説明

流体の流れに含まれる粒子の除去方法とその装置

【課題】乱流状態を呈する気体内に拡散している、塵、もや、煙りおよび有害ガスなどのような粒子の分離と回収を容易にする。
【解決手段】比較的に多数の網状のスクリーンがそれぞれフレームに支持され、次々と前後して配置されている。塵を含む気体は入口12からハウジング10に侵入し、流路16を通って流れ、そして浄化された気体が出口14から排出される。この入口と出口には縁24がある。スクリーンが占めているゾーンに向かってスクリーン上の自由な通路を通って流れる気体に生じる渦によって、微粒子は連行され、ここで渦は減衰しそして塵はスクリーンの網目(およびスクリーンの上縁にある金属ベルト)に沈着し、次に、十分な厚さの沈着が形成された後に、沈着された粒子はこの装置の底に落下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体に含まれる微粒子の除去に関するものである。本発明は特に、乱流に伴うある種の効果を特殊で新しい方法で利用し、かつ純粋に機械的な手段を用いて、乱流状態を呈する気体内に拡散している、塵、もや、煙りおよび有害ガスなどのような粒子の分離と回収を容易にする。
【背景技術】
【0002】
流体力学およびこれに関連する領域の専門家には、乱流状態を呈する流体内に拡散している微粒子は乱流の渦流に従う傾向があることは公知のことである。
【0003】
0.01から100ミクロンまでの寸法を有しかつ工業ガスまたは周囲空気中に含まれる非常に細かい粒子の分離は、複雑でかつ費用のかさむ操作を要する。
【0004】
このために通常用いられる装置には、電気集塵器、様々なフィルタおよび湿式集塵器がある。また、工業ガス内に含まれる有害ガスを除去するためにガス洗浄器も利用される。約5ミクロンを超える寸法を有する粒子を除去するためにはサイクロン集塵器が従来の方法で用いられ、そして近年は、約1ミクロンの寸法の粒子にもその有効性を拡大しようといる努力が一斉になされている。
【0005】
特許文献1には、新しい特殊な方法によって微粒子を分離しそして回収するために乱流の混合効果を利用して流体の流れの中に拡散している微粒子を除去できる方法が開示されており、この方法においては、乱流状態を呈する流体の流れを内部に自由空間を有する流路内に通し、上記の流路と自由に連絡しているゾーンをこの空間にそって配置し、このゾーン内で流れは、この流体の中央に互いに近接して配置されている多数の物体によって妨げられ、その結果、乱流は粘性のある流れに変わる。粒子を伴っている乱流の渦は、粘性のある膨張した下層を形成するゾーン内に連続的に入り込んで、このゾーン内に存在する物体の表面に粒子を沈着させる。物体の表面への粒子の付着は、これらの物体が静電気を帯びていれば、改善される。流体の流れに含まれる粒子を回収する上述の原理に基づいて作動する装置をこれ以降、「乱流集塵器」と呼ぶことにする。
【特許文献1】WO93/15,822号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特許文献1には記載されていないような粒子の分離を行うための方法を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な実施態様全てにおいて、塵の回収機構は同一であり、渦の侵入による乱流の沈積に依っている。本特許出願は本明細書に記載されている、上記の原理に基づく全ての実施態様に対し、そして将来なされるかも知れない修正にも適用される。集められた塵の回収方法または除去方法の幾つかが当文書に記載されているが、いずれも、集められた塵の唯一の除去法ではない。あるものは純粋に物理的な手段(重力を利用する)に基づいており、また別のものは機械的な手段(スクリーン、スクリューコンベヤ、ベルトコンベヤ、振動機構、早戻り振動装置など)に依っている。ある種の実施態様は、小規模(500acfm=フィート/分)の応用に利用され、またあるものは中型の規模(5000acfm)の応用のためであり、そしてその他は大規模な工業ユニットに応用するために修正されることもあり得るが、すべては同一の基本原理、すなわち本明細書および特許出願WO93/15,822号と英国特許GB9407441.6号とに記載されているような乱流沈積の原理に基づいている。記載されている大多数の実施態様は、粒子の除去に加えて、収集面に適宜な触媒かまたは活性炭のような吸収剤を含浸させることによって、若しくは収集装置の上流で乱流気体の流れに水や適宜な水溶液を細かく噴霧することによって、有害なガスを除去するために利用できる。第1の場合では、有害なガスが反応したりまたは吸収されたりする収集面まで、渦がこのガスを運ぶ。第2の場合では、有害なガスを吸収した後に霧化された細かい噴霧が乱流沈積によって沈着される。この場合、乱流集塵器は湿式集塵器として働く。乾式ふるい分けは、乱流集塵器のもう一つの応用分野を構成する。すなわち、これは工程中に形成される乾燥粒子を回収するために利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
添付されている以下の図面を参照しながら、粒子の回収を可能にする幾つかの追加手段を次に説明する。
【0009】
1.第1の追加手段(図1)
図1に示されている第1の追加手段では、文書WO93/15,822号に記載されているようにハウジングの底に設置するか、またはハウジング10の底20とプレート18の下縁との間に隙間を残して設置するかして、比較的多数のプレート18をハウジング内にこれを横断するように前後に次々と配置する。気体は乱流状態で流路16を流れる。幾つかのまたは全てのプレートには、次々と配列されている多数のスロットがあり、「キャニオン(谷)」と呼ぶことができる空間を形成し、しかもこのスロットはこれらのプレート全体を貫いている。各スロットまたはキャニオンの幅は変えることができるが、ほぼ3mmから10mmの間であることが好ましい。プレートに作られているこれらのスロットまたはキャニオン間の間隔も可変であるが、約1cmから約30cmの間であることが好ましい。ハウジングの幅61cm、気体の流路16の高さ5cm、気体流速12m/sec〜18m/sec、集塵器の長さ3.4mで、平均直径1.8μmの粒子を含む試験塵ASP200に対して実施された試験時には、「キャニオン」のないプレートにおける回収率は48%であったが、一方幅3mmの「キャニオン」13か所を備えたプレート18での回収率は62%になった。
【0010】
2.第2の追加手段(図2)
図2に示されている、粒子の分離を行うための第2の追加手段においては、文書WO93/15,822号に記載されている近接して配置されている単数の横断プレートの代わりに、比較的に多数の網状のスクリーン6を利用することができるが、このスクリーンはそれぞれフレーム4に支持され、次々と前後して配置され、そしてダクトの底に取り付けられているスライダ26の上に配されている集塵トレー28の底と、スクリーンの下縁との間隔はほぼ0.5cmから2cmまでである。スクリーンを貫通することになるピン2はトレー28の側面に取り付けられる。好ましい変形においては、約1cmから4cmまでの幅を有する金属ベルト18をプレートの代わりに各スクリーンの上縁のうえに上記スクリーンの代わりに設置することができる。各スクリーンはそれぞれ、約0.5cmから約5cmまでのいずれかの間隔で配置することができる。直径が約0.1mmから約1mmまでであることが好ましい繊維、フィラメントまたは金属ワイヤで、スクリーンを作ることができる。スクリーンの網目の寸法は大幅に変えることができるが、約1mmから約10mmの間にあることが好ましいであろう。この配置は文書WO93/15,822号に記載のものと同様である。塵を含む気体は入口12からハウジング10に侵入し、流路16を通って流れ、そして浄化された気体が出口14から排出される。この入口と出口には縁24がある。スクリーンが占めているゾーンに向かってスクリーン上の自由な通路を通って流れる気体に生じる渦によって、微粒子は連行され、ここで渦は減衰しそして塵はスクリーンの網目(およびスクリーンの上縁にある金属ベルト)に沈着し、次に、十分な厚さの沈着が形成された後に、沈着された粒子はこの装置の底に落下する。集塵トレー28は重い鋼鉄のプレート52に取り付けられており、このプレートは、駆動軸36の密封手段としての役割を果たすベローズ34またはこの目的のために相応しい何らかの他の手段を用いて、約1cmから約3cmの振幅と約2Hzの周波数で、軸36を経由して早戻し機構付きのカム38により振動させられ、そしてこのカム38はモータ40によって駆動される。往復の速度比は約2または3に達し、トレーに収集された塵は、ホッパー46に送られるが、一方では塵は休みなく収集され続けている。ホッパーは回転弁44によって、空にされる。図2に示されているように、進行は右から左に向かっている。ホッパー46を入口12の側に設置せずに、ハウジング10の反対側の先端、つまり浄化された気体が出口から当施設を出る所に配置することも可能である。しかし、この場合では進行は左から右に向かう。プレートの代わりにスクリーンを使用すれば、収集される微粒子のアクセスできる表面積が増大され、その結果粒子の回収率が上昇する。早戻し機構を用いて振動によりなされる、当施設の底に集められた塵の除去は、文書WO93/15,822号に記載されているような「キャニオン」なしのプレートでも、本発明の第1の新しい手段に用いられているようなスロットを備えているプレートでも、プレートの使用時に同様に行うことができる。
【0011】
3.第3の追加手段(図3、4、5、6、7、8、および9)
粒子の分離のための第3の追加手段においては、多数の近接した横断プレートまたは多数のスクリーンの代わりに、本装置内に気体の乱流に沿って配置された繊維織物やパッドから成るマットかパッドが用いられる。この繊維織物は、ポリエステル、ガラス、金属またはセラミックスの繊維を基本にすることができ、そして約0.90から0.999までの範囲の有孔率(間隙率)を示し、そして隣接する2本の繊維間の平均間隔が約0.5mmから約0.1mmであるようにするために、これらの繊維は約0.001mmから約0.1mmの直径を有する。パッドの繊維に静電気を帯電させることも、かつ/もしくは、パッドに襞(ひだ)を付けることも可能である。パッドの厚みは約1cmから約30cmであり得る。本発明のこの新しい実施形態はある程度、本文書に記載の第2の追加手段に類似しているが、これははるかに細い収集繊維を利用することができ、その結果スクリーンで可能なものよりも大きい収集面を有することができ、そのうえ構造と製造とに関してもある種の利点がある。高い有孔率のパッドに含まれている気体は、粘性のある膨張した境界層を成し、乱流気体の流れから生じかつ浮遊状態の粒子を運ぶ渦がこの層の中に侵入する。粒子は公知の何らかの回収機構を用い繊維によって捕捉される。従来のフィルタでは、濾過材の一方の側から気体を入れ、他方の側から出しており、その結果圧力の損失が大きくそして濾過材の目詰まりが次第に生じてくるが、本発明では、気体の大部分は開放されている流路内を多孔性のパッドにそって流れ、その結果、圧力の損失は常に低い水準を保ち、気体の流速は速く、また安定的な流量と粒子の高い回収率も確保される。
【0012】
3a)図3に示されている第3の追加手段の実施形態では、乱流集塵器は、ハウジング10と、微粒子を含む気体のための入口12と、一般的に水平に配置されかつ縁24を備えている、浄化された気体のための出口14とを含む。ハウジング10の内部では、気体が流路16を通って流れ、図2に示されている実施形態で記載されている早戻し機構を用いて間隔を置くかまたは連続的に振動させられている集塵トレー28に取り付けられている金属ワイヤ32によって保持されている、繊維パッド30から成るシートが上記の流路の下にあり、そしてこの早戻し機構は、駆動軸36と、ベローズ34かまたは適宜な他の密封手段と、早戻し機構付きのカム38とそしてモータ40とから構成される。直径約30μmの繊維から形成されている、厚さ10cmでかつ99.5%の有孔率を備えているガラス繊維のマットを用いて実施された試験は第1の追加手段のために記載されたものと同じ条件で実施されて、回収率は70%に達することができた。この実施形態は、本装置からすでに集められた塵を連続的に除去することができ、そしてマットレスの費用と重量がプレートに比べて、非常に小さくできるという利点がある。
【0013】
3b)図4に示されている実施形態は図3に表されている実施形態と酷似している。この実施形態には、入口12と同様にハウジング10と、気体のための出口14と縁24とが含まれているが、水平から約70°傾いている軸を中心にして配置されている。気体は流路16を通って流れ、重い鋼鉄のプレート52に溶接された、金属ワイヤ32から成るケージによって保持されている繊維織物のシート30がこの水路の下にあり、図2の実施形態について記載されているものと類似の振幅と周波数で作動し、かつ支持材54に取り付けられているが、必ずしも早戻しタイプではない振動機構50により動かされる駆動軸36によって、上記の鋼鉄のプレートは振動させられる。ベローズ34または適宜な他の手段は駆動軸36のための密封手段としての役割を果たす。金属ワイヤ製のケージはスライダー26上を滑動する。振動のために繊維から離れた塵は塵排出路48内に落下し、そして重力のためにハウジング10の底20を滑リホッパー46に落下して、そこから回転弁44を経て排出される。
【0014】
3c)本発明の第3の追加手段の第3の実施形態は、図5aと5bに示されている。ハウジング10、入口12と出口14、縁24、気体の流路16、重い鋼鉄のプレート16が取り付けられる集塵トレー28、スライダ26、底20、早戻しカムを含む早戻し機構38、駆動軸36、ベローズとその他のあらゆる適宜な手段34とモータ40、ホッパー46そして回転弁44は全て、本文書の図2を参照しながら説明された実施形態の対応する構成部品と同等である。この実施形態においては、繊維織物はピニオン(参照符号なし)を備えている軸56によって低速で移動させられるベルトの形態で用いられている。塵は上部流路内のベルトによって収集され、そして同様にピニオン104を備えている除塵軸76によってそこから下部の流路に排出される。軸はモータ(図示されていない)によって制御される。
【0015】
寸法
あらゆる実施形態にふさわしい典型的な寸法が以下に記載されている。ハウジング10の幅は10cmから1mであり、そして約50cmが好ましく、流路16の高さは1cmから20cmであり、そして約5cmに達することが好ましく、繊維マットレス30の厚さは1cmから30cmであり、そして約10cmに達することがこの好ましい。ハウジング10の長さは達成すべき仕事と求められている回収率によって異なる。流路16における気体の流速は1m/secから30m/secであり、そして約15m/secが好ましい。早戻しカム38は約2から3の往復速度比を有し、行程は約2cmでありそして周波数は約2Hzに達する。
【0016】
3d)上記の特性を有する繊維織物またはパッドを利用する、本発明の第3の追加手段の第4の実施形態は図6aと6bに示されている。この場合ハウジング10は、塵を含む気体には入口12を、そして浄化された空気には弁78を有する出口14を備えている管10から成る。管10の内部において、繊維織物30は、中程度の金属ワイヤの格子または細い金属ロッドから成る同心の2つの管の間に挿入される。内側の管状格子98から成る管は流路16を構成し、補強ヘッドプレート52により外側の管状格子32に取り付けられている。ケージは、2つのロッド100によって案内され、ハウジング10の中央で上昇および下降運動を行うことができ、これらのロッド100は、図6bに示されているように、しっかりと格子32に取り付けられ、そしてハウジング10の内部に付けられている案内溝102内を滑動する。漏斗(じょうご)形の円錐形プレート96は、外側の管状格子32の下端を内側の管状格子98の下端に連結する。管状格子32および98と、補強ヘッドプレート52と、そして円錐形プレート96から構成されるケージは、早戻し機構かまたは単一偏心輪機構のいずれかであり得る機構50による往復運動によって断続的に振動させられる。駆動軸36は、ベローズ34かまたはその目的にふさわしい何らかの他の密封手段によって補強ヘッドプレート52に取り付けられている。塵はホッパー46内に落下し、ここから回転弁44を通って排出できる。内側の管状格子98の直径は、2cmから40cmで、好ましくは約10cmと20cmの間であり、そして繊維織物のパッキング30の厚みは2cmから15cmで、好ましくは約5cmと10cmの間であり、気体の流速は2m/secから30m/secまでである。管状マットレスの長さは、達成されるべき仕事に応じて3mから30mである。工業においてよく見られるように、気体の流量が多い場合、内側の管状格子が多数、同一の補強ヘッドプレート52に取り付けられ、大きな寸法の外側の管状格子内に一連の管が嵌め込まれ、この外側の格子の上部周縁はヘッドプレートに取り付けられる。内側の管状格子と補強ヘッドプレートおよび外側の管状格子との間の隙間には、繊維織物が詰められる。内側の各管の下、繊維のパッキングの下部には、漏斗状の円錐形プレートがあり、その上部先端はケージの溝付きの底に取り付けられている。このケージ全体は、ハウジングの内部で滑動し、そしてハウジングの上部先端に配置されている加振器によって、往復運動により断続的に振動させられる。塵はホッパー46に送られ、そこから回転弁によって排出される。気体の管状流路の内径は20cm、管の長さは3m、気体の流速は12m/secから18m/secで、直径約30μmの繊維から成る、有孔率99.5%のガラス繊維のマットレスの厚さ10cmの層で実施された試験において、標準試験塵ASP200の回収率は78%であった。
【0017】
3e)上述の特性を示す繊維織物またはパッドが含まれる、本発明の第3の追加手段の第5の実施形態は、図7aから7eに図示されている。これには長方形のハウジング10が含まれ、このハウジング内には自由な調節ができかつ密封仕切り90によって等しい4つの区画に分離されている長方形のケージ32が配置されている。塵を含んだ気体は入口12から、中程度の金属ワイヤから作られている格子で構成されている管内に侵入するが、先ず区画82に、次に区画84に、それから区画86に、そして浄化された気体は最後に区画88に入り、出口14から区画88を去る。図7cの断面図に示されている可とう管108は、隔壁が格子で作られている管の両端において入口12と出口14とを連結している。ハウジングの外観は図7bに示されており、この図面にはまた断面の位置も表示されている。ケージの上部は、ケージの上昇と下降の往復運動を可能にする加振器に駆動軸56を介して連結されている補強ヘッドプレート52から構成されている。図7dと7eは、図7bにその位置が示されている、当装置の2つの水平断面図である。振動によって繊維から脱落した塵はホッパー46に入り、ここからスクリューコンベヤのような様々な適宜な手段で排出される。区画または流路の数は、この実施形態におけるような4つの限定されず、必要と判断するかまたは適宜であれば、多くしてもよい。この実施形態において選択される寸法は、図6に示されている上記の実施形態で採用されたものと同じである。この実施形態は、流路に関してその有効長が上記の実施形態のために選択されたものと同じではあるが、その高さが非常に小さい装置を利用する可能性を供する。
【0018】
3f)その特性が上述されている繊維織物またはパッドを含む、本発明の第4の追加手段の第6の実施形態は、図8aと8bに示されている。これは厚さ約1cmから2cmの2枚の嵌め込み繊維パッド30から形成される幾つかのモジュールから成り、これらのモジュールは、1から3cmの間隔を置いて水平または垂直に配置され、そして高さ約50cm、長さ約50cmの流路16を形成し、これらの流路16を通って空気/気体の流れが乱流をなして循環する。図8bの上面図に示されているこの実施形態の好ましい1例によれば、このマットレス30には襞があり、これらの襞は、その方向が図2に示されているスクリーンと同様に、気体/空気の乱流の循環方向に対して垂直な方向に付けられている。図8bにはまた、各流路の両端に配置されている支持縁24が示されている。この実施形態のもう一つの特徴は、気体/空気の乱流が通過する流路の両面で塵が集められるということである。この実施形態が両面集塵器と呼ばれるのはそのためであって、集塵パッド30の配置はプレートタイプの電気集塵器内の集じん電極の配置と似ている。この実施形態において、上記のモジュールのような並列に配置されている幾つかのモジュール(図8では5つ)は、空気が1つのモジュールからもう1つのモジュールに移る度に気体/空気の流れの方向が180°変化するように、U字型の継手によって直列に接続されている。塵を含む空気/気体の流れは入口12から入り、そして浄化された空気/気体の流れは出口14から排出される。2枚のフロントプレートと4枚の仕切り壁から成り、ハウジング10内に収められている構造物内に、嵌め込み繊維パッド30は挿入される。気体/空気の流れは支持板70に取り付けられているファン68によって導入される。この実施形態においては、繊維パッドは頻繁に清掃する必要がないため、空気内にあまり粒子を含んでいない住居や事務所内の空気清浄のような応用に、これは特に有利である。非常に高い回収率を必要とするユニットのためには、襞があってもまたは平坦であっても、静電気を帯電している集塵パッド30を用いることができ、かつ/もしくは、脱臭のために、既存のある種のパッドに代えて例えば活性炭のような適宜な吸着材を含むパッドを用いることができる。この実施形態の両面集塵器の拡大された変形は、工業ガスの浄化のために利用することができる。しかしながら、この場合、集じんパッドは振動もしくはその他のあらゆる適宜な手段によって定期的に清掃しなければならない。幅1.3cm、有効長2.5mの流路16と厚さ2.5cmの襞のある繊維パッド30とを含み、そして空気の流速6.5m/secにおける試験ユニットにおいて、標準試験塵ASP200の回収率、92%を測定することができた。同じ試験ユニットで、厚さ2.5cmでかつ静電気を帯びている襞のある繊維パッド30を用いて実施された試験において、直径5μmの粒子から成りかつ周囲の空気に含まれている塵を100%回収できた。
【0019】
3g)繊維織物またはパッドを用いる本発明の第3の新しい追加手段の第7の実施形態は、図9に示されている。これは、不浸透性のシート106に配置されているらせん構造のパッド30から成る。その上にパッドが張られているこのシートは、連続している2つの巻きの間に隙間16を残し、こうして平行な2つの気体流路16を形成するように、らせん形に巻回されている。らせん形乱流集塵器は円筒形のハウジング10に収められており、塵を含む気体のための入口12はこの装置の中央に、そして浄化された気体のための出口14は円筒形のハウジング10の外周の接線方向に配置されている。入口に接続している、このユニットのカバーは、図9には示されていない。この図から判るように、この実施態様もまた、空気にあまり塵が含まれていない住居や事務所内の空気清浄に非常に適している。このユニットは、振動または吸引によるものを含み、定期的清掃をかなり間をおいて実施するだけでよい。空気の流路の幅は、約1cmから3cmである。パッドの厚さは約2cmと5cmの間であり、そしてこのユニットの高さは約10cmから50cmまでの間で変化する。このらせん構造の利点の一つは、真っ直ぐなダクトで遭遇する値よりも低いレイノルズ数値を示す(すなわち、所与のシステムにおいて、より遅い流速を示す気体を有する)乱流条件の出現に適していることである。らせん形の乱流集塵器の拡大変形は、工業ガスの浄化に用いることができる。この場合、集塵パッドは振動または他の何らかの適宜な手段で定期的な清掃を行う必要がある。幅1.3cm流路16と厚さ2.5cmの繊維パッド30を含み、3mの流路16有効長を有し、そして空気の循環速度2.5m/secにおける試験ユニットにおいて、標準試験塵ASP200の回収率、92%を測定することができた。
【0020】
要約すると、本発明は、工業ガスまたは空気の中に浮遊している、一般的には非常に小さい寸法の粒子を有効に除去することができる幾つかの新しい構造と実施方法を供するものである。本発明の枠を逸脱せずに修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ハウジング内に配置され、第1の追加手段に使用されるプレートの正面図である。
【図2a】第2の追加手段による乱流集塵器を示す、破断部分のある側面図である。
【図2b】早戻り機構の正面図である。
【図2c】ハウジング内に配置されているふるい分けプレートおよび集塵トレーを示す図である。
【図3】第3の追加手段の実施形態に基づく乱流集塵器の側面図である。
【図4】第3の追加手段の第2の実施形態による乱流集塵器の、幾つかの破断部分がある正面図である。
【図5a】第3の実施形態による集塵器の側面図である。
【図5b】第3の追加手段の第3の実施形態による乱流集塵器の横断面図である。
【図6a】第3の追加手段の第4の実施形態による乱流集塵器における、幾つかの破断部分を有する斜視図である。
【図6b】乱流集塵器の主軸に垂直な横断面図である。
【図7a】第3の追加手段の第5の実施形態による乱流集塵器の、幾つかの破断部分を有する斜視図である。
【図7b】幾つかの断面の位置を示す図である。
【図7c】主軸に沿った横断面図である。
【図7d】主軸に垂直な横断面図である。
【図7e】主軸に垂直な横断面図である。
【図8a】第3の追加手段の第6の実施形態による乱流集塵器における、破断部分を含む斜視図である。
【図8b】横断面図である。
【図9】第3の追加手段の第7の実施形態による乱流集塵器の破断部分を含む斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱流状態にある流体流れのための流路と、前記流れの方向を横切る方向を向いており、前記流体流れと接触する複数の縁を有し、かつ前記流体流れに含まれる粒子が回収される滞留空間を前記複数の縁の間に形成する複数の物体とを有するハウジング(10)を含む、流体の流れに含まれる粒子を除去する装置において、
前記複数の物体が、各側面が前記流体流れに接触する、襞を有する要素であるか、前記複数の物体が、気体の流れに沿って配置されている繊維パッド、繊維マット、繊維織物のいずれかから構成されているかであり、その結果、前記襞のある要素の両側面の前記縁か、あるいは前記パッド、マット、織物のいずれかが、粒子を回収するための追加の縁を形成することを特徴とする、流体の流れに含まれる粒子を除去する装置。
【請求項2】
前記複数の物体が前記流れの方向とは異なる方向に互いに隣接して次々と配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記複数の物体が静電気を帯びている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記複数の物体が、隣接し次々と配置されている網目状のスクリーンであって、網目状の該スクリーンはそれぞれフレームに取り付けられ、一般的には流れの方向を横切って配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記複数の物体が繊維マットの織物か、カーペットか、布である、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記空間に集められた粒子を重力により除去することを容易にするため、開放されている前記流路が傾斜している、請求項1記載の装置。
【請求項7】
粒子が集められている表面を該粒子の除去を容易にするために振動および/または移動させる手段を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記パッド、マット、または繊維織物が前記流体流れの流路を形成する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記流路が管状である、請求項8項記載の装置。
【請求項10】
前記流路が前記マット、カーペット、または織物の、それぞれの層の間に延びている、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記流路が襞曲線である、請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記流路がらせん形である、請求項8記載の装置。
【請求項13】
乱流状態を呈する流体流れに含まれる粒子を除去する方法であって、前記流れの少なくとも一部から発生する渦を、隣接して次々と配置されている幾つかの物体間に形成された空間内に侵入させることと、渦が減衰した後に前記物体の表面から前記粒子を回収することとを含む、乱流状態を呈する流体流れに含まれる粒子を除去する方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−136886(P2006−136886A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17822(P2006−17822)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【分割の表示】特願平7−526772の分割
【原出願日】平成7年4月13日(1995.4.13)
【出願人】(500312540)ジュリアン、フランシス、エー.エル. (1)
【氏名又は名称原語表記】DULLIEN, Francis, A. L.
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【Fターム(参考)】