流れ算出方法、流れ算出装置およびプログラム
【課題】対象となる形状を流れる流体の流れについて、計算時間を抑えてより正確な数値解を得る。
【解決手段】対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式を有限要素法で解いた初期数値解を求める初期段階と、前記レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正段階と、前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式を再び有限要素法で解いて再出数値解を求めて出力する再出段階とを備える。
【解決手段】対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式を有限要素法で解いた初期数値解を求める初期段階と、前記レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正段階と、前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式を再び有限要素法で解いて再出数値解を求めて出力する再出段階とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法、流れ算出装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気軸受等の対象となる形状を流れる流体の流れを算出する方法として、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で数値的に解く方法がある(非特許文献1から3)。しかしながら、ナビエ・ストークス方程式を直接的に解く方法は、計算に要する時間が非常に長い。たとえば、数十mm角の空気軸受の流れを計算するのに、数十時間から数百時間を要することもある。そこで、他の方法として、ナビエ・ストークスを近似したレイノルズ方程式を有限要素法で数値的に解く方法もある。
【非特許文献1】「気体軸受 設計ガイドブック」十合晋一著 共立出版
【非特許文献2】「有限要素法による表面絞り形静圧空気軸受けの解析」Lin Gang 慶応大
【非特許文献3】「静圧気体軸受けにおけるナビエ・ストークス方程式に基づいた数値解析」精密工学会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レイノルズ方程式は流れの乱れを平均化した近似なので、乱れの影響が大きい流れについては、数値解に生じる誤差が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期段階(S212)と、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正段階(S216)と、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出段階(S218)とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出装置(200)であって、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期値算出部(210)と、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正部(230)と、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出値算出部(240)とを備える。
【0006】
本発明の第3の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出するコンピュータを制御するプログラムであって、コンピュータに、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期手順、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正手順、および、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出手順を実行させるプログラムが提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態により流れが計算される対象となる空気軸受100の一例を示す斜視図であり、図2は、その断面図である。空気軸受100は、軸受本体110と、対向部材160の対向面170に対向する軸受面130、流体の一例としての空気が流れる流路120、流路120における軸受面130側の端部に設けられた給気口150、給気口150の周囲に配されたポケット部140を有する。流路120を通って供給された圧縮空気が給気口150、ポケット部140および軸受面130に流れることによって、空気軸受100が対向部材160を支持する。ここで、図1および図2に示す流路120は、給気口150に向かって先細の径を有すると共に給気口150の先端にポケット部140を有する、オリフィス絞りの形状を有する。
【0010】
図1および図2に示す空気軸受100に流れる空気の流れを計算する方法として、空気が従うナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解く有限体積法がある。この有限体積法は、空気軸受100を微小な体積要素に分割し、所与の計算条件の下で当該体積要素が従う方程式を数値的に解く。ここで、計算条件には、各体積要素の節点(ノードともいう)の座標、流体の物性である粘性、密度、圧縮性および温度、並びに、境界条件である給気圧および大気圧等が含まれる。また、ナビエ・ストークス方程式における乱流をモデル化する方法として、例えば、k−ε法がある。これらを用いて、空気軸受100の各点での空気の圧力分布、流速等が計算される。
【0011】
上記有限体積法は、計算を簡略にするための仮定条件やモデル化がほとんどないので計算の精度が高い。一方で、上記有限体積法は、節点が三次元空間に配されるのでその数が多く、さらに、乱流を考慮しているので計算式が複雑になり、結果として計算時間が長くなる。例えば、空気軸受100の外形が数十mm角程度の大きさの場合に、節点の数は数万から数十万個となり、計算時間は数十時間から数百時間に及ぶ。そこで、本実施形態は、計算時間を長くすることなく、対象となる形状に対する流れをより正確に算出することを目的とする。
【0012】
図3は、本実施形態の流れ算出装置200のブロック図を示す。流れ算出装置200は、初期値算出部210と、関係算出部220と、補正部230と、再出値算出部240と、計算値格納部250とを備える。また、流れ算出装置200は、パーソナルコンピュータ等であって、記憶媒体またはネットワークからプログラムがインストールされることにより、上記初期値算出部210から計算値格納部250の手順を実行してもよい。
【0013】
初期値算出部210は、空気軸受100の形状等を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める。レイノルズ方程式の流れを数値的に解く方法の一例として、有限要素法を用いる。関係算出部220は、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解と、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解と、の関係を、空気軸受100の形状毎に求める。補正部230は、関係算出部220により算出された上記関係に基づいて、初期値算出部210により算出された初期数値解を補正した補正解を求める。再出値算出部240は、補正部230により補正された補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式を再び有限要素法で解いて再出数値解を求めて計算値格納部250に出力する。計算値格納部250は、再出値算出部240により算出された再出数値解を格納するとともに、外部からの要求に応じてこれをディスプレイ、プリンタ等に出力する。
【0014】
さらに、関係算出部220は、参照値算出部222と関係格納部224とを有する。参照値算出部222は、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で数値的に解く。また、関係格納部224は、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解と、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解と、の関係を格納する。ここで、図3に示す関係算出部220は、上記関係を補正関数の形で決定し、関係格納部224に格納する。
【0015】
図4は、流れ算出装置200が補正関数を決定する動作(S100)のフローチャートの一例である。この補正関数は、空気軸受100の絞りの形状毎に算出される。以下、図1および図2に示す空気軸受100の絞りの形状として、オリフィス絞りについて計算するものとする。
【0016】
まず、初期値算出部210は、計算の対象とする形状パターンを含む計算条件を外部から取得し、関係算出部220に受け渡す(S110)。この計算条件は、一旦、関係算出部220の関係格納部224に格納されてもよい。以下、初期値算出部210は当該計算条件に基づいてレイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解を求めるとともに、参照値算出部222が当該計算条件に基づいてナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解を求める。
【0017】
初期値算出部210は、計算条件に基づいて、パラメータを設定する(S112)。ここで、パラメータの一例は、図1における軸受間距離h、および、流路120に供給される供給圧Psであり、初期値として0が設定される。
【0018】
次に、初期値算出部210は当該パラメータを含む計算条件で、レイノルズ方程式を有限要素法(以下、RA−FEM法という)を用いて数値的に解く(S114)。ここで、レイノルズ方程式は、ナビエ・ストークス方程式に、等温流、層流、および、流れのZ方向の成分は均一、との仮定条件をおいた近似式である。
【0019】
また、初期値算出部210は、有限要素法として形状パターンを二次元の要素に分解して計算する。この場合に、初期値算出部210は、計算条件として、二次元的に配列された要素の節点のXY座標、絞りの形状を示すデータ、絞りに連結されたポケット部140の深さおよび大きさ、流体の物性として粘性および密度、境界条件として給気圧Psおよび大気圧Pa、並びに、上記パラメータとして軸受間距離hを用いる。この計算条件を用いて、初期値算出部210は、空気軸受100の節点毎の圧力分布を算出する。なお、ステップS114の計算において、空気軸受100が数十mm角の大きさである場合に、節点の数は数百から数千個であり、計算時間は数分である。
【0020】
さらに、初期値算出部210は、パラメータの値を変えて上記計算を繰り返す(S116:Yes)。初期値算出部210は、所定のパラメータの値で計算が終わった場合に(S116:No)、算出した数値解を関係格納部224に書き出す(S118)。ここで、さらに、初期値算出部210は圧力分布の和をとることにより、軸受間距離hに対する負荷容量を算出してもよいし、さらに、軸受間距離hに対する負荷容量の差分をとることにより、軸受の剛性を算出してもよい。さらに、初期値算出部210は、連続の式を用いて流量を算出してもよい。
【0021】
また、参照値算出部222は、計算条件に基づいて、ステップS112のパラメータに対応するパラメータの値を設定する(S122)。次に、参照値算出部222は当該パラメータを含む計算条件で、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法(以下、NS−FVM法という)を用いて数値的に解く(S124)。この場合に、参照値算出部222は、計算条件として、三次元的に配列された要素の節点のXYZ座標、流体の物性として粘性、密度、圧縮性および温度、並びに、境界条件として給気圧Psおよび大気圧Paを用いる。ここで、例えば上記パラメータが軸受間距離hの場合に、当該パラメータは節点の座標に反映される。また、絞りの形状に関する情報も、節点の座標に織り込まれる。この計算条件を用いて、参照値算出部222は、空気軸受100の節点毎の圧力分布、流速および温度を算出する。参照値算出部222は、NS−FVM法を用いる計算プログラムとして、例えばStar−CD(登録商標)を用いてもよい。
【0022】
さらに、参照値算出部222は、パラメータの値を変えて上記計算を繰り返す(S126:Yes)。参照値算出部222は、所定のパラメータの値で計算が終わった場合に(S126:No)、算出した数値解を関係格納部224に書き出す(S118)。ここで、さらに、参照値算出部222は圧力分布の和をとることにより、軸受間距離hに対する負荷容量を算出してもよいし、さらに、軸受間距離hに対する負荷容量の差分をとることにより、軸受の剛性を算出してもよい。さらに、関係算出部220は、上記流速または圧力分布から流量を算出してもよい。
【0023】
関係算出部220は、ステップS118で書き出された数値解をS128で書き出された数値解に補正する補正関数を決めるべく、関数の型を設定する(S130)。この場合に関係算出部220は、例えば下記数1に示すような三次曲面の関数を用いる。これにより、簡便に補正関数を決定することができる。
【数1】
【0024】
ただし、aからjは曲面の係数であり、xはRA−FEM法で算出された給気口150の圧力であり、yはRA−FEM法で算出された給気口150付近の流速であり、zは対応する計算条件でNS−FVM法を用いて算出された給気口150の圧力とRA−FEM法を用いて算出された給気口150の圧力との比である。
【0025】
上記数1に代えて、下記数2に示すような有理関数を用いてもよい。これにより、空気の流れの乱れを考慮した非線形な関係に対しても、よりよい補正関数を決定することができる。
【数2】
【0026】
ただし、aからpは曲面の係数であり、xはRA−FEMで算出された給気口150の圧力であり、yはRA−FEM法で算出された給気口150付近の流速であり、zは対応する計算条件でNS−FVM法を用いて算出された給気口150の圧力とRA−FEM法を用いて算出された給気口150の圧力との比である。
【0027】
関係算出部220は、ステップS130で設定した関数がステップS118およびS128で関係格納部224に書き出された数値解にフィットするように、各係数を決定することにより、補正関数を決定する(S132)。この場合に関係算出部220は、例えば最小二乗法により各係数を決定する。
【0028】
さらに関係算出部220は、ステップS132で決定した補正関数を関係格納部224に書き出す(S134)。例えば関係算出部220は、絞りの形状を示す名称と、ステップS130で設定された関数型とに対応付けて、当該関数の係数を関係格納部224に格納する。なお、上記ステップS130において、補正関数の関数型は、空気軸受100の形状毎に、数値解のフィット性がよくなるように選択されることが好ましい。
【0029】
上記ステップS100の動作によれば、流れ算出装置200は、空気軸受100の形状毎に、レイノルズ方程式を数値的に解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を数値的に解いた数値解との組を作り、当該組を内挿することにより、関係を示す関数を求める。これにより、上記ステップS114、S124で実際に求めた数値解以外の部分についても、当該補正関数を用いた補正をすることができる。
【0030】
図5は、RA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との差の一例を示す。図5において、図1および図2に示すオリフィス絞りの形状において、給気圧Psを0.4MPa、軸受間距離hを7μmとしたときの、RA−FEM法およびNS−FVM法による給気口150の絶対圧力を給気口150の中心からの距離に対して示した。
【0031】
図5から明らかな通り、NS−FVM法では給気口150付近で大きな圧力降下が生じているが、給気口150付近以外で、NS−FVM法とRA−FEM法の圧力分布は同様の変化を示している。また、軸受間距離hを変えて同様の計算をしたところ、軸受間距離hが大きいほどNS−FVM法による給気口150の圧力降下が大きいことが分かった。NS−FVM法とRA−FEM法との比較により、これらの圧力降下は給気口150付近での流れの乱れによると推測される。よって、RA−FEM法で求まる給気口150付近の圧力と流量とを変数として、NS−FVM法で求まる給気口150付近の圧力を補正する補正関数を用いることが好ましい。なお、上記ステップS100において上記RA−FEM法の給気口150付近の圧力をNS−FVM法の給気口150付近の圧力に補正する補正関数を算出したので、当該補正関数は、結果的に、軸受間距離が大きいほど、初期数値解を大きく補正する。
【0032】
図6および図7は、他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。図6に示す空気軸受100は、流路120から給気口150へ向かって先細りの形状を有し、給気口150が軸受面130に開口する、自成絞りである。また、図7に示す空気軸受100は、流路120から給気口150まで同じ径であって、給気口150の先端において軸受面130から窪んだポケット部140を有する、表面絞りである。
【0033】
これら、図6および図7に対しても上記図4に示す補正関数が決定され、関係格納部224に格納される。なお、図7についてはRA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との間にあまり差がない場合には、補正関数を用いて補正しなくてもよい。
【0034】
図8は、流れ算出装置200が空気軸受100の流れを算出する動作(S200)のフローチャートの一例である。図8の動作(S200)は、図4の動作(S100)により補正関数が決定された後に、ユーザ等から流れ算出装置200に空気軸受100の流れを算出する要求があった場合に開始する。
【0035】
まず、初期値算出部210は、空気軸受100の形状等を含む計算条件を取得し(S210)、当該計算条件でレイノルズ方程式を有限要素法で解いた給気口150の圧力および流速の初期数値解を求める(S212)。計算条件の取得および初期数値解の算出の動作は、図4におけるステップS110およびS114と同じであるので、説明を省略する。
【0036】
次に、補正部230は、関係格納部224に格納された補正関数を読み出す(S214)。この場合に、補正部230は初期値算出部210が取得した計算条件に含まれる形状に関する情報、例えば、絞りの形状を示す名称に対応付けられた補正関数を読み出す。
【0037】
さらに、補正部230は、読み出した補正関数にステップS210で算出された圧力および流速の初期数値解を代入することにより、圧力の補正値を算出する(S216)。例えば、数1または数2を補正関数の型とする場合に、補正部230は、補正関数に上記圧力および流速を代入することにより給気口150の圧力の比zを求め、当該比zを上記圧力に掛け算することにより給気口150の圧力の補正値を算出する。
【0038】
再出値算出部240は、圧力の補正値を計算条件に用いて、レイノルズ方程式を有限要素法で解いて再出数値解を求め(S218)、計算値格納部250に書き込む(S220)。この場合に、再出値算出部240は、例えば境界条件としての給気圧Psを当該圧力の補正値に置き換えて、他の条件はステップS212と同じにして、再出数値解を求める。これにより、レイノルズ方程式に乱れの影響を部分的に考慮した流れを求めることができる。
【0039】
ここで、ステップS212からS218までの計算は、空気軸受100の外形が数十mm角であれば、数分である。よって、上記実施形態によれば、計算条件のいずれか、例えば給気圧Psをパラメータとして、それぞれのパラメータの値における圧力分布および負荷容量等を、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で計算するのに比べて、短時間で算出することができる。また、ステップS100で補正関数を求めるのに用いたパラメータの刻みよりもより細かい刻みで計算をすることができる。
【0040】
さらに、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解を、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で計算した数値解に基づく補正関数により補正するので、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解に生じる誤差を補正して小さくした再出数値解を得ることができる。特に、軸受面130と対向面170との軸受間距離hが大きいほど乱れの影響が大きくてレイノルズ方程式の誤差が大きくなるが、上記実施形態によれば、補正関数が結果的に軸受間距離が大きいほど初期数値解を大きく補正する。よって、本実施形態によれば、軸受間距離hが大きい場合であっても、誤差の小さい再出数値解を得ることができる。
【0041】
なお、図8に示す実施形態において、再出値算出部240が再出数値解を算出して計算値格納部250に格納することによりステップS200の動作が終了している。これに加えて、再出値算出部240がパラメータの複数の値に対応して複数の再出数値解を算出して、そのうちに求める数値解が得られた場合に、当該数値解がえられたパラメータの値を含む計算条件に対応する計算条件にて、参照値算出部222が、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で再度解いた再々数値解を求めてもよい。これにより、より正確に数値解を検証することができる。
【実施例】
【0042】
図9は、流れ算出装置200で求めた負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。計算の対象とした形状は、外形が直径40mmの円、ポケット部140が直径10mmおよび深さ10μm、給気口150が直径0.2mmの円のオリフィス絞りである。負荷容量比は、NS−FVM法で求めた負荷容量を、流れ算出装置200で求めた負荷容量で除した値であり、1に近いほど流れ算出装置200で求めた負荷容量の値が正確であることを示す。図9に示す通り、給気圧0.4MPaに対して、軸受間距離hが大きくなっても2割程度に誤差が収まっている。
【0043】
図10は、比較例として、補正をしないRA−FEM法で計算した負荷容量に基づいて、負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。負荷容量比は、NS−FVM法で求めた負荷容量を、ステップS212と同様のRA−FEM法で求めた負荷容量、すなわちステップS214以降の補正をしないで求めた負荷容量、で除した値である。図10に示す通り、負荷容量比は、軸受間距離hが大きくなるに従って大きく変動し、軸受間距離hが15μmに至っては6割の誤差が生じている。
【0044】
図9と図10との比較により、流れ算出装置200は、流れの乱れの影響を補正関数を用いて部分的に考慮することにより、より正確な流れの数値解を求めることができることがわかる。
【0045】
以上、本実施形態によれば、空気軸受100の流体の流れについて、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解を、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解に基づく補正関数により補正するので、計算時間を増やすことなく、誤差を小さくした数値解を得ることができる。ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを各パラメータの値を所望の数だけ設定して数値的に解く方法に比べて、数百から数千分の1の計算コストで、正確な計算結果を得ることができる。特に、軸受面130と対向面170との軸受間距離hが大きいほど乱れの影響が大きくてレイノルズ方程式の誤差が大きくなるが、上記実施形態によれば、補正関数が結果的に軸受間距離が大きいほど初期数値解を大きく補正する。よって、本実施形態によれば、軸受間距離hが大きい場合であっても、誤差の小さい再出数値解を得ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態において、有限体積法を用いてナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解いたが、数値的に解く方法はこれに限られない。他の方法として、有限差分法、有限要素法、境界要素法等を用いて、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解いてもよい。また、上記実施形態において、有限要素法を用いてレイノルズ方程式の流れを数値的に解いたが、数値的に解く方法はこれに限られない。他の方法として、有限差分法、境界要素法等を用いて、レイノルズ方程式の流れを数値的に解いてもよい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0048】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態により流れが計算される対象となる空気軸受100の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の空気軸受100の断面図である。
【図3】本実施形態の流れ算出装置200のブロック図を示す。
【図4】流れ算出装置200が補正関数を決定する動作(S100)のフローチャートの一例である。
【図5】RA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との差の一例を示す。
【図6】他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。
【図7】他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。
【図8】流れ算出装置200が空気軸受100の流れを算出する動作(S200)のフローチャートの一例である。
【図9】流れ算出装置200で求めた負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。
【図10】比較例として、補正をしないRA−FEM法で計算した負荷容量に基づいて、負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。
【符号の説明】
【0050】
100 空気軸受、110 軸受本体、120 流路、130 軸受面、140 ポケット部、150 給気口、160 対向部材、170 対向面、200 流れ算出装置、210 初期値算出部、220 関係算出部、222 参照値算出部、224 関係格納部、230 補正部、240 再出値算出部、250 計算値格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法、流れ算出装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気軸受等の対象となる形状を流れる流体の流れを算出する方法として、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で数値的に解く方法がある(非特許文献1から3)。しかしながら、ナビエ・ストークス方程式を直接的に解く方法は、計算に要する時間が非常に長い。たとえば、数十mm角の空気軸受の流れを計算するのに、数十時間から数百時間を要することもある。そこで、他の方法として、ナビエ・ストークスを近似したレイノルズ方程式を有限要素法で数値的に解く方法もある。
【非特許文献1】「気体軸受 設計ガイドブック」十合晋一著 共立出版
【非特許文献2】「有限要素法による表面絞り形静圧空気軸受けの解析」Lin Gang 慶応大
【非特許文献3】「静圧気体軸受けにおけるナビエ・ストークス方程式に基づいた数値解析」精密工学会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レイノルズ方程式は流れの乱れを平均化した近似なので、乱れの影響が大きい流れについては、数値解に生じる誤差が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期段階(S212)と、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正段階(S216)と、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出段階(S218)とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出装置(200)であって、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期値算出部(210)と、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正部(230)と、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出値算出部(240)とを備える。
【0006】
本発明の第3の態様においては、対象となる形状を流れる流体の流れを算出するコンピュータを制御するプログラムであって、コンピュータに、形状および流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期手順、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、初期数値解を補正した補正解を求める補正手順、および、補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出手順を実行させるプログラムが提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態により流れが計算される対象となる空気軸受100の一例を示す斜視図であり、図2は、その断面図である。空気軸受100は、軸受本体110と、対向部材160の対向面170に対向する軸受面130、流体の一例としての空気が流れる流路120、流路120における軸受面130側の端部に設けられた給気口150、給気口150の周囲に配されたポケット部140を有する。流路120を通って供給された圧縮空気が給気口150、ポケット部140および軸受面130に流れることによって、空気軸受100が対向部材160を支持する。ここで、図1および図2に示す流路120は、給気口150に向かって先細の径を有すると共に給気口150の先端にポケット部140を有する、オリフィス絞りの形状を有する。
【0010】
図1および図2に示す空気軸受100に流れる空気の流れを計算する方法として、空気が従うナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解く有限体積法がある。この有限体積法は、空気軸受100を微小な体積要素に分割し、所与の計算条件の下で当該体積要素が従う方程式を数値的に解く。ここで、計算条件には、各体積要素の節点(ノードともいう)の座標、流体の物性である粘性、密度、圧縮性および温度、並びに、境界条件である給気圧および大気圧等が含まれる。また、ナビエ・ストークス方程式における乱流をモデル化する方法として、例えば、k−ε法がある。これらを用いて、空気軸受100の各点での空気の圧力分布、流速等が計算される。
【0011】
上記有限体積法は、計算を簡略にするための仮定条件やモデル化がほとんどないので計算の精度が高い。一方で、上記有限体積法は、節点が三次元空間に配されるのでその数が多く、さらに、乱流を考慮しているので計算式が複雑になり、結果として計算時間が長くなる。例えば、空気軸受100の外形が数十mm角程度の大きさの場合に、節点の数は数万から数十万個となり、計算時間は数十時間から数百時間に及ぶ。そこで、本実施形態は、計算時間を長くすることなく、対象となる形状に対する流れをより正確に算出することを目的とする。
【0012】
図3は、本実施形態の流れ算出装置200のブロック図を示す。流れ算出装置200は、初期値算出部210と、関係算出部220と、補正部230と、再出値算出部240と、計算値格納部250とを備える。また、流れ算出装置200は、パーソナルコンピュータ等であって、記憶媒体またはネットワークからプログラムがインストールされることにより、上記初期値算出部210から計算値格納部250の手順を実行してもよい。
【0013】
初期値算出部210は、空気軸受100の形状等を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める。レイノルズ方程式の流れを数値的に解く方法の一例として、有限要素法を用いる。関係算出部220は、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解と、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解と、の関係を、空気軸受100の形状毎に求める。補正部230は、関係算出部220により算出された上記関係に基づいて、初期値算出部210により算出された初期数値解を補正した補正解を求める。再出値算出部240は、補正部230により補正された補正解を計算条件に用いて、レイノルズ方程式を再び有限要素法で解いて再出数値解を求めて計算値格納部250に出力する。計算値格納部250は、再出値算出部240により算出された再出数値解を格納するとともに、外部からの要求に応じてこれをディスプレイ、プリンタ等に出力する。
【0014】
さらに、関係算出部220は、参照値算出部222と関係格納部224とを有する。参照値算出部222は、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で数値的に解く。また、関係格納部224は、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解と、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解と、の関係を格納する。ここで、図3に示す関係算出部220は、上記関係を補正関数の形で決定し、関係格納部224に格納する。
【0015】
図4は、流れ算出装置200が補正関数を決定する動作(S100)のフローチャートの一例である。この補正関数は、空気軸受100の絞りの形状毎に算出される。以下、図1および図2に示す空気軸受100の絞りの形状として、オリフィス絞りについて計算するものとする。
【0016】
まず、初期値算出部210は、計算の対象とする形状パターンを含む計算条件を外部から取得し、関係算出部220に受け渡す(S110)。この計算条件は、一旦、関係算出部220の関係格納部224に格納されてもよい。以下、初期値算出部210は当該計算条件に基づいてレイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解を求めるとともに、参照値算出部222が当該計算条件に基づいてナビエ・ストークス方程式を有限体積法で解いた数値解を求める。
【0017】
初期値算出部210は、計算条件に基づいて、パラメータを設定する(S112)。ここで、パラメータの一例は、図1における軸受間距離h、および、流路120に供給される供給圧Psであり、初期値として0が設定される。
【0018】
次に、初期値算出部210は当該パラメータを含む計算条件で、レイノルズ方程式を有限要素法(以下、RA−FEM法という)を用いて数値的に解く(S114)。ここで、レイノルズ方程式は、ナビエ・ストークス方程式に、等温流、層流、および、流れのZ方向の成分は均一、との仮定条件をおいた近似式である。
【0019】
また、初期値算出部210は、有限要素法として形状パターンを二次元の要素に分解して計算する。この場合に、初期値算出部210は、計算条件として、二次元的に配列された要素の節点のXY座標、絞りの形状を示すデータ、絞りに連結されたポケット部140の深さおよび大きさ、流体の物性として粘性および密度、境界条件として給気圧Psおよび大気圧Pa、並びに、上記パラメータとして軸受間距離hを用いる。この計算条件を用いて、初期値算出部210は、空気軸受100の節点毎の圧力分布を算出する。なお、ステップS114の計算において、空気軸受100が数十mm角の大きさである場合に、節点の数は数百から数千個であり、計算時間は数分である。
【0020】
さらに、初期値算出部210は、パラメータの値を変えて上記計算を繰り返す(S116:Yes)。初期値算出部210は、所定のパラメータの値で計算が終わった場合に(S116:No)、算出した数値解を関係格納部224に書き出す(S118)。ここで、さらに、初期値算出部210は圧力分布の和をとることにより、軸受間距離hに対する負荷容量を算出してもよいし、さらに、軸受間距離hに対する負荷容量の差分をとることにより、軸受の剛性を算出してもよい。さらに、初期値算出部210は、連続の式を用いて流量を算出してもよい。
【0021】
また、参照値算出部222は、計算条件に基づいて、ステップS112のパラメータに対応するパラメータの値を設定する(S122)。次に、参照値算出部222は当該パラメータを含む計算条件で、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法(以下、NS−FVM法という)を用いて数値的に解く(S124)。この場合に、参照値算出部222は、計算条件として、三次元的に配列された要素の節点のXYZ座標、流体の物性として粘性、密度、圧縮性および温度、並びに、境界条件として給気圧Psおよび大気圧Paを用いる。ここで、例えば上記パラメータが軸受間距離hの場合に、当該パラメータは節点の座標に反映される。また、絞りの形状に関する情報も、節点の座標に織り込まれる。この計算条件を用いて、参照値算出部222は、空気軸受100の節点毎の圧力分布、流速および温度を算出する。参照値算出部222は、NS−FVM法を用いる計算プログラムとして、例えばStar−CD(登録商標)を用いてもよい。
【0022】
さらに、参照値算出部222は、パラメータの値を変えて上記計算を繰り返す(S126:Yes)。参照値算出部222は、所定のパラメータの値で計算が終わった場合に(S126:No)、算出した数値解を関係格納部224に書き出す(S118)。ここで、さらに、参照値算出部222は圧力分布の和をとることにより、軸受間距離hに対する負荷容量を算出してもよいし、さらに、軸受間距離hに対する負荷容量の差分をとることにより、軸受の剛性を算出してもよい。さらに、関係算出部220は、上記流速または圧力分布から流量を算出してもよい。
【0023】
関係算出部220は、ステップS118で書き出された数値解をS128で書き出された数値解に補正する補正関数を決めるべく、関数の型を設定する(S130)。この場合に関係算出部220は、例えば下記数1に示すような三次曲面の関数を用いる。これにより、簡便に補正関数を決定することができる。
【数1】
【0024】
ただし、aからjは曲面の係数であり、xはRA−FEM法で算出された給気口150の圧力であり、yはRA−FEM法で算出された給気口150付近の流速であり、zは対応する計算条件でNS−FVM法を用いて算出された給気口150の圧力とRA−FEM法を用いて算出された給気口150の圧力との比である。
【0025】
上記数1に代えて、下記数2に示すような有理関数を用いてもよい。これにより、空気の流れの乱れを考慮した非線形な関係に対しても、よりよい補正関数を決定することができる。
【数2】
【0026】
ただし、aからpは曲面の係数であり、xはRA−FEMで算出された給気口150の圧力であり、yはRA−FEM法で算出された給気口150付近の流速であり、zは対応する計算条件でNS−FVM法を用いて算出された給気口150の圧力とRA−FEM法を用いて算出された給気口150の圧力との比である。
【0027】
関係算出部220は、ステップS130で設定した関数がステップS118およびS128で関係格納部224に書き出された数値解にフィットするように、各係数を決定することにより、補正関数を決定する(S132)。この場合に関係算出部220は、例えば最小二乗法により各係数を決定する。
【0028】
さらに関係算出部220は、ステップS132で決定した補正関数を関係格納部224に書き出す(S134)。例えば関係算出部220は、絞りの形状を示す名称と、ステップS130で設定された関数型とに対応付けて、当該関数の係数を関係格納部224に格納する。なお、上記ステップS130において、補正関数の関数型は、空気軸受100の形状毎に、数値解のフィット性がよくなるように選択されることが好ましい。
【0029】
上記ステップS100の動作によれば、流れ算出装置200は、空気軸受100の形状毎に、レイノルズ方程式を数値的に解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を数値的に解いた数値解との組を作り、当該組を内挿することにより、関係を示す関数を求める。これにより、上記ステップS114、S124で実際に求めた数値解以外の部分についても、当該補正関数を用いた補正をすることができる。
【0030】
図5は、RA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との差の一例を示す。図5において、図1および図2に示すオリフィス絞りの形状において、給気圧Psを0.4MPa、軸受間距離hを7μmとしたときの、RA−FEM法およびNS−FVM法による給気口150の絶対圧力を給気口150の中心からの距離に対して示した。
【0031】
図5から明らかな通り、NS−FVM法では給気口150付近で大きな圧力降下が生じているが、給気口150付近以外で、NS−FVM法とRA−FEM法の圧力分布は同様の変化を示している。また、軸受間距離hを変えて同様の計算をしたところ、軸受間距離hが大きいほどNS−FVM法による給気口150の圧力降下が大きいことが分かった。NS−FVM法とRA−FEM法との比較により、これらの圧力降下は給気口150付近での流れの乱れによると推測される。よって、RA−FEM法で求まる給気口150付近の圧力と流量とを変数として、NS−FVM法で求まる給気口150付近の圧力を補正する補正関数を用いることが好ましい。なお、上記ステップS100において上記RA−FEM法の給気口150付近の圧力をNS−FVM法の給気口150付近の圧力に補正する補正関数を算出したので、当該補正関数は、結果的に、軸受間距離が大きいほど、初期数値解を大きく補正する。
【0032】
図6および図7は、他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。図6に示す空気軸受100は、流路120から給気口150へ向かって先細りの形状を有し、給気口150が軸受面130に開口する、自成絞りである。また、図7に示す空気軸受100は、流路120から給気口150まで同じ径であって、給気口150の先端において軸受面130から窪んだポケット部140を有する、表面絞りである。
【0033】
これら、図6および図7に対しても上記図4に示す補正関数が決定され、関係格納部224に格納される。なお、図7についてはRA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との間にあまり差がない場合には、補正関数を用いて補正しなくてもよい。
【0034】
図8は、流れ算出装置200が空気軸受100の流れを算出する動作(S200)のフローチャートの一例である。図8の動作(S200)は、図4の動作(S100)により補正関数が決定された後に、ユーザ等から流れ算出装置200に空気軸受100の流れを算出する要求があった場合に開始する。
【0035】
まず、初期値算出部210は、空気軸受100の形状等を含む計算条件を取得し(S210)、当該計算条件でレイノルズ方程式を有限要素法で解いた給気口150の圧力および流速の初期数値解を求める(S212)。計算条件の取得および初期数値解の算出の動作は、図4におけるステップS110およびS114と同じであるので、説明を省略する。
【0036】
次に、補正部230は、関係格納部224に格納された補正関数を読み出す(S214)。この場合に、補正部230は初期値算出部210が取得した計算条件に含まれる形状に関する情報、例えば、絞りの形状を示す名称に対応付けられた補正関数を読み出す。
【0037】
さらに、補正部230は、読み出した補正関数にステップS210で算出された圧力および流速の初期数値解を代入することにより、圧力の補正値を算出する(S216)。例えば、数1または数2を補正関数の型とする場合に、補正部230は、補正関数に上記圧力および流速を代入することにより給気口150の圧力の比zを求め、当該比zを上記圧力に掛け算することにより給気口150の圧力の補正値を算出する。
【0038】
再出値算出部240は、圧力の補正値を計算条件に用いて、レイノルズ方程式を有限要素法で解いて再出数値解を求め(S218)、計算値格納部250に書き込む(S220)。この場合に、再出値算出部240は、例えば境界条件としての給気圧Psを当該圧力の補正値に置き換えて、他の条件はステップS212と同じにして、再出数値解を求める。これにより、レイノルズ方程式に乱れの影響を部分的に考慮した流れを求めることができる。
【0039】
ここで、ステップS212からS218までの計算は、空気軸受100の外形が数十mm角であれば、数分である。よって、上記実施形態によれば、計算条件のいずれか、例えば給気圧Psをパラメータとして、それぞれのパラメータの値における圧力分布および負荷容量等を、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で計算するのに比べて、短時間で算出することができる。また、ステップS100で補正関数を求めるのに用いたパラメータの刻みよりもより細かい刻みで計算をすることができる。
【0040】
さらに、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解を、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で計算した数値解に基づく補正関数により補正するので、レイノルズ方程式を有限要素法で解いた数値解に生じる誤差を補正して小さくした再出数値解を得ることができる。特に、軸受面130と対向面170との軸受間距離hが大きいほど乱れの影響が大きくてレイノルズ方程式の誤差が大きくなるが、上記実施形態によれば、補正関数が結果的に軸受間距離が大きいほど初期数値解を大きく補正する。よって、本実施形態によれば、軸受間距離hが大きい場合であっても、誤差の小さい再出数値解を得ることができる。
【0041】
なお、図8に示す実施形態において、再出値算出部240が再出数値解を算出して計算値格納部250に格納することによりステップS200の動作が終了している。これに加えて、再出値算出部240がパラメータの複数の値に対応して複数の再出数値解を算出して、そのうちに求める数値解が得られた場合に、当該数値解がえられたパラメータの値を含む計算条件に対応する計算条件にて、参照値算出部222が、ナビエ・ストークス方程式を有限体積法で再度解いた再々数値解を求めてもよい。これにより、より正確に数値解を検証することができる。
【実施例】
【0042】
図9は、流れ算出装置200で求めた負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。計算の対象とした形状は、外形が直径40mmの円、ポケット部140が直径10mmおよび深さ10μm、給気口150が直径0.2mmの円のオリフィス絞りである。負荷容量比は、NS−FVM法で求めた負荷容量を、流れ算出装置200で求めた負荷容量で除した値であり、1に近いほど流れ算出装置200で求めた負荷容量の値が正確であることを示す。図9に示す通り、給気圧0.4MPaに対して、軸受間距離hが大きくなっても2割程度に誤差が収まっている。
【0043】
図10は、比較例として、補正をしないRA−FEM法で計算した負荷容量に基づいて、負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。負荷容量比は、NS−FVM法で求めた負荷容量を、ステップS212と同様のRA−FEM法で求めた負荷容量、すなわちステップS214以降の補正をしないで求めた負荷容量、で除した値である。図10に示す通り、負荷容量比は、軸受間距離hが大きくなるに従って大きく変動し、軸受間距離hが15μmに至っては6割の誤差が生じている。
【0044】
図9と図10との比較により、流れ算出装置200は、流れの乱れの影響を補正関数を用いて部分的に考慮することにより、より正確な流れの数値解を求めることができることがわかる。
【0045】
以上、本実施形態によれば、空気軸受100の流体の流れについて、レイノルズ方程式の流れを解いた数値解を、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解に基づく補正関数により補正するので、計算時間を増やすことなく、誤差を小さくした数値解を得ることができる。ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを各パラメータの値を所望の数だけ設定して数値的に解く方法に比べて、数百から数千分の1の計算コストで、正確な計算結果を得ることができる。特に、軸受面130と対向面170との軸受間距離hが大きいほど乱れの影響が大きくてレイノルズ方程式の誤差が大きくなるが、上記実施形態によれば、補正関数が結果的に軸受間距離が大きいほど初期数値解を大きく補正する。よって、本実施形態によれば、軸受間距離hが大きい場合であっても、誤差の小さい再出数値解を得ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態において、有限体積法を用いてナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解いたが、数値的に解く方法はこれに限られない。他の方法として、有限差分法、有限要素法、境界要素法等を用いて、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを数値的に解いてもよい。また、上記実施形態において、有限要素法を用いてレイノルズ方程式の流れを数値的に解いたが、数値的に解く方法はこれに限られない。他の方法として、有限差分法、境界要素法等を用いて、レイノルズ方程式の流れを数値的に解いてもよい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0048】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態により流れが計算される対象となる空気軸受100の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の空気軸受100の断面図である。
【図3】本実施形態の流れ算出装置200のブロック図を示す。
【図4】流れ算出装置200が補正関数を決定する動作(S100)のフローチャートの一例である。
【図5】RA−FEM法の数値解とNS−FVM法の数値解との差の一例を示す。
【図6】他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。
【図7】他の対象としての空気軸受100を示す断面図である。
【図8】流れ算出装置200が空気軸受100の流れを算出する動作(S200)のフローチャートの一例である。
【図9】流れ算出装置200で求めた負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。
【図10】比較例として、補正をしないRA−FEM法で計算した負荷容量に基づいて、負荷容量比を軸受間距離hに対して表したグラフである。
【符号の説明】
【0050】
100 空気軸受、110 軸受本体、120 流路、130 軸受面、140 ポケット部、150 給気口、160 対向部材、170 対向面、200 流れ算出装置、210 初期値算出部、220 関係算出部、222 参照値算出部、224 関係格納部、230 補正部、240 再出値算出部、250 計算値格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期段階と、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正段階と、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出段階と
を備える流れ算出方法。
【請求項2】
前記レイノルズ方程式の数値解とナビエ・ストークス方程式の数値解との関係を、前記形状毎に求める関係算出段階をさらに備える請求項1に記載の流れ算出方法。
【請求項3】
前記関係算出段階は、前記形状として前記対象に前記流体が供給される絞りの形状毎に前記関係を算出する請求項2に記載の流れ算出方法。
【請求項4】
前記関係算出段階は、前記絞りの形状としてオリフィス絞り、自成絞りおよびスロット絞りのそれぞれについて前記関係を算出する請求項3に記載の流れ算出方法。
【請求項5】
前記関係算出段階は、前記形状毎に、前記計算条件のいずれかをパラメータとして前記レイノルズ方程式を数値的に解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を数値的に解いた数値解との組を作り、当該組を内挿することにより、前記関係を示す関数を求める請求項2から4のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項6】
前記関係算出段階は、前記レイノルズ方程式の圧力および流速の数値解と、前記ナビエ・ストークス方程式の圧力の数値解と、の関係を算出し、
前記初期段階は、圧力および流速の前記初期数値解を算出し、
前記補正段階は、前記圧力および前記流速の前記初期数値解から前記関係に基づいて圧力の補正解を算出し、
前記再出段階は、前記圧力の補正解を計算条件に用いて再出数値解を算出する請求項2から5のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項7】
前記初期段階および前記再出段階は、前記形状に関する条件として前記対象に設けられた軸受間距離の大きさを含み、
前記補正段階は、前記軸受間距離が大きいほど、前記初期数値解を大きく補正する請求項1から6のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項8】
前記再出段階で用いられた前記計算条件に対応する計算条件にて、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた再々数値解を求める再々出段階をさらに備える請求項1から7のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項9】
前記対象は空気軸受である請求項1から8のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項10】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出装置であって、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期値算出部と、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正部と、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出値算出部と
を備える流れ算出装置。
【請求項11】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出するコンピュータを制御するプログラムであって、前記コンピュータに、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期手順、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正手順、および、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出手順
を実行させるプログラム。
【請求項1】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出方法であって、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期段階と、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正段階と、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出段階と
を備える流れ算出方法。
【請求項2】
前記レイノルズ方程式の数値解とナビエ・ストークス方程式の数値解との関係を、前記形状毎に求める関係算出段階をさらに備える請求項1に記載の流れ算出方法。
【請求項3】
前記関係算出段階は、前記形状として前記対象に前記流体が供給される絞りの形状毎に前記関係を算出する請求項2に記載の流れ算出方法。
【請求項4】
前記関係算出段階は、前記絞りの形状としてオリフィス絞り、自成絞りおよびスロット絞りのそれぞれについて前記関係を算出する請求項3に記載の流れ算出方法。
【請求項5】
前記関係算出段階は、前記形状毎に、前記計算条件のいずれかをパラメータとして前記レイノルズ方程式を数値的に解いた数値解とナビエ・ストークス方程式を数値的に解いた数値解との組を作り、当該組を内挿することにより、前記関係を示す関数を求める請求項2から4のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項6】
前記関係算出段階は、前記レイノルズ方程式の圧力および流速の数値解と、前記ナビエ・ストークス方程式の圧力の数値解と、の関係を算出し、
前記初期段階は、圧力および流速の前記初期数値解を算出し、
前記補正段階は、前記圧力および前記流速の前記初期数値解から前記関係に基づいて圧力の補正解を算出し、
前記再出段階は、前記圧力の補正解を計算条件に用いて再出数値解を算出する請求項2から5のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項7】
前記初期段階および前記再出段階は、前記形状に関する条件として前記対象に設けられた軸受間距離の大きさを含み、
前記補正段階は、前記軸受間距離が大きいほど、前記初期数値解を大きく補正する請求項1から6のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項8】
前記再出段階で用いられた前記計算条件に対応する計算条件にて、ナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた再々数値解を求める再々出段階をさらに備える請求項1から7のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項9】
前記対象は空気軸受である請求項1から8のいずれかに記載の流れ算出方法。
【請求項10】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出する流れ算出装置であって、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期値算出部と、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正部と、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出値算出部と
を備える流れ算出装置。
【請求項11】
対象となる形状を流れる流体の流れを算出するコンピュータを制御するプログラムであって、前記コンピュータに、
前記形状および前記流体についての条件を含む計算条件でレイノルズ方程式の流れを解いた初期数値解を求める初期手順、
前記レイノルズ方程式の流れを解いた数値解とナビエ・ストークス方程式の三次元流れを解いた数値解との関係に基づいて、前記初期数値解を補正した補正解を求める補正手順、および、
前記補正解を計算条件に用いて、前記レイノルズ方程式の流れを再び解いて再出数値解を求めて出力する再出手順
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−210281(P2010−210281A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53993(P2009−53993)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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