説明

洗濯機

【課題】個々の洗濯機のばらつきや周囲環境の変動に対して洗濯物量を正確に検出することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】外箱10内に配して洗濯物が投入される洗濯槽30と、洗濯槽30内の洗濯物を攪拌するパルセータ33と、洗濯槽30とパルセータ33を回転させるモータ41と、洗濯物の物量を検知する洗濯物量検知部78とを備える洗濯機であって、洗濯物を投入してモータ41を駆動する洗濯コースと、洗濯物を投入せずにモータ41を駆動する非洗濯コースとを選択することができ、非洗濯コースに洗濯物量検知部78により検出された検出値から判定される洗濯物量の判定値を補正する補正モードを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯物の洗濯を行う洗濯機に関し、特に洗濯物の物量を検知する洗濯物量検知部を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機は特許文献1に開示される。この洗濯機は外箱内に有底筒状の水槽が配され、水槽内には洗濯物が投入される回転自在の洗濯槽が同軸に配される。洗濯槽の底部には洗濯物を攪拌するパルセータが回転自在に配される。パルセータ及び洗濯槽の回転軸にはクラッチが連結され、クラッチにはベルトを介してモータが連結される。
【0003】
モータが駆動されるとクラッチの切り替えによってパルセータ及び洗濯槽が択一的に回転する。これにより、パルセータを回転して洗いやすすぎが行われ、洗濯槽を回転して脱水が行われる。
【0004】
洗濯槽に洗濯物が投入されると、洗濯物量検知部によって洗濯物量が検知され、洗濯物量に応じた水位まで水槽に給水される。洗濯物量検知部は給水前にパルセータまたは洗濯槽をモータにより所定時間回転駆動し、モータが遮電した後の慣性回転量を検出する。該慣性回転量と洗濯物量との相関を示す基準データは予め取得して記憶され、洗濯物量検知部は検出値である慣性回転に対応した洗濯物量を判定値として出力する。
【0005】
モータとクラッチとを連結するベルトの張力は経年変化するため、同じ洗濯物量に対してモータの慣性回転量が経年変化する。このため、洗濯機の運転回数を記憶し、所定の運転回数に到達すると洗濯物量検知部の検出値が所定の補正値により補正して可変される。これにより、ベルトの経年変化による洗濯物量検知部の洗濯物量の判定誤差を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−256794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の洗濯機によると、ベルトの張力の経年変化量が個々の洗濯機に応じて異なるため、洗濯物量検知部の判定誤差を十分低減できない問題があった。また、周囲の温度変化によってベルトの硬度やモータ等の回転軸のグリスの硬度が変動する場合や商用電源の電源周波数が変わる場合等にモータの慣性回転量が変動する。この時、洗濯物量検知部の判定誤差が発生する問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は、洗濯物量をより正確に検出できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の洗濯機は、外箱内に配して洗濯物が投入される洗濯槽と、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌するパルセータと、前記洗濯槽及び前記パルセータを回転させるモータと、洗濯物量を判定して出力する洗濯物量検知部とを備える洗濯機であって、洗濯物を投入して前記モータを駆動する洗濯コースと、洗濯物を投入せずに前記モータを駆動する非洗濯コースとを選択することができ、前記非洗濯コースは前記洗濯物量検知部により検出された検出値から判定される洗濯物量の判定値を補正する補正モードを有することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、洗濯物が投入されない非洗濯コースが開始されると補正モードが実行される。補正モードで洗濯物量検知部により検出される検出値の時に無負荷状態と判定されるように検出値と洗濯物量の判定値との相関が補正される。洗濯コースが開始されると洗濯物量検知部によって取得した検出値に対応する補正後の洗濯物量の判定値が出力される。
【0011】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記パルセータと前記モータとの間を連結するプーリ及びベルトを備えたことを特徴としている。この構成によると、ベルトの張力のばらつきにより生じる物量判定の誤差が補正される。
【0012】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記非洗濯コースは前記洗濯槽にイオンを送出する槽除菌コース、前記洗濯槽に水道水を給水して洗浄する槽洗浄コース、前記洗濯槽にAgイオンを含む水道水を溜めて洗濯物を浸して除菌をおこなうAgイオン給水コース、イオンを室内に放出する室内クリーンコースのいずれかを含むことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記洗濯物量検知部は前記モータに所定時間通電して遮電後の慣性回転量を検出し、前記時間に対応する洗濯物量を判定値として出力することを特徴としている。
【0014】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記外箱内の温度が前記補正モードを前回実行した時に対して所定の温度差よりも大きい場合に前記補正モードを実行することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、前記洗濯槽に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程を備え、前記乾燥工程の終了後、所定時間経過するまで前記補正モードを実行しないことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の洗濯機は、上記構成において、接続される商用電源の周波数が前記補正モードを前回実行した時と異なる場合に前記補正モードを実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、洗濯物が投入されない非洗濯コースの補正モードで洗濯物量検知部が無負荷状態と判定するように適時補正を行うので、個々の洗濯機のばらつきや周囲環境の変動に対して洗濯物量を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る洗濯機を前方斜め上視点で示す斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る洗濯機の概略構造を示す側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る洗濯機の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施形態に係る洗濯機を前方斜め上視点で示す斜視図であり、図2は図1の洗濯機を側方視点で示す概略側面断面図である。なお、図2に示した洗濯機は左側が前面、右側が背面である。
【0020】
洗濯機1は全自動型であり、直方体形状の外箱10を備えている。外箱10は略直方体に成形され、その上下は開放されている。外箱10の上側開放部は上面板11で覆われている。また、上面板11の前面部には洗濯機の操作を行う操作部71が設けられ、上面板11の後面部にはバックパネル14が設けられる。
【0021】
上面板11の中央部には洗濯機1内に洗濯物を投入するための出入口11aが開設されている。出入口11aはバックパネル14の前端部に設けたヒンジ部15aで枢支される蓋部15によって開閉される。蓋部15の周縁にはパッキン(不図示)が設けられ、出入口11aと蓋部15との間が密封されている。蓋部15を上下に回動させて出入口11aを開閉することにより、後述する洗濯槽30に洗濯物を投入したり、洗濯槽30から洗濯物を取り出すことができる。
【0022】
外箱10の内部には、脱水槽を兼ねる洗濯槽30と、洗濯槽30を収容する水槽20が収容される。洗濯槽30は洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水(以下これらを総称して「洗濯水」という)を溜める。水槽20及び洗濯槽30はともに上面が開口した有底筒状に形成され、各々軸線を垂直にして水槽20を外側、洗濯槽30を内側とする形で同心的に配置される。
【0023】
水槽20はサスペンション部材21によって吊り下げられる。サスペンション部材21は水槽20の外面下部と外箱10の内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽20を水平面内で揺動できるように支持している。
【0024】
洗濯槽30はテーパ状に上方が広がる周壁を有し、この周壁にはその最上部に環状に配置した複数個の脱水孔31を除いて液体を通すための開口部はない。即ち、洗濯槽30はいわゆる「孔なし」タイプに形成される。洗濯槽30の上部開口部の縁には、洗濯物の脱水のため洗濯槽30を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ32が装着される。洗濯槽30の内部底面には槽内で洗濯水の流動を生じさせるためのパルセータ33が配置される。
【0025】
水槽20の下面には駆動ユニット40が取り付けられる。駆動ユニット40はモータ41及びクラッチ・ブレーキ機構43を有している。モータ41は正逆回転が可能であり、モータ41のモータ軸41aにはモータ側プーリ41bが取り付けられている。また、クラッチ・ブレーキ機構43の脱水軸44及びパルセータ軸45にはクラッチ・ブレーキ側プーリ43bが取り付けられている。モータ側プーリ41bとクラッチ・ブレーキ側プーリ43bとはベルト42で連結されている。
【0026】
クラッチ・ブレーキ機構43は電磁力で動作し、脱水軸44及びパルセータ軸45の一方を択一的にモータ41に連結する。また、クラッチ・ブレーキ機構43は電磁力によって脱水軸44の回転にブレーキを掛けるとともに、ブレーキを解除する。
【0027】
脱水軸44とパルセータ軸45は二重軸構造となっており、脱水軸44が外側に配されてパルセータ軸45が内側に配される。脱水軸44は水槽20を貫通して洗濯槽30に連結され、洗濯槽30を軸支する。パルセータ軸45は水槽20及び洗濯槽30を貫通してパルセータ33に連結され、パルセータ33を軸支する。脱水軸44と水槽20との間、及び脱水軸44とパルセータ軸45との間には各々水もれを防ぐためのシール部材が配置される。
【0028】
水槽20の底部には水槽20及び洗濯槽30内の水を外箱10の外部に排水する排水ホース60が取付けられている。洗濯槽30には排水孔62が同一円周上に複数箇所設けられ、各排水孔62と排水ホース60との間は排水ダクト61により連結される。排水ダクト61内には排水弁63が設けられる。排水弁63を開くと排水ダクト61及び排水ホース60を介して洗濯槽30内の水が排水される。また、脱水時に洗濯槽30から流出した水は水槽20の周壁と洗濯槽30の周壁との間を通って排水ホース60から排水される。
【0029】
外箱10の後部の延設部16上には乾燥ユニット91が設置されている。乾燥ユニット91は送風機50及びヒータ54を備える。送風機50の駆動により、水槽20と洗濯槽30内に温風が供給され、洗濯物が乾燥される。
【0030】
また、乾燥ユニット91は正イオンと負イオンからなるプラズマクラスターイオン(以下「PCI」という)を発生するPCI発生器80が配される。PCIによって洗濯物に帯電した静電気を除去するとともに洗濯部物を除菌することができる。また、PCI発生器80で発生したPCIを洗濯機1を設置した室内に送出する排気ダクト(不図示)が設けられる。排気ダクトは後述する室内クリーンコース洗濯時に開かれる。
【0031】
また、洗濯機1の背面側上部には市水に接続された給水弁77(図3参照)が設けられる。給水弁77を開くことによって洗濯槽30に給水が行われる。
【0032】
洗濯物を投入した洗濯槽30に給水弁77を開いて給水し、モータ41によりパルセータ33が回転して洗濯物の洗い工程及びすすぎ工程が行われる。また、モータ41により洗濯槽30を高速回転させると洗濯物の脱水工程が行われる。また、モータ41により洗濯槽30を回転して送風機50及びヒータ54を駆動すると温風が洗濯槽30に供給され、洗濯物の乾燥工程が行われる。
【0033】
図3は洗濯機1の構成を示すブロック図である。洗濯機1には各部を制御する制御部70が設けられる。制御部70は制御基板(不図示)を有し、外箱10の背面上部に配される。制御部70にはモータ41、クラッチ・ブレーキ機構43、送風機50、ヒータ54、給水弁77、洗濯物量検知部78、PCI発生器80、操作部71、表示部72、蓋開閉センサ73、水位センサ74、温度センサ75、湿度センサ76及び記憶部79が接続される。また、制御部70にはタイマーが設けられる。
【0034】
操作部71には電源キー、スタートキー、コース選択キー等各種操作ボタンを備えている。操作部71の入力により制御部70がプログラムの実行を行う。なお、電源キーは電源の投入を指示し、スタートキーは洗濯の開始を指示し、コース選択キーは洗濯コースの操作選択を行う。
【0035】
表示部72は操作部71に設けられ、洗濯機1の操作画面や動作状態を表示する。蓋開閉センサ73は蓋部15の開閉状態を検知する。水位センサ74は洗濯槽30の水位を検知する。温度センサ75は洗濯槽30の内部の温度を検知する。湿度センサ76は洗濯槽30の内部の湿度を検知する。
【0036】
記憶部79はROM及びRAMから成り、洗濯機1の複数の運転コースの動作プログラムを格納するとともに制御部70の演算結果を一時記憶する。洗濯機1の運転コースには複数の洗濯コースと複数の非洗濯コースとが設けられる。洗濯コースは洗濯槽30に洗濯物を投入してモータ41を駆動し、非洗濯コースは洗濯槽30に洗濯物を投入せずにモータ41を駆動する。
【0037】
洗濯コースには例えば、洗濯物の洗濯及び乾燥を行う洗濯乾燥コース、洗濯物の洗濯のみを行う洗濯非乾燥コース、洗濯物の脱水のみを行う脱水コース、洗濯物の乾燥を行う乾燥コース等が設けられる。
【0038】
非洗濯コースには例えば、槽除菌コース、槽洗浄コース、Agイオン給水コース、室内クリーンコース等が設けられる。槽除菌コースは洗濯槽30に給水せずにPCI発生器80で発生したPCIを洗濯槽30に供給する。これにより、洗濯槽30及び水槽20内が除菌される。槽洗浄コースは洗濯槽30内に市水を給水し、洗濯槽30を洗浄する。
【0039】
Agイオン給水コースは給水弁77と洗濯槽30との間の給水路(不図示)から分岐した分岐路(不図示)を介して洗濯槽30に給水する。分岐路内には銀が設置され、洗濯槽30に供給されるAgイオンを含む水を使用者が容器で受ける。これにより、容器内に溜められたAgイオンを含む水に洗濯物を浸し、洗濯物を除菌することができる。
【0040】
室内クリーンコースは乾燥ユニット91の排気ダクトを開き、送風機50の駆動によってPCI発生器80で発生したPCIを室内に送出する。これにより、洗濯機1を設置した室内の除菌を行うことができる。
【0041】
また、記憶部79には後述するモータ41の慣性回転量と洗濯物量との相関を示す基準データのデータベースが記憶される。モータ41の慣性回転量と洗濯物量との相関を示す基準データの関数を記憶部79に記憶してもよい。
【0042】
洗濯物量検知部78は洗濯槽30に投入された洗濯物の洗濯物量を判定して出力する。洗濯物量検知部78は乾いた状態の洗濯物が投入される洗濯コース(洗濯乾燥コースや洗濯非乾燥コース)の開始時にモータ41を所定時間通電して洗濯槽30またはパルセータ33を回転させた後に遮電する。これにより、モータ41が慣性回転し、モータ41が停止するまでの慣性回転量を検出する。
【0043】
モータ41の慣性回転量は慣性回転時間をタイマーの計時によって検出してもよく、慣性回転時にモータ41により発生する起電力の電圧のパルス数を検出してもよい。モータ41の慣性回転量は洗濯物量が多いと小さく、洗濯物量が少ないと大きい。洗濯物量検知部78は検出値である慣性回転量に対応する洗濯物量を記憶部79に記憶した基準データにより判定し、判定値として出力する。これにより、制御部70が洗濯物量検知部78により検知した洗濯物量に対応した水位まで洗濯槽30に給水する。
【0044】
ここで、モータ41とクラッチ・ブレーキ機構43とを連結するベルト42の張力は摩耗等によって経年変化する。また、ベルト42は周囲温度によって硬度が変動して張力が変化する。モータ軸41a、パルセータ軸44または洗濯槽軸45に設けられるグリスは温度によって硬度が変動する。これらやモータ41の経年劣化等によってモータ41の負荷が変動するため、洗濯物量検知部78で検出する慣性回転量が同じ洗濯物量であっても変動する。
【0045】
また、使用者の転居等によって洗濯機1が接続される商用電源の電源周波数が50Hzと60Hzとに変わるとモータ41の慣性回転量が変動する。
【0046】
このため、非洗濯コースには洗濯物量検知部78の検出値に対応して出力される洗濯物量の判定値を補正する補正モードが設けられる。即ち、非洗濯コースでは洗濯物が投入されないため無負荷状態である。このため、補正モードが実行されると洗濯物量検知部78により検出される検出値の時に無負荷状態と判定されるように基準データに対して検出値と洗濯物量の判定値との相関が補正される。
【0047】
これにより、洗濯コースでは洗濯物量検知部78によって取得した検出値に対応する補正後の洗濯物量の判定値が出力される。従って、経時変化や周囲環境によって慣性回転量が変動しても正確に洗濯物量を検出することができる。
【0048】
なお、洗濯物量検知部78は他の方法によって洗濯物量を検知してもよい。例えば、モータ41の駆動により洗濯槽30の回転数を所定値まで上昇させる量とモータ41を停止して洗濯槽30が停止するまでの量との比率を検出値として洗濯物量を判定してもよい。
【0049】
補正モードは非洗濯コースのいずれかのコースを選択したときに毎回実行するように設定してもいいし、特定の条件のときのみに実行するように設定してもよい。
【0050】
外箱10内の温度差が大きく変化した場合、モータ軸41a、脱水軸44及びパルセータ軸45のグリスが硬化又は軟化し易い。このため、非洗濯コースを選択して周囲温度や洗濯槽30内の温度検知等によって外箱10内の温度が前回補正モードを実行したときに対して所定の温度差よりも大きい時に補正モードを実行するように設定してもよい。
【0051】
また、洗濯機1の商用電源の電源周波数が前回補正モードを実行したときと異なるときに補正モードを実行するように設定してもよい。
【0052】
なお、乾燥工程の終了直後は脱水軸44及びパルセータ軸45のグリスが熱で軟化する。このため、洗濯槽30に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程が終了後、所定時間経過するまで補正モードを実行しないように設定してもよい。
【0053】
本実施形態によると、洗濯物が投入されない非洗濯コースの補正モードで洗濯物量検知部78が無負荷状態と判定するように適時補正を行うので、個々の洗濯機のばらつきや周囲環境の変動に対して洗濯物量を正確に検出することができる。
【0054】
また、パルセータ33とモータ41との間を連結するモータ側プーリ41b、クラッチ・ブレーキ側プーリ43b及びベルト42を備えている。このため、ベルト42の張力のばらつきにより発生する物量判定の誤差を適時補正することができる。
【0055】
また、非洗濯コースは洗濯槽30にイオンを送出する槽除菌コース、洗濯槽30に水道水を給水して洗浄する槽洗浄コース、洗濯槽30にAgイオンを含む水道水を溜めて洗濯物を浸して除菌をおこなうAgイオン給水コース、イオンを室内に放出する室内クリーンコースのいずれかであるため、補正モードの実行が適時行われ、洗濯物量検知部78の精度を高い状態で維持することができる。
【0056】
また、洗濯物量検知部78はモータ41に所定時間通電して遮電後の慣性回転量を検出し、前記時間に対応する洗濯物量を判定値として出力することにより、物量判定に必要な部材を削減することができ、洗濯機1のコストダウンを図ることができる。
【0057】
また、外箱10内の温度が補正モードを前回実行した時に対して所定の温度差よりも大きい場合に補正モードを実行する。これにより、温度変化によりモータ軸41aのグリスが軟化又は硬化したときに発生する物量判定の誤差を確実に補正することができる。
【0058】
また、洗濯槽30に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程の終了後、所定時間経過するまで補正モードを実行しない。これにより、不要な物量判定の補正を省略することができる。
【0059】
また、接続される商用電源の周波数が補正モードを前回実行した時と異なる場合に補正モードを実行することにより、商用電源の周波数を変更した際に発生し易い物量判定の誤差を確実に補正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は洗濯物の物量を検知する洗濯物量検知部を備えた洗濯機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 洗濯機
10 外箱
11 上面板
11a 出入口
30 洗濯槽
41 モータ
43 クラッチ・ブレーキ機構
50 送風機
54 ヒータ
70 制御部
71 操作部
72 表示部
73 蓋開閉センサ
74 水位センサ
75 温度センサ
76 湿度センサ
77 給水弁
78 洗濯物量検知部
79 記憶部
80 PCI発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に配して洗濯物が投入される洗濯槽と、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌するパルセータと、前記洗濯槽及び前記パルセータを回転させるモータと、洗濯物量を判定して出力する洗濯物量検知部とを備える洗濯機であって、洗濯物を投入して前記モータを駆動する洗濯コースと、洗濯物を投入せずに前記モータを駆動する非洗濯コースとを選択することができ、前記非洗濯コースは前記洗濯物量検知部により検出された検出値から判定される洗濯物量の判定値を補正する補正モードを有することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記パルセータと前記モータとの間を連結するプーリ及びベルトを備えたことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記非洗濯コースは前記洗濯槽にイオンを送出する槽除菌コース、前記洗濯槽に水道水を給水して洗浄する槽洗浄コース、前記洗濯槽にAgイオンを含む水道水を溜めて洗濯物を浸して除菌をおこなうAgイオン給水コース、イオンを室内に放出する室内クリーンコースのいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記洗濯物量検知部は前記モータに所定時間通電して遮電後の慣性回転量を検出し、前記時間に対応する洗濯物量を判定値として出力することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記外箱内の温度が前記補正モードを前回実行した時に対して所定の温度差よりも大きい場合に前記補正モードを実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯槽に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程を備え、前記乾燥工程の終了後、所定時間経過するまで前記補正モードを実行しないことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
接続される商用電源の周波数が前記補正モードを前回実行した時と異なる場合に前記補正モードを実行することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−102962(P2013−102962A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248868(P2011−248868)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】