説明

活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物

【課題】 難接着性基材に対して良好な密着性を維持し、高硬度なレジストインキを提供する。
【解決手段】 (A)ウレタン(メタ)アクリレート及び/又は(B)エポキシ(メタ)アクリレート100重量部に対して、(C)無機充填材3〜350重量部、(D)架橋性モノマーを60〜161重量部を必須成分とする。前記(A)として6官能ウレタンアクリレート、(B)成分のエポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる。前記(C)成分として、タルクを用いる。また、前記(D)成分として、エチレングリコールジメタクリレートを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難接着性基材上に導電性ペースト、例えば銀ペーストを印刷した回路の上に塗布またはスクリーン印刷し、紫外線、電子線などの活性光線により硬化することにより絶縁性を与える活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル用途として、難接着性基材上に対して密着性、絶縁性が良好な活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物が開発され、市場では、更に耐熱性、耐湿性、耐熱衝撃性、耐寒性、などの耐久性が求められている。
【特許文献1】特開2004−352731号公報
【特許文献2】特開2004−331769号公報
【特許文献3】特開平9−316113号公報
【特許文献4】特開平7−118589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かような問題を解決する方法として、ポリエステルを共重合成分として含む活性光線重合性オリゴマーと、分子内に芳香族基を有する活性光線重合性化合物と、無機充填剤を含むレジストインキが開示されているが、硬度が低く、製造過程で傷が付きやすいという難点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、(A)ウレタン(メタ)アクリレート及び/又は(B)エポキシ(メタ)アクリレート100重量部に対して、(C)無機充填材3〜350重量部、(D)架橋性モノマーを60〜161重量部を必須成分とする活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物を用いることにより前記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0005】
架橋性モノマーを60〜161重量部配合することにより、難接着性基材に対して良好な密着性を維持し、高硬度なレジストインキとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とからなるものであればよく、市販品としては、例えば、日本合成社製の紫光シリーズ、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等、根上工業社製のアートレジンシリーズ、アートレジンUN3320HA、アートレジンUN3320HB等、ダイセル・サイテック株式会社製のEbecrylシリーズ、1290、5129、254、264、265、1259、1264、4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等、DPHA40H(日本化薬社製)、CN9006、CN9010(サートマー社製)等が挙げられる。
【0007】
本発明で用いるエポキシ(メタ)アクルレートは、環構造をもつエポキシ化合物にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどを付加反応させて得られる。エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、カルド型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型樹脂、グリシジルエステル型樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0008】
市販品としては、リポキシSP−2600(商品名、昭和高分子製)、NKオリゴEA−1020、EA−6340(商品名、新中村化学製)、カラヤッドR−280、R−190、R−167、MAX−2104(商品名、日本化薬製)、Ebecryl600、Ebecryl3700、Ebecryl3200、Ebecryl3500、Ebecryl3701、Ebecryl3703(商品名、ダイセル・サイテック株式会社UCB製)、NKオリゴEA−6320、EA−6340(商品名、新中村化学製)、デナコールアクリレートDA−212(商品名、ナガセ化成製)等の変性1,6−へキサンジオールジアクリレート、デナコールアクリレートDA−721(商品名、ナガセ化成製)等の変性フタル酸ジアクリレート、NKオリゴEA−1020(商品名、新中村化学製)等が挙げられる。
【0009】
本発明において、密着性、硬度などの特性を上げる目的で、(C)無機充填材が(A)及び/又は(B)100重量部に対して3〜350重量部配合される、(C)無機充填材としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母などの無機充填材が配合される。下限未満であると、鉛筆硬度が低くなりやすく、上限を超えると密着性が低下やすく、塗工、スクリーン印刷適正が劣りやすくなる。無機充填材の粒径は3〜25μmが好ましく、下限に満たないと密着性が劣り、上限を超えると、塗工、印刷適正が劣りやすくなる。
【0010】
架橋性モノマー(D)を60〜161重量部配合することにより、硬度を向上させることができ、製造過程において傷が付きにくいものとなる。架橋性モノマー(D)の具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びネオペンチルグリコールジメタクリレートなどが挙げられ、とりわけエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
【0011】
光により重合させる場合には光重合開始剤(E)が配合されるが(E)公知のものを用いればよい。具体的には、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテルなどのベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2,4−ジメチルチオサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノンなどのアントラキノン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステルなどの安息香酸エステル類、フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。尚、電子線により硬化させる場合は、開始剤は必要ない。
【0012】
電子線を照射する場合は、走査型あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1000keV以下、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有し、紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い、100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域で、100〜800mJ/cmのエネルギーを有する紫外線を照射する。硬化阻害を防止するため、窒素ガス等の不活性ガス下で照射を行ってもよい。
【0013】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
実施例1〜18、比較例1〜5
表1、表2に示す配合で樹脂組成物を得た。これらの配合に、必要に応じて分散剤、消泡剤等を添加してもよい。
【0014】
【表1】


【表2】

【0015】
UN3320HA(商品名アートレジン、根上工業社製、分子量1500、6官能ウレタンアクリレート)
CN9006(サートマー社製、脂肪族ウレタンアクリレート)
CN9010(サートマー社製、脂肪族ウレタンアクリレート)
CN9165US(サートマー社製、アクリレートエステル)
UA−306H(共栄社化学株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)
UA−306I(共栄社化学株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー)
UA−306T(共栄社化学株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー)
Ebecryl3700(ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製)
Ebecryl600(ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製)
V−5500(ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、商品名ユニディック、DIC株式会社製)、
R−1303(商品名ニューフロンティア、ポリエステル系ウレタンアクリレート、第一工業製薬株式会社)
エチレングリコールジメタクリレート(商品名ライトエステルEG、共栄社化学株式会社製)
タルク(商品名P−3及びP−6、日本タルク株式会社製
商品名SG95、松村産業株式会社)
光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
2−フェノキシエチルアクリレート(商品名SR339A、サートマー社製)
2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアルコール(商品名R−128H、日本化薬(株)製)
【0016】
試験片の作成
活性光線硬化型レジストインキ組成物を厚み100μmPETフィルムに紫外線照射後の膜厚が20μmになるようにアプリケーターで塗布した。次いで、紫外線照射装置を用い、照射量が300mJ/cmの条件で照射したものを試験片とした。
【0017】
密着性: JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に基づき、塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目が95〜100を○、95以下を×とした。
【0018】
鉛筆硬度:JIS K 5600に準じ、斜め45度に固定した鉛筆の真上から500g荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷の付かない鉛筆硬度を表示した。3H以上を○、2H以下を×とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウレタン(メタ)アクリレート及び/又は(B)エポキシ(メタ)アクリレート100重量部に対して、(C)無機充填材3〜350重量部、(D)架橋性モノマーを60〜161重量部を必須成分とする活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)成分が、タルクであることを特徴とする請求項1記載の活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)成分が、エチレングリコールジメタクリレートあることを特徴とする請求項1記載の活性光線硬化型レジストインキ用樹脂組成物。

【公開番号】特開2011−195740(P2011−195740A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65395(P2010−65395)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】