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活性化混合物
説明

活性化混合物

【課題】本発明は、サンプル中の血液凝固因子の量を測定する一段階アッセイの改良に関する。
【解決手段】本発明は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を含んでなる活性化混合物に関する。本発明はまた、活性化混合物の調製方法および活性化混合物の使用に関する。本発明はさらに、本明細書において記載する、試験サンプル中の血液凝固因子の量を決定するアッセイ方法およびこのアッセイ方法を行うためのキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液凝固因子に関する。特に、本発明は血液凝固因子測定用の活性化混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固のプロセスには、カスケード様式で作用して凝血塊(血餅)を形成する血液凝固タンパク質として知られている一連のタンパク質が関与している。血友病とは、血液凝固因子をコードする遺伝子が、コードされているタンパク質がカスケードプロセスにおいて正常に機能しないような変異を含む、ヒトや他の哺乳動物における疾患である。
【0003】
血友病Aがこの疾患の最も多い形態であり、これは凝固第VIII因子の活性の欠陥によって引き起こされるX連鎖性で劣性の出血性疾患である。この疾患に冒された個体は、関節や筋肉の出血、あざができ易いこと、および外傷からの長引く出血などの不定の表現型を示す。この疾患は、Xq28にマッピングされている第VIII因子遺伝子における不均一な変異により引き起こされる。第VIII因子における変異の不均一性にもかかわらず、選択された変異(特に逆位)の直接検出により、ならびに連鎖解析により間接的に、保因者検出および出生前診断を行うことが出来る。第VIII因子の補充は、ヒト血漿または組換え技術からの種々の調製物を用いて行われる。ほとんどの症例において補充療法は有効であるものの、治療を受ける個体の10〜15%では、その有効性を減じる中和抗体が出来てしまう。血友病Aのための慣例的な治療の主力は、治療レベルまで第VIII因子活性を復元するのに必要な量を用いた第VIII因子の注入である。第VIII因子の半減期が8〜12時間であることから、状況によっては1日2回の注入が必要とされることもある。
【0004】
遺伝病である血友病Bは、血液凝固タンパク質である第IX因子(F.IX)をコードする遺伝子における突然変異を特徴とする。第IX因子はHighら(1995, "Factor IX" In: Molecular Basis of Thrombosis and Hemostasis, High and Roberts, eds., Marcel Dekker, Inc.)により概説されている。
【0005】
1936年に、PatekおよびStetson (J. Clin. Invest. 15, 531-542)は、血友病が血漿因子の補充により修正できることを報告した。そのとき以来、臨床診断を支え、治療をモニターし、治療学的第VIII因子調製物を品質管理するために、この因子(今日では第VIII因子と呼ばれている)をアッセイする方法が必要とされてきた。
【0006】
この目的のために様々なin vitroアッセイが開発されてきた。例えば、Langdellら ((1953) J. Lab. Clin. Med. 41, 637-647) により、ならびに、HardistyおよびMacpherson ((1962) Thromb. Diath. Haemorrh 7, 215-229) により、よく知られた一段階アッセイが報告され、Biggsら((1955) Br. J. Haematol. 1, 20-34)により、二段階アッセイが報告された。この時以来、他の種類のアッセイ、例えば発色性アッセイ(SeghatchianおよびMiller-Anderson, (1978) Med. Lab. Sci. 35, 347-354)または蛍光アッセイ(Mitchellら(1981) Thromb. Res. 21, 573-584)も開発されたが、昔ながらのアッセイは今でも使用されている。
【0007】
血液凝固因子(例えば第VIII因子)のための様々なアッセイの中でも、迅速性、簡便性、および自動化の容易性といった理由から、一段階アッセイが最もよく用いられている(Barrowcliffe et al., (1981) Haemostasis 11, 96-101)。このアッセイの原理はOver ((1984) Scandinavian Journal of Haematology Supplementum No. 41, 33 13-24)により記載されている。このアッセイは、第VIII因子含有サンプルが第VIII因子欠乏血漿の凝固を修正できる能力に基づく。希釈された第VIII因子を含有するサンプルを加えることにより凝固時間は減少し、加える第VIII因子の量が律速となるように希釈率を選択するかぎり、この時間短縮は加える第VIII因子の量の関数である。高濃度の第VIII因子下では、他の因子が律速となり、低濃度では凝固時間が最長凝固時間に近づく。しかしながら、これらの両極端の間では、用量応答が線形となる凝固時間の範囲が普通存在する。未知のサンプルの用量応答曲線を、既知の活性(すなわち標準)のサンプルと比較することで、試験サンプル中の第VIII因子含量を測定することができる。
【0008】
Over ((1984) Scandinavian Journal of Haematology Supplementum No. 41, 33 13-24)は、一段階アッセイの手順について以下のように記載している:
試験を行うには、ある容積の第VIII因子欠乏基質血漿、希釈した試験サンプル、リン脂質懸濁物、および活性化剤試薬を順にピペットで加える(後者の2つは混合試薬として加えてもよい)。次いでこの混合物を37℃でインキュベートする。カルシウムイオンを加えることにより凝固反応を開始させ、この時点からエンドポイントに達するまでの時間を記録する。
【0009】
アッセイの再現性に関連する問題を克服するために、一段階アッセイについての様々な改変がなされてきた。Geigerら((1955) Proc. V. Congr. Europ. Soc. Haemat. Freiburg i. B., S. 413. Springer, Berlin)は、系に正常血清を添加した。Waller((1959) Scand. J. Clin. Lab. Invest. 11, 194)は、ガラス器具類を注意深く標準化し、カルシウム再沈着前に血漿混合物を6分間プレインキュベーションすることによりアッセイを向上させようと試みた。Egeberg((1961) Scand. J. Clin. Lab. Invest. 13, 140)は、Waller (1959)が記載した手法に加えて、基質血友病性血漿を使用の直前に激しく撹拌することもまた再現性を向上させることを見出した。Hardisty & Macpherson ((1962) Thromb. Diath. Haemorrh 7, 215-229)は、血漿をカルシウム再沈着の直前に最適量のカオリンと共にインキュベートするというさらなる変法を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、サンプル中の血液凝固因子の量を測定する一段階アッセイの改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一部には、現行の一段階アッセイ方法で使われている個別の成分の代わりに、単一の活性化混合物を用いることができるという驚くべき発見に基づく。
【0012】
有利なことに、本明細書に記載する改変した一段階アッセイ方法は、より迅速であり、実施がより容易であり、そしてより簡単に自動化されうる。
【0013】
第一の態様において、本発明は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を含む活性化混合物に関する。
【0014】
第二の態様において、本発明は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を一緒に混合するステップを含む、活性化混合物の調製方法に関する。
【0015】
第三の態様において、本発明は、試験サンプルに活性化混合物を加えることを含む、試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定するアッセイ方法に関する。
【0016】
血液凝固因子は様々な用途、例えば血友病の診断または治療のモニター(例えば過剰出血の具体的原因をつきとめるため)、保因者検出、手術中において、または治療用濃縮物の品質管理の一環として、測定されることがある。
【0017】
第四の態様において、本発明は、活性化混合物を含有する第一の容器を含んでなる、試験サンプルにおける血液凝固因子の量を測定するキットに関する。
【0018】
第五の態様において、本発明は、サンプル中の血液凝固因子の量を測定するアッセイ方法における、活性化混合物の使用に関する。
【0019】
好ましくは活性化剤は微粉化シリカである。
【0020】
好ましくは、リン脂質は合成リン脂質である。
【0021】
好ましくは、活性化剤およびリン脂質は、単一の試薬として提供される。より好ましくは、単一の試薬はAPTT試薬である。
【0022】
好ましくは、血液凝固因子欠乏基質血漿は、化学的にまたは免疫学的に処理されて因子が除去されているものである。
【0023】
好ましくは、活性化混合物は4℃および/または22℃で少なくとも5時間、安定である。
【0024】
好ましくは、活性化剤およびリン脂質は単一の試薬として提供される。より好ましくは、単一の試薬はAPTT試薬である。
【0025】
好ましくは、本発明の第三の態様におけるアッセイ方法は、以下のステップを含んでなる:(a)試験サンプルを用意すること;(b)請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物を用意すること;(c)試験サンプルと活性化混合物を一緒に加えること;(d)カルシウム試薬を加えること;(e)凝固時間/凝固エンドポイントを測定すること;(f)試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定すること。
【0026】
好ましくは、ステップ(a)、(b)および(d)のステップに列挙した各アッセイ成分を予熱しておく。より好ましくは、ステップ(a)、(b)および(d)のステップに列挙した各アッセイ成分を約37℃に予熱しておく。
【0027】
好ましくは、凝固時間/凝固エンドポイントは、凝固測定機(coagulometer)を用いて測定する。
【0028】
好ましくは、凝固時間/凝固エンドポイントは、ポイントオブケア機器(point of care device)および/または患者近接医療機器(near patient care device)を用いて測定する。
【0029】
好ましくは、キットは、カルシウム試薬を含有するさらなる容器を含んでなる。
【0030】
好ましくは、キットは、1以上の血液凝固因子を含有するさらなる容器を含んでなる。
【0031】
好ましくは、キットは、ポイントオブケア機器または患者近接医療機器を含んでなる。
【0032】
好ましくは、活性化混合物を予熱する。より好ましくは、活性化混合物を約37℃に予熱する。
【0033】
本発明の他の態様は、特許請求の範囲および以下に記載する。これらの態様は、別個のセクションの表題の下に示される。しかしながら、各セクションの教示が、必ずしもその特定のセクションの表題に限定されるものではないことを理解されたい。
【発明の効果】
【0034】
本発明にはいくつかの効果がある。これらの効果は以下の記載から明らかになるであろう。
【0035】
一例として、本発明は、現行の方法よりも迅速に実施できる、サンプル中の血液凝固因子の量を測定するアッセイ方法を提供することから、有利である。
【0036】
さらに一例として、本発明は、現行の方法よりもステップ数が少なく、したがってより簡便に実施できるアッセイ方法を提供することから、有利である。
【0037】
さらに一例として、本発明は、より簡単に自動化しうるアッセイ方法を提供することから、有利である。
【0038】
さらに一例として、本発明は、本アッセイ方法に用いる試薬が、対象とする血液凝固因子を評価するために特別に調整することができることから、有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
活性化混合物
本明細書に記載のとおり、本発明者らは、現行の一段階アッセイ方法に用いられている個々別々の成分(すなわち、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質、または血液凝固因子欠乏基質血漿および活性化剤/リン脂質)の代わりに、活性化混合物を使用できることを見出した。
【0040】
本発明における「活性化混合物」は、試験サンプルと接触させる前に一緒に混合された血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤およびリン脂質を意味する。したがって、活性化混合物は、試験サンプル(例えば血液凝固因子のアッセイ方法におけるもの)を含有する反応に使用する前に調製される。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を含んでなる活性化混合物に関する。
【0042】
別の好適な実施形態において、本発明は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を含んでなる、またはこれらから本質的になる活性化混合物に関する。
【0043】
典型的には、活性化混合物は、単一の試薬を形成するために、実質的に等容積の血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤、およびリン脂質を一緒に混合することにより調製する。
【0044】
好ましくは、活性化混合物を、本発明のアッセイ方法に用いる前に予熱する。より好ましくは、活性化混合物を約37℃に予熱する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、活性化混合物を本発明のアッセイ方法に用いる前に約37℃で10分間、プレインキュベートする。
【0046】
成分のうちの2つを単一の試薬として用意してもよく、次いでこれを3つめの成分に加えて活性化混合物を形成してもよい。
【0047】
好ましくは、活性化剤およびリン脂質は単一の試薬として用意し、次いでこれを実質的に等容積の血液凝固因子欠乏基質血漿と混合する。
【0048】
市販されている活性化剤およびリン脂質の混合物は、一般にAPTT試薬と呼ばれており、これらについてはPollerおよびThomson((1972) J. Clin, Pathol. 25, 1038-1044)による広範な総説がなされている。
【0049】
一例として、APTT試薬は、様々な業者から入手可能であり、限定するものではないが、bioMerieux, France; Sigma Diagnostics, USA; Helena Haemostasis Systems Ltd, UK; およびInstrumentation Laboratory, USAなどが挙げられる。
【0050】
好ましい実施形態において、用いるAPTT試薬は、シリカ活性化剤およびリン脂質の混合物を含んでなる、Instrumentation Laboratory APTT-SP (液体) (カタログ番号20006300)である。
【0051】
好ましくは、活性化混合物は、4℃および/または22℃で少なくとも5時間、安定である。
【0052】
有利なことに、この安定性によって、アッセイ中の一時的なドリフトも避けることができる。
【0053】
血液凝固因子
本明細書において用いる「血液凝固因子」とは、負傷または損傷の部位、例えば外傷での失血の防止に関連するあらゆる血液凝集/血液凝固因子を意味する。
【0054】
血液凝固は、創傷を塞ぐ凝血塊である、半固体の物質塊の形成を伴う。凝血塊は、凝集した血小板、ならびに、いくつかの血漿タンパク質、少なくとも1種の組織タンパク質、リン脂質膜表面、カルシウムイオンおよび血小板が含まれるフィブリン分子の網目からなる。血液凝固の機構、および関わっている成分については、Cell 53 (1988) 505-518; Biochem. 30 (1991) 10363-10379; Methods of Enzymatic Analysis, Vol. V, chapter 3, 3rd ed., Academic Press, New York (1983)を含むいくつかの総説論文に包括的に記載されている。
【0055】
血液凝固のプロセスに関連するタンパク質は、一般に血液凝固因子(factor)と呼ばれている。
【0056】
血液凝固因子としては、第II因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、および第XIII因子などが挙げられる。数で因子に言及することは、当業者にとって、対応するタンパク質を特定する。
【0057】
好ましくは、本発明における血液凝固因子は、第VIII因子、第IX因子または第XI因子のいずれか1つを意味する。最も好ましくは、血液凝固因子は第VIII因子である。
【0058】
このことから、本発明における特に好ましい実施形態において、血液凝固因子は第VIII因子である。
【0059】
血液凝固因子欠乏基質血漿
当業者ならば、用いる血液凝固因子欠乏基質血漿が、アッセイされる血液凝固因子と同じであることを理解できるであろう。従って、一例としてアッセイする血液凝固因子が第VIII因子、第IX因子または第XI因子であるならば、それぞれ第VIII因子-、第IX因子-または第XI因子欠乏基質血漿が使用される。
【0060】
本発明のアッセイ方法において用いる血液凝固因子欠乏基質血漿は、種々の取得源から得ることができる。
【0061】
血漿の調製には、血漿を無細胞にすること(2回反復の遠心分離)、急速に凍結すること、および凍結乾燥を適用するときにバッファーで安定化させること、の手段が含まれうる(Godfreyら(1975) Thromb. Diath. Haemorrh. 34, 879-882)。
【0062】
基質血漿は、重症血友病患者、例えば血友病A患者から取得してもよい。しかしながら、重症血友病のための予防的治療がより支配的になっていることから、血液凝固因子を含有しない血漿を得にくくなっている。さらに、HCVウィルス感染の頻度もまた問題である。
【0063】
別の入手源は、市販の、例えばBarrowcliffeら(1981) Haemostasis 11, 96-101に記載されている入手源からの基質血漿を購入することである。
【0064】
別の可能性としては、正常血漿から血液凝固因子を選択的に取り除くことにより得られた人工血液凝固因子欠乏血漿を用いることである。この除去は、物理的、化学的または免疫学的処理により行うことが出来る。
【0065】
適切には、基質血漿の残存血液凝固因子凝固活性は可能な限り低くあるべきであり、典型的には正常値の1%未満であるべきである。
【0066】
また、血液凝固因子に対する抗体は不在であるべきであり、一方、他の凝固因子は律速とならないよう、十分高い濃度で存在するべきである。ブランクの凝固時間と高濃度の血液凝固因子の凝固時間との間には大きな差異が存在するはずであり、通常は広範な血液凝固因子濃度に渡り、線形で急な勾配(適切な変換後)を示す。
【0067】
好ましくは、人工血液凝固因子欠乏血漿、例えば人工第VIII因子欠乏血漿(Biomerieux/Organon Teknika Corp, USA)を用いる。この血漿は化学的に除去処理済みのものであり、正常レベルのvWFを含有する。
【0068】
活性化剤
典型的には、用いる活性化剤は第XII因子の活性化剤である。第XII因子の広範な種類の、可溶性および不溶性活性化剤が知られている。
【0069】
第XII因子は、第XI因子を活性化するプロテイナーゼ第XIIa因子の循環性前駆体である。第XI因子は、第IX因子を第IXa因子へと変換させる第XIa因子の循環性前駆体である。第IXa因子および第VIII因子は一緒に、凝固の内在経路における第X因子の活性化に関与する。
【0070】
一般に、活性化剤は共通して、高分子量の成分(例えば硫酸デキストラン)または表面(例えばカオリン、セライト、ガラス、エラグ酸および微粉化シリカ)に正味の負電荷を有する。
【0071】
当業者ならば、本明細書に記載の活性化剤が網羅的なものではなく、他のものも使用することができると理解するであろう。
【0072】
典型的には、カオリン、エラグ酸、または微粉化シリカを一段階アッセイに用いる。光学的凝血塊検出を行う凝固測定機で凝固時間を記録する場合には、エラグ酸および微粉化シリカを活性化剤として用いることができ、他の凝固測定機ではカオリンが最も広く用いられる(Barrowcliffeら, 1981)。
【0073】
好ましい実施形態において、活性化剤は微粉化シリカである。
【0074】
活性化剤はまた、第IXa因子を含んでもよい。第IXa因子は、凝固の内在経路における第X因子を活性化するセリンプロテアーゼであり、第IX因子を第IXa因子へと変換する。
【0075】
活性化剤の濃度は、最適活性化時間の適用後、凝固時間が可能な限り短くなるように選択すべきである。
【0076】
リン脂質
一般に、in vitro試験のためのリン脂質の最良の入手源は、重症の血友病者から得られた血小板豊富な血漿の形態での血小板そのものである(Nilssonら, (1957) Acta. Med. Scand. 159, 35-57 (1957))。しかしながら、これは大半の研究室にとって実用的なアプローチとは言えず、他の試薬を用いなければならない。
【0077】
負電荷のリン脂質(例えばホスファチジルセリン)および非荷電のリン脂質(例えばホスファチジルコリン)の混合物は、適当な試薬となりうる(Zwaal & Hemker (1982) Haemostasis 11, 12-39)。
【0078】
BellおよびAlton (1954) Nature 174, 880-881; Hjort et al. (1955) J. Lab. Clin. Med. 46, 89-97;ならびにBarrowcliffeら(1982) Homeostasis 11, 96-101)に記載されているように、異なる入手源、例えばウシ、ウサギまたはヒトの脳などのリン脂質抽出物を用いることは可能である。
【0079】
リン脂質は実質的に精製されたリン脂質であってもよい。
【0080】
本発明の好適な実施形態においては、合成リン脂質、例えば実質的に精製された合成リン脂質を用いる。
【0081】
試験系におけるリン脂質濃度の小さな変化(試験サンプルのリン脂質含量の違いによるもの)が凝固時間に対して最小限の影響しか及ぼさないことを確実にするために、最も短い凝固時間を与えるリン脂質濃度を用いるのが有利である。最適よりも少ない、および多い濃度では結果的に凝固時間が長くなる。
【0082】
カルシウム試薬
凝固カスケードの血液凝固因子に依存する部分を開始させるためには、混合物中に存在するクエン酸(基質血漿の抗凝固因子として存在する)に打ち勝って、最適の遊離カルシウム濃度が得られるような量のカルシウムイオンを加えなければならない。
【0083】
あらゆるカルシウムカチオンの化学的な供給源が使用可能である。例えば、カルシウムカチオン(Ca++)の供給源は、CaCl2、Ca(NO2)2、CaSO4であってもよく、または他の無機カルシウムカチオン含有化合物を使用してもよい。
【0084】
好ましくは、カルシウムカチオンの供給源はCaCl2である。
【0085】
典型的には、25〜33mMのカルシウム試薬を、基質血漿の容積と同等の容積で用いる。しかしながら、当業者ならば、最も短い凝固時間を明らかにすることによりカルシウム試薬の最適濃度を決定することができる(Lenahan & Philips (1966) Clin. Chem. 12, 269-273)。
【0086】
好ましくは、カルシウム試薬を、本発明のアッセイ方法に用いる前に予熱する。より好ましくは、カルシウム試薬を約37℃に予熱する。
【0087】
アッセイ方法
さらなる態様において、本発明は、試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定するためのアッセイ方法に関する。
【0088】
本発明のこの態様におけるアッセイ方法は、血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤およびリン脂質を含んでなる活性化混合物を加えるステップを含む。
【0089】
有利なことに、本明細書において記載したアッセイ方法は、現行の方法よりも速く実施できる。その理由は2重にある。第1に、本明細書に記載したアッセイ方法は、血液凝固因子欠乏血漿を活性化剤およびリン脂質またはそれらの混合物に加えることを必要とする現行の一段階アッセイよりもステップが1つ少ない。本明細書に記載の通り、血液凝固因子欠乏血漿、活性化剤およびリン脂質は、アッセイに使用する前に、単一の混合物として提供される。第2に、約37℃での10分間のインキュベーションステップは省略されている。代わりに、活性化混合物を所要の温度まで予熱し、そのためこれを他のアッセイ成分と直接混合することができる。
【0090】
有利なことに、本明細書に記載したアッセイ方法は、現行の方法よりも実施が容易である。これは、上述の通り、より少ない数のステップを含んでなる本発明のアッセイ方法のおかげである。
【0091】
有利なことに、本明細書に記載したアッセイ方法は、現行の方法よりも自動化が容易でありうる。これは、本発明のアッセイ方法が、より少ない数のステップを含んでなり、約37℃でのインキュベーションステップを必要としないためである。このことから、本明細書に記載したアッセイ方法の成分はアッセイ混合物に直接加えて凝固時間/凝固エンドポイントを測定することができる。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明のアッセイ方法は以下のステップ:(a)試験サンプルを用意すること;(b)本発明における活性化混合物を用意すること;(c) 試験サンプルと活性化混合物を一緒に加えること;(d)カルシウム試薬を加えること;(e)凝固時間/凝固エンドポイントを測定すること、を含んでなる。
【0093】
本発明のアッセイを実施するにあたり、タンパク質濃度、インキュベーション時間、試薬濃度および温度を種々変更することができる。具体的なアッセイパラメータの選択は、アッセイするサンプルの入手源、種類および大きさ、試験サンプルに含有される血液凝固因子の予想レベル、および望まれる感度の影響を受ける。こうした状況をふまえた上で、アッセイパラメータの選択は当業者にとって自明であろう。
【0094】
標準および試験サンプルの希釈に用いる媒体は、一般にカルシウムイオンを含有しない緩衝剤、例えば、限定するものではないが、バルビタール、酢酸バルビタール、イミダゾールまたはトリスなどを含有する。
【0095】
緩衝剤は生理学的pHに調整し、生理学的イオン強度を提供するために生理食塩水を添加する。
【0096】
タンパク質濃度が種々異なる物質、例えば血漿に代わる濃縮物を試験する場合、そのような相違をマスキングするために緩衝液に追加のタンパク質を加えてもよい。これとは別に、濃縮物(希釈前)の最初の希釈を、正常血漿サンプルを模倣するよう、血液凝固因子欠乏血漿中で行ってもよい。
【0097】
約37℃の反応温度は、血液凝固因子の活性化および凝固ステップの両方に共通して用いられる。しかしながら、当業者ならば、温度は37℃以外であってもよいことを理解するであろう。すなわち、それより低い温度、例えば30、31、32、33、34、35、または36℃〜37℃より若干高い温度、例えば38、39または40℃では、凝固時間/凝固エンドポイントが影響を受け得るからである。このような影響は、凝固時間を増加または減少させうる。
【0098】
一方で、温度が37℃よりも高いか低いかに関わりなく、アッセイを通して一定の温度を維持することは望ましい。これは、アッセイ中のわずかな変動が、凝固時間/凝固エンドポイントに影響を与えうるからである。
【0099】
様々なデバイス、例えばチューブや反応キュベット、を一般的に本発明のアッセイ方法に用いる。このようなデバイスは、例えばプラスチックまたはガラスで出来ていてもよい。デバイスの組成の重要性はさほど大きくないが、それはアッセイ系における接触活性化が、活性化混合物の添加によって標準化されるからである。
【0100】
好ましくは、機械装置、例えば半自動化または全自動化された機械装置(例えば凝固測定機)で使用するために、デバイスは光学的にレギュラー(regular)であるべきである(Zacharski & Resenstein (1978) Am. J. Clin. Pathol. 70, 280-286)。
【0101】
本明細書に記載のアッセイ方法を実施するにあたり、当業者ならば、用いる希釈率は、適当な変換後、典型的には最も少なくて3つの異なる希釈率から導いた、いくつかの点の間に直線を引くことが出来るように選択するべきであることを理解するであろう。一般に、用量(血液凝固因子濃度)と応答(凝固時間)の両方を対数に変換するか、あるいは用量のみを変換すると、典型的には希釈率のある範囲について結果的に直線が得られる。
【0102】
一般に、試薬を加える順番は重要な要素ではない。しかしながら、安定性の理由から、血液凝固因子試験サンプル、例えば希釈した血液凝固因子試験サンプルで始めない方がよく、活性化混合物、次いで血液凝固因子試験サンプルから始めた方がよい。次いで、カルシウム試薬を、活性化混合物/試験サンプルに加える。
【0103】
試験サンプル
本明細書において用いる「試験サンプル」は、その通常の意味を有する。
【0104】
試験サンプルは、本発明に従ってそのサンプル中の血液凝固因子の量が測定される、任意の物理的実態であってよい。
【0105】
サンプルは哺乳動物であってもよく、または哺乳動物由来であってもよい。好ましくは試験サンプルは、動物もしくはヒトであるか、動物もしくはヒト由来である。最も好ましくは、試験サンプルはヒトであるか、またはヒト由来である。
【0106】
サンプルは、哺乳動物または非哺乳動物発現系における、血液凝固因子をコードする正常または改変されたヒト遺伝子の発現から誘導されたものであってもよく、またはそれ由来であってもよい。
【0107】
サンプルは、組換え生物学的物質が含まれる、生物学的物質であってもよく、またはそれ由来であってもよい。
【0108】
試験サンプルは、血液またはその成分、例えば血漿、例えば静脈もしくは毛細管血漿であってもよく、またはそれ由来であってもよい。
【0109】
好ましくは、試験サンプルを本発明におけるアッセイ方法に使用する前に予熱する。より好ましくは、試験サンプルを約37℃に予熱する。
【0110】
血液は、Langdellら((1953) J. Lab. Clin. Med. 41, 637-647)によって記載された方法に従って調製することができる。簡潔には、血液は静脈穿刺、例えば肘前のまたは頸部の静脈穿刺により取得し、直ちに抗凝固剤、例えばクエン酸ナトリウムまたはシュウ酸ナトリウムと混合する。
【0111】
適切には、血漿サンプルは、アッセイするまで、通常血液サンプルを採った後1時間以内の間、溶けかかっている氷上で保存すべきである。
【0112】
静脈血漿は、HardistyおよびMacpherson ((1962) Thromb. Diath. Haemorrh 7, 215-229)の方法により調製することができる。簡潔にいうと、9倍容積の血液を肘前静脈から3.1%クエン酸三ナトリウム1倍容積へと採血し、少なくとも15分間約2000gで遠心して血小板に乏しい血漿を得る。血漿は-20℃以下で保存することができ、使用直前に解凍することができる。アッセイ用の試験血漿および対照血漿を0.15%クエン酸三ナトリウムを含有するpH 7.35の9倍容積ベロナール緩衝等張生理食塩水(VBIS)で希釈する。さらなる希釈は、クエン酸塩を含まないVBISで行うことができる。
【0113】
毛細管血漿は、HardistyおよびMacpherson((1962) Thromb. Diath. Haemorrh 7, 215-229)の方法によって調製することができる。簡潔にいうと、DormandyおよびHardisty((1961) J. Clin. Path. 14, 543)に記載されているように、自由に流れている毛細管血液0.2mlを0.2%クエン酸三ナトリウムを含有するVBIS 1.8mlに採り、全血液の1:10希釈とし、15分間2000gで遠心して、血小板に乏しい希釈された血漿を得る。VBISでさらに希釈してもよい。低い血液凝固因子濃度が予想される場合、さらに毛細管血液0.2mlを、0.22%クエン酸三ナトリウムを含有するVBIS 0.8mlに採り、全血液の1:5希釈としてもよい。
【0114】
血液凝固因子標準
本明細書において記載したアッセイ方法の別のパラメータは血液凝固因子標準である。一般に、標準は本質的に試験サンプルと類似しているべきである。これは非対応(nonparallelism)のリスクを減少させ、希釈媒体中のタンパク質が及ぼす影響を排除し、少ないばらつきでより再現性のよい結果を与える。
【0115】
血漿標準の1つの調製方法は、Harper & Chauhan((1981) Am. J. Clin. Pathol. 77, 614-618)により記載されている。簡潔にいうと、限られた数(例えば4)の献血からの血漿プールを小さく等分して急速に冷凍し、冷凍または凍結乾燥して保管する。ここで、この標準について1U/mlの暫定的効力(ここで1Uは、正常血漿1ml中に存在する血液凝固因子の量と定義される)を仮定する。次いで、新鮮な血漿サンプルの血液凝固因子含量を、約30〜40の結果が得られるまで標準に対して測定する。これらのサンプルの平均結果は、定義上1U/mlであるので、1U/mlを血漿の見かけ上の平均で割ることにより、標準の真の効力を計算することができる。
【0116】
当業者ならば、これらの方法は今では、国際単位(IU)を定義する濃縮物および血漿中の血液凝固因子(例えば第VIII因子)の国際標準の導入によって取って代わられていることを理解するであろう。
【0117】
血液凝固因子(例えば第VIII因子)の国際標準は世界保健機関により確立されており(Bangham ら (1971) Bull. Wld. Hlth. Org. 45, 337-351)、この時から各種の国際標準が考案されてきた。国際濃縮物標準の異なるバージョンは、中程度、高度および高々度の純度の血漿由来濃縮物からなる。現在のバージョン(第6国際標準)は組換え血液凝固因子である。
【0118】
これらの標準は、National Institute of Biological Standards and Control, London, Potters Bar, UKから取得することが出来る。例えば、第21のイギリス標準第VIII因子血漿(NIBSCコード00/586)を使用することができる。
【0119】
凝固時間/凝固エンドポイント測定
凝固検出には様々な方法を用いることができる。
【0120】
一例として、手動測定については、水槽中の傾斜チューブまたはフックを用いることができる。これとは別に、フィブリン繊維形成の検出、粘度の増大の検出、フィブリン塊によるスチールロッドまたはボールの置換の検出、凝血塊が形成する時の反応混合物の光透過率の減少の検出(光学的機器を用いる)のために、半自動化凝固測定機あるいは光ビームの透過率の変化に基づく他の種類の機器を用いることができる。
【0121】
エンドポイント検出のために、自動化された機械、例えば半または全自動凝固測定機を用いることもできる(Harmsら(1978) Am. J. Clin. Pathol. 70, 560-562)。
【0122】
一般に凝固測定機はより迅速な試験方法を提供する。
【0123】
有利なことに、患者近接試験またはポイントオブケア機器を用いて、凝固時間/凝固エンドポイントを測定することができる。
【0124】
一端凝固時間/凝固エンドポイントを測定または決定したならば、次に試験サンプル中の血液凝固因子の量を決定するために種々の計算および統計解析方法を適用することができることを当業者ならば理解するであろう。
【0125】
好ましくは、用いる方法は、回帰分析に基づいてプログラムされた計算である。というのは、これにより、アッセイの妥当性が立証され、また、例えば手で主観的に引いた用量応答曲線の誤りなどによる偏見のない、より正確な効力の推定が提供されるからである。
【0126】
典型的には、用量応答曲線が、線形性または対応性から逸脱した場合には、アッセイを無効と判断する。このような逸脱の存在は、変動解析により評価することができる。この目的のためには、ランダムなエラーを判別するために各希釈物について複数反復試験をする必要があり、かつ各調製物を少なくとも3つの希釈について試験する必要がある。平行線バイオアッセイを解析するためのコンピュータープログラムは、Williamsら((1975) Brit. J. Haematol. 31, 13-23); Counts & Hays((1979) Am. J. Clin. Pathol. 71, 167-171); Kirkwood & Snape((1980)Clin. Lab. Haematol (1980) 2, 155-167)によって記載されている。
【0127】
キット
さらなる態様において、本発明は、活性化混合物を含有する容器を含んでなる試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定するためのキットに関する。
【0128】
希釈剤を含有するまたは含む追加の容器がキットに含まれてもよい。
【0129】
カルシウム試薬を含有するまたは含む追加の容器がキットに含まれてもよい。
【0130】
血液凝固因子、例えば血液凝固因子標準を含有するまたは含む追加の容器がキットに含まれてもよい。
【0131】
ポイントオブケアおよび患者近接試験
有利には、凝固時間および/または凝固エンドポイントは、一例として、本明細書に記載した改変された活性化混合物を含有する装置の構成部分、例えばカートリッジまたはカセット、に全血液または血漿を加えるポイントオブケア試験装置を用いて測定することができる。
【0132】
研究試験施設に試料を輸送し、処理し、結果を受け取るまでに数時間〜数週間にわたる待ち時間がある従来の試験法と比較して、ポイントオブケア試験は、直ちに結果が得られるという利点をもたらす。
【0133】
ポイントオブケア試験は、迅速に、かつ現場で、例えば医師の診察室で、臨床で、実験室で、例えば病院の臨床実験室で、フィールドで、または他の場所で実施することができる。
【0134】
止血のポイントオブケア試験の総説は、Thrombosis Journal (2003) 1, 1に提示されている。そこに記載されているように、血液凝固時間/凝固エンドポイントを測定するための様々な方法および装置が考案されている。さらに、血液粘弾性および/または血小板機能を評価する他の臨床機器は、フィブリン溶解および血小板機能のさらなる情報を迅速に得られるようにすることが可能である。
【0135】
現在利用できるほとんどの機器は、カートリッジが選択されるかまたは試験管が選択されるかによって、複数凝固試験を実施することができる。このような機器の例を以下にまとめる。
【0136】
Hemochron 自動装置(International Technidyne Corp, USA - ITC) J (Extra Corpor Technol 1999, 31:130-134)は、セライトもしくはカオリンを含有するチューブ、あるいはシリカ、カオリンおよびリン脂質の調製物をあらかじめ充填したカートリッジを用いる2種類の機器を含む。
【0137】
Automated Coagulation Timer II (ACT II)およびHepcon Hemostasis Management System (HMS) (Medtronic Hemotec, USA)は、カオリンまたは頻度は低いものの、セライトを活性化剤として用いて血液凝固を測定する。
【0138】
Rapidpoint Coag 機(Bayer, USA)で行うヘパリン管理試験(HMT)は、振動する磁場に応答して動く常磁性酸化鉄粒子(PIOP)および試験特異的試薬(セライトおよび安定剤)を伴う反応チャンバーを含有する使い捨て可能な試験カードを用いる。
【0139】
i-STAT 分析器(Abbott, USA)は、セライトをあらかじめ充填したカートリッジを用いる全血液に基づく試験用に設計されている。
【0140】
Actalyke Activated Clotting Time (Array Medical, Somerville, NJ)試験システムは、Hemochronシリーズのように、電磁気による凝血塊検出を行う。セライトの他に、このシステムは全ての第XII因子をXIIaに最大限変換するための活性化剤(セライト、カオリンおよびガラスビーズ)の「カクテル」を含有するチューブを用いるACTの新型であるMAX-ACTを実行する。
【0141】
血液凝血塊形成を評価する種々の自動化されたシステムもまた利用可能である(Blood Coag Fibrinol 2001, 12:327-337; Br J Anaesth 1995, 75:771-776)。
【0142】
TEG装置は、二重チャンネル凝固解析機(TegR-Hemoscope, USA)およびTegR解析ソフトウェアを含んでなるベンチトップ機器からなる。TEGは凝血塊形成および溶解の様子をグラフ表示する。
【0143】
ROTEG 解析(Pentapharm, GMBH)は、TEGを用いた伝統的な解析と関連しているもののいくつかの点において異なる回転トロンボエラストグラフィーに基づく。
【0144】
Sonoclot 分析器(Sienco Inc, USA)は、血液凝血塊の粘弾性の変化を測定する。
【0145】
Platelet function Analyzer-100 (PFA-100, DADE Behring, USA)は、コラーゲンおよびエピネフリン、またはコラーゲンおよびアデノシン二リン酸でコートされた合成膜への正確に規定された開口をクエン酸添加された全血液の血小板が塞ぐのに必要な閉塞時間(CT)を測定することにより全血液血小板機能を評価する。
【0146】
本明細書において記載したように、試験サンプル中の血液凝固因子の量は、次いで血液凝固時間/凝固エンドポイントから計算することができる。
【0147】
有利なことに、凝固時間/凝固エンドポイントはまた、患者近接試験を用いても測定することができる。
【0148】
患者近接試験装置の使用は、British Journal of Haematology (2001) 113, 847-852に概説されている。
【0149】
一般に、患者近接試験装置は、塩化カルシウムを伴ったまたは伴わない、試薬(例えば凍結乾燥試薬)を組み入れた小さなカートリッジの中に作られた反応チャンバーに、例えば全血液(一例としてクエン酸添加血液または血漿)を添加することにより、凝血塊形成を検出することのできる小さな持ち運び可能な機器である。
【0150】
本発明においては、このようなカートリッジが改変した活性化混合物を含有し得る。
【0151】
1つのの患者近接試験装置においては、試験物質を、典型的には37℃に予熱済みのカートリッジの反応領域内に加え、試薬を再構成することにより反応を開始する。反応開始から経過した時間を、凝固時間/凝固エンドポイントとして機器が記録し表示する。
【0152】
他の種類の患者近接試験装置においては、反応チャンバー内で常磁性酸化鉄粒子を試薬と混合する。血液の添加が反応を開始させ、電磁石がついたり消えたりする間、反応チャンバー内を常磁性粒子が自由に動き回る。凝血塊が形成すると動きは止まり、これを装置が凝固時間/凝固エンドポイントとして記録する。
【0153】
本明細書において記載したとおり、試験サンプル中の血液凝固因子の量は、次いで血液凝固時間/凝固エンドポイントから計算することができる。
【0154】
他の装置としては、限定するものではないが、Coagucheck (Roche Diagnostics); Protime Microcoagulation System (International Technidyne Corp)などが挙げられる。他の装置は、www.pointofcare.net/vendors/index.htmで記載されている。
【実施例】
【0155】
ここで本発明を実施例によりさらに詳述するが、これらは当業者が本発明を実施する手助けとなるためのものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0156】
実施例1
一段階凝血塊アッセイの確立されている現行法および本発明により改変された方法の比較
低い第VIII因子:C(正常の約25%)を有する試験血漿サンプルを用いて、現行法および改変された方法の直接比較を行った(図1)。この試験サンプルにおける第VIII因子:Cの推定を、第21イギリス標準第VIII因子血漿に対して計算した。
【0157】
材料および方法
アッセイサンプル
参照標準:0.55IU/mlの値を割り当てられた、第21イギリス標準第VIII因子血漿(NIBSCコード00/586)
試験サンプル:約0.25IU/mlの第VIII因子:C含量を与えるための、第VIII因子欠乏血漿で希釈した正常ヒト血漿。冷凍したアリコートとして貯蔵。
【0158】
機器
KC-4凝固測定機(Amelung)
方法
バランスされた設計(12箇所アッセイ)に従って各方法を用いて、2つの独立したアッセイを行った。
【0159】
標準/試験は、各アッセイにおいて二重反復的に標準および試験の両方について3つの希釈物をアッセイした。(標準は1/10、1/30、1/100希釈し、試験は1/3、1/10、1/30希釈した)
i.現行法(KC-4凝固測定機)
第VIII因子欠乏血漿(Organon Teknika/Biomerieux) 0.1 ml

標準/試験 希釈物 0.1 ml

APTT試薬(Instrumentation Laboratory APTT-SP liquid) 0.1 ml
10分間37℃でインキュベート
CaCl2 25mmol/L 0.1ml
凝固時間測定
【0160】
ii. 改変された方法(本発明による)
標準/試験 希釈物 0.1ml(37℃)

プレインキュベートされた第VIII因子欠乏血漿/APTT試薬* 0.2ml(37℃)

CaCl2 25mmol/L 0.1ml(37℃)
凝固時間測定
* 1倍容積の第VIII因子欠乏血漿(Organon Teknika/Biomerieux)を1倍容積のAPTT試薬(IL APTT-SP liquid)とともに37℃で10分間インキュベートする。
【0161】
解析にあたっての留意点
相対的な有効性の推定値は、A. D. Curtis “The Statistical Evaluation of Factor VIII Clotting Assays” in Scand. J. Haematol. supplement (1984) 41, 33 p55-68に記載されているように、対数-用量を対数応答に関連させる平行線バイオアッセイ原理に従って解析した。この解析は、標準および試験サンプルの用量応答関係の類似性(parallelism)に基づいている。全てのアッセイはこの基準を満たした:
【表1】

【0162】
結果
i.現行法
a) 凝固時間(秒)
【表2】

【0163】
b) 相対的効力推定値(IU/ml)
【表3】

【0164】
ii. 改変された方法
a) 凝固時間(秒)
【表4】

【0165】
b) 相対的効力推定値(IU/ml)
【表5】

【0166】
結論
改変された方法を用いて得られた効力の推定値は、現行法を用いて得られた推定値と大きな差はなかった。
【0167】
実施例2
活性化混合物の安定性
Instrumentation Laboratory APTT試薬(APTT-SP)(シリカ活性化剤+リン脂質混合物)を、等容積の第VIII因子欠乏血漿(Organon Teknica)と混合し、10分間37℃でインキュベートした。次いで混合物を4℃または22℃で貯蔵した。
【0168】
凝固時間は、0.2mlのあらかじめ活性化された試薬混合物(37℃に予熱)を0.2mlの第VIII因子/塩化カルシウム混合物(37℃に予熱)と混合した後に測定した。測定は、30分毎に第VIII因子試験サンプルの新鮮なアリコートを用いて行った(第VIII因子の不安定性の影響を避けるため)。
【0169】
結果を図1、および図2に示す。
【0170】
このことから、活性化混合物が少なくとも5時間、4℃および22℃で安定であることが実証された。
【0171】
実施例3
改変された方法の感度
種々の濃度の精製された第VIII因子(1倍容積)でスパイクした第VIII因子欠乏血漿を、実施例1のように調製したあらかじめ活性化されている試薬(2倍容積)および塩化カルシウム(25mmol/l)(1倍容積)と混合し、凝固時間を測定した。
【0172】
全ての試薬を37℃に予熱した。
【0173】
結果を図4に示す。
【0174】
グラフは凝固時間(秒)(縦軸)および第VIII因子欠乏血漿にスパイクされた第VIII因子の濃度(横軸)を示す。
【0175】
本明細書において記載した改変された方法は、NPT/POC装置における使用にも適当である。
【0176】
上記明細書において言及した全ての刊行物を参照により本明細書に組み入れる。本発明の範囲および精神を逸脱することなく、本発明の記載された方法およびシステムの様々な変更および変法は当業者にとって自明であろう。本発明は、具体的で好適な実施形態に関連して記載されたが、特許請求の範囲に記載の発明がこのような具体的な実施形態に制限されるべきではないと理解すべきである。実際に、生物学または関連する分野の当業者にとって明らかな、発明を実施するための記載された形態の様々な改変は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】現行の一段階アッセイ方法と、本発明の改変された一段階アッセイ方法の概要。
【図2】4℃で5時間にわたる活性化混合物の安定性を示すグラフ。
【図3】22℃で5時間にわたる活性化混合物の安定性を示すグラフ。
【図4】第VIII因子欠乏血漿に加えた第VIII因子の用量応答を示すグラフ。グラフは、凝固時間(秒)(縦軸)および第VIII因子欠乏血漿にスパイクした第VIII因子の濃度(横軸)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤およびリン脂質を含んでなる活性化混合物。
【請求項2】
活性化剤が、微粉化シリカである、請求項1に記載の活性化混合物。
【請求項3】
リン脂質が、合成リン脂質である、請求項1に記載の活性化混合物。
【請求項4】
活性化剤およびリン脂質が単一の試薬として提供される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化混合物。
【請求項5】
単一試薬がAPTT試薬である、請求項4に記載の活性化混合物。
【請求項6】
血液凝固因子欠乏基質血漿が、化学的に処理または免疫学的に処理されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性化混合物。
【請求項7】
活性化混合物が4℃および/または22℃で少なくとも5時間安定である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性化混合物。
【請求項8】
血液凝固因子欠乏基質血漿、活性化剤およびリン脂質を一緒に混合するステップを含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物の調製方法。
【請求項9】
活性化剤およびリン脂質を単一の試薬として提供する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
単一の試薬がAPTT試薬である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
試験サンプルに、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物を加えるステップを含んでなる、試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定するアッセイ方法。
【請求項12】
以下のステップ:
(a)試験サンプルを用意すること;
(b)請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物を用意すること;
(c)試験サンプルと活性化混合物を一緒に加えること;
(d)カルシウム試薬を加えること;
(e)凝固時間/凝固エンドポイントを測定すること;
(f)試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定すること、
を含んでなる、請求項11に記載のアッセイ方法。
【請求項13】
ステップ(a)、(b)および(d)のステップに記載の各アッセイ成分を予熱する、請求項11または12に記載のアッセイ方法。
【請求項14】
ステップ(a)、(b)および(d)のステップに記載の各アッセイ成分を、約37℃に予熱する、請求項13に記載のアッセイ方法。
【請求項15】
凝固時間/凝固エンドポイントを、凝固測定機を用いて測定する、請求項11〜14のいずれか1項に記載のアッセイ方法。
【請求項16】
凝固時間/凝固エンドポイントを、ポイントオブケア試験装置および/または患者近接医療機器を用いて測定する、請求項11〜14のいずれか1項に記載のアッセイ方法。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物を含有する第1の容器を含んでなる、試験サンプル中の血液凝固因子の量を測定するためのキット。
【請求項18】
キットが、カルシウム試薬を含有するさらなる容器を含んでいる、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
キットが、血液凝固因子を含有する、さらなる容器を含んでいる、請求項17または請求項18に記載のキット。
【請求項20】
キットが、凝固時間/凝固エンドポイントを測定するためのポイントオブケア試験装置または患者近接医療機器を含んでいる、請求項17〜19のいずれか1項に記載のキット。
【請求項21】
サンプル中の血液凝固因子の量を測定するためのアッセイ方法における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化混合物の使用。
【請求項22】
活性化混合物を予熱する、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
活性化混合物を約37℃に予熱する、請求項22に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503589(P2007−503589A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530516(P2006−530516)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002152
【国際公開番号】WO2004/102202
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505424398)ナショナル インスティテュート フォー バイオロジカル スタンダーズ アンド コントロール(エヌアイビーエスシー) (3)
【Fターム(参考)】