説明

洗浄装置

【課題】被洗浄物を添加剤で効果的に洗浄し、添加剤の残留を防ぐ洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄システム1は、加圧手段と減圧手段と洗浄槽10と二酸化炭素供給手段と二酸化炭素排出手段と圧力調節手段と制御部91とを備える。加圧手段は添加剤200が少なくとも可溶化するように洗浄液を加圧する。減圧手段は加圧された洗浄液を減圧して添加剤200を発泡させる。制御部91は、発泡した添加剤200を含む洗浄液によって繊維構造体100が洗浄された後に、洗浄槽10に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するように二酸化炭素供給手段を制御する工程と、供給された二酸化炭素を排出するように二酸化炭素排出手段を制御する工程とを行い、かつ、洗浄槽10から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤200を少なくとも可溶化させるために、洗浄槽10内が所定の圧力になるように圧力調節手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には洗浄装置に関し、特定的には、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて、例えば繊維の洗浄を行なう洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄方法としては、水、有機溶剤、酸、アルカリなどの溶媒を利用する湿式洗浄方式があるが、このような湿式洗浄方式に変わって、超臨界流体を溶媒とする洗浄方式が環境配慮型の洗浄方式として普及しつつある。超臨界流体を溶媒とする洗浄方式では、例えば、超臨界状態の二酸化炭素が溶媒として用いられる。
【0003】
二酸化炭素は、ある温度以下で圧縮すると液体状態の二酸化炭素になり、また、31.1℃でかつ圧力が7.4MPa以上では超臨界状態の二酸化炭素となる。超臨界状態の二酸化炭素は、気体と液体の中間の粘度、拡散係数、密度、溶解力を持ち、微細機構に入り込みやすく、疎水性物質の溶解度が高い、といった特徴を持つ。また、わずかな圧力または温度の変化によって、密度が大きく変化する。このような性質を有する超臨界状態の二酸化炭素は、1900年代初頭から抽出剤として使用されている。また、洗浄溶媒として超臨界状態の二酸化炭素を用いることによって、水を溶媒とする場合と異なり、乾燥をする必要がなくなる。超臨界状態の二酸化炭素は、このような利点を有するので、高精度の洗浄が求められる半導体材料などの電子デバイス部品の洗浄に応用されている。
【0004】
近年では、超臨界流体を用いる洗浄方式は、半導体以外の被洗浄対象物として衣類洗浄にも応用されている。ドライクリーニング溶剤による環境汚染が深刻化する中、安全性の高い代替溶剤として超臨界状態の二酸化炭素が注目されている。また、ドライクリーニング溶剤は、洗浄後の被洗浄対象物に残ることによって、健康に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる洗浄においては、使用後の超臨界状態の二酸化炭素を回収して再利用することが可能であり、洗浄後に乾燥を必要としないなど環境面に対する利点がある。一方、超臨界状態の二酸化炭素を生成するためには二酸化炭素を高圧にする必要があるが、現在では高圧ガスに関する法規制が厳しく、また、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いるドライクリーニング装置では、設備が大掛かりになるという課題がある。そのため、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる洗浄は主として業務用のクリーニング技術として普及している。しかしながら、環境面、健康面に対する利点を踏まえると、将来的には新しい洗濯スタイルとして家庭用に普及する可能性が考えられる。
【0006】
しかしながら、超臨界または液体状態の二酸化炭素のみを用いて洗浄を行なう場合には、超臨界状態の二酸化炭素のみによっては除去することができない汚れが被洗浄対象物に付着しているときには、超臨界二酸化炭素による洗浄処理の前後に別処理が必要となる。たとえば、超臨界または液体状態の二酸化炭素は無極性物質であるので、無極性物質である皮脂や油汚れの除去性には優れている。しかし、一方で、超臨界または液体状態の二酸化炭素は極性物質を溶解しないので、超臨界または液体状態の二酸化炭素のみによる洗浄処理では、水溶性の汚れを除去することができない。また、粒子やタンパク質等も超臨界または液体状態の二酸化炭素には溶解しない。
【0007】
そのため、被洗浄対象物に水溶性の汚れ、粒子、タンパク質等が付着している場合には、超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄処理の前後に別処理を行うことが必要となる。超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄処理に加えて別処理を行うためには、手間がかかり、クリーニング業においては人件費などのコストが上昇するという問題がある。
【0008】
超臨界または液体状態の二酸化炭素によって繊維等の洗浄を行なうことが、業務用クリーニングのみならず、今後家庭用に普及していく可能性も考えると、別処理を行うことなく、より確実に汚れの除去を行うことが必須である。
【0009】
このような背景から、超臨界または液体状態の二酸化炭素による汚れ除去の性能を向上させるために、従来、超臨界または液体状態の二酸化炭素に添加剤を添加することが多く提案されている。
【0010】
また、洗浄に用いる流体を加圧した後、急激に減圧して気泡を発生させて、このときの衝撃力で被洗浄対象物を洗浄することが提案されている。このような泡沫洗浄技術は、現在一般的な水系の洗濯にも用いられており、汚れ除去には高い効果がある。
【0011】
たとえば、特開平8−290128号公報(特許文献1)に記載の洗浄方法では、エントレーナを添加した超臨界および亜臨界流体を急速に減圧させて汚染物質表面で強い撹乱や大量の気泡を発生させ、この流れ作用やバブリング作用で汚染物質を強制剥離・強制溶解させて被洗浄対象物を洗浄している。
【0012】
このようにすることにより、気泡の発生にともなった強制剥離により粒子などの固体汚れの除去は可能となる。一方、水溶性やタンパク質汚れは気泡の成分すなわち添加剤の成分による強制溶解により汚れ除去が可能になると思われる。
【特許文献1】特開平8−290128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、添加剤を加圧、減圧して発泡させて、そのときの衝撃力で被洗浄対象物を洗浄する場合には、添加剤が被洗浄対象物に高濃度で残留することが予想される。特開平8−290128号公報(特許文献1)に記載の洗浄方法では、被洗浄対象物表面に気泡を発生させているため、洗浄後しばらくすると、気泡は消えるが、気泡を形成していた添加剤が濃縮されて、被洗浄対象物表面に高濃度で残留することが考えられる。添加剤が被洗浄対象物の表面に残留すると、洗浄後の被洗浄対象物を使用者が使用した場合に、例えば、残留している添加剤が肌に直接触れた場合に肌荒れなどの様々なトラブルが発生する可能性がある。
【0014】
そこで、この発明の目的は、被洗浄対象物を添加剤によって効果的に洗浄することが可能であって、かつ、被洗浄対象物に添加剤が残留することを防ぐことが可能な洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に従った洗浄装置は、加圧手段と、減圧手段と、洗浄槽と、二酸化炭素供給手段と、二酸化炭素排出手段と、圧力調節手段と、制御手段とを備える。
【0016】
加圧手段は、溶媒と添加剤とを含む洗浄液を、溶媒または添加剤の一方の少なくとも一部を溶媒または添加剤の他方の少なくとも一部に可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるように、加圧する。減圧手段は、加圧手段によって加圧された洗浄液を減圧することによって洗浄液に含まれる添加剤を発泡させる。洗浄槽は、減圧手段によって減圧されて発泡した添加剤を含む洗浄液によって被洗浄対象物を洗浄するための洗浄槽である。二酸化炭素供給手段は、洗浄槽に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する。二酸化炭素排出手段は、超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽から排出する。圧力調節手段は、洗浄槽の内部の圧力を調節する。制御手段は、二酸化炭素供給手段、二酸化炭素排出手段、および、圧力調節手段の少なくともいずれかを制御する。
【0017】
制御手段は、発泡した添加剤を含む洗浄液によって被洗浄対象物が洗浄された後に、洗浄槽に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するように二酸化炭素供給手段を制御する第1の制御工程と、第1の制御工程において洗浄槽に供給された超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽から排出するように二酸化炭素排出手段を制御する第2の制御工程とを行い、かつ、二酸化炭素供給手段によって洗浄槽に供給されて二酸化炭素排出手段によって洗浄槽から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤を可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるために、洗浄槽の内部の圧力が所定の圧力になるように圧力調節手段を制御する。
【0018】
ここで、添加剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に十分に可溶化されている状態とは、たとえば、界面活性剤に囲まれた水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に浮遊している状態であるが、界面活性剤と水のサイズが十分小さいため、見かけ上は1相に見える状態のことをいう。また、界面活性剤や水等の添加剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に乳化している状態とは、たとえば、界面活性剤に囲まれた水が、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に浮遊している状態で、濁ったように混ざっていることをいう。また、界面活性剤や水等の添加剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に溶解している状態とは、添加剤が分子レベルで二酸化炭素と混ざっている状態のことをいう。
【0019】
洗浄液を、一旦、高圧下に曝した後、減圧することによって、洗浄液に含まれる添加剤が発泡して泡沫になる。
【0020】
また、例えば、洗浄液に可溶化、乳化、または溶解のいずれかの状態、すなわち、少なくとも可溶化される添加剤よりも多くの量の添加剤が洗浄液に含まれている場合、または、洗浄液にちょうど、少なくとも可溶化される量の添加剤が含まれている場合には、洗浄液を加圧した後、減圧することによって、添加剤が洗浄液の溶媒と分離して被洗浄対象物の表面に析出することがある。被洗浄対象物の表面に析出した添加剤は、さらに減圧されることによって、被洗浄対象物の表面で発泡することがある。
【0021】
添加剤が発泡することによって生じるきめ細かい泡沫は表面積が大きいため、被洗浄対象物と効率よく接触し、超臨界または液体状態の二酸化炭素のみでは通常は除去することができない汚れを超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解させることができる。
【0022】
このような、発泡した添加剤を含む洗浄液によって洗浄された被洗浄対象物を、超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤を少なくとも可溶化させるために、洗浄槽の内部の圧力が所定の圧力になるように圧力調節手段を制御しながら、超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽に供給し、洗浄槽から排出して、超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐ。このようにすることにより、洗浄槽に供給され、被洗浄対象物をすすいで洗浄槽から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素において、添加剤が少なくとも可溶化され、洗浄後の被洗浄対象物から添加剤が取り除かれる。
【0023】
このようにすることにより、被洗浄対象物を添加剤によって効果的に洗浄することが可能であって、かつ、被洗浄対象物に添加剤が残留することを防ぐことが可能な洗浄装置を提供することができる。
【0024】
この発明に従った洗浄装置は、添加剤と溶媒とを混合して洗浄液を作製するための添加剤槽と、添加剤槽において作製された洗浄液を洗浄槽に供給するための洗浄液供給手段とを備えることが好ましい。
【0025】
添加剤槽と洗浄槽とが別個に形成されて洗浄液供給手段によって接続されているので、添加剤槽内の添加剤と、洗浄槽内の被洗浄対象物とを接触させないようにすることができる。
【0026】
このようにすることにより、溶媒と混合する前の、高濃度の添加剤が被洗浄対象物に接触することを防ぎ、洗浄後に洗いむらが生じるのを防ぐことができる。
【0027】
洗浄液供給手段は、例えば、バルブを含んでいてもよい。洗浄液供給手段がバルブを含む場合には、バルブを閉じることによって、簡単に、添加剤が被洗浄対象物に接触しないようにすることができる。添加剤が被洗浄対象物に接触しないようにすることによって、溶媒と混合していない添加剤が被洗浄対象物に接触して洗いムラの原因となることを防ぐことができる。
【0028】
一方、例えば、加圧手段による洗浄液の加圧時に、添加剤槽内の添加剤が洗浄槽内の被洗浄対象物に接触するように、洗浄液供給手段のバルブが開かれていてもよい。加圧時にバルブを開くことによって、加圧時に添加剤を含む洗浄液が洗浄液供給手段を介して洗浄槽に供給され、被洗浄対象物に接触する。その後、減圧手段によって減圧されるときに、被洗浄対象物の表面に添加剤が析出する。被洗浄対象物の表面に添加剤を析出させることによって、さらに減圧されたときに被洗浄対象物の表面の添加剤が発泡して、被洗浄対象物を効果的に洗浄することができる。
【0029】
この発明に従った洗浄装置においては、加圧手段と減圧手段は、添加剤槽において洗浄液を加圧および減圧するように構成されていることが好ましい。
【0030】
このようにすることにより、添加剤槽において添加剤を発泡させ、発泡した添加剤を含む洗浄液を洗浄槽に供給することができる。例えば、添加剤を被洗浄対象物の表面で発泡させることなく、添加剤が減圧されて発泡したときに生じる泡沫のみを被洗浄対象物の洗浄に用いたい場合に有効である。したがって、溶媒と混合する前の、高濃度の添加剤が被洗浄対象物に接触することを防ぎ、洗浄後に洗いむらが生じるのを防ぐことができる。
【0031】
また、例えば、洗浄液供給手段が添加剤槽から洗浄槽にガスを流通させることによって洗浄液を添加剤槽から洗浄槽に供給する手段である場合には、洗浄液を加圧、減圧することによって発生した泡沫をガスとともに流して、添加剤槽から洗浄槽に簡単に供給することができる。
【0032】
この発明に従った洗浄装置においては、洗浄液供給手段は、超臨界または液体状態の二酸化炭素に発泡した添加剤を含む洗浄液を混合させて流通させるための流路を有することが好ましい。
【0033】
添加剤槽内の添加剤を含む洗浄液は、超臨界または液体状態の二酸化炭素とともに流路を通して洗浄槽に供給され、被洗浄対象物を洗浄する。洗浄に用いられた添加剤を含む洗浄液は、超臨界または液体状態の二酸化炭素とともに洗浄槽から排出される。
【0034】
このようにすることにより、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって洗浄液を洗浄槽に供給することができる。
【0035】
この発明に従った洗浄装置においては、洗浄槽は、被洗浄対象物に発泡した添加剤を接触させるための添加剤接触手段を有することが好ましい。
【0036】
このようにすることにより、添加剤が被洗浄対象物に接触する機会を増大させて、添加剤による洗浄力を向上させることができる。
【0037】
被洗浄対象物と、泡沫、すなわち、発泡した添加剤との接触を促進する添加剤接触手段としては、例えば、洗浄槽内に配置される攪拌羽や回転子、洗浄槽を回転させる手段、洗浄槽全体をゆする手段、などがある。
【0038】
この発明に従った洗浄装置においては、添加剤は、水と、親二酸化炭素基と親水基とを有する第一の界面活性剤とを含むことが好ましい。
【0039】
ここで、親二酸化炭素基とは、超臨界または液体状態の二酸化炭素に対して親和性を有する基のことをいう。添加剤中の第一の界面活性剤は、親二酸化炭素基を有する場合、確実に超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。また、第一の界面活性剤は親水基を有するので、水は、第一の界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。このようにして、添加剤中の水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化しやすくなる。
【0040】
ところで、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる洗浄は、業務用クリーニングのみならず、今後は家庭用の洗浄装置にも普及する可能性がある。家庭用の洗浄装置では、確実に、また、均一に、被洗浄対象物から水溶性の汚れを除去することが必要となる。
【0041】
そこで、この発明の洗浄装置では、上述したように、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化した水は、被洗浄対象物と接触することによって、被洗浄対象物に付着している水溶性汚れを水に抽出すること、すなわち、被洗浄対象物から水溶性汚れを除去することができる。
【0042】
また、界面活性剤と水とが同時に洗浄水中に存在することによって、洗浄水を高圧下から減圧するときに界面活性剤と水が発泡することがあり、きめ細かい泡沫を発生させることができる。きめ細かい泡沫によって、被洗浄対象物の水溶性汚れをより効果的に除去することができる。
【0043】
さらに、被洗浄対象物から除去された水溶性の汚れが、水と界面活性剤ともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化するので、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物を確実にすすぐことができる。
【0044】
この発明に従った洗浄装置においては、添加剤は、水と、非親二酸化炭素基と親水基とを有する第二の界面活性剤と、第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解させるための助剤とを含むことが好ましい。
【0045】
ここで、非親二酸化炭素基とは、超臨界または液体状態の二酸化炭素に対して親和性を有しない基のことをいう。添加剤中の第二の界面活性剤が非親二酸化炭素基を有する場合、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化しにくいので、助剤を用いて超臨界または液体状態の二酸化炭素中に第二の界面活性剤を少なくとも可溶化させることが可能である。また、第二の界面活性剤は親水基を有するので、水は、第二の界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。このようにして、親水基を有する第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化させることによって、水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化しやすくなる。
【0046】
したがって、界面活性剤が親二酸化炭素基を持たず、非親二酸化炭素基と親水基を有する第二の界面活性剤である場合でも、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化した水は、被洗浄対象物と接触することによって、被洗浄対象物に付着している水溶性汚れを水に抽出すること、すなわち、被洗浄対象物から水溶性汚れを除去することができる。
【0047】
さらに、被洗浄対象物から除去した水溶性の汚れが、水と界面活性剤と助剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化するので、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物を確実にすすぐことができる。
【0048】
この発明に従った洗浄装置においては、添加剤の量は、溶媒に可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にされる最大限の量よりも多いことが好ましい。
【0049】
このようにすることにより、溶媒に少なくとも可溶化される最大限の量の添加剤が、溶媒に少なくとも可溶化されるので、被洗浄対象物の洗浄において添加剤が不足することなく、被洗浄対象物を確実に洗浄することができる。
【0050】
この発明に従った洗浄装置においては、被洗浄対象物は繊維構造体であることが好ましい。
【0051】
このようにすることにより、繊維構造体の洗浄を高圧の超臨界または液体状態の二酸化炭素で行うことができる。
【0052】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる繊維構造体の洗浄は、従来のクリーニングと異なり、石油やパークロロエチレンのような有機溶剤を使わない。また、超臨界または液体状態の二酸化炭素は洗浄後揮発してしまう。そのため、超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄後の繊維構造体は皮膚への刺激が少なく、また、従来のクリーニング直後の薬剤の臭いがしない。このように、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる繊維構造体の洗浄は、健康的な衣類洗浄技術である。
【0053】
また、たとえば、添加剤が水や極性の溶媒を含むことによって、超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄の前後に別処理をしなくても、水溶性の汚れを一度に除去できるので、作業の手間や人件費などのコストを削減することができる。このように、水溶性汚れの除去が可能であるので、家庭での洗濯にも適している。超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて水溶性の汚れを除去することができるので、従来の繊維構造体の洗濯と異なり、水を大量に使用する必要がない。
【0054】
また、洗浄後の繊維構造体が水に濡れていないため布傷みが少なく、洗浄後に繊維構造体を干す手間が省け、洗濯後の時間を有効活用することができる。二酸化炭素は洗浄後に揮発してしまうので、洗浄後に繊維構造体を乾燥させる必要がなく、乾燥のための電力も使わず省エネルギーでもある。
【発明の効果】
【0055】
以上のように、この発明によれば、被洗浄対象物を添加剤によって効果的に洗浄することが可能であって、かつ、被洗浄対象物に添加剤が残留することを防ぐことが可能な洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0057】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【0058】
図1に示すように、洗浄装置として洗浄システム1は、主に、洗浄槽10と、添加剤接触手段11と、二酸化炭素供給源41と、二酸化炭素を高圧化して送出するポンプ42と、蒸発器51と、凝縮器52と、二酸化炭素貯留槽53と、二酸化炭素から分離された汚れを回収する汚れ受け容器70とから構成されている。洗浄システム1を構成する各槽と部材は、配管によって接続され、配管に配置されている弁は、適宜開閉される。弁の開閉は、後述するように制御部によって制御される。洗浄槽10には、被洗浄対象物として衣類などの繊維構造体100が収容される。洗浄槽10には、添加剤200と繊維構造体100を投入するための開閉部材(図示しない)が配置されている。
【0059】
弁a43と弁b61と弁c62と弁f65は、加圧手段の一例である。弁c62は、減圧手段の一例である。弁a43と弁b61と弁f65は、二酸化炭素供給手段の一例である。弁c62は、二酸化炭素排出手段の一例である。弁a43と弁b61と弁c62と弁f65は、圧力調節手段の一例である。
【0060】
なお、加圧手段は、弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と洗浄槽10とから構成されて、洗浄槽10の内部において洗浄液を相対的に加圧した状態に保持するための高圧保持手段であってもよい。また、減圧手段は、弁c62と洗浄槽10とから構成されて、洗浄槽10の内部において洗浄液を相対的に減圧した状態に保持するための低圧保持手段であってもよい。
【0061】
洗浄槽10には、添加剤200が収容されている。この実施の形態においては、添加剤200は、界面活性剤と水とを含む。
【0062】
この実施の形態においては、添加剤200は、分子内に親二酸化炭素基と親水基を持つ第一の界面活性剤と水とから構成されていることが好ましい。親二酸化炭素基は、たとえばシロキサン、カルボキシル基などのようなルイス塩基性基、ポリオキシプロピレンなどの自由体積が大きな分子団を持つ炭化水素基などである。また、親水基をもつ物質としては、スルホコハク酸塩、カルボン酸塩、ポリオキシエチレンなどがある。また、親二酸化炭素基を持つ第一の界面活性剤として、フッ素系の界面活性剤を使用してもよい。フッ素系の界面活性剤は超臨界または液体状態の二酸化炭素との親和性が高く、超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶けやすい。なお、親二酸化炭素基と親水基を持つ第一の界面活性剤であれば、ここで例示した以外の界面活性剤であっても本発明に適用されることができる。
【0063】
界面活性剤が親二酸化炭素基を持たず、非親二酸化炭素基と親水基を有する第二の界面活性剤である場合には、添加剤200は、フッ素系の溶剤などの助剤を含むことが好ましい。このような助剤を用いることによって、単体では超臨界または液体状態の二酸化炭素中に可溶化、乳化、または、溶解されない第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素中に可溶化、乳化、または、溶解することができる。親水基を有する第二の界面活性剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素に可溶化、乳化、または、溶解することによって、水が第二の界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素に可溶化、乳化、または、溶解する。助剤とする添加剤200は、フッ素系の溶剤であることが好ましいが、第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素中に可溶化、乳化、または、溶解させることができる物質であればこれに限らない。
【0064】
以下、界面活性剤や水等の添加剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素中において可溶化、乳化、または、溶解のいずれかの状態にされていることを、少なくとも可溶化されている、という。
【0065】
以上に説明した添加剤200と、添加剤200に含まれる界面活性剤と助剤の種類は例示であって、これらに限られるものではない。添加剤200は、複数の界面活性剤を組み合わせたり、必要に応じて界面活性剤以外のものを配合したりしてもよい。
【0066】
添加剤200としては、界面活性剤と水とが含まれることが好ましい。界面活性剤と水とが同時に存在することによって、添加剤200と混合された超臨界または液体状態の二酸化炭素を高圧下から減圧するときに界面活性剤と水とが発泡してきめ細かい泡沫を発生させることができる。また、界面活性剤が確実に超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解するので、水は界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に可溶化する。そのため、水を含む添加剤200で洗浄された繊維構造体100を超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐことによって、水も繊維構造体100から取り除かれる。このようにして、添加剤200に水が含まれていても、繊維構造体100が水に濡れることを防ぐことができる。
【0067】
ここで、添加剤200が少なくとも可溶化した超臨界または液体状態の二酸化炭素を、洗浄液という。超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化する添加剤200は、添加剤200の全部でなくてもよく、添加剤200の少なくとも一部でよい。
【0068】
本発明における超臨界または液体状態の二酸化炭素とは、温度が31.1℃でかつ圧力が7.4MPa以上の超臨界または液体状態の二酸化炭素のことである。液体状態の二酸化炭素とは、超臨界以下の圧力と温度で超臨界または液体状態の二酸化炭素を高圧下に置き液体状態にした超臨界または液体状態の二酸化炭素のことである。これらの状態にある超臨界または液体状態の二酸化炭素は、ガスの状態の超臨界または液体状態の二酸化炭素に比べて密度が大きく、添加剤200中の界面活性剤が少なくとも可溶化しやすい状態である。界面活性剤が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化することにより、界面活性剤とともに添加されている水が界面活性剤に囲まれて超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化し、超臨界または液体状態の二酸化炭素、界面活性剤、水の3成分が見かけ上1相をなす。
【0069】
洗浄槽10には、繊維構造体100に添加剤200を接触させるための添加剤接触手段11が配置されている。添加剤接触手段11は、洗浄槽10内に設けられる撹拌羽や回転子がある。また、添加剤接触手段11は、繊維構造体100と洗浄液とを収容したままで回転させられる回転ドラムや、洗浄槽10全体をゆする揺動機構、洗浄液または洗浄槽10の温度を上げるための加熱装置であってもよい。添加剤接触手段11は、洗浄槽10内に導入された添加剤200を洗浄槽10内で十分に運動させる他の方法でもよく、これらの方法に限られない。
【0070】
図2は、この発明の第1実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【0071】
図2に示すように、制御部91は、ポンプ42に接続されている配管に配置される弁a43と、洗浄槽10の上流側に直接、接続される配管に配置される弁b61と、洗浄槽10の下流側に直接、配置される配管に配置される弁c62と、蒸発器51と凝縮器52との間に配置される弁d63と、凝縮器52と二酸化炭素貯留槽53との間に配置される弁e64と、二酸化炭素貯留槽53と弁b61との間に配置される弁f65と、蒸発器51と汚れ受け容器70との間に配置される弁h67と、蒸発器51から排気するための弁g66とに制御信号を送信して、これらの弁の開閉を制御する。
【0072】
制御部91は、洗浄槽10の内部に二酸化炭素供給源41から超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する場合には、弁a43と弁b61を開くように制御する。また、洗浄槽10の内部に、洗浄システム1内を循環する二酸化炭素をリサイクルして供給する場合には、弁f65と弁b61とを開くように制御する。
【0073】
制御部91は、洗浄槽10から二酸化炭素を排出するときは、弁62を開くように制御する。
【0074】
制御部91は、洗浄槽10の内部を加圧する場合には、弁a43と弁f65の少なくともいずれか一方と、弁b61を開き、弁c62を閉じるように制御する。
【0075】
制御部91は、洗浄槽10の内部を減圧する場合には、弁c62を開くように制御する。
【0076】
本発明の洗浄システム1の運転工程について以下に説明する。
【0077】
洗浄槽10内に繊維構造体100を収容した後、洗浄システム1の運転を開始する。まず、二酸化炭素供給源41からポンプ42に気液混合状態の二酸化炭素が導入される。ポンプ42は、気液混合状態の二酸化炭素を高圧にして、超臨界または液体状態の二酸化炭素にする。
【0078】
洗浄槽10内の空気は、繊維構造体100が収容された後に排出されている。弁a43と弁b61が開かれて洗浄槽10の内部に超臨界または液体状態の二酸化炭素が流入する。このとき、弁c62は閉じられている。超臨界または液体状態の二酸化炭素が洗浄槽10内に流入すると、予め洗浄槽10内に収容されている添加剤200と超臨界または液体状態の二酸化炭素とが混合されて洗浄液が作製される。界面活性剤と水が同時に超臨界または液体状態の二酸化炭素中に存在するとき、界面活性剤が水を取り囲む形になることで、水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化することになる。
【0079】
洗浄槽10内には、供給される超臨界または液体状態の二酸化炭素の量や圧力に応じて、予め高圧の超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給しておいてもよい。洗浄槽10の内部には、洗浄槽10内が所定の圧力になるまで超臨界または液体状態の二酸化炭素が供給されて、洗浄液が加圧される。このように、洗浄槽10の内部を一旦、高圧にすることによって、添加剤200が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。
【0080】
添加剤200が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に十分に少なくとも可溶化している状態で、添加剤200が繊維構造体100と接触すると、繊維構造体100に付着している水溶性の汚れは、添加剤200に含まれる界面活性剤が取り囲んだ水の中に溶けだす。このようにして、繊維構造体100の水溶性の汚れは、添加剤200である水によって除去される。また、繊維構造体100の油溶性の汚れは、高圧にした超臨界または液体状態の二酸化炭素の中に溶け出して、除去される。
【0081】
このように、洗浄槽10内において、添加剤200を少なくとも可溶化した超臨界または液体状態の二酸化炭素によって繊維構造体100が洗浄されることによって、洗浄前に繊維構造体100に付着していた汚れが洗浄液中に溶け出す。
【0082】
次に、弁c62と弁g66が開かれ、弁b61と弁d63が閉じられる。洗浄槽10からは、超臨界または液体状態の二酸化炭素が排出され、洗浄槽10の内部の洗浄液が減圧される。洗浄液を減圧することによって、二酸化炭素が揮発し、添加剤200が発泡して、泡沫が生じる。
【0083】
洗浄槽10内に収容されている添加剤200の量が、洗浄槽10に供給された超臨界または液体状態の二酸化炭素にちょうど、少なくとも可溶化する量である場合には、減圧することによって、添加剤200が繊維構造体100の表面に析出する。さらに減圧すると、繊維構造体100の表面において、析出した添加剤200が発泡し、泡沫を生じる場合がある。添加剤200は、洗浄槽10に供給される超臨界または液体状態の二酸化炭素にちょうど全部、少なくとも可溶化する量であってもよいし、過剰であってもよい。添加剤200が過剰に洗浄槽10内に収容されている場合には、添加剤200のうち、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化する最大限の量の添加剤200を、少なくとも可溶化させることができる。
【0084】
洗浄槽10に供給される超臨界または液体状態の二酸化炭素に最大限の量の添加剤200が少なくとも可溶化されることによって、繊維構造体100の洗浄において添加剤200が不足することなく、繊維構造体100を確実に洗浄することができる。
【0085】
繊維構造体100の表面に添加剤200が析出するとき、繊維構造体100から添加剤200に溶解した汚れも添加剤200とともに析出する。このようにして、繊維構造体100の汚れが繊維構造体100の表面に析出して、繊維構造体100から除去されやすくなる。洗浄液がさらに減圧されて添加剤200が発泡して泡沫が生じると、きめ細かい泡沫と繊維構造体100が接触することによって、さらに汚れが除去されやすくなる。
【0086】
洗浄槽10内が所定の圧力まで減圧されると、弁b61と弁c62が閉じられる。
【0087】
次に、添加剤接触手段11が駆動され、洗浄槽10内の繊維構造体100は、洗浄液によって洗浄される。添加剤接触手段11は、洗浄槽10内において洗浄液を従来の洗濯機と同様に繊維構造体100と一緒に撹拌する。このように、発泡した添加剤200を十分に少なくとも可溶化した超臨界または液体状態の二酸化炭素が、繊維構造体100と共に撹拌されることによって、発泡した添加剤200が繊維構造体100に効率よく接触する。
【0088】
このような方法で、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化した添加剤200を積極的に繊維構造体100に接触させることにより、繊維構造体100の洗浄効果を向上させることができる。更なる利点として、繊維構造体100の洗浄を効率よく行なうことができるので、洗浄時間が短縮され1回の運転にかかる電気代などのコストを削減することができる。また、添加剤200の溶け残りが少なくなるため、溶け残った添加剤200が繊維構造体100に付着して再汚染されるということがなくなる。
【0089】
繊維構造体100の洗浄が終了すると、弁a43、弁b61が開かれ、弁c62が閉じられて、超臨界または液体状態の二酸化炭素が洗浄槽10内に供給され、洗浄槽10の内部は再び加圧される。洗浄槽10に、洗浄システム1内を循環する二酸化炭素をリサイクルして供給する場合には、弁a43の代わりに弁f65が開けられる。二酸化炭素は、超臨界または液体状態となるように、洗浄槽10内に供給される。ここで、洗浄槽10内に超臨界または液体状態の二酸化炭素が供給される工程が第1の制御工程である。
【0090】
洗浄槽10内が所定の圧力になれば、弁c62が開かれ、洗浄槽10から超臨界または液体状態の二酸化炭素が排出される。ここで、洗浄槽10内から超臨界または液体状態の二酸化炭素が排出される工程が第2の制御工程である。
【0091】
弁a43と弁f65のいずれかと、弁b61と弁c62が開かれると、洗浄槽10の内部を所定の圧力に保つように、連続的に二酸化炭素が洗浄槽10に供給され、かつ、排出される。
【0092】
このように、洗浄槽10の内部を所定の圧力に保ちながら、連続的に超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽10に流通させることによって、繊維構造体100から汚れが移行した添加剤200は、超臨界または液体状態の二酸化炭素に、徐々に少なくとも可溶化する。添加剤200が少なくとも可溶化した超臨界または液体状態の二酸化炭素が洗浄槽10から連続的に排出されることによって、繊維構造体100の表面から添加剤200を除去すること、すなわち、繊維構造体100を超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐことができる。
【0093】
繊維構造体100を超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐためには、洗浄槽10の容量と二酸化炭素の流量によって決まる、洗浄槽10の内部に残留する添加剤200が予め設けた基準値以下になるまでの所定の時間、洗浄槽10に超臨界または液体状態の二酸化炭素を連続的に流通させることが望ましい。また、このような超臨界または液体状態の二酸化炭素によるすすぎ工程は、2回以上行うことが好ましい。このようなすすぎ工程を行うことによって、添加剤200が繊維構造体100の表面に高濃度で残留することがなくなり、繊維構造体100が直接、肌に触れるものであっても、肌荒れなどのトラブルを防ぐことができる。
【0094】
繊維構造体100から溶け出した汚れを、少なくとも可溶化した洗浄液は、弁c62が開放されて、蒸発器51に導入される。蒸発器51では、汚れを少なくとも可溶化している洗浄液を減圧し、超臨界または液体状態の二酸化炭素と、汚れと添加剤200を分離する。
【0095】
洗浄槽10には二酸化炭素供給源41から常に新しい二酸化炭素を供給し、洗浄槽10から排出された二酸化炭素を洗浄システム1の外部に排出する場合には、弁a43、弁b61、弁c62とを開き、かつ、弁g66と弁h67の少なくともいずれか一方を開く。洗浄槽10から排出された二酸化炭素は、蒸発器51で汚れと分離され、弁g66を通って洗浄システム1の外部に排出される。二酸化炭素から分離された汚れ成分は、弁h67を通って、汚れ受け容器70に排出される。
【0096】
一方、洗浄槽10から排出された二酸化炭素を蒸発器51、凝縮器52、二酸化炭素貯留槽53を循環させて再び洗浄槽10に供給する、すなわち、リサイクルされる二酸化炭素を洗浄槽10に供給する場合には、弁a43、弁g66、弁h67は閉じて、弁b61、弁c62、弁d63、弁e64、弁f65を開く。
【0097】
二酸化炭素をリサイクルする場合には、蒸発器51で汚れと添加剤200が取り除かれた超臨界または液体状態の二酸化炭素は、弁d63が開放されて凝縮器52に供給される。一方、蒸発器51において分離された汚れは、弁h67を開いて汚れ受け容器70に回収される。また、二酸化炭素以外の気体は、弁g66が開かれると洗浄システム1の外部に排気される。
【0098】
蒸発器51で分離された超臨界または液体状態の二酸化炭素は、凝縮器52において再度高圧にされる。凝縮器52において高圧にされた超臨界または液体状態の二酸化炭素は、弁e64が開放されて二酸化炭素貯留槽53に供給され、二酸化炭素貯留槽53に貯留される。二酸化炭素貯留槽53に貯留された超臨界または液体状態の二酸化炭素は、次回の洗浄やすすぎ時に弁f65が開放されて洗浄槽10に導入され、洗浄に使用される。超臨界または液体状態の二酸化炭素は、洗浄槽10、蒸発器51、凝縮器52、二酸化炭素貯留槽53を、図中に一点鎖線の矢印で示すように流れて何度でも循環させることができるが、使い古した超臨界または液体状態の二酸化炭素を排出する場合は、排気することもできる。
【0099】
以上のようにして、繊維構造体100が洗浄され、超臨界または液体状態の二酸化炭素によってすすがれる。
【0100】
なお、繊維構造体100は、衣類や、リネン、布団、枕、マット、ハンカチ、タオル、ぬいぐるみなど、繊維からできているものであれば何でもよい。洗浄システム1で繊維構造体100を洗浄することによって、以下のような利点がある。添加剤200に水が含まれている場合であっても、液体として一定量の水ではなく、水から発生した泡沫で繊維構造体100を洗浄することができる。そのため、繊維構造体100が、例えば、ウールや絹、レザーのような、水に濡れると著しく変質するようなもので形成されていても、通常の水を用いた洗浄と比較して傷みの発生を防ぐことができる。
【0101】
また、添加剤200に含まれる水は、通常の水を用いた洗浄に用いられる水と比較して微量であるので、洗浄後の繊維構造体100が濡れない。洗浄後の繊維構造体100が水に濡れないので、布傷みが少なく、また、洗浄後に繊維構造体100を干す必要がない。
【0102】
さらに、洗浄後に超臨界または液体状態の二酸化炭素は揮発してしまうので、水や有機溶剤を用いて洗浄する場合と異なり、繊維構造体100を乾燥させる必要がない。繊維構造体100を乾燥させる必要がないので、従来、乾燥のために必要であった電力を消費する必要がなく、省エネルギーで繊維構造体100の洗浄を行なうことができる。
【0103】
以上のように、洗浄システム1は、加圧手段として弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と、減圧手段として弁c62と、洗浄槽10と、二酸化炭素供給手段として弁a43と弁b61と弁f65と、二酸化炭素排出手段として弁c62と、圧力調節手段として弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と、制御部91とを備える。
【0104】
弁a43と弁b61と弁c62と弁f65は、超臨界または液体状態の二酸化炭素と添加剤200とを含む洗浄液を、添加剤200の少なくとも一部を可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるように、加圧するための弁である。弁c62は、弁a43と弁b61と弁c62と弁f65を開閉することによって加圧された洗浄液を減圧することによって洗浄液に含まれる添加剤200を発泡させるための弁である。洗浄槽10は、弁c62を開くことによって減圧されて発泡した添加剤200を含む洗浄液によって繊維構造体100を洗浄するための洗浄槽10である。弁a43と弁b61と弁f65は、洗浄槽10に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するための弁である。弁c62は、超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽10から排出するための弁である。弁a43と弁b61と弁c62と弁f65は、洗浄槽10の内部の圧力を調節するための弁である。制御部91は、弁a43と弁b61と弁c62と弁f65の少なくともいずれかを制御する。
【0105】
制御部91は、発泡した添加剤200を含む洗浄液によって繊維構造体100が洗浄された後に、洗浄槽10に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するように弁a43と弁b61と弁f65を制御する第1の制御工程と、第1の制御工程において洗浄槽10に供給された超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽10から排出するように弁c62を制御する第2の制御工程とを行い、かつ、弁a43と弁b61と弁f65を開閉することによって洗浄槽10に供給されて弁c62を開くことによって洗浄槽10から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤200を可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるために、洗浄槽10の内部の圧力が所定の圧力になるように弁a43と弁b61と弁c62と弁f65を制御する。
【0106】
洗浄液を、一旦、高圧下に曝した後、減圧することによって、洗浄液に含まれる添加剤200が発泡して泡沫になる。
【0107】
また、例えば、洗浄液に可溶化、乳化、または溶解のいずれかの状態、すなわち、少なくとも可溶化される添加剤200よりも多くの量の添加剤200が洗浄液に含まれている場合、または、洗浄液にちょうど、少なくとも可溶化される量の添加剤200が含まれている場合には、洗浄液を加圧した後、減圧することによって、添加剤200が洗浄液の溶媒と分離して繊維構造体100の表面に析出することがある。繊維構造体100の表面に析出した添加剤200は、さらに減圧されることによって、繊維構造体100の表面で発泡することがある。
【0108】
添加剤200が発泡することによって生じるきめ細かい泡沫は表面積が大きいため、繊維構造体100と効率よく接触し、超臨界または液体状態の二酸化炭素のみでは通常は除去することができない汚れを超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解させることができる。
【0109】
このような、発泡した添加剤200を含む洗浄液によって洗浄された繊維構造体100を、超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤200を少なくとも可溶化させるために、洗浄槽10の内部の圧力が所定の圧力になるように弁a43と弁b61と弁c62と弁f65を制御しながら、超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽10に供給し、洗浄槽10から排出して、超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐ。このようにすることにより、洗浄槽10に供給され、繊維構造体100をすすいで洗浄槽10から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素において、添加剤200が少なくとも可溶化され、洗浄後の繊維構造体100から添加剤200が取り除かれる。
【0110】
このようにすることにより、繊維構造体100を添加剤200によって効果的に洗浄することが可能であって、かつ、繊維構造体100に添加剤200が残留することを防ぐことが可能な洗浄システム1を提供することができる。
【0111】
また、洗浄システム1においては、洗浄槽10は、繊維構造体100に発泡した添加剤200を接触させるための添加剤接触手段11を有する。
【0112】
このようにすることにより、添加剤200が繊維構造体100に接触する機会を増大させて、添加剤200による洗浄力を向上させることができる。
【0113】
繊維構造体100と、泡沫、すなわち、発泡した添加剤200との接触を促進する添加剤接触手段11としては、例えば、洗浄槽10内に配置される攪拌羽や回転子、洗浄槽10を回転させる手段、洗浄槽10全体をゆする手段、などがある。
【0114】
また、洗浄システム1においては、添加剤200は、水と、親二酸化炭素基と親水基とを有する第一の界面活性剤とを含むことが好ましい。
【0115】
添加剤200中の第一の界面活性剤は、親二酸化炭素基を有する場合、確実に超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。また、第一の界面活性剤は親水基を有するので、水は、第一の界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。このようにして、添加剤200中の水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化しやすくなる。
【0116】
ところで、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる洗浄は、業務用クリーニングのみならず、今後は家庭用の洗浄システム1にも普及する可能性がある。家庭用の洗浄システム1では、確実に、また、均一に、繊維構造体100から水溶性の汚れを除去することが必要となる。
【0117】
そこで、この発明の洗浄システム1では、上述したように、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化した水は、繊維構造体100と接触することによって、繊維構造体100に付着している水溶性汚れを水に抽出すること、すなわち、繊維構造体100から水溶性汚れを除去することができる。
【0118】
また、界面活性剤と水とが同時に洗浄水中に存在することによって、洗浄水を高圧下から減圧するときに界面活性剤と水が発泡することがあり、きめ細かい泡沫を発生させることができる。きめ細かい泡沫によって、繊維構造体100の水溶性汚れをより効果的に除去することができる。
【0119】
さらに、繊維構造体100から除去された水溶性の汚れが、水と界面活性剤ともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化するので、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって繊維構造体100を確実にすすぐことができる。
【0120】
また、洗浄システム1においては、添加剤200は、水と、非親二酸化炭素基と親水基とを有する第二の界面活性剤と、第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解させるための助剤とを含むことが好ましい。
【0121】
添加剤200中の第二の界面活性剤が非親二酸化炭素基を有する場合、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化しにくいので、助剤を用いて超臨界または液体状態の二酸化炭素中に第二の界面活性剤を少なくとも可溶化させることが可能である。また、第二の界面活性剤は親水基を有するので、水は、第二の界面活性剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化する。このようにして、親水基を有する第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化させることによって、水が超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化しやすくなる。
【0122】
したがって、界面活性剤が親二酸化炭素基を持たず、非親二酸化炭素基と親水基を有する第二の界面活性剤である場合でも、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化した水は、繊維構造体100と接触することによって、繊維構造体100に付着している水溶性汚れを水に抽出すること、すなわち、繊維構造体100から水溶性汚れを除去することができる。
【0123】
さらに、繊維構造体100から除去した水溶性の汚れが、水と界面活性剤と助剤とともに超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化するので、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって繊維構造体100を確実にすすぐことができる。
【0124】
また、添加剤200の量は、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化される最大限の量よりも多いことが好ましい。
【0125】
このようにすることにより、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化される最大限の量の添加剤200が、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化されるので、繊維構造体100の洗浄において添加剤200が不足することなく、繊維構造体100を確実に洗浄することができる。
【0126】
また、洗浄システム1においては、被洗浄対象物は繊維構造体100である。
【0127】
このようにすることにより、繊維構造体100の洗浄を高圧の超臨界または液体状態の二酸化炭素で行うことができる。
【0128】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる繊維構造体100の洗浄は、従来のクリーニングと異なり、石油やパークロロエチレンのような有機溶剤を使わない。また、超臨界または液体状態の二酸化炭素は洗浄後揮発してしまう。そのため、超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄後の繊維構造体100は皮膚への刺激が少なく、また、従来のクリーニング直後の薬剤の臭いがしない。このように、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる繊維構造体100の洗浄は、健康的な衣類洗浄技術である。
【0129】
また、たとえば、添加剤200が水や極性の溶媒を含むことによって、超臨界または液体状態の二酸化炭素による洗浄の前後に別処理をしなくても、水溶性の汚れを一度に除去できるので、作業の手間や人件費などのコストを削減することができる。このように、水溶性汚れの除去が可能であるので、家庭での洗濯にも適している。超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて水溶性の汚れを除去することができるので、従来の繊維構造体100の洗濯と異なり、水を大量に使用する必要がない。
【0130】
また、洗浄後の繊維構造体100が水に濡れていないため布傷みが少なく、洗浄後に繊維構造体100を干す手間が省け、洗濯後の時間を有効活用することができる。二酸化炭素は洗浄後に揮発してしまうので、洗浄後に繊維構造体100を乾燥させる必要がなく、乾燥のための電力も使わず省エネルギーでもある。
【0131】
(第2実施形態)
図3は、この発明の第2実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【0132】
図3に示すように、洗浄装置として洗浄システム2が図1に示す洗浄システム1と異なる点としては、ガス供給ボンベ81と、ガス供給ボンベ81のガスを高圧化して洗浄槽10内に供給するためのポンプ82と、ポンプ82と洗浄槽10とを接続する配管に配置される弁i83と、洗浄槽10の内部の気体を排気して洗浄槽10の内部を減圧するための弁j84を備える。弁j84は、洗浄槽10の内部と外部とを連通する配管に配置されている。ガス供給ボンベ81は、二酸化炭素以外のガス、例えば、窒素等を洗浄槽10に供給する。
【0133】
弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と弁i83は、加圧手段の一例である。弁c62と弁j84は、減圧手段の一例である。弁a43と弁b61と弁f65と弁i83は、二酸化炭素供給手段の一例である。弁c62と弁j84は、二酸化炭素排出手段の一例である。弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と弁i83と弁j84は、圧力調節手段の一例である。
【0134】
なお、加圧手段は、弁a43と弁b61と弁c62と弁f65と弁i83と洗浄槽10とから構成されて、洗浄槽10の内部において洗浄液を相対的に加圧した状態に保持するための高圧保持手段であってもよい。また、減圧手段は、弁c62と弁j84と洗浄槽10とから構成されて、洗浄槽10の内部において洗浄液を相対的に減圧した状態に保持するための低圧保持手段であってもよい。
【0135】
図4は、この発明の第2実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【0136】
図4に示すように、制御部92は、ポンプ42に接続されている配管に配置される弁a43と、洗浄槽10の上流側に直接、接続される配管に配置される弁b61と、洗浄槽10の下流側に直接、配置される配管に配置される弁c62と、蒸発器51と凝縮器52との間に配置される弁d63と、凝縮器52と二酸化炭素貯留槽53との間に配置される弁e64と、二酸化炭素貯留槽53と弁b61との間に配置される弁f65と、蒸発器51と汚れ受け容器70との間に配置される弁h67と、蒸発器51から排気するための弁g66と、ポンプ82に接続されている配管に配置される弁i83と、洗浄槽10から外部に排気するための弁j84とに制御信号を送信して、これらの弁の開閉を制御する。
【0137】
制御部92は、洗浄槽10の内部に二酸化炭素供給源41から超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する場合には、弁a43と弁b61を開くように制御する。また、洗浄槽10の内部に、洗浄システム2内を循環する二酸化炭素を供給する場合には、弁f65と弁b61とを開くように制御する。
【0138】
制御部92は、洗浄槽10から二酸化炭素を排出するときは、弁c62または弁j84を開くように制御する。
【0139】
制御部92は、洗浄槽10の内部を加圧する場合には、弁a43と弁f65との少なくともいずれか一方と、弁b61を開き、弁c62を閉じるように制御する。あるいは、弁b61と弁c62を閉じて弁i83を開くように制御する。
【0140】
制御部92は、洗浄槽10の内部を減圧する場合には、弁c62または弁j84を開くように制御する。
【0141】
制御部92は、洗浄槽10の内部にガス供給ボンベ81から気体を供給する場合には、弁i83を開くように制御する。
【0142】
洗浄システム2のその他の構成は、洗浄システム1と同様である。
【0143】
洗浄システム2では、繊維構造体100と添加剤200が洗浄槽10内に収容された後、まず、弁i83を開け、弁b61、弁c62、弁j84を閉じて、ガス供給ボンベ81から溶媒として窒素等のガスを洗浄槽10内に供給し、洗浄槽10内を高圧にする。添加剤200と混合されて洗浄液を作製する溶媒としては、この実施の形態においては、窒素等の、二酸化炭素以外のガスを用いる。
【0144】
洗浄槽10内が高圧になると、添加剤200が溶媒に少なくとも可溶化、または、溶媒が添加剤200に少なくとも可溶化する。添加剤200と溶媒は、少なくとも一部が、少なくとも可溶化すればよい。洗浄槽10内が所定の圧力になれば、弁i83を閉じ、弁j84を開いて、洗浄槽10内のガスを排気して洗浄槽10内を減圧する。
【0145】
洗浄槽10内が減圧されることによって、添加剤200が発泡する。その後、繊維構造体100を超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐ工程は、第1実施形態の洗浄システム1と同様である。
【0146】
第1実施形態の洗浄システム1のように、溶媒として超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる場合には、添加剤200と溶媒が混合された洗浄液を加圧することによって、添加剤200が溶媒に少なくとも可溶化させることができる。一方、添加剤200が少なくとも可溶化しない溶媒を用いる場合には、添加剤200と溶媒とが混合された洗浄液を加圧することによって、高圧になった溶媒の一部が添加剤200に少なからず溶け込む。その後、洗浄液を減圧することによって、添加剤200に溶け込んだ溶媒が揮発して、添加剤200が発泡する。
【0147】
このように、添加剤200を加圧、減圧して発泡させるための気体を洗浄槽10に供給する添加剤発泡用気体供給手段としてガス供給ボンベ81を備えることによって、二酸化炭素供給源41から供給される二酸化炭素を最大限、すすぎ工程において使用することができる。このようにすることにより、二酸化炭素供給源41を交換する頻度を低減して使用者の負担を軽減することができる。
【0148】
また、このように、洗浄槽10の内部を直接、減圧するための弁j84を備えることによって、ガス供給ボンベ81から洗浄槽10に供給された気体を弁j84を介して外部に排気することができる。このようにすることにより、ガス供給ボンベ81から供給される二酸化炭素以外の気体が、洗浄システム2において循環し、リサイクルされる二酸化炭素中に混入することを防ぐことができる。
【0149】
洗浄システム2のその他の構成と効果は、洗浄システム1と同様である。
【0150】
(第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【0151】
図5に示すように、洗浄装置として洗浄システム3が図1に示す洗浄システム1と異なる点としては、添加剤槽20と、ポンプ42と添加剤槽20との間に配置される弁k44と、洗浄液供給管23と、洗浄液供給管23に配置される弁l22とを備える。
【0152】
弁k44と弁l22は、加圧手段の一例である。弁l22と弁c62は、減圧手段の一例である。弁a43と弁b61と弁f65は、二酸化炭素供給手段の一例である。弁c62は、二酸化炭素排出手段の一例である。弁a43と弁b61と弁c62と弁f65は、圧力調節手段の一例である。洗浄液供給管23は、洗浄液を添加剤槽20から洗浄槽10に供給するための流路の一例である。洗浄液供給管23と弁l22は、洗浄液供給手段を構成している。
【0153】
なお、加圧手段は、弁k44と弁l22と添加剤槽20とから構成されて、添加剤槽20の内部において洗浄液を相対的に加圧した状態に保持するための高圧保持手段であってもよい。また、減圧手段は、弁l22と弁c62と添加剤槽20とから構成されて、添加剤槽20の内部において洗浄液を相対的に減圧した状態に保持するための低圧保持手段であってもよい。
【0154】
図6は、この発明の第3実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【0155】
図6に示すように、制御部93は、ポンプ42に接続されている配管に配置される弁a43と、洗浄槽10の上流側に直接、接続される配管に配置される弁b61と、洗浄槽10の下流側に直接、接続される配管に配置される弁c62と、蒸発器51と凝縮器52との間に配置される弁d63と、凝縮器52と二酸化炭素貯留槽53との間に配置される弁e64と、二酸化炭素貯留槽53と弁b61との間に配置される弁f65と、蒸発器51と汚れ受け容器70との間に配置される弁h67と、蒸発器51から排気するための弁g66と、ポンプ42と添加剤槽20との間に配置される弁k44と、添加剤槽20と洗浄槽10との間に配置される弁l22とに制御信号を送信して、これらの弁の開閉を制御する。
【0156】
制御部93は、洗浄槽10の内部に二酸化炭素供給源41から超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する場合には、弁a43と弁b61を開くように制御する。また、洗浄槽10の内部に、洗浄システム3内を循環する二酸化炭素を供給する場合には、弁f65と弁b61とを開くように制御する。
【0157】
制御部93は、洗浄槽10から二酸化炭素を排出する場合には、弁c62を開くように制御する。
【0158】
制御部93は、洗浄槽10の内部を加圧する場合には、弁a43と弁f65との少なくともいずれか一方と、弁b61を開き、弁c62を閉じるように制御する。あるいは、弁a43と弁f65との少なくともいずれか一方と、弁k44と弁l22を開くように制御する。一方、洗浄槽10の内部を減圧する場合には、弁c62を開くように制御する。
【0159】
制御部93は、添加剤槽20の内部を加圧する場合には、弁a43と弁k44とを開き、弁l22を閉じる。一方、添加剤槽20の内部を減圧する場合には、弁l22を開く。
【0160】
洗浄システム3のその他の構成は、洗浄システム1と同様である。
【0161】
洗浄システム3では、繊維構造体100が洗浄槽10内に収容され、添加剤200と溶媒が添加剤槽20内に収容される。添加剤200は、予め添加剤槽20内に収容されていてもよい。
【0162】
添加剤槽20内に添加剤200が収容されると、まず、弁a43と弁k44とを開き、弁l22を閉じて、溶媒として超臨界または液体状態の二酸化炭素を二酸化炭素供給源41から添加剤槽20に供給する。洗浄システム3を循環する二酸化炭素をリサイクルする場合には、弁a43を閉じて、代わりに弁f65を開く。
【0163】
添加剤槽20の内部は、供給される超臨界または液体状態の二酸化炭素によって加圧される。添加剤槽20内が高圧になると、添加剤200が溶媒に少なくとも可溶化する。
【0164】
添加剤槽20内が所定の圧力になれば、弁k44を閉じ、弁l22と弁c62とを開き、さらに、弁g66と弁h67の少なくともいずれか一方を開く。弁l22を開くことによって、添加剤200が少なくとも可溶化した洗浄液が、洗浄液供給管23を通って、添加剤槽20から洗浄槽10に供給される。このように、添加剤槽20は洗浄槽10の上流側に配置されている。
【0165】
弁l22を開くとともに、弁c62を開き、さらに、弁g66と弁h67の少なくともいずれか一方を開くことによって、添加剤槽20の内部と、洗浄槽10の内部が減圧される。添加剤槽20内と洗浄槽10内が減圧されることによって、洗浄液に含まれる添加剤200が発泡する。また、洗浄槽10内を減圧することによって、添加剤200は、繊維構造体100の表面に析出する。さらに洗浄槽10内を減圧することによって、繊維構造体100の表面で添加剤200が発泡する。
【0166】
添加剤槽20は、洗浄槽10と洗浄液供給管23によって接続され、洗浄液供給管23には、弁l22が配置されている。繊維構造体100の洗浄を開始するまでは、弁l22を閉じておくことによって、超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化する前の、高濃度の添加剤200が繊維構造体100に接触することを防ぎ、洗浄後に洗いむらが生じるのを防ぐことができる。
【0167】
このように、添加剤槽20において添加剤200と超臨界または液体状態の二酸化炭素を混合し、加圧することで、添加剤200を少なくとも可溶化してから洗浄槽10に導入することができる。添加剤200が十分に少なくとも可溶化した超臨界または液体状態の二酸化炭素が繊維構造体100に接触すると、超臨界または液体状態の二酸化炭素中に少なくとも可溶化している添加剤200と繊維構造体100との接触機会が増大し、洗浄効果が向上する。また、洗浄槽10内において添加剤200を超臨界または液体状態の二酸化炭素に少なくとも可溶化させるために時間をかける必要がないので、繊維構造体100は、洗浄効果を発揮する状態の添加剤200といち早く接触することにより、洗浄力が向上する。更なる利点として、添加剤200と超臨界または液体状態の二酸化炭素とを撹拌することによって添加剤200の少なくとも可溶化のスピードが向上し、洗浄システム3の運転時間の短縮につながるので、1回の運転にかかる電気代などのコストを削減することができる。また、添加剤200の溶け残りがなくなるため、溶け残った添加剤200が繊維構造体100に付着して繊維構造体100が再汚染されるということがなくなる。
【0168】
また、添加剤槽20は、添加剤槽20の内部の気体を外部に排気するための配管と排気弁を備えてもよい。排気弁は、減圧手段の一例である。添加剤槽20が所定の圧力に加圧されているときに、弁l22を閉じたままで、弁k44を閉じて、排気弁を開けることによって、洗浄液を洗浄槽10に移動させなくても、添加剤槽20の内部が減圧されて、添加剤200が発泡する。その後、添加剤槽20の内部が完全に排気される前に排気弁を閉じて、弁l22を開けることによって、発泡した添加剤200を含む洗浄液が洗浄液供給管23を通して洗浄槽10に供給される。
【0169】
添加剤槽20と洗浄槽10との間の圧力差が小さく、発泡した洗浄液が洗浄槽10に供給されにくい場合には、例えば、洗浄槽10に、洗浄液供給手段として洗浄液の吸引手段(図示しない)を設けてもよい。吸引手段は、発泡した洗浄液を添加剤槽20から洗浄槽10に吸引する。
【0170】
このように、添加剤槽20内で添加剤200を発泡させ、発泡した添加剤200を含む洗浄液を洗浄槽10に供給することによって、繊維構造体100を添加剤200の泡沫で洗浄することができる。
【0171】
繊維構造体100を超臨界または液体状態の二酸化炭素ですすぐ工程では、弁b61と弁k44を開き、弁l22と弁c62を閉じて、洗浄槽10と添加剤槽20に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する。洗浄システム3を循環する二酸化炭素をリサイクルしてすすぎに用いる場合には、弁a43を閉め、代わりに弁f65を開ける。超臨界または液体状態の二酸化炭素が供給されることによって、洗浄槽10と添加剤槽20の内部は次第に加圧される。
【0172】
洗浄槽10と添加剤槽20の内部が所定の圧力になれば、第1の制御工程として弁a43を開いたままで、弁b61を閉じ、弁l22を開く。同時に、第2の制御工程として、弁c62を開き、さらに、弁g66と弁h67の少なくともいずれか一方を開く。このようにして、洗浄槽10と添加剤槽20の内部の圧力を保つように、連続的に超臨界または液体状態の二酸化炭素を洗浄槽10と添加剤槽20に流通させる。二酸化炭素を洗浄システム3の外部に排出する場合には、弁g66と弁h67の少なくともいずれか一方を開く。二酸化炭素を洗浄システム3内で循環させてリサイクルする場合には、弁a43と弁g66と弁h67を閉じて、弁d63、弁e64、弁f65を開く。
【0173】
このようにすることにより、所定の圧力で連続的に流通する超臨界または液体状態の二酸化炭素によって、添加剤200が繊維構造体100から除去される。
【0174】
繊維構造体100をすすぐ別の工程としては、添加剤槽20と洗浄槽10に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給して、添加剤槽20内と洗浄槽10内が所定の圧力になったときに、第1の制御工程として、弁c62を閉じたままで、弁k44と弁l22を開き、弁b61を閉じる。次に、第2の制御工程として、弁k44と弁l22を閉じて、弁b61と弁c62を開けて、洗浄槽10に連続的に超臨界または液体状態の二酸化炭素を流通させる。このとき、添加剤槽20には超臨界または液体状態の二酸化炭素は流通しない。このように、添加剤槽20と洗浄槽10を別々にすすぐこともできる。添加剤槽20と洗浄槽10を別々にすすぐ場合には、上流側の添加剤槽20から先にすすぐことによって、再汚染を防止することができる。
【0175】
洗浄システム3のその他の構成と効果は、洗浄システム1と同様である。
【0176】
以上のように、洗浄システム3は、添加剤200と超臨界または液体状態の二酸化炭素とを混合して洗浄液を作製するための添加剤槽20と、添加剤槽20において作製された洗浄液を洗浄槽10に供給するための洗浄液供給管23と弁l22とを備える。
【0177】
添加剤槽20と洗浄槽10とが別個に形成されて洗浄液供給管23と弁l22によって接続されているので、添加剤槽20内の添加剤200と、洗浄槽10内の繊維構造体100とを接触させないようにすることができる。
【0178】
このようにすることにより、超臨界または液体状態の二酸化炭素と混合する前の、高濃度の添加剤200が繊維構造体100に接触することを防ぎ、洗浄後に洗いむらが生じるのを防ぐことができる。
【0179】
洗浄液供給管23に弁l22が配置されているので、弁l22を閉じることによって、簡単に、添加剤200が繊維構造体100に接触しないようにすることができる。添加剤200が繊維構造体100に接触しないようにすることによって、超臨界または液体状態の二酸化炭素と混合していない添加剤200が繊維構造体100に接触して洗いムラの原因となることを防ぐことができる。
【0180】
一方、例えば、弁k44と弁l22と弁c62を制御することによる洗浄液の加圧時に、添加剤槽20内の添加剤200が洗浄槽10内の繊維構造体100に接触するように、弁l22が開かれていてもよい。加圧時に弁l22を開くことによって、加圧時に添加剤200を含む洗浄液が洗浄液供給管23と弁l22を介して洗浄槽10に供給され、繊維構造体100に接触する。その後、弁c62が開かれて洗浄槽10の内部が減圧されるときに、繊維構造体100の表面に添加剤200が析出する。繊維構造体100の表面に添加剤200を析出させることによって、さらに減圧されたときに繊維構造体100の表面の添加剤200が発泡して、繊維構造体100を効果的に洗浄することができる。
【0181】
また、洗浄システム3においては、弁k44と弁l22と弁c62は、添加剤槽20において洗浄液を加圧および減圧するように構成されている。
【0182】
このようにすることにより、添加剤槽20において添加剤200を発泡させ、発泡した添加剤200を含む洗浄液を洗浄槽10に供給することができる。例えば、添加剤200を繊維構造体100の表面で発泡させることなく、添加剤200が減圧されて発泡したときに生じる泡沫のみを繊維構造体100の洗浄に用いたい場合に有効である。したがって、超臨界または液体状態の二酸化炭素と混合する前の、高濃度の添加剤200が繊維構造体100に接触することを防ぎ、洗浄後に洗いむらが生じるのを防ぐことができる。
【0183】
また、例えば、洗浄液供給管23と弁l22が添加剤槽20から洗浄槽10にガスを流通させることによって洗浄液を添加剤槽20から洗浄槽10に供給する手段である場合には、洗浄液を加圧、減圧することによって発生した泡沫をガスとともに流して、添加剤槽20から洗浄槽10に簡単に供給することができる。
【0184】
また、洗浄システム3においては、洗浄液供給管23は、超臨界または液体状態の二酸化炭素に発泡した添加剤200を含む洗浄液を混合させて流通させる。
【0185】
添加剤槽20内の添加剤200を含む洗浄液は、超臨界または液体状態の二酸化炭素とともに洗浄液供給管23を通して洗浄槽10に供給され、繊維構造体100を洗浄する。洗浄に用いられた添加剤200を含む洗浄液は、超臨界または液体状態の二酸化炭素とともに洗浄槽10から排出される。
【0186】
このようにすることにより、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって洗浄液を洗浄槽10に供給することができる。
【0187】
(第4実施形態)
図7は、この発明の第4実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【0188】
図7に示すように、洗浄装置として洗浄システム4は、洗浄システム3と異なる点としては、添加剤槽20に供給するための添加剤200を貯留しておく添加剤貯留槽30と、添加剤貯留槽30から添加剤槽20に添加剤200を供給するための弁m31を備える。
【0189】
弁m31は、毎回の洗浄の度に、最適な量の添加剤200を添加剤槽20に供給するように、制御部によって制御される。
【0190】
図8は、この発明の第4実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【0191】
図8に示すように、制御部94は、ポンプ42に接続されている配管に配置される弁a43と、洗浄槽10の上流側に直接、接続される配管に配置される弁b61と、洗浄槽10の下流側に直接、配置される配管に配置される弁c62と、蒸発器51と凝縮器52との間に配置される弁d63と、凝縮器52と二酸化炭素貯留槽53との間に配置される弁e64と、二酸化炭素貯留槽53と弁b61との間に配置される弁f65と、蒸発器51と汚れ受け容器70との間に配置される弁h67と、蒸発器51から排気するための弁g66と、ポンプ42と添加剤槽20との間に配置される弁k44と、添加剤槽20と洗浄槽10との間に配置される弁l22と、添加剤貯留槽30と添加剤槽20との間に配置される弁m31とに制御信号を送信して、これらの弁の開閉を制御する。
【0192】
制御部94は、洗浄槽10の内部に二酸化炭素供給源41から超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給する場合には、弁a43と弁b61を開くように制御する。また、洗浄槽10の内部に、洗浄システム4内を循環する二酸化炭素を供給する場合には、弁f65と弁b61とを開くように制御する。
【0193】
制御部94は、洗浄槽10から二酸化炭素を排出する場合には、弁c62を開くように制御する。
【0194】
制御部94は、洗浄槽10の内部を加圧する場合には、弁a43と弁f65との少なくともいずれか一方と、弁b61を開き、弁c62を閉じるように制御する。あるいは、弁a43と弁f65との少なくともいずれか一方と、弁k44と弁l22を開くように制御する。一方、洗浄槽10の内部を減圧する場合には、弁c62を開くように制御する。
【0195】
制御部94は、添加剤槽20の内部を加圧する場合には、弁a43と弁k44とを開き、弁l22を閉じる。一方、添加剤槽20の内部を減圧する場合には、弁l22を開く。
【0196】
洗浄システム4のその他の構成は、洗浄システム3と同様である。
【0197】
洗浄槽10に繊維構造体100が収容されると、制御部94は、繊維構造体100の重量や種類等に応じて、最適な量の添加剤200を添加剤貯留槽30から添加剤槽20に供給するように、弁m31を制御する。
【0198】
このようにすることにより、使用者が毎回、添加剤槽20に添加剤200を投入する作業を行なう必要がなくなる。また、使用者による添加剤200の誤投入を防ぐことができ、洗浄システム4の故障を防ぐことができる。
【0199】
洗浄システム4における洗浄とすすぎの工程は、洗浄システム3と同様である。
【0200】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】この発明の第1実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【図2】この発明の第1実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の第2実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【図4】この発明の第2実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の第3実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【図6】この発明の第3実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の第4実施形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【図8】この発明の第4実施形態の洗浄システムに係る制御関連の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0202】
1,2,3,4:洗浄システム10:洗浄槽、11:添加剤接触手段、20:添加剤槽、22:弁l、23:洗浄液供給管、43:弁a、44:弁k、61:弁b、62:弁c、65:弁f、83:弁i、84:弁j、91,92,93,94:制御部、100:繊維構造体、200:添加剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と添加剤とを含む洗浄液を、溶媒または添加剤の一方の少なくとも一部を溶媒または添加剤の他方の少なくとも一部に可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるように、加圧するための加圧手段と、
前記加圧手段によって加圧された洗浄液を減圧することによって洗浄液に含まれる添加剤を発泡させる減圧手段と、
前記減圧手段によって減圧されて発泡した添加剤を含む洗浄液によって被洗浄対象物を洗浄するための洗浄槽と、
前記洗浄槽に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給手段と、
超臨界または液体状態の二酸化炭素を前記洗浄槽から排出するための二酸化炭素排出手段と、
前記洗浄槽の内部の圧力を調節するための圧力調節手段と、
前記二酸化炭素供給手段、前記二酸化炭素排出手段、および、圧力調節手段の少なくともいずれかを制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記発泡した添加剤を含む洗浄液によって被洗浄対象物が洗浄された後に、前記洗浄槽に超臨界または液体状態の二酸化炭素を供給するように前記二酸化炭素供給手段を制御する第1の制御工程と、
前記第1の制御工程において前記洗浄槽に供給された超臨界または液体状態の二酸化炭素を前記洗浄槽から排出するように前記二酸化炭素排出手段を制御する第2の制御工程とを行い、かつ、
前記二酸化炭素供給手段によって前記洗浄槽に供給されて前記二酸化炭素排出手段によって前記洗浄槽から排出される超臨界または液体状態の二酸化炭素中において、添加剤を可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にさせるために、前記洗浄槽の内部の圧力が所定の圧力になるように前記圧力調節手段を制御する、洗浄装置。
【請求項2】
添加剤と溶媒とを混合して洗浄液を作製するための添加剤槽と、
前記添加剤槽において作製された洗浄液を前記洗浄槽に供給するための洗浄液供給手段とを備える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記加圧手段と前記減圧手段は、前記添加剤槽において洗浄液を加圧および減圧するように構成されている、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄液供給手段は、超臨界または液体状態の二酸化炭素に前記発泡した添加剤を含む洗浄液を混合させて流通させるための流路を有する、請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽は、被洗浄対象物に前記発泡した添加剤を接触させるための添加剤接触手段を有する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記添加剤は、水と、親二酸化炭素基と親水基とを有する第一の界面活性剤とを含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記添加剤は、水と、非親二酸化炭素基と親水基とを有する第二の界面活性剤と、前記第二の界面活性剤を超臨界または液体状態の二酸化炭素に溶解させるための助剤とを含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記添加剤の量は、前記溶媒に可溶化、乳化、および、溶解からなる群より選ばれた少なくとも一種の状態にされる最大限の量よりも多い、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項9】
被洗浄対象物は繊維構造体である、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−273483(P2009−273483A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124483(P2008−124483)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】