説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物

【課題】
紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材の表面を被覆するトップコート用途に使用されるものであって、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性を満足させることができ、しかも耐傷性にも優れたトップコート層を形成することができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
イソシアヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(a)に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)と、(式I)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、質量比で(b):(c)=80:20〜20:80の割合で反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)を混合してなる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【化1】


は水素またはメチル基、Rは水素または炭素数が3以下のアルキル基Xは炭素数が3以下のアルキレン基

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やプラスチック製フィルム、それらの複合シートなど、紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材の表面を被覆するトップコート用途に使用される活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関し、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性に優れ、特に耐傷性に優れたトップコート層を形成するために使用可能な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙やプラスチック製フィルム、それらの複合シートなど、紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材の表面を被覆するトップコート用途に使用される活性エネルギー線硬化型樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが用いられているが、中でもイソシアヌレート骨格を有するものは、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性に優れた被覆物を提供する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−9614号公報
【0003】
しかし、これらのイソシアヌレート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主として用いたトップコート剤は、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性には優れているが、耐傷性に関しては硬化塗膜の柔軟性が乏しいため割れやすく、十分な機能を有していないという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材の表面を被覆するトップコート用途に使用される活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。更に詳しくは、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性を満足させることができ、しかも耐傷性にも優れたトップコート層を形成することが可能な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的に対して鋭意検討した結果、イソシアヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(a)に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)と、(式I)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、質量比で(b):(c)=80:20〜20:80の割合で反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)を混合してなる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を使用することにより、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性に優れ、更には耐傷性にも優れたトップコート層を形成することができ、これらの課題を全て解決する本発明に到達した。
【化1】

は水素またはメチル基、Rは水素または炭素数が3以下のアルキル基Xは炭素数が3以下のアルキレン基
【発明の効果】
【0005】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、活性エネルギー線により、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性を満足させることができ、しかも耐傷性にも優れたトップコート層を形成することができる。そのため、紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材の表面を被覆するトップコート用途に使用される活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(a)としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体や、その変性物が用いられ、例えば住化バイエルウレタン(株)製スミジュールN3300、デスモジュールVPLS2294、三井武田ケミカル(株)製タケネートD170N、タケネートD170HN、タケネートD177N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHX、コロネートHX−LV、ローディア(株)製トロネートHDT、トロネートHDT−LVII等のイソシアヌレート骨格を有するものが用いられる。
【0007】
本発明において、(式I)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート(c)としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
は水素またはメチル基、Rは水素または炭素数が3以下のアルキル基
Xは炭素数が3以下のアルキレン基
【0008】
本発明において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、イソシアヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(a)に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)と、(式I)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、質量比で(b):(c)=80:20〜20:80の割合で反応させて得られ、反応温度は通常90〜110℃であり、反応時間は通常3〜8時間である。反応は通常常圧下で行われ、必要に応じて、重合禁止剤、着色防止剤、反応触媒等が用いられる。反応終点は、例えばIR(赤外分光法)によるNCO(イソシアネート基)の吸収の消失により確認される。
【0009】
4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)の割合が、(b)および(c)成分の合計に対し80質量%より多い場合、硬化塗膜の耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性が低下する。4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)の割合が(b)および(c)成分の合計に対し20質量%より少ない場合、硬化塗膜の耐傷性が低下する。
【0010】
本発明において(メタ)アクリレート化合物(B)としては、1〜6官能の物があげられ、単官能(メタ)アクリレート化合物としては、アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0011】
2官能(メタ)アクリレート化合物としては、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内で好ましいものはトリプロピレングリコールジアクリレートとエチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレートであり、これらのモノマーは低粘度で硬化性に優れ、皮膚1次刺激性指数が低い。
【0012】
3官能(メタ)アクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内で好ましいものはエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであり、このアクリレート化合物は低粘度で硬化性に優れ、皮膚1次刺激性指数が低い。
【0013】
4〜6官能(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これら1〜6官能の(メタ)アクリレート化合物は、単独または2種以上の併用でも使用できる。
【0014】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)の配合量は質量比で、好ましくは60:40〜90:10である。
【0015】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の配合量が、(A)及び(B)成分の合計に対して90%を超える場合、硬化塗膜の耐傷性が低下する。60%未満の場合、硬化塗膜の耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性が低下する。
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、紫外線、電子線等を照射して硬化させるが、照射装置としては何の制約もなく、従来公知の照射装置を使用することができる。
【0017】
本発明において、紫外線を照射することにより硬化する場合、光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等の公知慣用のものが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは2種類以上組合せて用いることができる。
【0018】
これらの光重合開始剤の使用割合は(A)及び(B)成分の合計に対して、1〜10%であるのが望ましく、2〜7%使用するのがより望ましい。この量が1質量部未満であると、硬化性が充分でなく、10%を超えると、得られた塗膜の物性が低下する。
【0019】
本発明において、電子線を照射することにより硬化する場合、電子線の照射量は好ましくは1〜5Mradである。
【0020】
電子線の照射量が1Mrad未満の場合、トップコート剤は十分に硬化せず、5Mradより大きい場合、基材が損傷を受け劣化する。
【0021】
さらに、必要に応じて各種の重合禁止剤を添加することもできる。
【0022】
重合禁止剤としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール等の公知慣用のものが挙げられる。
【0023】
また、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、顔料等の公知慣用のものを添加することもできる。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、紙やプラスチック製フィルム、それらの複合シートなど、紙及び/又はプラスチック製フィルムを主体とした基材のコーティング用として、極めて有用である。また、本発明の電子線硬化型トップコート剤は、住宅内装材(壁材、テーブル・机・本箱・システムキッチン等の家具類)や、車輌内装材用としても適しており、更には外装材(住宅壁材、車輌壁材等)用途にも使用出来る。
【実施例】
【0025】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に記載のない限り、実施例中の部は質量部、%は質量%を示す。
【0026】
合成例1(ウレタンアクリレートオリゴマー(I)の合成)
攪拌機、温度計、空冷管を取り付けた反応容器に、スミジュールN3300(住化バイエルウレタン製、イソシアネート濃度:21.8%)500部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート249.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート100.3部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.85部を仕込み加熱した。反応温度は90〜100℃で、イソシアネート濃度が2.0%以下となった時点で触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17部を添加する。添加後、さらに反応を継続し、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基による吸収が消失するまで反応を継続し、目的のウレタンアクリレートオリゴマー(I)を得た。
【0027】
合成例2(ウレタンアクリレートオリゴマー(II)の合成)
攪拌機、温度計、空冷管を取り付けた反応容器に、スミジュールN3300(住化バイエルウレタン製、イソシアネート濃度:21.8%)500部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート186.8部、2−ヒドロキシエチルアクリレート150.5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.84部を仕込み加熱した。反応温度は90〜100℃で、イソシアネート濃度が2.0%以下となった時点で触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17部を添加する。添加後、さらに反応を継続し、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基による吸収が消失するまで反応を継続し、目的のウレタンアクリレートオリゴマー(II)を得た。
【0028】
合成例3(ウレタンアクリレートオリゴマー(III)の合成)
攪拌機、温度計、空冷管を取り付けた反応容器に、スミジュールN3300(住化バイエルウレタン製、イソシアネート濃度:21.8%)500部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート124.6部、2−ヒドロキシエチルアクリレート200.7部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.83部を仕込み加熱した。反応温度は90〜100℃で、イソシアネート濃度が2.0%以下となった時点で触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17部を添加する。添加後、さらに反応を継続し、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基による吸収が消失するまで反応を継続し、目的のウレタンアクリレートオリゴマー(III)を得た。
【0029】
合成例4(ウレタンアクリレートオリゴマー(IV)の合成)
攪拌機、温度計、空冷管を取り付けた反応容器に、スミジュールN3300(住化バイエルウレタン製、イソシアネート濃度:21.8%)500部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート337.4部とハイドロキノンモノメチルエーテル0.85部を仕込み加熱した。反応温度は90〜100℃で、イソシアネート濃度が2.0%以下となった時点で触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17部を添加する。添加後、さらに反応を継続し、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基による吸収が消失するまで反応を継続し、目的のウレタンアクリレートオリゴマー(IV)を得た。
【0030】
合成例5(ウレタンアクリレートオリゴマー(V)の合成)
攪拌機、温度計、空冷管を取り付けた反応容器に、スミジュールN3300(住化バイエルウレタン製、イソシアネート濃度:21.8%)500部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート301.0部とハイドロキノンモノメチルエーテル0.80部を仕込み加熱した。反応温度は90〜100℃で、イソシアネート濃度が2.0%以下となった時点で触媒としてジブチル錫ジラウレート0.20部を添加する。添加後、さらに反応を継続し、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基による吸収が消失するまで反応を継続し、目的のウレタンアクリレートオリゴマー(V)を得た。
【0031】
実施例1
合成例1で得られたウレタンアクリレートオリゴマー(I)を80部と、MIRAMER−M202[美源商事社製、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート皮膚1次刺激性指数:0.3、粘度:18mPa・s/25℃]を20部に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651)を全体の3%加えて均一に混合することにより試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0032】
実施例2
合成例2で得られたウレタンアクリレートオリゴマー(II)を80部と、MIRAMER−M202[美源商事社製、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート皮膚1次刺激性指数:0.3、粘度:18mPa・s/25℃]を20部に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651)を全体の3%加えて均一に混合することにより試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0033】
実施例3
合成例3で得られたウレタンアクリレートオリゴマー(III)を80部と、MIRAMER−M202[美源商事社製、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート皮膚1次刺激性指数:0.3、粘度:18mPa・s/25℃]を20部に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651)を全体の3%加えて均一に混合することにより試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0034】
比較例1
合成例4で得られたウレタンアクリレートオリゴマー(IV)を80部と、MIRAMER−M202[美源商事社製、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート皮膚1次刺激性指数:0.3、粘度:18mPa・s/25℃]を20部に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651)を全体の3%加えて均一に混合することにより試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0035】
比較例2
合成例5で得られたウレタンアクリレートオリゴマー(V)を80部と、MIRAMER−M202[美源商事社製、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート皮膚1次刺激性指数:0.3、粘度:18mPa・s/25℃]を20部に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー651)を全体の3%加えて均一に混合することにより試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0036】
実施例1〜3、比較例1,2で調製した試験用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、ポリプロピレン製のフィルム(厚さ0.5mm)に、バーコーターで15〜20g/m2で塗工し、高圧水銀灯(80W/cm)1灯、照射距離15cm、コンベアースピード20m/分の条件で20回照射し試験サンプルを得た。得られた試験サンプルを200mm×200mmに切り取り、同サイズのMDF板(厚さ5mm)に塩酢ビ系接着剤を塗布し、プレス機にて貼り加工を行い評価試験用試料を得た。得られた評価試験用試料を以下の試験に供した。
【0037】
(1)耐汚染性
JISK−6902に従って、耐汚染性試験を行う。汚染試験物は8品目(青インク・赤マジック・マスタード・サラダ油・コーヒー・ラッカーシンナー・除光液・サンポール)とする。評価は、シミが残らない場合は○、わずかにシミが残る場合は△、はっきりシミが残る場合×とする。評価結果は表1に示す。
【0038】
(2)耐溶剤(メチルエチルケトン)性
評価試験用試料を100mm×200mmに切り取り、ラビングテスター(アトラス社製)によりメチルエチルケトンのラビング試験を行い、随時、塗膜表面の状態を観察し塗膜表面に剥がれが見られた時のラビング回数を計測する。評価結果は表1に示す。
【0039】
(3)耐摩耗性
評価試験用試料を100mm×100mmに切り取り、テーバー型摩耗試験機(東洋精機(株)社製)によりCS−10の摩耗輪で1000gの荷重下で摩耗試験を行い、随時、塗膜表面の状態を観察し、塗膜表面に目視で50%以上剥がれが見られた時の回転数を計測する。評価結果は表1に示す。
【0040】
(4)耐傷性
評価試験用試料をホフマンスクラッチハードネステスター(BYK−GARDNER−USA(株)社製)で、荷重を変えて試験を行い、傷が生じた時の荷重を計測する。評価結果は表1に示す。
【表1】

【0045】
表1の実施例、及び比較例の結果から、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、耐汚染性、耐溶剤性、耐摩耗性に優れ、特に耐傷性に優れたトップコート層を形成することは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(a)に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)と、(式I)で示される水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を、質量比で(b):(c)=80:20〜20:80の割合で反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)を主成分とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【化1】

は水素またはメチル基、Rは水素または炭素数が3以下のアルキル基Xは炭素数が3以下のアルキレン基
【請求項2】
(A)と(B)の配合量が質量比で60:40〜90:10である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−22296(P2006−22296A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231686(P2004−231686)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】