説明

流体の性質を変化させる改質装置

【課題】構造が簡単で且つ安価な、流体の性質を変化させる改質装置を提供すること。
【解決手段】エンジン1の表面に基層2を形成し、この基層2上に第1層3の金属箔及び第2層4の金属箔で覆う。基層2はマイナスイオンを発する鉱物の粉末を液状の接着剤や、液状の塗料や、液状の合成樹脂等の基剤に混合し、この混合したものをエンジン1の表面に塗布、融着、接着して形成するものである。この場合、前記鉱物はトルマリン、黒曜石、蛇紋岩、麦飯石、黄土石、天寿石などである。マイナスイオンを発する鉱物の粉末に代えて、ゲルマニウム、ジルコニウム、バナジウム、トリウム、ラジウム、ラドンなどのマイナスイオンを発する物質の粉末でもよい。基層2の効果をより発揮させると共に、保護の役割を担う金属箔である第1層3及び同じく金属箔である第2層4で基層2上を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の流体の性質を変化させる改質装置は、例えば車両用燃焼効率改善剤として、車両のエンジンに外気を取り入れる部分のエアクリーナ又はエアフィルタに散布し、マイナスイオンを含む空気をエンジン内に取り込んで、エンジンの燃焼効率を改善する技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2006−220126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイナスイオンを発生させる物質又はマイナスイオン発生装置の他に、マイナスイオンを含む空気をエンジン内に取り込むための装置が必要であり、構造が複雑で高価なものとなっていた。
【0005】
そこで本発明は、構造が簡単で且つ安価な、流体の性質を変化させる改質装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を混入させた接着剤又は合成樹脂又は塗料を前記金属部に固着して基層を形成したことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を繊維中に混入させるか又は繊維の表面に付着させて製作した不織布又は織布を前記金属部に固定して基層を形成したことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記基層上にこの基層を保護すべく覆うように前記金属部に固定される少なくとも一層の保護層とから成ることを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記保護層を銅やアルミニウム等の金属からなる金属箔で形成したことを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を混入させた塗料を前記金属部に塗布して形成した基層と、この基層上にこの基層を保護すべく覆うように前記金属部に塗料を塗布して形成する少なくとも一層の保護層とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造が簡単で且つ安価な、流体の性質を変化させる改質装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】エンジンに適用した流体の性質を変化させる改質装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず、近年、地球温暖化に関する意識が高まり、人体への影響や、二酸化炭素の増加が社会問題となってきており、内燃機関の燃焼効率を上げる様々な試みがなされている。このため、一部のガソリン車では、直噴方式を採用して燃焼効率を高めており、また一部の新型車では内燃機関と電気モータを組み合わせたハイブリッド方式を採用して、燃費向上を図っている。
【0014】
しかし、これらの方法では、既存の車両や、設備等を改造して、適用することは困難である。また、構造上、複雑となるため、改造費用が高くなるという問題がある。
【0015】
このため、省資源で低コストで、既存の車両や、設備等にも適用できて、燃焼効率を向上できる装置が求められている。そこで、本発明は構造が簡単で且つ安価な、流体の性質を変化させる改質装置を提供せんとするものであり、以下本発明の実施形態について、図1に基づいて説明する。
【0016】
即ち、本発明に係る改質装置は、金属部に作用して、この金属部に触れる流体、例えば液体や気体の性質を変化させることにより、燃焼効率などを向上させるものであり、作用させたい金属部に適用する。以下作用させたい金属部としてエンジン1を例として、説明する。
【0017】
図1に示すように、この実施形態はエンジン1の表面に基層2を形成し、この基層2上に第1層3の金属箔及び第2層4の金属箔で覆うものであり、以下詳述する。先ず、基層2の第1の実施形態について説明するが、この第1の実施形態の基層2はマイナスイオンを発する鉱物の粉末を液状の接着剤や、液状の塗料や、液状の合成樹脂等の基剤に混合し、この混合したものをエンジン1の表面に塗布、融着、接着して形成するものである。
【0018】
この場合、前記鉱物はトルマリン、黒曜石、蛇紋岩、麦飯石、黄土石、天寿石などである。この鉱物の粉末の平均粒径は、0.1μm以上〜10μm以下の範囲内であり、好ましくは3μm以上〜10μm以下の範囲である。また、混合された接着剤などにおけるその割合は重量比で5%以上〜70%以下の範囲内であり、好ましくは10%以上〜60%以下の範囲がよい。価格や、入手難易度、効果などによって、これらの鉱物の1種若しくは複数種を使用する。
【0019】
粉末の粒径が小さすぎると、鉱物の効能の一部が得られず、大きすぎると、接着の効果が失われるため、好ましくは3μm以上〜10μm以下の範囲がよい。また、その割合が少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると長時間定着させておくことが困難であって接着の効果が失われるため、重量比で好ましくは10%以上〜60%以下の範囲としたものである。
【0020】
なお、マイナスイオンを発する鉱物の粉末に代えて、ゲルマニウム、ジルコニウム、バナジウム、トリウム、ラジウム、ラドンなどのマイナスイオンを発する物質の粉末でもよい。
【0021】
また、基剤として塗料を用いた場合、エンジン1の表面に電着塗装したり、メッキしたりすることによって、より強固に固着・密着することができ、効果を安定的に、且つ長期的に発揮できるものと思われる。
【0022】
次に、基層2の他の実施形態について説明する。先の実施形態で説明したマイナスイオンを発する鉱物や物質の粉末を、繊維中に混入させるか、又はマイナスイオンを発する鉱物や物質の粉末を繊維の表面に付着させて製作した不織布又は織布を、前記エンジン1の表面に圧着や密着させて、基層2とする。
【0023】
この実施形態で使用するマイナスイオンを発する鉱物や物質の粉末の平均粒径は、0.1μm以上〜1μm以下の範囲が好ましく、また混合された接着剤などにおけるその割合は重量比で8%以上〜25%以下の範囲がよい。重量比で25%以上となると、不織布又は織布としての強度が失われるため、前述範囲内が好ましく、効果や作業条件などに応じて、割合は適宜選択して使用する。
【0024】
次に、上述して形成した基層2の効果をより発揮させると共に、保護の役割を担う金属箔である第1層3及び同じく金属箔である第2層4で基層2上を覆う。即ち、第1層3及び第2層4で基層2上を覆うことにより、マイナスイオンの効果をエンジン1内に向けてその効果を発揮させると共に、表面保護を図るものである。
【0025】
この第1層3は、導電性を有して加工し易く、前記基層2に圧着、密着が容易な銅、アルミニウム、金、銀、白金などが望ましいが、銀や白金は導電性を有して加工し易い反面、高価であるため、現実的には銅やアルミニウムが好適である。
【0026】
また第2層4は、機械的強度に優れ、導電性も程ほどにあって、圧着、密着がし易いアルミニウム、銅合金、アルミニウム合金や、チタン、ステンレス、金が望ましい。
【0027】
なお、以上のように、基層2の上に、第1層3及び第2層4を固定した場合に、酸やアルカリ等の化学的侵食が考えられる場合には、特に第2層4として金などの化学的に安定した金属の箔を使用したり、この第2層の上にメッキや塗装を施すと、より安定して長期間効果を持続することができる。
【0028】
前記第1層3及び第2層4は、あまり薄いと基層2の効果を発揮しきれず、また厚すぎると密着性や加工性が悪くなるため、第1層3は0.01m以上〜0.3m以下の範囲がよく、第2層4は0.05m以上〜0.5m以下の範囲がよい。
【0029】
そして、基層2を第1層3の金属箔及び第2層4の金属箔で覆うのであるが、基層2の全てを接着剤を介して第1層3の金属箔で覆い、この第1層3の金属箔の全てを覆い隠すように接着剤を介して第2層4の金属箔で保護する。
【0030】
また、各層を圧着又は熱圧着する場合、その接着剤中に、0.1μm以上〜1μm以下の範囲内の粒径のマイナスイオンを発する鉱物や物質の粉末を、混合された接着剤などにおけるその割合は重量比で5%以上〜10%以下の範囲の程度で、接着性やその他の条件の場合により、適宜混合させると、エンジン1に作用させる効果をさらに得ることができる。
【0031】
そして、基層2の上に塗布する接着剤と前記第1層3の金属箔との合計の厚み、前記第1層3の上に塗布する接着剤と前記第2層4の金属箔との合計の厚みは、それぞれ1mm以上〜1.5mm以下の範囲内が、作業性に優れる。あまり厚すぎると、エンジン1の曲面や複雑な形状の部分に固定した場合に、金属箔にできた皺を密着することができなくなってしまい、逆に薄すぎると接着が弱くなってしまうためである。
【0032】
なお、前記第1層3及び第2層4を金属箔とすると、鋏などを用いて加工し易いので、その大きさを適切に調整することができると共に、エンジン1への固定や、剥離が容易である。
【0033】
次に第2の実施形態について説明する。マイナスイオンを発するトルマリンなどの鉱物の粉末や、ゲルマニウムなどのマイナスイオンを発する物質の粉末を液状の塗料の基剤に混合し、この混合したものをエンジン1の表面に電着塗装したり、メッキしたりすることによって、基層2を形成する。
【0034】
この場合、基層2に用いる鉱物の粉末は、前記基剤の粘着性に応じて、平均粒径が1μm以上〜3μm以下の範囲内が望ましい。また、混合された接着剤などにおけるその割合は重量比25%以上〜60%以下の範囲内を目安とする。
【0035】
そして、第1層3は導電性に優れ、基層2に密着、固着することについて安定している塗料が望ましい。また第2層4は、化学的に安定していて、機械的強度に優れ、基層2や第1層3を様々な刺激から長期的に保護することができる塗料が望ましい。
【0036】
エンジン1に密着した基層2には、稼動中であれば熱が加えられ、それにより基層2に使われるトルマリンなどが活性化される。エンジン1の金属部に基層2からマイナスイオンや微弱放射線などが供給されると、それはエンジン1全体に次第に減衰しながら伝わっていき、各処に効果を及ぼす。
【0037】
空気の吸入部では、導入される空気中の水分にヒドロニウムイオン(H)と、ヒドロニウム(HO2)を帯びることとなる。酸素分子が帯電、分散化を起こし、燃焼に対する反応性が高まる。
【0038】
また、燃料供給部では燃料分子団が帯電し、微細化状態が保持される。
【0039】
トルマリンなどの一部鉱物が水質を変化させることは広く知られており、この場合でも冷却水が変質され、それによりエンジン1の燃焼室周辺に帯びていた静電気が分散、放出されていることが推察される。
【0040】
以上のように、エンジン1内では、より燃え易く変質された空気の中に、より燃え易く変質された燃料であるガソリンが、より燃え易く霧化噴出されるため、複合的要因の相加効果によって燃焼効率が上がり、完全燃焼に近づくので出力、燃費の向上や排ガスの浄化等が望むことができる。
【0041】
なお、鉱物の粉末としてトルマリンの粉末を使用した場合の作用原理について説明すると、先ずトルマリンは硼素のケイ酸塩結晶鉱物であり、日本では電気石と呼ばれている。特長として、外部電界を印加しなくとも、自発分極し、電磁波及びマイナスイオンを放射する性質がある。特に、微細粉末化すれば、極度に強い電界を発揚し、その電界強度は粒径が数ミクロンmであると、10V/M〜10V/Mに成るとの公開データがある。
【0042】
また、圧電気性及び温度変化電気性という特性があり、加圧や加温により電磁波の放射が増強されると共に、その周囲にピエゾ電気及びピロ電気と呼ばれる電流が強く発揚することが知られている。特に、温度変化電位性は、温度が10℃上昇する度に2倍増加することが明らかとなっている。
【0043】
そして、以上のような実施形態によれば、金属部であるエンジン1にあっては、基層2、第1層3及び第2層4がエンジン1に作用して、このエンジン1に触れる流体であるガソリン5や冷却水の性質を変化させることにより、出力の向上と排ガスの浄化を図ることができ、しかも構造が簡単で且つ安価な改質装置を提供することができる。また、本発明に係る改質装置は、材料の使用量も少なくて済むので、廃棄物処理などにおける二次公害の発生も少なく、環境にも優しいものである。
【0044】
本発明は、以上のようなマイナスイオンを発する鉱物の粉末や、ゲルマニウムなどのマイナスイオンを発する物質の粉末の自発分極に因る強力なマイナスイオンや電磁波の放射されたエネルギーを利用して、金属部に作用し、それに触れる流体の性質を変化させるための改質装置である。
【0045】
従って、以上のように、作用させたい金属部として、エンジン1を例に説明したが、これに限らず、種々の内燃機関にあっては出力の向上と排ガスの浄化、焼却炉や燃焼機器などにあっては発熱量や燃焼効率の向上と燃焼温度の上昇、排ガス及び燃焼ガスの浄化、水道水の配管にあっては水質や味の変化や下水などの浄化、機械部品にあっては摩擦の低減及び静電気の低減、送信装置や受信装置にあっては省資源、省エネ、各種金属材料にあっては省資源化と製造時の省エネ化、蒸気機関にあっては出力の変化と排煙の浄化、コンプレッサーにあっては運転の効率化、冷暖房機器類にあっては冷却暖房効率の向上、船舶などにあっては水の抵抗の変化による航行時の必要なエネルギー量の変化、飛行機などにあっては空気抵抗の変化による飛行時の必要なエネルギー量の変化、生コンクリートを作製するミキサー車にあってはコンクリートの強度強化などの向上、電動機などにあっては出力、力率、エネルギー効率の変化、電磁石にあっては効率の変化、電線、導線、各種鋼材、金属材料の電気抵抗の変化など、種々の変化を図ることができる。
【0046】
従って本発明によれば、構造が簡単で且つ安価な、流体の性質を変化させる改質装置を提供することができ、金属部に作用して、この金属部に触れる流体、例えば液体や気体の性質を変化させることにより、燃焼効率などを向上させることができるものである。
【0047】
なお、前記金属部は、鉄、アルミニウム、ステンレス製などが該当するが、これらに限らず、その他の金属で構成してもよい。
【0048】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 エンジン
2 基層
3 第1層
4 第2層
5 ガソリン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を混入させた接着剤又は合成樹脂又は塗料を前記金属部に固着して基層を形成したことを特徴とする流体の性質を変化させる改質装置。
【請求項2】
流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を繊維中に混入させるか又は繊維の表面に付着させて製作した不織布又は織布を前記金属部に固定して基層を形成したことを特徴とする流体の性質を変化させる改質装置。
【請求項3】
前記基層上にこの基層を保護すべく覆うように前記金属部に固定される少なくとも一層の保護層とから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体の性質を変化させる改質装置。
【請求項4】
前記保護層を銅やアルミニウム等の金属からなる金属箔で形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体の性質を変化させる改質装置。
【請求項5】
流体に触れる金属部に作用して前記流体の性質を変化させる改質装置において、マイナスイオンを発生する物質の粉末を混入させた塗料を前記金属部に塗布して形成した基層と、この基層上にこの基層を保護すべく覆うように前記金属部に塗料を塗布して形成する少なくとも一層の保護層とから成ることを特徴とする流体の性質を変化させる改質装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−24746(P2012−24746A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178062(P2010−178062)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(510216038)
【Fターム(参考)】