説明

流れ配向鞘付きフラッシュカテーテル

特定の実施形態では、本発明は、第一の直径および管腔壁を持つ対象管腔をフラッシングする方法を提供する。本方法には、フラッシュ溶液が複数の終端管腔の流体除去速度を遅くするようにフラッシュ溶液を選択するステップ(終端管腔は対象管腔から枝分かれし対象管腔と流体連通しており、少なくとも1つの終端管腔は第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径より小さい)、管腔をフラッシュ溶液でフラッシングするステップ、および管腔壁の部分に関連して光断層撮影スキャンデータを収集するステップを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフラッシュカテーテル、さらに具体的には、流れ配向鞘付きのフラッシュカテーテルを対象とする。
【背景技術】
【0002】
例えば光干渉断層撮影(OCT)を使用する場合、動脈壁の明瞭なインビボ画像を得るためには、イメージングプローブの先端の周りの円筒形空間から血液を移動させる必要がある。ある長さの動脈壁を調査するためには、この円筒形空間が、例えば約40〜50mm以上の長さであることが望ましい。この空間から血液が除去されればされるほど、動脈壁のより良い画像が得られる。
【0003】
例えば、心臓カテーテル検査中の画像化のためのOCTのほぼすべての使用では、ガイドカテーテル中に配置されたイメージングプローブは、血液の流れがイメージングプローブの近位端からカテーテルまたはプローブの遠位端に向かうように、動脈に挿入される。「ミニレール」配送システムの使用を可能にするために、除去された円筒形空間の場所は、カテーテルの遠位端のある程度近くにあることが望ましい。「ミニレール」配送システムは、ガイドワイヤーおよびイメージングプローブに取り付け可能な柔軟チップを使用する。ガイドワイヤーはイメージングプローブを希望する動脈中に案内するために使用される。
【0004】
望ましい除去空間または血液除去を達成するための従来および現在の方法には、心臓拡張バルーンの使用、ガイドカテーテルを通した生理食塩水の注入、およびイメージングカテーテルの上から挿入される選択的フラッシュカテーテルを通しての生理食塩水の注入が含まれていた。これら3つの方法が提供する解決策は、どれも理想的とは言えない。
【0005】
バルーン法は、画像が求められる間、血管を完全閉塞するか、または血液を視野から完全には除去しない膨張不足のバルーンを使用することのどちらかを伴う。ガイドフラッシュ法は、患者に過剰に水分補給することができる高流量の生理食塩水を必要とする。この方法も、側枝が存在する場合には非常に効果的でない。
【0006】
例えば、選択的フラッシュカテーテル法は、血流がイメージングプローブの近位端から遠位端に向かっているとき、フラッシュ溶液がカテーテルを出る場所で、フラッシュ点に隣接した領域からの血液がフラッシュ溶液に混入されるという固有の限界を持つ。フラッシュ溶液の流量を上げるとより多くの血液が混入する傾向があり、明瞭な画像領域を提供するために血液を十分希釈することが難しくなる。さらに、ミニレール配送システム用にこのような種類の装置を構成することは難しい。
【0007】
Albert K. Chinによる「Angioscope with Flush Solution Deflector Shield(フラッシュ溶液偏向シールド付き血管内視鏡)」と題する米国特許第4,878,893号(以下「特許893」と称する)(これは参照により本書に組み込まれる)は、この問題に対する部分的解決策を提供し、これは血管内視鏡カテーテルとともに使用することを意図している。特許893は、カテーテル10の遠位端に結合された湾曲した偏向シールド30の使用を教授している。偏向シールド30: . . .は、フラッシング溶液が一瞬カテーテルの近位端に向かって血流とは反対に流れるようにする。すると[特許893の]図13に示されるように、血流は、血管内視鏡18の遠位端を越えて溶液を運び、特許893の5段、1〜6行で考察されているように、明瞭な視覚化に必要なボーラス投与を提供する。しかし、特許893のアプローチは、OCT用途でのその使用を妨げ、その製造を困難にするいくつかの欠陥を持つ。
【0008】
例えば、偏向シールドはカテーテルの遠位端になくてはならず、ミニレールタイプの配送システムでの使用が難しくなる。さらに、その設計は、フラッシング溶液を軸近位方向に強く向かわせない。この結果、カテーテルからフラッシング溶液が放射方向に出て行く。このため、ボーラス投与されたフラッシング溶液は、カテーテルの近位端に向かってあまり遠くまで流れず、動脈壁の長さを調査するのに望ましい長さの空間を提供しない。さらに、流体の放射状の噴流は、血管の繊細な内皮層を損傷する可能性があり、血管を穿孔する可能性さえある。
【0009】
上記の参照文献は、追加的または代替的詳細、機能および/または技術背景の適切な教示に適切な箇所で、参照により本書に組み込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、少なくとも上記の問題および/または欠点を解決し、少なくとも以下に記述される利点を提供することである。
【0011】
本発明はフラッシュカテーテル、さらに具体的には、流れ配向鞘付きのフラッシュカテーテルを対象とする。
【発明を解決するための手段】
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、管腔に導入されて光学的に透明なフラッシュゾーンを作り出すように構成されているフラッシュカテーテルを提供する。フラッシュカテーテルは、管腔および内腔に導入されるように構成されたカテーテル本体(内腔はフラッシュ溶液の近位供給源と連通しフラッシュ溶液をカテーテルの遠位端で排出するように構成されている)、カテーテル本体内に含まれるイメージングプローブ組立体、およびそれを通してフラッシュ溶液を排出するように構成されたカテーテル本体に提供された複数の開口部を含むことができ、ここで複数の開口部を通してフラッシュ溶液が管腔内に排出される時、フラッシュ溶液はカテーテル本体の近位端に向かって流れるように向けられ、フラッシュ溶液の流量は、排出フラッシュ溶液の体積流量が局所的に流れる血液と実質的に同等であるがそれとは逆向きに構成され、これにより管腔の非閉塞式の光学的画像化がイメージングプローブ組立体によって実施され得るように、管腔の長さ方向に沿って光学的に透明なフラッシュゾーンが作られる。
【0013】
フラッシュカテーテルの一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、約150mg/ml〜400mg/mlの濃度のヨウ素を含む。
【0014】
フラッシュカテーテルの一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、体温で約3cps〜約9cpsの粘度を持つ。
【0015】
フラッシュカテーテルの一部の実施形態では、フラッシュ溶液の粘度は温度により大幅に変化しない。
【0016】
フラッシュカテーテルの一部の実施形態では、フラッシュ溶液はデキストランを含む。
【0017】
フラッシュカテーテルの一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、濃度が5%〜20%の範囲で、分子量が20,000〜100,000ダルトンのデキストランを含む。
【0018】
特定の実施形態では、本発明は、第一の直径および管腔壁を持つ対象管腔をフラッシングする方法を提供する。本方法には、フラッシュ溶液が複数の終端管腔の流体除去速度を遅くするようにフラッシュ溶液を選択するステップ(終端管腔は対象管腔から枝分かれし対象管腔と流体連通しており、少なくとも1つの終端管腔は第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径より小さい)、管腔をフラッシュ溶液でフラッシングするステップ、および管腔壁の部分に関連して光断層撮影スキャンデータを収集するステップを含み得る。
【0019】
本方法の一部の実施形態では、フラッシュ溶液はさらに、管腔壁の部分の近くにある血液を除去するために選択された。
【0020】
本方法の一部の実施形態では、フラッシュ溶液はデキストランを含む。
【0021】
本方法の一部の実施形態では、終端管腔は毛細管である。
【0022】
本方法の一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、体温で約3cps〜約9cpsの粘度を持つ。
【0023】
本方法の一部の実施形態では、フラッシュ溶液は放射線不透過性の造影溶液である。
【0024】
本方法の一部の実施形態では、造影溶液のヨウ素濃度の範囲は、約150mg/ml〜400mg/mlである。
【0025】
本方法の一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、約150mg/ml〜400mg/mlの濃度のヨウ素を含む。
【0026】
本発明のさらなる利点、目的および機能は、以下の説明に一部明記され、一部は当業者であれば以下を検討すれば明らかとなるか、または本発明の実施から学び得る。本発明の目的および利点は、添付の請求項で具体的に指摘されるように実現および達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、類似参照番号が類似要素を指す以下の図面に関連して詳細に記述される。ここで、
【図1】本発明の実施形態に従い、イメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面斜視概略図である。
【図2】図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分垂直断面概略図である。
【図3】図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面斜視概略図である。
【図4】図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの別の部分垂直断面斜視概略図である。
【図5】図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面概略図である。
【図6】図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分垂直断面概略図である。
【図7】本発明に従った、鞘の拡大垂直断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、患者の動脈、血管、または他の開口部に挿入されるように構成されたフラッシュカテーテルを対象とする。さらに、本発明の実施形態は、所定の粘度を持つフラッシュ溶液の使用も対象とする。
【0029】
血液は、主にヘマトクリット値により、約3〜4センチポアズ(cps)の粘度を持つ。対照的に、水は定義上、1.00cpsの粘度を持つ。流れ抵抗、従って血圧に対する主な要因の1つは、各動脈の末端の極細毛細血管床の抵抗である。フラッシュ溶液候補から選択する場合、選択された流量と圧力へのこの抵抗は、重要な考慮事項である。例えば、生理食塩水フラッシュを使用した場合、OCTイメージングデータを収集する時、心臓の拍動の1サイクル内に、毛細血管は生理食塩水で満たされ、粘度変化のために流れ抵抗は3倍以上低下することになる。血液がOCTデータを収集する造影領域に入るのを防ぐために、局所圧力は、生来の血圧と同じであるかわずかに高い必要がある。この状況では、安定した除去状態を維持するために、生理食塩水の流量は、生来の流量の3〜4倍とならなければならない。
【0030】
これほどの流量(生来の流れの3〜4倍)は、いくつかの理由から許容されない。例えば、動脈壁が破れるか、または薄被膜型アテロームなどの動脈壁が弱くなった構造への外傷が起こる可能性があるので、患者にとって危険であり得る。さらに、過剰な流量により、それを通してフラッシュが行われるカテーテルが、同じかまたは反対の力にさらされることになる。これは、カテーテルの好ましくない動きを起こし、そのため、動脈壁の損傷または使用不能なOCTスキャンデータを生じる可能性がある。
【0031】
OCTを使用して冠状動脈を撮像する時、この影響は今まで認識されていなかった。生理食塩水または乳酸リンゲル液(どちらも、本質的に水と同等の粘度を持つ)のみがフラッシュ媒体として使用され、非常に短いイメージング「ウィンドウ」(心臓の拍動の約1〜2サイクルの長さ)が報告されているものの、毛細血管の流れ抵抗との関連は確立されなかった。他のアプローチでは閉塞との組み合わせ(通常は前述のバルーンとともに)を使用し、その後、生理食塩水フラッシュを行う。血管が閉塞されていたため、低速の生理食塩水注入を使用することができたが、これにはさらに相当複雑な手順が必要であり、バルーンの膨張と収縮時間はしばしば実際の造影時間よりも長いので、閉塞時間は一般的に30秒以上続いた。このように長い閉塞は、心臓へのストレスのリスクがあり、通常著しいECG変化として臨床的に現れる。この理由で、閉塞造影技術は広くは採用されていない。さらに、低い生理食塩水フラッシュ流量は、バルーンより遠位で生来の血圧よりかなり低い圧力を生じ、そのため造影領域内の動脈形状(血管サイズなど)は、正常な状態とは異なる圧力のために実際の状態をもはや示していなかった。
【0032】
これらの理由から、非閉塞式フラッシュ、および血液と同等もしくは高い粘度を持つ溶液でフラッシュを行うことは好都合である。標準的な血管造影法に使用されるヨウ素ベースの放射線不透過性色素は、約3〜約5cps、体温では5cps〜約10cps(またはそれ以上)の範囲の粘度を持つ。結果として、これらの色素は粘性フラッシュ用の実行可能な選択肢である。さらに、これらの溶液は冠状動脈注入用に既に承認されている。
【0033】
大手術(冠状動脈バイパス処置など)の前の血漿増量剤として広く使用されるデキストラン溶液も、OCTスキャンデータを収集する時の適切なフラッシュ溶液である。このことは、デキストラン溶液が約3cps〜約6cpsの範囲(デキストロースレベルによる)の粘度を持つことから理解できる。デキストランは、よく知られているX線造影剤のリスクである、高いヨウ素レベルに関連する潜在的腎臓合併症を起こさない。造影剤は放射線不透過性であり得る。一部の実施形態では、フラッシュ溶液は、濃度が約5%〜約20%の範囲で、分子量が20,000〜100,000ダルトンのデキストランを含む。例えば、1つの実施形態では、デキストランは約40,000ダルトンの分子量を持ち、10%溶液(約100 mlの5%デキストロース水溶液あたりデキストラン約10g)中に含まれる。この処方は一般的に使用されており、「デキストラン40」と呼ばれる。別の実施形態では、デキストランは、高分子量のグルコースの水溶性ポリマーの一般的分類を指す。さらに、別の実施形態では、本書で使用される場合、デキストランまたはデキストラン類とは、ショックの治療用の等張塩化ナトリウム溶液中で使用、ネフローゼの浮腫の緩和用の蒸留水中で使用、および/またはデキストロース溶液中で血漿増量剤として使用される異なる分子量を持つ長鎖グルコースポリマーの任意のグループを指す。1つの実施形態では、造影溶液は、約150mg/ml〜約400mg/mlの濃度のヨウ素を含む。
【0034】
OCTイメージングの目的では、フラッシング流体の粘度と、動脈壁および枝分かれ部位などの動脈構造から残留血液を徹底的に除去する能力の間に相殺が存在する。血液速度のポアソン分布のため(中央で最も高く、管腔界面ではほぼゼロ)、管腔・壁界面での効果的な除去は得られにくい。従って、流量、合計配送量(ヨウ素負荷の問題)、および全体的な除去品質の間のバランスを注意深く取る必要がある。例えば、Visipaque 320?(GE Healthcare)は、利用可能な一般的造影剤では最も高い粘度(体温で約12cps)を持ち、このため最低の必要流量と最小の必要量を提供する。しかし、Visipaque 320?は、管腔壁、ステント支柱、狭窄などの近くの血液細胞の除去には適していない。生理食塩水は、臨床的に許容不可能なフラッシュ速度をもってして、優れた画像品質をもたらす。最高で約8〜約9cpsの粘度が使用できるが、管腔境界近くの画像品質は低くなる。
【0035】
実用的理由から、造影剤の粘度は温度に大きく依存し、室温と体温とでは2倍異なり得ることに注意すべきである。従って、室温の造影剤を配送するのに必要な注入圧力は、かなり高い可能性があり、手動で達成できる流量を制限する。一部の用途でこの問題は、これを理由に造影剤を体温に保つことによって解決され、また、冠状動脈に「冷たい」造影剤を局所注入する影響を避けるためにも解決される。しかし、ガイドカテーテルの長さを考えると、室温で始めたとしても注入液の温度は体温に近くなる。例えば、Visipaque 320?の室温での粘度は20を超えるが、体温では約12に低下する。対照的に、デキストラン溶液にはこの大きな温度依存性がない。造影溶液とは異なり、デキストランにはいくつかの利点がある。1つの実施形態では、デキストランを含むフラッシュは、リットル単位の容積でさえも全身的に高い忍容性があり、ヨウ素ベースのフラッシュ溶液の費用の数分の一で済む。従って1つの実施形態では、デキストランはフラッシュ溶液の好ましい候補である。
【0036】
フラッシュカテーテルには、中空の内腔を持つカテーテル本体を含む。内腔は、フラッシュ溶液の供給源と連通するように構成されている。例えば、使用されるフラッシュ溶液は、滅菌生理食塩水、純粋造影溶液、または滅菌生理食塩水と血管造影溶液の混合物であり得る。特定の用途に基づいて、他の流体も適切な場合がある。カテーテル本体の外部表面に1つ以上の開口部が形成される場合があり、カテーテル本体の周辺に放射状に一列以上で配置され得る。1つの実施形態では、開口部は、フラッシュ方向を促進する角度に配置されている。
【0037】
フラッシュカテーテルはさらに鞘を含む。本発明の1つの実施形態によると、鞘は、薄い材料片を使用して、カテーテル本体の外径よりもわずかに大きな内径を持つように形成することができる。鞘は、1つ以上の開口部の上に配置され、取り付け手段を用いてカテーテル本体に取り付け得る。1つの実施形態では、鞘はカテーテル本体の一端にのみ取り付けられ、このため他端で開き、カテーテル本体の長さに沿って延びる環状空間を作り出す。1つの実施形態では、鞘はカテーテル本体の一端に取り付けられ、動脈、血管、または他の開口部に挿入された時にカテーテルの近位端に向く端で開き、カテーテル本体の長さに沿って延長する環状空間を作り出す。
【0038】
本発明によるフラッシュカテーテルは、遠位端でのミニレール配送システムを含み得る。ミニレール配送システムの場合、1つ以上の穴が、ミニレールがフラッシュカテーテルに取り付けられる場所の近くに配置される。
【0039】
ヒトまたは動物に使用する場合、鞘は好ましくは、生体適合性材料で形成される。OCTまたは他の造影用途では、鞘は好ましくは、光または他の電磁放射線を通過させるように透明である。1つの実施形態では、鞘は透明ポリエチレン・テレフタレート(PET)で形成されるが、特定の用途に基づいて他の材料が適している場合がある。
【0040】
操作時、フラッシュカテーテルを患者の動脈、血管または他の開口部に導入する。フラッシュ溶液供給源により提供され、内腔と連通しているフラッシュ溶液は、内腔を通し、かつ開口部の1つ以上を通して放射状に外側に方向付けられる。その後フラッシュ溶液は、流れ配向鞘によって、カテーテル本体の外側表面に沿って軸方向に方向付けられる。
【0041】
すなわち、近位端からカテーテルに導入されたフラッシュ溶液は、穴から放射状に流出し、鞘によって、フラッシュカテーテルの外側表面に沿って近位方向に方向付けられる。フラッシュ溶液が、フラッシュカテーテルの近位端から遠位端に流れる血液と接触すると、動脈、血管、または他の体腔または開口部中に拡散し、動脈、血管、または他の体腔または開口部の空間を十分効果的に除去する。
【0042】
例えば、血管の場合、適切量のフラッシュ溶液を使用することにより、血管中の血液の流量よりもかなり低いフラッシュ流量を使用して円筒形空間全体から血液を十分に除去し得る。最低流量のフラッシュ溶液を使用して、広範囲の領域の血液を血管から十分に除去する能力は、本発明の利点の1つである。
【0043】
鞘の開放端に対する1つ以上の開口部のサイズと位置は、鞘からフラッシュ溶液が十分に放射状に均一に流れるように選択され得る。鞘および/またはカテーテルの内径を変えることにより、環状ギャップの厚さを変更することができ、フラッシュ溶液の平均軸流量度を所定のフラッシュ流量に対して制御することができる。1つの実施形態では、鞘は随意的で、フラッシングの促進は、以下に概説されるような粘性のフラッシュ溶液を使用することにより達成される。
【0044】
こうすることにより、鞘を離れるフラッシュ溶液の勢い(フラッシュ溶液の「平均速度×質量流量」に比例)は、血管を流れる血液の勢いに対抗して変化させることができる。フラッシュ溶液の平均速度を上げることにより、より小さな質量流量でも、動きは遅いもののより大きな血液の質量流量に対抗することができる。鞘とフラッシュカテーテルの間のギャップを変化させることにより、フラッシュ溶液の勢いを調整して、最小量のフラッシュ溶液を使いながら、所定の用途のために、鞘の近位にある除去した空間を最適な長さにすることができる。
【0045】
フラッシュ溶液のすべてが軸方向にフラッシュカテーテルから離れるので、動脈または血管壁に損傷を起こす心配はほとんどない。さらに、フラッシュ溶液の流れがフラッシュカテーテルの外部表面に近接しているため、外部表面の血液を十分に除去する。
【0046】
本発明によるフラッシュカテーテルの特定の実施形態を、以下に詳細に考察する。以下の考察は、OCT装置と関連する画像カテーテル/プローブなどのイメージングカテーテル/プローブと組み合わせてフラッシュカテーテルを使用することを教授する。しかし、本発明は、領域の制御されたフラッシングが望ましい他の用途に適用され得る。
【0047】
さらに、図1〜7のフラッシュカテーテルは、ミニレール配送システムとともに使用されているように示されている。しかし、他の配送システムも適切であり得る。
【0048】
図1は、本発明の実施形態に従い、イメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面斜視概略図である。図2は、図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分垂直断面概略図である。図3は、図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面斜視概略図である。図4は、図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの別の部分垂直断面斜視概略図である。図5は、図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分側面概略図である。図6は、図1のイメージングプローブと組み合わせて実現されるフラッシュカテーテルの部分垂直断面概略図である。図7は、本発明に従った、鞘の拡大垂直断面概略図である。
【0049】
図1は、フラッシュカテーテル10を含むフラッシュカテーテル組立体1を示す。図1の実施形態では、フラッシュカテーテル10は、ミニレール配送システム55と組み合わせて使用されているのが示されている。ミニレール配送システム55は、フラッシュカテーテル10の一部として提供されるか、またはフラッシュカテーテル10に取り外し可能なようにまたは恒久的に取り付けるために構成された柔軟チップ56を含む。図1に示されるように、柔軟チップ56はガイドワイヤー20を受けるように構成されている。ガイドワイヤー20は、外科医または他の使用者がフラッシュカテーテル10を動脈、血管または他の体腔または開口部内に誘導することを可能にする。
【0050】
OCTイメージング用途では、フラッシュカテーテルは、使用される光の波長に対して透明な材料で作られることが望ましい。ヒトまたは動物への使用では、フラッシュカテーテルは、生体適合性のある材料で作られることが望ましい。透明かつ生体適合性のある適切な材料の1つは熱可塑性物質で、これの一例は、PEBAとして知られるポリエステルブロックアミドである。しかし、他の材料も適切であり得る。
【0051】
フラッシュカテーテル10は、内腔14を持つカテーテル本体11を含む。内腔14は、フラッシュ溶液のソースと交通するように構成されている(図示せず)。例えば、使用されるフラッシュ溶液は、滅菌生理食塩水、純粋造影溶液、または滅菌生理食塩水と血管造影溶液の混合物であり得る。特定の用途に基づいて、他の流体も適切な場合がある。
【0052】
内腔14は、イメージングコア35を受けるように構成されている。イメージングコア35は、その中にイメージングプローブ36(例えばワイヤーまたは光ファイバー)が配置される外部ケーシング37を含む。イメージングプローブ36は、光のビーム30を放射状に出力するように設計されている。光のビームは、イメージングプローブ36の長さ方向に下に伸び、鏡38によって放射状に偏向される。動脈、血管、または他の体腔または開口部の内壁などの標的のディスク様スキャンを提供するために、イメージングプローブ36はイメージングコア35内で回転させることができる。次にイメージングプローブ36は、標的の長さをスキャンするために長さ方向に沿って引き出される。つまり、イメージングコア35は、遠位マーカーバンド26に近接するフラッシュ鞘45の下の位置から、近位マーカーバンド25までの間で軸方向に動かし得る。このようにして、動脈、血管または他の体腔または開口部の壁の長さを調査することができる。
【0053】
イメージングコア35およびイメージングプローブ36は、両方とも好ましくは、光ビーム30を通過させることのできる透明な材料で形成される。例えば、イメージングコアは、PEBAとして知られるポリエステルブロックアミド、ナイロンで形成され、イメージングプローブは例えばシリカガラスで形成され得る。しかし、他の材料も適切であり得る。
【0054】
上述のように、フラッシュカテーテル10は、さらに遠位および近位マーカーバンド25、26を含み、これは図1の実施形態にあるように隆起させることができる。マーカーバンド25、26は、使用者がフラッシュカテーテル10および/またはイメージングプローブ36の位置を制御できるように構成されている。例えば、マーカーバンドは、例えば、血管造影図上で見えるように構成でき、例えば、動脈系のカテーテルの位置を見つけるために使用され得る。また、マーカーバンドがO.C.T.プローブに対して不透過性である場合、引き戻している間に参照手段を提供する。
【0055】
フラッシュカテーテルはさらに、図2に示されるようにカテーテル本体11に配置された1つ以上の開口部15を含む。カテーテル本体11の外部表面12に1つ以上の開口部が形成される場合があり、カテーテル本体10の周辺に放射状に一列以上(15A、15B)で配置され得る。
【0056】
さらに、フラッシュカテーテル10は鞘45を含む。鞘45は、1つ以上の開口部15を少なくとも部分的にカバーする。図7に示されるように、鞘45は、薄い材料片を含む場合があり、カテーテル本体11の外部表面12の周りに配置された円筒形状の場合があり、カテーテル本体の長さに沿って所定の距離Dだけ延長する。
【0057】
鞘45は、接着剤などの取り付け手段40により、フラッシュカテーテル10の外部表面12に取り付けられ得る。1つの実施形態では、鞘はカテーテル本体11の一端に取り付けられ、動脈、血管、他の体腔または開口部に挿入された時にカテーテル10の近位端に向く端で開いている環状空間を作り出す。ギャップGは、鞘45の内部表面44とカテーテル本体11の外部表面12の間に形成される。
【0058】
操作時、供給源(図示せず)からのフラッシュ溶液は、内腔14を通して注入され、開口部15を通して排出される。開口部15を通して排出されるフラッシュ溶液は、鞘45により、フラッシュカテーテル10の外部表面12に沿って流れるように方向付けられ(図2および7の参照番号50で示される)、開口部15からフラッシュカテーテル12の外部表面12に沿って少なくとも遠位マーカーバンド25まで延長するフラッシュゾーンを形成する。
【0059】
鞘45と開口部15の間のギャップGの距離を変化させることにより、流れ50を制御できる。すなわち、近位端からフラッシュカテーテル10に導入されたフラッシュ溶液は、開口部15から放射状に流出し、鞘45によって、フラッシュカテーテル10の外側表面12に沿って近位方向に方向付けられる。フラッシュ溶液は、近位方向に軸方向に動きながら、鞘45を離れる。フラッシュ溶液が、近位端から遠位端に来る血液および/または他の物質と接触すると、動脈、血管、または他の体腔または開口部中に拡散し始め、動脈、血管、または他の体腔または開口部の空間から血液および/またはその他の物質を十分効果的に除去する。遠位および/または近位マーカーバンド25、26は、フラッシュカテーテル10の外部表面12に沿ったフラッシュ溶液の流れをブロックするのを避けるように、形成し得る。さらに、遠位および/または近位マーカーバンド25、26は、鞘45の開放端46A、46Bが動脈、血管、または他の体腔または開口部の壁に接触するのを効果的に防止するようにサイズ調整でき、フラッシュカテーテル全体を近位方向に動かした時の損傷の可能性を最小化する。
【0060】
適切な量のフラッシュ溶液を使用することにより、動脈、血管または他の体腔または開口部の血液の流量よりもかなり低いフラッシュ流量を使用して、2つのマーカーバンド25、26の間の円筒形空間全体から血液および/または他の物質を十分に除去し、フラッシュゾーンを作り出し得る。最低流量のフラッシュ溶液を使用して、広範囲の領域の血液および/または他の物質を動脈、血管または他の体腔または開口部から十分に除去する能力は、本発明の利点の1つである。
【0061】
鞘45の開放端46に対する1つ以上の開口部15のサイズと位置は、鞘45からフラッシュ溶液が十分に放射状に均一に流れるように選択され得る。鞘45および/またはフラッシュカテーテル10の内径を変えることにより、環状ギャップGの厚さを変更することができ、フラッシュ溶液の平均軸流量度を所定のフラッシュ流量に対して制御することができる。こうすることにより、鞘45を離れるフラッシュ溶液の勢い(フラッシュ溶液の「平均速度×質量流量」に比例)は、動脈、血管、または他の開口部を流れる血液および/または他の物質の流れの勢いに対抗して変化させることができる。フラッシュ溶液の平均速度を上げることにより、より小さな質量流量でも、動きは遅いもののより大きな血液および/または他の物質の質量流量に対抗することができる。鞘45とフラッシュカテーテル10の間のギャップGを変化させることにより、フラッシュ溶液の勢いを調整して、最小量のフラッシュ溶液を使いながら、所定の用途のために、鞘45の近位にある除去した空間を最適な長さにすることができる。
【0062】
フラッシュ溶液のすべてが軸方向にフラッシュカテーテル10から離れるので、動脈、血管、または他の体腔または開口部の壁に損傷を起こす心配はほとんどない。さらに、フラッシュ溶液の流れがカテーテル10の表面12に近いことから、外表面の血液および/または他の物質を十分に除去し、イメージングプローブ36によって十分に明瞭な画像が生成される。
【0063】
本発明によるフラッシュカテーテルの詳細は、OCT用途での使用に対して最適化されているが、他の用途、特に最小量のフラッシュ溶液を使いながらも、完全フラッシュが望まれる用途のために、容易に変更され得ることは明らかである。
【0064】
さらに、本設計は、開口部15および鞘45の位置を動かすだけで、フラッシュゾーンを、フラッシュカテーテルに沿ったどこにでも配置することを可能にする。フラッシュカテーテルが逆の方向に導入される(すなわち、血流がフラッシュカテーテルの遠位に向かっている)用途では、効果的なフラッシングを提供するために、鞘は逆転し得る。
【0065】
さらに、鞘とフラッシュカテーテルの間のギャップを変化させることにより、鞘から軸方向に離れるフラッシュ溶液の平均速度を所定のフラッシュ速度に対して制御し得る。さらに、鞘の開口端に対して開口部の数、サイズ、および位置を変えることにより、特別な用途のために、実質的に非均一な流れを達成し得る。
【0066】
前述の実施形態および利点は、単なる例であり、本発明の制限として解釈されるべきではない。本教授は、他の種類の装置に容易に適用できる。本発明の説明は、例証を目的とするものであり、請求項の範囲を制限するものではない。多くの代替例、変更、および変形は、当業者には明らかとなる。請求項では、ミーンズ・プラス・ファンクション条項は、列挙された機能を実施するとして本書に記述の構造物、および構造的同等物だけでなく同等構造も網羅することを目的とするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内に導入され、光学的に透明なフラッシュゾーンを作るよう構成されたフラッシュカテーテルであって、
管腔と、フラッシュ溶液の近位供給源と連通し前記カテーテルの遠位端で前記フラッシュ溶液を排出する内腔とに、導入されるよう構成されたカテーテル本体と、
前記カテーテル本体内に含まれるイメージングプローブ組立体と、
前記フラッシュ溶液を排出するように前記カテーテル本体に設けられた複数の開口部であり、当該複数の開口部を通じてフラッシュ溶液が前記管腔内に排出される際、前記フラッシュ溶液は前記カテーテル本体の近位端に向かって流れるように配向され、フラッシュ溶液の流量は、前記排出されたフラッシュ溶液の体積流量が局所的に流れる血液と実質的に同等であるがそれとは逆方向となるように構成され、これにより前記管腔の非閉塞性の光学的画像化が前記イメージングプローブ組立体によって実施され得るように、前記管腔の長さ方向に沿って前記光学的に透明なフラッシュゾーンが作られる、複数の開口部と、
を含む、フラッシュカテーテル。
【請求項2】
前記フラッシュ溶液が約150mg/ml〜400mg/mlの濃度のヨウ素を含む、請求項1に記載のフラッシュカテーテル。
【請求項3】
前記フラッシュ溶液が体温下で約3cps〜約9cpsの粘度を有する、請求項1に記載のフラッシュカテーテル。
【請求項4】
前記フラッシュ溶液の粘度が温度により大幅には変化しない、請求項1に記載のフラッシュカテーテル。
【請求項5】
前記フラッシュ溶液がデキストランを含む、請求項1に記載のフラッシュカテーテル。
【請求項6】
前記フラッシュ溶液が、5%〜20%の範囲のデキストラン濃度を有し、分子量が20,000〜100,000ダルトンのデキストランを含む、請求項1に記載のフラッシュカテーテル。
【請求項7】
第一の直径および管腔壁を有する対象管腔をフラッシングする方法であって、
フラッシュ溶液が複数の終端管腔の流体除去速度を遅くするよう当該フラッシュ溶液を選択するステップであって、前記終端管腔は前記対象管腔から分岐し前記対象管腔と流体連通しており、前記終端管腔のうちの少なくとも1つは前記第一の直径より小さい第二の直径を有する、ステップと、
前記フラッシング溶液で前記管腔をフラッシングするステップと、
前記管腔壁の部分に関する光断層撮影スキャンデータを収集するステップと、
を含む、フラッシングする方法。
【請求項8】
前記フラッシュ溶液が、前記管腔壁の前記部分近くの血液を除去するためにさらに選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フラッシュ溶液がデキストランを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記終端管腔が毛細管である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記フラッシュ溶液が体温下で約3cps〜約9cpsの粘度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記フラッシュ溶液が放射線不透過性の造影溶液である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記造影溶液のヨウ素濃度の範囲が、約150mg/ml〜400mg/mlである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記造影溶液が、約150mg/ml〜約400mg/mlの濃度のヨウ素を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−500142(P2013−500142A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523131(P2012−523131)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/049839
【国際公開番号】WO2011/038010
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509128672)ライトラブ イメージング, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】