説明

洗浄装置

【課題】周囲の環境に悪影響を及ぼすことのない洗浄装置を提供する。
【解決手段】2流体ノズル2と、2流体ノズル2に加圧された気体を供給するための気体供給手段3と、2流体ノズル2に洗浄液を供給するための専用のポンプ4を備えた洗浄液供給手段5と、2流体ノズル2に対する加圧された気体の供給および停止を行うために、2流体ノズル2と気体供給手段3とを接続する気体導入路6に配設されている気体用電磁弁9とを有している洗浄装置1において、気体導入路6に配設する気体用電磁弁9を2ポート電磁弁とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に係り、特に、2流体ノズルを用いた洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示パネルなどの各種の光学パネルの基板、シリコンウエハなどの半導体基板、光ディスクの基板、回路基板などの各種の基板を始め多種多様の洗浄対象物に付着した異物の除去などの洗浄を2流体ノズルを用いて行う洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
2流体ノズルは、洗浄液と圧縮空気などの加圧された気体とを混合してミスト化した洗浄液を生成して噴霧することができるように形成されている。また、加圧された気体は、洗浄に供するために2流体ノズルからミスト化されて噴霧される洗浄液の微細な粒子を洗浄対象物に搬送するキャリアとして機能するようになっている。
【0004】
このような従来の洗浄装置は、2流体ノズルと、2流体ノズルに加圧された気体、例えば圧縮空気を供給するため気体供給手段と、2流体ノズルに洗浄液を供給するための専用のポンプを備えた洗浄液供給手段とを有している。また、2流体ノズルと気体供給手段とを接続する気体導入路には、2流体ノズルに対する加圧された気体の供給および停止を行うための気体用電磁弁が配設されている。この気体用電磁弁としては、入口、出口および排出口の3ポートを備え、非通電状態において入口が閉じ、出口と排出口が連通する常時閉(NC)タイプの3ポート電磁弁が用いられており、洗浄終了後にポンプを停止させた際に、2流体ノズルを介して気体導入路に入り込んだ洗浄液を排出口から外部に排出することができるようになっている。
【0005】
なお、洗浄液が2流体ノズルを介して気体導入路に入り込むのは、ポンプを停止させても、2流体ノズルで消費されずに洗浄液導入路に存在する洗浄液が残圧として残っており、この残圧により、洗浄液が2流体ノズルを介して気体導入路に入り込むからである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−001199号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の洗浄装置においては、洗浄終了後に、残圧により気体導入路に入り込んだ洗浄液を気体用電磁弁により外部に排出する構成とされているために、気体用電磁弁から外部に排出される洗浄液が周囲に飛散したりして、周囲の環境に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0008】
なお、従来の洗浄装置においては、2流体ノズルを介しての気体導入路への洗浄液の入り込み、あるいは、洗浄液導入路への加圧された気体の入り込みが発生し、洗浄に供するために2流体ノズルから噴霧されるミスト化された洗浄液の粒子径や密度が安定せずに、洗浄能力が不安定になるという問題点もあった。
【0009】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、周囲の環境に悪影響を及ぼすことのない洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る洗浄装置の特徴は、2流体ノズルと、前記2流体ノズルに加圧された気体を供給するための気体供給手段と、前記2流体ノズルに洗浄液を供給するための専用のポンプを備えた洗浄液供給手段と、前記2流体ノズルに対する加圧された気体の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記気体供給手段とを接続する気体導入路に配設されている気体用電磁弁とを有している洗浄装置において、前記気体用電磁弁が2ポート電磁弁である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、洗浄終了後に、残圧により気体導入路に入り込んだ洗浄液が気体用電磁弁から外部に排出されることがないので、周囲の環境に悪影響を及ぼすのを確実かつ容易に防止することができる。
【0011】
前記気体用電磁弁の開動作と前記ポンプの駆動とを同時に行わせるとともに、前記気体用電磁弁の閉動作と前記ポンプの停止とを同時に行わせる制御手段が配設されていることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、2流体ノズルを介しての気体導入路への洗浄液の入り込み、あるいは、洗浄液導入路への加圧された気体の入り込みを防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る他の洗浄装置の特徴は、2流体ノズルと、前記2流体ノズルに加圧された気体を供給するための気体供給手段と、前記2流体ノズルに洗浄液を供給するための洗浄液供給手段と、前記2流体ノズルに対する加圧された気体の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記気体供給手段とを接続する気体導入路に配設されている気体用電磁弁と、前記2流体ノズルに対する洗浄液の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記洗浄液供給手段とを接続する洗浄液導入路に配設されている洗浄液用電磁弁とを有している洗浄装置において、前記気体用電磁弁および前記洗浄液用電磁弁のそれぞれが2ポート電磁弁である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、洗浄終了後に、残圧により気体導入路に入り込んだ洗浄液が気体用電磁弁から外部に排出されることがないので、周囲の環境に悪影響を及ぼすのを確実かつ容易に防止することができる。
【0013】
前記気体用電磁弁および前記洗浄液用電磁弁のそれぞれを同時に開動作または閉動作させる制御手段が配設されていることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、気体導入路への洗浄液の入り込み、あるいは、洗浄液導入路への加圧された気体の入り込みを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る洗浄装置によれば、気体用電磁弁を2ポート電磁弁とすることで、洗浄終了後において気体導入路に入り込んだ洗浄液が気体用電磁弁から外部に排出されないので、周囲の環境に悪影響を及ぼすのを確実かつ容易に防止することができるなどの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0016】
図1は本発明に係る洗浄装置の第1実施形態の要部の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の洗浄装置1は、2流体ノズル2と、この2流体ノズル2に加圧された気体を供給するための気体供給手段3と、2流体ノズル2に洗浄液を供給するための専用のポンプ4を備えた洗浄液供給手段5とを有している。
【0018】
前記気体供給手段3は、2流体ノズル2に供給する加圧された気体の供給源となるものである。
【0019】
本実施形態においては、加圧された気体として、製造工場などで一般的に使用されている圧縮空気が用いられている。なお、加圧された気体としては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスその他各種のガスを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の気体供給手段3としては、洗浄装置1だけでなく製造工場の各部に圧縮空気を供給するために配設されたエア配管に、空気タンクおよびアフタークーラなどをこの順に介して圧縮空気の生成源となる空気圧縮機が接続されて構成されている。
【0021】
なお、製造工場などで一般的に用いられている空気圧縮機による空気圧は、0.5MPa程度とされている。また、エア配管には、少なくとも工場の操業時において圧縮空気が常時供給されるようになっている。
【0022】
前記2流体ノズル2と気体供給手段3とは、気体導入路としての気体導入配管6により接続されている。
【0023】
すなわち、本実施形態の気体導入配管6は、一端が2流体ノズル2、詳しくは2流体ノズル2の気体導入口を備えた気体導入部7に接続されており、他端が気体供給手段3、詳しくは気体供給手段3のエア配管に接続されている。
【0024】
前記気体導入配管6には、2流体ノズル2側から気体用逆止弁8、気体用電磁弁9、気体用減圧弁10およびフィルタ11がこの順に配設されている。
【0025】
前記気体用逆止弁8は、2流体ノズル2側からの洗浄液の入り込みを防止するためのものであり、気体用電磁弁9から2流体ノズル2に向かう方向の圧縮空気の流動を許容し、2流体ノズル2から気体用電磁弁9に向かう方向の圧縮空気の流動を阻止するようになっている。したがって、気体用逆止弁8は、2流体ノズル2にできるだけ近接させて配置することが好ましい。勿論、支障がなければ、2流体ノズル2の気体導入部7に気体用逆止弁8を直接取り付けるようにしてもよい。
【0026】
前記気体用電磁弁9は、2流体ノズル2に対する圧縮空気の供給および停止を行うためのものであり、本実施形態においては、入口および出口の2ポートを備え、非通電状態において流路が閉じる常時閉(NC)タイプの2ポート電磁弁が用いられている。この気体用電磁弁9は、後述する制御手段としての制御部12と電気的に接続されており、制御部12から送出される制御指令に基づいて所定のタイミングで開閉動作、すなわち、流路が閉じた閉状態と、流路が開いた閉状態との切り換えが制御されるようになっている。
【0027】
前記気体用減圧弁10は、気体用供給手段3のエア配管から気体導入配管6に導入された圧縮空気が所定の流量となるように一定の圧力に減圧して2流体ノズル2に向かって吐出するためのものである。なお、気体用減圧弁10としては、圧力計が付設されたものが2流体ノズル2に供給する圧縮空気の圧力設定や圧力の確認を容易に行うことができるという意味で好ましい。
【0028】
前記フィルタ11は、気体用減圧弁10に導入される圧縮空気に含まれる異物の除去に用いられるものである。
【0029】
なお、気体導入配管6が、空気圧縮機からの距離が長い位置でエア配管と接続されているなどの理由により圧縮空気の圧力降下がある場合や、洗浄性を向上するためなどの理由により、より高い圧力を必要とする場合など、圧縮空気の圧力を増圧(昇圧)する必要がある場合には、圧縮空気の圧力を昇圧するための増圧器(ブースタ)を気体用減圧弁10とフィルタ11との間、あるいは、フィルタ11と気体供給手段3のエア配管との間に配設するとよい。
【0030】
前記洗浄液供給手段5は、2流体ノズル2への洗浄液の供給源となるものであり、本実施形態の洗浄液供給手段5は、専用のポンプ4により、液体タンクに貯留されている洗浄液を汲み上げて所定の圧力で2流体ノズル2に向かって移送することができるように構成されている。また、ポンプ4は、後述する制御部12と電気的に接続されており、制御部12から送出される制御指令に基づいて所定のタイミングで駆動および停止の動作が制御されるようになっている。
【0031】
前記洗浄液としては、水そのものであってもよいし、水に洗浄剤を混合あるいは溶解させたものなど、洗浄対象物に応じて従来公知の各種のものから選択使用することができる。
【0032】
前記2流体ノズル2と洗浄液供給手段5とは、洗浄液導入路としての洗浄液導入配管13により接続されている。
【0033】
すなわち、本実施形態の洗浄液導入配管13は、一端が2流体ノズル2の洗浄液導入口を備えた洗浄液導入部14に接続されており、他端が洗浄液供給手段5、詳しくは洗浄液供給手段5のポンプ4の吐出口に接続されている。
【0034】
前記洗浄液導入配管13には、2流体ノズル2側から洗浄液用逆止弁15、洗浄液用減圧弁16およびストレーナ17がこの順に配設されている。
【0035】
前記洗浄液用逆止弁15は、2流体ノズル2側からの圧縮空気の入り込みを防止するためのものであり、洗浄液用減圧弁16から2流体ノズル2に向かう方向の洗浄液の流動を許容し、2流体ノズル2から洗浄液用減圧弁16に向かう方向の洗浄液の流動を阻止するようになっている。したがって、洗浄液用逆止弁15は、2流体ノズル2にできるだけ近接させて配置することが好ましい。勿論、支障がなければ、2流体ノズル2の洗浄液導入部14に洗浄液用逆止弁15を直接取り付けるようにしてもよい。
【0036】
前記洗浄液用減圧弁16は、洗浄液供給手段5のポンプ4により圧送される洗浄液が所定の流量となるように一定の圧力に減圧して2流体ノズル2に向かって吐出するためのものである。なお、洗浄液用減圧弁16としては、圧力計が付設されたものが2流体ノズル2に供給する洗浄液の圧力設定や圧力の確認を容易に行うことができるという意味で好ましい。
【0037】
前記ストレーナ17は、洗浄液用減圧弁16に導入される洗浄液に含まれる異物の除去に用いられるものである。
【0038】
なお、設計コンセプトなどの必要に応じて、ポンプ4により洗浄液導入配管13を加圧されて移送される洗浄液の少なくとも周期的な圧力の変動である脈動を吸収するためのアキュムレータを洗浄液用減圧弁16とストレーナ17との間、あるいは、ストレーナ17とポンプ4との間に配設するとよい。
【0039】
前記制御部12は、洗浄装置1の各部の動作制御を司るためのものであり、少なくともCPUと、適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリとを有している。そして、メモリには、少なくとも洗浄対象物の洗浄を行う場合に、起動スイッチからの信号を受けて、気体用電磁弁9の開動作とポンプ4の駆動とを同時に行うことができるように気体用電磁弁9とポンプ4とを動作させるプログラムが記憶されている。また、メモリには、少なくとも洗浄対象物の洗浄を終了した場合に、図示しない停止スイッチからの信号を受けて、気体用電磁弁9の閉動作とポンプ4の停止とを同時に行うことができるように気体用電磁弁9とポンプ4とを動作させるプログラムが記憶されている。
【0040】
すなわち、本実施形態の洗浄装置1においては、制御部12からの制御指令に基づいて、気体用電磁弁9の開動作とポンプ4の駆動とを同時に行うことができるとともに、気体用電磁弁9の閉動作とポンプ4の停止とを同時に行うことができるように形成されている。
【0041】
なお、2流体ノズル2の数を複数としてもよい。この場合、気体導入配管6のうちの気体用逆止弁8と2流体ノズル2とを接続する部位を2流体ノズル2の数に応じて分岐させるとともに、洗浄液導入配管13のうちの洗浄液用逆止弁15と2流体ノズル2とを接続する部位を2流体ノズル2の数に応じて分岐させればよい。
【0042】
その他の構成については、公知の洗浄装置と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0043】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0044】
本実施形態の洗浄装置1によれば、気体導入配管6に気体用逆止弁8が配設されているから、洗浄終了後に、残圧により2流体ノズル2側から気体導入路としての気体導入配管6に入り込んだ洗浄液を気体用逆止弁8の配設位置で阻止することができる。
【0045】
また、本実施形態の洗浄装置1によれば、気体用電磁弁9が2ポート電磁弁であるから、洗浄終了後に、残圧により2流体ノズル2側から気体導入路としての気体導入配管6に入り込んだ洗浄液が気体用逆止弁8から漏洩して気体用電磁弁9まで到達したとしても、気体用電磁弁9から外部に排出されることがないので、周囲の環境に悪影響を及ぼすのを確実かつ容易に防止することができる。
【0046】
また、本実施形態の洗浄装置1によれば、気体用電磁弁9の開動作とポンプ4の駆動とを同時に行うことができるとともに、気体用電磁弁9の閉動作とポンプ4の停止とを同時に行うことができるように形成されているから、洗浄開始時、洗浄終了時および洗浄時のいずれにおいても、2流体ノズル2を介しての気体導入路としての気体導入配管6への洗浄液の入り込み、あるいは、洗浄液導入路としての洗浄液導入配管13への加圧された気体としての圧縮空気の入り込みを防止することができる。
【0047】
したがって、本実施形態の洗浄装置1によれば、洗浄に供するために2流体ノズル2から噴霧されるミスト化された洗浄液の粒子径や密度を安定させることができるので、安定した洗浄能力を確実かつ容易に得ることができる。
【0048】
図2は本発明に係る洗浄装置の第2実施形態の要部の構成を示すブロック図である。
【0049】
図2に示すように、本実施形態の洗浄装置21は、2流体ノズル22と、この2流体ノズル22に加圧された気体を供給するための気体供給手段23と、2流体ノズル22に洗浄液を供給するための洗浄液供給手段24とを有している。
【0050】
前記気体供給手段23は、2流体ノズル22に供給する加圧された気体の供給源となるものである。
【0051】
本実施形態においては、加圧された気体として、前述した第1実施形態の洗浄装置1と同様に、製造工場などで一般的に使用されている圧縮空気が用いられている。なお、加圧された気体としては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスその他各種のガスを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0052】
本実施形態の気体供給手段23としては、前述した第1実施形態の洗浄装置1における気体供給手段3と同様に、洗浄装置21だけでなく製造工場の各部に圧縮空気を供給するために配設されたエア配管に、空気タンクおよびアフタークーラなどをこの順に介して圧縮空気の生成源となる空気圧縮機が接続されて構成されている。
【0053】
なお、製造工場などで一般的に用いられている空気圧縮機による空気圧は、0.5MPa程度とされている。また、エア配管には、少なくとも工場の操業時において圧縮空気が常時供給されるようになっている。
【0054】
前記2流体ノズル22と気体供給手段23とは、気体導入路としての気体導入配管25により接続されている。
【0055】
すなわち、本実施形態の気体導入配管25は、一端が2流体ノズル22、詳しくは2流体ノズル22の気体導入口を備えた気体導入部26に接続されており、他端が気体供給手段23、詳しくは気体供給手段23のエア配管に接続されている。
【0056】
前記気体導入配管25には、2流体ノズル22側から気体用逆止弁27、気体用電磁弁28、気体用減圧弁29およびフィルタ30がこの順に配設されている。
【0057】
前記気体用逆止弁27は、2流体ノズル22側からの洗浄液の入り込みを防止するためのものであり、気体用電磁弁28から2流体ノズル22に向かう方向の圧縮空気の流動を許容し、2流体ノズル22から気体用電磁弁28に向かう方向の圧縮空気の流動を阻止するようになっている。したがって、気体用逆止弁27は、2流体ノズル22にできるだけ近接させて配置することが好ましい。勿論、支障がなければ、2流体ノズル22の気体導入部26に気体用逆止弁27を直接取り付けるようにしてもよい。
【0058】
前記気体用電磁弁28は、2流体ノズル22に対する圧縮空気の供給および停止を行うためのものであり、本実施形態においては、入口および出口の2ポートを備え、非通電状態において流路が閉じる常時閉(NC)タイプの2ポート電磁弁が用いられている。この気体用電磁弁28は、後述する制御部31と電気的に接続されており、制御部31から送出される制御指令に基づいて所定のタイミングで開閉動作、すなわち、流路が閉じた閉状態と、流路が開いた閉状態との切り換えが制御されるようになっている。
【0059】
前記気体用減圧弁29は、気体用供給手段23のエア配管から気体導入配管25に導入された圧縮空気が所定の流量となるように一定の圧力に減圧して2流体ノズル22に向かって吐出するためのものである。なお、気体用減圧弁29としては、圧力計が付設されたものが2流体ノズル22に供給する圧縮空気の圧力設定や圧力の確認を容易に行うことができるという意味で好ましい。
【0060】
前記フィルタ30は、気体用減圧弁29に導入される圧縮空気に含まれる異物の除去に用いられるものである。
【0061】
なお、気体導入配管25が、空気圧縮機からの距離が長い位置でエア配管と接続されているなどの理由により圧縮空気の圧力降下がある場合や、洗浄性を向上するためなどの理由により、より高い圧力を必要とする場合など、圧縮空気の圧力を増圧する必要がある場合には、圧縮空気の圧力を昇圧するための増圧器を気体用減圧弁29とフィルタ30との間、あるいは、フィルタ30と気体供給手段23のエア配管との間に配設するとよい。
【0062】
前記洗浄液供給手段24は、2流体ノズル22への洗浄液の供給源となるものであり、本実施形態の洗浄液供給手段24は、洗浄装置21だけでなく製造工場の各部に洗浄液を供給するために配設された液体配管に、液体タンクに貯留されている洗浄液を汲み上げて所定の圧力で移送するポンプが接続されて構成されている。そして、液体配管には、少なくとも工場の操業時において洗浄液が常時供給されるようになっている。
【0063】
なお、設計コンセプトなどの必要に応じて、ポンプにより液体配管を加圧されて移送される洗浄液の少なくとも周期的な圧力の変動である脈動を吸収するためのアキュムレータを液体配管とポンプとの間に配設してもよい。
【0064】
前記2流体ノズル22と洗浄液供給手段24とは、洗浄液導入路としての洗浄液導入配管32により接続されている。
【0065】
すなわち、本実施形態の洗浄液導入配管32は、一端が2流体ノズル22、詳しくは2流体ノズル22の洗浄液導入口を備えた洗浄液導入部33に接続されており、他端が洗浄液供給手段24、詳しくは洗浄液供給手段24の液体配管に接続されている。
【0066】
前記洗浄液導入配管32には、2流体ノズル22側から洗浄液用逆止弁34、洗浄液用電磁弁35、洗浄液用減圧弁36およびストレーナ37がこの順に配設されている。
【0067】
前記洗浄液用逆止弁34は、2流体ノズル22側からの圧縮空気の入り込みを防止するためのものであり、洗浄液用電磁弁35から2流体ノズル22に向かう方向の洗浄液の流動を許容し、2流体ノズル22から洗浄液用電磁弁35に向かう方向の洗浄液の流動を阻止するようになっている。したがって、洗浄液用逆止弁34は、2流体ノズル22にできるだけ近接させて配置することが好ましい。勿論、支障がなければ、2流体ノズル22の洗浄液導入部33に洗浄液用逆止弁34を直接取り付けるようにしてもよい。
【0068】
前記洗浄液用電磁弁35は、2流体ノズル22に対する洗浄液の供給および停止を行うためのものであり、本実施形態においては、気体用電磁弁28と同様に、入口および出口の2ポートを備え、非通電状態において流路が閉じる常時閉(NC)タイプの2ポート電磁弁が用いられている。この洗浄液用電磁弁35は、後述する制御部31と電気的に接続されており、制御部31から送出される制御指令に基づいて所定のタイミングで開閉動作、すなわち、流路が閉じた閉状態と、流路が開いた閉状態との切り換えが制御されるようになっている。
【0069】
前記洗浄液用減圧弁36は、洗浄液供給手段24の液体配管から洗浄液導入配管32に圧送される洗浄液が所定の流量となるように一定の圧力に減圧して2流体ノズル22に向かって吐出するためのものである。なお、洗浄液用減圧弁36としては、圧力計が付設されたものが2流体ノズル22に供給する洗浄液の圧力設定や圧力の確認を容易に行うことができるという意味で好ましい。
【0070】
前記ストレーナ37は、洗浄液用減圧弁36に導入される洗浄液に含まれる異物の除去に用いられるものである。
【0071】
なお、設計コンセプトなどの必要に応じて、洗浄液導入配管32を加圧されて移送される洗浄液の少なくとも周期的な圧力の変動である脈動を吸収するためのアキュムレータを洗浄液用減圧弁36とストレーナ37との間、あるいは、ストレーナ37と液体配管との間に配設するとよい。
【0072】
前記制御部31は、洗浄装置21の各部の動作制御を司るためのものであり、少なくともCPUと、適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリとを有している。そして、メモリには、少なくとも洗浄対象物の洗浄を行う場合に、起動スイッチからの信号を受けて、気体用電磁弁28および洗浄液用電磁弁35のそれぞれを同時に開閉することができるように気体用電磁弁28および洗浄液用電磁弁35を動作させるプログラムが記憶されている。
【0073】
すなわち、本実施形態の洗浄装置21においては、制御部31からの制御指令に基づいて、気体用電磁弁28および洗浄液用電磁弁35のそれぞれの流路が同時に開状態あるいは閉状態となるように形成されている。
【0074】
なお、2流体ノズル22の数を複数としてもよい。この場合、気体導入配管25のうちの気体用逆止弁27と2流体ノズル22とを接続する部位を2流体ノズル22の数に応じて分岐させるとともに、洗浄液導入配管32のうちの洗浄液用逆止弁34と2流体ノズル22とを接続する部位を2流体ノズル22の数に応じて分岐させればよい。
【0075】
その他の構成については、公知の洗浄装置と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0076】
このような構成からなる本実施形態の洗浄装置21によれば、前述した第1実施形態の洗浄装置1と同様の効果を奏することができる。
【0077】
すなわち、本実施形態の洗浄装置21によれば、気体導入配管25に気体用逆止弁27が配設されているから、洗浄終了後に、残圧により2流体ノズル22側から気体導入路としての気体導入配管25に入り込んだ洗浄液を気体用逆止弁25の配設位置で阻止することができる。
【0078】
また、本実施形態の洗浄装置21によれば、気体導入配管25に気体用逆止弁27が配設されているから、洗浄終了後に、残圧により2流体ノズル22側から気体導入路としての気体導入配管25に入り込んだ洗浄液を気体用逆止弁27の配設位置で阻止することができる。
【0079】
また、本実施形態の洗浄装置1によれば、気体用電磁弁28および洗浄液用電磁弁35のそれぞれが2ポート電磁弁であるから、洗浄終了後に、残圧により2流体ノズル22側から気体導入路としての気体導入配管25に入り込んだ洗浄液が気体用逆止弁27から漏洩して気体用電磁弁28まで到達したとしても、気体用電磁弁28から外部に排出されることがなので、周囲の環境に悪影響を及ぼすのを確実かつ容易に防止することができる。勿論、洗浄液が洗浄液用電磁弁35から外部に排出されることもない。
【0080】
また、本実施形態の洗浄装置21によれば、気体用電磁弁28および洗浄液用電磁弁35のそれぞれが同時に開閉するように形成されているから、洗浄開始時、洗浄終了時および洗浄時のいずれにおいても、2流体ノズル22を介しての気体導入路としての気体導入配管25への洗浄液の入り込み、あるいは、洗浄液導入路としての洗浄液導入配管32への加圧された気体としての圧縮空気の入り込みを防止することができる。
【0081】
したがって、本実施形態の洗浄装置1によれば、洗浄に供するために2流体ノズル22から噴霧されるミスト化された洗浄液の粒子径や密度を安定させることができるので、安定した洗浄能力を確実かつ容易に得ることができる。
【0082】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る洗浄装置の第1実施形態の要部の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る洗浄装置の第2実施形態の要部の構成を示す図1と同様の図
【符号の説明】
【0084】
1、21 洗浄装置
2、22 2流体ノズル
3、23 気体供給手段
4 (専用の)ポンプ
5、24 洗浄液供給手段
6、25 気体導入配管
9、27 気体用逆止弁
10、29 気体用減圧弁
12、31 制御部
13、32 洗浄液導入配管
16、36 洗浄液用減圧弁
35 洗浄液用電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2流体ノズルと、
前記2流体ノズルに加圧された気体を供給するための気体供給手段と、
前記2流体ノズルに洗浄液を供給するための専用のポンプを備えた洗浄液供給手段と、
前記2流体ノズルに対する加圧された気体の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記気体供給手段とを接続する気体導入路に配設されている気体用電磁弁とを有している洗浄装置において、
前記気体用電磁弁が2ポート電磁弁であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記気体用電磁弁の開動作と前記ポンプの駆動とを同時に行わせるとともに、前記気体用電磁弁の閉動作と前記ポンプの停止とを同時に行わせる制御手段が配設されている請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
2流体ノズルと、
前記2流体ノズルに加圧された気体を供給するための気体供給手段と、
前記2流体ノズルに洗浄液を供給するための洗浄液供給手段と、
前記2流体ノズルに対する加圧された気体の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記気体供給手段とを接続する気体導入路に配設されている気体用電磁弁と、
前記2流体ノズルに対する洗浄液の供給および停止を行うために、前記2流体ノズルと前記洗浄液供給手段とを接続する洗浄液導入路に配設されている洗浄液用電磁弁とを有している洗浄装置において、
前記気体用電磁弁および前記洗浄液用電磁弁のそれぞれが2ポート電磁弁であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
前記気体用電磁弁および前記洗浄液用電磁弁のそれぞれを同時に開動作または閉動作させる制御手段が配設されている請求項3に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−136913(P2008−136913A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324679(P2006−324679)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【出願人】(000167783)広島オプト株式会社 (95)
【Fターム(参考)】