説明

洗車ブラシ

【課題】車体を損傷させることなく、洗浄力が高く耐久性に優れた洗車ブラシを提供すること。
【解決手段】洗車ブラシ10は、先端部分が複数に分岐(n股分岐(n:n>1の整数))した又は分岐しない短冊状の複数の洗浄片12,12…と、洗車機に取り付けるための孔14,16が形成された取付本体18からなる。洗車ブラシ10は、ガソリンスタンドの洗車用ブラシとして用いられる。そして、洗車ブラシ10は、軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体からなるものであって、可塑剤を37.5質量%以上50質量%以下含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車ブラシに関し、更に詳しくは、自動車の塗装表面や窓ガラス・フロントガラス、タイヤ等の外装表面を傷つけることなく洗浄できることはもとより、ブラシの摩擦抵抗や含水率・表面摩擦抵抗等を高めることにより洗浄力を高め、更に、耐久性にも優れた洗車ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンスタンド等で多用されている洗車ブラシに関し、特許文献1に記載の洗車ブラシ用の洗浄片が知られている。これは、洗車ブラシを構成する多数の柔軟な洗浄片を、メタロセン触媒を用いてα−オレフィンを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂の発泡体から構成するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−180780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗車ブラシの洗浄片は、車体を損傷させることがない点では優れているものの、洗浄力が弱いという問題がある。
そこで、車体を損傷させないだけではなく、洗浄力が高い洗車ブラシが求められている。また、コスト等を低減させるべく、耐久性の高い洗車ブラシが求められてる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、車体を損傷させることなく、洗浄力が高く耐久性に優れた洗車ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者等は、車体を損傷させず、かつ、洗浄力が高い洗車ブラシを得るために鋭意研究を行ったところ、洗車ブラシの洗浄片を軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体によって構成すればよいことを知見するに至った。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
本発明に係る洗車ブラシは、軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体からなることを要旨とするものである。
この場合に、前記洗車用発泡体は、可塑剤を37.5質量%以上50質量%以下含有することが望ましく、更に、表面摩擦抵抗が1N以上8N以下であること望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る洗車ブラシは、軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体を用いたものであるから、車体を損傷させることなく、かつ、洗浄力が高く耐久性にも優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗車ブラシ10の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る洗車ブラシ10の部分拡大図である。
【図3】表面摩擦抵抗の測定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る洗車ブラシ10を示し、図2は洗車ブラシ10の洗浄片12,12…の部分拡大図である。洗車ブラシ10は、先端部分が複数に分岐(n股分岐(n:n>1の整数))した又は分岐しない短冊状の複数の洗浄片12,12…と、洗車機に取り付けるための孔14,16が形成された取付本体18からなる。洗車ブラシ10は、ガソリンスタンドの洗車用ブラシとして用いられる。
【0010】
洗車ブラシ10は、高分子樹脂からなるものであれば材質は特に限定されないが、発泡させたスポンジタイプのものが好ましい。洗車ブラシ10の好適な例としては、軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体からなるものが挙げられ、可塑剤を37.5質量%以上50質量%以下含有するものが特に好ましい。かかる材質からなる洗車ブラシ10は、自動車の塗装表面や窓ガラス・フロントガラス、タイヤ等の外装表面を傷つけることのない柔軟性を備えるとともに、所望の摩擦抵抗、含水率、表面摩擦抵抗を備え、例えば、表面摩擦抵抗として1N以上8N以下という特性を備える。
【0011】
特に、軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体からなる洗車ブラシ10であって可塑剤を37.5質量%以上50質量%以下含有するものは、軟質塩化ビニル樹脂が耐日光性に優れることから経時変化により強度が低下せず、耐久性に優れる。一方、この種の素材として用いられる他の高分子樹脂、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等は耐日光性に優れず経時変化により強度が低下し、耐久性が悪い。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例及び比較例について説明する。
(試験片の作製)
実施例及び比較例として表1に示す材質からなる発泡体を作製し、10cm角に切り出したものを試験片として用いた。尚、実施例1については、可塑剤を全体の50質量%含有させた。
【0013】
(表面摩擦抵抗の測定)
各試験片を水に1分間浸漬した後、図3に示すように各試験片を自動車用塗料を塗布したアルミ板に載せ、その上に300gの重りを載せた。この状態で試験片を水平に引っ張った。そして、その試験片が動き始めたときの力をプッシュ・プル計((株)イマダ製、型番:DPSH100)を用いて測定し、表面摩擦抵抗とした。その結果を表1にあわせて示す。
【0014】
【表1】

(評価)
表1に示すように、実施例1の軟質塩化ビニルに可塑剤を添加した発泡体は、表面摩擦抵抗が高く、吸水性も高かったが、比較例1の耐衝撃性ポリスチレンからなる発泡体は、表面摩擦抵抗が低く、吸水性も低かった。尚、いずれも、アルミ板の塗装表面を損傷させることはなかった。このことから、本発明品は、車体表面を損傷させることなく高い洗浄力を発揮できることがわかった。ちなみに、実施例1の試験片の表面摩擦抵抗を測定したところ、1N以上8N以下の要求特性を満たすことがわかった。
【0015】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係る洗車ブラシは、車体表面を損傷させることなく、高い洗浄力を発揮することができるため、ガソリンスタンドをはじめとする洗車業界において産業上利用価値が高い。
【符号の説明】
【0017】
10 洗車ブラシ
12 洗浄片
14,16 孔
18 取付本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質塩化ビニル樹脂を含む洗車用発泡体からなることを特徴とする洗車ブラシ。
【請求項2】
前記洗車用発泡体は、可塑剤を37.5質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の洗車ブラシ。
【請求項3】
前記洗車用発泡体は、表面摩擦抵抗が1N以上8N以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗車ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−247131(P2010−247131A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102428(P2009−102428)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(306030921)米津ブラシ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】