説明

活水機能付き寒冷地用量水器ボックス

【課題】大気温が氷点下(摂氏0度以下)となる寒冷地において、給水管の凍結防止と量水器の保護を行うと同時に水の活性化を図ることが可能な活水機能付き寒冷地用量水器ボックスを提供する。
【解決手段】蓋部22と底部21Bとを有し高さ方向に長尺な円筒21A状のボックス本体20と、このボックス本体20内に収納され流入側給水管101及び流出側給水管102とを接続すると共に螺旋状に巻回された螺旋状給水管51と、該螺旋状給水管51に設置される量水器52と、この量水器52及び螺旋状給水管51の上部を引き上げ可能にする把手部54と、を備える寒冷地用の量水器ボックス10であって、前記量水器52を挟んで給水管の一次側と二次側に各々配置される磁気及び遠赤外線照射装置30、40をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地に敷設された給水管において、量水器の収納及び保護を行うと共に水の活性化を図る活水機能付き寒冷地用量水器ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、水道を使用する住宅、設備等には、使用される水量を計測するため量水器が配備されている。量水器は、地中に埋設された給水管に設置され、事業者により定期的に検針が行われる。また、定められた期限の経過後は取替が義務付けられている。この量水器を保護し検針や取替を容易にするために、量水器ボックスが一般的に使用されている。
【0003】
一方、寒冷地に敷設される給水管は、地中深くに埋設され地熱を利用することにより凍結防止を図っている。その結果、給水管に設置される量水器も地中深い位置に設けられることになり、上記のような検針や取替の作業が非常に困難だった。そこで、地表から底までの距離(高さ)が長い量水器ボックスであって、
ボックス内の給水管を螺旋状に巻回しこの給水管に設置された量水器ごと引き上げ可能にするものがこれまでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−56016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在水道水の味や安全性を一般家庭等で手軽に向上させるためには、通常は浄水器、整水器等の簡易水処理機器が用いられている。
【0006】
しかしながら、これらの機器はフィルタで水をろ過することにより水の浄化を図っており、ろ過材のメンテナンスを怠れば性能が大幅に下がるという難点があった。さらに、殺菌を目的に添加された塩素分まで除去してしまうため、時間が経てば飲料水としての安全性が著しく低下するという問題も有していた。
【0007】
また、上記従来の簡易水処理機器の場合、一次側(市区町村等からの供給側)ではなく二次側(量水器以降)に設置せざるを得ない。しかし一次側から流入する不純物質は、量水器のストレーナーに付着することによる流量の減少や量水器エトーの詰まりによる破損の原因となる。また、量水器だけではなく止水バルブへの付着も起こし、バルブの開閉に支障きたしている。上記従来の簡易水処理器の場合、一次側での水の浄化が不可能なためにこのような問題に対処することはできなかった。
【0008】
そこで本発明は、上記状況に鑑み、大気温が氷点下(摂氏0度以下)となる寒冷地において、給水管の凍結防止及び量水器の保護を行うと同時に水の活性化を図ることが可能な活水機能付き寒冷地用量水器ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、蓋部と底部とを有し高さ方向に長尺な円筒状のボックス本体と、このボックス本体内に収納され流入側給水管及び流出側給水管とを接続すると共に螺旋状に巻回された螺旋状給水管と、この螺旋状給水管に設置される量水器と、この量水器及び螺旋状給水管の上部を引き上げ可能にする把手部と、を備える寒冷地用の量水器ボックスであって、前記量水器を挟んで給水管の一次側と二次側に各々配置される磁気及び遠赤外線照射装置をさらに備えることを特徴とする活水機能付き寒冷地用量水器ボックスを提供する。
【0010】
ここで、前記磁気及び遠赤外線照射装置は、磁気照射手段として永久磁石を備え、さらにこの永久磁石は棒磁石からなるのが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスによれば、寒冷地において、給水管の凍結防止及び量水器の保護を行うと同時に、簡便に一次側及び二次側での水の活性化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る活水機能付き寒冷地用量水器ボックスの概要を示す全体概略図である。
【図2】図1に示す活水機能付き寒冷地用量水器ボックスの上面模式図である。
【図3】図1に示す活水機能付き寒冷地用量水器ボックスの部分拡大図である。
【図4】図1に示す活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにおける磁気及び遠赤外線照射部の斜視図である。
【図5】図4に示す一次側磁気及び遠赤外線照射部の分解斜視図である。
【図6】図4に示す二次側磁気及び遠赤外線照射部の分解斜視図である。
【図7】図1に示す活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにおける永久磁石の配置例を示す斜視図である。
【図8】本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより活性化された水と水道水の温度上昇試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る活水機能付き寒冷地用量水器ボックスの概要を示す全体概略図である。また、図2は、その活水機能付き寒冷地用量水器ボックスの上面模式図、図3は、その部分拡大図である。
【0015】
これらの図に示すように、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックス10は、引き上げ部50を収納するボックス本体20と、このボックス本体20に内蔵される一次側磁気及び遠赤外線照射部30、二次側磁気及び遠赤外線照射部40と、量水器52等を備える引き上げ部50と、から構成される。
【0016】
ボックス本体20は、円筒部21Aと、その底部21Bと、蓋部22とから構成される。
【0017】
円筒部21Aは、内部に量水器54等が設置され、凍結防止のため深さ方向に長尺な形状を有している。下端には底部21Bが一体に形成されていると共に、上端には蓋部22が配置される。さらに、円筒部21Aの側面には、後述する一次側磁気及び遠赤外線照射部30を固定するための一次側取付部23と、二次側磁気及び遠赤外線照射部40を固定するための二次側取付部24とが設けられている。
【0018】
引き上げ部50は、流入側(一次側)給水管101と流出側(二次側)給水管102との間を連結し、上下方向に螺旋状に巻回された螺旋状給水管51と、この螺旋状給水管51に設置された量水器52と、同様に螺旋状給水管51に設置された止水バルブ53と、量水器52及び止水バルブ53とを螺旋状給水管51の上部と共に引き上げ可能にする把手部54と、から構成される。必要に応じて、ボックス本体20の蓋部22を外し引き上げ部50の把手部54を引き上げることにより、螺旋状給水管51の上部と共に量水器52及び止水バルブ53を持ち上げて量水器52の検針や取替等を行うことができる。螺旋状給水管51の端部は、それぞれ円筒状の一次側磁気及び遠赤外線照射部30及び二次側磁気及び遠赤外線照射部40を通りボックス本体20の外部へ導出されている。そしてその一次側の先端には、流入側給水管101と接続するための一次側接続部51Aが設けられている。同様に、二次側の先端には、流出用給水管102と接続するための二次側接続部51Bが設けられている。
【0019】
次に、磁気及び遠赤外線照射部30、40について説明する。図4は、磁気及び遠赤外線照射部30、40を示す斜視図である。図4(a)は一次側磁気及び遠赤外線照射部30を、図4(b)は二次側磁気及び遠赤外線照射部40を示している。図5は、一次側磁気及び遠赤外線照射部30の分解斜視図である。ここでは分かりやすいよう一次側磁気及び遠赤外線照射部30を水平に二つに分断した図を示している。図6は、二次側磁気及び遠赤外線照射部40の分解斜視図である。図5と同様に、二次側磁気及び遠赤外線照射部40を水平に二つに分断した図を示している。
【0020】
これらの図に示すように、一次側磁気及び遠赤外線照射部30は、給水管を通すための挿通孔31を有する円筒形をしており、遠赤外線放射材からなる遠赤外線層32、この遠赤外線層32が積層されると共に永久磁石33a、33bを搭載する磁気層33、防磁シート34、ケース35とを備えている。この一次側磁気及び遠赤外線照射部30は、ボックス本体20の円筒部21に設けられた一次側取付部23内に配置される。
【0021】
二次側磁気及び遠赤外線照射部40も同様に、給水管を通すための挿通孔41を有する円筒形をしており、遠赤外線放射材からなる遠赤外線層42、この遠赤外線層42が積層されると共に永久磁石43a、43bを搭載する磁気層43、防磁シート44、ケース45とを備えている。この二次側磁気及び遠赤外線照射部40は、ボックス本体20の円筒部21に設けられた二次側取付部24内に配置される。
【0022】
遠赤外線層32、42は、磁気層33、43の内側表面に遠赤外線素原料を溶射して形成する。この遠赤外線層32、42は、水に対して吸収率の高い8ミクロン〜14ミクロンの波長を確保するために9種類の素原料を混合し、常温において最も吸収放射率の良い遠赤外線放射材を使用する。
【0023】
磁気層33、43は、図5及び図6に示すように、複数の棒磁石(永久磁石;好適にはフェライト磁石、及び希土類磁石)から構成される。このように、円筒形の固定具33、43にU型磁石ではなく棒磁石を配置することで磁気漏洩を防ぐことができる。ここでは、図7に示すように、円周方向に同極が相対するように配列すると共に、上下方向には異なる極性が相対するように、四本の棒磁石を配列している。円周方向に同極が相対し反発するように配列することで、磁石単体の持つガウス数の約3倍のガウスを引き出すことができる。一方で、上下方向には相対する極性が異なるように配置する。ここでは例として、上部の挿通孔側にS極、外側にN極が、また、下部の挿通孔側にN極、外側にS極が来るように配置している。このように、上下で互いに引き合うように配列することにより、水活性化の機能を発揮させることができる。
【0024】
防磁シート34、44は、硬質ゴムから構成されるのが好適である。また、ケース35、45は、防磁のため鉄板により構成される。より好ましくは、腐食防止のため樹脂材料を用いる。
【0025】
次に、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスによる、水の活性化について説明する。本発明では、給水管を挟んで磁石及び遠赤外線放射材を配置することにより、水のエネルギー準位を向上させて、水の浸透力、溶解力を増大させる。また、水中の有機物質と塩素分の結合を抑制することにより発がん性の物質を同時に抑制する。一方で、塩素が残留することにより水の殺菌力は維持し、飲料水として好適な水を提供することが可能となる。このような活性化された水は、給水管の腐食をも抑制する。
【0026】
本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスを通過する水流は、まず二極間の磁場と放射エネルギーである遠赤外線内を通過する。使用する磁束密度は1500〜3000ガウスである(6000〜8000ガウスの強磁場も使用可)。磁場はN・Sの磁極により互いに引き合う性質があるが、遠赤外線は電磁波の一つであり、放射エネルギーは波長であるため配管外部より放射して直接水に影響を与えるものではなく、常温にて徐々に配管内に浸透し水へ放射されて作用する。
【0027】
本発明ではこれら二つのエネルギー体を使用し水が通過すると電子励起作用(電離作用)が働く。水はもともとイオンを含み電気伝導度を持っていることから、磁場・遠赤外線による放射エネルギーにより水分子間でエネルギー転換(水分子間で生じる電離作用)が激しく起こる。これは水分子にも極性があり、そのうちの一つが陰電荷(−)、他の一つが陽電荷(+)であることより、多数分子の集合体の一つ一つの水分子(O−H・・・O)に共振・共鳴反応を起こさせ水素結合を分離することとなり、水分子を活性化させる。これは外部磁場を受けることにより水の極性が陰・陽に引き分かれて分流するためである。この間、水分子は激しくスピン現象を起こし活性化する。磁気及び遠赤外線を受けた水は電子励起作用により活性化され、エネルギー準位が高くなることで水分子のエネルギーバランスが整う。このような水分子の構造変化により活性化された水の持続時間は測定により評価することができる。
【0028】
NMR(核磁気共鳴装置)とは、水分子の運動している速度をとらえて周波数Hで表すものである。周波数Hの数値が小さいほど分子運動が速く、小さな水分子の集合が活発に運動していることを示している。この測定により、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより処理された水の活性率が、非処理水の値まで戻る時間を追跡したところ、処理された水は24時間から48時間以上持続することが確認された。
【0029】
また、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスは、腐食抑制の効果をも有している。新築家屋の配管が腐食し所謂「赤水」が発生して流出するのは、一般に建築後約15年から20年程度と言われている。溶出する錆が約0.5mg/lの濃度に達すると赤水として目で確認され、飲料水として使用することはできなくなる。そこで、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより処理された水が流通する新管から、上記濃度で錆が溶出するまでの期間を試算したところ、処理しない配管の場合の倍となる30年から35年となった。
【0030】
さらに、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより活性化された水は、通常の水道水よりも早く沸かすことができる。以下、実験の概要を示す。水槽内にサーモヒータ2台(50℃設定)を設置し、18.6度の水道水及び活性水を充填してそれぞれ循環ポンプで循環させ、水温50℃に達する所要時間を計測した。図8にその結果を示す。この図から分かるように、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスによる活性水は、水道水より速く温度上昇することが明らかである。このため、省エネルギー効果を発揮することが可能となる。
【0031】
また、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより活性化された水は、油汚れをよく落とすことが分かっている。以下、実験の概要を示す。機械油を染み込ませた布を水道水及び活性水の入ったビーカーに入れ、それぞれヘキサン(成分)がどれだけ水の中に溶出するかを比較した(測定方法:振とう抽出法JISK0102)。ヘキサン値が高い方が油汚れが落ちやすいことを示す。その結果、水道水に溶出したヘキサンが69mg/lであったのに対し、本発明による活性水に溶出したヘキサンは140mg/lであった。これにより、本発明の活水機能付き寒冷地用量水器ボックスにより活性化された水は、油汚れをよく落とすことが分かる。そのため、食器や衣類等の洗浄に用いた場合に、水量を節約したり洗剤量を軽減させることが可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、寒冷地に敷設された給水管において、量水器の収納及び保護を行うと共に水の活性化を図る活水機能付き寒冷地用量水器ボックスに関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0034】
10 活水機能付き寒冷地用量水器ボックス
20 ボックス本体
21A 円筒部
21B 底部
22 蓋部
23 一次側取付部
24 二次側取付部
30 一次側磁気及び遠赤外線照射部
31 挿通孔
32 遠赤外線層
33 磁気層
33a 永久磁石
33b 永久磁石
34 防磁シート
35 ケース
40 二次側磁気及び遠赤外線照射部
41 挿通孔
42 遠赤外線層
43 磁気層
43a 永久磁石
43b 永久磁石
44 防磁シート
45 ケース
50 引き上げ部
51 螺旋状給水管
51A 一次側接続部
51B 二次側接続部
52 量水器
53 止水バルブ
54 把手部
101 流入側給水管
102 流出側給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部と底部とを有し高さ方向に長尺な円筒状のボックス本体と、該ボックス本体内に収納され流入側給水管及び流出側給水管とを接続すると共に螺旋状に巻回された螺旋状給水管と、該螺旋状給水管に設置される量水器と、該量水器及び螺旋状給水管の上部を引き上げ可能にする把手部と、を備える寒冷地用の量水器ボックスであって、
前記量水器を挟んで給水管の一次側と二次側に各々配置される磁気及び遠赤外線照射装置をさらに備えることを特徴とする活水機能付き寒冷地用量水器ボックス。
【請求項2】
前記磁気及び遠赤外線照射装置は、磁気照射手段として永久磁石を備え、該永久磁石が棒磁石からなることを特徴とする請求項1に記載の活水機能付き寒冷地用量水器ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−149196(P2011−149196A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11145(P2010−11145)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000154233)株式会社富士計器 (4)
【Fターム(参考)】