説明

活性剤としてのドロスピレノンを含むフィルムコート錠およびその調合方法

本発明は周囲条件の影響に対する(特に大気湿度に対する)向上した耐性を有するドロスピレノンを含むフィルムコート錠に関する。本発明は更に、中心まで活性剤を塗布することにより安全性を増すことができるフィルムコート錠コアの調合方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は周囲条件の影響に対する(特に大気湿度に対する)向上した耐性を有するドロスピレノンを含むフィルムコート錠に関する。本発明は更に、中心まで活性剤を塗布することにより安全性を増すことができるフィルムコート錠コアの調合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲスターゲンとエストロゲン成分の組合せを含む避妊具が数十年以来使用されている。ドロスピレノン(化学名:6β,7β;15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン)は利尿化合物としての使用が開示されている独国特許第2652761号明細書から公知である。独国特許第3022337号明細書において、化合物のプロゲスチンのような活性およびそれに伴う避妊薬としての効用が記載されている。ドロスピレノンがエチニルエストラジオールと共に投与もできることは独国特許第3022337号明細書に更に記載されている。
【0003】
ホルモン含有組成物の場合には、概して湿式造粒方法の2種類が製薬業界において用いられる。それらのうちの1つは最近マイクロ波真空乾燥と結合することができるフーコー電流造粒方法である。流動層乾燥方法と比較してフーコー電流単一ポット方法の短所は乾燥手順中の運転時間が長く、および偶然に発生し「ホットスポット」現象をもたらす不均質な熱分配である。上記2つの効果は製品の品質に悪い影響を与える場合がある。もう1つの方法は流動層乾燥方法であり手順中に、湿塊を乾燥装置に移すことにより著しくホルモン暴露のリスクを増しているから単一ポット技術として考えることができない。
【0004】
造粒に対する更なる可能性は、流動床造粒および活性剤の溶液または懸濁液がパウダー群上に吹付けられる装置における乾燥方法である。吹付け圧に応じる場合、吹付け手順は液体粒子の分散度に制御効果を与える。しかしながら、小液体粒子は空中で乾燥する危険を有し、またそれらがパウダーと接触する前にオペレーティングゾーンに流体気流を残す危険を有している。液体粒子に対しての他の危険は装置の壁に付着することである。これらの影響は製品の均一性に影響を及ぼすこととなり活性剤損失の増加原因となる。活性剤の留意点は、特にホルモン含有物質を気流により装置に残すことであり、常にいくらかの健康的リスクを意味する。吹付工法で分かるように活性剤損失なしの製品を製造する可能性を示さない。システムの活性剤含有量が小さいほど、上記短所の発生が多くなる。ホルモンを含んでいる製品の場合、この問題はより高い頻度で発生する。上記の課題のための解決方法は、懸濁液の形で活性剤を吹付けることだが、この場合不均質性の問題が生じる場合がある。
【0005】
欧州特許第1214076号明細書は、組成物(3mg/錠剤)の比較的高い活性剤含有量のため、ドロスピレノンがいかなる種類の溶媒も使用することなく微細化形態で処理されるドロスピレノン組成物の製剤方法を開示する。この技術的手順においてシステムの活性剤の分配は、活性剤が分子分散形態で分散するときよりも非常に不均質となる。錠剤製造している間の微細化形態の活性剤を用いる他の欠点は、錠剤コアの製造プロセスを一定させない付着である。
【0006】
製薬業界において、ホルモンを含む錠剤コアは常に被覆されている。コーティング手順は、包装の間製品のゴミ掃除を減少させることおよび食道を通しての錠剤の経口投与を容易にする2つの役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第2652761号明細書
【特許文献2】独国特許第3022337号明細書
【特許文献3】欧州特許第1214076号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
我々の目的は、本発明のフィルムで被覆した錠剤の合成および構成が技術文献に記載されている方法の短所を除くドロスピレノン活性剤を含むフィルムコート錠を提供することである。更に、我々の目的は錠剤コアの表面上へ被覆を塗布する方法を提供することである。本発明の方法は工業規模での安全で容易な製造であり、コアへのドロスピレノン活性剤の塗布は安全性を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は有機溶剤の活性剤の溶液を、吹付け圧を使用せずに流動床の表面上に連続的にまたは周期的に滴下させるドロスピレノン活性薬剤を含むフィルムコート錠コアの調合方法に関する。同時に、製品の温度は制御され溶媒分子は熱い気流によって湿気物質から除去される。更に、本発明は周囲条件の影響に対して(特に被覆が上記手順に従って生産された錠剤コアへ塗布される所での空気湿度に対して)向上した耐性を有するドロスピレノン活性薬剤を含むフィルムコート錠に関する。この被覆は、周囲条件の影響に対して(特により高い空気湿度の湿気に対して)向上した耐性を与える。
【0010】
本発明は、製品の温度を制御している間に溶媒分子が熱い気流によって湿気物質から除去され、有機溶剤の活性剤の溶液が吹付け圧を使用せずに流動床の表面上に連続的にまたは周期的に滴下させるフィルムコート錠のコアを含むドロスピレノン活性剤の調合方法に関する。
【0011】
発明の本質によれば、上記の溶液が滴を分散することなく伝動床の表面上に滴下され、滴は散乱することなく全量が伝動床の表面上に落ちる。滴が流動床の表面の凝固するポイントに誘導されるので、技術文献に記載されている活性剤損失は実質的に回避することができる。さらに、伝動床への活性剤の溶液の容積比の適切な選択および空気速度の適切な選択により、湿った物質は適切に混合され、システムは一律に湿らされる。このように活性剤の均質分配が獲得される。いずれの場合も、平均滴径は吹付け方法によって入手できる分散粒子の平均粒度(0.15cm)より高い。
【0012】
この種の大量の活性剤の溶解のために、大量の薬学的および環境的に受け入れられる溶媒が必要である。ドロスピレノンが実質的に水に溶解しないので、適切な溶媒は「クラス3」に分類される。本発明による調合過程において溶媒はエタノールである。エタノールは環境および安全面から最も有用な溶媒である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に関するプロセスの説明図である。
【図2】湿潤曲線、滴下および吹付けコーティング法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関するプロセスは図1に示されている。図1のフローシートにおいて、手順ステップが示されている。適切な流動化装置の第1ステップによればエタノールの活性剤の溶液は、インナーフェーズの成分(コーンスターチ、ラクトース一水和物およびゼラチン化前デンプン)に塗布される。したがって、エタノールのドロスピレノンの溶液は、吹付けエアを使用せずにインナーフェーズの成分にゆっくり注入されることにより活性剤損失を最小限にしている。続いて湿塊からアルコールが取り除かれる。乾燥エチニルエストラジオールがインナーフェーズ成分に加えられたあと、ドロスピレノンの溶液が前処理され、続いて混合物はポリビニルピロリドンの水溶液を加えることにより均質化され粒状化される。得られた顆粒剤は乾燥され、ステアリン酸マグネシウムを加えることにより再粒状化および潤滑剤を入れ錠剤は圧縮成形される。続いて得られた錠剤はフィルムコートされる。吹付け方法に類似して、本発明による方法の場合には手順終了後に得られたドロスピレノン活性剤が錠剤でアモルファス状となる。
【0015】
図2に示すように、エタノールの活性剤の溶液がインナーフェーズの成分へ塗布される手順の間、均一の湿潤および湿気保持を維持することができる。流動床において活性剤の均質分配は吹付けエアを使用せずに確保される。吹付け手順を省略することによって、装置の壁に活性剤が付着するために発生している活性剤損失は最小限にすることができる。
【0016】
更に、本発明は周囲条件の影響に対して(特に被覆が上記手順に従って生産された錠剤コアへ塗布される所での空気湿度に対して)向上した耐性を有するドロスピレノン活性薬剤を含むフィルムコート錠に関する。この被覆は、周囲条件の影響に対して(特により高い空気湿度の湿気に対して)向上した耐性を与える。
【0017】
本発明による方法は、均一にコアの表面を被覆する弱い疎水性ポリマーを用いて達成することができる。本発明に好適なポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メトキシエチルアクリレート、セルロースアセテート、エチレンオキシドおよびポリエチレン酸化物、エチレンビニルアセテートコポリマー、メチルセルロース、ポリビニールアセテート、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデンが挙げられるがこれらに限定されない。驚くべきことに、本発明による被覆は生体内の生物学的効果に影響を与えないが、湿度に対する高い耐性により、以下の生体外溶解プロフィルを示した:水温が37℃、pH=4,5以上、50回転数/分で撹拌テストされる場合、活性剤の70%未満が30秒以内にフィルムコート錠から放出された。
【0018】
本発明は以下の実施例によって詳細に説明され、それは範囲を限定するよりは本発明を例示するためのものである。
【実施例1】
【0019】
【表1】

【0020】
上記の手順に従って調合された錠剤コアはフィルムコートされている。フィルムコートの調合のために次の工程が実施される。連続的なハイスピードでのアジテーション撹拌する洗剤(ラウリル硫酸ナトリウム)は精製水の一部に分散し、ステアリン酸およびポリマー成分は混合物に加えられる。同時に顔料(二酸化チタン)が精製水の他の部分に分散し、その後得られた分散液の2要素が混合され更に撹拌される。最後に、得られた被覆は錠剤コアの表面に吹付けられ乾燥する。
【実施例2】
【0021】
【表2】

【0022】
実施例1に記載されている手順に従って調合された錠剤コアはフィルムコートされている。フィルムコートの調合のために次の工程が実施される。連続的なハイスピードでのアジテーション撹拌する洗剤(ラウリル硫酸ナトリウム)は、精製水の一部に分散し、ステアリン酸およびポリマー成分は混合物に加えられる。同時に顔料(二酸化チタン)が精製水の他の部分に分散し、その後得られた分散液の2要素が混合され更に撹拌される。最後に、得られた被覆は錠剤コアの表面に吹付けられ乾燥する。
【実施例3】
【0023】
【表3】

【0024】
上記の手順に従って調合された錠剤コアはフィルムコートされている。フィルムコートの調合のために次の工程が実施される。連続的なハイスピードでのアジテーション撹拌する洗剤(ラウリル硫酸ナトリウム)は、精製水の一部に分散し、ステアリン酸およびポリマー成分は混合物に加えられる。顔料(二酸化チタン)が精製水の他の部分に分散し、その後得られた分散液の2要素は混合され更に撹拌される。最後に、得られた被覆は錠剤コアの表面に吹付けられ乾燥する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール内でドロスピレノンを溶かし、続いて得られた製品の温度を制御している間に溶媒分子が熱い気流によって湿気物質から除去され、得られた溶液を吹付け圧なしで流動化装置にある流動床の表面上に連続的にまたは周期的に滴下させ、得られたコアが有機溶液および/もしくは水溶液またはフィルム形成ポリマーの分散によりフィルムコートされることから成るドロスピレノン活性剤を含むフィルムコート錠の調合方法。
【請求項2】
フィルム形成ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、メトキシエチルアクリレート、セルロースアセテート、エチレンオキシドおよびポリエチレンオキシド、エチレン酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、ポリ酢酸ビニール、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリ塩化ビニリデンからなるグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルム形成ポリマーが、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
フィルム形成ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、メトキシエチルアクリレート、セルロースアセテート、エチレンオキシドおよびポリエチレンオキシド、エチレン酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、ポリ酢酸ビニール、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリ塩化ビニリデンからなるグループから選択され、大気湿度に対して向上した耐性を有するフィルム形成ポリマー層で被覆されている錠剤コアから成るドロスピレノン活性剤を含むフィルムコート錠。
【請求項5】
フィルム形成ポリマーが、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEである請求項4に記載のフィルムコート錠。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−507825(P2011−507825A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538923(P2010−538923)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/HU2008/000100
【国際公開番号】WO2009/081216
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)
【Fターム(参考)】