説明

洗面ボウル

【課題】1.洗面ボウルを一体的に構成することができる2.洗面ボウルを形成時に熟練や手間が必要ない3.遠隔操作式排水栓装置を洗面ボウルに採用しても、洗面化粧台の収納部分の無駄にならない、の3点を解決する。
【解決手段】内部に水を貯水/排水する槽体1と、槽体1底部に槽体1内部の排水を下水側へと排水するために開口された排水口2と、前記排水口2から下水へと排水させるための流路としての排水管3と、槽体1上方へ向けて開口され、槽体1内の排水をオーバーフローさせるために開口されたオーバーフロー孔4と、前記オーバーフロー孔4からの排水を下水側へと排水するため、オーバーフロー孔4に対して垂直方向に配置されるオーバーフロー流路5と、前記排水管3にオーバーフロー流路5を合流させる合流部6と、から構成されることを特徴とする洗面ボウルとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗い器や洗面ボウル等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よく知られた、洗面ボウルとしては、例えば図9乃至図10に図示した洗面ボウルがある。以下に図9又は図10に図示した洗面ボウルの従来例1を、図面を参照しつつ説明する。
図9又は図10に図示した従来例1の洗面ボウルは、以下に記載した槽体と、排水口と、オーバーフロー孔と、から成り、その他の部材として、オーバーフロー流路と、合流部と、排水栓と、排水トラップと、より構成されてなる。
槽体は、内部に排水を貯水/排水させるためのボウルであり、当該従来例ではその素材を人工大理石によりインジェクション成形により構成してなる。
排水口は、槽体の底部に開口された穴であって、当該排水口から槽体内の排水を下水へと排水させるための開口である。尚、後述する排水栓を当該排水口に配置して構成する。
オーバーフロー孔は、槽体の上部に開口した穴であって、槽体内の排水が槽体からあふれることを防止するための開口を有し、後述するオーバーフロー流路を端部に接続して構成される部材である。
オーバーフロー流路は、端部をオーバーフロー孔に接続される流路であって、可撓管により構成され、槽体に沿うように配置される。
排水栓は、槽体の排水口に取り付けられる部材であって、円筒状であって、上端部に外方向に凸出して構成されるフランジを備え、下端外周に雄ねじを構成し、外周面の一部を開口させて構成される。
排水管は、排水栓下端に接続され、下水へと接続して槽体内の排水を最終的に下水へと排水する為の管体である。
合流部は、図10に示したように、オーバーフロー孔及びオーバーフロー流路からの排水を排水栓から排水管へと合流させる部材で、排水栓の外周に配置される。
排水トラップは、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流しないように機能し、当該従来例においては、排水管の途中に配置され、当該排水管の管体をU字状に屈曲させて内部に封水機能を備えるように構成されてなる。
【0003】
前記のように構成された洗面ボウルは、以下の手順で施工される。
槽体を壁面や化粧台に取り付け、オーバーフロー孔にオーバーフロー流路を接続する。また、オーバーフロー流路には予め合流部を接続しておく。
そして、槽体の排水口に排水栓のフランジを係止させて、合流部を槽体裏面側から排水栓の外周に配置し、更にその下方からナットなどで螺合させることで、槽体の排水口に対し排水栓のフランジとナットで挟み込むように取り付け固定する。その後、排水栓に排水管槽体裏面からナットで螺合させ、フランジとナットで挟み込むように取り付け固定し、その後排水栓に排水管を接続し、排水管の途中位置に排水トラップを構成させて排水管を最終的には下水管へ接続させることで施工が完了する。
【0004】
また、上記のように施工・構成された洗面ボウルは、以下のような排水の経路となる。
槽体内の排水は、排水口から排水され、排水口に位置する排水栓内を通過し、排水管、排水トラップを経由して最終的には下水へと排水される。
また、槽体内の排水の一部は、オーバーフロー孔から排水されるが、当該排水の流れは以下のように排水される。オーバーフロー孔に流入した排水は、オーバーフロー流路内を通過し、合流部に到達する。合流部から排水栓内へ流入し、その後排水栓から排水管内へ、そして排水トラップを経由して最終的には下水管へと排水される。
【0005】
また、この他の従来例として、図11に記載したような陶器製の洗面ボウルの場合がある(以下従来例2とする)。
この洗面ボウルは、以下に記載した槽体と、排水口と、オーバーフロー孔と、オーバーフロー流路と、合流部と、から成り、その他の部材として、排水栓と、排水トラップと、より構成されてなる。
槽体は、内部に排水を貯水/排水させるためのボウルであり、当該従来例ではその素材を陶器の鋳込み成形により構成してなる。
排水口は、槽体の底部に開口された穴であって、当該排水口から槽体内の排水を下水へと排水させるための開口である。尚、後述する排水栓を当該排水口に配置して構成する。
オーバーフロー孔は、槽体の上部に開口した穴であって、槽体内の排水が槽体からあふれることを防止するための開口を有し、後述するオーバーフロー流路を連設して構成される。
オーバーフロー流路は、オーバーフロー孔に連設される流路であって、前記槽体に一体的に構成されるとともに槽体に沿うように配置される。
合流部は、オーバーフロー孔及びオーバーフロー流路からの排水を後記する排水栓から排水管へと合流させる箇所で、排水栓の外周付近の位置に形成される。
排水栓は、槽体の排水口に取り付けられる部材であって、円筒状であって、上端部に外方向に凸出して構成されるフランジを備え、下端外周に雄ねじを構成し、外周面の一部を開口させて構成される。
排水管は、排水栓下端に接続されて最終的には下水へと接続して槽体内の排水を最終的には下水へと排水する為の管体である。
排水トラップは、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流しないように機能し、当該従来例においては、排水管の途中に配置され、当該排水管の管体をU字状に屈曲させて内部に封水機能を備えるように構成されてなる。
【0006】
このような陶器製の鋳込み成形洗面ボウルは、以下のように形成される。
石膏で洗面ボウルの鋳込み成形用型を形成し、そこに天然の土と石を粉砕・混合して作られる水分を含んで流動性を含んだ泥漿を流し込む。
石膏型に泥漿を注入すると、吸水性のある石膏が泥漿中の水分を吸収する為、石膏に接している面の水分が減少して固まり、時間と共に厚みを増す。一定時間後、適当な厚みになったところで固まっていない泥漿を排出して素地を石膏型から取り出す。また、洗面ボウルは概して複雑な形状のものが多い為に、幾つかの部分に分けて鋳込み成形し、あとで接合して形を完成させる事もある。
石膏型から取り出した時の素地の水分は約20%で、この水分が完全になくなるまで乾燥させ、その後、洗面ボウルの表面に釉薬を施す。これは素地の表面を薄いガラスで覆うことによって、美感を高めたり、吸水性を防ぎ強度を高め、さらには耐酸、耐アルカリ性を高めるために塗布される。
【0007】
前記のように構成・形成された洗面ボウルは、以下の手順で施工される。
槽体を壁面や化粧台に取り付け、槽体の排水口に排水栓のフランジを係止させて、合流部を槽体裏面側から排水栓の外周に配置し、更にその下方からナットなどで螺合させることで、槽体の排水口に対し排水栓のフランジとナットで挟み込むように取り付け固定する。その後、排水栓に排水管槽体裏面からナットで螺合させ、フランジとナットで挟み込むように取り付け固定し、更に排水栓に排水管を接続し、排水管の途中位置に排水トラップを構成させて排水管を最終的には下水管へ接続させることで施工が完了する。
【0008】
また、上記のように施工・構成された洗面ボウルは、以下のような排水の経路となる。
槽体内の排水は、排水口から排水され、排水口に位置する排水栓内を通過し、排水管、排水トラップを経由して最終的には下水へと排水される。
また、槽体内の排水の一部は、オーバーフロー孔から排水されるが、当該排水の流れは以下のように排水される。オーバーフロー孔に流入した排水は、オーバーフロー流路内を通過し、合流部に到達する。合流部から排水栓内へ流入し、その後排水栓から排水管内へ、そして排水トラップを経由して最終的には下水管へと排水される。
【0009】
また、前記従来例1及び従来例2の排水装置は、場合によっては以下に記載するような遠隔操作式排水栓装置を用いることがあった(以下、従来例3とする)。
本従来例での遠隔操作式排水栓装置は図12に示すように、弁体と、操作部と、レリースワイヤと、レリースワイヤの進退のロック/ロック解除を行う機構部と、から構成される。
弁体は、上記排水栓の排水口を閉口する部材であって、後述するレリースワイヤを上下動することによって、排水口を開口/閉口する。
操作部は洗面台や浴槽などのカウンターなど、任意の部分に配置される部材であって、操作ボタンを押し込む事で機構部(図示せず)を動作させ、排水口を開口した状態に固定/固定を解除して排水口を閉口などの動作を行う部材である。
レリースワイヤは、アウターチューブ、インナーワイヤ、ロッド部から構成される。
アウターチューブは、円筒状にして側面方向に可撓性を備え、軸方向に剛性を備える。
インナーワイヤは、前記アウターチューブ内に摺動自在に収納され、側面方向に可撓性を備え、軸方向に剛性を備えた金属線のスプリング形状に巻いて構成されたインナーワイヤと、から構成されて成る。また、インナーワイヤの端部には、形状に相違はあるものの、他の部材との接続を行うために棒状の合成樹脂から成るロッド部を固定して備えられ、前記弁体に連絡して構成される。
機構部は、前記レリースワイヤのインナーワイヤの進退をロック/ロック解除する機構であって、本実施例では図示しないが、公知であるノック式ボールペンなどのロック/ロック解除に用いられるスラストロック機構を採用している。
【0010】
前記した遠隔操作式排水栓装置は前記した洗面ボウルに以下のように配置される。
弁体は、洗面ボウルの排水口、具体的には排水栓に配置され、その直下に機構部を配置する。そして、当該機構部を常時排水に晒さないようにジャバラ型パッキンを介装して配置する。そして、機構部に接続されて排水管直下から外部に配置され、操作部まで接続されたレリースワイヤを配置する。このように遠隔操作式排水栓装置は配置される。
【0011】
前記した洗面ボウルに取り付けられた遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。
弁体が下降(排水口が閉口)した状態の時、操作部を押すと、レリースワイヤのインナーワイヤが前進し、当該インナーワイヤの前進と併せてインナーワイヤ先端のロッド部も前進する。
このとき、機構部のスラストロックが作動し、インナーワイヤの前進をロックする。そして、インナーワイヤが前進した分ロッド部に押し上げられる弁体も上昇し、機構部がインナーワイヤをロックしている間は弁体の上昇(排水口が開口)が保持される。
そして、再度操作部を押すと、インナーワイヤが再度少しだけ前進し、機構部のスラストロックのインナーワイヤに対するロックを解除する。そして、ロックが解除されたインナーワイヤは後退し、元の位置まで戻り、当該インナーワイヤの後退に併せてロッド部が後退する。そこで、弁体は自重により下降(排水口が閉口)することができる。
この作動の繰り返しにより、排水口の開口/閉口を遠隔的に操作することができる。
【0012】
【特許文献1】実開昭61−54072号公報
【特許文献2】実開昭62−38976号公報
【特許文献3】特開2001−152505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来例のような洗面ボウルには、以下のような問題点があった。
従来例1の洗面ボウルでは、洗面ボウル自体を人工大理石でインジェクション成形して構成しているが、洗面ボウル自身のみを一体成形しているので、オーバーフロー流路、排水栓、合流部、排水管、排水トラップまでをそれぞれ別体に構成しなければならない。
このように別体に構成すれば、当然に部材点数が増加するので、コストアップとなっていた。
また、部材点数が増加するということは、洗面ボウルを取り付け施工をする際に、その部材点数分、作業工程が増加し、施工する際に非常に手間になっていた。
従来例2の洗面ボウルでは、洗面ボウルとオーバーフロー流路を一体的に構成することが出来るが、石膏型の形状が複雑であること、洗面ボウルの形状的に石膏型が複数個必要になることが多い上、最終的にはパーツ接合などの作業も行わなければならないし、そして乾燥作業や釉薬の塗布など、その作業に相当な熟練と手間が必要となっていた。
また、従来の洗面ボウルに使用される遠隔操作式排水栓装置では、排水口の直下位置にレリースワイヤを挿通・配置することが多く、洗面ボウル下の、バケツなどを収納する収納部分が当該遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤにより無駄な空間が発生する可能性があった。
【0014】
従って、本発明の洗面ボウルは、以下の課題を解決するために発明された。
1.洗面ボウルを一体的に構成することができること
2.洗面ボウルを形成時に熟練や手間が必要ないこと
3.遠隔操作式排水栓装置を洗面ボウルに採用しても、洗面化粧台の収納部分の無駄にならないこと
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の本発明は、内部に水を貯水/排水する槽体1と、槽体1底部に槽体1内部の排水を下水側へと排水するために開口された排水口2と、前記排水口2から下水へと排水させるための流路としての排水管3と、槽体1上方へ向けて開口され、槽体1内の排水をオーバーフローさせるために開口されたオーバーフロー孔4と、前記オーバーフロー孔4からの排水を下水側へと排水するため、オーバーフロー孔4に対して垂直方向に配置されるオーバーフロー流路5と、前記排水管3にオーバーフロー流路5を合流させる合流部6と、から構成されることを特徴とする洗面ボウルである。
【0016】
請求項2に記載の本発明は、前記槽体1、排水口2、排水管3、オーバーフロー孔4、オーバーフロー流路5、合流部6、を、一体的に構成したことを特徴とする前記段落0015に記載の洗面ボウルである。
【0017】
請求項3に記載の本発明は、前記排水管3を側面方向へ屈曲させ、該屈曲部分7の下方を前記排水口2を開閉させるための遠隔操作式排水栓装置12を配置する収納スペース8としたことを特徴とする前記段落0015又は段落0016に記載の洗面ボウルである。
【0018】
請求項4に記載の本発明は、前記排水管3に、内部に封水機能を備える排水トラップ9を接続することを特徴とする段落0015乃至0017のいずれか一つに記載の洗面ボウルである。
【0019】
請求項5に記載の本発明は、前記排水管3の下端を通水下限壁11とし、排水トラップ9の流出口を通水上限壁10とする排水トラップ9を採用したことを特徴とする前記段落0018に記載の洗面ボウルである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の洗面ボウルは、以下の効果を奏する。
請求項1に記載の本発明は、洗面ボウルを、槽体1上方へ向けて開口され、槽体1内の排水をオーバーフローさせるために開口されたオーバーフロー孔4と、前記オーバーフロー孔4からの排水を下水側へと排水するため、オーバーフロー孔4に対して垂直方向に配置されるオーバーフロー流路5と、前記排水管3にオーバーフロー流路5を合流させる合流部6と、から構成し、更に、洗面ボウルのオーバーフロー孔4を上方に向けて構成したことで、金型15によるインジェクション成形でもオーバーフロー孔4及びオーバーフロー流路5を洗面ボウルと一体に成形できるようになった。
請求項2に記載の本発明は、前記槽体1、排水口2、排水管3、オーバーフロー孔4、オーバーフロー流路5、合流部6、を、一体的に構成したことから、従来の洗面ボウルと比較して、部材点数を減少することが出来、部材点数減によるコストダウンを行うことができるし、更には、洗面ボウル取付の省施工となり、作業者にとっての手間が少なくなる。
請求項3に記載の本発明は、前記排水管3を側面方向へ屈曲させ、該屈曲部分7の下方を前記排水口2を開閉させるための遠隔操作式排水栓装置12を配置する収納スペース8としたことから、遠隔操作式排水栓装置12の配置スペースに起因する収納スペース8の無駄を排除することができる。
請求項4に記載の本発明は、前記排水管3に、内部に封水機能を備える排水トラップ9を接続したことから、洗面ボウルに排水トラップ9機能を付与することが出来る。
請求項5に記載の本発明は、前記排水管3の下端を通水下限壁11とし、排水トラップ9の流出口を通水上限壁10とする排水トラップ9を採用したことから、U字状排水トラップ9と比較して洗面化粧台の収納部分の増大を図ることができる。
【実施例】
【0021】
以下に本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図8に記載した洗面ボウルは、以下に記載した槽体1と、排水口2と、オーバーフロー孔4と、オーバーフロー流路5と、合流部6と、収納スペース8と、から成り、その他の部材として、排水トラップ9と、から構成されてなる。
槽体1は、内部に排水を貯水/排水させるための洗面ボウルである。
排水口2は、槽体1の底部に開口された穴であって、当該排水口2から槽体1内の排水を下水へと排水させるための開口である。尚、後述する排水栓を当該排水口2に配置して構成する。
オーバーフロー孔4は、槽体1上方へ向けて開口に開口した穴であって、槽体1内の排水が槽体1からあふれ出すことを防止するための開口である。後述するオーバーフロー流路5を連設して構成される。
オーバーフロー流路5は、オーバーフロー孔4に連設される流路であって、前記槽体1に一体的に構成されるとともに、槽体1に沿うように配置される。
排水管3は、排水口2から下水へと接続して成り、槽体1内の排水を最終的には下水へと排水する為の管体である。尚、当該排水管3は、排水口2の直下位置で側面方向に屈曲し、さらにその屈曲後、後述するオーバーフロー流路5との合流部6を構成した後、下方へ再度屈曲する構成としている。そして、当該排水管3の下端には後述する排水トラップ9を接続して成る。
また、排水管3の側面方向への屈曲部分7の下方を、後述する遠隔操作式排水栓装置12の収納スペース8とする。
合流部6は、オーバーフロー孔4及びオーバーフロー流路5からの排水を排水管3へと合流させる箇所であって、本実施例では、排水管3の側面方向への屈曲部分7の直上に形成される。
排水トラップ9は、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流しないように機能し、当該実施例においては、排水管3の下端に接続される。そして、排水トラップ9の側面方向へ向かって排出口16を構成し、当該排出口16の高さを通水上限壁10とする。更には、前記排水管3の下端を通水下限壁11として構成し、両者が揃うことで排水トラップ9機能を備える。
このような構成の洗面ボウルとしたことから、インジェクション成型を行うことが出来る構造となる。
【0022】
このように構成される洗面ボウルは、以下のように形成される。
洗面ボウルのインジェクション成形用に金型15を図8に示したように構成する。そして、この金型15は、左右上下の入れ子式の金型構造と成っている。
また、材質的には、シンジオタクチックポリスチレンや、スチレンエラストマー、環状オレフィン樹脂(ポリエチルメンテン)、ポリアクリルニトリル等から構成される。
この材質の特性としては、耐熱性・耐薬性が比較的あり、また、その他にも引っ掻きによる傷つきを防止することが出来る材質である。このような材質としたことで、洗面ボウルに通常求められる性能を満たすことが出来る。
【0023】
前記のように構成・形成された洗面ボウルは、以下の手順で施工される。
槽体1を壁面や化粧台に取り付け、洗面ボウルの排水管3の途中位置に排水トラップ9を接続させ、最終的には排水管3を下水管へ接続させることで施工が完了する。
【0024】
また、上記のように施工・構成された洗面ボウルは、以下のような排水の経路となる。
槽体1内の排水は、排水口2から排水され、排水管3、排水トラップ9の通水下限壁11、通水上限壁10を経由して、排出口16から排出され、最終的には下水へと排水される。
また、槽体1内の排水の一部は、オーバーフロー孔4から排水されるが、当該排水の流れは以下のように排水される。オーバーフロー孔4に流入した排水は、オーバーフロー流路5内を通過し、合流部6に到達する。合流部6から排水管3内へ、そして排水トラップ9の通水下限壁11、通水上限壁10を経由して、排出口16から排出され、最終的には下水へと排水される。
【0025】
また、本実施例の洗面ボウルには、以下に示す遠隔操作式排水栓装置12が構成される。
本従来例での遠隔操作式排水栓装置12は、弁体と、操作部13と、電磁機構部14と、から構成される。
弁体17は、上記排水栓の排水口2を閉口する部材であって、後述する電磁機構部14による電磁力により上下動し、排水口2を開口/閉口する部材である。
操作部13は洗面台や浴槽などのカウンターなど、任意の部分に配置される部材であって、操作ボタンを押し込む事で電磁機構部14を動作させ、排水口2を開口した状態に固定/固定を解除して排水口2内の弁体17の開閉動作を行う部材である。
電磁機構部14は、電磁力を発生させる機構であって、当該電磁力により前記弁体17を押し上げる機構となっている。
【0026】
前記した遠隔操作式排水栓装置12は前記した洗面ボウルに以下のように配置される。
弁体は、洗面ボウルの排水口2に配置される。また、洗面ボウルの収納スペース8に電磁機構部14を配置して構成する。
このように洗面ボウルに遠隔操作式排水栓装置12を配置したことから、従来の遠隔操作式排水栓装置12に比較して、レリースワイヤなどの機器が洗面ボウル下の収納部から排除されるため、無駄な空間の削除とすることができる。
【0027】
前記した洗面ボウルに取り付けられた遠隔操作式排水栓装置12は以下のように作動する。
弁体が下降(排水口2が閉口)した状態の時、操作部13を押すと、電磁機構部14に操作が伝達され、電磁力により弁体が上昇し保持される。
そして、再度操作部13を押すと、電磁機構部14に再度操作が伝達されて、電磁機構部14の電磁力が解除され、弁体は自重により下降(排水口2が閉口)することができる。
この作動の繰り返しにより、排水口2の開口/閉口を遠隔的に操作することができる。
このように洗面ボウルに遠隔操作式排水栓装置12を配置したことから、従来の遠隔操作式排水栓装置12に比較して、レリースワイヤなどの機器が洗面ボウル下の収納部から排除されるため、無駄な空間の削除とすることができる。
【0028】
本発明の実施例は上記のようであるが、本発明は上記実施例に限定されることなく、発明の要旨を逸脱することない範囲において、自在に変更することができる。
例えば、前記実施例では電磁機構を用いた遠隔操作式排水栓装置12を使用しているが、例えば従来より公知のレリースワイヤを用いた遠隔操作式排水栓装置12を採用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の洗面ボウルの斜視図である。
【図2】本発明の洗面ボウルの上面図である。
【図3】本発明の洗面ボウルの図2におけるA−A’断面図である。
【図4】本発明の洗面ボウルの図2におけるB−B’断面図である。
【図5】本発明の洗面ボウルの側面図である。
【図6】本発明の洗面ボウルの側面図である。
【図7】本発明の洗面ボウルの正面図である。
【図8】本発明の洗面ボウルの金型構造を示す簡略図である。
【図9】第1従来例の洗面ボウルの断面図である。
【図10】第1従来例の洗面ボウルの合流部付近の部分断面図である。
【図11】第2従来例の洗面ボウルの断面図である。
【図12】第3従来例の洗面ボウルに取り付けられる遠隔操作式排水栓装置の断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 槽体
2 排水口
3 排水管
4 オーバーフロー孔
5 オーバーフロー流路
6 合流部
7 屈曲部分
8 収納スペース
9 排水トラップ
10 通水上限壁
11 通水下限壁
12 遠隔操作式排水栓装置
13 操作部
14 電磁機構部
15 金型
16 排出口
17 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水を貯水/排水する槽体1と、
槽体1底部に槽体1内部の排水を下水側へと排水するために開口された排水口2と、
前記排水口2から下水へと排水させるための流路としての排水管3と、
槽体1上方へ向けて開口され、槽体1内の排水をオーバーフローさせるために開口されたオーバーフロー孔4と、
前記オーバーフロー孔4からの排水を下水側へと排水するため、オーバーフロー孔4に対して垂直方向に配置されるオーバーフロー流路5と、
前記排水管3にオーバーフロー流路5を合流させる合流部6と、
から構成されることを特徴とする洗面ボウル。
【請求項2】
前記槽体1、排水口2、排水管3、オーバーフロー孔4、オーバーフロー流路5、合流部6、を、一体的に構成したことを特徴とする前記請求項1に記載の洗面ボウル。
【請求項3】
前記排水管3を側面方向へ屈曲させ、該屈曲部分7の下方を前記排水口2を開閉させるための遠隔操作式排水栓装置12を配置する収納スペース8としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗面ボウル。
【請求項4】
前記排水管3に、内部に封水機能を備える排水トラップ9を接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の洗面ボウル。
【請求項5】
前記排水管3の下端を通水下限壁11とし、排水トラップ9の流出口を通水上限壁10とする排水トラップ9を採用したことを特徴とする請求項4に記載の洗面ボウル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−255024(P2007−255024A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79741(P2006−79741)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000157212)丸一株式会社 (158)
【Fターム(参考)】