説明

流体ディスペンサ

流体ディスペンサであって、移動させるのに適した駆動壁(21)が少なくとも1つ形作られた流体容器(30)と、投与開口部(321)と、駆動壁に荷重をかけて容器の容積が最大となる状態にするのに適したスプリング手段と、を有し、特徴となるのは、前記スプリング手段は、当該スプリング手段を、駆動壁に荷重をかけていない初期状態から駆動壁に荷重をかけている状態に至らせるのに適した作動手段(42)と協働することである、という前記流体ディスペンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動させたり押さえ付けたりするのに適した移動可能または変形可能な駆動壁が形作られた流体容器と、投与開口部と、駆動壁に荷重をかけて容器の容積が最大となる状態にするのに適したスプリング手段とを有する流体ディスペンサに関する。たとえば、ディスペンサまたは少なくとも容器は、駆動壁が形成された1枚または2枚の可撓性シートから作ることができる。駆動壁をスプリング手段の力に逆らう形で押さえ付けることによって、容器の内積を減少させることができ、それによって流体は投与開口部から放出される。これは香水、化粧品、さらには実に薬品の分野におけるディスペンサの従来型のデザインである。いくつかの分野においては、流体がスプレーの様態で投与されることが効果的である。
【背景技術】
【0002】
駆動壁が変形可能な場合、スプリング手段は壁に作用し、壁を最大限変形された状態、つまり容器の最大容積が規定された状態になるよう変形させる。スプリング手段を用いて変形可能な壁を変形させることは必ずしも見た目がよくなく、ディスペンサの外観に悪影響を及ぼしかねない。加えて、スプリング手段はディスペンサ全体の厚みを大きくするが、これはいくつかの使用法においては大きな問題点となる可能性がある。
【0003】
特許文書FR―2 791 645号において、そうした種類のディスペンサが開示されており、これは、使用前は投与開口部が取り外し可能な密封部品によって閉じられている、というものである。したがって、容器の内部は外部と通じておらず、この文書において、駆動壁に作用するスプリングは最大限に圧縮された状態まで圧縮され、その結果、ディスペンサの厚みは最小限に保たれる。これは、そうしたディスペンサが流体サンプルの形で雑誌に挿入される場合、必須の条件である。投与開口部が閉じられている際にも、当然のことながらスプリングは変形可能な壁に作用し、それによって変形可能な壁は見た目悪く変形され、不規則な盛り上がりを見せることが多い。
【0004】
また、駆動壁は変形可能ではなく、単に移動可能である、という形の従来技術によるディスペンサも公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、スプリング手段が不都合にも駆動壁の外観の良さに悪影響を与えてしまうことが、少なくともディスペンサの使用前にはない、という流体ディスペンサを形作ることで、上述した従来技術の問題点を解決することを目的とする。また、本発明は、スプリング手段の実際的、高速、そして好ましい構成として直観的な作動を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的のため、本発明は、スプリング手段を、駆動壁に荷重をかけていない初期状態から駆動壁に荷重をかけている状態に至らせるのに適した作動手段と協働し、スプリング手段は前面プレートおよび背面プレートを有し、容器は前面プレートおよび背面プレートの間に位置づけられており、作動手段はスペーサ手段を有し、当該スペーサ手段は、2枚のプレートが互いにほぼ平行に延び、容器の容積が最小限になっている状態に相当する非動作位置と、2枚のプレートの間に少なくとも局部的に間隔が開けられ、前面プレートが背面プレートに対し移動することで、間にある容器を圧縮することができる、という動作位置との間を選択的に移動することができ、駆動手段は、スペーサ手段を2枚のプレートの間に置くことで、それらを隔てるために設けられており、駆動手段は、スペーサ手段に接続された固定端部とけん引端部とが設けられたけん引部材を有し、けん引端部は投与開口部の近傍に位置づけられている、というスプリング手段を提供する。
【発明の効果】
【0007】
したがって、スプリング手段は初期段階において駆動壁に作用せず、作動手段はスプリング手段にその本来の望ましい機能(すなわち、駆動壁に荷重をかける機能)を与えるために用いられる。したがって、本発明のディスペンサは、使用前、スプリング手段が駆動壁に作用していない状態で保管することができる。駆動壁は荷重をかけられていない時点では圧力を受けない状態に保たれるため、適切に良い外観を有することが可能である。そうして、駆動壁とディスペンサとは完全に平らな状態を保つことができ、これは雑誌のサンプルとして使用するのに適している。
【0008】
本発明の1つの側面において、投与開口部は取り外し可能な密封部材によって閉じられており、当該密封部材はけん引部材に固定されている。変形例において、投与開口部は、取り外し可能な密封部材によって閉じられており、当該密封部材はけん引部材に固着されていることとする。
けん引端部が投与部材のすぐ近くに位置づけられていることによって、ディスペンサの使用方法は速やかに、そしてさらには直観的に理解することができる。極めて当然のことながら、ディスペンサの密封部材に連結されたタブを引くことによって当該部材が取り外されるからである。ユーザは単に密封部材を取り除いていると考えていても、実際には作動手段も駆動している。言い換えれば、作動手段の駆動は密封部材を取り除くという動作によって完全に隠されている。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、スペーサ手段と駆動手段とは単一部品の形で一体的に実装されていることとする。
効果的な構成として、スペーサ手段はヒンジ留めフラップを有し、当該フラップは、非動作位置と作動位置との間を移動するよう設置されており、前記フラップとけん引部材は単一部品の形で一体的に実装されていることとする。
さらに、けん引部材は2枚のプレートの間に延びていることとする。
実際的な実施の形態において、けん引部材にはフォークが形成されており、当該フォークは共通ウェブを介して相互接続された二又を有し、当該二又には2つの接続端部が形作られ、これらは共に前記固定端部を形成していることとする。効果的な構成として、けん引部材は、ウェブに接続されたタブを有し、前記タブには自由端が形作られ、当該自由端はけん引端部に接続されているか、あるいはけん引端部を形成していることとする。効果的な構成として、タブはフォークから引き離し可能であることとする。
さらに一般的に言えば、けん引端部は、けん引部材のほかの部分から引き離し可能であることとする。
本発明の別の側面において、容器は、フォークの二又の間でプレートに固定されていることとする。
さらに、スプリング手段は、前面プレート、背面プレート、そしてスペーサ手段のうち少なくとも1つの部品によって形成されていることとする。
実際的な特徴によれば、取り外し可能な投与部材が取り外されるまでに、容器にはほぼ流体だけが格納されていることとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のディスペンサの実施の形態を非限定的な例として示す添付図面を参照しながら、本発明に関してさらに詳細に説明する。
ディスペンサは、液体状または粉末状の流体を格納するポーチ3を有する。この例において、ポーチは変形可能な可撓性シート31から作られており、当該シートは半分に折られ、その周縁部は隙間のない形で固定されている。効果的な構成として、シート同士またはシートの半分同士が熱密封により隙間のない形で合体されている。このようにして、容積可変の流体容器30が形作られる。可撓性シート31には変形可能または押さえ付け型の駆動壁が形成されている。ディスペンサには投与開口部321がさらに設けられており、好ましい構成として、この例における当該開口部はスプレー開口部である。好ましい構成として、前記開口部については、剛性のあるプラスチック素材で作られた投与ヘッド32に形成されており、当該投与ヘッドには出口チャネルが形作られ、その下流端に投与開口部が形作られている、という形になっている。効果的な構成として、シート31は投与ヘッドに密封様態でとりつけられている。効果的な構成として、開口部321は少なくとも初回使用時まで取り外し可能な密封部材によって閉じられており、当該密封部材は密封部分341と固定部分342とを有する。
【0011】
そして、取り外し可能な密封部材を投与開口部から取り外した後は、シートを押さえることで容器30の動作容積を小さくし、それから容器に貯蔵された流体をチャネルおよび投与開口部経由で放出させることが可能となる。効果的な構成として、容器は、液体状または粉末状の流体を浸透させたり滲み込ませたりするのに適した多孔性素材の部品をさらに有する。好ましい構成として、前記部品は投与開口部321または出口チャネルと直接接触した位置に置かれている。
【0012】
さらに、ディスペンサはスプリング手段と作動手段とを有し、これら手段は本例において上側プレート2および下側プレート1の形をしており、これらプレートは、ピボット運動可能な形で設置されたフラップ42、および当該フラップをピボット運動させるためのけん引部材43と組み合わされている。フラップ42は、スプリング手段を始動させるための作動手段としての機能を果たす。また、フラップはスプリング機能も果たす。フラップがこうした機能を果たさない場合、2枚のプレートのうち少なくとも一方は、スプリング機能を果たすように弾性変形可能なものとする。好ましい構成として、プレート1およびプレート2の両方を1枚のプレートから作り、2つのプレート部分は、図に示すように接続折り曲げ部12を介して相互接続されている、という形にすることができる。切抜きまたはノッチ21は、接続折り曲げ部12の位置に形成されている。ノッチは窓の形で形成され、当該窓は、折り曲げ部にまたがっており、そのため半分に折り曲げられている、という形にしてもよい。取り外し可能な密封部材が付けられた投与開口部321は前記ノッチ21の中に置かれている。
【0013】
プレート1はパネル10および当該パネルにかぶせる形に折ることができる2つの側面フラップ11とで形成されている。プレート2は折り曲げ部12を介してパネル10に接続されている。プレート2のサイズはパネル10のサイズとほぼ同じであるため、これらは互いに重ね合わせることが可能である。
効果的な構成として、固定スタブ41が接着剤を遣ってパネル10に接着されている。スタブをプレート1と一体化して形成することもできる。フラップ42はスタブ41に対してヒンジ留めされており、ライン412を軸としてピボット運動する。フラップは、後に説明するようにスペーサ手段の形で作動手段として働く。フラップには小さなロック用舌状突起422がさらに設けられている。このロック用舌状突起の機能については後で説明する。スタブとフラップとは単一部品として形成することができる。効果的な構成として、フラップは折り曲げ部12とは反対側にある端部の近傍に位置づけられている。
【0014】
プレート2には、プレート1のロック用舌状突起422を受け入れる働きをするスロット22が形成されている。
プレートは側面フラップ11において合体されるよう設計されており、その手段は熱シールとするのが効果的である。このようにして、3辺に沿って密封され、ヒンジ留めフラップ42が形成された辺は開いている、という一種の封筒が得られる。可撓性のあるポーチ3は、2枚のプレートが一体となって形成したこの封筒形の内部で、これらプレートの間に配置されている。効果的な構成として、投与開口部321はノッチ21の中央に置かれている。効果的な構成として、ポーチ3は、2枚のプレートから成る封筒形の内部に固定してもよい。たとえば、ポーチを2つの点311、312においてプレートの各々に固定すればよい。
【0015】
図1乃至3に示すように、フラップ42がプレート1の他の部分と同一の面に延びている場合、プレート2はプレート1とほぼ並行に延び、可撓性のあるポーチ3が2枚のプレートの間にはさまっている、という形になる。効果的な構成として、可撓性のあるポーチ3には微量の流体しか格納されていないため、当該ポーチは特に平らな形を有することが可能である。したがって、ポーチが2枚のプレート1、2の間に配置された場合も、それによって増す厚みは極めて小さい。そのため、2枚のプレートは間にほとんど何もない状態で重なり合っているように見える。これは図3に示されている。ディスペンサ全体の厚みは約2ミリメータ(mm)から3mmの範囲にすることができる。この時、ディスペンサは輸送または保管されるのに適した休止状態にある。駆動壁が形成された可撓性ポーチ3は圧力を全く受けていない。同様に、プレート1、2も圧力を全く受けていない。
【0016】
ディスペンサを作動させるためには、図4で小さな矢印によって示されているように、フラップ42をヒンジライン412を軸としてプレート2の方へピボット運動させるだけでよい。効果的な構成として、折り目412にはたとえば円の弧の形で丸みがつけられている。対称的に、タンが形成されたフラップの端にも丸みをつけてよい。こうしておけば、フラップ42がプレート2の方へピボット運動した際に、プレートは折り目と自由端とに対応する形で丸みのついた形となる。フラップはピボット運動し、最終的にはその自由端がプレート2と受け接触し、また、その小さなロック用舌状突起422がプレート2に形成されたウィンドウ22に収容されることになる。この状態は図4に示されている。この時、フラップはプレート1およびプレート2の両方に対してほぼ垂直に延びている。タン422はウィンドウ22の中に入る形で係合しているため、フラップは定位置に固定される。たとえば、フラップは剛性のある形で実装することができる。また、フラップは、2枚のプレートを間隔が開けられた状態に保持することを可能にするスペーサ手段を構成している。
【0017】
ポーチ3は、点311においてプレート1に、そして点312においてプレート2に固定されているため、2枚のプレートの間に入れられたスペーサフラップによって、これらプレートの間に間隔が開けば、それによってポーチの壁同士の間にもまた間隔が開く。そうすると、容器の内部容積は、投与開口部321、および効果的な構成として多孔性素材の部品を通って流れ込む空気によって増加する。当然のことながら、この増加は取り外し可能な密封部材34が取り外されてからでなければ生じない。事前に密封部材を取り外さずにフラップを折り曲げて図4に示す位置に持ってくることは、ディスペンサを破壊しない限りほぼ不可能である。空気が容器の中に入り込むことが可能である場合にのみ、プレート同士の間に間隔を開けることができる。本発明において、プレートは弾性変形可能な素材から作られており、当該素材がこの弾性戻し特性をプレートに与える。したがって、ディスペンサが図4に示す形となった時点で、1本の指でプレートを保持しながら別の指でプレートを押せば、ディスペンサを駆動させることができる。この実施の形態では、各プレートが戻しスプリング手段を形成している。しかし、プレートの一方のみが弾性戻し手段を形成し、他方のプレートは全体的に剛性があり受け面として働くことが可能である、という実施の形態も考えることができる。さらに、フラップのみが弾性変形可能であるが、両プレートは剛性がある、という形も考えることができる。可撓性フラップおよび変形可能なプレート、という形も考えることができる。
【0018】
プレートは、ポーチを変形させることによって相互に近づけることができる。この変形により容器30には圧力が加えられ、空気と流体との混合物が投与開口部から放出される。
このように、スペーサフラップ42が、プレートとプレートとの間に隙間を空けるための作動手段を形成している、ということが見てとれる。
【0019】
この例において、スプリングと作動手段とは、可撓性ポーチ3を取り囲む封筒の形となっている。それ以外に、スプリング手段と作動手段とは幅の狭い2枚のストリップまたはブレードの形となっており、そのうち1枚には作動用のスペーサフラップが設けられている、という実施の形態も考えられる。その場合、可撓性ポーチ3は2枚のストリップの間に配置される。
【0020】
本発明において、流体ディスペンサには制御手段が設けられており、当該手段は図1において参照番号4で全体が示されている。これらの駆動手段の定義については、フラップ42と固定スタブ41とがさらに含まれることにしてもよい。前記フラップと前記スタブとは、駆動手段4の他の部分と一体化して形成することができるためである。駆動手段4はけん引手段を有し、当該けん引手段はフラップ42とノッチ21との間に延びている。けん引手段はロック用舌状突起422が形成されたフラップ42の端に、効果的な構成として一体化された形で接続されている。さらに、けん引部材にはけん引端部442が設けられており、当該けん引端部は初期状態においてはノッチ21の位置に置かれている。けん引端部442を引っ張ることで、けん引部材によってけん引力をフラップ42に伝達させ、それによって、当該フラップを図3に示す非動作位置から図4に示す作動位置までピボット運動させる、という形にすることができる。最終位置については、ロック用舌状突起442がプレート2の窓22に収容されている位置とする。ユーザは、けん引端部442を掴んで引っ張りさえすればよい、ということが即座に理解できる。
【0021】
けん引部材は2枚のプレート1、2の間に延びている。
好ましい構成として、取り外し可能な密封部材34はけん引部材に固着されている。そのため、けん引端部442を引っ張ることによって、ディスペンサを作動すること、および取り外し可能な密封部材を取り外して投与開口部321を開けることの両方が同時に可能である。
【0022】
これが、本発明の駆動手段によって実施されるおおよその概念である。
本発明の例示として用いるこれらの図は、駆動手段4の極めて実際的な実施の形態を示している。
さらに具体的に図1を参照する。駆動手段4は力伝達フォーク43とプルタブ44とを有する、ということが見てとれる。このフォークとタブとは一体的に実装することができるが、さもなければ変形例として、たとえば接着剤を使った接合によってタブ44をフォーク43に固定することもできる。フォーク43は実質的に平行の2つの側面の又432を有し、これらは各々、それぞれの端部の一方において共通ウェブ431に接続されている。2つの又432は、プレート1の側面フラップ11にほぼ平行に延びている。ウェブ431はノッチ21の近傍に位置づけられている。2つの又432には接続端部433が形作られており、当該端部はロック用舌状突起422の両サイドにおいてフラップ42に接続されている。フォーク43とフラップ42とは一体化された形で作ってもよく、固定スタブ41と一緒にするのが効果的である。プルタブ44は、共通ウェブ431においてフォーク43に接続されている。タブは、ノッチ21の位置にあるけん引自由端442と固定スタブ441とを有し、当該固定スタブは引き離し可能な形でウェブ431に接続されている。効果的な構成として、取り外し可能な密封部材34は、耐漏洩様態で投与開口部321にかぶさる形で置かれた密封部分431とタブ44に固定された固定部分342とを有する。このことは、図2からはっきりと見て取れる。初期状態において、装置の初回使用前には、フラップ42はプレート1に押さえ付けられている。また、その時点でのけん引端部442は、ノッチ21から外側に突き出すことなく当該ノッチ21の中に位置している。ユーザは、けん引端部442を掴んで引っ張り、フラップ42をピボット運動させると共に、密封部分341を投与開口部から引き離す。さらに引っ張り続けることにより、ユーザはタブ44をフォーク43から引き離す。この状態は図5から見て取れる。取り外し可能な密封部材34は、図5から見て取れるように、タブ44に固定されたままの状態にすることができる。
【0023】
可撓性ポーチ3は、図1から見て取れるように、フォーク43とプレート1との間に配置されている。同図において、可撓性ポーチ3は破線で示されている。さらに、フォークの形状によって、以下のことが可能になる。それは、第1に、フラップ42へのけん引力をより良い形で分散させること、そして第2に、2つの又の間に位置する点312(図3および4参照)に中心がくる形でポーチ3を固定することである。また、フォークの形状によって、けん引が終わった時点で共通ウェブ431と折り目12との間の受け接触を実現でき、その結果、タブ44はフォーク43から引き離されることになる。
【0024】
変形例においては、けん引端部が取り外し可能な密封部材の固定部分342によって形成されており、そうして、当該密封部材には、ユーザがつまむのに適したプルタブが形成されている、という形を考えることもできる。しかし、好ましい実施の形態としては、伝達フォーク43、ヒンジ留めされたフラップ42、そして固定スタブ41が形成された単一部品を実装することとする。さらに、2枚のシート1、2を単一部品の形で実装してもよい。プルタブ44はフォークに固定され、取り外し可能な密封部材34は投与開口部およびタブの上に設置されている。
【0025】
図6、7、および8に示された実施の形態において、投与開口部321は、前述した実施の形態におけるように投与ヘッドの先端において開いているというより、むしろ投与ヘッドの一方の側面で開いている。実質的には、そのことが前述した実施の形態との唯一の違いである。駆動手段、さらに具体的に言えばけん引部材については、同一またはほぼ同一のものとしてよい。結果として、開口部はけん引部材およびプレート2の方を向いていることになる。
【0026】
さらに厳密に言えば、ディスペンサが図6に示す初期状態にある際、プルタブ44はノッチ21内に位置している。また、取り外し可能な密封部材34は開口部321を覆う形でタブ44に接続されており、タブ44はフォーク43のウェブ431に接続されている。タブまたはウェブは開口部のちょうど正面に位置づけられていて、開口部はこの時点ではまだ閉じている。ウェブには穴4314が設けられており、当該穴は開口部からずれた位置にある。プレート2には窓24が設けられており、当該窓の位置に開口部が置かれている。そうすると、ノッチ21内のタブ44を掴んで引っ張ることができる。これによりフォークは移動させられる。これと同時に、フラップ42は持ち上げられ、密封部分341はタブに固定された固定部分342を介して開口部から浮く形で離れる。けん引の最終段階では、開口部は完全に開放され、開口部4314はずらされて、開口部と位置がそろうと共に、プレート2の窓24に対してほぼ中央の位置に来る。必須ではないが、その後も続けてタブを引っ張ることにより、前記タブは点Sにおいてフォークから引き離された形となり、ノッチ21は空になって残る、という形にすることもできる。プレート同士を押さえ付けると、流体はスプレーの形で開口部から放出される。噴流またはスプレーは穴4314と窓24とを通って拡散する。スプレーの軸は、プレート2の面に対しほぼ垂直である。
【0027】
ユーザは、この特別なけん引部材を使えば、1回の直観的操作を行うだけで投与開口部を開けると共に、スプリング手段を動作状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のディスペンサの内部構造を示すため、当該ディスペンサを未完成の状態において上から見た斜視図である。
【図2】図1に示すディスペンサの他方の面の部分斜視図である。
【図3】図1および2のディスペンサの休止位置における縦断面図である。
【図4】図1および2のディスペンサの作動位置における縦断面図である。
【図5】図1および2のディスペンサの駆動位置における縦断面図である。
【図6】図3と同様の図であり、本発明の変形例の実施の形態を示す図である。
【図7】図4と同様の図であり、本発明の変形例の実施の形態を示す図である。
【図8】図5と同様の図であり、本発明の変形例の実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサであって、
移動させるのに適した駆動壁が少なくとも1つ形作られた流体容器(30)と、
投与開口部(321)と、
駆動壁に荷重をかけて容器の容積が最大となる状態にするのに適した作動手段(1;2;42)と、を有し、
特徴となるのは、
スプリング手段は、当該スプリング手段を、駆動壁に荷重をかけていない初期状態から駆動壁に荷重をかけている状態に至らせるのに適した作動手段(42)と協働し、スプリング手段は前面プレート(1)および背面プレート(2)を有し、容器(30)は前面プレートおよび背面プレートに固着されており、作動手段はスペーサ手段(42)を有し、当該スペーサ手段は、2枚のプレートが互いにほぼ平行に延び、容器の容積が最小限になっている状態に相当する非動作位置と、2枚のプレートの間に少なくとも局部的に間隔が開けられ、前面プレートが背面プレートに対し移動することで、間にある容器を圧縮することができる、という動作位置との間を選択的に移動することができ、駆動手段(4)は、スペーサ手段を2枚のプレートの間に置くことで、それらを隔てるために設けられており、駆動手段は、スペーサ手段(42)に接続された固定端部(433)とけん引端部(442)とが設けられたけん引部材(43、44)を有し、けん引端部は投与開口部(321)の近傍に位置づけられていることである、
という前記流体ディスペンサ。
【請求項2】
投与開口部は、取り外し可能な密封部材(34)によって閉じられており、当該密封部材はけん引部材(44)に固着されていること、
を特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
投与開口部は取り外し可能な密封部材によって閉じられており、当該密封部材にはプルタブが設けられ、けん引端部は前記プルタブによって形成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
スペーサ手段(42)と駆動手段(4)とは単一部品の形で一体的に実装されていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項5】
スペーサ手段はヒンジ留めフラップ(42)を有し、当該フラップは、非動作位置と作動位置との間を移動するよう設置されており、前記フラップとけん引部材(43)は単一部品の形で一体的に実装されていること、
を特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
けん引部材(43)は2枚のプレートの間に延びていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項7】
けん引部材にはフォーク(43)が形成されており、当該フォークは共通ウェブ(431)を介して相互接続された二又(432)を有し、当該二又には2つの接続端部(433)が形作られ、これらは共に前記固定端部を形成していること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項8】
けん引部材は、ウェブ(431)に接続されたタブ(44)を有し、前記タブには自由端(442)が形作られ、当該自由端はけん引端部に接続されているか、あるいはけん引端部を形成していること、
を特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
タブはフォークから引き離し可能であること、
を特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
容器(30)は、フォークの二又の間でプレート(1)に固定されていること、
を特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項11】
けん引端部は、けん引部材のほかの部分から引き離し可能であること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項12】
スプリング手段は、前面プレート、背面プレート、そしてスペーサ手段のうち少なくとも1つの部品によって形成されていること、
を特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
取り外し可能な投与部材(34)が取り外されるまでに、容器(30)にはほぼ流体だけが格納されていること、
を特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項14】
投与開口部(321)は、1枚のプレートを貫通する形で一方の側に開放されていること、
を特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のディスペンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−521250(P2006−521250A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505742(P2006−505742)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000693
【国際公開番号】WO2004/087524
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】