説明

洗濯洗剤バー組成物

【課題】リン酸塩化合物ビルダーの代わりに、より環境に優しく、使用時の摩耗率、硬度、耐久性、素早い乾燥および低スメアを有するビルダーによる洗濯バーを提供する。
【解決手段】官能化ポリカルボキシラートビルダーを含み、リン酸塩を含まない洗濯バー組成物。カルボキシラーがモノエチレン性不飽和カルボン酸、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸、メタクルリ酸アルキルおよび、これらモノマー単位と共重合可能な不飽和モノマーから選択されるビルダーによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の洗濯洗剤バー組成物に関する。具体的には、本発明は、従来のリン酸塩化合物ビルダーの代わりに、ビルダーとして特定のポリカルボキシラート化合物を有する洗濯洗剤バー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの地方において、洗濯洗剤バーは衣類を洗浄するために使用される。洗濯洗剤バーの分野における技術開発は、衣類を洗浄するのに有効で;暖かい水および冷たい水における、並びに硬水および軟水における許容可能な泡立ち特性を有し;許容可能な使用時の摩耗率、硬度、耐久性、および感触を有し;低い吸水崩壊(slough)および素早い乾燥を有し;並びに心地よい臭いおよび外観を有する洗濯洗剤バーを配合するのに関係してきた。
【0003】
トリポリリン酸ナトリウム(STPP)は洗濯洗剤バーのための良好なビルダーかつ界面活性剤であると常に考えられてきた。これはバーの破損および素早い溶解を妨げるのを助ける。それはまた、バーのアルカリ度、再沈着防止および洗浄効果に寄与する。しかし、高濃度のSTPPは、環境的理由、特に富栄養化をもたらしうる下水システムへのリン酸塩漏出のせいで望ましくない。これは過剰な水の華(algal bloom)、水質の低下および魚の個体数の低下を引き起こす。言及されたSTPPの欠点のせいで、洗濯洗剤バーの製造においてSTPPの使用を低減させる必要がある。
【0004】
ポリカルボキシラートはSTPPの代替物であることが見いだされてきた。ポリカルボキシラートは良好な再沈着防止剤および金属イオン封鎖剤であるが、追加の液体が押出による洗濯バーの形成を困難にするであろうとされているので、洗濯バーにおけるその使用は制限されてきた。国際公開第00/040691号は、組成物にポリカルボキシラートを組み込む、リン酸塩を含まない洗濯バー組成物を開示する。しかし、国際公開第00/040691号に関する問題は、この文献がリン酸塩を含まない洗濯洗剤を開示しておらず、単に「実質的に含まない」ものしか開示していないことである。さらに、この文献は一般的な種類の化合物を超える改良された性能を生じさせる特別な種類のポリカルボキシラートを選択することに導くものではない。最後に、ポリカルボキシラートはこの文献の余談として言及されており、この文献の主たる焦点はビルダーとしてのSTPPの使用を教示することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第00/040691号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、より環境に優しく、許容可能な使用時の摩耗率、硬度、耐久性、素早い乾燥および低スメアを有する洗濯洗剤バーについての必要性がある。
本発明は、STPPで構成されるバー洗剤と比較して低減した溶解速度を有し、硬くなり、形を形成できる特定のポリカルボキシラートをビルダーとして使用し、STPPを含まない洗濯バーを提供することによりこの課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、官能化ポリカルボキシラートを有する組成物を含み、リン酸塩を含まない、織物を洗浄するための洗濯洗剤バー組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書においては、他に特定されない限りは、全てのパーセンテージ、比率および割合は洗濯洗剤バーの重量基準である。他に特定されない限りは、全ての温度は摂氏度(℃)である。引用される全ての文献は参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0009】
LABおよび/またはLASに関して、本明細書において使用される場合、用語「直鎖」とは、そのアルキル部分が約30%未満、あるいは約20%未満、あるいは約10%未満の分岐アルキル鎖を含むことを示す。
【0010】
本明細書において使用される場合、用語「実質的に含まない」とは、本発明の洗濯洗剤バー中に含まれる不純物が、組成物の洗浄効果に対して正にもしくは負に寄与するのに不充分であることを示す。本発明の洗濯洗剤バーは約5重量%未満、あるいは約2重量%未満、あるいは約0.5重量%未満の当該特定される物質を含む。
【0011】
本明細書において使用される場合、用語「洗濯バー」は、織物および不織布を洗浄するのに有用な固体状態の洗濯洗剤である。洗濯バーは固体のバー、粉体もしくは個々のペレット、または他の固体状態形状であることができる。本発明の洗濯バーは特定の分散剤ビルダーを含んでなる。本発明の洗濯バーはリン酸塩を含まない。
【0012】
本発明の洗濯バーは、衣類洗浄プロセスを助けるために、洗濯水中で重金属イオンを封鎖できるビルダーを含む。驚くべきことに、本発明のバーに好適なビルダーはリン酸塩ではない特定の官能化ポリカルボキシラートビルダーであることが見いだされた。このようなポリカルボキシラートビルダーは典型的には洗濯バー組成物中で塩として提供される。このようなポリカルボキシラートビルダーはポリマー系であり、その組成はi)ポリカルボキシラートビルダーの全重量を基準にして30〜100重量%の量の範囲の、1種以上の(C−C)モノエチレン性不飽和カルボン酸;ii)0〜70重量%の範囲の量の、1種以上の(C−C)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸;iii)0〜20重量%の範囲の量の、1種以上のメタクリル酸(C−C12)アルキルから選択されるモノマー;並びにiv)0〜30重量%の量の、i)、ii)およびiii)のモノマーと共重合可能な1種以上の不飽和モノマーから選択されるモノマーを含む。ポリカルボキシラートビルダーの前記任意成分は、組成の全体において、単独で存在することができ、互いに様々な組み合わせで存在することができ、または存在しなくても良い。
【0013】
好適なポリカルボキシラート塩の例は、典型的には、低分子量(MW)、約1500〜10,000、あるいは2000〜7000の、ポリアクリル酸ホモポリマー(PAA)または無水マレイン酸とのそのコポリマー(PAA−MA)、ポリ(メタクリル酸)、もしくはポリ(アクリル酸−コ−メタクリル酸)が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩で中和され、または有機塩基、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、アミン、例えば、脂肪族アミン、アルカノールアミン、もしくはこれらの混合物で中和されて得られる。本発明のポリカルボキシラートはホスホノ官能性末端基を有する。本発明のバーは1%〜約20%のビルダー、あるいは約1〜約10%、あるいは約1%〜約5%のビルダーを含む。
【0014】
本発明の洗濯バーは、約20%〜約70%の界面活性剤、あるいは約25%〜約65%の界面活性剤、あるいは約30%〜約60%の界面活性剤をさらに含む。本発明の洗濯バー中の界面活性剤は、約50%〜100%の石けん、あるいは約60%〜約90%の石けん、あるいは約65%〜約85%の石けんを含む。本発明のバー中の界面活性剤は0%〜約50%のアルキルベンゼンスルホン酸塩、あるいは約10%〜約40%のアルキルベンゼンスルホン酸塩、あるいは約15%〜約35%のアルキルベンゼンスルホン酸塩を含む。あるいは、本発明の洗濯バーの界面活性剤は本質的に石けんおよびアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる。
【0015】
本明細書において使用される場合、「石けん」とは脂肪酸の塩を意味する。脂肪酸は約8〜約24個の炭素原子、あるいは約10〜約20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖である。脂肪酸石けんの平均炭素鎖長は12〜18個の炭素原子、あるいは14〜16個の炭素原子である。脂肪酸の塩の非限定的な例は、ナトリウムおよびカリウム、特にナトリウムのようなアルカリ金属塩である。塩の他の例には、アンモニウム塩およびアルキロールアンモニウム塩が挙げられる。
【0016】
あるいは、本発明のバーにおいて有用な石けんの脂肪酸は、植物もしくは動物エステルのような天然ソースから得られ、例としては、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、ピーナッツ油、コーン油、ゴマ油、米ぬか油、綿実油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、獣脂、鯨油、魚油、グリース、ラードおよびこれらの混合物が挙げられる。好適な脂肪酸は、ヤシ油、獣脂、パーム油(パームステアリン油)、パーム核油、およびこれらの混合物から得られる。脂肪酸は、合成的に、例えば、石油の酸化によって、または一酸化炭素の水素化によって製造されることができる。
【0017】
アルカリ金属石けんは脂肪および油の直接鹸化によって、または別の製造プロセスにおいて製造される遊離脂肪酸の中和によって製造されうる。特に有用なのは、ヤシ油および獣脂から得られる脂肪酸の混合物のナトリウム塩およびカリウム塩、すなわち、ナトリウム獣脂石けん、ナトリウムヤシ油石けん、カリウム獣脂石けんおよびカリウムヤシ油石けんである。
【0018】
用語「獣脂」は、本明細書において、飽和C14、C16およびC18アルキル鎖、モノ不飽和脂肪酸(パルミトレイン酸およびオレイン酸)および多不飽和脂肪酸(リノール酸およびリノレン酸)を含んでなる炭素鎖長分布を典型的に有する脂肪酸混合物の材料に関連して使用される。ヤシ油からの脂肪酸および様々な動物の獣脂およびラードから得られる脂肪酸のような他の脂肪酸も用語「獣脂」の範囲内に含まれる。獣脂は硬化(すなわち、水素化)されて、不飽和脂肪酸部分の一部分または全部を飽和脂肪酸部分に変換することもできる。
【0019】
本発明に好適な石けん原料はケトル(バッチ)または連続鹸化によって製造されたニート石けんである。ニート石けんは、典型的には、約65%〜約75%、あるいは約67%〜約72%のアルカリ金属石けん;約24%〜約34%、あるいは約27%〜約32%の水;および少量、あるいは全部で約1%未満の残留物質および不純物、例えば、塩化アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、グリセリンおよび遊離脂肪酸を含む。別の好適な石けん原料は石けんヌードルまたはフレークであり、これらは典型的には、約10%〜約20%の水分含量に乾燥させられたニート石けんである。上記他の成分は比例的に濃縮される。
【0020】
本明細書において使用される場合、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、直鎖あるいは分岐鎖の、約8〜約18個の炭素原子、あるいは約10〜約16個の炭素原子を有するアルキル部分を有するアルキルベンゼンスルホン酸の塩を意味する。アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル鎖は、あるいは、約11〜約14個の炭素原子の平均鎖長を有する。分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩または、分岐鎖および直鎖が混合したアルキルベンゼンスルホン酸塩はABSとして知られている。LASとして知られる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩はABSよりも生分解性である。ABSおよびLASの酸形態は、本明細書においては、それぞれ、HABSおよびHLASと称される。
【0021】
アルキルベンゼンスルホン酸の塩は、あるいは、ナトリウムおよびカリウム、特にナトリウムのようなアルカリ金属塩である。アルキルベンゼンスルホン酸の塩にはアンモニウムも挙げられる。
【0022】
アルキルベンゼンスルホン酸塩およびその製造プロセスは米国特許第2,220,099号および第2,477,383号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
アルキルベンゼンスルホン酸塩は洗濯バーに良好な洗浄性能を付与するのを助ける一方で、アルキルベンゼンスルホン酸塩はバーの望まれない柔らかさを生じさせる傾向もあることが見いだされた。
【0024】
石けん原料を使用する本方法にかなりの水が入るので、本発明の洗濯バーの水分含量は概してバー中の石けんの量に依存する。バーの加工を容易にするために、本発明のバーを製造する方法において多くの場合水も添加される。典型的には、このような水は材料の混合および/または反応を容易にするために添加される。あるいは、HLASまたはHABSが添加され、アルカリ金属炭酸塩で中和される場合に、水は炭酸塩の溶解およびアルキルベンゼンスルホン酸とのその反応を助けるために添加される。バー中の材料の分配を容易にするために、バーに組み込まれる材料は水溶液で添加されうる。あるいは、特に、硫酸塩、または少なくとも硫酸塩の一部分は、その水溶液の添加によってバーに組み込まれる。
【0025】
本発明の洗濯バーの水分含量は約0.1%〜約10%、あるいは約2%〜約10%、あるいは約4%〜約8%、あるいは約6%〜約8%である。
【0026】
アルキルベンゼンスルホン酸塩界面活性剤が本開発のバーに組み込まれる場合には、別法として、対応するアルキルベンゼンスルホン酸が原料として使用される。この酸は典型的には、このバーの製造プロセス中に混合工程において中和される。アルカリ金属炭酸塩は中和材料として典型的に使用される。好適なアルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、特に炭酸ナトリウムである。アルキルベンゼンスルホン酸塩を用いてバーを製造するための先行技術のプロセスにおいては、酸の完全な中和を確実にするために、わずかに過剰のアルカリ金属炭酸塩が典型的にこのようなバーに組み込まれる。
【0027】
水溶性無機強電解質塩が本発明の組成物中に、最小の電解質含量を達成するのに充分な量で使用されうる。本明細書において使用される場合、「強電解質塩」からは、水溶性無機弱電解質塩である、本発明のバー成分として本明細書中に開示されている炭酸塩、炭酸水素塩、ビルダーおよび他の無機材料が除かれる。本発明のバーに組み込むのに好適な水溶性無機強電解質塩には、アルカリ金属、あるいはナトリウムおよびカリウム、硫酸塩およびハロゲン化物、あるいは塩化物、並びにこれらの混合物が挙げられる。特に好適な塩には、硫酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。硫酸ナトリウムは特に好適である、というのは、硫酸ナトリウムは塩化ナトリウムよりも装置に対する腐蝕性が低いからである。本発明のバーに組み込まれるこのような塩の量は約2%〜約20%、あるいは約2%〜約15%、あるいは約3%〜約10%、あるいは約4%〜約8%である。
【0028】
本発明の洗濯バーに組み込む任意成分はデンプンである。デンプンはこのようなバーのためのさらなる硬さを提供するのを助ける。バーに組み込むのに好適なデンプンには、ホールカットコーンスターチ、タピオカタイプデンプン、および同様の性質を有する他のデンプンが挙げられ、これらはあらかじめゼラチン状にされておらず、本明細書においては集合的に「ホールカット(whole−cut)」デンプンと称される。デンプンは典型的には組成物中に0%〜約4%、あるいは約1%〜約3%の量で組み込まれる。
【0029】
あらかじめゼラチン状にされたデンプン、アミロペクチンおよびデキストリンのようなデンプン誘導体は、本明細書においては「他のデンプン」と称され、これも、米国特許第4,100,097号に記載されるように、本発明のバーにいくらかの追加の硬さおよび特定の物理的性質を与えるのに使用されうる。本発明のバーに組み込まれる他のデンプンの量は0%〜約10%である。
【0030】
本発明のバー中での多量のアルカリ金属炭酸塩の組み込みは、このバーが衣類を洗浄するのに使用される場合に高いpHの洗濯溶液をもたらす。このような高いpHの洗濯溶液は人の皮膚に対して肌触りを荒くする場合がある。このような肌触りの荒さは、上に述べられた残留炭酸水素塩に加えて、本発明のバーにアルカリ金属炭酸水素塩を組み込むことによって低減されうる。このようなアルカリ金属炭酸水素塩には、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウム、特に炭酸水素ナトリウムが挙げられる。本発明のバーに組み込まれる追加のアルカリ金属炭酸水素塩の量はバーの重量を基準にして、0%〜約8%、あるいは約0.5%〜約5%、あるいは約1%〜約4%である。
【0031】
本発明のバー組成物の1%水溶液のpHは約9.5〜約10.8、あるいは約10.0〜約10.5である。
【0032】
本発明の洗濯バーは水不溶性の充填剤、例えば、カオリナイト、タルクおよび炭酸カルシウムも含むことができる。クレイ、例えば、ベントナイトが充填剤として使用されるが、いくらか織物を柔らかくする利点も提供する。ある種の硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムは水に難溶性であるので、大過剰(上述されたように、バーのための増大した硬さを提供するのを助ける量を超える)のこのような硫酸塩は本質的に水不溶性充填剤とみなされうる。本発明のバーにおけるこのような不溶性充填剤の量は0%〜約40%、あるいは約5%〜約30%である。
【0033】
本発明の洗濯バーは他の任意成分を含むことができる。このような他の成分には、他の非リン酸塩ビルダー、例えば、アルミノケイ酸塩(特にゼオライト)、ケイ酸塩、およびクエン酸塩;キレート化剤(chelants);酵素、例えば、セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼおよびプロテアーゼ;汚れ放出ポリマー(soil release polymers);染料移動阻害剤(dye transfer inhibiting agents);織物柔軟剤、例えば、クレイおよび第四級アンモニウム化合物;漂白剤;ガム;増粘剤;結合剤;汚れ懸濁剤(soil suspending agents);蛍光増白剤;着色剤および乳白剤、例えば、二酸化チタン;青味剤;香料が挙げられる。本発明のバー中のこのような他の成分の量は0%〜約15%、あるいは約1%〜約5%である。
【0034】
洗濯バーを製造する場合には、当業者に知られている典型的な方法が使用される。組成物の成分が一緒に混合される。組成物を混合するのに使用される典型的なミキサーには、これに限定されないが、リボンミキサー、シグマ型ミキサー、石けんアマルガメータ(amalgamators)、プラウ型(plow−type)ミキサー(リトルフォード(Littleford)またはロディジェ(Loedige)により製造されるような)が挙げられる。このようなミキサーは、必要な場合には、ミキサーの温度制御のために水ジャケットで覆われる。
【0035】
あるいは、ミキサー(約50℃〜約70℃)からの混合物は、混合物中の材料のより緊密な混合を提供するために、ロールミルを通して供給される。この目的のために使用されるロールミルは石けん練りプロセスに典型的なものである。3本ロールミルから5本ロールミルが一般的に使用される。別法としては、ミルロールは、周囲温度の水またはより低い温度の冷媒によって内側から水冷される。練りは、大部分が固化したが依然として可塑性の混合物を一連の回転するロールに通し、その一連の連続したメンバーがより高速でより近接したクリアランスで回転することにより起こり、よってその混合物は機械的操作、剪断および圧縮に供される。生成物がロールミルからフレークまたはシートとして現れ、シートはフレークに粉砕される。
【0036】
この練りは、材料の不完全な混合のせいで起こりうるバーの斑点が付かなくするのを助ける。この練りは石けんの結晶相を改変することもでき、バーをより一貫性があって硬くすることができる。練りの後で石けんは主としてベータ結晶相であることが好適であるがこれは必須ではない。
【0037】
練られたまたは混合された生成物は、次いで、典型的には、標準的なバー製造装置および周知の方法を使用してプロッド(plodded)(押出)されて、伸長し結合した生成物を生じさせ、これは次いで、標準的な周知の装置および方法を用いて切断されバーに成形される。フレークのプロッディング(plodding)は、別の方法では、真空の使用を可能にする二段プロッダーにおいて行われる。このプロッディングは、別の方法では、約40℃〜約50℃の範囲の温度を有する押し出された固体を生じさせるのに充分な温度で、プロッダー内で行われる。押出機ヘッドが約60℃〜約80℃の温度に維持されるのが好適である。別の方法では、約40cmHg以上の真空が中間プロッダーチャンバーに適用され、これは改良された結合およびプロッドされた生成物の表面上の滑らかな仕上げを提供するのを助ける。
【実施例】
【0038】
試験条件:
試験条件は次の通りであった:コットンインターロックのサンプルが1.33g/Lの粉体洗剤(配合は以下の表1)を用いて、30℃の温度で、3サイクル、60rpmの攪拌速度で洗浄された。Terg−o−メーターにおいて、1000mlの水を使用した、1回の12分間の洗浄サイクルおよび2回の3分間のすすぎサイクルであった。この織物は、CaCO100ppmの硬度で、24%クレイ=6.47g湿潤;1.747g乾燥(1.553gクレイ/0.194g油)の汚れ5mLを含むクレイ/油分散物を用いて汚された。表2は、本発明によって意図されるさらなる洗濯バー配合組成物を記載する。表1の組成物からの結果は以下の表3に示される。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
STPPを使用せず、官能性末端基を有するホモポリマーまたはコポリマー分散剤の高いパーセンテージのバー洗剤B、J、Hは、他のバー洗剤よりも概して性能が良好であった。また、興味深いことには、リン酸塩ビルダーを使用する官能化分散剤の少量は、官能化のないホモポリマーまたはコポリマーと比較して良く機能した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化ポリカルボキシラートビルダーを含み、リン酸塩を含まない、織物を洗浄するための洗濯バー組成物。
【請求項2】
前記ポリカルボキシラートビルダーが
i)1種以上の(C−C)モノエチレン性不飽和カルボン酸を30〜100重量パーセント;
ii)1種以上の(C−C)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸を0〜70重量パーセント;
iii)1種以上のメタクリル酸(C−C12)アルキルから選択されるモノマーを0〜20重量パーセント;並びに
前記i)、ii)およびiii)のモノマーと共重合可能な1種以上の不飽和モノマーから選択されるモノマーを0〜30重量パーセント;
含む、請求項1に記載の洗濯バー組成物。
【請求項3】
1重量%〜約30重量%の官能化ポリカルボキシラートを含む、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項4】
2重量%〜約20重量%の官能化ポリカルボキシラートを含む、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項5】
官能化ポリカルボキシラートがアクリル酸ホモポリマーベースを有する、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項6】
官能化ポリカルボキシラートがアクリル酸コポリマーベースを有する、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項7】
ポリカルボキシラートがホスホノ末端基で官能化されている、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項8】
ポリカルボキシラートが1500〜10000のMWを有する請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項9】
ポリカルボキシラートがアクリル酸/マレイン酸コポリマーである、請求項1に記載の洗剤バー組成物。
【請求項10】
9.5〜10.8のpHを含む、請求項1に記載の洗剤バー組成物。

【公開番号】特開2011−153306(P2011−153306A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−996(P2011−996)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】