説明

流体もしくは粉体下降分配装置

【課題】 ワインを含む流体をワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際、十分に空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させるとともに、その際の流体そのものの移動が視覚的に美しい演出効果を伴い、かつ複数のグラスに同時にワインを注ぐことが出来る流体下降分配装置を提供すること。
【解決手段】 上部が広く開いた漏斗状の流体受け部と、該流体受け部より流下される流体が複数の細い貫通孔を有する流体噴出部を備えた基本構成を、多段に吊り下げ、上部の基本構成から下段の基本構成へとシャワー状に噴出下降し、最下段の基本構成から噴出したワインは流体分配皿に注がれ、該分配皿の周囲に設けられた複数の流出口から複数のワイングラスに同時に分配される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワインやジュースのような流体(飲食物に限定されない)もしくは粉体をグラス等に注ぐ場合の流体下降分配装置に係り、特に、流体下降の様子を視覚的に強調して装飾的効果も持ち得る流体下降を行いさらに複数のグラスに同時に分配できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化によってパーティや慶事を祝うイベントだけでなく、日々の食事でもワインを飲むことが一般的になっている。通常、長い年月を経て熟成されたワインは非常に高価であるため、一般には比較的安価な「若いワイン」を飲む機会が多い。ところが、「若いワイン」は、作られてから時間が経っていないため熟成があまり進んでおらず、そのため、美味しく飲む為には開栓後に空気に多く触れさせて酸化を促進し、味をマイルドにして香りを引き立たせる工程が必要となる。十分に味と香りを開いてから楽しむのである。
【0003】
味と香りを開く工程の1つとして、たとえば細口のデキャンタを片手で高く掲げ、もう片方の手に持ったグラスとできる限り距離を長く取りながらグラスに注ぎこむというものがある。この際、両手は上下左右に最大限離した状態にし、デキャンタを持つ片手からグラスを持った片手へとワインを移動させる。これによって、デキャンタをグラスの口に接する距離からワインを注ぐより多くの空気に触れさせ、かつ長時間空気に触れさせることが可能となる。さらに、この行為は視覚的に楽しめるものでもあり、食事の時間の演出にもなる。
【0004】
しかし、上述のように細口のデキャンタからグラスに注ぐ行為は、非常に高度な熟練技術が必要であり、誰にでも簡単にできるものではなく、ワインをこぼして床やテーブルを汚してしまう恐れがある。また、この行為を安全に行うためには、十分なスペースを確保する必要がある。更にこのようなデキャンタから複数のグラスにワインをサーブすることはできず、無理に複数のグラスを並べても、ワインをこぼさずにサーブすることは至難の業である。
【0005】
また、飲料や液体を十分な空気に触れさせつつサーブすることのできる仕掛けとして、シャンパンタワーやチョコレートファウンテンなどもあるが、いずれも視覚的な演出性はあるものの、準備する手間や大がかりな機械が必要であるため、個人にも気軽に楽しめるものとは言えない。
【0006】
こうしたことを背景に、ワインに空気を触れさせて適度に酸化させるための装置が提案されている。
【0007】
先行文献1には、ワインと外気との接触を促進させ、かつオリやコルクのカスなどを除去する器具として、飲料の風味等を向上させ、さらには、オリやコルクのカスをとる飲料容器用注ぎ口中継器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−256138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された飲料容器用注ぎ口中継器は、中継器本体側面に配置された金属メッシュにより、外気が中継器内に取り入れられるものの、実際にワインそのものが空気に触れることができるのは、中継器内を流れるワイン表面のみに限定され、グラスに注ぎこむワインをまんべんなく酸化させることはできない。
【0010】
また、ワインを含む流体を各人へサーブする行為は、食事やパーティなどのイベントにおいて場が盛り上がる演出的な効果が期待される行為であるといえるが、視覚的効果と味覚的効果の両方の向上は、特許文献1に開示される飲料容器用注ぎ口中継器では期待できない。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、ワインを含む流体(もしくは粉体)をワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際、十分に空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させるとともに、その際の流体そのものの移動が視覚的に美しい演出効果を伴う流体もしくは粉体下降装置を提供するとともに複数のワイングラスに同時にサーブできることを可能とする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明に係る流体もしくは粉体下降分配装置は、ワインを含む流体を下降させる流体もしくは粉体下降分配装置であって、上方に広がった漏斗状であり上方から注ぎこむ流体を受ける流体受け部と、前記流体受け部から流体が下方へと流れ込み、底面周囲に複数の流体噴出孔がある筒状の流体噴出部とを有する基本構成を用いる。
【0013】
かかる基本構成において、流体受け部は、上方から下方に向かって次第に口径が小さくなる漏斗型をしており、かつその口径は、ボトルまたはデキャンタ等から注がれるワインを含む流体をこぼすことなく受け止めるに十分な大きさを有する。これによって、特別な技術や熟練を必要とせず、誰でも安全にワインを含む流体を該流体受け部に注ぎ込むことが可能となる。
【0014】
該流体受け部は、好適には略漏斗型の形状を有してなるが、これに限定されることなく、上方に十分な口径を有し、なだらかに下方へと流体を導くように口径が小さくなるような形状からなればよい。たとえば花の形、王冠型、優勝カップ型など、視覚的効果をさらに高めるような、美しい装飾が施された形状をしていてもよい。また、流体を受け、かつ一定時間保持していても形態保持性を担保すべく、一定の剛性及び一定以上の厚みを有して形成される。材質としては、流体の保持に耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持するものであれば、特に限定はなく、たとえばガラス、セラミック、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属であってもよい。たとえば、本願に係る流体もしくは粉体下降分配装置をガラス製とした場合には、他(たとえば金属製)のものにはない透明感、清涼感等を醸し出す演出が可能となる。
【0015】
上記の基本構成を多段に支持する場合について説明する。逆J型あるいは逆L型のスタンド先端には基本構成の流体受け部最大径より小さい内径を有するリングが固定されており、該リングには複数の鎖あるいは紐が取り付けられ下方に該リングと同様なリングが複数吊り下げられている。これらの各リングに上記説明の基本構成を装着すると、各基本構成は、その流体受け部の部分がリングで支えられ多段に支持される。
【0016】
次に説明を簡単にするために、上部より第1、第2、第3と3つの基本構成を3段に支持した場合について説明する。最上部の第1の基本構成の流体受け部にワイン等の流体を注ぐと、第1の基本構成の流体受け部で受けた流体は、筒部内部を通過して流体噴出部より噴出して第2の基本構成における流体受け部によって補足される。該流体受け部によって補足された流体は、第2の基本構成の流体噴出部の流体噴出部より噴出して第3の基本構成の流体受け部によって補足される。
【0017】
ここで、基本構成は、該流体受け部からの流体を滞りなく下方に流下させる形状であれば、その形は特に限定されない。即ち、真っすぐでなくてもよく、たとえば装飾として湾曲し、該筒部内を流下する流体の動きを視覚的に楽しめるものであっても良い。材質としては、流体が流下するに耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持するものであれば、特に限定はなく、たとえばガラス、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属であってもよい。
【0018】
下方に複数の貫通孔から成る流体噴出部を有するため、流体受け部から流下する流体は該流体噴出部の貫通口から外部へと噴出する。この貫通孔から噴出する際に流体はその流体表面のみでなく、全体的にまんべんなく空気と触れ、たとえばワインを適度に酸化させて味と香りを増長させることが可能となり、かつシャワーのように細い流体の線が弧を描きつつ落下するという視覚的な演出効果も伴う。
【0019】
前述のように流体噴出部を構成する貫通孔が設けられる筒部は、ガラス、プラスチック、樹脂、またはステンレスを含む金属を含む、流体が流下するに耐えうるものであり、かつ注いで流下する流体を飲料として摂取するに十分な安全性を保持する一定の剛性を有する材質であれば何であってもよく、特に限定はされない。
【0020】
また、流体噴出部は、該流体受け部との当接部分から流下する流体がこぼれることなく、水密性が保持されれば、該流体受け部と一体型であっても、または嵌合、螺合によって着脱可能に連結されるものであっても良い。筒部が該流体受け部と着脱可能に連結される場合には、その材質として、流体を滞りなく流下させ、かつ流体を一定時間保持するに耐えうるものであれば、該流体受け部と同一の素材であっても異なる素材であっても良い。また、一定の長さを有する筒部であれば、筒部そのものを複数のパーツに分割し、かつ着脱可能な組立式にしても良い。これによって、本発明が長い筒部を有するデザインであったとしても、流体受け部及び筒部は細部にわたって容易に清掃することが可能となる。
【0021】
さて、第3の基本構成の流体受け部で受けた流体は第3の基本構成の流体噴出部から噴出するわけであるがこの部分の下方にワイングラスを設置してやれば、流体全体がまんべんなく空気と触れて味と香りが十分マイルドとなったワインがワイングラスに注がれるわけである。このようにすることにより、シャンパンタワーやチョコレートファウンテンのように、大がかりな準備や装置の使用を行わなくても、またパーティなど大勢が参加するイベントだけでなく少人数による食事においても、美しく場を演出する視覚的効果を奏することが可能となる。
【0022】
しかし、上記説明の第3の基本構成の下に1つのワイングラスを置いたのでは、たった一人分のワインしかサーブできず、多人数にサーブするためにはワイングラスを順番にたびたび交換しなければならず、多人数にサーブする時間がずれてしまい、乾杯などのタイミングを失してしまう。
【0023】
そこで、上記多段に重ねた基本構成の再下段の基本構成の下に分配受け皿を設置し、その分配受け皿に複数の流出口を設け、夫々の流出口の下にワイングラスを置けば複数のワイングラスに同時にワインをサーブすることができる。
【0024】
また、上記夫々の流出口には流出を停止する機構を備えておくことにより、複数流出口のうち任意の所望の流出口のみからワインを流出できるよう設定することも可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本願に係る発明によれば、ワインを含む流体を、ワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際に、筒部に複数の貫通孔から構成される流体噴出部を有する多段式かつ着脱可能な流体下降装置を使用してサーブすることによって、全体的にまんべんなく十分な空気に触れさせて、たとえ高価なワインでないものでもその味をマイルドにし、かつ香りを増長させることが可能となる。従来は流下する流体表面のみが主に空気と触れるに留まるものであったが、本発明における流体噴出部を筒部に有する流体下降装置を、さらに着脱可能な多段式とする構成は、一段式に比べて流体をより多くの空気に触れさせて酸化促進を高める効果だけでなく、流体そのものが多段に構成された流体下降装置を、上方から下方へとシャワーのように孤を描きつつ移動するという視覚的に美しい演出効果も実現できる。
【0026】
さらに、上記の本願に係る流体下降装置に上述した分配受け皿を加えた流体下降分配装置によれば、結婚式の披露宴やパーティの円卓で、複数の出席者のワイングラスに同時にサーブすることができるため、サーブの順番を待っていて乾杯のタイミングを失してしまうこともなくなる。また、任意の所望の流出口からのみワインをサーブすることができるため、アルコールがたしなめない者や欠席者の席にはワインをサーブしないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置の基本構成の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置における流体下降部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置のリング部の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置における流体分配部の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置における流体分配部の流体流出口の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置をデザイン重視で実現する場合の一例である。
【図8】本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置をデザイン重視で実現する場合の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置の全体概要を示す斜視図である。図2は図1における基本構成1−1の詳細説明図である。同両図に示すように、本発明の流体下降分配装置1は、後述する上方に広がった漏斗状の流体を受ける流体受け部2−1と、複数の流体噴出孔2−3を有した筒状の流体噴出部2−2を有する基本構成1−1を多段に配置した流体下降部1−2と該流体下降部1−2を通して下降してきたしてきた流体を複数の流出口に分配する流体分配部1−3とを備えて構成されている。
【0030】
基本構成1−1においては、流体受け部2−1が上方に広がった漏斗状であり上方から注ぎこむ流体を受けると、この流体受け部2−1から流体が下方へと流れ込み、底面周囲に複数の流体噴出孔2−3がある筒状の流体噴出部2−2に流れ込むように構成されている。
【0031】
図3は本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置1の流体下降部1−2の説明図である。基台3−1には逆J型のスタンド3−2が取り付けられており、該スタンド3−2の先端にはリング3−3が(取外可能に)固定されている。リング3−3の内半径R1は基本構成1−1の漏斗状の流体受け部2−1の最大半径R2より小となっているため、該リング3−3によって基本構成1−1が支持される。(R1,R2は図4参照)
【0032】
リング3−3にはアーム3−4が複数(図の例では3本)付いており、アーム先端には紐あるいは鎖3−5が取り付けられ、該鎖には該リング3−3と同じリング3−3aと更にその下段に同様にリング3−3bが取り付けられている。
【0033】
上記のリング3−3,3−3a,3−3bに夫々基本構成1−1,1−1a,1−1bを設置した場合の概略図が図3である。図から分かるように、上段の基本構成1−1の噴出口から噴出した流体(もしくは粉体。以下同。)が下段の基本構成1−1aの流体受け部に受容されるように鎖3−5の長さを調整してある。
【0034】
また、図4のように各リングに基本構成を設置し易いようにリング中心からのアーム先端の鎖取り付け点までの距離R3は基本構成の流体受け部の水平面最大半径R2より大としておくと基本構成を設定し易くなる。なお、スタンド3−2の先端部はフレキシブル構造としておくと流体分配部1−3への距離を微調整するのに便利である。
【0035】
さらに、リング3−3の構造を図4の3本のアーム付きのリング4−aとして説明してきたが、図4の4−bのように同内径の穴を有する三角形の板状として各先端に鎖を付けても良く、かくの如く基本構成を多段に吊り下げる方法は色々考えられるが、それらはすべて本願の技術的思想範疇に含まれるものである。上記のような構成は、三段に限ることなく任意の多段に重ねて構成することが可能となる。このような多段構成によって、該流体下降装置は、長い経路にわたって流体を流下させることによってより多くの空気と馴染ませ触れさせることによって味と香りを増長させ、かつ最上段から下段へと流体がシャワー状に噴出しつつ移動する様は食事やパーティの雰囲気を盛り上げる高い視覚的効果を実現する。
【0036】
次に、上記流体下降部1−2より下降してくる流体を同時に複数に分配する流体分配部1−3について図5によって説明する。上記流体下降部1−2の再下段の流体噴出孔から噴出する流体を受け、複数の流出口5−2−1〜5−2−nに分配する分配皿5−1は、長さが変動できる支柱5−4と台座5−3によって支持されている。この支柱長さ可変機構により、分配皿の下に設置するワイングラスの各種の高さに対応することができる。
【0037】
図5のように、流出口5−2−1〜5−2−nの下にワイングラスを置き、流体下降部1−2の最上部の基本構成1−1にワインを注げば、噴出孔から噴き出したワインが次の基本構成の漏斗状の流体受け部にシャワー状に注がれ、更に下段に次々注がれていき、最下段の基本構成からシャワー状に噴出したワインは分配皿5−1に注がれる。分配皿5−1は、中央が若干盛り上がったほぼ円形の皿状で、周囲の縁部分5−2に取り付けられた複数の流出口5−2−1〜5−2−n(図6で詳述する)からワインが流出し、流出口の下に置かれたワイングラスに同時にサーブされる。
【0038】
なお、分配皿5−1は支持スタンド5−4と台座5−3によって支持されており、支持スタンドは伸縮構造にしておけば各種のワイングラスの高さに合わせて調節することができる。さらに台座5−3は流体下降部1−2の基台3−1と一体構造としても良い。
【0039】
上記の如く、流体下降部1−2をワインが次々にシャワー状となって流れてゆき、最後に流体分配部1−3によって複数のワイングラスにサーブされていく様は大変きれいでパーティ等の雰囲気を盛り上げるのに最適である。上記のような視覚的に美しい演出効果があることに加えて、ワインを十分な空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させるという効果が期待できる。
【0040】
本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置1は、上記説明のように視覚的効果、味や香りの増長効果を有し、パーティ等のテーブルで複数の出席者に同時にワイン等の流体飲料をサーブすることができるが、たとえばワインのようなアルコール飲料が飲めない出席者のグラスにはサーブされないような工夫が必要である。
【0041】
図6は分配皿5−1と該皿の周辺の縁5−2に取り付けられた流出口5−2−1〜5−2−nの説明図である。分配皿5−1aは上記説明の分配皿5−1の一実現例で、流体下降部1−2からの下降流体を受ける皿の中央部は盛り上がっており、下降流体をほぼ均等に皿の周囲に流すことができる。皿の周囲には流体をせき止める縁5−2があり、縁5−2には筒状の流出口5−2−1a〜5−2−naが取り付けられている。
【0042】
また、各流出口からの流体流出を抑えることができる止め栓5−1abを準備しておき、任意の流出口に差し込むことによりその流出口からの流体を流出させないことができる。
【0043】
図6の分配皿5−1bは分配皿5−1の5−1aとは別の実現例で、縁5−2に取り付けられた流出口5−2−1b〜5−2−nbが樋形状の例である。この例でも止め栓5−1bbによって任意の流出口からの流体流出を止めることができる。
【0044】
以上のように、分配皿5−1の形状やデザインおよび流出口の封止方法は種々考えられるが、流体下降部1−2からの流体を複数のグラスに分配する機構と封止機構についてはすべて本願発明の技術的思想範疇に含まれるものである。
【0045】
さらに、基本構成の材質としては、ガラスやプラスチック、アクリルやスチレン、エポキシ、またはポリカーボネードのような樹脂や金属、または陶磁器でもよい。また、上記樹脂材料として温度によって本体の色が変化する素材を使用すれば、例えば冷却された流体が下降するにつれて本体の色が変化し、より視覚的な装飾効果を高めることができる。
【0046】
また、本発明の一実施形態に係る流体下降分配装置として、基本構成の流体受け部2−1の形状を単純な漏斗状として説明したが、これを上部が広がった花弁型、または王冠型、優勝カップ型を含むさまざまな形状にしてより装飾的効果を高めることも可能である。図7、図8は本願の発明思想をデザイン重視で実現する場合の例である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
上述したように、本願に係る発明によれば、ワインを含む流体を、ワインボトルまたはデキャンタなどから各人が飲むためのグラス、またはカップ等の容器に移す際に、筒部に複数の噴出孔から構成される流体噴出部を有する多段式かつ着脱可能な流体下降部を使用してサーブすることによって、流体全体をまんべんなく十分な空気に触れさせて味をマイルドにし、かつ香りを増長させることが可能となる。
【0048】
更に、流体下降部の下に設置した流体分配部により、複数のグラスに同時にサーブする様は情報の流体下降部をシャワー状に流れる様子に加えて、より一層視覚的な装飾効果を高め、かつ複数のグラスに1つずつワインを注ぐ手間を省くことができる。
【0049】
また、流体の例として主にワインを挙げて説明したが、ウイスキーや日本酒、焼酎等の酒類、ジュースや清涼飲料水、或いは溶解チョコレートのような流体さらには各種粉体にも使用可能である。
【0050】
したがって、本発明は、ワインなどの飲料を含む流体を上方から下方へと下降させる装置として、飲食業、イベント業、観光業、広告業など、味覚だけでなく視覚による効果を有効とする各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【0051】
さらに、任意の流出口からの流出をストップすることができるため、ワイン等を飲みたくない者のグラスにはサーブをせずに他の複数の者に同時にサーブすることができる。この機能を生かしてどこの流出口がストップされているかを分からないよう流体分配皿の流出口上部を覆っておき、誰にサーブされるかを当てたり、特定の者には飲み物が行き渡らない罰ゲームにしたりなど、各種余興のように楽しむ手段としての応用が考えられる。
【0052】
また、上述した実施例は、本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。たとえば、上記においては、本願に係る技術的思想をワインやジュース等の飲料をサーブする用途を主に説明したが、本願に係る技術的思想はこれ以外にも、空気と混在させることで一定の効果がある分野において用いることができる。たとえば、工業上、一定の液体を多段階にわたって空気に触れさせた後に別の化合物と混合する場合などに用いることが可能である。さらに、本下降装置を流下する媒体としては液体に限られることなく、粉体、さらには粒体でもよく、一定の流動性を備えた材質であればよい。
【0053】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1…流体下降分配装置、1−1,1−1a、1−1b…基本構成、1−2…流体下降部、1−3…流体分配部2−1…流体受け部、2−2…流体噴出部、2−3…流体噴出孔、3−1…基台、3−2…スタンド、3−3,3−3a、3−3b…リング、3−4…アーム、3−5…鎖、4−a、4−b…リング、5−1…分配皿、5−2…縁、5−2−1〜5−2−n…流出口、5−3…台座、5−4…支持スタンド、5−2−1a〜5−2−na、5−2−1b〜5−2−nb…流出口、R1…リング内半径、R2…基本構成の最大半径、R3…アーム部半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワインを含む流体を下降させる流体下降分配装置であって、上方に広がった形状を有し上方から注ぎこむ前記流体を受ける流体受け部と、底面周囲に複数の流体噴出孔がある略筒状の流体噴出部とを有する基本構成を、基台に取り付けた支持スタンドの先端に取り付けた支持具によって支持し、更に該支持具に取り付けられた鎖あるいは紐によって該支持具と同様な支持具を下段に吊り下げ、これを所望の段数繰り返し、前記多段に構成される基本構成の最下段の流体下降部からの噴出流体を受けるための流体分配皿と、前記流体分配皿を支持する台座及び支持スタンドとを具備し、前記流体分配皿に取り付けられた複数の流体流出口によって流体を同時に複数に分配できることを特徴とする流体下降分配装置。
【請求項2】
前記流体下降分配装置において、前記流体分配皿を支持する支持スタンドの長さが可変になっていることを特徴とする請求項1記載の流体下降分配装置。
【請求項3】
前記流体分配皿に取り付けられた複数の流体流出口の任意の流出口を流出口栓によって流体流出を遮断できることを特徴とする請求項1または2記載の流体下降分配装置。
【請求項4】
前記流体下降部の基本構成を支持するスタンドの一部をフレキシブル構造にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の流体下降分配装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−52894(P2013−52894A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191581(P2011−191581)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(510203784)株式会社薬膳壷焼本舗五行 (3)
【Fターム(参考)】