説明

活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物、トップコート剤およびトップコートフィルム

【課題】 活性エネルギー線照射硬化性の樹脂組成物であって、硬化後の樹脂が、優れた耐摩耗性と可撓性、さらにはソフトフィーリング性を両立するため、特にハードコート剤用途などとして有用な樹脂組成物および該樹脂組成物を用いたタッチパネル用途などに有用なハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】 本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物は、1分子中に2以上の水酸基を有するポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとが反応してなるイソシアネート化合物(a)および水酸基を有する(メタ)アクリレート(b)が反応してなる活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c)および光重合開始剤(d)を含むことを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートを用いた活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物に関する。さらに詳しくは、硬化後の耐摩耗性とソフトフィーリング性を両立した活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物に関する。また、該樹脂組成物を用いたトップコート剤および該トップコート剤を用いたトップコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル用途、洗濯機など家電機器のメンブレンスイッチ用途や携帯電話のキーパッド部分などのインサート成形用途などにおいて、表面保護や装飾性、防汚性付与などの目的で、表層にトップコートが施されたフィルム(以下、トップコートフィルムという)の使用が急速に拡大している。これらのトップコートには、表面保護の観点で耐摩耗性が必須の特性として要求される他、変形を受けてもひび割れが生じないために可撓性が要求される。また、さらに付加価値を高める観点で、パネルなどに触れた際に柔らかい感触を与えるソフトフィーリング性を付与することが要望されている。
【0003】
従来から、耐摩耗性と可撓性を有するトップコートフィルムとしては、ウレタンアクリレートを用いたコーティング剤が塗布されたフィルムが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、ソフトフィーリング性(ソフトタッチ感)を有するものとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分とする表面層を有する積層シートが知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、耐摩耗性とソフトフィーリング性を同時に満たすフィルムは未だ知られていないのが現状である。
【0004】
一方、トップコート用途以外ではあるが、ポリエステルポリオールとイソシアネートからなるウレタンアクリレートおよび水酸基含有アクリレートを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献5、6参照)。しかし、これらについては、フィルムなどのシート用途への適用すらなされておらず、上記課題の解決は全くなされていない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−42746号公報
【特許文献2】特開平11−70606号公報
【特許文献3】特開2001−113648号公報
【特許文献4】特開2003−71988号公報
【特許文献5】特開2004−115771号公報
【特許文献6】特開2005−113101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フィルムなどに塗布した後、紫外線などにより硬化可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、硬化後に優れた耐摩耗性、可撓性およびソフトフィーリング性を有するトップコート用として有用な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、さらには、該樹脂組成物からなるトップコート剤とそれを塗布してなるトップコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の組成からなるイソシアネート化合物とアクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤からなる樹脂組成物によって、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、1分子中に2以上の水酸基を有するポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとが反応してなるイソシアネート化合物(a)および水酸基を有する(メタ)アクリレート(b)が反応してなる活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(c)および光重合開始剤(d)を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー(e)を含む前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、イソシアネート化合物(a)の重量平均分子量が1000〜3000である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、イソシアネート化合物(a)の分子量分布が1〜1.5である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、イソシアネート化合物(a)が、1分子中に2以上のイソシアネート基を有し、純度が99%以上、且つ、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの残量が1%未満である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、水酸基を有する(メタ)アクリレート(b)が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれた少なくとも1種である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(c)の重量平均分子量が2500〜4500である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー(e)が、分子中に1〜6の(メタ)アクリロイル基を有し、重量平均分子量が100〜1000である前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、前記の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物からなるトップコート剤を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、前記のトップコート剤をプラスチックフィルムに塗布、硬化してなるトップコートフィルムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物は、可撓性に優れているため、加工や使用の際の変形に対してひび割れなどを起こしにくく、また、耐摩耗性に優れているため、例えば、タッチパネル用途として使用した際に、長期使用によっても傷が付きにくい。さらに、ソフトフィーリング性に優れるため、手触りがよく、人の手に触れるタッチパネル、メンブレンスイッチの部材として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
【0020】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物は、活性エネルギー線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(以下、ウレタン(メタ)アクリレート(c)という)および光重合開始剤(d)を必須成分として含有する。本発明の樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性であるため、硬化までの時間が短く、加工性が良好で、例えば、長尺フィルムに加工することなどが可能となる。なお、本発明の組成物の硬化に用いられる活性エネルギー線は、可視光、紫外線、電子線など、特に限定されないが、反応性、コストなどの観点から、紫外線を用いることが好ましい。
【0021】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、光重合触媒や、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、顔料、珪素化合物などの各種添加剤が含まれていてもよい。
【0022】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(c)は、ポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとから合成されるイソシアネート化合物(イソシアネート化合物(a)という)および水酸基を有する(メタ)アクリレート(水酸基含有(メタ)アクリレート(b)という)から合成される。本発明の耐摩耗性とソフトフィーリング性を両立させるためには、同一分子内に粘性と弾性に寄与する部位を導入することが好ましい。本発明においては、ポリエステルポリオールを用いることにより最終生成物に粘性を持たせ、ヘキサメチレンジイソシアネートによりヘキサメチレン基を含有させることによって弾性を持たせることが可能である。また、水酸基含有(メタ)アクリレートによって、組成物の分子量を調節し、耐摩耗性とソフトフィーリング性を好ましい範囲に調節することが可能である。また、本発明のようにポリエステルポリオールとイソシアネートからなるイソシアネート化合物を用いる方が、例えばポリエステルポリオールを用いずに、イソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートのみから合成する場合と比べて、純度の高いプレポリマーが得られ、耐摩耗性、可撓性やソフトフィーリング性がより一層向上する。
【0023】
本発明のイソシアネート化合物(a)は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有することが好ましく、より好ましくは2〜5であり、さらに好ましくは2〜3である。5以上のイソシアネート基を有する場合、硬化の際に架橋が進みすぎて、可撓性、ソフトフィーリング性が低下する場合がある。
【0024】
本発明のイソシアネート化合物(a)の重量平均分子量(Mw)は、ウレタン(メタ)アクリレート(c)の分子量を制御する観点から、1000〜3000が好ましく、より好ましくは2000〜2500である。
【0025】
本発明のイソシアネート化合物(a)の分子量分布(Mw/Mn)は1〜1.5が好ましく、より好ましくは1.2〜1.5、さらに好ましくは1.2〜1.4である。分子量分布が1.5を超える場合には、高分子量体および低分子量体の割合が多くなるため、耐摩耗性やソフトフィーリング性が低下する場合がある。
【0026】
本発明のイソシアネート化合物(a)の純度は99%以上が好ましく、より好ましくは99.5%以上である。なお、ここでいう「純度」とは、全末端基中のNCOの割合をさす。純度は、耐摩耗性、可撓性、ソフトフィーリング性の全ての特性に影響を与えるため重要であり、純度が99%未満の場合には、アクリレート化した際に可撓性が得られない場合がある。
【0027】
本発明のイソシアネート化合物(a)中の、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート(c)の純度を向上させる観点や安全性の観点から、1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.7%未満である。未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの含有量が1%を超える場合には、アクリレート化した際に可撓性が得られない場合がある。
【0028】
本発明のイソシアネート化合物(a)の原料として用いられるポリエステルポリオールは、多価カルボン酸と多価アルコールのエステル化反応により得られるものやラクトンの開環重合により合成されるポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。上記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。本発明に用いられるポリエステルポリオールとしては、上記の中でも、耐熱性、耐候性の観点から、カプロラクトンからなるポリカプロラクトン変性ポリオール、特にポリカプロラクトン変性トリオールが好ましい。さらに、数平均分子量が500〜1500という特定の分子量範囲を持つポリカプロラクトン変性ポリオールを使用する場合に、最も良好な粘弾性を有するイソシアネート化合物(a)を得ることができるため好ましい。数平均分子量が500以下であれば塗料原料として必要な伸展性が充分でない場合がある。また数平均分子量が1500以上であればイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応によって得られるウレタンアクリレートの分子量が大きくなりすぎ、樹脂特性である耐摩耗性が得られない場合がある。
【0029】
本発明のイソシアネート化合物(a)の原料として用いられるヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアネートヘキサン)は、フレキシブルな構造を有しており、ヘキサメチレン部分が分子の弾性付与の効果を有するため、これを用いることにより、分子に弾性を付与し、本願の耐摩耗性、可撓性を達成することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの代わりに、トリレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートを用いる場合には、合成物の剛直性が増加し可撓性が失われるためトップコート材料として使用し難くなるため、本発明の効果を発揮することはできない。また、例えば、3官能以上のイソシアネートの場合には、分岐や架橋点を起こしやすいウレタンアクリレートが得られるため、硬化した後に、耐摩耗性、可撓性、ソフトフィーリング性が得られなくなる。
【0030】
本発明のイソシアネート化合物(a)を合成する際の、ポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートのNCO/OH当量比は、5〜40が好ましく、より好ましくは15〜25である。NCO/OH当量比が5よりも小さくなる場合には、イソシアネート化合物(a)の分子量が大きくなり、水酸基含有(メタ)アクリレート(b)との相溶性に劣る場合や、硬化後の耐摩耗性が低下する場合がある。
【0031】
本発明のイソシアネート化合物(a)は、市場で入手することも可能であり、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」などが好ましく例示される。
【0032】
本発明の水酸基含有(メタ)アクリレート(b)は、分子中に少なくとも1つの水酸基を有する(メタ)アクリレートである。特に1分子中に1つの水酸基を有することが好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン縮合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシ(メタ)アクリレートのごときポリオールポリ(メタ)アクリレート類及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、耐摩耗性、可撓性の観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレート(b)は、上記に挙げた1つのみの化合物で構成されていてもよいし、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0033】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(c)の、重量平均分子量は2500〜4500が好ましく、より好ましくは3000〜4500、さらに好ましくは3500〜4500である。ウレタン(メタ)アクリレート(c)の分子量は、耐摩耗性、可撓性、ソフトフィーリング性に特に大きな影響を及ぼす場合があり、分子量が2500未満の場合には、硬化後のコート層が脆くなり、可撓性やソフトフィーリング性が低下する場合がある。また、分子量が4500を超える場合には、コート層が柔らかくなって、耐摩耗性が低下する場合がある。ウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、合成時のイソシアネート化合物(a)と水酸基含有(メタ)アクリレート(b)のOH/NCO当量比などにより制御することが可能である。
【0034】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(c)を合成する際の、イソシアネート化合物(a)と水酸基含有(メタ)アクリレート(b)のOH/NCO当量比は1〜1.1が好ましく、より好ましくは1〜1.01である。上記範囲を外れ、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートが増加すると、硬化後の可撓性、柔軟性は得られるものの耐摩耗性が大幅に低下する場合がある。
【0035】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(c)中の、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの含有量は、1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.1%未満である。未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの含有量が1%を超える場合には、作業者の皮膚に付着した場合などに炎症を起こすなど安全性が低下する場合や、ゲル化などの保存安定性が低下する場合がある。
【0036】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(c)のガラス転移温度(Tg)は、ソフトフィーリング性付与の観点から、−20℃〜30℃が好ましく、特に好ましくは、−20℃〜10℃である。
【0037】
本発明の光重合開始剤(d)は、活性エネルギー線の種類や、ウレタン(メタ)アクリレート(c)の種類によっても異なり、特に限定されないが、公知の光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を用いることができ、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノンなどが挙げられる。
【0038】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(c)と光重合開始剤(d)のみで使用されることが好ましいが、用途に応じて、Tg調整や硬化後のタック感を低減する目的で、(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー((メタ)アクリレートオリゴマー(e)という)を含有してもよい。(メタ)アクリレートオリゴマー(e)は、分子中に1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、より好ましくは1〜3である。分子中の(メタ)アクリロイル基が6個よりも多い場合には、硬化後の樹脂硬度が高くなりソフトフィーリング性が低下する場合がある。このような(メタ)アクリレートオリゴマー(e)としては、特に限定されないが、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可撓(メタ)アクリレート、ウレタンモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、PEG300ジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、各種脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0039】
上記の(メタ)アクリレートオリゴマー(e)は、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル・サイテック(株)製「b−CEA」、「IBOA」、「ODA−N」、「Ebecryl 110」、「Ebecryl 112」、「Ebecryl 114」、「FA1DT」、「FA2D」、「FA3」、「Ebecryl CL1039」、「IRR175」、「DPGDA」、「HDODA」、「TPGDA」、「TRPGDA−DEO」、「Ebecryl 150」、「Ebecryl 1150」、「IRR214k」、「PEG300DA」、「PEG400DA」、「Ebecryl 11」、「TMPTA」、「TMPTA−N」、「Ebecryl 160」、「TMPEOTA」、「OTA480」、「Ebecryl 53」、「Ebecryl 2047」、「Ebecryl 40」、「Ebecryl 1140」、「DPHA」、「Ebecryl 1290k」、「Ebecryl 51290」等が市場から入手可能である。
【0040】
本発明の(メタ)アクリレートオリゴマー(e)の、重量平均分子量は100〜1000が好ましく、より好ましくは200〜1000である、さらに好ましくは300〜1000である。分子量が100未満の場合には、硬化後も塗膜の臭気が残る場合があり、分子量が1000を超える場合には、配合量を増やさなければ添加の効果が得られない場合がある。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物の粘度(60℃)は、塗布加工性の観点から、500〜10000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1000mPa・sである。粘度は、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどによって制御することも可能である。
【0042】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物は、特に限定されないが、硬化後の耐摩耗性、可撓性、ソフトフィーリング性の観点から、プラスチックフィルムのコーティング用途、床材や家具などの木工製品の表面コート用途などに好ましく用いることができる。中でも、被コート物に耐摩耗性を付与するハードコート用途として好ましく用いられ、プラスチックフィルムのハードコート剤として最も好ましく用いられる。なお、ここでいう「ハードコート」とは、耐摩耗性や耐傷付き性を付与するコーティングのことをいう。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物をプラスチックフィルム上に塗布、硬化することによって、本発明の樹脂組成物硬化物からなるトップコート層(以下、トップコート層という)を有するトップコートフィルムが得られる。中でも、上記トップコート層がハードコート層(耐摩耗性を有するコート層をいう)であるハードコートフィルムの場合に本発明の効果が最も発揮されるため好ましい。
【0044】
本発明のトップコートフィルムは、少なくともプラスチックフィルム層とトップコート層を有する。本発明のトップコートフィルムに用いられるプラスチックフィルムとしては、既存の素材を用いることが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂などが例示される。中でも、特に好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂である。
【0045】
本発明のトップコートフィルム用いるプラスチックフィルムは、用途に応じて、未延伸シートを用いてもよいし、1軸延伸、2軸延伸などの延伸配向させたフィルムを用いてもよい。また、フィルム厚みも、用途に応じて異なり、特に限定されないが、一般的に、10μm〜2mmが好ましく、より好ましくは、50〜200μmである。ソフトフィーリング性を引き出すには人の指が触れた時に凹みができるようある程度の厚みが必要となるため、フィルム厚みは比較的厚いことが望ましい。
【0046】
本発明のトップコートフィルムのトップコート層の厚みは、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。層厚みが50μmを超える場合には、塗布する樹脂組成物の量が多量となるため、コストが高くなったり、硬化の均一性が低下したりする場合がある。また、10μm未満である場合には、塗布均一性が低下したり、耐摩耗性、ソフトフィーリング性が低下したりすることがある。
【0047】
本発明のトップコートフィルムのヘイズは、透明な樹脂基材に塗工する場合、0.1〜1が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5である。
【0048】
本発明のトップコートフィルムは、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用途、洗濯機など家電機器のメンブレンスイッチ、自動車の内装部分用途や携帯電話のキーパッド部分などのインサート成形用途などに好ましく用いられる。
【0049】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびトップコートフィルムの製造方法]
以下に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および該樹脂組成物を用いたトップコートフィルムの製造方法の一例を示すが、製造方法は、ここに挙げる方法に限定されるものではない。
【0050】
(1)イソシアネート化合物(a)
先ず、ポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートポリイソシアネートを反応させ、イソシアネート化合物(a)を合成する。この際、ポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートのNCO/OH当量比は5〜40が好ましく、より好ましくは15〜25である。NCO/OH当量比が5よりも小さくなる場合には、得られるプレポリマーが高分子量となって、アクリレートとの相溶性が低下する場合や、硬化後の耐摩耗性が低下する場合がある。
上記反応の反応温度は、反応効率と劣化・副生成物抑制の観点から、50〜150℃が好ましく、より好ましくは70〜100℃である。全反応時間は1〜2時間が好ましい。
また、上記イソシアネート化合物(a)は、市場で入手することも可能であり、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」などが好ましく例示される。
【0051】
(2)ウレタン(メタ)アクリレート(c)
上記で得られたイソシアネート化合物(a)および水酸基含有(メタ)アクリレート(b)を、活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(c)を合成する。
この際、ウレタン(メタ)アクリレート(c)を合成する際の、イソシアネート化合物(a)と水酸基含有アクリレート(b)のOH/NCO当量比は1〜1.1が好ましく、より好ましくは1〜1.01である。例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート(b)が増加すると硬化後の可撓性、柔軟性は得られるものの耐摩耗性が大幅に低下する場合がある。
上記反応の反応温度は、反応効率と劣化・副生成物抑制の観点から、50〜100℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。全反応時間は反応温度を著しく外れない限りは製造コスト面から出来るだけ短い方が好ましい。なお、反応の終了は、反応溶液をサンプリングして、イソシアネート残基をIRまたは滴定で定量することにより容易に確認しうる。
上記の反応には、反応促進の観点から、ウレタン化触媒を使用することが好ましい。ウレタン化触媒としては、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエートが好ましい。さらに、ウレタン化反応中での重合防止の観点から、重合禁止剤を添加するか、エアーシールを行うことが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メトキシフェノール、フェノチアジンなどが挙げられる。また、重合禁止剤の添加量は、保存安定性、硬化阻害防止の観点から、反応系全体に対して300〜1000ppmが好ましい。
上記で用いる有機溶媒は、各成分および生成物との親和性の観点から、極性の高い有機溶剤が好ましく、特に、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤や酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが好ましい。なお、有機溶剤は、反応系の粘度が高くなり撹拌が困難となる前に加えればよく、反応開始時から系に加えておいても、反応途中で加えてもよい。
【0052】
(3)活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート(c)に対し、光重合開始剤(d)および、必要に応じて、(メタ)アクリルオリゴマー(e)を混合して、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を作製する。この際、光重合開始剤(d)の添加量はウレタン(メタ)アクリレート(c)100部に対して、1〜5部が好ましく、より好ましくは3〜5部である。光重合開始剤の添加量が1部未満の場合には、重合効率、生産性が悪化することがあり、5部を超える場合には、硬化物の物性に大きく影響することは無いが過剰な光重合開始剤の添加は無意味である。(メタ)アクリルオリゴマー(e)を添加する場合、添加量は、ウレタン(メタ)アクリレート(c)100部に対して、50部以下が好ましく、より好ましくは30部以下である。(メタ)アクリルオリゴマー(e)の添加量が50部を超える場合には、(メタ)アクリルオリゴマーの影響が大きくなるため、ソフトフィーリング性が得られない場合がある。
【0053】
(4)トップコートフィルム
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を、プラスチックフィルムに塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより、表面にトップコート層を形成したトップコートフィルムが得られる。なお、以下にはトップコートフィルムを例として説明するが、相手部材がプラスチックフィルム以外の他用途の場合にも、本発明の樹脂組成物を塗布、硬化し、硬化物層を設ける方法は同様である。
【0054】
本発明の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を塗布する場合、塗布方法としては、特に限定されず、吹き付け法、エアレススプレー法、エアスプレー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア法などを用いることが可能である。なお、塗布は、プラスチックフィルムの製造工程中で行う、いわゆるインラインコート法でもよいし、既に製造されたプラスチックフィルムに別工程で塗布を行う、いわゆるオフラインコート法でもよいが、生産効率の観点から、オフラインコートが好ましい。
【0055】
続いて、活性エネルギー線を照射して、被覆剤組成物の塗膜を硬化させ、硬化物を作製する。この際に、照射する活性エネルギー線としては、可視光、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線などを用いることができる。中でも、安全性、反応効率などの工業性の観点などから紫外線が最も好ましく用いられる。用いられる紫外線の波長は200〜400nmが好ましく、好ましい照射条件としては、例えば、照度80〜120mW/cm2、照射量100〜1000mJ/cm2であることが望ましい。活性エネルギー線の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどのランプ光源、アルゴンイオンレーザーやヘリウムネオンレーザーなどのパルス、連続のレーザー光源などを用いることが可能である。また、電子線照射の場合は、50〜1,000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。
【0056】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
以下に、本願で用いられる測定方法および効果の評価方法について例示する。
【0057】
(1)重量平均分子量
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーション・ガスクロマトグラフィー)法により、下記の測定条件で、標準ポリスチレンを基準にして求めた。
移動相流量 : 1ml/分
カラム温度 : 40℃
試料注入量 : 10μl
試料濃度 : 0.2mg/ml
【0058】
(2)耐摩耗性
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を、ポリカーボネート板(日本テストパネル製、厚さ2mm)の表面に、バーコーターを用いて塗布(塗布厚み10μm)した後、高圧水銀灯(アイグラフィックス株式会社社製)を用いて、下記の条件で紫外線照射を行い、樹脂組成物硬化物層を有するポリカーボネート板を得、サンプルとした。
次に、テーバー摩耗試験機(安田精器製作所株式会社製、摩耗輪CS10F、荷重1kg)を用いて摩耗試験を行った。摩耗試験の回転数が0回、50回、100回時点のサンプルの光沢度をJIS K 7105に準拠して、下記条件で測定し、下記の計算式の値を、それぞれ、50回摩耗時および100回摩耗時の耐摩耗性(単位:%)とした。
耐摩耗性(50回)=(50回摩耗時の光沢度)/(0回摩耗時の光沢度)×100
耐摩耗性(100回)=(100回摩耗時の光沢度)/(0回摩耗時の光沢度)×100
上記の耐摩耗性の値から、50回摩耗時の耐摩耗性が60%以上かつ100回摩耗時の耐摩耗性が40%以上のものを耐摩耗性良好、50回摩耗時の耐摩耗性が60%未満または100回摩耗時の耐摩耗性が40%未満のものを耐摩耗性不良と判断した。
<紫外線照射条件>
照射強度 : 120W/cm
照射距離 : 10cm
コンベア速度 : 5m/分
照射回数 : 2回
<光沢度(グロス)測定> : 測定方法はJIS Z 8741に準ずる。
測定装置:日本電色工業株式会社製「SZ−Σ90」
測定角度:60°
【0059】
(3)耐溶剤性
(2)と同様にしてサンプルを作製した。
エタノール(濃度99%)、アセトン、メチルエチルケトンを、それぞれティッシュペーパーに含ませ、サンプル表面を10回軽くこすった。表面を目視にて観察し、変化が見られなかった場合は耐溶剤性良好(○)、表面に変化が見られた場合は耐溶剤性不良(×)と判断した。
【0060】
(4)ソフトフィーリング性(触感)
(2)と同様にしてサンプルを作製した。
サンプル表面に爪で凹みをつけた場合に、10分経過後に凹みが消失する場合はソフトフィーリング性良好(○)とし、タックなどの「べとつき感」を示すものや、凹みが付かない、凹みが消失しない場合はソフトフィーリング性不良(×)と判断した。
【0061】
(5)耐屈曲性
(2)と同様にしてサンプルを作製した(長手方向に50mm、幅方向に50mmの正方形のサンプル片)。サンプルの長手方向の両端を持ち、180°屈曲するように1回屈曲させた後に、サンプル表面を目視にて観察し、表面にひび割れが見られなかったものは耐屈曲性良好(○)とし、表面にひび割れが見られたものは耐屈曲性不良(×)と判断した。
【0062】
(6)粘度
E型粘度計を用いて、60℃において測定した。
【実施例】
【0063】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0064】
実施例1
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコにイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」(ポリカプロラクトン由来のポリカプロラクトントリオールとヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物、重量平均分子量:2500、分子量分布(Mw/Mn):1.36)を400部充填し内温を70℃にした後、ヒドロキシエチルアクリレート103部、ジブチル錫ジラウート200ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)を加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−1)を得た。(c−1)の重量平均分子量は4000であった。
なお、NCO濃度は以下のように測定した。
(ブランク値の測定)フェノールフタレイン(メタノール希釈液)を加えて青色に着色させたジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)、15mLに規定度が0.1NであるHCl水溶液を変色がみられるまで滴下した。このHCl水溶液の滴定量(mL)をブランク値とした。
(実測NCO濃度の測定)計量された反応溶液(サンプル量(g))を15mLのTHFに溶解させ、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)を15mL加えた。溶液化したことを確認した後、フェノールフタレイン(メタノール希釈液)を加えて青色に着色させ、規定度が0.1NであるHCl水溶液を変色がみられるまで滴下し、滴定量をA値(mL)とした。得られた値を下記の式に当てはめNCO濃度を算出した。
NCO濃度=(ブランク値−A値)×1.005×0.42÷サンプル量(g)
【0065】
上記で得られたウレタンアクリレート(c−1)100部に対して、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「DAROCUR1173」)5部を混合し、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を得た。
次に得られた組成物を、表面がコロナ放電処理されたポリカーボネート板(日本テストパネル製、板の厚み2mm)に、バーコーターを用いて塗布、紫外線照射により硬化させ、厚み10μmのトップコート層(樹脂硬化層)を有するトップコートフィルムを得た(前記の耐摩耗性評価のサンプルの作製と同様)。
表1に示すとおり、得られた樹脂組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0066】
実施例2
実施例1と同様に、ウレタンアクリレート(c−1)を用いた。(c−1)の添加量を90部に変更し、アクリルモノマーとしてジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「IRR214k」、分子量:300、アクリル基数:2)10部を添加した以外は実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0067】
実施例3
実施例1と同様に、ウレタンアクリレート(c−1)を用いた。(c−1)の添加量を70部に変更し、アクリルモノマーとしてジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「IRR214k」)30部を添加した以外は実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0068】
実施例4
実施例1と同様に、ウレタンアクリレート(c−1)を用いた。(c−1)の添加量を90部に変更し、アクリルモノマーとして脂肪族ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「EB1290k」、分子量:1000、アクリル基数:6)10部を添加した以外は実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0069】
実施例5
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を195部充填し内温を70℃にした後、ペンタエリスリトールトリアクリレート305部、ジブチル錫ジラウート80ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−2)を得た。(c−2)の重量平均分子量は4200であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−2)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびハードコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0070】
実施例6
実施例5と同様に、ウレタンアクリレート(c−2)を用いた。(c−2)の添加量を90部に変更し、アクリルモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」、分子量:580、アクリル基数:6)10部を添加した以外は実施例5と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0071】
実施例7
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を377部充填し内温を70℃にした後、4−ヒドロキシブチルアクリレート122部、ジブチル錫ジラウート200ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−3)を得た。(c−3)の重量平均分子量は4100であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−3)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0072】
実施例8
(c−1)の代わりに(c−3)を用いた以外は、実施例2と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0073】
実施例9
(c−1)の代わりに(c−3)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0074】
実施例10
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を387部充填し内温を70℃にした後、2−ヒドロキシプロピルアクリレート112部、ジブチル錫ジラウート200ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−4)を得た。(c−4)の重量平均分子量は3900であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−4)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0075】
実施例11
(c−1)の代わりに(c−4)を用いた以外は、実施例2と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0076】
実施例12
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を387部充填し内温を70℃にした後、ヒドロキシプロピルアクリレート112部、ジブチル錫ジラウート200ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−5)を得た。(c−5)の重量平均分子量は3900であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−5)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0077】
実施例13
実施例12と同様に、ウレタンアクリレート(c−5)を用いた。(c−5)の添加量を90部に変更し、アクリルモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)10部を添加した以外は実施例12と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0078】
実施例14
実施例12と同様に、ウレタンアクリレート(c−5)を用いた。(c−5)の添加量を70部に変更し、アクリルモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)30部を添加した以外は実施例12と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0079】
実施例15
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を346部充填し内温を70℃にした後、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート153部、ジブチル錫ジラウート200ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−6)を得た。(c−6)の重量平均分子量は4300であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−6)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0080】
実施例16
(c−1)の代わりに(c−6)を用いた以外は、実施例2と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0081】
実施例17
(c−1)の代わりに(c−6)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0082】
実施例18
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を329部充填し内温を70℃にした後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業製、プラクセルFA1DDM)171部、ジブチル錫ジラウート200ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−7)を得た。(c−7)の重量平均分子量は4000であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−7)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0083】
実施例19
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を300部充填し内温を70℃にした後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業製、プラクセルFA2D)200部、ジブチル錫ジラウート50ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−8)を得た。(c−8)の重量平均分子量は4200であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−8)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0084】
実施例20
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を300部充填し内温を70℃にした後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業製、プラクセルFA2D)180部、ヒドロキシエチルアクリレート20部、ジブチル錫ジラウート100ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−9)を得た。(c−9)の重量平均分子量は4100であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−9)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0085】
実施例21
実施例1と同様にして、イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネート X03−237」)を225部充填し内温を70℃にした後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業製、プラクセルFA5)275部、ジブチル錫ジラウート100ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−10)を得た。(c−10)の重量平均分子量は4500であった。
ウレタンアクリレートとして、(c−1)の代わりに(c−10)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物およびトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、得られた組成物の硬化物は、優れた耐摩耗性、耐屈曲性(可撓性)およびソフトフィーリング性を有しており、トップコートフィルム用途等として優れた特性であった。
【0086】
比較例1
脂肪族ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製「Ebecryl1290K」、分子量:1000)100部に対して、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「DAROCUR1173」)5部とを混合し、活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物を得た。
また、実施例1と同様にしてトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、該組成物およびトップコートフィルムは、耐摩耗性、耐屈曲性、ソフトフィーリング性ともに劣るものであった。
【0087】
比較例2
イソシアネート化合物(三井武田ケミカル(株)製「タケネート D−170N」)を288部充填し内温を70℃にした後、ヒドロキシエチルアクリレート212部、ジブチル錫ジラウート100ppm、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加えた。3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−11)を得た。
また、実施例1と同様にしてトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、該樹脂組成物およびトップコートフィルムはソフトフィーリング性に劣るものであった。
【0088】
比較例3
撹拌機、温度計、還流冷却器を装備したフラスコに、ポリエステルポリオール(日立化成ポリマー(株)製「テスラック2455」)2000部を仕込んだ。内温を60℃まで昇温し、均一に溶解した後、トリレンジイソシアネート348部を加えた。さらに100℃まで昇温、6時間保温した。その後、70℃に降温、2−ヒドロキシエチルアクリレート208.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート26部、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加え、7時間保温し、イソシアネート基が消失したことを確認し反応を終了し、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−12)を得た。
また、実施例1と同様にしてトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、該樹脂組成物およびトップコートフィルムは耐摩耗性に劣るものであった。
【0089】
比較例4
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学(株)製「PTMG2000」)2000部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を60℃まで昇温、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート444部を加え、その後100℃まで昇温、6時間保温した。その後、90℃に降温、2−ヒドロキシエチルアクリレート139.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート104部、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppmを加え、7時間保温して、イソシアネート基が消失したことを確認し反応を終了し、活性エネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(c−13)を得た。
また、実施例1と同様にしてトップコートフィルムを得た。
表1に示すとおり、該樹脂組成物およびトップコートフィルムは耐摩耗性に劣るものであった。
【0090】
なお、耐溶剤性は実施例、比較例ともすべて良好であった。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2以上の水酸基を有するポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとが反応してなるイソシアネート化合物(a)および水酸基を有する(メタ)アクリレート(b)が反応してなる活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(c)および光重合開始剤(d)を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項2】
さらに、(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー(e)を含む請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項3】
イソシアネート化合物(a)の重量平均分子量が1000〜3000である請求項1または請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項4】
イソシアネート化合物(a)の分子量分布が1〜1.5である請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項5】
イソシアネート化合物(a)が、1分子中に2以上のイソシアネート基を有し、純度が99%以上、且つ、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートの残量が1%未満である請求項1〜4のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項6】
水酸基を有する(メタ)アクリレート(b)が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項7】
活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(c)の重量平均分子量が2500〜4500である請求項1〜6のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー(e)が、分子中に1〜6の(メタ)アクリロイル基を有し、重量平均分子量が100〜1000である請求項1〜7のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物からなるトップコート剤。
【請求項10】
請求項9に記載のトップコート剤をプラスチックフィルムに塗布、硬化してなるトップコートフィルム。

【公開番号】特開2007−131700(P2007−131700A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324679(P2005−324679)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(592019589)ダイセル・サイテック株式会社 (16)
【Fターム(参考)】