説明

洗浄装置、自動分析装置およびノズル洗浄方法

【課題】洗浄ノズルへの結晶の析出を防止して、ノズル詰まりを確実に防止することができる洗浄装置および当該洗浄装置を備えた自動分析装置、ならびにノズル洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄水吐出ノズル12b’’と洗浄水タンク12Mとを接続する配管12e上に三方弁12Uを設置して、配管12dと配管12eとを接続する分岐配管12iを形成し、前記ノズルの洗浄の際、三方弁12Uを切り替えて分岐配管12iから洗剤吐出ノズル12b’側に洗浄水を流して、洗剤吐出ノズル12b’から洗浄水を反応容器5内に吐出させ、吐出された洗浄水をオーバーフロー吸引ノズル12cで吸引させて洗浄する洗浄ノズル制御部15aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析終了後の反応容器を洗浄する洗浄装置および当該洗浄装置を備えた自動分析装置、ならびに洗浄装置のノズル洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置においては、光学的測定が終了した反応容器内の反応液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄水を注入および吸引することで洗浄を行ない、反応容器を繰り返し利用している。このため、分析装置は、排出対象の液体を反応容器から吸引する吸引ノズル、空になった反応容器内に洗剤を注入する洗剤吐出ノズルおよび洗浄水を注入する洗浄水吐出ノズルを備える。分析装置は、吸引ノズルの詰まり等により反応容器内の液体の排出が完全に行なわれず、その後の洗剤等の吐出による反応容器から洗剤および洗浄水の流出を防止するために、吸引ノズルおよび各吐出ノズルに加え、洗浄水の溢れ分を吸引するオーバーフロー吸引ノズルをさらに備えた構成を有する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−230014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、各ノズルについて定期的な洗浄は行なわれておらず、洗剤吐出ノズルは洗剤のみ、洗浄水吐出ノズルは洗浄水のみ吐出する構造を採用するため、洗剤吐出ノズルでは洗剤の吐出と放置が繰り返されて洗剤が乾燥することにより、洗剤の結晶化物が析出することがある。さらに、洗剤吐出ノズルと組み合わせて使用される吸引ノズルやオーバーフロー吸引ノズルについても、同様に洗剤の飛散等によるノズルへの洗剤の結晶化物の付着や該結晶化物によるノズル詰まりが発生するおそれがある。なお、このような洗剤の結晶化物の付着や結晶化物によるノズル詰まりの防止策として、ノズルに付着した洗剤の手作業でのふき取りが行なわれていたが、非常に手間がかかるものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗剤吐出ノズルおよび該洗剤吐出ノズルと組み合わせて使用される吸引ノズルおよびオーバーフロー吸引ノズルへの結晶の析出を防止して、ノズル詰まりを確実に防止することができる洗浄装置および当該洗浄装置を備えた自動分析装置、ならびにノズル洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる洗浄装置は、反応容器内の反応液を含む液体を吸引する吸引ノズルと、洗剤を吐出する洗剤吐出ノズルと、洗浄水を吐出する洗浄水吐出ノズルと、反応容器から反応液を含む液体の流出を抑止するオーバーフロー吸引ノズルと、前記洗剤および前記洗浄水により洗浄された反応容器を乾燥する乾燥ノズルとを備えた洗浄装置であって、前記洗浄水吐出ノズルと洗浄水を貯留する洗浄水タンクとの間を接続して前記洗浄水を流通させる配管を有した洗浄水流通手段と、前記洗浄水吐出ノズルと前記洗浄水タンクとを接続する配管上に三方弁と該三方弁から分岐する分岐配管を有し、該分岐配管と前記洗剤吐出ノズルと洗剤タンクとを接続する配管とを連結する洗浄水分岐手段と、前記ノズルの洗浄の際、前記三方弁を切り替えて洗浄水分岐手段側に前記洗浄水を流して、前記洗剤吐出ノズルから前記洗浄水を反応容器内に吐出させ、当該吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルで吸引させて洗浄する洗浄ノズル制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる洗浄装置は、上記発明において、前記洗浄ノズル制御手段は、前記オーバーフロー吸引ノズルによる洗浄水の吸引後、前記吸引ノズルで反応容器内の洗浄水を吸引するよう制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる洗浄装置は、上記発明において、前記洗浄ノズル制御手段は、反応容器洗浄終了後に前記洗剤吐出ノズルから洗浄水を反応容器内に吐出させ、当該吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルで吸引させるよう制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる洗浄装置は、上記発明において、前記洗浄ノズル制御手段は、前記洗剤吐出ノズルから吐出させる洗浄水吐出量を、前記オーバーフロー吸引ノズルにより洗浄水を吸引して、当該吸引した洗浄水で前記オーバーフロー吸引ノズルをすすぎ洗浄しうる量に調整することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応を光学的に分析する自動分析装置であって、上記のいずれか一つに記載の洗浄装置を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のノズル洗浄方法は、反応容器内の反応液を含む液体を吸引する吸引ノズルと、洗剤を吐出する洗剤吐出ノズルと、洗浄水を吐出する洗浄水吐出ノズルと、反応容器から反応液を含む液体の流出を抑止するオーバーフロー吸引ノズルと、前記洗剤および洗浄水により洗浄された反応容器を乾燥する乾燥ノズルとを備えた洗浄装置のノズル詰まり防止方法であって、前記洗剤吐出ノズルから洗浄水を吐出させる洗浄水吐出ステップと、前記洗浄水吐出ステップで反応容器内に吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルにより吸引する洗浄水吸引ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記洗浄水吸引ステップは、前記オーバーフロー吸引ノズルによる洗浄水の吸引後、前記吸引ノズルで反応容器内の洗浄水を吸引することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記洗浄装置による反応容器洗浄終了後に前記洗浄水吐出ステップおよび前記洗浄水吸引ステップを行なうことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記洗浄水吐出ステップは、前記洗剤吐出ノズルから吐出させる洗浄水吐出量を、前記オーバーフロー吸引ノズルにより前記洗浄水を吸引して、当該吸引した前記洗浄水で前記オーバーフロー吸引ノズルをすすぎ洗浄しうる量に調整制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄水吐出ノズルと洗浄水タンクとを接続する配管と、洗剤吐出ノズルと洗剤タンクとを接続する配管とを連結することにより、洗剤吐出ノズル側に洗浄水を流すことができ、洗剤吐出ノズル、吸引ノズルおよびオーバーフロー吸引ノズルを洗浄水で洗浄することが可能となるため、洗剤吐出ノズルや、洗剤吐出ノズルと組み合わせて使用される吸引ノズルおよびオーバーフロー吸引ノズルへの結晶の析出を防止して、ノズル詰まりを確実に防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、この発明の実施の形態である自動分析装置について、血液などの液体検体をサンプルとして分析する自動分析装置を例に説明する。以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる自動分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態にかかる自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器5にそれぞれ分注し、分注した反応容器5内で生じる反応を光学的に測定する測定機構40と、測定機構40を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構40における測定結果の分析を行う制御機構50とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0018】
測定機構40は、大別して、第1および第2試薬テーブル2、3と、反応テーブル4と、第1および第2試薬分注装置6、7と、検体容器移送機構8と、ラック9と、分析光学系11と、洗浄機構12と、第1および第2攪拌装置13、14と、検体分注装置20とを備えている。
【0019】
第1および第2試薬テーブル2、3は、図1に示すように、それぞれ第1試薬の試薬容器2aと第2試薬の試薬容器3aが周方向に複数配置され、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器2a、3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2a、3aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が付加されている。ここで、第1および第2試薬テーブル2、3の外周には、試薬容器2aおよび3aに付加した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置(図示せず)が設置されている。第1および第2試薬テーブル2、3の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、第1および第2試薬テーブル2、3の下方には試薬冷却用の恒温槽(図示せず)が設けられている。
【0020】
第1試薬分注装置6は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム6aを備える。このアーム6aの先端部には、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブ6bが取り付けられている。第1試薬分注装置6は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注装置6は、上述した第1試薬テーブル2上の所定位置に移送された試薬容器2aの中からプローブ6bによって第1試薬を吸引し、アーム6aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に第1試薬を吐出して分注を行なう。
【0021】
第2試薬分注装置7は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム7aを備える。このアーム7aの先端部には、第2試薬の吸引および吐出を行なうプローブ7bが取り付けられている。第2試薬分注装置7は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第2試薬分注装置7は、上述した第2試薬テーブル3上の所定位置に移送された試薬容器3aの中からプローブ7bによって第2試薬を吸引し、アーム7aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器5に第2試薬を吐出して分注を行なう。
【0022】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、第1および第2試薬テーブル2、3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。反応テーブル4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、反応テーブル4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。反応テーブル4の上方には、図示しない開閉自在な蓋が、下方には検体と試薬の反応を促進させるための恒温槽(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0023】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた第1および第2試薬分注装置6、7によって第1および第2試薬テーブル2、3の試薬容器2a、3aから試薬が分注される。ここで、第1および第2試薬分注装置6、7は、それぞれ水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a、7aに試薬を分注する分注プローブ6b、7bが設けられ、洗浄水によって分注プローブ6b、7bを洗浄する洗浄槽(図示せず)を有している。
【0024】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、収容した検体の情報を記録したが情報記録媒体(図示せず)が貼付され、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置20によって検体が各反応容器5へ分注される。検体分注装置20は、水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム20aに試薬を分注する分注プローブ20bが設けられる。ここで、ラックの外周には、検体容器9aに貼付された情報記録媒体に記録された、検体情報や検体容器9aの容器情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置(図示せず)が設置されている。
【0025】
検体分注装置20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム20aを備える。このアーム20aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ20bが取り付けられている。検体分注装置20は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注装置20は、上述した検体移送機構8上の所定位置に移送された検体容器9aの中からプローブ20bによって検体を吸引し、アーム20aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に検体を吐出して分注を行なう。
【0026】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。
【0027】
第1および第2攪拌装置13、14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a、14aによって攪拌し、反応を促進させる。
【0028】
洗浄装置12は、分析終了後の反応容器5を洗浄する部分であり、図1に示すように、反応テーブル4の外周近傍に配置されている。洗浄装置12は、図2に示すように、配管によって接続された洗剤を注入する洗浄ノズル12A、12B、洗浄水を吐出する洗浄ノズル12C〜12Fと、洗浄水吸引ノズル12Gと、乾燥ノズル12Hと、廃液タンク12Jおよび12Kと、洗剤タンク12Lと、洗浄水タンク12Mと、送液ポンプ12Nおよび12Oと、真空ポンプ12Pおよび12Qと、保持部材12Iと、保持部材駆動部12Tと、ターミナル12Rおよび12Sと、三方弁12Uと、洗浄ノズル制御部15aとを有し、反応テーブル4の回転によって矢印方向に沿って搬送されてくる反応容器5を、洗浄ノズル制御部15aの制御のもと、洗浄ノズル12A〜12Hを上下動しながら順次洗浄する。洗浄ノズル12A〜12F、洗浄水吸引ノズル12G、乾燥ノズル12Hは、保持部材12Iに保持され、保持部材12Iを駆動する保持部材駆動部12Tによって一体に上下動される。なお、本発明の実施の形態で使用する洗剤は、血液や体液等を含む反応液の洗浄に有効な各種の洗剤を使用でき、洗浄水は、イオン交換水のほか、蒸留水、超ろ過水またはこれらの組み合わせも使用しうる。
【0029】
ここで、洗剤を注入する洗浄ノズル12A、12Bおよび洗浄水を注入する洗浄ノズル12C〜12Fは、反応容器5内の底部まで挿入される吸引ノズル12a、反応容器5内の中間まで挿入される吐出ノズル12b、および反応容器5内の上部まで挿入されるオーバーフロー吸引ノズル12cをそれぞれ有している。ここで、洗剤を注入する洗浄ノズルの吐出ノズル12bは、洗剤吐出ノズル12b’であり、配管12dを介してターミナル12Rと接続され、ターミナル12Rはさらに配管12dを介して送液ポンプ12N、および洗剤タンク12Lと接続される。また、洗浄水を吐出する洗浄ノズルの吐出ノズル12bは、洗浄水吐出ノズル12b’’であり、配管12eを介してターミナル12Sと接続され、ターミナル12Sはさらに配管12eを介して送液ポンプ12O、および洗浄水タンク12Mと接続される。
【0030】
一方、洗浄ノズルの吸引ノズル12a、ならびに洗浄水吸引ノズル12G、乾燥ノズル12Hは、配管12fを介して廃液タンク12Jおよび真空ポンプ12Pと接続される。また、洗浄ノズルのオーバーフロー吸引ノズル12cは、配管12gを介して廃液タンク12Kおよび真空ポンプ12Qと接続される。
【0031】
洗浄ノズル12Aは、真空ポンプ12Pが吸引圧(負圧)を発生することにより、反応容器5内の反応液を吸引ノズル12aによって吸引して廃液タンク12Jへ廃棄する。そして送液ポンプ12Nによって洗剤タンク12L内の洗剤を洗剤吐出ノズル12b’から吐出することによって反応容器5内を洗浄する。このとき、オーバーフロー吸引ノズル12cは、真空ポンプ12Qの吸引圧により吸引状態とされ、過剰な洗剤を吸引し、配管12gを介して廃液タンク12Kに廃棄して、洗剤が反応容器5から溢れないように反応容器5中の洗剤量を一定量に保持する役割を果たす。洗浄終了後、保持部材駆動部12Tが保持部材12Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図2に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0032】
洗浄ノズル12Bは、洗浄ノズル12Aが反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ12Pの吸引圧により吸引ノズル12aによって吸引して廃液タンク12Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ12Nによって洗剤タンク12L内の洗剤を洗剤吐出ノズル12b’から吐出しながら、真空ポンプ12Qによりオーバーフロー吸引ノズル12cで吸引することによって反応容器5内を洗浄する。洗浄終了後、保持部材駆動部12Tが保持部材12Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図2に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0033】
洗浄ノズル12Cは、洗浄ノズル12Bが反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ12Pの吸引圧により吸引ノズル12aによって吸引して廃液タンク12Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ12Oによって洗浄水タンク12M内の洗浄水を洗浄水吐出ノズル12b’’から吐出しながら、真空ポンプ12Qによりオーバーフロー吸引ノズル12cで吸引することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。すすぎ洗浄終了後、保持部材駆動部12Tが保持部材12Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図2に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0034】
洗浄ノズル12Dは、洗浄ノズル12Cが反応容器5内に吐出した洗浄水を、真空ポンプ12Pの吸引圧により吸引ノズル12aによって吸引して廃液タンク12Jへ廃棄し、送液ポンプ12Oによって洗浄水タンク12M内の洗浄水を洗浄水吐出ノズル12b’’から吐出しながら、真空ポンプ12Qによりオーバーフロー吸引ノズル12cで吸引することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。以下、洗浄ノズル12E、12Fは、同様の操作を繰り返す。ここで、ターミナル12Rおよび12Sは、送液ポンプ12Nおよび12Oにより洗剤タンク12Lおよび洗浄水タンク12Mから吸引された洗剤および洗浄水を、分岐して複数の吐出ノズルにそれぞれ供給する機能を有する。
【0035】
洗浄水吸引ノズル12Gは、洗浄ノズル12Fが反応容器5内に吐出し、反応容器5内をすすいだ洗浄水を吸引し、廃液タンク12Jへ廃棄する。乾燥ノズル12Hは、下端に合成樹脂性のチップ12hが取り付けられ、洗浄水吸引ノズル12Gが吸引し残した洗浄水を吸引し、廃液タンク12Jへ廃棄する。
【0036】
三方弁12Uは、洗浄水吐出ノズル12b’’と洗浄水タンク12Mとを接続する配管12e上に設置され、三方弁12Uからの分岐配管12iは、洗剤吐出ノズル12b’と洗剤タンク12Lとを接続する配管12dと連結される。分岐配管12iは、配管12dとともに洗浄水分岐配管を形成する。反応容器5の洗浄の際は、三方弁12Uは、洗浄水タンク12Mからターミナル12S側に洗浄水を流通するように開かれ、反応容器5の洗浄終了後であって洗浄水ノズル対12Aおよび12Bの洗剤吐出ノズル12b’、吸引ノズル12aおよびオーバーフロー吸引ノズル12cを洗浄する際、三方弁12Uは、洗浄水タンク12Mから分岐配管12iを介してターミナル12R側に洗浄水を流通するように開かれる。
【0037】
つぎに、制御機構50について説明する。制御機構50は、制御部15と、入力部16と、出力部17と、分析部18と、記憶部19とを備える。測定機構40および制御機構50が備える各部は、制御部15に電気的に接続されている。これら各部の作動を制御するため、制御部15には、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部15は、洗浄ノズル制御部15aを有し、洗浄ノズル制御部15aは、図2に示す送液ポンプ12Nおよび12O、真空ポンプ12Pおよび12Q、保持部材駆動部12T、ターミナル12Rおよび12S、および三方弁12Uを制御し、反応容器5ならびに洗浄ノズル12Aおよび12Bの洗浄を行なう。
【0038】
入力部16は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。出力部17は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。分析部18は、分析光学系11から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部19は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部19は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0039】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器5に対して、第1試薬分注装置6が試薬容器2a中の第1試薬を分注した後、検体分注機構20が検体容器9a中の検体を分注し、さらに第2試薬分注装置7が試薬容器3a中の第2試薬を分注して、分析光学系11が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部18が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄装置12が分析光学系11による測定が終了した後に搬送される反応容器5を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0040】
上記のように、自動分析装置1は、洗浄装置12を使用して分析終了後の反応容器5を洗剤や洗浄水によって洗浄して新たな分析に使用しているが、各洗浄ノズルについて定期的な洗浄は行なわれておらず、洗剤吐出ノズル12b’は洗剤のみ吐出するため、洗剤吐出ノズル12b’では洗剤の吐出と放置が繰り返されて洗剤の結晶化物が析出することがある。さらに、洗剤吐出ノズル12b’と組み合わせて使用される吸引ノズル12aおよびオーバーフロー吸引ノズル12cについても、同様に洗剤の飛散等によるノズルへの洗剤の結晶化物の付着や該結晶化物によるノズル詰まり発生のおそれがある。このため、本発明の実施の形態では、洗浄水吐出ノズル12b’’と洗浄水タンク12Mとを接続する配管12e上に三方弁12Uを設置して、洗剤吐出ノズル12b’と洗剤タンク12Lとを接続する配管12dと、洗浄水吐出ノズル12b’’と洗浄水タンク12Mとを接続する配管12eとを分岐配管12iで連結することにより、洗剤吐出ノズル12b’から洗浄水を吐出させて、洗剤吐出ノズル12b’およびこれと組み合わせて使用されるオーバーフロー吸引ノズル12cを洗浄水で洗浄することが可能となる。以下に、実施の形態1にかかるノズル洗浄方法を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0041】
実施の形態1にかかるノズル洗浄方法は、定常分析が終了し、反応容器等の洗浄などの分析装置のメンテナンス終了後に行うのが分析効率等の観点から好ましいが、洗浄ノズルに洗剤の結晶が付着しているのに気づいた場合等、任意の時間に行なうことも可能である。
【0042】
まず、洗浄ノズル制御部15aの制御の元、洗浄水タンク12Mに貯留される洗浄水を洗剤吐出ノズル12b’側に流通させるために三方弁12Uをターミナル12R側に切り替える(ステップS100)。この三方弁12Uの切り替えにより、洗浄水タンク12M内の洗浄水は、送液ポンプ12Oの駆動により、分岐配管12i、配管12dおよびターミナル12Rを介して洗浄ノズル12Aおよび12Bの洗剤吐出ノズル12b’から反応容器5内に吐出される(ステップS101)。洗剤吐出ノズル12b’からの洗浄水の吐出により、洗剤吐出ノズル12b’内に残存する洗剤が洗浄されるため、洗剤の結晶化物の生成は抑制される。洗剤吐出ノズル12b’からの洗浄水の吐出と同時に、洗浄ノズル12Aおよび12Bのオーバーフロー吸引ノズル12cで洗浄水を吸引するために、真空ポンプ12Qを駆動する。真空ポンプ12Qの駆動による負圧により、オーバーフロー吸引ノズル12cは洗浄水を吸引し(ステップS102)、吸引された洗浄水は配管12gから廃液タンク12Kに廃棄される。洗剤吐出ノズル12b’から吐出させる洗浄水吐出量は、オーバーフロー吸引ノズル12cにより洗浄水を吸引して、当該吸引した洗浄水でオーバーフロー吸引ノズル12cを十分にすすぎ洗浄しうる量に調整される。オーバーフロー吸引ノズル12cによる洗浄水の吸引により、オーバーフロー吸引ノズル12cへの洗剤の飛散によるノズルへの洗剤の結晶化物の付着や結晶化物によるノズル詰まりの発生が防止できる。
【0043】
オーバーフロー吸引ノズル12cによる洗浄水吸引後、反応容器5内に残存する洗浄水を吸引するために、真空ポンプ12Pを駆動する。真空ポンプ12Pの駆動による負圧により、吸引ノズル12aは洗浄水を吸引する(ステップS103)。吸引された洗浄水は配管12fから廃液タンク12Jに廃棄される。吸引ノズル12aによる洗浄水吸引により、吸引ノズル12a内に残存する洗剤も洗浄される。また、洗浄水を反応容器5内に貯留するため、洗浄ノズル12Aおよび12Bの各ノズルの外壁に残存する洗剤も洗浄される。
【0044】
反応容器5内の洗浄水排出後、乾燥ノズル12Hで反応容器5内を乾燥すべく、保持部材駆動部12Tの駆動により保持部材12Iを上下動させる間に、反応テーブル4を回動させて乾燥させる反応容器5を乾燥ノズル12H下部まで搬送する。搬送後、保持部材12Iの下降により乾燥ノズル12Hを反応容器5内に挿入し、真空ポンプ12Pの駆動により、残存する洗浄水を乾燥ノズル12Hにより吸引して乾燥させる(ステップS104)。洗剤吐出ノズル12b’を有するノズルは、実施の形態1では洗浄ノズル12Aおよび12Bの2つであり、乾燥ノズル12Hにより近い洗浄ノズル12Bのノズル洗浄に使用した反応容器5の乾燥を先に行なう。保持部材駆動部12Tを駆動させて保持部材12Iを上下動させる間に、反応テーブル4を回動させて乾燥させる洗浄ノズル12B下の反応容器5を、図2に示す矢印方向に6つ分移送し乾燥ノズル12H下部まで搬送し、乾燥させる。その後、洗浄ノズル12Aの洗浄を行なった反応容器5も乾燥すべく、保持部材駆動部12Tを駆動させて保持部材12Iを上下動させる間に、反応テーブル4を図2に示す矢印方向に1つ分回動させて乾燥ノズル12Hで乾燥させる。本発明の実施の形態では、洗剤を吐出する洗浄ノズルは2つであるから乾燥工程は2回となるが、洗剤を吐出する洗浄ノズルの個数分だけ乾燥が行なわれる。最後に、三方弁12Uは、通常作業の反応容器5の洗浄用に、ターミナル12S側に洗浄水が流通するよう切り替えられる(ステップS105)。
【0045】
なお、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の要部の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る洗浄装置の要部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1にノズル洗浄方法のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 自動分析装置
2、3 第1および第2試薬テーブル
2a、3a 試薬容器
4 反応テーブル
4a 保持部
4b 光路
5 反応容器
6、7 第1および第2試薬分注装置
8 検体容器移送機構
9 ラック
9a 検体容器
11 分析光学系
12 洗浄装置
12A〜12F 洗浄ノズル
12G 洗浄水吸引ノズル
12H 乾燥ノズル
12I 保持部材
12N、12O 送液ポンプ
12R、12S ターミナル
12J、12K 廃液タンク
12P、12Q 真空ポンプ
12L 洗剤タンク
12M 洗浄水タンク
12T 保持部材駆動部
12U 三方弁
12a 吸引ノズル
12b 吐出ノズル
12b’ 洗剤吐出ノズル
12b’’ 洗浄水吐出ノズル
12c オーバーフロー吸引ノズル
12d、12e、12f、12g 配管
12i 分岐配管
12h チップ
13、14 第1および第2攪拌装置
15 制御部
15a 洗浄ノズル制御部
16 入力部
17 出力部
18 分析部
19 記憶部
20 検体分注装置
40 測定機構
50 制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器内の反応液を含む液体を吸引する吸引ノズルと、洗剤を吐出する洗剤吐出ノズルと、洗浄水を吐出する洗浄水吐出ノズルと、反応容器から反応液を含む液体の流出を抑止するオーバーフロー吸引ノズルと、前記洗剤および前記洗浄水により洗浄された反応容器を乾燥する乾燥ノズルとを備えた洗浄装置であって、
前記洗浄水吐出ノズルと洗浄水を貯留する洗浄水タンクとの間を接続して前記洗浄水を流通させる配管を有した洗浄水流通手段と、
前記洗浄水吐出ノズルと前記洗浄水タンクとを接続する配管上に三方弁と該三方弁から分岐する分岐配管を有し、該分岐配管と前記洗剤吐出ノズルと洗剤タンクとを接続する配管とを連結する洗浄水分岐手段と、
前記ノズルの洗浄の際、前記三方弁を切り替えて洗浄水分岐手段側に前記洗浄水を流して、前記洗剤吐出ノズルから前記洗浄水を反応容器内に吐出させ、当該吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルで吸引させて洗浄する洗浄ノズル制御手段と、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズル制御手段は、前記オーバーフロー吸引ノズルによる洗浄水の吸引後、前記吸引ノズルで反応容器内の洗浄水を吸引するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズル制御手段は、反応容器洗浄終了後に前記洗剤吐出ノズルから洗浄水を反応容器内に吐出させ、当該吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルで吸引させるよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ノズル制御手段は、前記洗剤吐出ノズルから吐出させる洗浄水吐出量を、前記オーバーフロー吸引ノズルにより洗浄水を吸引して、該吸引した洗浄水で前記オーバーフロー吸引ノズルをすすぎ洗浄しうる量に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の洗浄装置。
【請求項5】
検体と試薬との反応を光学的に分析する自動分析装置であって、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の洗浄装置を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
反応容器内の反応液を含む液体を吸引する吸引ノズルと、洗剤を吐出する洗剤吐出ノズルと、洗浄水を吐出する洗浄水吐出ノズルと、反応容器から反応液を含む液体の流出を抑止するオーバーフロー吸引ノズルと、前記洗剤および洗浄水により洗浄された反応容器を乾燥する乾燥ノズルとを備えた洗浄装置のノズル洗浄方法であって、
前記洗剤吐出ノズルから洗浄水を吐出させる洗浄水吐出ステップと、
前記洗浄水吐出ステップで反応容器内に吐出された洗浄水を前記オーバーフロー吸引ノズルにより吸引する洗浄水吸引ステップと、
を含むことを特徴とするノズル洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄水吸引ステップは、前記オーバーフロー吸引ノズルによる洗浄水の吸引後、前記吸引ノズルで反応容器内の洗浄水を吸引することを特徴とする請求項6に記載のノズル洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄装置による反応容器洗浄終了後に前記洗浄水吐出ステップおよび前記洗浄水吸引ステップを行なうことを特徴とする請求項6または7に記載のノズル洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄水吐出ステップは、前記洗剤吐出ノズルから吐出させる洗浄水吐出量を、前記オーバーフロー吸引ノズルにより前記洗浄水を吸引して、当該吸引した前記洗浄水で前記オーバーフロー吸引ノズルをすすぎ洗浄しうる量に調整制御されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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