説明

洗浄装置

【課題】旋回モータに洗浄液がかからないようにして耐久性および信頼性を向上させる。
【解決手段】クイル21に固定されたセンターポスト22に旋回自在に軸支されたタレットヘッド4と、洗浄工具Tに洗浄液を供給する洗浄液供給流路14と、洗浄工具Tを回転させるスピンドル駆動装置5と、タレットヘッド4を旋回させるタレット駆動装置6と、を有し、スピンドル駆動装置5は、洗浄室の外に配設されたスピンドルモータ(51)に連結されたスピンドル駆動軸(52)に嵌挿されたスピンドルピニオン53を備え、タレット駆動装置6は、洗浄室の外に配設されたタレット旋回モータ(61)に連結された旋回駆動軸62に嵌挿された旋回ピニオン63を備え、スピンドル駆動軸52および旋回駆動軸62が平行になるように配設され、スピンドルピニオン53と外歯車(54a)を噛合させ、旋回ピニオン63と内歯車64aを噛合させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄装置に係り、特にタレット旋回モータとスピンドルモータを洗浄室の外に配設したタレット式の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穴あけされた部品のバリ取りや洗浄を行う装置の一つとして、タレット式バリ取り洗浄装置がある。これは、タレットの各軸にバリ取り工具(ブラシ)や高圧水噴射ノズルを備え、用途に合わせてタレットを旋回させ、各軸に装着した種々の工具やノズルから高圧水を噴射して除去しにくい交差して形成された穴のバリ取りや、深穴の洗浄を円滑に行うものである(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
この洗浄装置は、各軸に装着した工具やノズルを回転させるモータと、タレットを旋回させるモータとを備えており、工具などを回転させるモータは洗浄室外に設置され、シャフトやギアを介して工具を回転させている。一方、タレットを旋回させるモータは、コストや構造の複雑化を理由として洗浄室内に設置されている。
また、ノズルへの高圧水の供給は、仮に高圧ホースから水が漏れたときのことを考慮し、洗浄室内に高圧ホースを通してノズルへ高圧水の供給を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3065905号公報
【特許文献2】特許第3684117号公報
【特許文献3】特開平9−323208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗浄室内にモータを設置する場合には、保護するためにカバーを施していても洗浄室内に設置しているため洗浄液がモータに浸入し、モータの寿命が短くなったり、故障が生じたりするという問題があった。
また、洗浄室内に通した高圧ホースを介してノズルへ高圧水を供給すると、タレットの移動範囲が限定されてしまうという問題があった。
さらに、洗浄装置は、高圧水を使用するため洗浄時の音が大きい、扉を開けたときに扉に付着していた洗浄液が床に落ちて作業環境が汚染されるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、第1に、モータに洗浄液がかからないように洗浄室の外に配設して装置の耐久性および信頼性を向上させた洗浄装置を提供することを課題とする。また、本発明は、第2に、洗浄室の気密性を高めて洗浄液や洗浄時の音が外に漏れにくくした洗浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、架台に対して移動自在に配設されたクイルに固定されたセンターポストと、このセンターポストに旋回自在に軸支され、遮蔽装置を貫通して洗浄室内に配設されたタレットヘッドと、このタレットヘッドに回転自在に装着された洗浄工具に洗浄液を供給する洗浄液供給流路と、前記洗浄工具を回転させるスピンドル駆動装置と、前記タレットヘッドを旋回させるタレット駆動装置と、を有し、前記タレットヘッドを旋回させて選択された洗浄工具を回転させながらワークに前記洗浄液を噴射して洗浄する洗浄装置であって、前記スピンドル駆動装置は、前記洗浄室の外に配設されたスピンドルモータと、このスピンドルモータと連結されたスピンドル駆動軸と、このスピンドル駆動軸に嵌挿されたスピンドルピニオンと、を備え、前記タレット駆動装置は、前記洗浄室の外に配設されたタレット旋回モータと、このタレット旋回モータと連結された旋回駆動軸と、この旋回駆動軸に嵌挿された旋回ピニオンと、を備え、前記スピンドル駆動軸および前記旋回駆動軸が平行になるように配設され、前記スピンドルピニオンと外歯車を噛合させて前記洗浄工具を回転させ、前記旋回ピニオンと内歯車を噛合させて前記タレットヘッドを旋回させること、を特徴とする。
【0008】
本発明は、前記スピンドル駆動軸および前記旋回駆動軸が平行になるように配設し、前記スピンドルピニオンと外歯車を噛合させて前記洗浄工具を回転させ、前記旋回ピニオンと内歯車を噛合させて前記タレットヘッドを旋回させることで、駆動系のコンパクト化および軽量化を図ることができる。
【0009】
このようにして、駆動系のコンパクト化および軽量化を図ることで、本発明は、スピンドルモータとタレット旋回モータを前記洗浄室の外に配設することを可能とした。そして、本発明は、スピンドルモータとタレット旋回モータを前記洗浄室の外に配設することで、洗浄液がモータに浸入してモータの寿命が短くなったり、故障が発生しやすくなったりすることを防止して装置の耐久性および信頼性を向上させた洗浄装置を提供することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄装置であって、前記洗浄液流路は、前記洗浄室の外に配設された洗浄液供給口から前記センターポストの内部を通って当該センターポストの先端部まで流通され、前記先端部から前記タレットヘッドに装着された前記洗浄工具まで流通されていること、を特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、洗浄液は、洗浄室の外に配設された洗浄液供給口から前記センターポストの内部を通って前記洗浄工具まで供給されるため、洗浄室内に高圧ホースを通す必要がないので、高圧ホースの損傷を回避するとともに、タレットヘッドを円滑に移動できるようにして移動範囲の拡大を図ることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の洗浄装置であって、前記洗浄室は、筐体となるカバー部材と、このカバー部材に配設された直線移動するスライド扉と、有し、前記カバー部材は、勾配を有するくさび形状の固定シール部材を備え、前記スライド扉は、勾配を有するくさび形状の扉シール部材を備え、前記扉シール部材の勾配は、前を記スライド扉を閉める進行方向に対して先端側よりも後端側の方が前記固定シール部材に近接するように形成され、前記固定シール部材の勾配は、前記スライド扉の勾配に対応して平行に形成され、前記スライド扉を閉じた状態で前記扉シール部材と前記固定シール部材が密着することを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、前記スライド扉を閉じた状態でくさび形状の勾配を有する前記扉シール部材と前記固定シール部材が密着するようにしたことで、洗浄室の気密性を高めて洗浄液や洗浄時の音が外に漏れることを防止することができる。このため、前記スライド扉を設けた本発明に係る洗浄装置は、良好な作業環境を確保することが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の洗浄装置であって、前記洗浄室は、筐体となるカバー部材と、このカバー部材に配設されたヒンジ部を中心として回動する片開き式扉と、を有し、前記ヒンジ部の下部には洗浄液回収穴が設けられ、前記片開き式扉の内壁面には、前記ヒンジ部から遠い縁部から当該ヒンジ部に近づくにつれて高さが低くなるように配設された樋を備え、前記内壁面を伝わって落下する洗浄液を前記樋で受けて前記洗浄液回収穴から前記洗浄室内に落下させて回収すること、を特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、前記内壁面を伝わって落下する洗浄液を前記樋で受けて前記洗浄液回収穴から前記洗浄室内に落下させて回収することで、片開き式扉を開けたときに扉に付着していた洗浄液が床に落ちてしまうことを効果的に防止することができる。このため、前記片開き式扉を設けた本発明に係る洗浄装置は、良好な作業環境を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1に、モータに洗浄液がかからないように洗浄室の外に配設して装置の耐久性および信頼性を向上させた洗浄装置を提供することができる。また、本発明によれば、第2に、洗浄室の気密性を高めて洗浄液や洗浄時の音が外に漏れにくくした洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る洗浄装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るタレット装置におけるスピンドル駆動軸と旋回駆動軸の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタレットヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】ロータリジョイントの構成を示すタレットヘッドの要部断面図である。
【図5】スライド扉の構成を示し、(a)は斜視図、(b)は扉が閉じた状態を示す平面図、(c)は扉が開いた状態を示す平面図である。
【図6】片開き式ドアの構成を示し、(a)は斜視図、(b)は扉が閉じた状態を示す平面図、(c)は扉が開いた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るタレット式の洗浄装置1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
洗浄装置1は、図1に示すように、旋回させて洗浄工具Tを選択するタレット装置2と、カバー部材31からなる洗浄室3と、旋回させて洗浄工具Tを切り換えるタレットヘッド4と、タレットヘッド4に回転自在に装着された洗浄工具Tと、洗浄液を回収して再生処理する洗浄液処理装置13と、洗浄工具Tに洗浄液を供給する洗浄液供給流路14と、洗浄工具Tを回転させるスピンドル駆動装置5と、タレットヘッド4を旋回させるタレット駆動装置6と、ワーク(不図示)を載置する円テーブル15と、を備えている。
【0019】
タレット装置2は、図1に示すように、架台11に対して移動自在に配設されたクイル21と、クイル21に固定されたセンターポスト22(図3参照)と、このセンターポスト22に旋回自在に軸支されたタレットヘッド4と、洗浄工具Tを回転させるスピンドル駆動装置5と、タレットヘッド4を旋回させるタレット駆動装置6と、を備えている。
そして、タレットヘッド4は、スプラッシュパッド等の遮蔽装置35を貫通して洗浄室3内に移動自在に配設されている。タレットヘッド4には、円周方向に6等配で6本の洗浄工具T(2本のみ表示)が装着されている。
【0020】
洗浄工具Tは、タレットヘッド4に交換自在に装着され、ノズルから洗浄液を噴射してバリを除去するウォータジェット洗浄工具、およびブラシやドリル等のような機械的にバリを除去するバリ取り工具であり、ワークの形状等に応じてバリ取り洗浄工程を適切に設定する。
【0021】
タレットヘッド4は、図3に示すように、円筒形状をなしたタレットヘッドボディ42と、円盤形状をなし洗浄工具Tを回転自在に支持する工具支持部材43と、洗浄液の流路Lが形成された切換ヘッドボディ44と、切換ヘッドボディ44に内装され洗浄液を供給または停止する切換バルブ46と、を備えている。
タレットヘッドボディ42には、後端部から延設するように後記する内歯車64aが固定されている。切換バルブ46は、タレットの割り出しが完了して洗浄工具Tが図3に示す真下の位置に来たときにバルブを押し開いて洗浄液の流路Lを導通させ、洗浄液を噴射するタイミングで図示しない高圧3方弁を開放して洗浄液が洗浄工具Tまで供給されるように構成されている。
【0022】
センターポスト22は、図3に示すように、軸部22aと、クイル21に固定されたフランジ部22bと、を備えている。軸部22aの先端部には、ロータリジョイント22cが装着されている。ロータリジョイント22cには、タレットヘッド4の先端部を回転自在に支持する軸受45a,45bが配設されている。
センターポスト22の軸部22aには、後記する外歯車である平歯車54aが回転自在に装着されている。
【0023】
そして、この平歯車54aの外側に位置するように、円筒形状をなした第1ガイドリング23がセンターポスト22のフランジ部22bに端面を当接させて固定され、この第1ガイドリング23にさらに円筒形状をなした第2ガイドリング24が固定されている。この第2ガイドリング24は、外周面を後記するタレットヘッドボディ42の内周面に当接させてタレットヘッド4を旋回自在に支持する役割を奏する。
【0024】
また、フランジ部22bの径方向外側の縁部には、略円筒形状をなしたベアリング押さえ41a,41bが端面をフランジ部22bに当接するようにして固定され、このベアリング押さえ41a,41bによりベアリング41の外輪側を支持している。
ベアリング41の内輪側は、タレットヘッドボディ42と、タレットヘッドボディ42に固定された内歯車64aの外周部を回転自在に支持するように構成されている。
【0025】
このようにして、タレットヘッド4の後端部をベアリング41と第2ガイドリング24により支持し、タレットヘッド4の先端部をロータリジョイント22cの軸受45a,45bで支持することで、タレットヘッド4をセンターポスト22に旋回自在に軸支している。
【0026】
洗浄液供給流路14は、図1と図3に示すように、洗浄液処理装置13からタレットヘッド4の洗浄工具Tまで導通するように形成され、洗浄液処理装置13から洗浄室3の外に配設された洗浄液供給口14bまで連結された高圧ホース14aと、洗浄液供給口14bからタレットヘッド4のジョイント14dまで連結された供給管14cと、センターポスト22内に形成された流路14eと、この流路14eからロータリジョイント22cまで連結された流路14fと、この流路14fと洗浄工具Tとを連結する切換ヘッドボディ44内に形成された流路Lと、を備えている。
【0027】
ここで、ロータリジョイント22cは、固定されたセンターポスト22から回転するタレットヘッド4に装着された洗浄工具Tまで洗浄液を供給する役割を果たしている。
具体的には、図4に示すように、ロータリジョイント22cの外周部に配設された軸受45aと軸受45bの間には円筒形状のスペーサリング45cが嵌挿され、このスペーサリング45cに形成された導通孔45dを通って、流路14fから流路Lまで洗浄液が流通するように構成されている。
【0028】
このように、図1と図3に示す洗浄液処理装置13から供給される洗浄液は、洗浄液供給流路14により、洗浄室3の外に配設された洗浄液供給口14bからセンターポスト22の内部を通ってセンターポスト22の先端部に装着されたロータリジョイント22cまで供給され、ロータリジョイント22cからタレットヘッド4に装着された洗浄工具Tまで流通されている。
【0029】
かかる構成により、洗浄室3内に高圧ホース14aを通す必要がないので、高圧ホース14aの損傷を回避するとともに、タレットヘッド4を円滑に移動できるようにして移動範囲の拡大を図ることができる。
【0030】
スピンドル駆動装置5は、図1と図2に示すように、スピンドルモータ51に連結されたスピンドル駆動軸52に嵌挿されたスピンドルピニオン53からスピンドル減速装置54を介して、洗浄工具Tを回転させる。
具体的には、スピンドル減速装置54は、図3に示すように、スピンドルピニオン53に一方の端部で噛合する外歯車である平歯車54aと、この平歯車54aの他方の端部で噛合する傘歯車54bと、センターポスト22に連結されたロータリジョイント22cに回転自在に軸支されたスピンドル軸54cと、スピンドル軸54cと洗浄工具Tを一体として回転自在に連結するジョイント装置54dと、を備えている。
【0031】
そして、ジョイント装置54dは、溝部54dに嵌挿されたキー54dにより、スピンドル軸54cの回転を洗浄工具Tに伝達するとともに、タレットヘッド4が旋回する際には溝部54dとキー54dが摺動することで、タレットヘッド4が旋回自在に構成されている。
【0032】
タレット駆動装置6は、図1と図2に示すように、タレット旋回モータ61に連結された旋回駆動軸62に嵌挿された旋回ピニオン63からタレット減速装置64を介してタレットヘッド4を旋回させる。
具体的には、タレット減速装置64は、図3に示すように、旋回ピニオン63に一方の端部で噛合する内歯車64aの他方の端部にタレットヘッドボディ42を連結することで、タレットヘッドボディ42をセンターポスト22の軸部22aに対して旋回させるようにしている。
【0033】
ここで、図1と図2に示すように、スピンドルモータ51に連結されたスピンドル駆動軸52、およびタレット旋回モータ61に連結された旋回駆動軸62は、水平方向に同じ高さで平行になるようにクイル21に配設されている。
【0034】
かかる構成により、洗浄装置1は、駆動系のコンパクト化および軽量化を図ることができるため、スピンドルモータ51とタレット旋回モータ61を洗浄室3の外に配設することができる。そして、洗浄装置1は、スピンドルモータ51とタレット旋回モータ61を洗浄室3の外に配設することで、洗浄液がスピンドルモータ51やタレット旋回モータ61に浸入してモータの寿命が短くなったり、故障が発生しやすくなったりすることを防止して装置の耐久性および信頼性を向上させている。
【0035】
洗浄室3は、図1に示すように、洗浄室3の前面のカバー部材31aに配設された直線移動するスライド扉32(図5参照)、洗浄室3の側面のカバー部材31bに配設された片開き式扉33(図6参照)と、を備えている。
図5に示すように、スライド扉32が配設されたカバー部材31aは、勾配32bを有するくさび形状の固定シール部材32aを備え、スライド扉32は、勾配32dを有するくさび形状の扉シール部材32cを備えている。
【0036】
そして、扉シール部材32cの勾配32dは、スライド扉32を閉める進行方向に対して先端側よりも後端側の方が固定シール部材32aに近接するように傾斜させて形成され、固定シール部材32aの勾配32bは、スライド扉32の勾配32dに対応して平行に形成され、固定シール部材32aの両端側よりも中央部の方が扉シール部材32cに近接するように傾斜させている。
【0037】
このため、図5(b)に示すように、スライド扉32を閉じた状態で扉シール部材32cと固定シール部材32aが密着するため、洗浄室3の気密性を高めて洗浄液や洗浄時の音が外に漏れることを防止することができる。したがって、このような気密性の高いスライド扉32を設けた洗浄装置1は、良好な作業環境を確保することが可能となる。
【0038】
また、図6に示すように、洗浄室3は、筐体となる側面のカバー部材31bと、このカバー部材31bに配設されたヒンジ部33aを中心として回動する片開き式扉33と、を有している。
片開き式扉33は、洗浄室3の側面のカバー部材31bに配設されたヒンジ部33aを中心として回動し、ヒンジ部33aの下部には洗浄液回収穴33bが設けられている。一方、片開き式扉33の内壁面33cには、ヒンジ部33aから遠い縁部からヒンジ部33aに近づくにつれて高さが低くなるように配設された樋33dを備えている。
【0039】
かかる構成により、内壁面33cを伝わって落下する洗浄液を樋33dで受けて洗浄液回収穴33bから洗浄室3の内側に落下させてシュータ34(図1参照)から回収できるようになっている。
したがって、このような片開き式扉33を設けた洗浄装置1は、片開き式扉33を開けたときに扉の内壁面33cに付着していた洗浄液が外の床に落ちてしまうことを効果的に防止することができるため、良好な作業環境を確保することが可能となる。
【0040】
以上のように構成された本実施形態に係る洗浄装置1の動作について説明する。
洗浄装置1は、洗浄工具Tを回転させる場合には、スピンドルモータ51を駆動させて、この駆動力をスピンドル駆動軸52からスピンドルピニオン53を介して外歯車である平歯車54aから傘歯車54bに伝達してスピンドル軸54cを回転させ、ジョイント装置54dを介して洗浄工具Tを回転させる。
【0041】
また、洗浄装置1は、タレットヘッド4を旋回させて洗浄工具Tを選択する場合には、タレット旋回モータ61を駆動させて、この駆動力を旋回駆動軸62から旋回ピニオン63を介して内歯車64aおよびタレットヘッドボディ42に伝達してタレットヘッド4を旋回させる。
このようにして、洗浄装置1は、タレットヘッド4を旋回させて選択されたブラシや噴射ノズル等の洗浄工具Tを回転させながらワークのバリ取りや洗浄液を噴射して洗浄することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施形態においては、スピンドル駆動軸52と旋回駆動軸62は、水平方向に同じ高さで平行になるように構成したが、これに限定されるものではなく、水平方向で高さが異なる段違いの平行とすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 洗浄装置
2 タレット装置
3 洗浄室
4 タレットヘッド
5 スピンドル駆動装置
6 タレット駆動装置
11 架台
13 洗浄液処理装置
14 洗浄液供給流路
14a 高圧ホース
14b 洗浄液供給口
22 センターポスト
32 スライド扉
32a 固定シール部材
32c 扉シール部材
33 片開き式扉
33a ヒンジ部
33b 洗浄液回収穴
33c 内壁面
33d 樋
35 遮蔽装置
51 スピンドルモータ
52 スピンドル駆動軸
53 スピンドルピニオン
54 スピンドル減速装置
54a 平歯車(外歯車)
54b 傘歯車
54c スピンドル軸
54d ジョイント装置
61 タレット旋回モータ
62 旋回駆動軸
63 旋回ピニオン
64 タレット減速装置
64a 内歯車
T 洗浄工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に対して移動自在に配設されたクイルに固定されたセンターポストと、
このセンターポストに旋回自在に軸支され、遮蔽装置を貫通して洗浄室内に配設されたタレットヘッドと、
このタレットヘッドに回転自在に装着される洗浄工具に洗浄液を供給する洗浄液供給流路と、
前記洗浄工具を回転させるスピンドル駆動装置と、
前記タレットヘッドを旋回させるタレット駆動装置と、を有し、前記タレットヘッドを旋回させて選択された洗浄工具を回転させながらワークに前記洗浄液を噴射して洗浄する洗浄装置であって、
前記スピンドル駆動装置は、前記洗浄室の外に配設されたスピンドルモータと、このスピンドルモータと連結されたスピンドル駆動軸と、このスピンドル駆動軸に嵌挿されたスピンドルピニオンと、を備え、
前記タレット駆動装置は、前記洗浄室の外に配設されたタレット旋回モータと、この旋回モータと連結された旋回駆動軸と、この旋回駆動軸に嵌挿された旋回ピニオンと、を備え、
前記スピンドル駆動軸および前記旋回駆動軸が平行になるように前記クイル内に配設され、
前記スピンドルピニオンと外歯車を噛合させて前記洗浄工具を回転させ、前記旋回ピニオンと内歯車を噛合させて前記タレットヘッドを旋回させること、
を特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液流路は、前記洗浄室の外に配設された洗浄液供給口から前記センターポストの内部を通って当該センターポストの先端部まで流通され、前記先端部から前記タレットヘッドに装着された前記洗浄工具まで流通されていること、
を特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄室は、筐体となるカバー部材と、このカバー部材に配設された直線移動するスライド扉と、を有し、
前記カバー部材は、勾配を有するくさび形状の固定シール部材を備え、
前記スライド扉は、勾配を有するくさび形状の扉シール部材を備え、
前記扉シール部材の勾配は、前記スライド扉を閉める進行方向に対して先端側よりも後端側の方が前記固定シール部材に近接するように形成され、
前記固定シール部材の勾配は、前記スライド扉の勾配に対応して平行に形成され、
前記スライド扉を閉じた状態で前記扉シール部材と前記固定シール部材が密着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄室は、筐体となるカバー部材と、このカバー部材に配設されたヒンジ部を中心として回動する片開き式扉と、を有し、
前記ヒンジ部の下部には洗浄液回収穴が設けられ、
前記片開き式扉の内壁面には、前記ヒンジ部から遠い縁部から当該ヒンジ部に近づくにつれて高さが低くなるように配設された樋を備え、
前記内壁面を伝わって落下する洗浄液を前記樋で受けて前記洗浄液回収穴から前記洗浄室内に落下させて回収すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−230118(P2011−230118A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71706(P2011−71706)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)平成21年10月6日 株式会社日刊工業新聞社発行の「日刊工業新聞」に発表 (2)平成21年10月6日 北日本新聞社発行の「北日本新聞」に発表 (3)平成21年10月6日 富山新聞社発行の「富山新聞」に発表 (4)平成21年10月7日 日本経済新聞社発行の「日本経済新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年10月14日から17日まで 名古屋国際見本市委員会と株式会社ニュースダイジェスト社/愛知県機械工具商業協同組合との共催により開催された「メカトロテック・ジャパン2009」に出品
【出願人】(000132161)株式会社スギノマシン (144)
【Fターム(参考)】