添加することによって、合体することなく得られる気泡の大きさに影響を与えることのできることがわかった。もし、界面活性剤なしで、そのような合体によって適切な洗浄には大きすぎる気泡が発生する場合には、必要であれば、気泡が流れに沿って流れていくときに、十分な界面活性剤を添加して、気泡の合体を防止することができる。しかし、界面活性剤がそれほど多くない場合には、目的部位に到達したとき、その気泡は洗浄にとって小さすぎる。
【0091】
次の表1は、気泡のサイズ(高速カメラの実験から推定した)が界面活性剤の添加によってどのような影響を受けるか、また、気泡の表面上における不規則な運動として定義される活動性が気泡の径によってどのように変化するかを示している。この活動性は音響エネルギーによる気泡の振動を示す。
【0092】
【表1】

【0093】
界面活性剤の全量の範囲を150〜750μlとして界面活性剤の濃度を0.003〜0.015容量パーセントとし、これによって気泡の径が約40〜45μmとなった。これが、最高洗浄活動性が観察される条件であった。所望の気泡活動性を実現する特定の全界面活性剤および界面活性剤濃度値は、使用される界面活性剤の種類による。
【0094】
しかしながら、本発明者らは、どのような理論にも縛られることなく、多数の現象が効果的超音波洗浄の実現に関連することを見出した。
【0095】
まず、被洗浄面の細孔、空洞あるいは隙間内の気泡を観察したとき、気泡が超音波音場で振動していることに注目した。この気泡の振動は、より複雑な被洗浄面の汚染除去に重要な役割を果たすと考えられる。そのようなパルス振動が洗浄効果を有しているとしても、本発明で、追加的でかつ重要なことには、気泡壁の表面波を利用して洗浄効果を得ることに基づいているということである。
【0096】
第二に、音場が細孔、空洞あるいは隙間などで気泡を閉じ込める重要な役割を果たすことが見出した。というのは、大きな流れが気泡を液体の一つの領域から固体面に向けて移送することができるとしても、音響励起が、放射圧によって気泡を隙間に引きつけ、それをそこに閉じ込めるという付加的利益を生み、さらに、脱泡および調整拡散を介して、細孔内で適当な気泡の正味サイズの増大を引き起こすという付加的利益を生み出している。このように、音場を利用することで、流動液体だけの利用に勝る大きな利点を提供するものである。
【0097】
もちろん、超音波洗浄は「超音波洗浄槽」に長年利用されてきた。これによって、慣性キャビテーションと、気泡インボリューションによる高速液体噴流の発生により表面の汚染を除去する。
【0098】
しかし、本発明の好適な態様によれば、また、発明者が実験的研究によって見出したように、洗浄は、そのような気泡現象の結果として発生したものではなく、標準室内条件においては、慣性キャビテーションを生じさせるために、1バールオーダーのゼロ−ピーク音響圧を必要とする。しかしながら、その代わりに、低振幅音場を利用して非慣性気泡脈動を発生させ、選択肢として気泡の壁上に表面波を発生させる。これは、これらの表面波と、本発明の好適な態様において用いられた細孔の洗浄に利用された液体運動である。しかしながら、本発明によれば、さらに、非慣性キャビテーションを利用した洗浄に加えて、非慣性キャビテーションだけでなく慣性キャビテーションもさらに実現して、慣性キャビテーションおよびジェッティングを含む洗浄槽の力をホースの水流の端に送って、遠くから洗浄する(例えば、洗浄槽に沈めることのできない航空機の隅や隙間を動力洗浄する、あるいは病棟を除染する)ことができる。これは、非常に有力な洗浄方法である。
【0099】
さらに下記にて検討するように、本発明は、そのような慣性崩壊をとりわけ頑丈な表面に加えるように、さらに修正することができる。
【0100】
本発明の好適な態様によれば、気泡は、被洗浄面から離れた場所で独立して発生し、液体流内を被洗浄面に向けて移動し、被洗浄面で音響エネルギーによって励振されて、被洗浄面上で強化された洗浄効能を発揮する。特に、被洗浄面が、気孔、凹部、空洞あるいは隙間、およびパイプやチューブの内部を含む三次元的特性を有する時に、強化された洗浄効能を発揮する。
【0101】
本発明は、さらに慣性崩壊が特に頑丈な面上で起こるように、修正することができるが、本発明の好適な態様によれば、界面上で慣性崩壊の発生を必要とすることなく、十分な音響圧振幅が当該表面上において発生する。このため、表面波と好適な気泡振動をおこして、損傷や浸食をひき起こすことなく界面や関連する構造体を洗浄する。損傷や浸食は、慣性キャビテーションや、気泡を通る高速噴流の発生が固体表面、あるいはその非常に近くで励起する時に発生する可能性がある。どのような気泡の隙間への閉じ込めも洗浄の助けとなる。すなわち、実施例で利用される音場はバルク液体から対象面への気泡の移送を助け、音響放射力により好適な気泡を隙間へと引き込む。これらの気泡が細孔内に閉じ込められると、当該空洞を効率的に空に、または洗浄する。十分な気泡群を物体の表面に供給して、すなわち移送して洗浄する。これによって、当該装置の対象音場によって刺激を受ける固定/液体界面での気泡励振が可能となる。
【0102】
流動系の音響伝送を考慮すると、ノズル(およびホーン)での境界条件を、ノズルを出たときの流れの境界条件と一致させるのが望ましい。液体流は、ノズルを出るときに、気層を通過する特定の例において、流動系の壁上で圧力解放条件を達成し、かつ、少なくとも一つのモードのカットオフ周波数以上で作用するのが望ましい。(なお、そのモードは平面波モードであってはならない。というのは、このモードは、圧力解放壁に対してすべての周波数で一過性だからである。)また、そのカットオフ周波数は、開口部によって決定されるが、すべてが同じ開口部を有しているとしても、モード毎に異なる。しかしながら、平面波モードは(気体を通って流れる液体流内を伝播できないが、閉鎖チューブを伝播することができる)、剛壁チューブ内において全周波数で存在することができる。好適な液体流に沿った音響伝送が幾つかの方法で容易になることが見出された。
【0103】
第一に、適用する音場の周波数を、液体流に沿った音響伝播の少なくとも一つの伝播モード(好ましくは複数)のカットオフ周波数より大きくなるように選択する。第二に、装置の気泡誘発摂動によって液体流を通る音響伝送を可能とする。第三に、振幅変調あるいは周波数変調の音を利用して、洗浄対象物の表面における音圧を大きくし、それによって気泡振動を実現することができる。
【0104】
好ましくは、流速とノズルの設計は、液体流がノズルから対象物までの音の伝達を妨げる限りにおいて、液体流が目標に到達する前に完全性を失はない(例えば、小滴に分割する、気泡を取り込む、など)ように、選択する。ノズルを対称形状とし、かつ低流速であることは、この目的を達成するのに好ましい一つの方法である。好ましい実施例において、ノズル上流のチャンバーが略円錐形状ではあるが、他の実施例において、音響エネルギーが特定の洗浄用途に対する所望の境界条件で液体流に加えられるのであれば、チャンバーは、異なる形状でもよい。
【0105】
好ましくは、洗浄装置は、好適な大きさの気泡の群れを電気化学的に発生し、ついで、この気泡群を、流体流を通って、音響的に駆動された気泡の合体がない状態で、被洗浄面に移送する。ついで、音響エネルギーによって、目標基板で気泡群の気泡の運動/表面波を音響的に励振する。
【0106】
流れの中に気泡を播種することは、次のことによって洗浄の助けとなる。すなわち、システム(system)に摂動を与えて液体流への音響伝送を容易にする。音速に摂動を与えて液体流への音響伝送を容易にする。音響インピーダンスに摂動を与えて液体流への音響伝送を容易にする。流体負荷に摂動を与えて液体流への音響伝送を容易にする。気泡が洗浄を行う対象に移送される気泡を供給する。気泡を合体させることなく、安定した気泡径の達成に影響を及ぼす界面活性剤を液体に添加する。
【0107】
本発明の好適な実施例によれば、物品または物体をより良く洗浄することができる。これらの物品または物体とは、例えば、手術用機器および人工器官、道具、工業生産物(例えば、マイクロチップ)、食材、パッキン、鋳物、医薬用材料と包装材、実験装置、および法医学用装置などである。インフラストラクチャおよび施設(例えば、病室およびそれらのキーボードと電話器、食肉処理場、核施設および化学工場)、および人間(例えば、外科医の指の爪の下、生物学的、化学的あるいは原子力災害などで汚染した人間あるいは車両の洗浄)も好適な用途である。
【0108】
本発明の好適な実施例における「液体流」(例えば、ホースや水栓に適した)の具現化によって特に利益を享受する物品には、例えば、車両、家庭用製品(家の中のおよびショールームまたは工場内の)、人の手、光学レンズ、特殊で精巧なコーティングをした表面、例えば、焦げ付き防止のフライパンのテフロン(商標)コーティング、レンズの光学コーティング、および、差し歯、人工装具、器官のような、外科的移植前の、物品を傷めることのない洗浄用(例えば、生物膜除去を介して)などが含まれる。
【0109】
このような洗浄は、研磨粒子なしで単に気泡を含む液体流で実現することができる。研磨と損傷によって構成要素の品質が低下し、また、その後の汚染(例えば、生体膜の成長)の可能性が増すと、その後の洗浄を困難にする。
【0110】
本発明の好適な実施例における洗浄装置の可搬性と保存特性によって、建物(あるいは、対象物を液体に漬けることのできない、あるいは専門家の洗浄施設に移送しないのが好ましい、他の設備)の除染および洗浄を、定期的な洗浄ルーチンの一部(例えば、食肉処理場、病院、工場などのための、)として、あるいは、大きな施設(例えば、化学施設および原子力施設の廃棄で、あるいはテロリストまたは軍事行動のために汚染された地域)の除染用道具として、特に使いやすくすることができる。
【0111】
本発明の好適な実施例において利用されるような液体流テクノロジーは、洗浄室、廊下、および固定設備にとって特に魅力がある。生物(人間、動物)も本発明を利用して除染できる。その場合、可搬性(あるいは本発明の既存シャワー・ホース施設への取り込み)によって、汚染した人を非可搬性除染設備に移送するときに生じる遅延をなくすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を洗浄するための装置であって、前記装置は、チャンバーを形成する本体と、前記チャンバーに液体流を入れるための入口と、前記チャンバーから液体流を出すための出口と、前記出口に連結され、表面を洗浄するための液体の出力流を発生するためのノズルと、前記本体に連結され、音響エネルギーを前記チャンバー内の液体に導入して、前記音響エネルギーが前記ノズルから流出する液体内に存在するようにする音響変換器と、前記ノズルから流出する液体内に気泡を発生させるための気泡発生器と、を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記気泡発生器は、液体内に電解的に気泡を発生させる電極を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電極は、液体流の方向を横切るように延びる導電性導線の配列を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記気泡発生器は、前記ノズル内に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記気泡発生器を制御して気泡のパルスを発生させる、前記気泡発生器用の第一の制御装置をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の装置。
【請求項6】
前記音響変換器を制御して音響エネルギーのパルスを発生させる、前記音響変換器用の第二の制御装置をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第二の制御装置は、前記音響変換器を断続的にオンオフ切り替えして前記音響エネルギーパルスを発生させることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記音響エネルギーパルスの振幅または周波数変調を行う変調器をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第一の制御装置と前記第二の制御装置は、気泡のパルスと音響エネルギーのパルスが相互に制御された時間的関係を有して発生するように、連係されていることを特徴とする請求項5に付随する請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記本体は、前記音響変換器が取り付けられた壁部と、前記壁部から前方に延びる構成要素とを有し、前記壁部と前記構成要素は、前記変換器から前記出口に向かって延びるチャンバーを形成することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記壁部は後壁であり、前記構成要素は、前記後壁から前方に延びて前記出口と連通する比較的小さい半径の端部を形成する略円錐形であり、前記後壁および前記円錐構成要素は前記変換器から前記出口に向けて延びる、半径が小さくなる略円錐のチャンバーを形成することを特徴とする請求項1から10のいずれかの項に記載の装置。
【請求項12】
前記構成要素は、圧力解放物質、例えば、細胞状泡沫物質またはゴムで形成されてなることを特徴とする請求項8または9の装置。
【請求項13】
複数の入口通路を有する入口マニホルドをさらに有し、前記複数の入口通路は、それぞれ、入口端部で前記入口に連結され、出口端部で前記本体に連結されることを特徴とする請求項1から12のいずれかの項に記載の装置。
【請求項14】
前記入口内に遮音装置をさらに有することを特徴とする請求項1から13のいずれかの項に記載の装置。
【請求項15】
前記表面の洗浄をモニターするための装置をさらに有し、前記モニター装置は、電気化学セルを形成する、第一の電極および第二の電極を有し、それぞれ、前記表面の一部に配置され、抵抗測定装置によって相互接続されてなることを特徴とする請求項1から14のいずれかの項に記載の装置。
【請求項16】
界面活性剤を前記液体に添加するための装置をさらに有することを特徴とする請求項1から15のいずれかの項に記載の装置。
【請求項17】
表面を洗浄するための方法であって、前記方法は、ノズルからの液体流を前記表面に向けて導くステップを有し、前記液体流は音響エネルギーを有し、前記ノズルから流出する前記液体内に気泡を伴うことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記液体内に気泡を発生させるステップをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記気泡を前記液体内に電解的に発生させることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記気泡を、前記ノズル内または前記ノズルの自由端からある距離だけ離れたところで発生させることを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記音響エネルギーのパルスを発生させるステップをさらに有し、前記音響エネルギーのパルスは前記表面に向けて導かれることを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記パルス内の前記音響エネルギーは、振幅または周波数が変調されることを特徴とする請求項21の方法。
【請求項23】
前記気泡のパルスおよび前記音響エネルギーのパルスは、相互に制御された時間的関係を有して発生することを特徴とする請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記気泡のパルスおよび前記音響のパルスは、実質的に同時に前記表面に衝撃を与えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記音響エネルギーは、前記液体流が音響変換器から前記ノズルに延びるチャンバーを通って流れるときに、前記音響変換器によって前記液体に導かれることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記チャンバーは、前記音響変換器から前記ノズルに向かって延びる、半径が減少する略円錐のチャンバーであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チャンバーへ入る液体流は入口マニホルドによって複数の平行流に分割され、前記入口マニホルドは複数の入口流路を有し、前記入口流路は、それぞれ、入口端部で前記入口に連結され、出口端部で前記チャンバーに連結されることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記チャンバーの入口管路を前記音響変換器から音響的に分離するステップをさらに有することを特徴とする請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記液体は、気泡が合体することなく、気泡の径を安定的に制御する界面活性剤を含有することを特徴とする請求項17から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記音響エネルギーは、前記表面で前記気泡の非慣性的崩壊を起こすように制御されることを特徴とする請求項17から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記音響エネルギーは、前記表面から少し離れて前記気泡の慣性的キャビテーションを起こすように制御されることを特徴とする請求項17から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記音響エネルギーは、前記気泡中に表面波を発生させることを特徴とする請求項17から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
表面の洗浄をモニターするための方法であって、電気化学的セルを形成する第一の電極および第二の電極を被洗浄面の各部にそれぞれ配置し、前記第一の電極および第二の電極の間の抵抗を測定するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記第一の電極は前記表面の外部に配置され、前記第二の電極は洗浄する空洞、凹部または細孔に配置されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抵抗の低下を測定して前記空洞、凹部または細孔の洗浄を示すステップを有することを特徴とする請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
表面を洗浄するための方法であって、気泡を前記表面に供給し、変調された音響エネルギーを利用して前記気泡に非慣性的崩壊を生じさせるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項37】
前記気泡は、前記表面からある距離離れた位置で慣性キャビテーションを追加的に受けることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記音響エネルギーは前記気泡内に表面波を発生させることを特徴とする請求項36または37の方法。
【請求項39】
前記気泡および前記音響エネルギーは前記表面に向かって導かれる液体流内にあることを特徴とする請求項36から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記表面は、少なくとも一つの空洞、凹部または細孔を有し、前記気泡は前記少なくとも一つの空洞、凹部または細孔に入ることが可能な大きさにされることを特徴とする請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記音響エネルギーは、前記気泡が前記少なくとも一つの空洞、凹部または細孔内にあるとき、前記気泡の表面を励振することを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記気泡および音響エネルギーはパルスとして前記表面に導かれ、前記気泡および音響エネルギーの前記パルスは前記表面上に実質的に同時に入射することを特徴とする請求項36から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記液体は、気泡が合体することなく、気泡の径が安定するように制御するため界面活性剤を含有することを特徴とする請求項36から42のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−503029(P2013−503029A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526053(P2012−526053)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062448
【国際公開番号】WO2011/023746
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500125788)ユニバーシティ、オブ、サウサンプトン (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTHAMPTON
【Fターム(参考)】