説明

洗浄装置

【課題】薬剤の使用量が少なく洗浄効果の高い洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器10内面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段39と、この薬剤の温度を上昇させる加熱手段43とを備え、加熱手段43により薬剤を加熱して吐出するもので、これによって、洗浄効果を高めて、薬剤の使用量を低減するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器や衛生洗浄装置、浴槽、洗面ボールなどの表面を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗浄装置は、便器内に薬剤を噴霧する薬剤噴霧手段と人体局部を洗浄する人体洗浄手段を有する洗浄装置であって、前記薬剤噴霧手段による薬剤噴霧動作と前記人体洗浄手段による人体洗浄動作とを互いに連動させるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された従来の洗浄装置を示すものである。これは、便器に装着された衛生洗浄装置であって、図8に示すように、外部の給水源側から順に、給水ユニット1と熱交換ユニット2と給水流量調整ユニット3と流路切替ユニット4を備え、流路切替ユニット4から先は便器洗浄流路5と人体洗浄流路6の2流路に分かれる。そして、便器洗浄流路5は途中に薬剤混入ユニット7を備え、さらにその先には便器洗浄ノズル8が接続されている。一方、人体洗浄流路6の先には人体洗浄ノズル9が接続されている。
【0004】
洗浄水は給水ユニット1により外部より取り込まれ、熱交換ユニット2へ送り込まれる。洗浄水は、熱交換ユニット2で温水化され、給水流量調整ユニット3へ送り込まれる。給水流量調整ユニット3は下流側への洗浄水の流量の調整を行い、調整した流量の洗浄水を流路切替ユニット4へと送り込む。
【0005】
流路切替ユニット4は、洗浄水を便器洗浄流路5と人体洗浄流路6のどちらかに対して選択的に洗浄水を供給する。便器洗浄流路5に送り込まれた洗浄水は、薬剤混入ユニット7を通過する際に薬剤を付加され、その後便器洗浄ノズル8より便器面に対して噴霧される。人体洗浄流路6に送り込まれた洗浄水は、人体洗浄ノズル9へと送り込まれ、用便後の人体の局部に対して噴霧される。
【0006】
この洗浄装置において、便器洗浄ノズル8による薬剤噴霧動作と人体洗浄ノズル9による人体洗浄動作とを互いに連動させているので、例えば、人体洗浄終了後一定時間後に薬剤を噴霧するような設定にしてやれば人体洗浄装置を使用者が操作して人体洗浄を行うだけで、新たに使用者が何らかの操作を行うこと無く便器内に自動的に薬剤を噴霧することができるとしている。
【0007】
また、熱交換ユニット2より下流側に薬剤混入ユニット7を配置させることにより、薬剤の混入した温水によって便器洗浄を行うことになり、温水によって便器の汚れを効果的に落とすことができるという効果が得られるとしている。
【特許文献1】特開2003−278219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8の従来の構成では、便器洗浄ノズル8から温水を噴霧する場合は、薬剤混入ユニット7によって薬剤が温水に混入する構成であるため、薬剤が温水によって薄められて便器に噴霧されていた。このため、便器に付着した強力な汚れに対して薬剤の効果が発揮できない場合があり、洗浄に時間がかかるだけでなく、薬剤を消費し続けるため汚れを十分に落とすまでに薬剤の使用量が多くなり、頻繁に薬剤の補給が必要になっていた。
【0009】
また、薬剤の温度が温水温度によって決まるため、熱交換ユニット2を人体洗浄と便器洗浄で共用化すると上限温度が、人体にとって安全な温度(例えば45℃)となり、高温の温水による薬剤洗浄ができなくなってしまう。したがって、強力な汚れに対して薬剤の効果が充分に発揮できない場合があった。そのため、洗浄時間が長くなり薬剤の使用量だけでなく、エネルギーロスも多くなっていた。
【0010】
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、薬剤の使用量が少なく洗浄効果の高い洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記薬剤の温度を上昇させる加熱手段とを備え、前記加熱手段により薬剤を加熱して吐出するものである。
【0012】
これによって、薬剤原液の温度を上昇活性化させ、洗浄効果を向上させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄装置は、薬剤原液の温度が上昇するので、洗浄効果が高くなり、短時間で洗浄ができ、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記薬剤の温度を上昇させる加熱手段とを備え、前記加熱手段により薬剤を加熱して吐出することにより、吐出される薬剤の温度が上昇するので薬剤活性が高まり、洗浄効果が上がる。結果として短時間で洗浄ができ、薬剤の使用量を減らすことができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の薬剤吐出手段を、薬剤を貯留する薬剤タンクと、薬剤を被洗浄面に吐出する薬剤ノズルと、前記薬剤タンクから薬剤ノズルに薬剤を搬送する搬送手段とで構成し、第1の発明の加熱手段は、前記薬剤タンクに貯留する薬剤を加熱するヒータを備えたので、簡単で安全な構成で薬剤の温度を上昇させ、吐出することができる。したがって、簡単な構成で洗浄効果の高い洗浄ができる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1の発明の薬剤吐出手段を、薬剤を貯留する薬剤タンクと、薬剤を被洗浄面に吐出する薬剤ノズルと、前記薬剤タンクから薬剤ノズルに薬剤を搬送する搬送手段とで構成し、第1の発明の加熱手段は、前記搬送手段により搬送される薬剤を加熱するヒータを備えたことにより、吐出する量の薬剤だけを素早く加熱し、洗浄できる。したがって、省エネルギーで洗浄効果の高い洗浄ができる。
【0017】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明に、被洗浄面に吐出された薬剤を水で洗い流す水吐出手段を備えることにより、薬剤のすすぎが自動でできる。また、所要量のすすぎを行なえば、節水効果もある。
【0018】
第5の発明は、特に、第4の発明の薬剤吐出手段に、薬剤を被洗浄面に吐出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄ノズルは、第4の発明の水吐出手段の水を吐出するノズルを兼ねるようにしたもので、ひとつのノズルで薬剤吐出とすすぎ水吐出の両動作ができ、構成が簡単になる。
【0019】
第6の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明に薬剤を霧化する霧化手段を備えたもので、薬剤を吐出する場合に、薬剤を微細に霧化して吐出することにより、非洗浄面に薬剤を薄くムラ無く吐出できる。したがって、薬剤の洗浄効率が上がり、薬剤の使用量を減らすことができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、第1の実施の形態における洗浄装置としての衛生洗浄装置の外観を示すものである。図1において、便器10の後端部には洗浄装置11が横に載置され、洗浄装置11の本体部11a、使用者が着座するための便座12、便蓋13、人体の局部を洗浄するための洗浄ノズル14等から構成されている。本体部11aには給水源から洗浄水を給水するための給水管および商用電源から給電するための電気ケーブル(いずれも図示せず)が備えてある。
【0022】
また、洗浄装置11の内部には使用者が肛門の洗浄を行うためのお尻洗浄機能、小用後の女性局部を洗浄するビデ洗浄機能のほか、洗浄後の人体局部を乾燥するための乾燥機能、寒冷時にトイレ空間を暖房する部屋暖房機能等(いずれも図示せず)が備えてあり、各々の操作はリモートコントローラ15(以下、リモコンと言う)によってなされる。また、本体部11aには使用者の着座を検知する着座検知手段16を備えており、着座検知状態時のみ洗浄機能や乾燥機能が動作可能である。
【0023】
この着座検知手段16は、赤外線により使用者の便座12への着座の有無を検知するものであるが、方式としては便座の静電容量を検知するもの、超音波等を用いて使用者の便座への着座を検知するもの、さらにはトイレに入室あるいは退室したことを検知するものや、例えばトイレの照明に連動して使用者の存在を検知する方式等でも可能である。
【0024】
図2は衛生洗浄装置のリモコン15の外観を示すものであり、お尻洗浄スイッチ17、ビデ洗浄スイッチ18、乾燥スイッチ19、各機能のインジケータ20、調節スイッチ21、停止スイッチ22および後述する便器10の内面を洗浄動作させる便器洗浄スイッチ23を有している。そして、使用者の操作信号は、赤外線等の無線信号によって洗浄装置の本体部11aへ送信される構成となっている。なお、便器洗浄スイッチ23が押釦されることによる後述の便器洗浄動作は、上記着座検知手段16が非着座検知状態時のみ実行されるように構成されている。
【0025】
図3は、第1の実施の形態における洗浄装置11としての衛生洗浄装置の水回路を示す模式図である。同図において、給水源24に接続された分岐水栓25より洗浄装置11に水道水を供給する。水道水は、ストレーナ26、逆止弁27、定流量弁28、元電磁弁29、流量センサ30を経て、温水ユニット31に供給される。元電磁弁29の下流に余剰の水を廃棄する捨て水回路32が接続されている。流量センサ30は、温水ユニット31への流量を計測する。
【0026】
温水ユニット31は、内部に電気ヒータを備えて洗浄用の洗浄水を加熱する温水ユニットであり、洗浄時のみ加熱する瞬間湯沸かし型もしくは所定量のお湯を常時、所定温度に加熱して貯湯しておく貯湯型が適用できる。本第1の実施の形態では、瞬間湯沸かし型の温水ユニットを採用している。温水ユニット31から供給される温水は、水ポンプ33で流量が調整され、お尻ノズル34、ビデノズル35より成る洗浄ノズル14および水吐出手段である便器洗浄ノズル36より吐出される。
【0027】
これらノズルへはノズル切換手段37を介して択一的に供給可能に構成されている。便器洗浄ノズル36の開放端は、便器内面全体に拡散するように配置されており、被洗浄面である便器内部に貯まる水洗水喫水線より上部の壁面をすすぎ又は洗浄できるように構成される。
【0028】
薬剤吐出手段39は、薬剤を貯留する薬剤タンク40と、薬剤を霧化する霧化手段41と、霧化した薬剤を便器内部に誘導するノズルとしての吐出口42と、薬剤タンク40に内設して貯留する薬剤の温度を上昇させる加熱手段43より成っている。加熱手段43は、シーズヒータやセラミックヒータにより構成する。なお、薬剤タンク40の外部から面状ヒータで加熱してもよい。薬剤は、公知の酸性洗剤もしくは中性洗剤もしくはアルカリ性洗剤もしくは酸素系漂白剤もしくは塩素系漂白剤もしくは便器面への汚れの付着防止効果のあるコーティング剤もしくはアルコールもしくは消毒薬もしくは芳香液のいずれかである。霧化手段41は、超音波発振手段よりなり、効果的に汚れを剥離させるのは1から20μmがよいとされており、この粒子径を実現する手段として超音波発振手段が最適である。
【0029】
制御手段44は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路からなり、便器洗浄の制御を行なうもので、以下に説明するタイムチャートを実行するためのプログラムが格納され、これに基づき元電磁弁29、温水ユニット31、水ポンプ33、ノズル切換手段37、霧化手段41、加熱手段43等を制御して、便器内面への薬剤噴霧と洗浄の制御を行なう。
【0030】
以上のように構成された洗浄装置について、図4に示すタイムチャートに基づいてその作用、動作について説明する。
【0031】
洗浄装置11は、使用者が便座12に着座し、リモコン15の各操作スイッチを操作することで局部洗浄、乾燥機能等が実行される。
【0032】
一方、便器洗浄を実行する場合は、リモコン15の便器洗浄スイッチ23を押釦することで実行される。すなわち、図4において便器洗浄スイッチ23の押釦によってまず着座検知手段16によって使用者が着座しているか否かが検出され、非着座時のみノズル洗浄動作に移行し、着座時はノズル洗浄動作を実行しない。これにより、着座時に薬剤や便器洗浄用の水が人体に付着するなどの不都合が回避できる。
【0033】
非着座である場合は制御手段44が動作して、まず加熱手段43である電気ヒータが通電され、薬剤タンク40内の薬剤の温度が上昇する。薬剤の温度を検出する温度センサ(図示していない)の温度が設定温度(例えば60℃)に達したら加熱手段43の通電を停止する(時間T1)。
【0034】
そして、時間T1で薬剤を加熱した後に、薬剤吐出手段39の霧化手段41を所定時間T2だけ駆動させる。霧化手段41の超音波発振により薬剤タンク40から霧化された薬剤が溢れ出し、吐出口42を経て便器10内面に注がれる。微細化した高温の薬剤粒子は便器内を漂いながら被洗浄面である便器内面全体に付着し、便器内面の温度を上昇させながら汚れを浮き上がらせる。
【0035】
さらに時間T2が経過すると、霧化手段41の駆動を停止し、所定時間T3だけ放置する。この時間帯により薬剤が便器に内面の汚れに浸透して、さらに汚れを剥離させるように作用する。
【0036】
時間T3が経過すると、元電磁弁29を所定時間T4だけ開弁し、水ポンプ33の運転によって設定流量Qに制御され、ノズル切換手段37は便器洗浄ノズル36側に連通して便器10内に供給される。便器洗浄ノズル36より洗浄水を便器の内面に噴射して、汚れと共に薬剤を洗い流す。この時、温水ユニット31の運転は必要ないが、水温が低い場合はすすぎの効果を上げるのに温水ユニット31を運転してもよい。そして、時間T4経過後に元電磁弁29を閉弁して停止する。
【0037】
なお、第1の実施の形態では薬剤加熱、薬剤噴霧、放置、すすぎを実行する例を説明したが、それに限定されるものではない。例えば、放置時間T3をなくして時間を短縮したり、前記すすぎを、一般に備えられている便器自身の水洗機能を利用することもできる。また、便器の汚れが少ない場合は、薬剤加熱行程または薬剤噴霧工程を省略してもよい。
【0038】
また、本第1の実施の形態での薬剤加熱では60℃まで加熱するようにしたが、更に高温に加熱することにより、さらに汚れの剥離効果や溶解効果が上がり、洗浄性能が向上することができる。
【0039】
以上述べたように本第1の実施の形態では、便器洗浄ノズル36による温水吐出で、便器内の洗浄面の温度が上昇するので、薬剤を噴霧した場合の洗浄効果が高くなり、使用する薬剤の量を減らすことができる。
【0040】
また、便器洗浄スイッチ23を設けたので、トイレ掃除など必要時に押釦することで、薬剤吐出手段39の薬剤吐出動作と、便器洗浄ノズル36の温水吐出動作とを自動的に連動させ便器洗浄が実行されるので、使い勝手がよい。
【0041】
また、着座検知手段16を備え、この着座検知手段16の信号が非着座状態時のみ便器洗浄を実行するので、着座時に便器洗浄時の温冷水や薬剤が吐出されることがないので、使い勝手が向上する。
【0042】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における洗浄装置としての衛生洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。図5において、実施の形態1と異なる所は、薬剤吐出手段45を、薬剤を貯留する薬剤タンク46と、薬剤を便器内面に噴霧する薬剤ノズル47と、薬剤タンク46から薬剤ノズル47に薬剤を搬送加圧する搬送手段48とで構成した点にあり、それ以外の実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる所を中心に説明する。加熱手段43は、実施の形態1と同様に薬剤タンク46に内設した電気ヒータより構成している。
【0043】
薬剤ノズル47は、開放端を便器内面全体に拡散するように配置されており、被洗浄面である便器内部に貯まる水洗水喫水線より上部の壁面全体に薬剤を噴霧できるように構成される。搬送手段48は、薬剤を搬送するポンプであり、ギヤポンプ、プランジャポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベーンポンプなど圧力が得られるタイプが望ましい。また、閉止機能のないポンプを用いる場合は薬剤が漏れ出さないように、薬剤の搬送路中に逆止弁(図示せず)を設けてもよい。
【0044】
第2の実施の形態では、薬剤ノズル47により便器内面に薬剤を噴霧するので、便器内部の水面を避けて、便器壁面に集中して薬剤を噴霧させることができる。したがって、薬剤が無駄なく汚れ面に塗布されるので、薬剤の利用効率が高い。
【0045】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における洗浄装置としての衛生洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。図6において、実施の形態1と異なる所は、薬剤吐出手段49を、薬剤を貯留する薬剤タンク50と、薬剤を便器内面に噴霧する薬剤ノズル47と、薬剤タンク50から薬剤ノズル47に薬剤を搬送加圧する搬送手段48とで構成し、搬送手段48と薬剤ノズル47との間に加熱手段51を設け、搬送手段48により搬送される薬剤を直接加熱する点にあり、それ以外の実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる所を中心に説明する。加熱手段51は、電気ヒータを内蔵して薬剤を吐出する時にだけ瞬間加熱する。内蔵する前記の電気ヒータは、ワット密度の高いセラミックヒータやシーズヒータで構成される。
【0046】
第3の実施の形態では、加熱手段51により、噴霧する薬剤だけを加熱するので、薬剤タンク50からの放熱ロスがなく、省エネルギーな加熱ができる。また、搬送手段48の下流側に加熱手段51を設けたので、搬送手段48を耐熱構成にする必要がなくなり、耐久性や信頼性が良くなる。また、薬剤を瞬間加熱するので噴霧途中で薬剤の加熱温度を任意に変更することができる。
【0047】
したがって、便器の汚れ具合や、洗浄状況によって温度を変更できる。例えば、落ちにくい頑固な汚れは高温の薬剤を噴霧し、軽度の汚れでは低温の薬剤を噴霧するなどの使い分けができる。その結果、洗浄性能を高いレベルに維持しながら、加熱手段51による消費熱量を抑えることができる。
【0048】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における洗浄装置としての衛生洗浄装置の水回路を示す模式図を示すものである。図7において、実施の形態3と異なる所は、薬剤吐出手段52における薬剤を便器内面に吐出する洗浄ノズル53を、図6に示す水吐出手段としての便器洗浄ノズル36と兼用する点にあり、それ以外の実施の形態3と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略し、異なる所を中心に説明する。
【0049】
洗浄ノズル53は、ノズル切換手段37から供給される洗浄水と薬剤タンク50から供給される薬剤とを選択的に切換える流路切換手段54を上流に設け、便器洗浄を行なう場合は、流路切換手段54を薬剤タンク50と洗浄ノズル53が連通するように切換えて、搬送手段48と加熱手段51を運転して、高温の薬剤を洗浄ノズル53から便器内面に向けて吐出する。薬剤噴霧を終えた後、流路切換手段54によりノズル切換手段37と洗浄ノズル53が連通するように切換えてノズル切換手段37は洗浄ノズル53側に切換え、元電磁弁29を開き、水ポンプ33を駆動する。そして、洗浄ノズル53からは水道水を便器内面に吐出させて、便器内面の薬剤をすすぐ。
【0050】
本実施の形態では、薬剤を吐出するノズルとすすぎの水を吐出するノズルを1つのノズルで兼用できるため、構成が簡単で、コストも低くできる。なお、本実施の形態では、加熱手段を実施の形態3のように瞬間加熱の構成としたが、実施の形態2のように薬剤タンクに内蔵させた貯湯加熱の構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる洗浄装置は、薬剤を用いた洗浄において薬剤温度を上昇させて被洗浄面に吐出することにより、洗浄効果を高めて薬剤の使用量を減らすもので、便器の洗浄のほか、温水洗浄便座本体や便座の洗浄、浴槽洗浄や洗面ボールの洗浄、台所のシンク内の洗浄、車両洗浄装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1における洗浄装置としての衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における同衛生洗浄装置のリモコンの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における同衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図4】本発明の実施の形態1における同衛生洗浄装置のタイムチャート
【図5】本発明の実施の形態2における同衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図6】本発明の実施の形態3における同衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図7】本発明の実施の形態4における同衛生洗浄装置の水回路構成のブロック図
【図8】従来の洗浄装置の水回路構成のブロック図
【符号の説明】
【0053】
10 便器
11 洗浄装置
36 水吐出手段
39、45、49、52 薬剤吐出手段
40、46、50 薬剤タンク
41 霧化手段
43、51 加熱手段(電気ヒータ)
47 薬剤ノズル
48 搬送手段
53 洗浄ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄面に薬剤を吐出する薬剤吐出手段と、前記薬剤の温度を上昇させる加熱手段とを備え、前記加熱手段により薬剤を加熱して吐出する洗浄装置。
【請求項2】
薬剤吐出手段は、薬剤を貯留する薬剤タンクと、薬剤を被洗浄面に吐出する薬剤ノズルと、前記薬剤タンクから薬剤ノズルに薬剤を搬送する搬送手段とで構成し、加熱手段は、前記薬剤タンクに貯留する薬剤を加熱するヒータを備えた請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
薬剤吐出手段は、薬剤を貯留する薬剤タンクと、薬剤を被洗浄面に吐出する薬剤ノズルと、前記薬剤タンクから薬剤ノズルに薬剤を搬送する搬送手段とで構成し、加熱手段は、前記搬送手段により搬送される薬剤を加熱するヒータを備えた請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
被洗浄面に吐出された薬剤を水で洗い流す水吐出手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
薬剤吐出手段は、薬剤を被洗浄面に吐出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄ノズルは、水吐出手段の水を吐出するノズルも兼ねる請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
薬剤を霧化する霧化手段を備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−322213(P2006−322213A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146229(P2005−146229)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】