説明

洗浄装置

【課題】不純物による洗浄液の汚染を防いでリード端子部を洗浄することのできる洗浄装置を提供する。
【解決手段】ノズル1は、外筒部2と、外筒部2の内部に配設された内筒部3と、外筒部2を貫通して内筒部3に接続し、内筒部3を外筒部2の長手方向に沿ってピストン駆動するエアシリンダ4とを備える。外筒部2は、内筒部3の周囲に設けられた2つのラビリンスシール9,10によって、内部を3つの部屋に分けられている。第1の部屋11には、配管8に接続する第1の開口部5が設けられている。内筒部3は、第1の部屋11に設けられた第4の開口部14と、第2の部屋12に設けられた第5の開口部15とを有する。第5の開口部15には水蒸気17を噴射する噴射部16が接続していて、噴射部16は第2の部屋12から外筒部2を貫通して外部に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関し、より詳しくは、表示パネルのリード端子部の洗浄に適した洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルや有機LEDパネルなどの表示パネルには、パネル内の電極と電気的に接続するリード端子部が設けられている。リード端子部には、例えば、フレキシブル基板などからなる外部制御基板が接続する。この場合、表示パネルは、偏光板の貼り付け工程や点灯検査工程などを経た後で、外部制御基板を接続する工程に供される。このため、外部制御基板の接続は、リード端子部を洗浄してから行われる。偏光板の貼り付け工程などにおいて、リード端子部に異物が付着すると、接続不良が起こったり、リード端子部を腐食させたりするからである。
【0003】
リード端子部の洗浄は、従来より、高温の水蒸気をリード端子部に噴射することによって行っている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、リード端子部を損傷することなしに付着した異物を除去することができる。また、紫外線やプラズマを用いた洗浄に比して、偏光板を変質するなどのおそれがなく、コスト的にも有利であるといった利点を備える。
【0004】
【特許文献1】特開2006−205108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来法におけるリード端子部の洗浄は、洗浄装置に設けられたノズルをリード端子部の近傍に近づけ、ノズルからリード端子部に高温の水蒸気を吹き付けることによって行われる。洗浄装置は、純水を加熱して水蒸気を生成するボイラー部を備えており、ノズルは、配管を介してこのボイラー部に接続している。
【0006】
ノズルとボイラー部とを接続する配管には、耐熱性と柔軟性が要求される。前者の特性は、高温の水蒸気が透過するためであり、後者の特性は、ノズルをリード端子部の近傍に近づける他、リード端子部上でノズルを移動させて洗浄を行うためである。これらの特性を満足する材料としては、例えばフッ素樹脂が挙げられる。しかし、フッ素樹脂は高価であるために、ランニングコストの上昇を招くといった問題を生じる。そこで、従来より、金属製の配管が使用されている。この場合、配管には、柔軟性を持たせるために、蛇腹構造が採用される。
【0007】
ところで、ボイラー部には、純水を貯めるタンクが設けられている。タンク内の純水は必要に応じて補給されるが、補給の際に空気中の不純物が純水に混入することがある。不純物としては、具体的には、ナトリウム、塩素、金属錆、バクテリアまたはオイルミストなどが挙げられる。混入した不純物は、水蒸気とともにリード端子部に吹き付けられた後、この部分に残渣となって残る。そこで、残渣が確認された場合には、過酸化水素などで配管内を洗浄している。しかしながら、蛇腹部分を十分に洗浄することは困難であり、不純物が排出されずに堆積して水蒸気を汚染してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、こうした問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、不純物による洗浄液の汚染を防いでリード端子部を洗浄することのできる洗浄装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的および利点は以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、洗浄液を加熱して気体にする洗浄気体生成部と、
前記洗浄気体生成部で生成した洗浄気体を噴射するノズルと、
前記洗浄気体生成部と前記ノズルを接続する配管とを備えた洗浄装置であって、
前記配管は、金属からなるとともになだらかな曲面の内壁を有していて、
前記ノズルは、外筒部と、該外筒部の内部に配設された内筒部と、該外筒部を貫通して該内筒部に接続し、該内筒部を該外筒部の長手方向に沿ってピストン駆動する駆動部とを備えていて、
前記外筒部は、該外筒部と前記内筒部との間に設けられたラビリンスシールによって、内部を3つの部屋に分けられており、これらのラビリンスシールによって分けられた第1の部屋には、前記配管に接続する第1の開口部が設けられていて、前記長手方向に沿って前記第1の部屋の両側にそれぞれ位置する第2の部屋と第3の部屋は、前記内筒部が駆動されるのに伴って容積が変化し、
前記内筒部は、前記第1の部屋に設けられた第4の開口部と、前記第2の部屋に設けられた第5の開口部とを有しており、該第5の開口部には前記洗浄気体を噴射する噴射部が接続されていて、該噴射部は前記第2の部屋から前記外筒部を貫通して外部に突出していることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2の態様は、洗浄液を加熱して気体にする洗浄気体生成部と、
前記洗浄気体生成部で生成した洗浄気体を噴射するノズルと、
前記洗浄気体生成部と前記ノズルを接続する配管とを備えた洗浄装置であって、
前記ノズルは、外筒部と、該外筒部の内部に配設された内筒部と、該外筒部に接続し、該外筒部を該内筒部の長手方向に沿ってピストン駆動する駆動部とを備えていて、
前記外筒部は、該外筒部と前記内筒部との間に設けられたラビリンスシールによって、内部を3つの部屋に分けられており、これらのラビリンスシールによって分けられた第1の部屋には、前記洗浄気体を噴射する噴射部に接続する第1の開口部が設けられていて、前記長手方向に沿って前記第1の部屋の両側にそれぞれ位置する第2の部屋と第3の部屋は、前記外筒部が駆動されるのに伴って容積が変化し、
前記内筒部は、前記第1の部屋に設けられた第4の開口部と、前記第2の部屋に設けられた第5の開口部とを有していて、
前記配管は、金属からなるとともになだらかな曲面の内壁を有しており、前記外筒部を貫通して前記第5の開口部に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第1の態様および第2の態様において、前記ラビリンスシールは、3段以上の絞り片を有することが好ましい。
【0013】
本発明の第1の態様および第2の態様において、前記第2の部屋と前記第3の部屋には、それぞれ第2の開口部と第3の開口部が設けられていて、
前記ラビリンスシールから前記第2の部屋および前記第3の部屋に漏れた前記洗浄気体は、前記第2の開口部および前記第3の開口部を通じて外部に排出されることが好ましい。
この場合、前記第2の開口部および前記第3の開口部は、それぞれ他の配管を介して真空ポンプに接続されていることが好ましい。
【0014】
本発明の第1の態様および第2の態様において、前記駆動部は、エアシリンダであることが好ましい。
【0015】
本発明の第1の態様および第2の態様において、前記洗浄液は純水とすることができ、前記洗浄気体は水蒸気とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配管の内壁をなだらかな形状とすることができるので、不純物による洗浄液の汚染を防いでリード端子部を洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1.
本実施の形態における洗浄装置は、純水を加熱して水蒸気を生成するボイラー部と、ボイラー部で生成した水蒸気を噴射するノズルと、ボイラー部とノズルを接続する配管と、表示パネルを搬送および固定する手段とを有する。尚、ボイラー部は、本発明における洗浄気体生成部に対応する。
【0018】
配管には、金属製であって、なだらかな形状の内壁を有するものを用いる。具体的には、なだらかな曲面の内壁を有することが好ましく、例えば、円筒形の配管を用いることができる。このように、本実施の形態では、従来の配管で採用していた蛇腹構造を用いない。つまり、本実施の形態では、配管に柔軟性は必要とされず、配管は、洗浄装置内で固定された状態とすることができる。
【0019】
配管に蛇腹構造を用いないことによって、水蒸気に含まれる不純物が内壁に付着して堆積してしまうのを防ぐことができる。これは、内壁がなだらかな曲面であるために、内壁に不純物が付着しても、配管内を洗浄することにより、付着した不純物を容易に除去できるからである。
【0020】
ボイラー部や、表示パネルを搬送および固定する手段に特に制限はなく、それぞれの機能を満足できるものであればよい。尚、ボイラー部では、純水以外の洗浄液を用いて、水蒸気以外の洗浄気体を生成することも可能である。
【0021】
図1は、ノズルの模式的な断面図である。この図に示すように、ノズル1は、外筒部2と、外筒部2の内部に配設された内筒部3と、外筒部2を貫通して内筒部3に接続し、内筒部3を駆動する駆動部としてのエアシリンダ4とを有する。エアシリンダ4の働きによって、内筒部3は、外筒部2の内部で、外筒部2の長手方向に沿ってピストン運動できるようになっている。一方、外筒部2は洗浄装置に固定されているものとする。
【0022】
外筒部2には、第1の開口部5、第2の開口部6および第3の開口部7が設けられている。第1の開口部5は配管8に接続しており、配管8を通じて水蒸気17が第1の開口部5から外筒部2の内部に流入する。ここで、外筒部2の内部は、内筒部3と外筒部2の間に設けられた2つのラビリンスシール9,10によって、3つの部屋に分かれており、水蒸気17は、第1の開口部5から、これらのラビリンスシールで挟まれた第1の部屋11に流入する。尚、外筒部2の長手方向に沿って第1の部屋11の両側には、第2の部屋12と第3の部屋13がそれぞれ隣接している。
【0023】
内筒部3には2つの開口部が設けられており、第4の開口部14は、第1の部屋11の内部に位置し、第5の開口部15は第2の部屋12に位置する。第5の開口部15には、水蒸気の噴射部16が設けられており、噴射部16は、第2の部屋12から外筒部2を貫通して外部に突出している。
【0024】
第1の開口部5から第1の部屋11に流入した水蒸気17は、第4の開口部14より内筒部3の内部に入る。このとき、第1の部屋11と第2の部屋12の間は第1のラビリンスシール9によって、第1の部屋11と第3の部屋13の間は第2のラビリンスシール10によって、それぞれ隔てられているので、第1の部屋11に流入した水蒸気17が第2の部屋12や第3の部屋13に流入するのは抑制される。
【0025】
内筒部3の内部に流入した水蒸気17は、第5の開口部15から噴射部16を通じて、ノズル1の外部に噴出される。したがって、噴射部16の先に表示パネルのリード端子部(図示せず)を搬送し固定することによって、リード端子部の洗浄を行うことができる。
【0026】
図2(a)および(b)は、ノズルの動作を示す図である。尚、これらの図において、図1と同じ符号を付した部分は、図1と同じものであることを示している。
【0027】
図2(a)の状態にあるノズルは、内筒部3が外筒部2の長手方向に移動することによって、図2(b)の状態に変化する。図2(a)の状態では、第2の部屋12の容積より第3の部屋13の容積の方が小さいが、第1の部屋11が図の右方向に移動して、図2(b)の状態になると、第2の部屋12の容積より第3の部屋13の容積の方が大きくなる。このように、第2の部屋12と第3の部屋13は、内筒部3が駆動されるのに伴って容積が変化する。
【0028】
図2(a)の状態と図2(b)の状態では、外筒部2から突出している噴射部16の長さが異なる。つまり、内筒部3を外筒部2の内部でピストン運動させることにより、噴射部16からリード端子部までの距離を変えることができる。より詳しくは、図2(a)の状態から図2(b)の状態とすることによって、配管8や外筒部2を動かさずに、噴射部16をリード端子に近づけることができる。噴射部16の可動距離は、内筒部と外筒部の寸法を調整することにより、例えば、200mm〜300mm程度とすることができる。
【0029】
尚、第1のラビリンスシール9および第2のラビリンスシール10は、いずれも内筒部3の周囲に設けられており、内筒部3の移動に伴ってこれらも移動する。したがって、内筒部3がピストン運動を繰り返しても、第1の部屋11からの水蒸気の漏れは抑制される。尚、第1のラビリンスシール9および第2のラビリンスシール10は、外筒部2の内側に設けられていてもよい。
【0030】
このように、本実施の形態によれば、従来のようにノズルに接続する配管を蛇腹構造としなくても、リード端子部の近傍にノズルの先端を近づけることが可能である。これにより、水蒸気中に含まれる不純物が配管の内部に堆積するのを抑制できるので、洗浄液が不純物によって汚染されるのを防ぐことができる。
【0031】
次に、本実施の形態におけるラビリンスシールについて説明する。
【0032】
ラビリンスシールは、流体の漏れを減少させるシールの1つである。ラビリンスシールは、動作部と静止部との隙間に設けられた絞り片(フィン)からなり、これによって、隙間から流体が漏れるのが抑制される。本実施の形態においては、動作部が内筒部3に対応し、静止部が外筒部2に対応する。
【0033】
図3は、ラビリンスシールの基本的な形状を示す図である。この図では、絞り片の段数を2としている。尚、図において、εは隙間を、δは絞り片の厚さを、hは絞り片の高さを、sは絞り片間の距離を、それぞれ表している。
【0034】
ラビリンスシールの効果に関係する流れの作用には、主として、流体の粘性による摩擦効果、絞り口(絞り片の先端)における縮流効果、圧縮性流体に対する熱力学的効果などがある。
【0035】
図3において、流体を水蒸気とすると、流入口から第1の絞り片101までの領域A、第1の絞り片101から第2の絞り片102までの領域B、第2の絞り片102から流出口までの領域Cの各領域ごとに、略一定の圧力場が生じる。圧力の大きさは、A>B>Cの順である。この圧力差によって、領域Aにある水蒸気の一部は、第1の絞り片101を乗り越えて領域Bに移動する。さらに、領域Bにある水蒸気の一部は、第2の絞り片102を乗り越えて領域Cに移動する。
【0036】
ラビリンスシールを設けることによって、図1で、第1の部屋11から第2の部屋12および第3の部屋13に水蒸気が漏れるのを抑制することができる。しかし、上述したように、完全に漏れが防がれるわけではなく、水蒸気の一部は第2の部屋12や第3の部屋13に流入する。流入した水蒸気は凝縮して水になるので、そのままでは内筒部3のピストン運動を妨げるようになる。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、第2の開口部6と第3の開口部7に配管18,19を接続し、これらの配管を通じて、第2の部屋12や第3の部屋13に流入した水が排水されるようにしている。この際、真空ポンプなどを用いて、配管18,19から水が吸引されるようにすれば、効果的に排水を行うことが可能となる。
【0038】
第2の開口部6と第3の開口部7は、内筒部3がピストン運動をしても、常に第2の部屋12と第3の部屋13にそれぞれ位置し、第1の部屋11の内部に位置することはないようにする。これにより、配管8を通じて第1の部屋11に流入した水蒸気が、第2の開口部6または第3の開口部7から外部に排出されてしまうのを防ぐことができる。
【0039】
一方、第1の開口部5は、内筒部3がピストン運動をしても、常に第1の部屋11の内部に位置するようにする。第1の開口部5が、第2の部屋12や第3の部屋13にあると、配管8からの水蒸気17を内筒部3に導くことはできず、水蒸気は、第2の開口部6や第3の開口部7から外部に排出されてしまう。第1の部屋11に第1の開口部5が位置するようにすることによって、こうした事態が生ずるのを防ぐことができる。
【0040】
ラビリンスシールでは、絞り片の段数が増加するほど流体の漏れを抑制することができる。本実施の形態では、第1のラビリンスシール9および第2のラビリンスシール10の段数は、いずれも3以上とする。
【0041】
以上述べたように、本実施の形態によれば、配管に蛇腹構造を採用せず、なだらかな形状の内壁としているので、配管内に不純物が堆積するのを防ぐことができる。したがって、不純物による水蒸気の汚染を防いでリード端子部を洗浄することが可能となる。
【0042】
実施の形態2.
本実施の形態における洗浄装置も、実施の形態1と同様に、純水を加熱して水蒸気を生成するボイラー部と、ボイラー部で生成した水蒸気を噴射するノズルと、ボイラー部とノズルを接続する配管と、表示パネルを搬送および固定する手段とを有する。尚、ボイラー部は、本発明における洗浄気体生成部に対応する。
【0043】
配管には、金属製であって、なだらかな形状の内壁を有するものを用いる。具体的には、なだらかな曲面の内壁を有することが好ましく、例えば、円筒形の配管を用いることができる。このように、本実施の形態では、従来の配管で採用していた蛇腹構造を用いない。つまり、本実施の形態では、配管に柔軟性は必要とされず、配管は、洗浄装置内で固定された状態とすることができる。
【0044】
配管に蛇腹構造を用いないことによって、水蒸気に含まれる不純物が内壁に付着して堆積してしまうのを防ぐことができる。これは、内壁がなだらかな曲面であるために、内壁に不純物が付着しても、配管内を洗浄することにより、付着した不純物を容易に除去できるからである。
【0045】
ボイラー部や、表示パネルを搬送および固定する手段に特に制限はなく、それぞれの機能を満足できるものであればよい。尚、ボイラー部では、純水以外の洗浄液を用いて、水蒸気以外の洗浄気体を生成することも可能である。
【0046】
図4は、実施の形態2の例としてのノズルの模式的な断面図である。この図に示すように、ノズル21は、外筒部22と、外筒部22の内部に配設された内筒部23と、外筒部22に接続して外筒部22を駆動する駆動部としてのエアシリンダ24とを有する。エアシリンダ24の働きによって、外筒部22は、内筒部23の長手方向に沿ってピストン運動する。一方、内筒部23は、配管28に接続していて洗浄装置に固定されている。
【0047】
外筒部22には、第1の開口部25、第2の開口部26および第3の開口部27が設けられている。また、外筒部22の内部は、内筒部23と外筒部22の間に設けられた2つのラビリンスシール29,30によって、3つの部屋に分かれている。中央には第1の部屋31が位置し、外筒部22の長手方向に沿って第1の部屋31の両側には、第2の部屋32と第3の部屋33がそれぞれ隣接している。
【0048】
内筒部23には2つの開口部が設けられており、第4の開口部34は、第1の部屋31の内部に位置し、第5の開口部35は第2の部屋32に位置する。配管28は、外筒部22を貫通して第5の開口部35に接続しており、配管28を通じて水蒸気37が第5の開口部35から内筒部23の内部に流入する。
【0049】
第5の開口部35に入った水蒸気37は、第4の開口部34から第1の部屋31に流出する。ここで、第1の部屋31には第1の開口部25が設けられており、第1の開口部25には噴射部36が接続されている。第1の部屋31に入った水蒸気37は、第1の開口部25から噴射部36を通って外部に噴射される。したがって、噴射部36の先に表示パネルのリード端子部(図示せず)を搬送し固定することによって、リード端子部の洗浄を行うことができる。
【0050】
尚、第1の部屋31と第2の部屋32の間は第1のラビリンスシール29によって、第1の部屋31と第3の部屋33の間は第2のラビリンスシール30によって、それぞれ隔てられているので、第1の部屋31に流入した水蒸気37が、第2の部屋32や第3の部屋33に流入するのは抑制される。
【0051】
このように、本実施の形態のノズルは、内筒部23が配管28に接続して洗浄装置に固定されており、外筒部22が内筒部23の長手方向に沿ってピストン駆動される点で、実施の形態1と異なる。但し、内筒部23の周囲に設けられた2つのラビリンスシール29,30によって、第1の部屋11から第2の部屋32および第3の部屋33へ水蒸気37が漏れるのを防止する点や、外筒部22がピストン駆動されるのに伴って、第2の部屋32と第3の部屋33の容積が変化する点は、実施の形態1と同様である。
【0052】
第1のラビリンスシール29および第2のラビリンスシール30としては、実施の形態1と同様のものを用いることができる。絞り片の段数が増加するほど流体の漏れを抑制することができるので、段数はいずれも3以上とすることが好ましい。
【0053】
外筒部22がピストン駆動されると、噴射部36の位置は、図4の横方向に移動する。すなわち、外筒部22が駆動されることによって、配管28や内筒部23を動かさずに、噴射部36をリード端子上で移動させることができる。噴射部36の可動距離は、内筒部と外筒部の寸法を調整することにより、例えば、200mm〜300mm程度とすることができる。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、従来のようにノズルに接続する配管を蛇腹構造としなくても、リード端子部上でノズルを移動させることが可能である。これにより、水蒸気中に含まれる不純物が配管の内部に堆積するのを抑制できるので、洗浄液が不純物によって汚染されるのを防ぐことができる。
【0055】
本実施の形態においても、水蒸気の漏れをラビリンスシールで完全に防止することはできない。流入した水蒸気は凝縮して水になり、外筒部22のピストン運動を妨げるようになる。したがって、第2の開口部26と第3の開口部27に配管38,39を接続し、これらの配管を通じて、第2の部屋32や第3の部屋33に流入した水が排水されるようにすることが好ましい。この際、真空ポンプなどを用いて、配管38,39から水が吸引されるようにすれば、効果的に排水を行うことができる。
【0056】
第2の開口部26と第3の開口部27は、外筒部22がピストン運動をしても、常に第2の部屋32と第3の部屋33にそれぞれ位置し、第1の部屋31の内部に位置することはないようにする。これにより、第4の開口部34から第1の部屋31に流入した水蒸気37が、第2の開口部26または第3の開口部27から外部に排出されてしまうのを防ぐことができる。
【0057】
一方、第1の開口部25は、外筒部22がピストン運動をしても、常に第1の部屋31の内部に位置するようにする。第1の開口部25が、第2の部屋32や第3の部屋33にあると、配管28からの水蒸気17を噴射部36に導くことができない。第1の部屋31に第1の開口部25が位置するようにすることによって、こうした事態が生ずるのを防ぐことができる。
【0058】
以上述べたように、本実施の形態によれば、配管に蛇腹構造を採用せず、なだらかな形状の内壁としているので、配管内に不純物が堆積するのを防ぐことができる。したがって、不純物による水蒸気の汚染を防いでリード端子部を洗浄することが可能となる。
【0059】
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態1におけるノズルの断面模式図である。
【図2】(a)および(b)は、図1のノズルの動作図である。
【図3】ラビリンスシールの基本的な形状を示す図である。
【図4】実施の形態2におけるノズルの断面模式図である。
【符号の説明】
【0061】
1,21 ノズル
2,22 外筒部
3,23 内筒部
4,24 エアシリンダ
5,25 第1の開口部
6,26 第2の開口部
7,27 第3の開口部
8,18,19,28,38,39 配管
9,29 第1のラビリンスシール
10,30 第2のラビリンスシール
11,31 第1の部屋
12,32 第2の部屋
13,33 第3の部屋
14,34 第4の開口部
15,35 第5の開口部
16,36 噴射部
17,37 水蒸気
101 第1の絞り片
102 第2の絞り片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を加熱して気体にする洗浄気体生成部と、
前記洗浄気体生成部で生成した洗浄気体を噴射するノズルと、
前記洗浄気体生成部と前記ノズルを接続する配管とを備えた洗浄装置であって、
前記配管は、金属からなるとともになだらかな曲面の内壁を有していて、
前記ノズルは、外筒部と、該外筒部の内部に配設された内筒部と、該外筒部を貫通して該内筒部に接続し、該内筒部を該外筒部の長手方向に沿ってピストン駆動する駆動部とを備えていて、
前記外筒部は、該外筒部と前記内筒部との間に設けられたラビリンスシールによって、内部を3つの部屋に分けられており、これらのラビリンスシールによって分けられた第1の部屋には、前記配管に接続する第1の開口部が設けられていて、前記長手方向に沿って前記第1の部屋の両側にそれぞれ位置する第2の部屋と第3の部屋は、前記内筒部が駆動されるのに伴って容積が変化し、
前記内筒部は、前記第1の部屋に設けられた第4の開口部と、前記第2の部屋に設けられた第5の開口部とを有しており、該第5の開口部には前記洗浄気体を噴射する噴射部が接続されていて、該噴射部は前記第2の部屋から前記外筒部を貫通して外部に突出していることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
洗浄液を加熱して気体にする洗浄気体生成部と、
前記洗浄気体生成部で生成した洗浄気体を噴射するノズルと、
前記洗浄気体生成部と前記ノズルを接続する配管とを備えた洗浄装置であって、
前記ノズルは、外筒部と、該外筒部の内部に配設された内筒部と、該外筒部に接続し、該外筒部を該内筒部の長手方向に沿ってピストン駆動する駆動部とを備えていて、
前記外筒部は、該外筒部と前記内筒部との間に設けられたラビリンスシールによって、内部を3つの部屋に分けられており、これらのラビリンスシールによって分けられた第1の部屋には、前記洗浄気体を噴射する噴射部に接続する第1の開口部が設けられていて、前記長手方向に沿って前記第1の部屋の両側にそれぞれ位置する第2の部屋と第3の部屋は、前記外筒部が駆動されるのに伴って容積が変化し、
前記内筒部は、前記第1の部屋に設けられた第4の開口部と、前記第2の部屋に設けられた第5の開口部とを有していて、
前記配管は、金属からなるとともになだらかな曲面の内壁を有しており、前記外筒部を貫通して前記第5の開口部に接続されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
前記ラビリンスシールは、3段以上の絞り片を有することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第2の部屋と前記第3の部屋には、それぞれ第2の開口部と第3の開口部が設けられていて、
前記ラビリンスシールから前記第2の部屋および前記第3の部屋に漏れた前記洗浄気体は、前記第2の開口部および前記第3の開口部を通じて外部に排出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第2の開口部および前記第3の開口部は、それぞれ他の配管を介して真空ポンプに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記駆動部は、エアシリンダであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄液は純水であり、前記洗浄気体は水蒸気であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−132462(P2008−132462A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322209(P2006−322209)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】