説明

活性炭製造方法と、それによって製造された活性炭細粒及びその使用。

【課題】本発明の基礎をなす課題は、特に細粒又は小球形状の活性炭の効率の良い製造のための方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、少なくとも実質的に炭化によってカーボンに変換可能な出発原料としてのポリマー細粒、特にポリマー小球の形の適当な炭素質ポリマーを炭化することによって、粒状、特に小球状の活性炭を製造する方法において、前記ポリマー細粒、特にポリマー小球は、複数の温度領域且つ/又は温度勾配を具備し、出発原料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成される炭化装置内を連続して移動することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に細粒形状(細粒状カーボン)、小球形状(小球状カーボン)の活性炭の製造方法、及びこれによって製造された活性炭製品及び、特にフィルタのための、例えば防護服のような防護部材のための種々の応用のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は、全く特別でない吸着特性を有し、この理由は、最も広く使用される吸着剤であるからである。法律上の制限と同様に環境に関する責任の上昇する意識が、活性炭の需要を上昇させる。
【0003】
活性炭は、一般的にいぶすこと(「炭化」及び「熱分解」の同義語として参照される)及びそれに続くカーボン化合物の活性化によって製造され、好ましくは開始化合物又は反応物は、いぶす過程における揮発性成分の分離及び活性化過程における焼失における損失重量が顕著であることから、経済的に適当な生産高を得る。活性炭製造に関するさらなる詳細については、例えば非特許文献1を参照。
【0004】
製造された活性炭の構造−微細又は目の粗い多孔性、堅固又は脆い−は、開始材料に依存する。通常の開始材料の例は、ココナッツ殻、木屑、ピート、瀝青炭、ピッチであり、また特別なブラスチック又は例えば織られた活性炭繊維の製品の所定の部分を構成するポリマーである。
【0005】
活性炭は種々の形状で使用される:例えば、粉砕カーボン、裂炭カーボン、細粒カーボン、成形カーボン、また1970年代の終わり以来、小球状の活性炭(小球活性炭)、同様に繊維状の活性炭(活性炭繊維、例えば活性炭繊維織物の形で)である。特に小球状の活性炭は、ある種の応用に関して価値があり又は欠くことのできないものにする粉砕されたもの、裂炭、活性炭細粒等の他の形状の活性炭に比べていくつかの利点を有する。それは、自由に流れること、大きな摩耗抵抗(ダストレス)及び大変固いことである。しかしながら、その高いコストによって、その使用は、本質的に防護服及び空気流における有害物に関する高性能のフィルタに制限される。
【0006】
細粒状カーボン、特に小球状カーボンは、その特殊な形状だけでなくその極端に高い摩耗抵抗のために、例えば化学毒に対する防護服のシートフィルタ及び大量の空気における低い有毒濃度のためのフィルタ等の例えば特殊な分野での使用に関して高い需要を有する。例えば、網状であるとき、大細胞ポリウレタンフォームが、特許文献1に記載されるように活性炭に充填され、例えばもしフォーム材料の内側層の最良の被覆が同様に達成されるべきであるならば、大変自由に流れるカーボンのみが使用可能である。特許文献2における化学毒に対する防護服の製造は、例えば、高い摩耗抵抗カーボンのみを同様に使用することができ、且つ小球状カーボンのみがこの内容に合致する。
【0007】
小球状カーボンは、大変高価で不便な多数段の工程によって製造される。最も公知の工程は、小球を、コールタールピッチ及び石油化学工業からの適当なアスファルト残留物から製造すること及び酸化し(それらを溶解不能にすること)、いぶし且つ活性化することからなる。例えば、小球状カーボンは、多段工程においてビチューメンから製造することができる。これらの多段工程は、大変高価であり、この小球状カーボンの大変高いコストは、多くの適用を阻害しているものの、小球状カーボンはその特質の長所によって好ましいはずである。
【0008】
その結果として、別の方法で高い品質の小球状カーボンを製造する種々の試みがなされている。
【0009】
新しい又は使用済みのスルフォン酸基を含むイオン交換体のいぶし及びそれに続く活性化によって、又はスルフォン酸に曝されたイオン交換先駆物質のいぶし及びそれに続き活性化によって小球状カーボンを製造することは公知であり、前記スルフォン酸基及びスルフォン酸がそれぞれ架橋剤の機能を有し、それによって得られる生産率は、既製のカチオン交換樹脂又は非スルファン化イオン交換先駆物質が開始材料として使用されているかどうかに依存せず、有機の又はポリマーの開始材料に基づいて約30%〜50%である。そのような加工方法は、例えば特許文献3及び特許文献4に記載され、さらに、ドイツ特許出願の特許文献6を含む特許文献5に記載されている。しかし、これらの加工方法は、分離される多量の亜硫酸ガス(最終製品1Kg当たり約1KgのSO)のため及び(部分的に)それによる製造装置における腐食の問題のために不利益と問題点を有する。使用済みのイオン交換樹脂、特に使用済みのカチオン交換樹脂が、開始材料として使用される場合、それらが酸で洗浄されるが、最終製品に蓄積されるカチオンで汚染されるという問題があり、その結果として一貫した品質における小球状カーボンの大量生産は非常に難しい。イオン交換先駆物質、例えばスルフォン酸基のような交換基なしのポリマー小球が使用される場合、いぶし作業の間に架橋するための大量のスルフォン酸及び/若しくは発煙硫酸を使用することが付加的に必要である。
【0010】
特許文献7は、活性炭の小球を製造する方法を記載する。そこでは、ジイソシアネート製品からの蒸留残留物及び炭化加工補助剤又は1種類の添加剤又は複数の添加剤からなる添加剤からなる混合物が易流動性小球に加工され、その後いぶされて活性化させる。この加工方法は、いぶし段階において、大きな量の分解生成物を分離し、同様に上述した問題が生じる。
【0011】
特許文献8は、スチレン及びジビニルベンゼンに基づき、熱分解時に遊離基を生じ、これによって架橋結合する特にするフォン酸基である化学基を含有するポリマー小球をいぶし且つ活性化することによって小球状の活性炭を製造する方法を開示する。そこでは、ポリマー小球は、最初に連続した予備いぶしがなされ、続いて不連続の主いぶし及び活性化がなされる。予備いぶし(例えば、予備炭化)及び主いぶし(主炭化)としてのいぶし/炭化の2段の制御は、実際に適切な装置によって課せられた制限の結果として、通常達成可能ではない。
【非特許文献1】H.v. Kienle and E. Baeder, Aktivhohle und ihre industielle Anwendung [Activated Carbon and Its Industrial Use], Enke Verlag Stuttgart, 1980
【特許文献1】DE 38 13 563 A1
【特許文献2】DE 33 04 349 C3
【特許文献3】DE 43 28 219 A1
【特許文献4】DE 43 04 026 A1
【特許文献5】DE 196 00 237 A1
【特許文献6】DE 196 25 069 A1
【特許文献7】WO 98/07655 A1
【特許文献8】WO 01/83368 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の基礎をなす課題は、特に細粒又は小球形状の活性炭の効率の良い製造のための方法を提供することにある。その方法は、不便さが少なく、特に大変経済的な方法で活性炭の製造を可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基礎をなす課題が、細粒状、特に小球状の活性炭を製造する方法において、少なくとも実質的にカーボンへの炭化によって変換可能である開始材料としての適当な炭素質ポリマー(例えば、有機ポリマー)から開始する時に解決されること、炭化段階が、前記開始材料が少なくとも実質的に完全に(元素状態で存在する)カーボンに変換されることが達成されるような複数の温度領域(例えば、反応領域)又は温度勾配を有する炭化装置に、前記開始材料を連続して移動させることによって達成されることを、本出願人は見出した。
【0014】
これによって、本発明は、請求項1に係る方法を提供する。
【0015】
したがって、本発明の基本的原理は、提案されたように、この目的のための複数の温度領域又は温度勾配を具備しなければならないまさに一つの装置において、異なる温度で実行されるその種々の加工段階又は部分を有する全体的な炭化制御を実行することにある。これは、例えば所定の遮断なしに、特に装置が異なることなしに連続した炭化制御を実行することを可能にし、重要でない簡略化なしに且つ加工制御の向上によって、経済的な節約を助長するものである。
【0016】
一方で温度領域又は温度勾配、他方で開始材料が炭化装置を移動する速度が選択され、特にお互いに適合させることで、炭化可能な開始材料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成される。開始材料が炭化装置内を移動する速度と協働する温度領域又は温度勾配の構成の配置及び選択は、本願発明の加工手順を特別に制御する又は左右する手段を構成する。
【0017】
一般的に、本発明に係る開始材料の運搬は、開始材料が、搬送手段又は運搬手段によって、特に移動搬送又は運板ベルトによって炭化装置の温度領域及び/若しくは温度勾配を連続して移動することにおいて達成され、これによって開始材料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成される。運搬ベルトの速度は、温度領域又は温度勾配の温度特性に適合させなければならなし、逆もまた同じである。
【0018】
本願発明の方法を実行するために使用される炭化装置は、例えば、連続した回転チューブ又は連続した回転チューブオーブンであり;ここで、例えば炭化開始材料である変換材料が、例えばスクリューコンベアである適当な推進力体のような適当な搬送又は運搬手段によって、前記回転チューブを介して又は回転チューブオーブンを介して運搬又は搬送される。前記回転チューブ又は回転チューブオーブンの傾斜を介して前記変換材料を搬送又は運板することが同様に可能である。また、前記回転チューブ又は回転チューブオーブンを介して前記変換材料を搬送又は運搬するために上述した方法の結合を提供することも可能である。
【0019】
いわゆるベルトオーブン、特にいわゆる酸化するためのベルトオーブン(酸化ベルトオーブン)は、本発明の方法を実行するための特に適当な炭化装置である。そのようなシステムは、種々の会社、例えばドイツのSarnes Ingenieure of Ostfildernによって販売されており、一般的に一方で搬送/運搬ベルト及び他方でオーブン/加熱装置の結合されたユニットからなり、オーブン又は加熱手段において処理される材料は、反す/運搬ベルトを介してオーブン又は加熱手段の内部を通過して搬送又は運搬可能である。
【0020】
活性炭の特許性のある製品のための有益な開始材料は、いぶし可能又は炭化可能なポリマー、例えば熱分解又は炭化によって少なくとも実質的に原子状態のカーボンに変換可能な炭素質ポリマーである。
【0021】
ポリマー開始材料の形状は、一般的に少なくとも本質的に又は実質的に炭化制御において維持されるが、その後の活性化の有無にかかわらず、粒子の大きさ又は粒子直径において減少を生じさせる。この結果として、細粒形状において、特に小球形状において、活性炭を製造するために、例えば細粒状又は球形状のポリマーであるポリマー細粒又は小球が、開始材料として使用されなければならない(本発明に使用されるポリマー細粒又は小球は、一般的に約2mmまでの直径、特に約1.5mm以下の直径を有する)。同様に、得られた細粒状又は小球状カーボンの粒子サイズは、開始材料における細粒又は小球のサイズに依存する。一般的に、商業的に適当な開始材料は、直径において約0.1mm〜約2.0mmの範囲内、特には、約0.2mm〜約1.0mmの範囲内、好ましくは約0.3mm〜約0.8mmの範囲内で、約0.4mm〜約0.6mmの平均値を有する活性炭細粒又は小球を生じる。
【0022】
ポリマー開始材料は、例えば多孔質、マクロ多孔質、及び/若しくはゲル状であることが好ましい。ゲル状開始材料の場合、ミクロ細孔のポリマー粒子を使用することが望ましい。さらに、マクロ細孔の又はミクロ細孔のゲル状開始材料を使用することが望ましい。ポリマー開始材料の形状は、一般的に少なくとも本質的又は実質的に炭化制御において維持され、いぶされ/炭化される製品の特質、特に形態(例えば、多孔性)が、開始材料の特別な選択を介して制御され又は左右される。例えば、開始材料の多孔性は、いぶされ/炭化された製品の多孔性を決定する。
【0023】
有益な開始材料は、例えば本質的にポリスチレンからなるポリマー骨格を有する有機ポリマー細粒又は小球を含んでおり、この場合、ポリスチレン鎖は、分子当たり少なくとも2つのビニル基を有する成分、特にジビニルベンゼンによって局所連結又は架橋結合され、且つ前記ポリマー骨格は、熱分解されるときに、遊離基を生じ、且つこれによる架橋結合を生じる特にスルフォン酸基である官能化学基を含むことが望ましい。さらに特別には、細粒状又は小球状活性炭の特許的製造に使用される開始材料は、熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによる架橋結合を生じる官能化学基、特にスルフォン酸基のような酸性基を含むジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づく有機ポリマー細粒又は小球からなり、前記ジビニルベンゼン含有量は、ポリマー小球を基礎として、その重量で約20%まで、特には約15%まで、好ましくは10%までであることが望ましい。しかしながら、ジビニルベンゼンの代わりに、前記ポリスチレンは、同等の有機物、特に架橋結合ポリスチレンに関して適当である分子当たり少なくとも2つの架橋結合基、特にビニル基を有する芳香族有機化合物を使用して架橋結合されることが好ましい。
【0024】
熱分解時に遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる化学基に対するポリマーの重量比、特にスルフォン酸基に対するポリマーの重量比は、広い範囲で変化することができる。一般的に、約5:1〜約1:1の範囲内であり、特には約2:1〜約1:1の範囲内であることが有益である。それでもなお、上述した値から外れる可能性がある。
【0025】
本発明に係る方法の第1の具体例において、架橋結合を生じる化学基は、特にスルフォン酸基のような強酸基は、開始材料に置いて既に存在する。
【0026】
炭化又は熱分解の過程で架橋結合を生じる化学的官能基、特にスルフォン酸基が、実際の開始材料に既に存在するポリマー開始材料の限定されない例は、スルフォン酸基を有するカチオン交換樹脂のようなイオン交換樹脂、特に強酸カチオン交換樹脂である。このイオン交換樹脂は、未使用のイオン交換樹脂であることが望ましいが、使用済みのイオン交換樹脂であっても良い。使用済みのカチオン交換体の場合、これらは、触媒の金属含浸物としての最終製品に存在する金属イオンで汚染される。使用され又は消費されたイオン交換体が開始材料として使用された場合、本発明は、同様に使用され又は消費されたイオン交換を処理する方法に関係する。これは、本願発明の方法が、処理される使用済みのイオン交換体を、環境的毒を吸収するその能力の美点によって環境保護に貢献する有益な製品−例えば、活性炭−に変換することができるからである。
【0027】
炭化又は熱分解時に架橋結合を生じる化学的官能基、特にスルフォン酸基が実際の開始材料に既に存在するポリマー開始材料のさらなる例は、酸性有機触媒、例えばビスフェノール合成又はMTBE(メチル−t−ブチルエーテル)合成のための触媒、好ましくはスルフォン酸基を含む有機触媒である。特に多孔性又はゲル状である上述した種類の酸性有機触媒であることが望ましい。これは、例えばMTBE又はビスフェノール合成において生じる非活性化酸性有機触媒が、細粒状又は小球状カーボンの製造に関して良好な開始材料であることを出願人が見出したからである。ビスフェノール又はMTBE合成反応体から生じる細粒状又は小球状の触媒材料は、−もし適切ならば、洗浄及び乾燥の後−いぶされ/炭化され、さらに適切ならば、本発明に係る活性化がなされる。ビスフェノール工程からの触媒の場合、まだ付着しているフェノールは、炭化又は熱分解において破壊され、且つ/又は主炭化段階において燃焼される。有機触媒の場合の活性炭細粒又は小球の生産性は、カチオン交換体の場合に得られるそれと同様である。しかしながら、使用済みイオン交換体とは異なり、使用ずみ有機触媒では、カーボンに蓄積されるカチオンの問題を考慮する必要がない。本発明によれば、廃棄物として生じるMTBE合成からの又はフェノール及びアセトンからのビスフェノールの合成からの使用済み又は消耗した酸性有機触媒は、容易に開始材料として使用され且つこの方法において処理されることが可能である。特にMTBE工程から又はビスフェノール工程からのスチレン又はジビニルベンゼンを基礎とする消費され又は非活性化された酸性ポリマー有機触媒が開始材料として使用されるとき、本発明は同様に、使用済みの触媒又は不活性になった触媒を処理するための方法に関する。本発明の方法は、廃棄物を、環境的毒を吸収するその能力の美点によって環境保護に貢献する有益な製品−例えば、活性炭−に変換することができるからである。
【0028】
たとえ化学基、特に架橋結合を生じるスルフォン酸基のような強酸基が開始材料にすでに存在するとしても、炭化の前及び/若しくは間において、開始材料、特にイオン交換樹脂又は酸性有機触媒が、好ましくはSO、より好ましくはスフフォン酸及び/若しくは発煙硫酸の形のスルフォン化剤に、開始材料の乾燥重量に基づいて、約1重量%〜約30重量%のSOの量で、好ましくは約5重量%〜約25重量%のSOの量で、接触することが望ましい。これは付加的に炭化において形成される遊離基の数を上昇させ、ポリマーにおける上昇した架橋結合を生じるので、最終的により安定し又はよりコンパクトであり、より摩耗抵抗が高いカーボン細粒又はカーボン小球の形の最終製品を結果として生じ、特に活性炭の生産性を向上させるものである。最終製品又は活性炭の生産性の向上と同時に、結果として炭化の時間を明らかに短くすることができる。これは、出願人が見出したように、活性炭の生産性が、開始材料の酸含有量又はスルフォン酸基含有量を多くすることで向上するからである。例えば、低い酸含有量を有する開始材料、特にイオン交換体又は触媒は、生産性を改善するために、所定の発煙硫酸及び/若しくはスルフォン酸と混合される。例えば、通常、開始材料におけるポリマー分画に基づく約1重量%〜約30重量%の束縛又は自由SOで十分である。スルフォン化による付加的なスルフォン酸基の導入は、炭化装置外の独立した加工段階として(連続又は非連続のいずれかで)又は利益的に炭化装置自身内部において特に下記するものとしてのいずれかで実行される。これは、まさに全体的な炭化制御が、一つの装置内で連続して実行されるのではなく、付加的なスルフォン化が、炭化制御の上流側の加工段階として同一装置内で実行されるという決定的な利点を提供する。
【0029】
本発明に係る方法の選択可能なさらなる実施例において、熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる化学基、特にスルフォン酸基のような強酸基は、炭化制御の前及び/若しくは間、前記開始材料に導入される。これは、例えばポリマー開始材料をスルフォン化することによって、好ましくはスルフォン化剤、特にSOを、発煙硫酸及び/若しくはスルフォン酸の形で、特にスルフォン酸に混合された発煙硫酸の形で付加することによって行われる。非スルフォン化開始材料は、例えばポリマー細粒又は小球を前記スルフォン化剤、特に発煙硫酸及び/若しくはスルフォン酸に混合することによって、上述したスルフォン化剤に接触する。このために、ポリマー開始材料が、開始材料の後流側におかれる「乾燥場所/領域」(例えば、開始材料の非湿潤場所又は領域)なしにスルフォン化剤と均等に且つ完全に接触又は混合することを確保するように取り計らうべきである。これは、上昇する温度下において最終的に開始材料のスルフォン化を生じる均等なおかゆ状の「湿潤混合」を生産するために、超過したスルフォン化剤を使用することによって確保される。しかし、非スルフォン化ポリマー開始材料(特にポリマー細粒又は小球の形の開始材料であって、好ましくはジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づくもの)が、炭化装置への導入以前に、スルフォン化剤を有するポリマー開始材料又はポリマー細粒又は小球の少なくとも実質的に完全な湿潤が確保されるようなスルフォン化剤と接触することが好ましい。これは、非スルフォン化ポリマー開始材料を、適当な混合手段において、強力に混合すること又は単に混合することによって、スルフォン化剤と接触させることによって利益的に達成され、これによってポリマー開始材料の少なくとも実質的に完全な湿潤が、スルフォン化されるポリマー開始材料及びスルフォン化剤が適当な方法において(例えば独立した供給経路を介して)供給される二軸スクリュー押出機において実行される。この特別な具体例は、スルフォン化剤を有するポリマー開始材料の均等で均一で本質的に完全な湿潤が達成されるという利点を有し、一方で、好ましい混合比、特にスルフォン化剤の相対的に低い量が、強力な混合による利点によって使用可能である。言い換えると、スルフォン化剤の(大きな)超過は、使用される必要がない。スルフォン化剤をスルフォン化されるべきポリマー開始材料に強力に混合することを確保するために混合手段を使用する上述した特別な具体例は、さらに、高い処理料が達成されるので、加工手順に関して好ましい相対的に短い滞在時間を提供する。非スルフォン化ポリマー開始材料のスルフォン化剤への接触は、室温(約20℃)と融点より低い温度又はポリマー開始材料の溶解範囲の間の温度範囲、好ましくは約20℃〜100℃又は150℃の範囲、好ましくは室温で実行されることが望ましい。有益なスルフォン化剤は、特にスルフォン酸、発煙硫酸及びスルフォン酸/発煙硫酸混合物を含に、使用されるスルフォン酸は、好ましくは濃縮スルフォン酸であり、より好ましくは90%〜100%のスルフォン酸であり、さらに好ましくは発煙硫酸との混合物である(発煙硫酸は、異なる量の三酸化硫黄SOを含有する濃縮スルフォン酸の特別な形であり、例えば20%の発煙硫酸は、20%の三酸化硫黄を含有する)。一般的に、スルフォン化剤(特に濃縮スルフォン酸及び/若しくは発煙硫酸)は、スルフォン化されるべきポリマー開始材料に関して、ポリマー開始材料に対するスルフォン化剤の重量に基づく比率において、0.2:1〜2:1の範囲で、特に0.4:1〜1.5:1の範囲で使用される。
【0030】
非スルフォン化開始材料は、特に発煙硫酸を使用して適切にスルフォン化される。この場合、ポリマー/20%発煙硫酸の重量比は、例えば約1:1まで又はそれ以上である。また発煙硫酸−スルフォン酸混合物を使用してスルフォン化される場合には、ポリマー/20%発煙硫酸/スルフォン酸の重量比は、例えば1:1:0.5である。
【0031】
スルフォン化自体は、炭化装置外(連続的又は非連続的のいずれかで)、又は炭化装置自体において独立した加工段階として、特に以下に記載されるように実行される。この可能性は、単に全体的な炭化制御が一つの装置内において連続的に実行されるだけではなく、非スルフォン化開始材料又は低いスルフォン酸基含有物を有する開始材料の場合、スルフォン化が、炭化制御の上流側の加工段階として同じ装置において提供されるという決定的な利点を提供する。
【0032】
熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによる架橋結合を生じる化学基(例えばスルフォン酸基のような強酸基)が炭化前及び/若しくは炭化の間前記開始材料に導入される開始材料を使用する第2の具体例は、より低いコストの材料を使用するという第1の具体例を超えた利点を提供する。
【0033】
第2の具体例に従い、熱分解時に遊離基を生じ且つこれによる架橋結合を生じる化学基((例えばスルフォン酸基のような強酸基)が炭化前及び/若しくは炭化の間前記開始材料に導入されるという本願発明に係る適当な開始材料の例は、例えば、スチレン及びジビニルベンゼンに基づくポリマー細粒、特にポリマー小球であり、例えば上述したようなイオン交換樹脂の先駆物質である。原則としてイオン交換樹脂の先駆物質は、ゲル状又はマクロ多孔性である。後者は、主にそれらの著しく高いジビニルベンゼン含有物のために大変高価である。それらの多数の間孔は、活性炭への変換の間十分に保護される。これはいくつかの応用にとって重要である。これに対して、ゲルタイプは、明らかにマイクロ多孔性のカーボンとなる。細孔の量は、マイクロ細孔として90%〜95%まで存在する。前記ゲルタイプは、通常約2%〜約8%のジビニルベンゼンを含有する。しかしながら、低いレベルのジビニルベンゼン(約2%〜4%のジビニルベンゼン)を有するほんの少し架橋結合されたものでさえ、酸において厳しい膨張が残存するので、破裂したり半球に分裂したりすることがない。大変低いジビニルベンゼン含有量を有するものは、本発明の目的に大変適当であることが明らかになった。最も重要な様相は、スルフォン酸基の分解が、生産性に影響する架橋結合を生じる遊離基を生じるので、スルフォン化ができるかぎり完遂されなければならないことである。マクロ多孔性だけでなくゲルタイプもまた、カチオン交換体から開始される時に使用され、その選択はより経済的な問題となると共に、ゲルタイプは、イオン交換体の前駆物質(純ポリマー)が使用されるときが望ましい。この理由は下記するものである。マクロ多孔性の前駆物質は、1枚の吸い取り紙のようにそれらの多数の細孔に多量の酸又は発煙硫酸を吸着するので、ポリマー及び酸の混合物は、乾燥し又は砂状であり、酸の均一な分布はほとんど達成されない。しかしながら、それを除けば、カチオン交換体の炭化及び活性化は、前駆物質又は酸から開始したときと同等の製品を得ることができる。
【0034】
本発明の方法を実行するために、本発明の好ましい具体例は、炭化装置が、少なくとも下記する状態の下記する温度領域からなることを特徴とする。
a) 第1の温度領域(スルフォン化領域)であって、前記開始材料が熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる基、特にスルフォン酸基のような強酸基を有しない場合、又は上述した基が開始材料に付加的に導入される場合、特にスルフォン化によってこれらの基が開始材料に導入される場合に選択される温度領域;
b) 第2の温度領域(予備炭化領域又は酸性ガスの領域)であって、好ましくは第1の温度領域よりも高い平均温度を有し、該第2の温度領域において熱分解されるときに、前記基が、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる特にスルフォン酸基のような強酸基が、前記開始材料から分裂によって分離されるので、開始材料の炭化及び/若しくは熱分解が確保され、好ましくはポリマーの架橋結合及び/若しくはカーボンの形成が付随するもの;及び
c) 第3の温度領域(主炭化領域)であって、好ましくは第2の温度領域よりも高い平均温度を有し、該第3の温度領域において、第2の温度領域の結果として生じる前記開始材料のさらなる炭化が実行され、これによって前記開始材料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成されるもの。
【0035】
このように、本発明の方法は、全体的ないぶし又は炭化制御、例えば、予備炭化プラス主炭化、もし適切ならば、付加的に先に行われるスルフォン化制御は、一つの装置において連続して操作される。
【0036】
上述したように、第1の温度領域(a)は、開始材料が、熱分解時に遊離基を生じ且つこれによる架橋結合を生じるスルフォン酸基のような強酸基である基を含有しない場合、又はそのような基が開始材料に付加的導入される場合に関して、特にスルフォン化によって開始材料へのこれらの基の導入又は付加的な導入のために設けられる。これは、この領域が「スルフォン化領域」として参照される理由である。スルフォン化は、既に記載したように簡便な方法で達成される。一般的に、第1の温度領域は、この目的のために、50℃〜200℃の範囲内の温度で、特に75℃〜175℃の範囲内の温度で、好ましくは100℃〜150℃の範囲内の温度で制御される。しかしながら、この温度領域は、選択的であり、例えば、もし熱分解時に遊離基を生じ且つ架橋結合を生じる十分な含有量の基を有する開始材料、特にスルフォン化された開始材料(例えば、スルフォン酸基を有する強酸カチオン交換体)が使用される場合、又はスルフォン化が上流段階で独立して実行される場合には、免除される。利益的には、非スルフォン化ポリマー開始材料が使用される時には、この開始材料は、スルフォン化領域に導入される以前にスルフォン化剤と接触し、これによって、スルフォン化剤を有するポリマー開始材料又はポリマー細粒若しくは小球の少なくとも実質的に完全な湿潤が確保される。これに関する酸なる詳細については、上述した内容を参照。
【0037】
2つの連続する温度領域(b)及び(c)は、スルフォン化された開始材料の炭化を、例えば2つの段階、いわゆる予備炭化(b)(第2の温度領域又は「予備炭化領域」)及び主炭化(c)(第3の温度領域又は「主炭化領域」において達成する。第2の温度領域における予備炭化(b)は、開始材料の所定の分解を介して、酸性ガス(主にSO、同様に少量のSO、HSO、及び他の酸性ガス)を放出するので、この領域は、また「酸性ガス領域」として参照される。これに対して、第3の温度領域又は主炭化領域(c)は、酸性ガスを放出しないが、主に一酸化カーボン及び二酸化カーボンのようなカーボン酸化物、炭化水素、水素及び水を放出する。
【0038】
第2及び第3の温度領域(b)及び(c)が制御される温度は、広い範囲で変化する。例えば、第2の温度領域(b)は、100℃〜500℃の範囲、特には150℃〜450℃の範囲の温度で制御される。第3の温度領域(c)は、例えば400℃以上の温度、特には450℃〜500℃以上の温度で、例えば400℃から1200℃の範囲内の温度で、特には450℃〜1000℃の範囲内の温度で、好ましくは500℃〜900℃の範囲内の温度で、さらに好ましくは、550℃〜850℃の範囲の温度で制御される。
【0039】
「炭化」又は「熱分解」の同義語によって参照され、且つ本発明の予備炭化(b)(第2の温度領域)及び主炭化(c)(第3の温度領域)の場合にある)いぶしは、炭素質の開始材料をカーボンに変換する。言い換えると、開始材料はカーボン化又は炭化される。特にSO2のような揮発成分を分離又は放出するいぶし又は炭化は、熱分解残留物(カーボン)なしの状態で言及された架橋結合を達成する遊離基を形成するために、官能化学基、特にスルフォン酸基を破壊する。一般的に、熱分解又は炭化は、不活性雰囲気(例えば窒素)の下又はほとんど酸化するものがない雰囲気で実行される。特に不活性雰囲気での炭化制御が比較的高温(例えば、約500℃〜650℃の範囲で)実行されるならば、少量の酸素、特に空気(例えば1%〜5%)の形で混合されることは、同様の利点を有し、炭化ポリマー構造の酸化が達成され、それによって活性化が容易となる。
【0040】
個々の温度領域は、分離され又は独立して制御可能である。ここの温度領域は、各々に引き取り手段を割り当てられ、この場合において、個々の温度領域が分離され又は独立した引き取り手段に割り当てあられることが好ましく、これによって異なる温度領域からのプロセスガスが、分離され、又は分離されて収集される(例えば、酸性過去ガスの分離収集である)。これは、例えば酸性又は腐食段階(SO放出を行う予備炭化)を、高温段階(主炭化)から分離することを可能にする。これは、出願人が予備いぶし/予備炭化された開始材料が、温度がさらに上昇する時に、いかなる酸性又は腐食物も放出しないことを見いだしたからである。
【0041】
個々の連続した温度領域の間及び/若しくは個々の温度領域内、好ましくは少なくとも第2の温度領域と第3の温度領域の間に、少なくとも一つのロック(例えば、スルースゲート又は移動カナル)を有する炭化装置を提供することが同様に望ましく、これによって、少なくとも一つのロックが配置されるところで、異なる温度領域からのプロセスガスの少なくとも本質的な混合が存在しない。これは、第2の温度領域からの酸性プロセスガス(特に、SO)が、例えば他のプロセスガスと混合せず且つ独立して収集されることを確実にすることができ、適当ならば、その後のリサイクル工程で処理又は再加工することができる。例えば、特に予備炭化の間に連続して放出されるSOは、特に触媒による酸化によってSOに再生され、さらに、スルフォン酸及び/若しくは発煙硫酸に変換される。1つ又はそれ以上のロックの存在は、ガスが個々の温度領域に特別に付加されること(例えば少量の酸素の付加である)、又は所定の温度若しくは反応領域又は温度若しくは反応領域の一部で所定のガス混合物を維持すること(例えば、予備炭化領域の一部の不活性雰囲気及び主炭化領域の一部の少量酸化雰囲気)を可能にする。
【0042】
有益なプロセス管理に関して、個々の温度領域の間及び個々の温度領域内において連続的な温度推移を設け、大きな温度差(例えば、「温度跳躍」)をさけることが望ましい。これは、特に開始材料の破裂又は粉砕が、温度跳躍が大きい場合に生じることを避けられるので、特に高品質の製品を得ることを可能にする。それ故に、有益なプロセス管理が、個々の温度領域又は反応領域内に温度勾配を設けることは同様に有益であり、これによって、次の温度又は反応領域への移行は、例えば急激な変化無しに、少なくとも本質的に連続するものである。
【0043】
プロセス制御は、個々の温度領域における温度特性及び/若しくは温度勾配の温度特性を設定することによって、且つ/又は温度領域を移動する開始材料の速度及び/若しくは炭化装置の温度勾配を設定することによって、明確に制御される。
【0044】
炭化装置における開始材料の合計滞在時間は、重大なものではなく、広い範囲で変化することができる。それは、一般的に0.1時間〜5時間の範囲であり、特には0.25時間〜4時間の範囲であり、好ましくは0.5時間〜3時間の範囲である。
【0045】
一般的に炭化は、いぶされ/炭化された材料の活性化が後に続く。一般的に、この活性化は、それ自体公知の条件下で達成される。
【0046】
活性化の基本的原理は、適当な条件下で選択的に且つ特別にディグレイドされた炭化の過程において生じる一部のカーボンに関する。これは、多数の細孔、亀裂及びひびを生じ、単位質量の表面積が著しく増大する。これによって、活性化は、カーボンの特定の完全燃焼を生じる。カーボンは、活性化の過程でディグレイドされるので、この制御は、著しく且つ最適な条件下で、多孔性における増大及び内部表面積(細孔量)における増大と均等である物質の損失を伴う。それ故に、活性化は、選択的又は制御された酸化条件下において達成される。通例の活性化ガスは、一般的に、酸素、特に空気の形での酸素、水蒸気及び/若しくは二酸化カーボン、及びこれらの活性化ガスの混合気である。選択的でなく全表面にわたって反応する酸素には(カーボンがより多く又はより少ない範囲で燃焼する結果として)危険があるので、水蒸気又は二酸化カーボンが好ましい。最も特別な引例は、適当ならば不活性ガス(例えば、窒素)を混合した水蒸気を開示する。工業的に適切な反応率を達成するために、活性化は、一般的に約700℃〜約1200℃の範囲の温度で、特には、約800℃から約1110℃の範囲の温度で、好ましくは約850℃〜約1000℃の温度で、さらに好ましくは約900℃〜約975℃の範囲の温度で実行される。活性化の時間は、広い範囲で変化することができる。例えば、約0.5時間〜約6時間の範囲内、特には約1.5時間〜約5時間、好ましくは約2時間〜3.5時間である。
【0047】
この発明によれば、活性化は、特に水蒸気と窒素の混合気で、特に約850℃〜約960℃の範囲の温度で、好ましくは910℃〜930℃の温度で実行される。その滞在時間は、約0.5時間〜20時間、特には約2時間〜約15時間、好ましくは5時間〜10時間の範囲である。
【0048】
前記活性化は、原則として、炭化装置において実行される。しかしながら、一般的に活性化は、異なる装置で、特に炭化とは別の場所及び時間で実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例】
【0050】
図1は、本願発明の特別な実施例に係る特許性のある方法に関する典型的な装置の概略を示すものである。いぶされ又は炭化される開始材料4a、例えばジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づくポリマー小球、言い換えると非スルフォン化開始材料は、図中に示す1において提供される。前記非スルフォン化開始材料4aは、適当なスルフォン化剤、特に三酸化硫黄と、好ましくは発煙硫酸―スルフォン酸混合物の形で接触し、その後適当な搬送又は運搬手段、特に移動する搬送又は運搬ベルト上で炭化装置2、特にはベルトオーブン中を、r方向に連続して移動する専用の反応容器5に分配されて入れられる。前記炭化装置は、図示された実施例の場合、それぞれがロック7a,7bによってお互いに分離された3つの温度領域からなり、これによってロック7a,7bが配置された間の異なる温度領域からのプロセスガスの混合が実行されず、特に第2の温度領域からの酸性プロセスガスが、他のプロセスガスと混合されず、独立して収集される。スルフォン化剤と接触した開始材料4bは、炭化装置2の第1の温度領域においてまず最初にスルフォン化され、それに続いて、スルフォン酸基が開始材料から分離され又は分裂される過程である予備炭化のための第2の温度領域に導かれ、これによって、炭化は、形成された遊離基の架橋結合の後に生じる。最後に、このように予備炭化された材料4cは、搬送又は運搬手段6を介して炭化された製品4dを形成するために最終的に炭化を行う第3の温度領域に搬送される。これは、球状の炭化され且つ活性化されたカーボンを得るために活性化処理部3に送られる。
【0051】
さらに本発明は、本発明に方法によって製造され又は産出される製品、いわゆる細粒状又は小球状の活性炭を提供する。開始ポリマーが連続して、いわゆるとぎれずに、予備炭化された中間製品が冷却されることなしに、炭化が実行されるプロセスの連続した制御が、改善された特性を有し、特に改善された機械的且つ吸着特性を有する活性炭を与える。これは、出願人が、従来技術のように、予備炭化及び主炭化の間の分離、特に介在される冷却を有する予備炭化製品の遮断を有する炭化の場合の
不連続な制御が、最終製品に関して有害であることを見いだした理由である。
【0052】
上述したように、得られた細粒状又は小球状カーボンの粒子サイズは、開始材料に依存する。一般的に、商業的に適当な開始材料は、約2mmまでの直径、特に1.5mm以下、たとえば約0.1mm〜約1mmの範囲内、特には約0.2mm〜0.8mmの範囲内の直径を有し、約0.4mm〜約0.5mmの範囲内の平均値を有する活性炭細粒又は小球を生じる。開始材料の小球形状は、炭化及び活性化の間保持される。言い換えると、開始材料の形状は、所定の方法において最終製品の粒子サイズを制御及び決定することができる。このように製造された活性炭細粒又は小球の直径は、開始ポリマーの直径よりも小さい約0.1mmであり、これによって小球状カーボンの直径は、開始材料の適切な選択によって制御される。約0.4mm〜約0.6mmの範囲内の平均値を有する約0.2mm〜約1.0mmの範囲、特に約0.3mm〜約0.8mmの範囲の球直径が、たくさんの応用に関して特に有益である。
【0053】
前記活性化は、約800m/g〜約1500m/gの範囲、好ましくは約900m/g〜約1200m/gの範囲の内部表面積を得ることができる。個々の活性炭細粒又は小球の破壊圧力は、一般的に約5N〜20Nの範囲内である。本体重量(かさ密度)は、約400g/l〜約800g/lの範囲内、好ましくは約500g/l〜約750g/lの範囲内である。
【0054】
本発明によって得られる細粒状又は小球状カーボンは、たいへん良い腐食抵抗、易流動性、ダストレス及び高い圧力抵抗を有する。本発明は同様に、本発明の方法によって製造される高い強度、特に浮力抵抗強度の活性炭細粒又は小球を提供する。
【0055】
小球状カーボンの活性は、ほとんどの吸着されるべき分子が、この寸法の大きさであることから、活性炭における細孔によって、特に約20オングストロームの直径を有するマイクロ細孔によって重要に決定される。一般的に、マイクロ細孔は、活性炭の内部表面積の主な分画の原因である。さらに、約20〜約500オングストロームの範囲の直径を有するいわゆる間孔−場合によって、過渡的又は誘導細孔−は重要である。さらにまた、まだ大きなマクロ細孔の分画がある。最終製品の特性は、開始材料の選択及び活性化段階のためのプロセス管理を介する独特の方法において制御される。マイクロ細孔の高い分画が要求される。
【0056】
当業者は、細孔量、細孔直径及び細孔分布が、活性化の程度にしたがって変化すること、最終製品の細孔系及び細孔構造、特に細孔直径及び表面構造が温度及び活性化を介する特別な方法において影響を受けることを知っているので、このことについては直接関係のある技術的な印刷物を参照することができる。
【0057】
本発明の方法によって製造された活性炭細粒又は小球は、優れた吸着特性を示す。触媒の浸透によって、本発明によって製造された活性炭細粒又は小球の吸着特性を、触媒(酵素、及び例えば銅、銀、プラチナ、クロム、亜鉛、水銀、パラジウム、カドミウム、鉄等の金属及びこれらの金属の混合物)が浸透することによって影響を及ぼし又は改善することができる。このように、本発明の製造方法によって得られた活性炭製品は、触媒作用の有効な成分、好ましく触媒作用の活発な金属の混合物からなる。触媒を有する活性炭の含浸は、当業者にはたいへん良くしられているので、このことについては直接関係のある技術的な印刷物を参照することができる。
【0058】
本発明の方法によって製造された活性炭細粒又は小球は、広い範囲の応用に使用される。本発明の方法によって製造された活性炭細粒又は小球は、例えば、吸着(シート)フィルタ、フィルタマット、消臭フィルタ、特に民間用及び/若しくは軍用分野のための防護服用シートフィルタ、室内空気浄化用フィルタ、ガスマスクフィルタ及び吸着可能支持構造又は防護材料、特に戦争薬剤のような化学毒に対する防護服の製造、又はフィルタ、特に空気又はガス流から有害、有毒及び/若しくは悪臭成分を排除するフィルタに関する用途を見いだすことができる。
【0059】
このように、本発明は、吸着材料、特に吸着(シート)フィルタ、フィルタマット、消臭フィルタ、戦争薬剤のような化学毒に対する防護服のような特に民間用及び/若しくは軍用分野のための防護服用シートフィルタ、室内空気浄化用フィルタ、及び防護服、ガスマスクフィルタ、空気又はガス流からの有害、有毒及び/又は悪臭物を排除するためのフィルタ及び本願発明によって製造される活性炭細粒又は小球からなる吸着可能支持構造を提供する。
【0060】
本願発明の幾多の工夫、変形又は改良は、本発明の範囲を離れることなしに、該明細書を読解する当業者に対して想像可能であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明に係る方法のための典型的な装置の概略を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 開始材料を用意するところ
3 活性化処理部
4a 開始材料
4b スルフォン化された開始材料
4c 予備炭化された開始材料
4d 炭化された製品
5 反応容器
6 搬送/運搬手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも実質的に炭化によってカーボンに変換可能な出発原料としてのポリマー細粒、特にポリマー小球の形の適当な炭素質ポリマーを炭化することによって、細粒状、特に小球状の活性炭を製造する方法において、
前記ポリマー細粒、特にポリマー小球は、複数の温度領域且つ/又は温度勾配を具備し、出発原料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成される炭化装置内を連続して移動することを特徴とする活性炭製造方法。
【請求項2】
前記炭化装置は、連続する回転チューブ又は連続する回転チューブオーブンであること、又は使用される前記炭化装置は、ベルトオーブン、特に酸化ベルトオーブンであることを特徴とする請求項1記載の活性炭製造方法。
【請求項3】
前記ポリマー細粒、特にポリマー小球は、特にベルトオーブンからなる炭化装置の複数の温度領域且つ/又は温度勾配を、運搬手段、特に運搬ベルトを作動させる手段を介して連続して移動され、出発原料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成されることを特徴とする請求項1又は2記載の活性炭製造方法。
【請求項4】
前記出発原料は、スチレン及びジビニルベンゼンを基礎として、熱分解されるときに遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる特にスルフォン酸基のような強酸性基になる化学基を含むポリマー細粒、特にポリマー小球の形のポリマーからなることを特徴とする前段請求項のいずれか1つに記載の活性炭製造方法。
【請求項5】
架橋結合を導く化学基、特にスルフォン酸基のような強酸性基は、出発原料において既に存在すること、且つ/又はスルフォン酸基に対するポリマーの重量比が、約5:1〜約1:1の範囲内、特には約2:1〜約1:1の範囲内であることを特徴とする請求項4記載の活性炭製造方法。
【請求項6】
使用される前記開始材料は、イオン交換樹脂、特に好ましくは強酸性カチオン交換樹脂、特にスルフォン酸基を有するイオン交換樹脂、且つ/又はビスフェノール合成又はMTBE合成のための触媒のような酸性有機触媒からなることを特徴とする請求項4又は5記載の活性炭製造方法。
【請求項7】
前記開始材料、特に前記イオン交換樹脂及び/若しくは酸性有機触媒には、炭化の前及び/若しくは炭化の間に、スルフォン化剤、好ましくはSOが、好ましくはスルフォン酸及び/若しくは発煙硫酸の形で、特に前記開始材料の乾燥重量を基礎として特にSOの重量で約1%〜約30%の量が、特にSOの重量で約5重量%〜約25重量%の量が添加されることを特徴とする請求項6記載の活性炭製造方法。
【請求項8】
熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる、特にスルフォン酸基のような強酸基になる前記化学基は、炭化の前及び/若しくは炭化の間、特にスルフォン化によって、好ましくはスルフォン化剤、好ましくは発煙硫酸及び/若しくはスルフォン酸の形で、より好ましくはスルフォン酸に混合された発煙硫酸の形で、SOを付加することによって、前記開始材料に導入され、特に非スルフォン化ポリマー開始材料が、炭化装置に導入される前に、スルフォン化剤に接触し、前記ポリマー開始材料が、少なくとも実質的に完全にスルファン化剤で湿潤されることを特徴とする請求項4記載の活性炭製造方法。
【請求項9】
前記スルフォン化剤、特に濃縮されたスルフォン酸及び/若しくは発煙硫酸が、ポリマー開始材料に関して、スルフォン化剤/ポリマー開始材料の重量に基づく比率において、0.2:1〜2:1の範囲で、特に好ましくは0.4:1〜1.5:1の範囲でスルフォン化されるべき使用されること、且つ/又はポリマー/20%発煙硫酸の重量比が、約1:1以上に達すること、且つ/又はポリマー/20%発煙硫酸/スルフォン酸の重量比が約1:1:0.5であることを特徴とする請求項8記載の活性炭製造方法。
【請求項10】
前記使用される開始材料は、スチレン及びジビニルベンゼンに基づくポリマー細粒、特にポリマー小球からなること、且つ/又は前記使用される開始材料が特にイオン交換樹脂の先駆物質からなることを特徴とする請求項8又は9記載の活性炭製造方法。
【請求項11】
前記ポリマー細粒、特にポリマー小球は、多孔性であり、特にマクロ多孔性であり、及び/若しくはゲル状であることを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
【請求項12】
前記炭化装置は、少なくとも下記する基準の温度領域を具備することを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
a) 第1の温度領域(スルフォン化領域)であって、前記開始材料が熱分解時に、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる基、特にスルフォン酸基のような強酸基を有しない場合、又は上述した基が開始材料に付加的に導入される場合、特にスルフォン化によってこれらの基が開始材料に導入される場合に選択される温度領域;
b) 第2の温度領域(予備炭化領域又は酸性ガスの領域)であって、好ましくは第1の温度領域よりも高い平均温度を有し、該第2の温度領域において熱分解されるときに、前記基が、遊離基を生じ且つこれによって架橋結合を生じる特にスルフォン酸基のような強酸基が、前記開始材料から分裂によって分離されるので、開始材料の炭化及び/若しくは熱分解が確保され、好ましくはポリマーの架橋結合及び/若しくはカーボンの形成が付随するもの;及び
c) 第3の温度領域(主炭化領域)であって、好ましくは第2の温度領域よりも高い平均温度を有し、該第3の温度領域において、第2の温度領域の結果として生じる前記開始材料のさらなる炭化が実行され、これによって前記開始材料の少なくとも実質的に完全なカーボンへの変換が達成されるもの。
【請求項13】
それぞれの温度領域が分離され及び/若しくは独立して制御可能であること、且つ/又は、それぞれの温度領域が分離され及び/若しくは独立した排気手段を有し、異なる温度領域からのプロセスガスが分離され及び/若しくは独立して採取されること、且つ又は、前記炭化装置が、個々に連続した温度領域の間及び/若しくは個々の温度領域内、好ましくは少なくとも第2及び第3の温度領域の間に、少なくとも一つのロックを具備し、これによって少なくとも一つのロックが配置される場所で、異なる温度領域からのプロセスガスの少なくとも実質的な混合を防止し、及び/若しくは、第2の温度領域からの酸性プロセスガスが他のプロセスガスと混合せず、独立して採取することができ、もし適切ならば、その後に処分又はその後のリサイクルで再加工されることを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
【請求項14】
前記加工制御は、個々の温度領域の温度特性及び/若しくは温度勾配の温度特性を設定することによって、且つ/又は、前記開始材料が前記温度領域を通過する速度及び/若しくは炭化装置の温度勾配を設定することによって実行されること、且つ/又は、炭化装置内の開始材料の合計滞在時間が0.1〜5時間の範囲内、特には0.25〜4時間の範囲内、特に好ましくは0.5〜3時間の範囲内であることを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
【請求項15】
前記第1の温度領域が、50℃〜200℃の範囲、好ましくは75℃〜175℃の範囲、特に好ましくは100℃〜150℃の範囲の温度で制御されること、且つ/又は、第2の温度領域が、100℃〜500℃の範囲、好ましくは150℃〜450℃の範囲の温度で制御されること、且つ/又は、第3の温度領域が、400℃〜1200℃の範囲、好ましくは450℃〜1000℃の範囲、さらに好ましくは500℃〜900℃、特に好ましくは550℃〜850℃の範囲の温度で制御されることを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
【請求項16】
前記炭化された材料は、その後活性化されることを特徴とする前段請求項のいずれか一つに記載の活性炭製造方法。
【請求項17】
前記活性化は、同様に前記炭化装置において実行されること、又は、活性化は、別の装置及び/若しくは異なる場所で、及び/若しくは炭化よりも長い時間で実行されることを特徴とする請求項16記載の活性炭製造方法。
【請求項18】
前記活性化は、通常の方法で実行され、特に活性化は、特に空気、水蒸気及び/若しくは二酸化カーボン又はこれらの活性ガスの混合気の形で、酸素等の通常の活性化ガスに曝されることで、好ましくは水蒸気と窒素の混合気に曝されることで実行され、且つ/又は、前記活性化は、約700℃〜約1200℃の範囲、特に約800℃〜約1000℃の範囲、好ましくは約850℃〜約1000℃の範囲、さらに好ましくは約900℃〜約975℃の範囲の温度で実行され、且つ/又は、活性化の時間は、約0.5〜約20時間の範囲、特には約2時間〜約15時間の範囲、好ましくは約5時間〜約10時間の範囲であることを特徴とする請求項16又は17記載の活性炭製造方法。
【請求項19】
請求項1〜18の一つ又は複数の係る活性炭製造方法によって得られる活性炭細粒、特に活性炭小球。
【請求項20】
約800m/g〜約1500m/gの範囲、好ましくは約900m/g〜約1200m/gの範囲の内部表面領域によって、且つ/又は、約0.4mm〜約0.6mmの範囲内の平均値を有する約0.1mm〜約2.0mmの範囲内、好ましくは約0.2mm〜約0.8mmの範囲内の平均直径によって、且つ/又は、細粒又は小球当たり約5N〜約20Nの範囲内の破裂圧によって、且つ/又は、約400g/l〜約800g/lの範囲内、好ましくは約500g/l〜約750g/lの範囲内のふるい分け重量によって特徴づけられる請求項19記載の活性炭細粒。
【請求項21】
吸着(シート)フィルタ、フィルタマット、消臭フィルタ、特に民間及び/若しくは軍用の防護服のシートフィルタ、室内空気浄化フィルタ、ガスマスクフィルタ及び吸着可能支持構造等の吸着材料を製造するための請求項1〜18の一つ又は複数に係る製造方法によって得られる活性炭細粒、特に活性炭小球の使用。
【請求項22】
特に戦争薬剤等の化学毒に対する防護服である防護材料、又は、有害、有毒及び/若しくは悪臭物を空気又はガス流から取り除くためのフィルタ等のフィルタに関して、請求項1〜18の一つ又は複数に係る製造方法によって得られる活性炭細粒、特に活性炭小球の使用。
【請求項23】
請求項1〜18の一つ又は複数の係る製造方法によって得られる活性炭細粒、特に活性炭小球からなる吸着(シート)フィルタ、臭気フィルタ、戦争薬剤等の化学毒に対する防護服のような特に民間及び/又は軍用の防護服のためのシートフィルタ、室内空気浄化フィルタ、及びそれらから製造される防護服、ガスマスクフィルタ、有害、有毒及び若しくは悪臭物を空気又はガス流から取り除くためのフィルタ、フィルタマット及び吸着可能支持構造のような種類のフィルタである吸着部材。

【図1】
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【公表番号】特表2007−501763(P2007−501763A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522928(P2006−522928)
【出願日】平成16年7月24日(2004.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008314
【国際公開番号】WO2005/016819
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】