説明

流体ディスペンサ部材

流体ディスペンサ部材(100;200;300;400)であって、外面と内面とが形作られた投与壁(123;223;323;423)を有し、前記壁には内面を外面に接続する貫通投与開口部(125;225;325;425)が設けられ、内面はピストン(131、132、133;231、232、233;331,332、333;431、432、433)のための耐漏洩スライド用シリンダを形成し、前記ピストンは前記シリンダの内部を隙間なく接触した状態で移動して、投与開口部を選択的に開くのに適しており、前記ピストンは流体チャンバ(1)の壁部品を形成し、前記流体チャンバ(1)の内部で流体は選択的に圧力を受け、内面には、スライド用シリンダの位置で、流体渦システム(126;226;326;426)が形成され、前記流体渦システム(126;226;326;426)は投与開口部のすぐ上流にあり、
特徴となるのは、投与壁は、ほぼ筒状のスカート(122;222;322;422)に形成され、前記ほぼ筒状のスカート(122;222;322;422)には誘導壁(124;224;324;424)がさらに設けられ、前記誘導壁(124;224;324;424)に形作られた内面の内径は、スライド用シリンダの内径より大きいことである、という流体ディスペンサ部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に流体容器に組み付けられ、前記流体容器と共に流体ディスペンサを構成するよう設計された流体ディスペンサ部材に関する。ユーザが指を用いて手動で駆動するのは、一般的にディスペンサ部材である。流体は、微細な滴のスプレー流、絶え間ない滴り、または一滴の流体(特に、化粧品クリームなどの粘性流体の場合)の形で投与される。
【背景技術】
【0002】
そうした流体ディスペンサ部材は、特に香水、化粧品、さらには医薬品の分野において、粘性の異なった流体を投与するために用いることができる。
さらに具体的に言えば、本発明は、「プッシャポンプ」と呼ぶことができるディスペンサ部材のタイプに関する(ただし、これに限るわけではない)。その名称に関しては、ディスペンサ部材はプッシャを有し、当該プッシャは、投与開口部が形成されているだけでなく、流体チャンバの一部も形作っており、前記流体チャンバの内部で流体が選択的に圧力を加えられる、ということから説明がつく。ディスペンサ部材がポンプであれば、チャンバはポンプチャンバである。こうしたプッシャポンプの特性は、特に以下の点にある。その点とは、プッシャの内面(全体的な形状としてほぼ筒状のもの)がピストンのための耐漏洩スライド用シリンダとして働き、前記ピストンは前記シリンダ内部を隙間なく接触した状態で移動し、それにより、投与開口部を選択的に開く、というものである。一般的に、ピストンは差動タイプのピストンで、チャンバ内部の流体の圧力の変化に応じて移動する。差動ピストンは、プッシャの駆動によって移動されるメインピストンとは区別するべきである。すなわち、そうしたプッシャポンプは差動ピストンとメインピストンとを有し、これらのピストンはそれぞれのシリンダの中を隙間なく接触した状態で移動することができる。また、メインピストン用のメインシリンダもプッシャによって形成することができる。
【0003】
こうしたことは、具体的には、特許WO 97/23304号の文書で説明されているポンプに当てはまる。プッシャはプッシュ壁を有し、指で前記プッシュ壁に圧力を加えればプッシャを駆動することができる。さらに、プッシャはスカートを有し、当該スカートはプッシュ壁から下方に延びている。前記スカートには、差動ピストンのための第1の耐漏洩スライド用シリンダと、ポンプのメインピストンのための第2のメインシリンダとが形成されている。差動ピストンはメインピストンから分離されている。差動ピストンはスプリングの力によりプッシュ壁から遠ざけられており、前記スプリングは戻しスプリングと事前圧縮スプリングとの両方の役割を果たす。差動ピストンのスライド用シリンダには出口ダクトが設けられており、当該出口ダクトは、プッシャのスカートに形成されたリセスの中に収容されたノズルに通じている。ノズルには投与開口部が形成されており、流体は前記投与開口部を通ってディスペンサ部材から放出される。さらに、スカートに形成されたリセスには渦システムが設けられ、前記渦システムはノズルと協働し、流体が投与開口部から放出される前の段階で流体が渦流の中に取り込まれるようにする。渦システムは通常、1本または複数の接線方向の渦チャネルから作られており、前記接線方向の渦チャネルは、投与開口部が正確に中心に来る形で置かれた渦チャンバの中に開いている。渦システムは、スカートのリセスにはめ込まれたネットワークの形をしている。はめ込まれたネットワークは別個のノズルとさらに組み合わされ、前記別個のノズルにより渦チャネルとチャンバとが隔離されることになる。ここで、差動ピストンのスライド用シリンダは、出口チャネルの位置を除いて筒状の面の形となっている。プッシャを押すと、メインピストンはプッシャのメインシリンダの内部で上昇し、それにより差動ピストンは差異シリンダの内部を耐漏洩様態でスライド移動することになる。これによりスプリングは圧縮される。この時、差動ピストンはプッシャのプッシュ壁の方へ上向きに移動する。差動ピストンの有効密封リップ(リップは流体と直接接触している)は、出口チャネルの下に位置するシリンダの下側部分でスライド移動する。差動ピストンが出口ダクトに達するとすぐに、チャンバ内で圧力を受けた流体はチャンバから前記ダクトを通って送出され、ノズルに達し、ここで渦を巻く形で投与開口部から放出される。
【0004】
特許WO 97/23304号の文書のポンプは、5つの主要な構成部品、すなわち、流体容器に組み付けられる設計となった本体と、プッシャと、入り口弁部材が形成されたボールと、差動ピストンと、そしてノズルとから成っている。
特許US−4 050 613号の文書では、プッシャとプッシャの内部でスライド移動する差動ピストンとを有するポンプについて説明されている。したがって、プッシャの内壁がスライド用シリンダを形成している。シリンダにはプッシャの内壁にリセスを形成する渦システムが設けられている。シリンダをスライド移動させると、渦システムを覆っていた差動ピストンはそこから外れる。シリンダは、その高さ全体にわたって完全に筒状で径は一定となっている。したがって、シリンダを破損することなく渦システムの形成に用いられるコアをシリンダから抜き出す必要があるので、渦システムの成形ステップは複雑になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、渦システムの成形に関するそうした問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明は、請求項1に記載の特徴を有する流体ディスペンサ部材を提供する。
この特性は、特に投与壁の成形に関して効果的である。一般的に、投与壁は射出成形されたプラスチック材料から作られている。この目的のため、複数の部品から成る鋳型が用いられる。前記部品のうち1つは、具体的には投与壁の内面を形成するためのコアを形成している。本発明においては、前記コアにより、スライド用シリンダだけでなく渦システムも形成する必要がある。渦システムは、スライド用シリンダに凹んだ部分を形成する形で延びるため、コアには対応するインプリントを外向きに突き出す形で形成する必要がある。この場合、型を外す間、コアの取り出し中に、突き出したインプリントを力ずくで取り出す必要がある。したがって、突き出したインプリントを、このインプリントにより形成された凹み部分から抜き出し、スライド用シリンダの軸方向の長さに沿って移動させる必要がある。プラスチック材料はクリープできるため、突き出したインプリントを力ずくで押し通してもスライド用シリンダに跡が残ることは殆どない。ここで、スライド用シリンダの内径よりも径の大きな内面を誘導壁に与えることで、コアの突き出したインプリントが誘導壁の内面に食い込むことなしに前記スライド用シリンダを通り過ぎる形で取り出される、とすることができる。結果、コアの突き出したインプリントが取り出される際、スライド用シリンダのうち軸方向のごくわずかな範囲にわたって力が加えられる。そのため、成形用コアの抜き出し中、スライド用シリンダが破損されるリスクは制限される。
さらに、誘導壁の内径はスライド用シリンダの内径より大きいため、差動ピストンを誘導壁にこすり付けることなしに、前記ピストンをシリンダの内部に配置することも、より容易になる。
こうしたタイプのディスペンサは、プッシャポンプタイプのポンプとすることもできるが、プッシャが投与壁から分離されているディスペンサ部材であれば他のタイプのものであってもよい。具体的に言えば、投与壁が容器に対し固定されたもの、あるいは、プッシャに対し移動できるよう設置されたもの、とすることができる。効果的な構成として、スライド用シリンダと、投与開口部と、渦システムとは、投与壁と一体化された形で形成されていることとする。
別の実施の形態において、投与壁は、プッシュ壁を有するプッシャに形成され、前記プッシュ壁の外周が延びて投与壁になっていることとする。また、効果的な構成として、ピストンは、弾性的にプッシュ壁に押し付けられており、前記プッシュ壁から遠ざかる形で移動させることで投与開口部を開けられることとする。また、この特徴は、スライド用シリンダの内径より大きな内径を有する誘導壁と組み合わせると効果的である。ピストンは、プッシュ壁に隣接したスライド用シリンダの上側部分の内部を移動するが、シリンダの下側部分は通らない。前記シリンダの下側部分は、コアの突き出したインプリント(渦システムを形成したもの)の取り出しにより破損されているかもしれないからである。
もう1つの特徴によれば、ピストンは、誘導壁から弾性的に遠ざけられ、前記誘導壁の方へ移動させることができる。その場合、ピストンはスライド用シリンダの下側部分を移動しなければならないが、シリンダの下側部分は、成形用コアの突き出したインプリントにより破損されているかもしれない。
別の側面において、ピストンは、プッシュ壁から弾性的に引き離されているが、前記プッシュ壁の方へ移動させることができる。この場合も、ピストンは、シリンダのうち成形用コアの突き出したインプリントが通過した部分を移動することとする。
別の効果的な特徴によれば、プッシュ壁にはチャンバの壁部品を形成する内面が設けられている。このことは、特にピストンが戻しスプリングの力に逆らう形でプッシュ壁から遠ざかる場合に当てはまる。
別の側面において、ピストンはチャンバの中の圧力の変化に応じて移動する差動ピストンで、前記差動ピストンは、スライド用シリンダと耐漏洩様態でスライド接触した密封リップを少なくとも1つ有することとする。効果的な構成として、差動ピストンは、メインシリンダの中で耐漏洩様態でスライド接触したメインピストンと一体化されているか、またはそれに固着されていることとする。このことは、特にポンプがキャップポンプタイプの場合に当てはまる。
別の側面において、流体容器に組み付けられる形で働く本体を有し、前記本体はメインシリンダを形成し、メインピストンは前記メインシリンダの中でスライド移動することとする。別の実際的な側面において、投与壁はほぼ筒状のスカートに形成され、前記ほぼ筒状のスカートには誘導壁がさらに形成され、前記誘導壁には、メインピストンのメインシリンダを形成する内面が形作られていることとする。
【発明の効果】
【0007】
効果的な構成として、渦システムは、少なくとも1本の渦チャネルと、投与開口部が中心に来る形で置かれた渦チャンバと、そして、必須ではないが周縁フィードリングとを有する。これは、渦システムに関しては従来通りのデザインである。
本発明の効果的な側面は、投与開口部が貫通している壁の内部に流体渦システムも形成されている、という点である。効果的な構成として、内面は、差動式ピストンのためのものである点が効果的なスライド用シリンダを形成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に関して、本発明の実施の形態を非限定的な例として示す添付図を参照しながらさらに詳細に説明する。図1および2に示された第1の実施の形態のディスペンサ部材は、本体151を有する貯蔵器150に組み付けられており、前記本体151の内部には流体容器5が形作られている。本体151の上側端部にはネック153の形で開口部が設けられており、前記開口部は本発明のディスペンサ部材を固定するために働く。
【0009】
ディスペンサ部材は3つの構成部品、すなわち、本体110と、プッシャ120と、そしてピストン部材130とを有する。ディスペンサ部材は、コイルスプリング140の形のスプリング手段をさらに有する。好ましい構成として、本体と、プッシャと、そしてピストン部材とは、成形されたプラスチック材料で作られている。ディスペンサ部材は、ポンプチャンバ1を有するポンプの形に設計されている。
【0010】
本体110には固定リング111が設けられており、前記固定リング111はネック153と協働して部材を貯蔵器150に固定する。リング111はネック153の外側にはめられている。さらに、本体にはセルフシールリップ112が形成されており、前記セルフシールリップ112はネック153の内壁と耐漏洩様態で係合している。本体111には誘導バンド114がさらに形成されており、効果的な構成として、前記誘導バンド114はリング111と一直線上に延びている。誘導バンド114の上側端部には内向きに延びたリム1114が設けられている。本体110にはブッシング113がさらに形成されており、前記ブッシング113は誘導バンド114の内部で同心状態で延びている。こうして、バンド114とブッシング113との間には環状の隙間が形成される。ブッシング113は、その上側端部にショルダー1131を有し、前記ショルダー1131はスプリング140の受け面として働く。ブッシング113は上向きに延びて、その先はメインシリンダ117が形成されており、前記メインシリンダ117の内部は耐漏洩様態のスライド面を形作っている(スライド面の機能については、後で説明する)。本体にはディップチューブ115がさらに形成されており、前記ディップチューブ115は貯蔵器150の内部に延びている。ディップチューブ115の上側端部は延びて、その先は入り口スリーブ116となっており、前記入り口スリーブ116には入り口弁プロフィールまたはシート1161が形成されている。入り口ダクト118はディップチューブ115、そしてスリーブ116を通っている。入り口スリーブ116はメインシリンダ117の内部で同心状態で延びているため、これら入り口スリーブ116とメインシリンダ117との間には環状の隙間が形成されている。
【0011】
本体110は、入り口ダクト118の軸方向の中心を縦方向に延びる軸Xを中心として、軸方向および円環状に対称となっている。
これは、本発明の第1の実施の形態におけるディスペンサ部材の特定の本体のための設計である。当然のことながら、本体は本発明の範囲を逸脱しない形で上記の特徴以外の特徴を有することとしてもよい。
【0012】
プッシャ120は、ディスペンサ部材のディスペンサヘッドを形成している。プッシャ120は、プッシュ壁121とプッシュ壁121の外周から下向きに延びた周縁スカート122とを有する。したがって、プッシャ120は、全体的な形状として上下逆さまのカップで、そのカップの端部壁はプッシュ壁、筒状の側壁はスカートにより形成された形となっている。しかし、スカートの形状は必ずしも筒状である必要はない。部分的に円錐形または丸みをつけられた形にすることもできる。
【0013】
プッシュ壁121は、1本または複数本の指で押すことができるプッシュ用の外面1211を有する。さらに、プッシュ壁121は内面1212を有し、前記内面1212には受けスタッド1213が形成されている。
スカート122は、投与上側壁123と誘導下側壁124とを有する。投与壁123は、その上側端部においてプッシュ壁121の外周に接続されている。投与壁123は外面1221と内面1232とを有する。内面1232は、好ましい構成として円い筒形で、後で説明するように、スライド用シリンダを形成している。さらに、投与壁123には貫通投与開口部125が設けられ、この貫通開口部125は内面から外面まで延びている。投与開口部125は、外面の投与皿1251の中に開いている、としてもよい。
【0014】
本発明の効果的な特徴によれば、投与壁123の内壁1232には渦システム126が設けられ、前記渦システム126により、流体を渦の形(渦の目は投与開口部を中心とする)で回転させることができる。このように、効果的な構成としてプッシュ壁121および誘導壁124と一体化された形で形成された投与壁123は、貫通投与開口部を備え、渦システムが設けられた内面を有する。
【0015】
誘導壁124の外面には受けビード1241が設けられ、前記受けビード1241は誘導バンド114の内向きに延びたリム1141と協働する働きをする。誘導壁124は、誘導バンド114とブッシング113との間に形成された環状の隙間の中に配置されている。受けビード1241によりプッシャを本体に固定させることができ、したがって、本体は、バンド114とブッシング113との間に形成された環状の隙間の端部壁と誘導壁124の下側端部との間の距離により決定される最大ストロークにわたってのみ軸方向に移動できる。
【0016】
この実施の形態において、ピストン部材130はメインピストン136と差動ピストンとを有し、前記メインピストン136は、メインシリンダ117の中を耐漏洩様態でスライド移動するよう係合しており、前記差動ピストンには、投与壁123の内面1232によって形成されたシリンダと隙間なく接触した状態でスライド移動する2つのリップ132、133が形成されている。効果的な構成として、ピストン部材130は一体化された単一部品として形成されている。リップ132、133は、渦システム126の軸方向の長さよりも大きな間隔を空けて互いに上下となる形で延びている。図1に示すように、休止位置において、上側リップ132は渦システム126の上で内面1232と接触し、一方、下側リップ133は渦システム126の下で内面1232と接触することになる。したがって、2つのリップ132、133の間に形成された空間以外において、渦システムがプッシャの内部と通じることは不可能である。これは休止位置であり、この位置で、ピストン部材130はスプリング140の力によりプッシュ壁121に押し付けられ、スプリング140の一端はショルダー1131に、他方はピストン部材130に形成されたディスク131の下に接している。さらに、2つのリップ132、133はディスク131の外周に形成されている。ディスクはその中央において、プッシュ壁121の内面1212に形成された受けスタッド1213に受け止められる状態となる。差動ピストンは、2つのリップ132、133が形成されたディスク131により形成されている、と考えることができる。さらに、ピストン部材130には軸方向の中央ロッド137が形成され、前記中央ロッド137は、プッシュ壁121から遠ざかる形でディスク131から延びている。軸方向のロッド137は、本体110に形成された入り口スリーブ116の内部に部分的に係合している。ロッド137には弁プロフィール138が形成されており、前記弁プロフィール138は、スリーブ116に形成された対応プロフィール1161と協働する働きをする。言い換えれば、スリーブ116と協働するロッド137によって、後で説明するように、ポンプチャンバ1の入り口弁が形成されている。さらに、ピストン部材130にはピストンブッシング135が形成され、前記ピストンブッシング135の下側端部にはメインピストン136が形成されている。ピストンブッシング135が軸方向のロッド137を囲む形でそれと同心状態で延びることで、両者の間には環状ダクトが形作られており、当該ダクトは流体通過穴134を介してディスク131を貫通する形で延びている。
【0017】
本体110と、プッシャ120と、そしてピストン部材130とが共に、ポンプチャンバ1を形成しており、前記ポンプチャンバ1は、メインシリンダ117とスリーブ116との間と、ピストンブッシング135と軸方向のロッド137との間(穴134まで)と、そしてディスク131とプッシュ壁121の内面1212との間とに連続的に延びている。すなわち、ディスク131の上面と内面1212とは、ポンプチャンバ1の壁部品を形成している。図1に示された休止位置において、ピストン部材130はスプリング140によりプッシュ壁121に押し付けられて接した状態となっている。軸方向のロッド137とスリーブ116との協働によって形成された入り口弁は開いている。差動ピストンの2つのリップ132、133は、駆動壁123の内面1232によって形成されたシリンダと接触している(このことは、図3(a)では点線で示してある)。
【0018】
プッシュ壁121のプッシュ用外面1211に力を加えると、プッシャは本体110に対し軸方向に移動させられる。ピストン部材はプッシュ壁に接しているため、ピストン部材はプッシャにより押される。第1の段階において、プッシャの移動により入り口弁が閉じられる。そして、軸方向のロッド137はスリーブ116の中にさらに深くはまり込み、その結果、スリーブとロッドとの間には耐漏洩様態のスライド接触が実現する。こうして、ポンプチャンバ1は容器5から隔絶される。その時点から、ポンプチャンバ1の中の流体には圧力が加えられる。流体は圧縮できないため、ポンプチャンバの動作容積は一定に保たれる。しかし、メインピストン136はシリンダ117に進入し、それによりチャンバの下側部分の容積は小さくなるため、別の容積を生じさせることが必要となる。このことは、差動ピストンがプッシュ壁121から遠ざかる形で移動することにより可能となる。それにより、リップ132、133は投与壁123の内部でスライド移動する。そうして、上側リップ132が渦システム126に達するまでリップは移動する。この状態は図2に示されている。その時、ポンプチャンバの中で圧力を受けた流体は、渦システムおよび投与開口部を通る出口通路を得る。上側リップ132の位置は、図3(b)において点線で示されている。この際、チャンバ内部の圧力がスプリング140の力を上回っている間は、通路は開いた状態に保たれる。チャンバ内部の圧力が特定のしきい値より小さくなるとすぐに、差動ピストンは、スプリング140により図3(a)に示された休止位置に押し戻される。そうして、渦システムと投与開口部は再びポンプチャンバから隔絶される。
【0019】
留意すべき点として、上側リップ132は流体と直接接触しているが、下側リップは流体と直接接触していない。このように、上側リップは、プッシュ壁と渦システムとの間に形作られたシリンダの上側部分をスライド移動する。前記上側部分に見られる面の質は、渦システムの下方に延びた下側部分の面の質よりも良く、前記下側部分は、成形用コアの抜き出しにより破損されている場合もある。
【0020】
図3(a)および3(b)は、本発明のディスペンサ部材の投与壁に形成される渦システムの非限定的な特定の実施の形態を示している。前記渦システムは、接線方向の渦チャネル1262を少なくとも1本有する。図においては、均一な角度の間隔を空けて配置された3本の接線方向チャネルがある。渦システムは中央渦チャンバ1261をさらに有し、前記中央渦チャンバ1261は、正確に投与開口部125を中心とする形で置かれている。必須ではないが、渦システムが周縁フィードリング1263をさらに有し、前記周縁フィードリング1263により渦チャネル1262全てへの供給を可能とする、という形にしてもよい。必要であれば、渦システムを小さくして単一の渦チャネルとし、それを中央渦チャンバと組み合わせることもできる。
【0021】
本発明の効果的な特徴は、ピストン部材130はプッシュ壁121に押し付けられているが、ポンプチャンバ内部の圧力の上昇による影響を受けて、前記プッシュ壁121から遠ざかる形で移動する、という点である。このことは、特に差動ピストンを形成するディスク131を貫通する形で設けられた流体通過穴134により可能となる。したがって、プッシュ壁はポンプチャンバの壁部品を形作っている、と言うことができる。
【0022】
このように、プッシュ壁から遠ざかる形で移動する差動ピストンを、投与壁に形成された渦システムと組み合わせることは、型から外す、という目的のためには効果的である。上側リップ132はスライド用シリンダの上側部分を耐漏洩様態でスライド移動するが、この上側部分が、渦システムの成形に使われる「ネガティブ」のインプリントが形成された成形用コアの取り出しにより破損される可能性はないからである。
【0023】
さらに留意すべき点として、休止位置に達するのは、誘導壁124に形成された受けビード1241が、内向きに延びたリム1141の下に接した時点である。
さらに、プッシャが軸方向に誘導されることを保証するのは、第1に、誘導壁124がバンド114とブッシング113との間を軸方向に誘導されることであり、第2に、ピストンブッシング135と軸方向のロッド137とがメインシリンダ117と入り口スリーブ116とにそれぞれ係合することである。
【0024】
図4(a)および図4(b)はそれぞれ、図1および図2の実施の形態の変形例を示している。
図4(a)に示された変形例において、戻し/事前圧縮スプリングは、本体210と一体化された形で形成され、参照番号2171が付けられている。スプリングはメインシリンダ217と一直線上に延び、2つのリップ232、233を備えた差動ピストンを形成するディスク231の下に接している。このように、スプリング2171は、メインピストン236が形成されたブッシング230を囲む形でそれと同心状態で延びている。図4(a)のディスペンサ部材は、戻しスプリングを除いて図1および図2のディスペンサ部材と同一とすることができる。
【0025】
図4(b)の実施の形態において、ディスペンサ部材300は戻しスプリング3311を有し、前記戻しスプリング3311はピストン部材330と一体化された形で形成されている。さらに厳密に言えば、スプリング3311はディスク331の下面から延びている。スプリング3311の下側端部は、本体310に形成されたショルダー3331に支えられた状態となっている。このディスペンサ部材は、スプリングの特定の形を除いて図1および図2のディスペンサ部材と同一としてもよい。
【0026】
図4(a)および図4(b)の変形例の実施の形態において、戻し/事前圧縮スプリングは本体またはピストン部材と一体化されているため、ディスペンサ部材が有する構成部品は3つのみ、すなわち、本体と、プッシャと、そしてピストン部材である。
図5および図6に見られる本発明のディスペンサ部材の実施の形態は、開口部が形作られた貯蔵器450と組み合わせて示されており、この開口部は、効果的な構成として、外面に固定プロフィールを有するネック453の形となっている。貯蔵器450の内部には流体容器5が形作られている。
【0027】
ディスペンサ部材全体は参照番号400と示されている。ディスペンサ部材400は3つの構成部品、すなわち、本体410と、プッシャ420と、そしてピストン部材430とを有する。3つの部品は全て、射出成形によりプラスチック材料で作ることができる。
本体410は固定リング411を有し、前記固定リング411は貯蔵器450のネック453と協働する。さらに厳密に言えば、リング411はネック453の周囲に係合する。本体410にはさらに、セルフシールリップ412をネック453の内壁と隙間なく接触した状態で設けてもよい。誘導バンド414は、固定リング411と一直線上に延びる形とすることができる。リング414の上側端部には、内向きに延びたリム4141が設けられている(これの機能については後で述べる)。本体410にはブッシング413がさらに設けられ、前記ブッシング413は誘導バンド414の内部でこれと同心状態で延びている。したがって、バンド414とブッシング413との間には環状の空間が作られている。ブッシング413の上側端部には、密封リップの形でメインピストン4133が形成されている。本体410には入り口スリーブ416がさらに設けられ、前記入り口スリーブ416はブッシング413の内部でこれと同心状態で延びている。スリーブ416の上側端部には、弁プロフィールまたは弁シート4161が形成されている。さらに、本体410にはディップチューブ415が一体化された形で形成されており、前記ディップチューブ415は貯蔵器450の中まで延びている。ディップチューブの内部には入り口ダクト418が形作られ、前記入り口ダクト418は入り口スリーブ416の内部に延びている。
【0028】
プッシャ420はプッシュ壁421と周縁スカート422とを有する。スカート422は、その外周においてプッシュ壁420と接続されている。プッシュ壁421はプッシュ用外面4211と内面4212とを有する。プッシュ壁421とスカート422とは、全体的には上下逆さまのカップの形状で、そのカップの端部壁はプッシュ壁421、筒状の側壁はスカート422により形成された形となっている。プッシュ壁421にはスプリング手段が、内面4212から延びる弾性変形が可能なタブまたはブレード427の形で設けられている。さらに、プッシュ壁421には保持部材428が設けられ、前記保持部材428もまた内面4212から延びている。保持部材428には少なくとも1つの保持プロフィール4281が設けられ、前記保持プロフィール4281は、内面4212に対向する保持エッジを有する。実施の際、保持部材には複数の保持プロフィールを、プッシュ壁421から下向きに延びたコラムの外側に形成された形で設けることもできる。
【0029】
スカート422には、投与壁423と誘導壁424とが設けられている。
投与壁423は、その上側端部で、プッシュ壁421の外周に接続されている。誘導壁424は、その上側端部で、投与壁423の下側端部に接続されている。投与壁423には、外面と内面4232とが設けられている。内面は、少なくとも部分的に筒状で、耐漏洩スライド用シリンダを成している。効果的な構成として、内壁4232には渦システム426が設けられ、前記渦システム426により、凹んだネットワークが筒状の面4232に形成されている。この渦システムは、1本または複数本の渦チャネルと渦チャンバとを有する、としてもよい。さらに、投与壁423には投与開口部が、前記壁を貫通して内面から外面まで延びた形で設けられている。投与開口部425は、渦システム426の中心に来る形で置かれている。渦システムは、図3(a)および図3(b)に示された渦システムと同一にしてもよい。
【0030】
誘導壁424は、誘導バンド414とブッシング413との間に形成された環状の空間の中に係合している。誘導壁にはショルダー4241が形成され、前記ショルダー4241は、バンド414の内向きに延びたリム4141に下から接する形で働く。効果的な構成として、誘導壁424の内面4242はメインシリンダを形成しており、前記メインシリンダの中でメインピストン4133を隙間なく接触した状態で移動させることができる。誘導壁424は、スプリング440により力を加えられ、ショルダー4241は内向きに延びたリム4141に押し付けられる。効果的な構成として、スプリング440は、プッシャと一体化された形で誘導壁424と一直線上に形成してもよい。したがって、メインピストン4133はプッシャの内部、さらに厳密に言えば、内部にメインシリンダ4242を形成している誘導壁424の内部をスライド移動することができる。
【0031】
この例において、ピストン部材430には、移動可能な入り口弁部材と組み合わされた形で差動ピストンが形成されている。ピストン部材430はディスク431を有し、前記ディスク431の外周には2つの密封リップ432、433が形成されている。ディスク431とその2つのリップとは共に差動ピストンを形成している。図5に示された休止位置において、上側リップ432は渦システムの上方に位置し、下側リップ433は渦システムの下方に位置している。したがって、渦システムがプッシャの内側に通じることはあり得ない。さらに、ディスク431には環状のリセス4311が形成され、前記リセス4311は、プッシュ壁421に形成された弾性変形可能なタブ427の自由端を収容する形で働く。さらに、ピストン部材430には、ディスク431からプッシュ壁の方へ延びた固定部品439が形成されている。前記固定部品439には固定ヘッド4392が、タブ4391の端部に位置づけられた形で設けられている。固定ヘッド4392は、内壁4212と保持部材428の付近に形成された保持プロフィール4281との間に係合している。したがって、ヘッドは、保持プロフィールとプッシュ壁の内壁との間の限られたストロークを移動することができる。しかし、弾性変形可能なタブ427の力により、ピストン部材430はプッシュ壁421から遠ざけられ、固定ヘッド4392は押されて保持プロフィール4281と係合した状態となっている。弾性変形可能なタブ427を撓ませれば、固定ヘッド4392を内面4212に受け接触させることができる。このように、固定部品と協働する保持部材によって成るストローク制限手段が存在する。
【0032】
このように、ピストン部材430はプッシャの内部に保持されているが、限られたストロークを軸方向に移動することはできる。しかし、弾性変形可能なタブ427の力によりピストン部材は休止位置に押しやられ、休止位置において、固定ヘッドは保持プロフィールと係合する。さらに、密封リップ432、433は渦システムの両側に位置し、前記渦システムを隔絶している。この状態は、図5に示された休止位置に相当する。
【0033】
さらに、ピストン部材430には軸方向の中央ロッド437も形成されており、前記ロッド437はその下側端部に入り口弁プロフィール438を有し、入り口弁プロフィール438は、スリーブ416の対応プロフィール4161と協働して共に入り口弁を形成する。休止位置において、入り口弁は開いている。
このように、ポンプチャンバ1は、本体と、プッシャと、そしてピストン部材との間に作られている。ポンプチャンバ1は下側リップ433によって外側から隔絶されているが、開いた入り口弁から容器に通じている。
【0034】
図5に示された休止位置から説明を始める。プッシュ壁421のプッシュ用外壁4211には力を加えることができる。これにより、プッシャとピストン部材とが本体に対し移動される。第1段階において、軸方向のロッド437はスリーブ416の中にさらに深く貫入し、耐漏洩様態のスライド接触が実現されるため、入り口弁は閉じている。この時、ポンプチャンバ1は外側から隔絶されている。そうして、ポンプチャンバの中の流体が受ける圧力は上昇し、それによりピストン部材430は、弾性タブ427により加えられるスプリング力に逆らう形でプッシュ壁421の方へ移動される。こうして、下側リップ433は上向きに移動され、最終的には渦システム426に達する。この時、流体は渦システムおよび投与開口部を通る出口通路を得る。この駆動位置は図6に示されている。この位置に達するためには、ポンプチャンバ内部の圧力が弾性変形可能なタブ427の剛性より大きくならなければならない。つまり、前記タブ427は事前圧縮スプリングとして働く。ピストン部材430はプッシュ壁421の方へ移動することができ、最終的には、固定ヘッド4392は内面4212に接する。図6に示されたこの位置において、差動ピストンの下側密封リップ433は渦システムの位置に来る。チャンバ内部の圧力が再び低下するやいなや、ピストン部材430は弾性タブ427からの力を受けて再びプッシュ壁421から遠ざかる形で移動する。最終的に、ピストン部材430は図5に示された休止位置に戻る。
【0035】
ピストン部材430は、プッシャの内部に保持されているが、限られた範囲の自由が軸方向の移動に関して与えられている。さらに留意すべき点として、事前圧縮スプリングはプッシャと一体化された形で形成されている。加えて、保持されたピストン部材とその限られた移動とは、完全にプッシャとピストン部材とにより実現され、何らかの部品を付け加える必要はない。
【0036】
図7に示された実施の形態において、ディスペンサ部材は、本体510と、プッシャ520と、ピストン部材530と、そして固定リング570とを有する。ディスペンサ部材は貯蔵器550の上に設置されており、前記貯蔵器550の内部には容器5が形成され、また、前記貯蔵器550にはネック553の形で開口部が設けられているが、ネック553には固定プロフィールは設けられていない。
【0037】
先述した図の実施の形態との相違点は、本体が、容器の開口部の固定機能をもはや果たさない、という点である。むしろ、この実施の形態において、本体510は固定リング570の中に係合され、前記固定リング570により容器の開口部への耐漏洩接続が実現される。この目的のため、固定リング570にはセルフシールリップ572が設けられ、前記セルフシールリップ572は、力嵌めにより耐漏洩様態で貯蔵器550の開口部553の中にはめ込まれている。リング570には受けカラー571が設けられ、開口部553の上側端部は前記受けカラー571に接している。さらに、本体には内向きに延びたフランジ575が形成され、前記フランジ575には、本体510のディップチューブ515が通るための穴が形作られている。リング570にはブッシング573がさらに設けられ、前記ブッシング573の内部には本体510のためのリセスが形作られている。ブッシング573の上側端部が延びた先は誘導バンド574になっている。また、リング570には戻し/事前圧縮スプリング576がさらに形成されており、前記戻し/事前圧縮スプリング576は、ブッシング573と一体化された形で、誘導バンド574の内部でこれと同心状態で延びている。誘導バンド574の外面にはプッシャ520と協働する受けプロフィール5741がさらに形成されている。
【0038】
本体510は、内向きに延びたフランジ575に接した状態で、リング570、さらに厳密に言えばブッシング573の中に係合している。先述した他の実施の形態と同様に、本体510には、スライド用シリンダ517と、ディップチューブ515と、そして入り口スリーブ516とが形成されている。
本体とリングとを2つの別個の箇所に実装することの効果は、本体とリングとに異なった素材を使用することができる、という点にある。このことは特に、リングが装飾的な部品であることが多い一方で、本体は機能的な部品である、という点から正当化される。ディップチューブは貯蔵器を通して目に見える場合が極めて多いため、たとえば、リングを色のついたプラスチック材料から作るならば、ディップチューブはそれと同じ材料で作ってはならない。さらに、本体を別個に作る場合、スプリング576はリング570と共に作る方が容易である。
【0039】
ピストン部材530は、図1乃至4に示された先述の実施の形態のピストン部材と全く同一であってもよい。しかし、見て取れるように、ピストン部材530には誘導リブ5351が設けられ、前記誘導リブ5351は、スリーブ516の周囲を耐漏洩様態でスライド移動するよう作られている。
図1乃至4に示された実施の形態と同様に、ピストン部材には差動ピストンとメインピストンとが形成されている。差動ピストンはプッシャ520の中を、メインピストンはスリーブ517の中をスライド移動する。圧力が上昇すると、ピストン部材530は、プッシャのプッシュ壁から遠ざかる形で移動するようになっている。このことにより、スプレー開口部525(効果的な構成として、誘導壁523の内面に設けられた渦システム526と共に設けられている)は、開かれる。さらに見てとれるように、プッシャの下側端部は受けプロフィール5741に接する形で係合する。プッシャの外径は、貯蔵器の外径とほぼ同一である。このように、固定リング570は極めて小さい範囲でしか目に見えていない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】部分的にのみ示された流体容器と組み合わされた第1の実施の形態によるディスペンサ部材を、休止位置において示す垂直断面図である。
【図2】図1と同様の図であって、駆動位置における図である。
【図3】(a)本発明の渦システムが設けられた投与壁の内面を、休止位置において示す図である。(b)本発明の渦システムが設けられた投与壁の内面を、駆動位置において示す図である。
【図4】(a)1つの変形例の実施の形態によるディスペンサ部材の垂直断面図である。(b)別の変形例の実施の形態によるディスペンサ部材の垂直断面図である。
【図5】図1および2と同様の図であって、本発明のもう1つの実施の形態を休止位置において示す垂直断面図である。
【図6】図5と同様の図であって、駆動位置における図である。
【図7】本発明のディスペンサ部材のさらに別の実施の形態を休止位置において示す垂直断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサ部材(100;200;300;400)であって、外面と内面とが形作られた投与壁(123;223;323;423)を有し、前記壁には内面を外面に接続する貫通投与開口部(125;225;325;425)が設けられ、内面はピストン(131、132、133;231、232、233;331,332、333;431、432、433)のための耐漏洩スライド用シリンダを形成し、前記ピストンは前記シリンダの内部を隙間なく接触した状態で移動して、投与開口部を選択的に開くのに適しており、前記ピストンは流体チャンバ(1)の壁部品を形成し、前記流体チャンバ(1)の内部で流体は選択的に圧力を受け、内面には、スライド用シリンダの位置で、流体渦システム(126;226;326;426)が形成され、前記流体渦システム(126;226;326;426)は投与開口部のすぐ上流にあり、
特徴となるのは、
投与壁は、ほぼ筒状のスカート(122;222;322;422)に形成され、前記ほぼ筒状のスカート(122;222;322;422)には誘導壁(124;224;324;424)がさらに設けられ、前記誘導壁(124;224;324;424)に形作られた内面の内径は、スライド用シリンダの内径より大きいことである、
という流体ディスペンサ部材。
【請求項2】
スライド用シリンダと、投与開口部と、渦システムとは、投与壁と一体化された形で形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項3】
投与壁は、プッシュ壁(121;221;321;421)を有するプッシャ(120;220;320;420)に形成され、前記プッシュ壁の外周が延びて投与壁になっていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項4】
ピストンは、弾性的にプッシュ壁に押し付けられており、前記プッシュ壁から遠ざかる形で移動させることで投与開口部を開けられること、
を特徴とする請求項3に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項5】
ピストンは、誘導壁から弾性的に遠ざけられ、前記誘導壁の方へ移動させることができること、
を特徴とする請求項2に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項6】
ピストンは、プッシュ壁から弾性的に引き離されているが、前記プッシュ壁の方へ移動させることができること、
を特徴とする請求項3に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項7】
プッシュ壁にはチャンバの壁部品を形成する内面(1212;2212;3212)が設けられていること、
を特徴とする請求項4または5に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項8】
ピストンはチャンバの中の圧力の変化に応じて移動する差動ピストンで、前記差動ピストンは、スライド用シリンダと耐漏洩様態でスライド接触した密封リップ(132、133;232、233;332、333;432、433)を少なくとも1つ有すること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項9】
差動ピストンは、メインシリンダの中で耐漏洩様態でスライド接触したメインピストン(136;236;336)と一体化されているか、またはそれに固着されていること、
を特徴とする請求項8に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項10】
流体容器に組み付けられる形で働く本体(110;210;310)を有し、前記本体はメインシリンダを形成し、メインピストンは前記メインシリンダの中でスライド移動すること、
を特徴とする請求項1乃至9に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項11】
投与壁はほぼ筒状のスカート(422)に形成され、前記ほぼ筒状のスカート(422)には誘導壁(424)がさらに形成され、前記誘導壁(424)には、メインピストンのメインシリンダを形成する内面が形作られていること、
を特徴とする請求項1乃至10に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項12】
渦システムは、少なくとも1本の渦チャネル(1261)と、投与開口部が中心に来る形で置かれた渦チャンバ(1261)と、そして、必須ではないが周縁フィードリング(1263)とを有すること、
を特徴とする請求項1乃至11に記載の流体ディスペンサ部材。
【請求項13】
渦システムはネットワークを形成しており、前記ネットワークは、投与壁のほぼ筒状の内面に対し凹んでいること、
を特徴とする請求項1乃至12に記載の流体ディスペンサ部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−515288(P2007−515288A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546282(P2006−546282)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050737
【国際公開番号】WO2005/063402
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】