活魚の冷凍方法及び装置
【課題】 活魚の活けしめ時において従来よりも血抜き効果を上げて、これによって活けしめした魚の鮮度を長い時間に亘って維持する方法及び装置を実現する。
【解決手段】 活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍する活魚の冷凍方法において、活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する血抜きステップと、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなる。
【解決手段】 活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍する活魚の冷凍方法において、活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する血抜きステップと、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船の内部で活魚を活けしめ血抜きして冷凍保管する方法及び装置に関し、血抜きを従来より完全に行うことにより、魚体の鮮度を持続させ、魚肉の臭みをなくし、肉色及び味を向上させて付加価値を高めることができ、特にマグロ、カツオ、ハマチ、カンパチ等大型で紡錘形の体形を有する魚類に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来のB1凍結(ブライン凍結1級品)と称されるカツオの冷凍方法を説明する。図15は前記従来のカツオ冷凍方法を示す模式図である。図15において、例えばカツオ1本釣り漁船等で吊り上げられたカツオ01は、テント011に跳ね返り、トイ012に落ちて、トイ012を通って−17℃〜−20℃の温度に保持されたブラインが貯留されたブライン魚倉013aに蓋015から投入される。ブラインは漁船内に備えられたブラインクーラ(図示略)で前記温度に冷却される。014は、ブライン魚倉013aの内壁に設けられた冷却コイルで、ブライン凍結処理時には使用されず、後工程の空冷冷凍保管(−50℃〜−40℃)時に使用される。
【0003】
カツオ01は、ブライン魚倉013aでブライン凍結処理され、ブライン凍結終了後は、図15(b)に示すように、備え付けのブラインポンプ016によってブラインを魚倉013aから魚倉013bに移し変え、またカツオ01も人手によって他の魚倉に移し変え、冷却コイル014に冷媒を流してカツオ01を−50℃〜−40℃の温度域で空冷冷凍保管する。魚倉013は、1隻当り20倉くらいある。
【0004】
近年捕獲した魚の鮮度を高品位に保つために、活けしめと血抜きを行うことが欠かせない。
特にカツオはマグロに比べ格段に変色しやすく、その原因として、ミオグロビンのメト化はマグロより速く、またカツオのpHが低いこと、及びメト型色素に対する酵素的還元力が弱いこと等が原因と考えられる。
従来活けしめと血抜き処理は、熟練した作業員が行っていたが、手作業なので効率が悪く、また熟練を要するという問題があった。
【0005】
かかる問題を解決するため、特許文献1(特開2000−228941号公報)には、活けしめ血抜き処理の自動化を図った方法が開示されている。特許文献1に開示された方法は、奥下がりに傾斜させた支持台の両側に挟み板を配置し、前記支持台の奥側に当て止め部材を設け、前記支持台へ活魚を頭側から投入し、活魚の体側へ挟み板を押し当てて挟み押さえる挟み動作を複数回繰り返し固定した後に、掘削ドリルにより活魚の脳から延髄及びえらに達してくり抜くようにしたものである。
【0006】
また特許文献2(特開2003−38091号公報)には、活けしめを自動化するための装置として、魚が横に寝た状態で供給されるテーブルと、該テーブル上に供給された魚を定位させる手段と、魚に対して同時に進退される2本の刃物とを備えており、この2本の刃物のうち1本は、テーブル上に定位される魚の鰓部から頭部に刃先が位置しており、他の1本は、テーブル上に定位される魚の鰓部から咽喉側に刃先が位置している魚の活けしめ装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−228941号公報
【特許文献2】特開2003−38091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に開示された装置は、共に魚の脳、延髄及びえら等に同時に切り込みを入れ、活けしめと血抜きとを同時に行うものであるが、活けしめと血抜きとでは、魚体の切断場所が異なり、一方特許文献1及び2とも活けしめと血抜きを同列に扱っているため、血抜き効果がまだ十分ではなく、魚体の重量の3%程度(全血液の3分の1程度)のみの血を抜く程度に留まっている。
また動いている活魚の目標とする場所に正確に切り込みを入れることは容易ではなく、そのため魚体の個体ごとの血抜き効果のバラツキが大きいという問題がある。
【0009】
また活けしめした魚の血管内に血液が溜まったままであると、アデノシン3燐酸(ATP)が消費され続け、乳酸が増加してpH値の低下を招く自己消化が進行するため、肉質を軟化させて鮮度を低下させてしまうことになり、従って鮮度低下を防止するためには血抜きを確実にする必要がある。
魚のような下等脊椎動物は、単に脊髄を切断することによって大動脈の血管を抜いても、体内に張り巡らされた毛細血管内の血液を処理することができず、活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制することができない。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、活魚の活けしめ時において従来よりも血抜き効果を上げて、これによって解凍後のアデノシン3燐酸の消費を大幅に抑制して活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制し、その結果活けしめした魚の鮮度を長い時間に亘って維持するとともに、色合い、味等を向上させて付加価値を高める方法及びその方法を実施するための装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の活魚の冷凍方法は、
活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍方法において、
活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、
前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水水槽に1分以上保持する血抜きステップと、
血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、
その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする。
【0012】
本発明方法においては、まず活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う。即ち活魚の延髄を切断することにより、魚体の動きを止め、また活魚の心肺機能が働いている状態で、7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する。
このように魚を心肺機能が生きている状態で冷却水槽に投入すると、心臓のポンピング作用により血液が体外に排出される。この場合冷却水槽には、海水または海水より塩分濃度の薄い水を貯留する。
7℃より低温にすると、低温により死ぬ魚が発生してくるため、冷却水の温度を7℃以上に保持するとともに、冷却水の温度を15℃以下に保持することにより、後述する試験結果が示すように、血抜き効果を上げ、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、解凍後の色の彩度を向上させ、かつ魚特有の生臭さを解消することができる。
【0013】
魚のような下等脊椎動物は、大動脈を切断して大動脈の血液を抜いても、体内に張り巡らされた毛細血管内の血液を処理することができず、血管内に血液が溜まったままであると、アデノシン3燐酸が消費され続ける自己消化が進行するため、肉質を軟化させて鮮度を低下させてしまう。
本発明では、上記のように活けしめ後、魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させて、解凍後の魚の肉質の鮮度を長い時間に亘って維持することができる。
冷却水槽での保持時間は、少なくとも1分以上必要であり、好ましくは1〜6分とする。通常これ以上保持する必要はない。
【0014】
その後血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持する。
凍結時細胞内にある水分の結晶が大きいほど、肉質は変化する。水分の結晶が大きいほど、ドリップと呼ばれる肉汁が出てしまう。これを解決するために細胞内の水分をできるだけ細かい結晶にして凍結する必要があるが、これは氷結晶最大生成帯の冷却温度(−5℃〜−1℃)を短時間で通過させる急速凍結によって解決される。即ちブラインの凍結温度が低いほど、急速凍結が行われ、凍結物の組織細胞内に生じる氷の結晶はより細かになり、細胞のこわれも少なく、品質が向上する。
【0015】
このため本発明においては、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃に設定されたブライン凍結槽に投入する。これによって−5℃〜−1℃の温度帯域を短時間で通過させる急速凍結が可能となる。ブラインとして安価な食塩の飽和水を用いれば、安価に大量の魚を上記温度範囲で凍結処理することができる。ブライン凍結槽での魚体の浸漬時間は4〜12時間を必要とする。
本発明では、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する。このような温度帯に維持することにより、魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
この空冷槽では、例えばヘアピンコイルやグリッドコイルを空冷槽の壁面に設け、そこに冷媒を通して冷却する。なお本発明では、前記ブライン凍結処理と前記空冷による冷凍保管とを同一の槽で行ってもよい。即ちブライン凍結終了後、ブライン凍結槽からブラインを抜いて、その後同じ槽で空冷による冷凍保管を行う。
【0016】
本発明方法において、好ましくは、前記活けしめステップとして、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか、又は活魚の尾部の血管を切断するようにする。尾部の血管が切断され、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管内に負圧が発生せず、心臓のポンピング作用による血抜きを連続的に行うことができる。
なお尾部の血管のみを切断して、尾部を切断しない場合は、後工程の加工処理で尾部を把持した搬送、その他の処理が可能となり、取り扱いが容易になる。
【0017】
また本発明方法において、好ましくは、前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させるようにする。活魚を捕獲した後漁船内で活魚があばれると、打撲による内出血が生じ、そのため肉質が低下するという問題がある。また活けしめ装置で活けしめする際に魚があばれて正確に魚の延髄を切断できない場合がある。
そのため活けしめ処理を行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させ、活けしめ処理を正確に行えるようにする。
【0018】
なお活魚がカツオの場合、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目の間を切断位置とすることが望ましい。なぜならカツオの場合前記突起の尾部から2番目と3番目の間まで比較的大きな血管が通っており、この部分を切断することにより、その血管を切断できるためであり、これによって心臓のポンピング作用による血抜きを活発にすることができる。
【0019】
また本発明装置は、
魚船の内部で活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍装置において、
捕獲した活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめする装置と、
7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留する血抜き用冷却水槽と、
−20℃〜−17℃の温度に凍結するようなブライン濃度に設定され血抜きした魚を凍結するブライン凍結槽と、
−50℃〜−40℃の温度に保持され前記ブライン凍結槽で凍結された魚を冷凍保存する冷凍槽とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明装置は、漁船の内部で捕獲した活魚の活けしめ、血抜き及び凍結処理を行うため、漁船の内部に活けしめ装置及び血抜き処理を行うための専用の冷却水槽を設けるものであり、これによって漁船内で前述の本発明方法の実施が可能になる。なお前記血抜き用冷却水槽には、7℃〜15℃に保持された海水又は海水より塩分濃度の薄い冷却水を貯留する。
前記冷却水槽中の冷却水の冷却手段は、漁船に備え付けの冷凍機で冷却してもよいし、いわし等のえさ用生簀の冷却された海水を導入して前記温度範囲になるようにしてもよい。
【0021】
本発明装置において、好ましくは、前記活けしめ装置は、
活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えるようにする。
【0022】
前記構成を有する活けしめ装置においては、活魚の搬送路から前記導入口を経て前記ベースプレートに活魚を導入する。なお前記導入口にはシャッタを設けて活魚がベースプレートに導入されると同時に、導入口を閉じるようにしてもよい。
前記導入口から活けしめ装置内に導入された活魚は、ベースプレート上を滑り、前記停止板に当って停止する。停止すると同時に、前記センサがそれを感知して前記押え手段がベースプレートの上方から下降してきて魚を押えるとともに、前記頭部切断カッタを活魚に向かって接近させ、活魚の延髄を切断する。前記停止板は、活魚が停止板に当って停止した位置で前記頭部切断カッタが活魚の延髄を切断できる位置に設けられている。
延髄を切断された魚体は、前記排出手段によってベースプレートから排出される。
【0023】
本発明装置において、さらに好ましくは、前記構成に加えて、活魚が前記停止板に突き当たるのを感知する前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は尾部の血管を切断するカッタを備えるようにする。
活魚の延髄のみならず尾部の血管を切断することにより、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならず、血抜きがさらに活発に行われる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設け、これによって活魚を一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明活魚の冷凍方法によれば、活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する血抜きステップと、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなり、活けしめ後血抜きステップとして、活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させることができ、この血抜きステップと、その後の前記温度帯を有するブライン凍結処理及び空冷冷凍保管とを組み合わせることにより、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、肉の彩度を向上させ、また味においても魚特有の生臭さをなくし、良質な肉質と肉色を維持することができる。
【0025】
また好ましくは、前記活けしめステップとして、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか又は活魚の尾部の血管を切断することにより、血抜き効果を一層向上させることができ、また好ましくは、前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させることにより、活けしめ時の処理を容易にし、正確に魚の延髄を切断できるため、血抜き効果のバラツキを解消することができる。
なお尾部の血管のみを切断し、尾部を残しておけば、魚体の搬送、その他の取り扱いが容易となる。
【0026】
また活魚がカツオの場合は、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目との間を切断することにより、尾部にある主要な血管を確実に切断することができて、血抜き効果を確実に向上させることができる。
また前記突起を目安として尾部の正確な切断位置が容易に確認できるため、尾部切断カッタの設置位置を容易に設定することができる。
【0027】
また好ましくは、前記活けしめ装置が、活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えたことにより、活けしめ処理を自動化し、一匹当りの所要時間を大幅に短縮化でき、さらに活魚の延髄を正確に切断することができる。
【0028】
また本発明装置において、好ましくは、活魚が前記停止板に突き当たるのを感知する前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は尾部の血管を切断するカッタを備えることにより、活魚の延髄のみならず尾部の血管を切断し、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならず、血抜きを連続的に行うことができる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設け、これによって活魚を一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1(a)は、本発明装置の第1実施例の上から視た模式図、(b)は正面から視た模式図、図2は、第1実施例の活けしめ装置20の断面立面図、図3は図1中のIII―III線に沿う断面側面図、図4は、図1のIV−IV線に沿う断面側面図、図5は、カツオの魚体を示す説明図、図6は前記の第1実施例及び比較例のファット値を示す線図、図7は、比較例のファット値を示す線図、図8は、前記第1実施例及び比較例の彩度を示す線図、図9は、比較例の彩度を示す線図、図10は、前記第1実施例及び比較例の魚肉の硬さを示す線図、図11は、比較例の魚肉の硬さを示す線図、図12は、前記第1実施例及び従来例の官能試験結果を示す図表、図13の(a)及び(b)は前記第1実施例及び比較例の魚肉のカラー写真、図14は、前記第1実施例及び比較例の官能試験結果を示す図表である。
【実施例1】
【0030】
図1において、11は、吊り上げられたカツオ01を受けるテントであり、カツオ01はテント11で跳ね返ってトイ12に落ちる。ここまでは図14に示す従来のB1ブライン凍結法と同一である。トイ12は一方に傾斜しており、カツオ01はトイ12内の傾斜面を滑って領域13に到達する。領域13では、例えば12ボルトの電圧を負荷された端子等が設置されていて、カツオ01がその領域に入ると、電気ショックを受けるようになっている。
【0031】
電気ショックで気絶したカツオ01は、そのままトイ12を滑って、活けしめ装置20に投入される。この電気ショックによりカツオがあばれる前におとなしくさせて、魚体温度が上がることを防止している。活けしめ装置20では、頭部切断カッタ21でカツオの延髄を切断して活けしめを行うと同時に、尾部切断カッタ22で尾周辺の血管のみを切断する切込みを入れる。この場合後の加工処理を考慮し、尾部の切断までは行わない。
【0032】
頭部切断カッタ21及び尾部切断カッタ22で頭部(延髄)及び尾周辺の血管を切断されたカツオ01は、血抜き倉30に入り、ここで出血させる。血抜き倉30には、7℃〜15℃の温度に維持された海水又は海水より塩分濃度の薄い水が貯留され、活けしめしたカツオ01をここで1分以上投入する。
カツオは、延髄を切断されているが、心肺機能は停止しておらず、心臓のポンピング作用で血抜きが促進される。カツオは、尾部の血管を切断されているので、心臓のポンピング作用がさかんに行われても血管が負圧にならず、血抜き作用が促進される。
【0033】
血抜き倉30で血を出させることにより、カツオが次のブライン凍結倉に投入された時、ブラインが汚れることを防止することができる。ブラインが汚れると、ブラインクーラの熱交換機能が悪くなり、良質の魚肉をつくることができなくなる。この血抜き倉30は、1回の操業ごとに中の冷却水を交換する。
血抜き倉30での血抜き工程を終了した後、カツオ01は人手によって−20℃〜−17℃の温度に保持されたブライン凍結倉に投入される。これ以降の処理は前述のB1ブライン凍結法と同一である。
【0034】
次に活けしめ装置20の構成を図2〜4により説明する。図2〜4において、21は、頭部(延髄)切断カッタ、22は尾部切断カッタである。また201は、活けしめ装置20の本体を形成するフレームで、必要に応じ移動時に移動用キャスターが取り付けられる。202は装置本体の内部に傾斜して設けられたベースプレート、203は、カツオが搬送されるトイ12の端部が接続される開口であり、204は開口203を開閉するシャッタ、205は、シャッタ204を上下に駆動して開口203を開閉するエアシリンダで、そのピストンロッド205aがフローティングジョイント206を介してシャッタ204に接続されている。
また230は、ベースプレート202上に突設された停止板で、トイ12から開口203を通ってベースプレート202上に滑り込んできたカツオ01は停止板230に当って停止する。
【0035】
停止板230は、カツオ01の頭部が停止板230に当ったときに、頭部切断カッタ21の刃211がカツオ頭部の延髄の位置に来るようにベースプレート202上で位置決めされている。212は、刃211を上下に駆動するエアシリンダ、221は、尾部切断カッタ22の刃、222は、刃221を上下に駆動するエアシリンダである。なお尾部切断カッタ22は、図示しない駆動手段により停止板230との距離を調整可能に構成されている。
231は、カツオの頭部が停止板230に当るようにガイドするための頭ガイド、240は、カツオの魚体01がベースプレート202上で停止したときに、上方から下降して魚体を押える押え板であり、カツオの魚体の輪郭に沿った曲面をなしている。
【0036】
241は、押え板240を上下方向に駆動するエアシリンダで、そのピストンロッド241aには、フローティングジョイント242を介して横方向に先端プレート243が取り付けられ、先端プレート243に上下方向に取り付けられた支持板244に、押え板240がベースプレート202上に進入してきた魚体01に合わせて魚体01の前後方向に傾動可能に取り付けられている。240aは、尾部切断カッタ22の刃221が挿入されるため押え板240に穿設された開口である
245は、先端プレート246の両端に取り付けられたシャフトであり、246は、シャフト245を摺動可能に支持するブッシュハウジングである。
【0037】
頭部切断カッタ21の刃211は、エアシリンダ212のピストンロッド212aに、フローティングジョイント213、刃取付けプレート214、刃取付けボス215を介して接続されている。横方向に取り付けられた刃取付けプレート214は、その両端がシャフト216に接続され、シャフト216は、ブッシュハウジング217に摺動可能に支持されている。なおエアシリンダ212は、シリンダ取付けプレート218に固定されている。
また尾部切断カッタ22の刃221は、エアシリンダ222のピストンロッド222aに、フローティングジョイント223、刃取付けプレート224及び刃取付けボス225を介して接続されている。またエアシリンダ222は、シリンダ取付けプレート226に固定されている。
【0038】
232は、魚体01が停止板230に当ったことを検知して、シャッタ204のエアシリンダ205に開口203を閉じる指令を与えるとともに、頭部切断カッタ21のエアシリンダ212及び尾部切断カッタ22のエアシリンダ222に切断指令を与える近接スイッチである。頭スイッチ233は、魚体が挿入されたことを確認するためのスイッチで、魚体01が停止板230に接触した時に作動する。また219は、シリンダ取付けプレート218を固定する支柱であり、247は、シリンダ取付けプレート226を固定する支柱247である。
202aは、ベースプレート202の一部が分離されて、払い出しシュートを構成し、その下面にエアシリンダ251のピストンロッド251aが接続され、エアシリンダ251によって下降することによって切断工程が終了した魚体01を下方に払い出すように構成されている。
【0039】
260は、 下部シュート202aを固定するためのエアシリンダであり、そのピストンロッドにフローティングジョイント264を介してシャフト263が取り付けられ、下部シュート202aをベースプレート202と同一平面をなすように固定する場合には、シャフト263がブッシュ262及び受けブロック261に挿入される。また207は、ベースプレート202上にベースプレート202の長手方向に設けられ魚体のベースプレート202上からの脱落を防止するためのガイド板である。
【0040】
かかる構成を有する活けしめ装置において、トイ12の領域13で電気ショックで気絶したカツオ01は、開口203の手前に設けられた平板上で作業員の手で頭部を先にされて開口203からベースプレート202上に投入される。カツオがベースプレート202上を進入してその頭が停止板230に当たると、近接スイッチ232が作動してシャッタ204が下降して開口203を閉じるとともに、刃211及び刃具221が下降して魚体の延髄及び尾部の血管を切断する。
図5は、カツオの魚体を示す説明図である。図5において、刃211で延髄及び脳03を切断し、刃221でカツオの尾部付近にあるカツオ特有の突起011のうち尾側から2番目の突起と3番目の突起との間(図5中の切断位置c)を切断する。その理由は、カツオの主な血管が2番目と3番目との突起まで配置されており、切断位置cを切断することにより、血抜きを効率良く行うことができる。
なお第1実施例では、尾部の切断は血管のみを行い、尾びれ010を切り落とすことをしない。尾びれ010を切り落とさないことで、搬送その他の取り扱いを容易にする。
【0041】
切断処理後、エアシリンダ251を作動させて、下部シュート202aを下降させ、魚体01を下に払い出し、そのまま血抜き倉30に投入する。血抜き倉30で1分以上保持して血抜きを行う。このとき魚体01の心肺機能が停止していないので、心臓のポンピング作用にて脱血がさかんに行われる。特に尾部の血管を切断しているので、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならないので、脱血作用を長く維持することができる。
【0042】
血抜き倉30では、1分〜6分維持し、その後図15に示すブライン魚倉013aに投入して、−20℃〜−17℃の温度に4〜12時間維持して、ブライン凍結を行う。ブライン凍結を終了したら、ブライン魚倉013aからブラインを抜き、また魚体を他の魚倉に移し変えて、−50℃〜−40℃の温度で空冷冷凍保管する。あるいは魚体を他の魚倉に移し変えず、同じ魚倉でそのまま空冷冷凍保管してもよい。
【0043】
漁船内に図2〜4に示す活けしめ脱血装置を1台設置し、船上で活けしめ脱血カツオを処理した後、B−1凍結法と同じ凍結方法を行った後、港に水揚げした。漁船内で次の5種類―A)常温海水脱血(比較例)、B)15℃海水脱血(本発明)、C)5℃海水脱血(比較例)、D)5℃海水脱血尾無(尾切り)(比較例)、E)従来のB−1凍結―の凍結処理を行い、それぞれの凍結処理群から無作為に5尾を選別して、(1)ファット値、(2)色差、彩度、(3)魚肉の硬さを測定した結果(5尾平均値)を図6〜11に示す。
図6及び図7はファット値(脂肪含有量)(各処理法とも5尾平均値)を示し、どの処理法においても皮側、血合い、身のファット値(脂肪含有量)が薄いことがわかる。
【0044】
図8及び図9は、彩色データ(各処理法とも5尾平均値)を示し、図8は解凍後1℃の冷蔵庫で保管した場合、図9は解凍後7℃の冷蔵庫で保管した場合である。彩度は、赤身の色を評価する方法で、この値が大きいほど褐色傾向となる。図8及び図9から、彩度の継時変化は、脱血処理のほうがB−1処理より少なく、色持ちの良いことがわかり、脱血処理の効果があったことがわかる。特に本発明の15℃海水脱血の場合に、彩度が最も良く、かつ彩度の継時変化が最も少ないことがわかった。
また7℃保管のほうが1℃保管より色持ちが良いことがわかる。7℃保管では、5℃海水脱血尾無(尾切り)、5℃海水脱血、海水無脱血の順に色持ちが良かった。海水無脱血は初期彩度が小さく、脱血の効果が少ないと思われる。
【0045】
図10及び図11は、カツオの解凍後の肉の硬さ変化を示し、図10は解凍後1℃の冷蔵庫で保管した場合、図11は、解凍後7℃の冷蔵庫で保管した場合を示す。図10及び11から、活けしめ脱血の場合とB−1処理との間に大きな差はなかったが、解凍後の保管温度が7℃の場合で、5℃海水脱血の場合の硬さ変化が少ないことがわかる。
これらから魚肉の硬さの継時変化は、脱血の有無より、解凍後の保管温度が大きく影響することがわかった。なお図10で本発明の15℃海水脱血の場合が硬さ変化が最も少ないことがわかる。
【0046】
次に本発明により脱血処理したカツオ(A)と、比較例としてPS凍結方法(巻網で漁獲されたカツオのうち、最初の方に獲った鮮度の良いものを速やかにブライン凍結処理し、その後−50℃〜−40℃の保冷庫で保管したもの。鮮度が良く、刺身・たたき等の生食用に使用される。)により保管したカツオ(B)の官能試験結果を図12に示す。参加者は25人(男21人・女4人)である。
図12から本発明により脱血処理したほうが色合いが鮮やかで、カツオ独特の生臭さがなく、歯ごたえがあり、おいしいと感じた人が多かったことがわかる。
図13の(a)は、前記PS凍結方法で処理したカツオ(B)の魚肉の状態を示し、(b)は、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉の状態を示すカラー写真である。ともに解凍後6実施例間経過したものである。図13から、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉が(B)に比べて彩度が良く、鮮やかな赤身の色合いをもっていることがわかる。
【0047】
次に本発明により活けしめ脱血処理(15℃冷海水中で血抜き処理を実施)した場合と、比較例として常温(30℃)の海水中で血抜き処理した場合の官能試験結果(試食アンケート結果)を図14に示す。参加者は合計104人であった。なお図113中、5は良い評価、2は悪い評価、3及び4は中間の評価を示す。
図14から、本発明(冷海水血抜き)のほうが比較例(常温血抜き)より、色合い、味、食感が良く、かつ臭みがないと答えた人のほうが多かったことがわかる。
【0048】
かかる第1実施例によれば、活けしめ処理を行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させるようにすることにより、魚体温度が上がることを防止するとともに、打撲による内出血で肉質が低下することを防止し、また活けしめ装置20で活けしめする際に正確に延髄を切断及び尾部を切断することができる。
また活けしめ時、頭部の延髄のみならず尾部の血管を切断することにより、血抜き倉30での血抜きを効果的に行うことができ、特に尾側から2番目と3番目の突起の間を切断することにより、尾部の主な血管を正確に切断でき、かつ切断時の位置決めが容易になるという利点がある。
また尾部を残すことにより、後工程での取り扱いを容易にできるという利点がある。
【0049】
さらに血抜き倉30で7℃〜15℃の低温維持した冷却水中で1分以上、好ましくは1〜6分保持して脱血処理することにより、前述の官能試験結果に示すとおり、色合い、味、食感、臭みともに従来の処理方法又は比較例より優れており、血抜き効果が著しいことがわかる。
また血抜き処理後、−20℃〜−17℃のブライン倉中で急速に凍結することにより、魚肉の組織細胞内に生じる氷の結晶をより細かくし、これによって魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、活魚の活けしめ時に従来よりも血抜き効果を向上させ、これによって解凍後のアデノシン3燐酸の消費を大幅に抑制して活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制し、その結果活けしめした魚の鮮度を長い時間に亘って維持して、色合い、味、食感が良く、臭みのない付加価値の高い魚肉を市場に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は、本発明装置の第1実施例を上から視た模式図、(b)は同じく正面から視た模式図である。
【図2】前記第1実施例の活けしめ装置20の断面立面図である。
【図3】図1中のIII―III線に沿う断面側面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面側面図である。
【図5】カツオの魚体の説明図である。
【図6】前記第1実施例及び比較例のファット値を示す線図である。
【図7】比較例の魚肉のファット値を示す線図である。
【図8】前記第1実施例及び比較例の魚肉の彩度を示す線図である。
【図9】比較例の魚肉の彩度を示す線図である。
【図10】前記第1実施例及び比較例の魚肉の硬さを示す線図である。
【図11】比較例の魚肉の硬さを示す線図である。
【図12】前記第1実施例及び従来例の魚肉の官能試験結果を示す図表である。
【図13】(a)及び(b)は前記第1実施例及び比較例の魚肉のカラー写真である。
【図14】前記第1実施例及び比較例の魚肉の官能試験結果を示す図表である。
【図15】(a)及び(b)は従来のカツオの凍結方法を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
01 カツオ魚体
011、11 テント
012、12 トイ
013a、013b ブライン魚倉
13 電気ショック領域
014 冷却コイル
015 蓋
20 活けしめ装置
30 血抜き倉
21 頭部切断カッタ
22 尾部切断カッタ
201 フレーム
202 ベースプレート
202a 下部シュート
203 開口
204 シャッタ
205、212、222、241、251 エアシリンダ
207 ガイド板
211、221 刃
230 停止板
231 頭ガイド
233 近接スイッチ
240 押え板
251 エアシリンダ
260 下部シュート用エアシリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船の内部で活魚を活けしめ血抜きして冷凍保管する方法及び装置に関し、血抜きを従来より完全に行うことにより、魚体の鮮度を持続させ、魚肉の臭みをなくし、肉色及び味を向上させて付加価値を高めることができ、特にマグロ、カツオ、ハマチ、カンパチ等大型で紡錘形の体形を有する魚類に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来のB1凍結(ブライン凍結1級品)と称されるカツオの冷凍方法を説明する。図15は前記従来のカツオ冷凍方法を示す模式図である。図15において、例えばカツオ1本釣り漁船等で吊り上げられたカツオ01は、テント011に跳ね返り、トイ012に落ちて、トイ012を通って−17℃〜−20℃の温度に保持されたブラインが貯留されたブライン魚倉013aに蓋015から投入される。ブラインは漁船内に備えられたブラインクーラ(図示略)で前記温度に冷却される。014は、ブライン魚倉013aの内壁に設けられた冷却コイルで、ブライン凍結処理時には使用されず、後工程の空冷冷凍保管(−50℃〜−40℃)時に使用される。
【0003】
カツオ01は、ブライン魚倉013aでブライン凍結処理され、ブライン凍結終了後は、図15(b)に示すように、備え付けのブラインポンプ016によってブラインを魚倉013aから魚倉013bに移し変え、またカツオ01も人手によって他の魚倉に移し変え、冷却コイル014に冷媒を流してカツオ01を−50℃〜−40℃の温度域で空冷冷凍保管する。魚倉013は、1隻当り20倉くらいある。
【0004】
近年捕獲した魚の鮮度を高品位に保つために、活けしめと血抜きを行うことが欠かせない。
特にカツオはマグロに比べ格段に変色しやすく、その原因として、ミオグロビンのメト化はマグロより速く、またカツオのpHが低いこと、及びメト型色素に対する酵素的還元力が弱いこと等が原因と考えられる。
従来活けしめと血抜き処理は、熟練した作業員が行っていたが、手作業なので効率が悪く、また熟練を要するという問題があった。
【0005】
かかる問題を解決するため、特許文献1(特開2000−228941号公報)には、活けしめ血抜き処理の自動化を図った方法が開示されている。特許文献1に開示された方法は、奥下がりに傾斜させた支持台の両側に挟み板を配置し、前記支持台の奥側に当て止め部材を設け、前記支持台へ活魚を頭側から投入し、活魚の体側へ挟み板を押し当てて挟み押さえる挟み動作を複数回繰り返し固定した後に、掘削ドリルにより活魚の脳から延髄及びえらに達してくり抜くようにしたものである。
【0006】
また特許文献2(特開2003−38091号公報)には、活けしめを自動化するための装置として、魚が横に寝た状態で供給されるテーブルと、該テーブル上に供給された魚を定位させる手段と、魚に対して同時に進退される2本の刃物とを備えており、この2本の刃物のうち1本は、テーブル上に定位される魚の鰓部から頭部に刃先が位置しており、他の1本は、テーブル上に定位される魚の鰓部から咽喉側に刃先が位置している魚の活けしめ装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−228941号公報
【特許文献2】特開2003−38091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に開示された装置は、共に魚の脳、延髄及びえら等に同時に切り込みを入れ、活けしめと血抜きとを同時に行うものであるが、活けしめと血抜きとでは、魚体の切断場所が異なり、一方特許文献1及び2とも活けしめと血抜きを同列に扱っているため、血抜き効果がまだ十分ではなく、魚体の重量の3%程度(全血液の3分の1程度)のみの血を抜く程度に留まっている。
また動いている活魚の目標とする場所に正確に切り込みを入れることは容易ではなく、そのため魚体の個体ごとの血抜き効果のバラツキが大きいという問題がある。
【0009】
また活けしめした魚の血管内に血液が溜まったままであると、アデノシン3燐酸(ATP)が消費され続け、乳酸が増加してpH値の低下を招く自己消化が進行するため、肉質を軟化させて鮮度を低下させてしまうことになり、従って鮮度低下を防止するためには血抜きを確実にする必要がある。
魚のような下等脊椎動物は、単に脊髄を切断することによって大動脈の血管を抜いても、体内に張り巡らされた毛細血管内の血液を処理することができず、活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制することができない。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、活魚の活けしめ時において従来よりも血抜き効果を上げて、これによって解凍後のアデノシン3燐酸の消費を大幅に抑制して活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制し、その結果活けしめした魚の鮮度を長い時間に亘って維持するとともに、色合い、味等を向上させて付加価値を高める方法及びその方法を実施するための装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の活魚の冷凍方法は、
活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍方法において、
活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、
前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水水槽に1分以上保持する血抜きステップと、
血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、
その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする。
【0012】
本発明方法においては、まず活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う。即ち活魚の延髄を切断することにより、魚体の動きを止め、また活魚の心肺機能が働いている状態で、7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する。
このように魚を心肺機能が生きている状態で冷却水槽に投入すると、心臓のポンピング作用により血液が体外に排出される。この場合冷却水槽には、海水または海水より塩分濃度の薄い水を貯留する。
7℃より低温にすると、低温により死ぬ魚が発生してくるため、冷却水の温度を7℃以上に保持するとともに、冷却水の温度を15℃以下に保持することにより、後述する試験結果が示すように、血抜き効果を上げ、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、解凍後の色の彩度を向上させ、かつ魚特有の生臭さを解消することができる。
【0013】
魚のような下等脊椎動物は、大動脈を切断して大動脈の血液を抜いても、体内に張り巡らされた毛細血管内の血液を処理することができず、血管内に血液が溜まったままであると、アデノシン3燐酸が消費され続ける自己消化が進行するため、肉質を軟化させて鮮度を低下させてしまう。
本発明では、上記のように活けしめ後、魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させて、解凍後の魚の肉質の鮮度を長い時間に亘って維持することができる。
冷却水槽での保持時間は、少なくとも1分以上必要であり、好ましくは1〜6分とする。通常これ以上保持する必要はない。
【0014】
その後血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持する。
凍結時細胞内にある水分の結晶が大きいほど、肉質は変化する。水分の結晶が大きいほど、ドリップと呼ばれる肉汁が出てしまう。これを解決するために細胞内の水分をできるだけ細かい結晶にして凍結する必要があるが、これは氷結晶最大生成帯の冷却温度(−5℃〜−1℃)を短時間で通過させる急速凍結によって解決される。即ちブラインの凍結温度が低いほど、急速凍結が行われ、凍結物の組織細胞内に生じる氷の結晶はより細かになり、細胞のこわれも少なく、品質が向上する。
【0015】
このため本発明においては、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃に設定されたブライン凍結槽に投入する。これによって−5℃〜−1℃の温度帯域を短時間で通過させる急速凍結が可能となる。ブラインとして安価な食塩の飽和水を用いれば、安価に大量の魚を上記温度範囲で凍結処理することができる。ブライン凍結槽での魚体の浸漬時間は4〜12時間を必要とする。
本発明では、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する。このような温度帯に維持することにより、魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
この空冷槽では、例えばヘアピンコイルやグリッドコイルを空冷槽の壁面に設け、そこに冷媒を通して冷却する。なお本発明では、前記ブライン凍結処理と前記空冷による冷凍保管とを同一の槽で行ってもよい。即ちブライン凍結終了後、ブライン凍結槽からブラインを抜いて、その後同じ槽で空冷による冷凍保管を行う。
【0016】
本発明方法において、好ましくは、前記活けしめステップとして、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか、又は活魚の尾部の血管を切断するようにする。尾部の血管が切断され、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管内に負圧が発生せず、心臓のポンピング作用による血抜きを連続的に行うことができる。
なお尾部の血管のみを切断して、尾部を切断しない場合は、後工程の加工処理で尾部を把持した搬送、その他の処理が可能となり、取り扱いが容易になる。
【0017】
また本発明方法において、好ましくは、前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させるようにする。活魚を捕獲した後漁船内で活魚があばれると、打撲による内出血が生じ、そのため肉質が低下するという問題がある。また活けしめ装置で活けしめする際に魚があばれて正確に魚の延髄を切断できない場合がある。
そのため活けしめ処理を行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させ、活けしめ処理を正確に行えるようにする。
【0018】
なお活魚がカツオの場合、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目の間を切断位置とすることが望ましい。なぜならカツオの場合前記突起の尾部から2番目と3番目の間まで比較的大きな血管が通っており、この部分を切断することにより、その血管を切断できるためであり、これによって心臓のポンピング作用による血抜きを活発にすることができる。
【0019】
また本発明装置は、
魚船の内部で活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍装置において、
捕獲した活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめする装置と、
7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留する血抜き用冷却水槽と、
−20℃〜−17℃の温度に凍結するようなブライン濃度に設定され血抜きした魚を凍結するブライン凍結槽と、
−50℃〜−40℃の温度に保持され前記ブライン凍結槽で凍結された魚を冷凍保存する冷凍槽とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明装置は、漁船の内部で捕獲した活魚の活けしめ、血抜き及び凍結処理を行うため、漁船の内部に活けしめ装置及び血抜き処理を行うための専用の冷却水槽を設けるものであり、これによって漁船内で前述の本発明方法の実施が可能になる。なお前記血抜き用冷却水槽には、7℃〜15℃に保持された海水又は海水より塩分濃度の薄い冷却水を貯留する。
前記冷却水槽中の冷却水の冷却手段は、漁船に備え付けの冷凍機で冷却してもよいし、いわし等のえさ用生簀の冷却された海水を導入して前記温度範囲になるようにしてもよい。
【0021】
本発明装置において、好ましくは、前記活けしめ装置は、
活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えるようにする。
【0022】
前記構成を有する活けしめ装置においては、活魚の搬送路から前記導入口を経て前記ベースプレートに活魚を導入する。なお前記導入口にはシャッタを設けて活魚がベースプレートに導入されると同時に、導入口を閉じるようにしてもよい。
前記導入口から活けしめ装置内に導入された活魚は、ベースプレート上を滑り、前記停止板に当って停止する。停止すると同時に、前記センサがそれを感知して前記押え手段がベースプレートの上方から下降してきて魚を押えるとともに、前記頭部切断カッタを活魚に向かって接近させ、活魚の延髄を切断する。前記停止板は、活魚が停止板に当って停止した位置で前記頭部切断カッタが活魚の延髄を切断できる位置に設けられている。
延髄を切断された魚体は、前記排出手段によってベースプレートから排出される。
【0023】
本発明装置において、さらに好ましくは、前記構成に加えて、活魚が前記停止板に突き当たるのを感知する前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は尾部の血管を切断するカッタを備えるようにする。
活魚の延髄のみならず尾部の血管を切断することにより、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならず、血抜きがさらに活発に行われる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設け、これによって活魚を一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明活魚の冷凍方法によれば、活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持する血抜きステップと、血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に6時間以上保持するブライン処理ステップと、その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなり、活けしめ後血抜きステップとして、活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該水槽に1分以上保持することにより、血抜き効果を向上させることができ、この血抜きステップと、その後の前記温度帯を有するブライン凍結処理及び空冷冷凍保管とを組み合わせることにより、解凍後の魚体の鮮度を長く保持することができるとともに、肉の彩度を向上させ、また味においても魚特有の生臭さをなくし、良質な肉質と肉色を維持することができる。
【0025】
また好ましくは、前記活けしめステップとして、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか又は活魚の尾部の血管を切断することにより、血抜き効果を一層向上させることができ、また好ましくは、前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させることにより、活けしめ時の処理を容易にし、正確に魚の延髄を切断できるため、血抜き効果のバラツキを解消することができる。
なお尾部の血管のみを切断し、尾部を残しておけば、魚体の搬送、その他の取り扱いが容易となる。
【0026】
また活魚がカツオの場合は、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目との間を切断することにより、尾部にある主要な血管を確実に切断することができて、血抜き効果を確実に向上させることができる。
また前記突起を目安として尾部の正確な切断位置が容易に確認できるため、尾部切断カッタの設置位置を容易に設定することができる。
【0027】
また好ましくは、前記活けしめ装置が、活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えたことにより、活けしめ処理を自動化し、一匹当りの所要時間を大幅に短縮化でき、さらに活魚の延髄を正確に切断することができる。
【0028】
また本発明装置において、好ましくは、活魚が前記停止板に突き当たるのを感知する前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は尾部の血管を切断するカッタを備えることにより、活魚の延髄のみならず尾部の血管を切断し、血管が外気と連通することにより、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならず、血抜きを連続的に行うことができる。
また本発明装置において、好ましくは、捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設け、これによって活魚を一時的に気絶させ、活けしめ装置での活けしめ処理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1(a)は、本発明装置の第1実施例の上から視た模式図、(b)は正面から視た模式図、図2は、第1実施例の活けしめ装置20の断面立面図、図3は図1中のIII―III線に沿う断面側面図、図4は、図1のIV−IV線に沿う断面側面図、図5は、カツオの魚体を示す説明図、図6は前記の第1実施例及び比較例のファット値を示す線図、図7は、比較例のファット値を示す線図、図8は、前記第1実施例及び比較例の彩度を示す線図、図9は、比較例の彩度を示す線図、図10は、前記第1実施例及び比較例の魚肉の硬さを示す線図、図11は、比較例の魚肉の硬さを示す線図、図12は、前記第1実施例及び従来例の官能試験結果を示す図表、図13の(a)及び(b)は前記第1実施例及び比較例の魚肉のカラー写真、図14は、前記第1実施例及び比較例の官能試験結果を示す図表である。
【実施例1】
【0030】
図1において、11は、吊り上げられたカツオ01を受けるテントであり、カツオ01はテント11で跳ね返ってトイ12に落ちる。ここまでは図14に示す従来のB1ブライン凍結法と同一である。トイ12は一方に傾斜しており、カツオ01はトイ12内の傾斜面を滑って領域13に到達する。領域13では、例えば12ボルトの電圧を負荷された端子等が設置されていて、カツオ01がその領域に入ると、電気ショックを受けるようになっている。
【0031】
電気ショックで気絶したカツオ01は、そのままトイ12を滑って、活けしめ装置20に投入される。この電気ショックによりカツオがあばれる前におとなしくさせて、魚体温度が上がることを防止している。活けしめ装置20では、頭部切断カッタ21でカツオの延髄を切断して活けしめを行うと同時に、尾部切断カッタ22で尾周辺の血管のみを切断する切込みを入れる。この場合後の加工処理を考慮し、尾部の切断までは行わない。
【0032】
頭部切断カッタ21及び尾部切断カッタ22で頭部(延髄)及び尾周辺の血管を切断されたカツオ01は、血抜き倉30に入り、ここで出血させる。血抜き倉30には、7℃〜15℃の温度に維持された海水又は海水より塩分濃度の薄い水が貯留され、活けしめしたカツオ01をここで1分以上投入する。
カツオは、延髄を切断されているが、心肺機能は停止しておらず、心臓のポンピング作用で血抜きが促進される。カツオは、尾部の血管を切断されているので、心臓のポンピング作用がさかんに行われても血管が負圧にならず、血抜き作用が促進される。
【0033】
血抜き倉30で血を出させることにより、カツオが次のブライン凍結倉に投入された時、ブラインが汚れることを防止することができる。ブラインが汚れると、ブラインクーラの熱交換機能が悪くなり、良質の魚肉をつくることができなくなる。この血抜き倉30は、1回の操業ごとに中の冷却水を交換する。
血抜き倉30での血抜き工程を終了した後、カツオ01は人手によって−20℃〜−17℃の温度に保持されたブライン凍結倉に投入される。これ以降の処理は前述のB1ブライン凍結法と同一である。
【0034】
次に活けしめ装置20の構成を図2〜4により説明する。図2〜4において、21は、頭部(延髄)切断カッタ、22は尾部切断カッタである。また201は、活けしめ装置20の本体を形成するフレームで、必要に応じ移動時に移動用キャスターが取り付けられる。202は装置本体の内部に傾斜して設けられたベースプレート、203は、カツオが搬送されるトイ12の端部が接続される開口であり、204は開口203を開閉するシャッタ、205は、シャッタ204を上下に駆動して開口203を開閉するエアシリンダで、そのピストンロッド205aがフローティングジョイント206を介してシャッタ204に接続されている。
また230は、ベースプレート202上に突設された停止板で、トイ12から開口203を通ってベースプレート202上に滑り込んできたカツオ01は停止板230に当って停止する。
【0035】
停止板230は、カツオ01の頭部が停止板230に当ったときに、頭部切断カッタ21の刃211がカツオ頭部の延髄の位置に来るようにベースプレート202上で位置決めされている。212は、刃211を上下に駆動するエアシリンダ、221は、尾部切断カッタ22の刃、222は、刃221を上下に駆動するエアシリンダである。なお尾部切断カッタ22は、図示しない駆動手段により停止板230との距離を調整可能に構成されている。
231は、カツオの頭部が停止板230に当るようにガイドするための頭ガイド、240は、カツオの魚体01がベースプレート202上で停止したときに、上方から下降して魚体を押える押え板であり、カツオの魚体の輪郭に沿った曲面をなしている。
【0036】
241は、押え板240を上下方向に駆動するエアシリンダで、そのピストンロッド241aには、フローティングジョイント242を介して横方向に先端プレート243が取り付けられ、先端プレート243に上下方向に取り付けられた支持板244に、押え板240がベースプレート202上に進入してきた魚体01に合わせて魚体01の前後方向に傾動可能に取り付けられている。240aは、尾部切断カッタ22の刃221が挿入されるため押え板240に穿設された開口である
245は、先端プレート246の両端に取り付けられたシャフトであり、246は、シャフト245を摺動可能に支持するブッシュハウジングである。
【0037】
頭部切断カッタ21の刃211は、エアシリンダ212のピストンロッド212aに、フローティングジョイント213、刃取付けプレート214、刃取付けボス215を介して接続されている。横方向に取り付けられた刃取付けプレート214は、その両端がシャフト216に接続され、シャフト216は、ブッシュハウジング217に摺動可能に支持されている。なおエアシリンダ212は、シリンダ取付けプレート218に固定されている。
また尾部切断カッタ22の刃221は、エアシリンダ222のピストンロッド222aに、フローティングジョイント223、刃取付けプレート224及び刃取付けボス225を介して接続されている。またエアシリンダ222は、シリンダ取付けプレート226に固定されている。
【0038】
232は、魚体01が停止板230に当ったことを検知して、シャッタ204のエアシリンダ205に開口203を閉じる指令を与えるとともに、頭部切断カッタ21のエアシリンダ212及び尾部切断カッタ22のエアシリンダ222に切断指令を与える近接スイッチである。頭スイッチ233は、魚体が挿入されたことを確認するためのスイッチで、魚体01が停止板230に接触した時に作動する。また219は、シリンダ取付けプレート218を固定する支柱であり、247は、シリンダ取付けプレート226を固定する支柱247である。
202aは、ベースプレート202の一部が分離されて、払い出しシュートを構成し、その下面にエアシリンダ251のピストンロッド251aが接続され、エアシリンダ251によって下降することによって切断工程が終了した魚体01を下方に払い出すように構成されている。
【0039】
260は、 下部シュート202aを固定するためのエアシリンダであり、そのピストンロッドにフローティングジョイント264を介してシャフト263が取り付けられ、下部シュート202aをベースプレート202と同一平面をなすように固定する場合には、シャフト263がブッシュ262及び受けブロック261に挿入される。また207は、ベースプレート202上にベースプレート202の長手方向に設けられ魚体のベースプレート202上からの脱落を防止するためのガイド板である。
【0040】
かかる構成を有する活けしめ装置において、トイ12の領域13で電気ショックで気絶したカツオ01は、開口203の手前に設けられた平板上で作業員の手で頭部を先にされて開口203からベースプレート202上に投入される。カツオがベースプレート202上を進入してその頭が停止板230に当たると、近接スイッチ232が作動してシャッタ204が下降して開口203を閉じるとともに、刃211及び刃具221が下降して魚体の延髄及び尾部の血管を切断する。
図5は、カツオの魚体を示す説明図である。図5において、刃211で延髄及び脳03を切断し、刃221でカツオの尾部付近にあるカツオ特有の突起011のうち尾側から2番目の突起と3番目の突起との間(図5中の切断位置c)を切断する。その理由は、カツオの主な血管が2番目と3番目との突起まで配置されており、切断位置cを切断することにより、血抜きを効率良く行うことができる。
なお第1実施例では、尾部の切断は血管のみを行い、尾びれ010を切り落とすことをしない。尾びれ010を切り落とさないことで、搬送その他の取り扱いを容易にする。
【0041】
切断処理後、エアシリンダ251を作動させて、下部シュート202aを下降させ、魚体01を下に払い出し、そのまま血抜き倉30に投入する。血抜き倉30で1分以上保持して血抜きを行う。このとき魚体01の心肺機能が停止していないので、心臓のポンピング作用にて脱血がさかんに行われる。特に尾部の血管を切断しているので、心臓のポンピング作用によっても血管の内部が負圧にならないので、脱血作用を長く維持することができる。
【0042】
血抜き倉30では、1分〜6分維持し、その後図15に示すブライン魚倉013aに投入して、−20℃〜−17℃の温度に4〜12時間維持して、ブライン凍結を行う。ブライン凍結を終了したら、ブライン魚倉013aからブラインを抜き、また魚体を他の魚倉に移し変えて、−50℃〜−40℃の温度で空冷冷凍保管する。あるいは魚体を他の魚倉に移し変えず、同じ魚倉でそのまま空冷冷凍保管してもよい。
【0043】
漁船内に図2〜4に示す活けしめ脱血装置を1台設置し、船上で活けしめ脱血カツオを処理した後、B−1凍結法と同じ凍結方法を行った後、港に水揚げした。漁船内で次の5種類―A)常温海水脱血(比較例)、B)15℃海水脱血(本発明)、C)5℃海水脱血(比較例)、D)5℃海水脱血尾無(尾切り)(比較例)、E)従来のB−1凍結―の凍結処理を行い、それぞれの凍結処理群から無作為に5尾を選別して、(1)ファット値、(2)色差、彩度、(3)魚肉の硬さを測定した結果(5尾平均値)を図6〜11に示す。
図6及び図7はファット値(脂肪含有量)(各処理法とも5尾平均値)を示し、どの処理法においても皮側、血合い、身のファット値(脂肪含有量)が薄いことがわかる。
【0044】
図8及び図9は、彩色データ(各処理法とも5尾平均値)を示し、図8は解凍後1℃の冷蔵庫で保管した場合、図9は解凍後7℃の冷蔵庫で保管した場合である。彩度は、赤身の色を評価する方法で、この値が大きいほど褐色傾向となる。図8及び図9から、彩度の継時変化は、脱血処理のほうがB−1処理より少なく、色持ちの良いことがわかり、脱血処理の効果があったことがわかる。特に本発明の15℃海水脱血の場合に、彩度が最も良く、かつ彩度の継時変化が最も少ないことがわかった。
また7℃保管のほうが1℃保管より色持ちが良いことがわかる。7℃保管では、5℃海水脱血尾無(尾切り)、5℃海水脱血、海水無脱血の順に色持ちが良かった。海水無脱血は初期彩度が小さく、脱血の効果が少ないと思われる。
【0045】
図10及び図11は、カツオの解凍後の肉の硬さ変化を示し、図10は解凍後1℃の冷蔵庫で保管した場合、図11は、解凍後7℃の冷蔵庫で保管した場合を示す。図10及び11から、活けしめ脱血の場合とB−1処理との間に大きな差はなかったが、解凍後の保管温度が7℃の場合で、5℃海水脱血の場合の硬さ変化が少ないことがわかる。
これらから魚肉の硬さの継時変化は、脱血の有無より、解凍後の保管温度が大きく影響することがわかった。なお図10で本発明の15℃海水脱血の場合が硬さ変化が最も少ないことがわかる。
【0046】
次に本発明により脱血処理したカツオ(A)と、比較例としてPS凍結方法(巻網で漁獲されたカツオのうち、最初の方に獲った鮮度の良いものを速やかにブライン凍結処理し、その後−50℃〜−40℃の保冷庫で保管したもの。鮮度が良く、刺身・たたき等の生食用に使用される。)により保管したカツオ(B)の官能試験結果を図12に示す。参加者は25人(男21人・女4人)である。
図12から本発明により脱血処理したほうが色合いが鮮やかで、カツオ独特の生臭さがなく、歯ごたえがあり、おいしいと感じた人が多かったことがわかる。
図13の(a)は、前記PS凍結方法で処理したカツオ(B)の魚肉の状態を示し、(b)は、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉の状態を示すカラー写真である。ともに解凍後6実施例間経過したものである。図13から、本発明により脱血処理したカツオ(A)の魚肉が(B)に比べて彩度が良く、鮮やかな赤身の色合いをもっていることがわかる。
【0047】
次に本発明により活けしめ脱血処理(15℃冷海水中で血抜き処理を実施)した場合と、比較例として常温(30℃)の海水中で血抜き処理した場合の官能試験結果(試食アンケート結果)を図14に示す。参加者は合計104人であった。なお図113中、5は良い評価、2は悪い評価、3及び4は中間の評価を示す。
図14から、本発明(冷海水血抜き)のほうが比較例(常温血抜き)より、色合い、味、食感が良く、かつ臭みがないと答えた人のほうが多かったことがわかる。
【0048】
かかる第1実施例によれば、活けしめ処理を行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させるようにすることにより、魚体温度が上がることを防止するとともに、打撲による内出血で肉質が低下することを防止し、また活けしめ装置20で活けしめする際に正確に延髄を切断及び尾部を切断することができる。
また活けしめ時、頭部の延髄のみならず尾部の血管を切断することにより、血抜き倉30での血抜きを効果的に行うことができ、特に尾側から2番目と3番目の突起の間を切断することにより、尾部の主な血管を正確に切断でき、かつ切断時の位置決めが容易になるという利点がある。
また尾部を残すことにより、後工程での取り扱いを容易にできるという利点がある。
【0049】
さらに血抜き倉30で7℃〜15℃の低温維持した冷却水中で1分以上、好ましくは1〜6分保持して脱血処理することにより、前述の官能試験結果に示すとおり、色合い、味、食感、臭みともに従来の処理方法又は比較例より優れており、血抜き効果が著しいことがわかる。
また血抜き処理後、−20℃〜−17℃のブライン倉中で急速に凍結することにより、魚肉の組織細胞内に生じる氷の結晶をより細かくし、これによって魚体の良質な肉質と肉食を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、活魚の活けしめ時に従来よりも血抜き効果を向上させ、これによって解凍後のアデノシン3燐酸の消費を大幅に抑制して活けしめ魚の自己消化を大幅に抑制し、その結果活けしめした魚の鮮度を長い時間に亘って維持して、色合い、味、食感が良く、臭みのない付加価値の高い魚肉を市場に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は、本発明装置の第1実施例を上から視た模式図、(b)は同じく正面から視た模式図である。
【図2】前記第1実施例の活けしめ装置20の断面立面図である。
【図3】図1中のIII―III線に沿う断面側面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面側面図である。
【図5】カツオの魚体の説明図である。
【図6】前記第1実施例及び比較例のファット値を示す線図である。
【図7】比較例の魚肉のファット値を示す線図である。
【図8】前記第1実施例及び比較例の魚肉の彩度を示す線図である。
【図9】比較例の魚肉の彩度を示す線図である。
【図10】前記第1実施例及び比較例の魚肉の硬さを示す線図である。
【図11】比較例の魚肉の硬さを示す線図である。
【図12】前記第1実施例及び従来例の魚肉の官能試験結果を示す図表である。
【図13】(a)及び(b)は前記第1実施例及び比較例の魚肉のカラー写真である。
【図14】前記第1実施例及び比較例の魚肉の官能試験結果を示す図表である。
【図15】(a)及び(b)は従来のカツオの凍結方法を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
01 カツオ魚体
011、11 テント
012、12 トイ
013a、013b ブライン魚倉
13 電気ショック領域
014 冷却コイル
015 蓋
20 活けしめ装置
30 血抜き倉
21 頭部切断カッタ
22 尾部切断カッタ
201 フレーム
202 ベースプレート
202a 下部シュート
203 開口
204 シャッタ
205、212、222、241、251 エアシリンダ
207 ガイド板
211、221 刃
230 停止板
231 頭ガイド
233 近接スイッチ
240 押え板
251 エアシリンダ
260 下部シュート用エアシリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍方法において、
活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、
前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水槽に1分以上保持する血抜きステップと、
血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持するブライン処理ステップと、
その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする活魚の冷凍方法。
【請求項2】
前記活けしめステップにおいて、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか又は活魚の尾部の血管を切断することを特徴とする請求項1記載の活魚の冷凍方法。
【請求項3】
前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させることを特徴とする請求項1記載の活魚の冷凍方法。
【請求項4】
前記活魚がカツオであり、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目との間を切断位置とすることを特徴とする請求項2記載の活魚の冷凍方法。
【請求項5】
魚船の内部で活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍装置において、
捕獲した活魚の延髄を切断して活けしめする装置と、
7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留する血抜き用冷却水槽と、
−20℃〜−17℃の温度に凍結するようなブライン濃度に設定され血抜きした魚を凍結するブライン凍結槽と、
−50℃〜−40℃の温度に保持され前記ブライン凍結槽で凍結された魚を冷凍保存する冷凍槽とを備えたことを特徴とする魚の冷凍装置。
【請求項6】
捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設けたことを特徴とする請求項5記載の活魚の冷凍装置。
【請求項7】
前記活けしめ装置が、
活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えたことを特徴とする請求項5記載の活魚の冷凍装置。
【請求項8】
活魚が前記停止板に突き当たるのを感知した前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は活魚の尾部の血管を切断するカッタを備えたことを特徴とする請求項7記載の活魚の冷凍装置。
【請求項1】
活魚を捕獲後、活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍方法において、
活魚を捕獲後、活魚の延髄を切断して活魚の心肺機能を停止させない状態で活けしめを行う活けしめステップと、
前記活けしめ魚を7℃〜15℃の温度に保持した冷却水槽に投入し該冷却水槽に1分以上保持する血抜きステップと、
血抜き処理した魚を−20℃〜−17℃の温度で凍結するようなブライン濃度に設定されたブライン凍結槽に投入し該ブライン凍結槽に4時間以上保持するブライン処理ステップと、
その後−50℃〜−40℃の温度に保持した空冷槽で冷凍保管する保管ステップとからなることを特徴とする活魚の冷凍方法。
【請求項2】
前記活けしめステップにおいて、活魚の延髄を切断するとともに、活魚の尾部を切断するか又は活魚の尾部の血管を切断することを特徴とする請求項1記載の活魚の冷凍方法。
【請求項3】
前記活けしめステップを行う前に活魚に電気ショックを与え一時的に気絶させることを特徴とする請求項1記載の活魚の冷凍方法。
【請求項4】
前記活魚がカツオであり、カツオの尾部から前側に向かって背側及び腹側に列状に並ぶ複数の突起のうち尾部から2番目と3番目との間を切断位置とすることを特徴とする請求項2記載の活魚の冷凍方法。
【請求項5】
魚船の内部で活魚を活けしめ血抜きし、その後冷凍して保管する活魚の冷凍装置において、
捕獲した活魚の延髄を切断して活けしめする装置と、
7〜15℃の温度に保持された冷却水を貯留する血抜き用冷却水槽と、
−20℃〜−17℃の温度に凍結するようなブライン濃度に設定され血抜きした魚を凍結するブライン凍結槽と、
−50℃〜−40℃の温度に保持され前記ブライン凍結槽で凍結された魚を冷凍保存する冷凍槽とを備えたことを特徴とする魚の冷凍装置。
【請求項6】
捕獲した活魚を前記活けしめ装置に搬送する通路に活魚に電気ショックを与える領域を設けたことを特徴とする請求項5記載の活魚の冷凍装置。
【請求項7】
前記活けしめ装置が、
活魚の搬送路に連なり活魚が頭部から導入される導入口と、
前記導入口から下降に傾斜して配設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの上方から活魚を押える押え手段と、
前記ベースプレートの上方に前記ベースプレートに対して接近又は離反可能に設けられ活魚の頭部を切断するカッタと、
前記ベースプレート上に設けられ活魚を前記頭部切断カッタにより延髄を切断される位置に停止させる停止板と、
前記停止板に設けられ活魚が前記停止板に突き当たるのを感知して前記押え手段を下降させるとともに、前記頭部切断カッタを前記ベースプレートに向かって活魚の延髄切断位置まで接近させるセンサと、
活けしめされた魚体を前記ベースプレートから排出する手段とを備えたことを特徴とする請求項5記載の活魚の冷凍装置。
【請求項8】
活魚が前記停止板に突き当たるのを感知した前記センサの信号を受けて活魚の尾部又は活魚の尾部の血管を切断するカッタを備えたことを特徴とする請求項7記載の活魚の冷凍装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−61051(P2007−61051A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253954(P2005−253954)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]