説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びフィルム基材

【課題】フィルム基材等へ塗工した際にも硬度が得られ、且つ、硬化の際も低収縮でフィルムの反り(カール)が少ないコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、及び該組成物を硬化させた硬化層を有するフィルム基材に関するを提供する。
【解決手段】脂肪族構造を有するポリイソシアネートと水酸基を含有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られ、エチレン性不飽和基を8〜10mmol/gとなる範囲で有するウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)とを含有し、(B)と(C)の合計の含有量が(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対して10〜30重量部であり、且つ、(B)と(C)との含有量の比〔(B)/(C)〕が重量比で95/5〜65/35である活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、フィルム基材等の薄膜のプラスチック基材への塗工した際にも硬度が得られ、且つ、硬化の際も低収縮でフィルムの反り(カール)が少ないコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、及び該組成物を硬化させた硬化層を有するフィルム基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセチル化セルロース樹脂などを用いて製造されるプラスチックフィルムは、工業用途で多用されている。これらフィルムは、例えば、フラットパネルディスプレイの内部に組み込まれる偏光板保護フィルムとして利用されるが、これらのフィルムには、高い耐擦傷性が求められている。
【0003】
耐擦傷性を高める方法としては、種々の方法が検討されているが、有機溶剤を使用しない等の環境上の優位性の点から、近年、フィルム上に架橋密度の高い多官能アクリレートを主体とした活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布し、紫外線(UV)や電子線(EB)等の活性エネルギー線で硬化させハードコート層を形成する方法が実施されるようになってきている。
【0004】
このハードコート層に要求される耐擦傷性としては、例えば、偏光板保護フィルムとして80μm厚TACフィルムを基材とする場合、該フィルム上で鉛筆硬度4Hレベルの高硬度が要求される。
【0005】
しかしながら、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬化反応の際に体積収縮が生じ、その結果、フィルムがカールする場合がある。フィルムが薄いほどカールが起こり易いが、近年、例えば、フラットパネルディスプレイの薄型化に伴い、偏光板保護フィルムもより薄いもの、例えば、40μm厚のTACフィルムを用いる動きがあるなど、カールし易い膜厚のフィルムを用いるようになってきている。従って、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が要求されてきている。
【0006】
硬度が高い活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、例えば、炭素数が3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテル骨格含有ウレタン樹脂を3質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを58部、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを39重量部含有する組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、しかしながら、特許文献1に開示された組成物でも、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜を得ることは困難である。
【0007】
硬度が高く、カールしにくい硬化物が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として、例えば、多官能のウレタンアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとを含有し、ウレタンアクリレートと、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの合計の重量比が50/50である組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、該特許文献2に記載された組成物は硬化物の硬度が十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−255301号公報
【特許文献2】特開2001−113649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られるコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族構造を有するポリイソシアネートを用いて得られ、且つ、特定量のエチレン性不飽和結合を有するウレタン(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとを特定の比率で含有する組成物が、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、脂肪族構造を有するポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られ、エチレン性不飽和基を8〜10mmol/gとなる範囲で有するウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)とを含有し、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(C)の合計の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)の合計100質量部に対して10〜30質量部であり、且つ、(B)と(C)との含有量の比〔(B)/(C)〕が質量比で95/5〜65/35であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とするフィルム基材を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬度が高く、また、硬化収縮も少ないことからカールしにくい硬化物が得られる。従って、フィルム基材の保護層を形成させるための組成物として特に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、脂肪族構造を有するポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られ、エチレン性不飽和基を8〜10mmol/gとなる範囲で有する。エチレン性不飽和基を8〜10mmol/gとなる範囲で有することにより、高架橋密度が達成でき、その結果高硬度を達成できるという効果を有するコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を初めて提供することができる。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の中でも、エチレン性不飽和基を8.5〜9.8mmol/gとなる範囲で有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0015】
本発明で用いる脂肪族構造を有するポリイソシアネート(a1)としては、例えば、直鎖状脂肪族系ポリイソシアネート、環式脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
前記直鎖状脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のジイソシアネート;
【0017】
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート等のトリイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
環式脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート等のジイソシアネー等が挙げられる。
【0019】
また、複素環を有するポリイソシアネートも脂肪族構造を有するポリイソシアネート(a1)として用いることができる。複素環を有するポリイソシアネートとしては、例えば、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナン(ノルボルナンジイソシアネート)、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナン、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
ポリイソシアネート(a1)の中でも、硬化物の硬度が高く、カールもしにくい活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることから直鎖状脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。
【0021】
また、環式脂肪族系ポリイソシアネートとしては、イソフィロンジイソシアネートが好ましい。
【0022】
本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族系ポリイソシアネートを併用しても良い。芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1、5―ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1、4―フェニレンジイソシアネート、1、6―フェニレンジイソシアネート等のジイソシアネート;
【0023】
トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いる水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリルレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
前記水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)の中でも、水酸基を2個以上有する化合物を用いるとウレタン(メタ)アクリレート(A)として1分子当たりの官能基数(エチレン性不飽和二重結合の数)が多いウレタン(メタ)アクリレートが得られ、その結果、高硬度の硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂組成物となることから好ましく、水酸基を2〜5個有する化合物を用いるのがより好ましい。
【0026】
更に、水酸基を2〜5個有する化合物の中でもペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが高い架橋密度が達成でき、その結果高硬度を達成できるという効果を有することから好ましい。
【0027】
従って、本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネートとジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、イソフォロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)との反応は、種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)とを混合して、50〜120℃、より好ましくは70〜90℃に加熱すれば良い。なお、ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)の使用量は特に限定されないが、通常、(a1)のイソシアネート基:(a2)の水酸基=1.0:1.0〜1.0:2.0である。である。使用量を当該範囲にすることで、組成物の安定性を高めることができる。
【0029】
本発明用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の2重結合濃度としては特に制限されるものではないが、が8.0〜10.0mmol/gであれば、硬度が高く、且つ、硬化収縮の少ない硬化塗膜が得られることから好ましい。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)とを含有し、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(C)の合計の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)の合計100質量部に対して10〜30質量部であることを特徴とする。(B)と(C)の合計の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して10〜30質量%とすることにより耐擦傷性に優れ、且つ、カールの少ない硬化物が得られる組成物となる。(B)と(C)の合計の含有量はウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)の合計100質量部に対して15〜25質量部がより好ましい。
【0031】
また、(B)と(C)との含有量の比〔(B)/(C)〕は質量比で95/5〜65/35である必要がある。〔(B)/(C)〕は質量比で95/5〜85/15であることがより好ましい。
【0032】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には種々の化合物を添加することができる。これらの化合物としては、例えば、前記(A)、(B)、(C)以外の重合性不飽和二重結合を有する単量体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
【0033】
前記前記(A)、(B)、(C)以外の重合性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、芳香環を有する重合性単量体、環状脂肪族構造を有する重合性単量体、複素環構造を有する重合性単量体、スチレン系化合物、直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体等が挙げられる。
【0034】
前記芳香環を有する重合性単量体としては、例えば、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシアルコキシフェニル)プロパン、2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート;
【0035】
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物構造を含む単量体、具体的には、例えば、下記一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート
【0036】
【化1】

(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。m1、m2はそれぞれ繰り返し単位数を示す整数であり、m1とm2との合計は平均値で1〜20である。);
【0037】
ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
【0038】
ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
【0039】
2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物に(メタ)アクリル酸がエステル結合した化合物;
【0040】
ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフォン;
【0041】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールA型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレートやフェノールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格のエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物;
【0042】
ポリオールと環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有するジオールと有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記環状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルシクロカーボネート(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
前記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0045】
前記複素環系化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、アクリロイルホルモリン;
【0046】
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドあるいはεカプロラクトンを開環付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を有する化合物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したイソシアヌル酸構造を有する化合物等が挙げられる。
【0047】
直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭素数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0048】
また、以下の重合性単量体も本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体として例示する事ができる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等の重合性不飽和二重結合及びエポキシ基を有する重合性単量体;
【0049】
(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2ーアクリロイルオキシエチルコハク酸、2ーアクリロイルオキシエチルフタル酸、2ーアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の重合性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する重合性単量体;
【0050】
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル類;
【0051】
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体類;ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物類;塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン類;メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル類;アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;
【0052】
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如きフッ素含有α−オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートもしくはパーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート類等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体類;
【0053】
(16)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
【0054】
(メタ)アクリル酸フォスフォエチル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、トリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
【0055】
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールにカプロラクトン付加した化合物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、
【0056】
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールメタン、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドを付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を3つ以上有する化合物に(メタ)アクリル酸が3分子以上エステル結合した化合物等が挙げられる。
【0057】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0058】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。
【0059】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン類が挙げられる。
【0060】
上記した如き種々の添加剤の使用量としては、その効果を十分発揮し、また紫外線硬化を阻害しない範囲であることから、該注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100質量部に対し、それぞれ0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0061】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に加えることができる光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;
【0062】
キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;
【0063】
ベンジル、ジアセチルなどのα-ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸類;
【0064】
3,3′-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフオリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4′−メチルジメチルスルフィド、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリルニ量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン等が挙げられる。
【0065】
前記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、感度を良好に保ち、結晶の析出、塗膜物性の劣化等防止するため、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100質量部に対して0.05〜20質量部用いることが好ましく、なかでも0.1〜10質量部が特に好ましい。
【0066】
前記光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系が、硬化性が高いコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
【0067】
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure−184、同149、同261、同369、同500、同651、同754、同784、同819、同907、同1116、同1664、同1700、同1800、同1850、同2959、同4043、Darocur−1173(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASFF社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA〔日本化薬(株)製〕、VICURE−10、同55(STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(WARD BLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
【0068】
さらに、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物では、前記光重合開始剤に種々の光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
【0069】
更に本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、フィルム基材への接着性改良等を目的として、前記(メタ)アクリル系重合体(A)以外のその他の樹脂を併用することができる。
【0070】
前記その他の樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン系共重合物;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリブタジエンやブタジエン−アクリロニトリル系共重合物などのポリブタジエン樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0071】
加えて、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物にはシリカ微粒子も含有させることができる。シリカ微粒子を含有させることにより硬化塗膜の硬度を向上させ、耐擦り傷性を著しく改善する。シリカ微粒子の平均粒径(一次粒子径)としては、硬度に対する効果と塗膜の透明性の観点から1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
【0072】
また、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中のシリカ微粒子の含有率としては、硬度に対する効果と硬化性の観点から、該組成分中の塗膜形成成分の質量を基準として15〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
【0073】
また、シリカ微粒子としては、表面修飾によりその表面に二重結合等の機能性基を導入したものも用いることが出来る。
【0074】
本発明のフィルム基材は、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とする。具体的には、各種フィルム基材に公知の方法でコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布、乾燥後、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて得られるものである。
【0075】
コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布量としては、例えば、各種フィルム基材上に、乾燥後の質量が0.1〜30g/m、好ましくは1〜20g/mになるように塗布するのが好ましい。
【0076】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布するフィルム基材としては、各種公知の基材にもちいることができる。具体的には、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等が挙げられる。
【0077】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず公知の方法を採用することができ、例えばバーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0078】
照射する活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整されるが、高圧水銀灯を使用する場合、通常80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合、通常10〜300kVの加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。
【実施例】
【0079】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて質量基準である。
【0080】
合成例1〔ウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成〕
攪拌機、ガス導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、窒素ガスを吹き込み、フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した後、フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート336g、酢酸ブチル352g、ジブチル錫ジアセテート0.1gおよびメトキノン0.5g加え、攪拌しながら70℃まで昇温した。次いで、アロニックスM−305〔東亞合成(株)社製ペンタエリスリトールトリアクリレート、水酸基価:110.0〕1,071gを1時間かけて加えた。さらに80℃で3時間保持してアクリロイル基を分子中に6個有するウレタンアクリレート樹脂〔不揮発分:80%、ガードナー粘度(25℃):U、ガードナーカラー:1以下〕1,616gを得た。以下、これをウレタンアクリレート(UA1)と称する。ウレタンアクリレート(UA1)のエチレン性不飽和基の濃度は9.2mmol/gであった。
【0081】
合成例2(同上)
攪拌機、ガス導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた2リットルの清浄なセパラブルフラスコに、窒素ガスを吹き込み、フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した後、フラスコにイソホロンジイソシアネート444g、酢酸ブチル379g、ジブチル錫ジアセテート0.1gおよびメトキノン0.5g加え、攪拌しながら70℃まで昇温した。次いで、アロニックスM−305〔東亞合成(株)社製ペンタエリスリトールトリアクリレート、水酸基価:110.0〕1,071gを1時間かけて加えた。さらに80℃で3時間保持してアクリロイル基を分子中に6個有するウレタンアクリレート樹脂〔不揮発分:80%、ガードナー粘度(25℃):O、ガードナーカラー:1以下〕1,616gを得た。以下、これをウレタンアクリレート樹脂(UA2)と称する。ウレタンアクリレート(UA2)のエチレン性不飽和基の濃度は8.8mmol/gであった。
【0082】
実施例1
第1表に示す配合でウレタン(メタ)アクリレート(UA1)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)を混合し、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を得た。得られた組成物1を、トリアセチルセルロースフィルム(80μm厚)に膜厚10μmになるように塗布し、70℃で5分乾燥させ、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて200mJ/cm照射して硬化させた。得られた塗膜の鉛筆硬度は3H、5cm角のフィルムの4頂点の浮き平均で表されるカール値は10mmであった。尚、カール値は小さい程フィルムのカールが小さいことを表す。
【0083】
また、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を硬化させて得られる硬化塗膜を有するフィルムを用いて耐屈曲性の評価を行った。耐屈曲性は円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1:1999)に準拠した方法で評価した。該評価は鉄棒にハードコート層が外側になるように折り返して巻きつけ、その巻きつけた部分のハードコート層にクラックが生じるか否かを目視で観察し、クラックが生じる限界の鉄棒の直径(mm)を屈曲性の評価値とした。該鉄棒の直径が小さいほど、塗膜にクラックが生じにくく、耐屈曲性に優れると言える。
【0084】
実施例2〜5及び比較例1〜3
第1表及び第2表に示す配合を用いた以外は実施例1と同様にしてコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物2〜5及び比較対照用コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1′〜3′を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第1表に合わせて示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
第1表の脚注
Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族構造を有するポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られ、エチレン性不飽和基を8〜10mmol/gとなる範囲で有するウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)とを含有し、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(C)の合計の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)の合計100質量部に対して10〜30質量部であり、且つ、(B)と(C)との含有量の比〔(B)/(C)〕が質量比で95/5〜65/35であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記ペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(C)の合計の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(B)とペンタエリスリトールトリアクリレート(C)の合計100質量部に対して15〜25質量部質量部であり、且つ、(B)と(C)との含有量の比〔(B)/(C)〕が質量比で95/5〜85/15であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート(a1)がヘキサメチレンジイソシアネートであり、(メタ)アクリレート(a2)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(a1)がイソフォロンジイソシアネートであり、(メタ)アクリレート(a2)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とするフィルム基材。

【公開番号】特開2011−208032(P2011−208032A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77589(P2010−77589)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】