説明

洗濯機

【課題】使用者に応じて最適な洗剤,漂白剤およびソフト仕上げ剤の投入時間を設定できる洗濯機を提供する。
【解決手段】主制御回路と、洗濯運転コースを設定する操作スイッチと、洗濯運転情報を表示する表示部と、前記洗濯運転情報に含まれるエラーを報知する報知手段と、洗濯槽の蓋の開閉状態を検知する検知手段を有する洗濯機において、予め定めた所定時間を経過しても前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知しない場合に前記報知手段がエラーを報知し、前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知するまでの時間を測定し、その測定した時間を用いて前記所定時間を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転開始後、布量検知動作終了時にフタ開閉検知手段がフタの開状態を検知した場合は、フタが閉じられた時点でフタロック手段によりフタを閉状態にロックして洗濯運転をさせるようにし、所定時間経過後もフタが閉じられない場合は異常報知する洗濯機として、例えば下記特許文献1が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−268849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す洗濯機は、布量検知動作終了時に、使用する洗剤量の目安を表示し、表示に従い使用者に洗剤を洗剤投入口に投入させる。使用者によっては、洗濯時に洗剤だけでなく漂白剤ならびにソフト仕上げ剤をおのおのの投入口に投入する場合もある。
【0005】
所定時間経過後も蓋が閉じられない場合には異常報知されるが、その所定時間は、通常、平均的な使用者が洗剤および漂白剤を投入口に投入し、さらにソフト仕上げ剤を投入口に投入する平均的な時間を調査して決定することが多い。そのため使用者によっては、所定時間が長く感じる場合と、洗剤,漂白剤およびソフト仕上げ剤の投入に時間がかかるため毎回異常報知がされてしまう場合とが生じる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、使用者に応じて最適な洗剤,漂白剤およびソフト仕上げ剤の投入時間を設定できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主制御回路と、洗濯運転コースを設定する操作スイッチと、洗濯運転情報を表示する表示部と、前記洗濯運転情報に含まれるエラーを報知する報知手段と、洗濯槽の蓋の開閉状態を検知する検知手段を有する洗濯機において、予め定めた所定時間を経過しても前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知しない場合に前記報知手段がエラーを報知し、前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知するまでの時間を測定し、その測定した時間を用いて前記所定時間を更新する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者に応じて最適な洗剤,漂白剤およびソフト仕上げ剤の投入時間を設定できる洗濯機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係わるもので、洗濯乾燥機の概略を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施例に係わるもので、洗濯乾燥機の制御回路ブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係わるもので、操作パネルを示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、運転開始処理に関するフローを示す図である。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、蓋開異常検知時間を更新する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例について、図1〜図5を用いて説明する。
【0011】
まず、図1に基づき、本実施例に係わる洗濯乾燥機の概要について説明する。
【0012】
洗濯乾燥機の外枠1は、洗濯水や濯ぎ水が溜まる外槽2を内置する。外槽2は外枠1に防振支持される。洗浄したり、乾燥したりされる洗濯物を収納する洗濯脱水槽(内槽)3は、外槽2内に回転自在に支持される。
【0013】
洗濯物を撹拌して洗う撹拌翼4は、内槽3に回動自在に内置される。洗濯運転時、および乾燥運転時には、撹拌翼4は正転/逆転が繰り返される。脱水運転時には、撹拌翼4は内槽3と一緒に高速回転し、内槽3内の洗濯物に含まれる水分が脱水される。
【0014】
洗濯乾燥用駆動モータ10は、撹拌翼4、および内槽3の回転駆動を行う。洗濯乾燥用駆動モータ10は、DCブラシレスモータを使用する。このDCブラシレスモータは、ベクトル制御が行われる。
【0015】
外蓋5は外枠1の上部に備わるトップカバー6に開閉自在に設けられる。外槽2の上部には、内蓋34が開閉自在に設けられる。そして、外蓋5及び内蓋34を開くことにより、内槽3内に洗濯物の出し入れを行う。
【0016】
トップカバー6は、前側に給水ボックス(図示せず)を有する。給水ボックスは、水道水,風呂水を外槽2に供給する。洗剤,仕上げ剤の投入装置35は、トップカバー6の前側に備える。洗剤,仕上げ剤の投入は投入ホース36により、外槽2と内槽3の間に注がれる。
【0017】
洗濯水として水道水を供給したり止めたりする水道水給水弁7は、トップカバー6の後部に設けられる。水道水給水弁7の流入接続部8は、トップカバー6を貫いて上方に突き出す。この突き出た流入接続部8に水道ホース(図示せず)が接続される。水道水給水弁7の吐出口側は、ここに接続される給水ホース30を介して先の給水ボックスに連通接続される。給水ボックスの落し口は、外槽2と内槽3の間に向けられている。
【0018】
風呂水を吸い上げる風呂水ポンプ(図示せず)もトップカバー6の後部に内置される。風呂水ポンプは、風呂まで延びる吸込ホースが接続される。
【0019】
乾燥機構9は、内槽3内の洗濯物を乾かす乾燥用空気の循環送風や除湿を行う。この乾燥機構9は大部分が乾燥用空気循環路で占められる。
【0020】
乾燥用空気循環路は、外槽2の底部に連通するように接続される底部循環路20,底部循環路20から上る除湿用縦通路21,除湿用縦通路21の上側に連通するように接続される温風ユニット22を有する。温風ユニット22は、送風ファン,ヒータ24を有する。温風ユニット22の吸込側は、除湿用縦通路21の上側に接続され、排出側は戻り接続循環路25が連通するように接続される。
【0021】
戻り接続循環路25は、上部蛇腹ホース23を有し、この上部蛇腹ホース23を介して外槽2の上部に連通するように接続される。底部循環路20も下部蛇腹ホース26を有し、この下部蛇腹ホース26を介して外槽2の底部に連通するように接続される。
【0022】
除湿用縦通路21は、後述する除湿領域を内置する。除湿領域は除湿用縦通路21内に縦に延びるように存在する。この除湿領域に供給する風呂水や水道水で除湿用縦通路21を上昇する乾燥用空気が冷却され、乾燥用空気中に含まれる水分が奪取される。
【0023】
温風ユニット22の送風ファン29により、乾燥用空気循環路を通じる乾燥用空気が内槽3内を流通し、内槽3内の洗濯物を乾かす。温風ユニット22のヒータ24により、除湿領域で水分の抜けた乾燥用空気は再加熱されて内槽3を流れるので、洗濯物の水分を除去する。この水分除去が乾燥用空気の循環で繰り返されることにより、洗濯物は良く乾燥されるようになる。
【0024】
下部蛇腹ホース26が接続される外槽2の底落込部31は、下部連通管41を介して洗濯水排水路42と洗濯水循環水路43に連通する。洗濯水排水路42には排水弁44を介して下部連通管41が連通し、洗濯水循環水路43には循環ポンプ45および異物除去トラップ32を介して下部連通管41が連通する。
【0025】
洗濯運転時や乾燥運転時には、排水弁44は閉じておく。洗濯水を排水する排水時や乾燥運転時には、排水弁44を開いて外槽2に溜まっていた洗濯水やすすぎ水を洗濯乾燥機の外部に排水する。
【0026】
循環ポンプ45の吸込側は、異物除去トラップ32に連通するようにつながれる。循環ポンプ45の吐出側は洗濯水循環水路43に連通するようにつながれる。洗濯水循環水路43の先方につながる洗濯水循環水縦水路46は、外槽2の外側面に沿って上昇し、内槽3の上側まで延び、内槽3の上側に設けて洗濯糸くず除去装置33に連通するように接続される。
【0027】
外槽2に溜まる洗濯水や濯ぎ水は、循環ポンプ45で吸い上げられ、洗濯水循環水縦水路46を流れて洗濯糸くず除去装置33から内槽3に散布するように注がれる。この循環ポンプ45による散布注水が続く下で、洗濯や濯ぎが行われるので、少ない水量で良く洗濯・すすぎが行われる。
【0028】
水位検出手段47は、外槽2に溜まる洗濯水や濯ぎ水の水位を検出する。外槽2の底部近傍にエアートラップ50を設け、このエアートラップに連通するように接続したエアーチューブ49を設ける。このエアーチューブ49の上端に水位検出手段47が連通するように接続される。外槽2内の水位変動を水位検出手段47が感知して水位検出が行われる。
【0029】
次に、洗濯乾燥機の制御回路,操作パネル,洗濯運転の概要に関し、図2,図3を引用して説明する。
【0030】
図2に示す制御回路は、マイクロコンピュータを主要部とする主制御回路600と、負荷駆動制御回路601と、電源回路602と、オートオフリレー603を有し、商用交流電源604より給電される。
【0031】
主制御回路600,負荷駆動制御回路601、および電源回路602には、オートオフリレー603を介して電力が供給される。電源回路602は、交流を直流に変換して主制御回路600に供給する。
【0032】
負荷駆動制御回路601には、水道水給水弁7,ソフト仕上げ剤弁605,洗剤溶かし弁606,冷却水弁607,排水弁44,洗濯乾燥用駆動モータ10,クラッチ608,蓋ロック機構609,電動送風機610,循環ポンプ45,ヒータ24等の各種機器が接続される。負荷駆動制御回路601は、主制御回路600の指示のもとで、各種機器の通電を制御する。
【0033】
主制御回路600には、各種の操作スイッチ612,水位検出手段47,温度測定手段613,蓋開閉検知手段11,不揮発メモリ615,表示部617,エラー報知のブザー618が接続される。
【0034】
主制御回路600は、各種の操作スイッチ612,各種センサおよび不揮発メモリ615と情報を交信し、負荷駆動制御回路601を制御する。主制御回路600は、エラーを含む各種情報の表示部617への表示や、エラー発生時のブザー618の鳴動を指令する。
【0035】
各種の操作スイッチ612は、洗濯や乾燥に係わる運転情報を入力するものである。図3,図1に示す操作パネル611に配置されたコース設定スイッチ620と、洗いスイッチ621と、すすぎスイッチ622と、脱水スイッチ623と、水量スイッチ624と、スタート/一時停止スイッチ625と、略電源(入)スイッチと、略電源(切)スイッチを含む。また、表示領域629の内部および各種の操作スイッチ620〜625の内部には、LEDなどの発光部品が配されている。
【0036】
洗濯運転の運転動作は、図4に示す運転開始処理を行い、以後、洗い工程,すすぎ1工程,すすぎ2工程,最終脱水工程の順で進行し、洗濯の運転終了に至るが、洗い工程以降の動作については省略する。
【0037】
洗濯乾燥機の運転開始処理に係わる布量計測,表示、および蓋開エラー発生時の報知に関し、図4を用いて説明する。
【0038】
図4は、運転開始処理に関するフローを示す図である。
【0039】
各種の操作スイッチ621〜624(図3に示す)を押し、洗濯乾燥のコースや運転動作を含めた運転内容の初期設定を行い、スタート/一時停止スイッチ625を押して運転がスタートする。
【0040】
洗濯物の量を布量検知手段で検知する布量計測のステップ700を実施する。まず、布量計測は外槽2内に洗浄水がないことを水位検出手段47により確認する。そして、外槽2内に洗浄水が無い場合は、洗濯乾燥用駆動モータ10により、撹拌翼4の回転駆動を行う。攪拌翼4を一定回転数で回転させた際の洗濯乾燥用駆動モータ10にかかる電流を測定することで攪拌翼4にかかる負荷を測定し、その負荷を槽内の布量に換算する。
【0041】
換算された布量を元に、使用する洗浄水の水量を決定し、表示部617によりその水量を表示する。このとき標準的な洗濯用洗剤の使用量に換算し、表示部617により表示を行ってもよい(ステップ701)。
【0042】
外槽2内に洗浄水がある場合は、前記洗濯乾燥用駆動モータ10にかかる電流の測定による布量の計測は正確な測定が行えないため、使用可能な最大の水量に決定し表示を行う。
【0043】
水量の表示処理を実施した後、蓋開エラーを報知するタイミングを決める蓋開異常検知時間をタイマーに設定する(ステップ702)。
【0044】
使用者は、表示部617に表示された水量または標準的な洗濯用洗剤の使用量を読み取り、洗濯用洗剤の使用量を判断し、洗剤,仕上げ剤の投入装置35に洗剤ならびに仕上げ剤を投入する。
【0045】
使用者は洗剤ならびに仕上げ剤を投入後、外蓋5及び内蓋34を閉じる。外槽5の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段11は蓋の閉状態を検知した場合(ステップ707)、蓋ロック手段609により、洗濯運転中に外蓋5を閉状態に維持する蓋ロック閉処理を行う(ステップ710)。
【0046】
このとき使用者によっては、洗剤ならびに仕上げ剤の投入時に漂白剤を同時に投入する場合や、洗剤のみで仕上げ剤の投入を行わない場合があり、また洗剤の投入にかかる時間もまちまちとなっている。
【0047】
そのため、洗剤の投入に時間のかかる使用者や洗剤,仕上げ剤ならびに漂白剤を同時に投入する使用者では投入に時間を要し、所定時間(蓋開異常検知時間)を経過し、蓋開異常表示処理(ステップ708)に移行してしまう場合がある。
【0048】
その場合においても、投入終了後に外蓋5を閉じれば(ステップ709)、蓋ロック閉処理を行う。
【0049】
タイマーに設定する蓋開異常検知時間は使用者の実態を調査した平均に余裕分を加算したものがほとんどであるが、使用者によっては常に蓋開異常検知時間を超え、蓋開異常表示処理に移行してしまう場合がある。
【0050】
そこで、本実施例では、蓋開閉検知手段11を用いて蓋が閉状態となるまでの時間を測定し、その測定時間に応じて蓋開異常検知時間を更新し、使用者に応じて最適な蓋開異常検知時間とする。
まず、初期状態の蓋開異常検知時間としては、工場出荷時に、最大時間(例えば250秒)が不揮発メモリ615に記憶されている。
【0051】
運転が開始されると、洗剤量または水量の目安を表示する処理(ステップ701)を実施した後、蓋開異常検知時間を不揮発メモリ615から読み出しタイマーに設定する(ステップ711)。
【0052】
そして、布量検知時間終了時から当該予め設定した蓋開異常検知時間を経過しても、蓋開閉検知手段11が外蓋5の閉状態を検知しない場合には、報知手段としてのブザー618を用いてエラーを音声で知らせ、表示部617にはエラーの内容と対処方法等を表示する。
【0053】
また、本実施例に係わる洗濯機では、水量等の表示処理を実施した後、蓋開閉検知手段11が外蓋5の閉状態を検出するまでの時間を測定し(ステップ712)、その測定した時間を用いて、蓋開異常検知時間を更新し、次回の蓋開異常検知時間として不揮発メモリ615に書き込みを行う(ステップ713)。
【0054】
図5は、蓋開異常検知時間を設定する方法の一例である。布量検知動作終了時から外蓋5が閉状態となるまでの時間を表の左側に、蓋開異常検知の設定時間を右側に記載しており、測定時間により、蓋開異常検知時間を更新する。
【0055】
本実施例では、蓋開異常検知時間の更新は毎回行っているが、外蓋5が閉状態となるまでの時間について、過去の複数回分の測定結果を平均した時間により更新しても良い。また、前回の蓋開異常検知時間よりも短くなった場合にのみ、更新するようにしても良い。
【0056】
尚、本実施例では、洗濯から乾燥まで行える縦型の洗濯乾燥機について説明したが、乾燥機能を持たない洗濯機であっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
600 主制御回路
612 各種の操作スイッチ
617 表示部
618 ブザー
625 スタート/一時停止スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御回路と、洗濯運転コースを設定する操作スイッチと、洗濯運転情報を表示する表示部と、前記洗濯運転情報に含まれるエラーを報知する報知手段と、洗濯槽の蓋の開閉状態を検知する検知手段を有する洗濯機において、予め定めた所定時間を経過しても前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知しない場合に前記報知手段がエラーを報知し、前記検知手段が前記蓋の閉状態を検知するまでの時間を測定し、その測定した時間を用いて前記所定時間を更新することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、前記蓋の閉状態を検知するまでの時間が予め定めた前記所定時間よりも長い場合には、前記所定時間を更新せず、前記蓋の閉状態を検知するまでの時間が予め定めた前記所定時間よりも短い場合には、前記所定時間を更新することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1において、前記蓋の閉状態を検知するまでの時間を測定した過去の複数回分の結果を用いて、前記所定時間を更新することを特徴とする洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22106(P2013−22106A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157403(P2011−157403)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】