流体ディスペンサ
本発明の一つの態様は、ピストン部材114が中で摺動する投薬チャンバ120を画成し、流体ディスペンサの流体出口152又は流体出口152に重なるシール154を係合して、流体出口152又はシール154を選択的に開閉するように適合された端部160を有する、流体ディスペンサ110の構成要素112、165を提供する。
他の態様が本明細書に開示される。
他の態様が本明細書に開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鼻内噴霧器用の流体ディスペンサに関し、具体的には、限定するものではないが、薬剤投与のための流体ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば流体を鼻腔に分配するための、従来技術の液体ディスペンサが、US-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103によって知られており、それらの元の開示全体(並びにそれらのパテントファミリー)を参照により本明細書に組み込むものである。これらのディスペンサは、流体リザーバと、出口と、リザーバから出口を介して流体をポンプ給送するためのポンプとを備える。出口はノズルの形で設けられ、そのノズルは鼻孔内で位置付けるために形状及びサイズが決められてもよい。ディスペンサは、計量体積の流体を分配するためのものであるので、少なくとも一つの計量チャンバ入口を介してリザーバと、且つ出口と選択的に流体連通した状態にされる計量チャンバをさらに備える。ポンプは、計量チャンバが計量体積よりも大きい第1の体積を有する拡張状態と、収縮状態との間で計量チャンバを移動させるように往復運動する。ディスペンサは、さらに、計量チャンバと、「弁閉止」位置へと付勢される出口との間に一方向弁を備える。計量チャンバがその収縮状態からその拡張状態に移動すると、計量チャンバとリザーバは少なくとも一つの入口を介して流体連通した状態にされ、流体は、リザーバから計量チャンバ内へと引き込まれて、計量チャンバが過剰な体積の流体で充填される。計量チャンバが拡張状態から収縮状態に向かって移動するとき、計量チャンバ内の余剰体積の流体が少なくとも一つの入口を介してリザーバ内へと戻されて、計量チャンバ内の計量体積の流体を離れる初期抜取り段階(initial bleed phase)がある。計量チャンバがその収縮状態に戻る最終分配段階では、計量チャンバ内の計量体積の流体は一方向弁に向かって給送され、それにより、流体に発生した増加圧力が一方向弁を一時的に開いて、計量体積を出口から給送することが可能になる。
【0003】
なお、他の流体ディスペンサ装置がWO-A-2007/138084の図1〜21に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの目的は、新規な流体ディスペンサと、流体ディスペンサ用の新規な構成要素を提供することであり、その流体ディスペンサは、任意に、US-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103に開示されている給送原理を組み込むものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、ピストン部材が中で摺動する投薬チャンバを画成する流体ディスペンサの構成要素と、流体ディスペンサの流体出口又は流体出口に重なるシールを係合して、流体出口又はシールを選択的に開閉するように適合された端部を提供する。
【0006】
端部は先端の形態であってもよい。構成要素は部品のアセンブリであってもよい。第1のそのような部品は端部を形成してもよい。第1の部品はキャップ部であってもよい。
【0007】
構成要素は、その外表面上に、流体ディスペンサ内に滑り封止嵌め(sliding sealing fit)を形成するシールを備えてもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。シールは構成要素の第1の部品によって示されてもよい。
【0008】
投薬チャンバは、第2のチャンバを画成する構成要素と、投薬チャンバと第2のチャンバの間の流体経路と、を備え、流体経路を選択的に開閉する弁を有する第1のチャンバであってもよい。
【0009】
本発明の第2の態様は、流体供給源とともに使用する流体ディスペンサを提供し、ディスペンサは、投薬チャンバと、流体出口と、並びに、(i)投薬チャンバを供給源からの流体で充填する第1の方向と、(ii)チャンバから流体出口に向かって流体を分配する第2の方向とで、投薬チャンバを封止してその中で摺動するように配置されたピストン部材と、を有し、投薬チャンバは幅が異なる第1及び第2の区画を有し、第1の区画は第2の区画よりも狭く、第2の区画に対して第2の方向に位置し、ピストン部材は、第1及び第2の方向で摺動する際に第2の区画を封止するように第2の区画と接触するものであり、ただし、第1及び第2の方向での摺動の際にこの摺動の一部分において第1の区画のみを封止するように第1の区画と接触する。
【0010】
ピストン部材は、第1の区画を封止するように第1の区画と接触するシールを備えてもよい。
【0011】
シールは、第1の区画の幅以上であって、第2の区画の幅よりも小さい外寸法を有してもよい。
【0012】
シールは、ピストン部材と一方向弁を形成してもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。シールはピストン部材の端部に位置してもよい。
【0013】
ピストン部材は、投薬チャンバの第2の区画を封止するように第2の区画と接触するシールを備えてもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。
【0014】
ピストン部材は、流体供給源と連通する流体導管であって、使用の際、ピストン部材が第1の方向で摺動するとき、そこを介して流体が流体供給源から投薬チャンバ内へと運ばれる流体導管を備えてもよい。流体供給源は、投薬チャンバの第2の区画と位置を合わせるようにピストン部材に位置付けられた出口を有してもよい。
【0015】
流体ディスペンサは、使用の際、ピストン部材が第2の方向で摺動すると、ピストン部材が投薬チャンバの第1の区画を封止するように第1の区画と接触するまで、投薬チャンバ内の流体が投薬チャンバから抜き取られる(例えば、流体供給源に戻る)ように適合されてもよい。流体は、抜き取られてピストン部材内の流体導管を通して流体供給源に戻されてもよい。
【0016】
流体ディスペンサは、投薬チャンバと流体出口との間に、ピストン部材が第2の方向で摺動して第1の区画を封止するように第1の区画と接触するまで閉じたままである弁を備えてもよい。弁は第1の区画の開口部内に形成されてもよい。
【0017】
流体ディスペンサは、流体が、ピストン部材又は第1の区画と選択的に接触するシールの周りを第1の方向で抜き取られるように適合されてもよい。
【0018】
一方向弁は、シールが第1の区画を封止して第1の区画と接触した状態で、ピストン部材が第1の方向で摺動すると、投薬チャンバの第1の区画に流体が入ることができるように、開くように適合されてもよい。
【0019】
一方向弁は、ピストン部材が第2の方向で摺動すると閉じるように適合されてもよい。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、流体ディスペンサの投薬チャンバ内で摺動するピストン部材であって、その上にOリングではないシールが取り付けられて一方向弁を形成するピストン部材が提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、流体の容器と、投薬チャンバと、流体出口と、並びに、(i)投薬チャンバを容器からの流体で充填する第1の方向と、(ii)流体をチャンバから流体出口に向かって分配する第2の方向とで、投薬チャンバ内で摺動するように配置されたピストン部材と、を備え、ピストン部材が容器と調和して移動するように取り付けられた、流体ディスペンサが提供される。
【0022】
ピストンは、容器上に取り付けられたキャップ構造の形で構成されてもよい。キャップ構造は、容器の開口部に挿入されるストッパーであってもよい。
【0023】
投薬チャンバは、流体出口が中に形成される流体ディスペンサのノズルの形で提供されてもよい。
【0024】
ノズルは、例えばピストン部材を投薬チャンバ内で摺動させるため、容器と相対移動するようにその上に取り付けられてもよい。
【0025】
ノズルはキャップ構造上に取り付けられてもよい。
【0026】
ノズルは、ヒトの鼻孔に挿入されるように形状及びサイズが決められてもよい。当然ながら、異なる用途向けに、例えば、異なる体腔に挿入するように、又は他の身体部位に局所適用するように形成できる。
【0027】
流体ディスペンサは、ピストン部材を投薬チャンバ内の休止位置へと付勢する付勢機構を有してもよい。休止位置は、投薬チャンバ内におけるピストン部材の後退位置であってもよい。
【0028】
本発明の別の態様では、流体の容器と、容器に向かって移動し、且つ容器から離れて移動するように容器上に取り付けられたノズルと、ピストン部材と、投薬チャンバと、を有する流体ディスペンサが提供され、ピストン部材は容器又はノズルに含まれ、投薬チャンバはそれらの他方に含まれ、それにより、ノズルと容器との相対移動によって、ピストン部材が投薬チャンバ内で摺動して投薬チャンバを充填したり空にしたりし、流体ディスペンサは、休止時にはノズル及び容器が第1の間隔で分離するように適合され、流体ディスペンサを作動させると、ノズル及び容器は相互に向かって移動し、次に第1の間隔に戻り、また、衝撃があった際に、例えば流体ディスペンサが落下したときの流体ディスペンサの保護を改善するため、ノズル及び容器は、第1の間隔よりも大きい第2の間隔まで分離可能である。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、流体供給源とともに使用する流体ディスペンサを提供し、ディスペンサは、流体出口と、投薬チャンバと、投薬チャンバを流体供給源からの流体で選択的に充填し、且つ流体を投薬チャンバから流体出口に向かって給送するため、投薬チャンバ内で往復運動するように配置されたピストン部材と、任意に、シールによって流体が流体出口を介して分配されなくなる通常の閉止状態から、シールが流体出口を開いてそこからの分配を可能にする開放状態へと移動可能な、流体出口を封止するシールと、並びに、部材が流体出口を封止するか又はシールを閉止状態に位置させるようにシールに作用する通常の第1の位置と、流体出口を開くか又はシールが開放状態へと移動するのを可能にする第2の位置との間で移動可能な構成要素であって、投薬チャンバを含む構成要素と、を有する。
【0030】
本発明の別の態様では、流体ディスペンサの流体出口を封止する封止装置であって、シール部材を備える装置が提供され、シール部材は、流体出口を封止する第1の面と、陥凹部が設けられた第2の面と、内側位置と外側位置との間でシール部材に対して滑動するように、陥凹部内でそれを封止して滑動可能に取り付けることができる構成要素とを有し、構成要素が内側位置にあるときは、第1の面が外向きに撓み、外側位置にあるときは第1の面がその元の状態に戻ることができる。
【0031】
シール部材は、弾性材料、又は、形状記憶を有する、すなわち元の形状に戻る能力を有する他のタイプの材料から作られてもよい。
【0032】
本発明の各態様はまた、(i)本発明の他の態様、又は(ii)添付図面を参照して記載する代表的実施形態の追加の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0033】
本発明のこれら及び他の態様及び特徴は、添付図面を参照して以下に記載する代表的実施形態から理解されるだろう。
【0034】
なお、本出願は、2007年5月30日出願の英国特許出願第0710315.3号及び2007年11月29日出願の英国特許出願第0723420.6号の優先権を主張するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、完全拡張(開放)位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図1B】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、休止位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図1C】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、発射後位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図2A】図1Aの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図2B】図1Bの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図2C】図1Cの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図3A】完全拡張位置にある図1Aの流体ディスペンサの横断面図である。
【図3B】休止位置にある図1Bの流体ディスペンサの横断面図である。
【図3C】発射後位置にある図1Cの流体ディスペンサの横断面図である。
【図4】先端シール配置を示す図1〜3の流体ディスペンサのノズル領域の拡大断面図である。
【図5A】図1〜4の流体ディスペンサのピストン部材の側面図である。
【図5B】図1〜4の流体ディスペンサのピストン部材の横断面図である。
【図6A】図5A〜Bのピストン部材上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの後方封止要素の斜視図である。
【図6B】図5A〜Bのピストン部材上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの後方封止要素の横断面図である。
【図7A】図5A〜Bのピストン部材上に滑動可能に取り付けられて一方向弁を形成する、図1〜4の流体ディスペンサの前方封止要素の斜視図である。
【図7B】図5A〜Bのピストン部材上に滑動可能に取り付けられて一方向弁を形成する、図1〜4の流体ディスペンサの前方封止要素の横断面図である。
【図8A】図5A〜Bのピストン部材を滑らせて受け入れる図1〜4の流体ディスペンサの主ハウジングの斜視図である。
【図8B】図5A〜Bのピストン部材を滑らせて受け入れる図1〜4の流体ディスペンサの主ハウジングの横断面図である。
【図9A】流体供給源上に取り付けられ、図5A〜Bのピストン部材が取り付けられる、図1〜4の流体ディスペンサのストッパー部分の斜視図である。
【図9B】流体供給源上に取り付けられ、図5A〜Bのピストン部材が取り付けられる、図1〜4の流体ディスペンサのストッパー部分の横断面図である。
【図10A】図9A〜Bのストッパー部分上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのノズルの斜視図である。
【図10B】図9A〜Bのストッパー部分上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのノズルの横断面図である
【図11】図10A及び10Bのノズルの端面に形成されるスワールチャンバを示す背面斜視図である。
【図12A】図10A〜B及び11のノズル上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャリア部材の斜視図である。
【図12B】図10A〜B及び11のノズル上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャリア部材の横断面図である。
【図13A】図8A〜Bの主ハウジング内に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの弁機構の弁要素の斜視図である。
【図13B】図8A〜Bの主ハウジング内に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの弁機構の弁要素の斜視図である。
【図14A】図10A〜B及び11のノズルに入り込む図1〜4の流体ディスペンサのノズル挿入具の斜視図である。
【図14B】図10A〜B及び11のノズルに入り込む図1〜4の流体ディスペンサのノズル挿入具の横断面図である。
【図15A】図8A〜Bの主ハウジング上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャップの斜視図である。
【図15B】図8A〜Bの主ハウジング上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャップの横断面図である。
【図16A】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16B】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16C】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16D】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16E】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16F】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16G】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16H】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16I】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16J】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図17】図11に対応する、スワールチャンバの変形例を示す図である。
【図18】図4に対応する、ただし図1〜15の流体ディスペンサのための代替の先端シール配置を示す図である。
【図19A】図18のノズル挿入具の側面図である。
【図19B】図18のノズル挿入具の横断面図である。
【図20】図4に対応する、ただしさらなる代替の先端シール配置を示す図である。
【図21】図4に対応する、ただし図1〜15の流体ディスペンサのための代替の封止装置を示す図である。
【図22A】図21の封止ピンの側面図である。
【図22B】図21の封止ピンの横断面図である。
【図23A】図21のバッキングプレートの斜視図である。
【図23B】図21のバッキングプレートの横断面図である。
【図24A】図21のノズル挿入具の斜視図である。
【図24B】図21のノズル挿入具の横断面図である。
【図25A】図21のキャップの斜視図である。
【図25B】図21のキャップの横断面図である。
【図26】発射後位置で示される図1〜15の流体ディスペンサの別の変形例であって、ただし図3A〜3Cの図に垂直に取った断面で示した横断面図である。
【図27】発射位置で示される図1〜15の流体ディスペンサのさらに別の変形例であって、ただし分配の終わりに先端シール配置が再閉止されている横断面図である。
【図28】図27の流体ディスペンサの前方封止要素の斜視図である。
【図29】図27の流体ディスペンサの代替の先端シール配置の拡大部分図である。
【図30A】第1の代替のストッパー部分の斜視図である。
【図30B】第1の代替のストッパー部分の下面図である。
【図31】別の代替のストッパー部分の斜視図である。
【図32】本発明の流体ディスペンサに使用されるボトルの斜視図である。
【図33】ストッパー部分における図32のボトルの断面図である。
【図34】手持ち型の手動流体分配システムの形態の、アクチュエータに取り付けられる図27の流体ディスペンサの横断面図である。
【図35A】図34のアクチュエータのベルクランクの斜視図である。
【図35B】図34のアクチュエータのベルクランクの斜視図である。
【図35C】図35Aに対応する、ただしアクチュエータによって提供されるプッシャ表面に対するベルクランクを示す図である。
【図36A】図35A及び35Bのベルクランクが取り付けられる図34のアクチュエータのレバーの斜視図である。
【図36B】図35A及び35Bのベルクランクが取り付けられる図34のアクチュエータのレバーの斜視図である。
【図37】図1〜15、16、26、又は27の流体ディスペンサのピストン部材及び弁要素の代替構成の部分図である。
【図38】図1〜15、16、26、又は27の流体ディスペンサのピストン部材及び弁要素の別の代替構成を示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による非限定的な特定の実施形態の以下の記載において、所与の特徴の相対的な位置、向き、構成、方向、又は移動(例えば、「前方」、「反時計方向」など)に関するあらゆる用語は、その記載が参照する指定の一つ若しくは複数の図面に示される視点から見たその特徴の配置にのみ関連する。さらに、これらの用語は、特段の指定がない限り、本発明の配置を限定することを意図しない。
【0037】
さらに、本発明による代表的な流体ディスペンサの以下の記載において、流体ディスペンサは液体を分配するためのものであり、これらの代表的な流体ディスペンサについての記載に関しての、「流体」に対するすべての言及は液体を意味するものと理解されるべきである。液体は、例えば液体中に懸濁又は溶解された、薬剤を含んでもよい。
【0038】
代表的な流体ディスペンサの根本的な動作原理は、上述のUS-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103に記載されている通りである。
【0039】
類似の参照番号は、参照を容易にするため、様々な代表的な流体ディスペンサ同士で類似の特徴を識別するのに使用する。
【0040】
図1〜15は、本発明の第1の実施形態による流体ディスペンサ110を示す。
【0041】
図3B、5A、及び5Bを参照すると、流体ディスペンサは、ほぼ円筒状のピストン部材114を有し、それは、主ハウジング112によって画成された投薬チャンバ120内部の流体ディスペンサ110の長手方向軸L-Lに沿って往復する形で摺動するように取り付けられる。ピストン部材114は、投薬チャンバ120に対して前方位置と後方位置との間で摺動するように取り付けられる。それは、ピストンとして、ピストン部材114が投薬チャンバ120内で移動すると、投薬チャンバ120内の流体に対して給送力を与える。
【0042】
図8A及び8Bに示されるように、主ハウジング112は、環状フランジ112bがそこから突出する管状体112aによって形成される。管状体112aは、開放型の軸方向ボア112cを有し、その中に環状の肩部112dが突出して、環状の肩部112dの両側に配設された前方ボア区画112f及び後方ボア区画112gに対して制限されたボア区画112eを作り出す。後方ボア区画112gは投薬チャンバ120を画成する。管状体112aの前方区画112hは一対の外周ビード112iを備えており、その目的については以下に簡単に説明する。
【0043】
この実施形態の主ハウジング112は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0044】
図3B、3C、8A、及び8Bを参照すると、投薬チャンバ120は円筒状であり、長手方向軸L-Lと同軸で配置される。投薬チャンバ120は、前方区画120a及び後方区画120bを有する。図から分かるように、前方区画120aは後方区画120bよりも狭い。後方区画120bを前方区画120aに接続するため、段差120sは前方方向F(図3Bを参照)で内向きに先細になっている。図3B及び8Bに示されるように、少なくとも一つの軸方向溝又はフルート120dが段差120sに形成される。この特定の実施形態では、四つのそのようなフルート120dが設けられるが、別の数が選択されてもよい。複数のフルート120dが設けられる場合、理想的には、この特定の実施形態のように等角で間隔が空けられる。
【0045】
前方区画120aは、ディスペンサ110から分配するための流体の体積を計量する計量チャンバを形成する。計量体積は50μLであってもよいが、これは単なる例示であり、流体ディスペンサ110は、所望の計量体積を分配するように配置することができる。
【0046】
図5A及び5Bに戻ると、ピストン部材114は、前方区画114a、後方区画114b、及び中央区画114cを有する。これらは同軸で配置される。
【0047】
後方区画114bは、ピストン部材114の開放型後方端部114dを呈する。後方区画114bはカップ状であって、後方端部114d内で開いた口114gを有する内部キャビティ114fを画成する環状の外周壁114eを有する。
【0048】
前方区画114aは中実であり、ピストン部材114の前方端部114hを呈する。前方区画114aは、前方端部114hの後方に環状フランジ114iを備える。
【0049】
中央区画114cは、前方端部114a及び後方端部114bに接続し、より詳細に後述するように、投薬チャンバ120の後方区画120bを流体供給源170(この特定の実施形態では、例えば、ガラス又はプラスチック材料のボトル(図1A〜1Cを参照))と流体連通させる内部ボアネットワーク114jを備える。ボアネットワーク114jは、軸方向区画114kと複数の横断方向区画114lとから成る。軸方向ボア区画114kは、内部キャビティ114fの前方面114nにある後方開口部114mから接合部114pまで延びる。横断方向ボア区画114lは、中央区画114cの外周表面にある各前方開口部114qから内向きに接合部114pまで横断方向で延びて、軸方向ボア区画114kと接続する。前方開口部114qは中央区画114cを中心にして等角で配置される。この特定の実施形態では、二つの横断方向ボア区画114lがあるが、一つの、又は二つを超える横断方向ボア区画を使用することができる。前方開口部114qはまた、中央区画114cに陥凹部を作る。
【0050】
ピストン部材114は、外周の周りに複数の軸方向に向いた溝114rを備える。溝114rは、前方区画114aの環状フランジ114iの後方表面114sから、内部ボアネットワーク114jの前方開口部114qの後方にある中央区画上の環状リブ114tまで後方に延びる。溝114rは、前方開口部114qの少なくとも一部分が溝114r内にあるように配置される。
【0051】
フランジ114iから前方端部114hまで前方に延びる、ピストン部材114の前方区画114aの先端部114uは、頂点が丸み付けられた三角形の断面形状を有する。
【0052】
この実施形態のピストン部材114は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0053】
図3B、3C、6A、及び6Bを参照すると、ピストン部材114は、その中央区画114c上に、ピストン部材114と投薬チャンバ120の後方区画120bとの間に恒久的な動的(滑り)シールをもたらす、管状の後方封止要素128を持つ。後方封止要素128は、ピストン部材114に固着されてそれと調和して移動するので、ピストン部材114が投薬チャンバ120内で摺動するとき、それらの間に相対的な軸方向の移動はまったく又はほとんどない。
【0054】
後方封止要素128は、リップシールタイプのものであり、その前方及び後方端部にそれぞれ、弾性の環状封止リップ128a及び128bを備える。後方封止要素128の材料は、封止リップ128a、128bに固有の外向きの付勢をもたらす。封止リップ128a、128bは、後方の投薬チャンバ区画120bの内径よりも大きい外径を有し、それにより、封止リップ128a、128bは、後方の投薬チャンバ区画120bの内表面によって内向きに圧縮される。その結果、封止リップ128a、128bの付勢は、それらが後方の投薬チャンバ区画120bの内表面を封止してそれを係合することを意味する。
【0055】
後方封止要素128はさらに、管状体128cを備え、そこに封止リップ128a、128bが従属し、またそこに、後方封止要素128の内周ビード128dをピストン部材114の中央区画114cの陥凹部分114wに係合することによって、ピストン部材の中央区画114cの外表面が適合する。管状体128cは、ピストン部材114に適合させたとき、ピストン部材114の中央区画114cの軸方向範囲のほぼ全体をカバーするような長さを有する。さらに、封止要素128の後方端部はピストン部材114の後方区画114bの前方端部を支え、その結果として、円周ビード128が陥凹部分114wの前方端部に配設されることが、図3Bから分かる。この配置は、ピストン部材114上における後方封止要素128の相対的な軸方向移動を防ぐか、又はほぼ防ぐものである。
【0056】
次に図7A及び7Bをさらに参照すると、ピストン部材114はさらに、その前方区画114aに管状の前方封止要素148を持って、ピストン部材114と投薬チャンバ120の前方区画120aとの間に動的(滑り)シールを形成するが、ただしこれは、より詳細に後述するように、ピストン部材の摺動の特定段階の間のみである。
【0057】
前方封止要素148もリップシールタイプのものであるが、この場合は、その前方端部にのみ弾性の環状封止リップ148aを備える。シールリップ148aの外径は、後方の投薬チャンバ区画120bの内径よりも小さいが、前方の投薬チャンバ区画120aの内径よりも大きい。したがって、前方封止リップ148aは、前方の投薬チャンバ区画120aの内表面を封止してそれと係合するように付勢することができる。
【0058】
図から分かるように、前方封止要素148は、ピストン部材114の前方区画114a上に滑動可能に取り付けられる。より詳細には、前方封止要素148は、封止リップ148aがそこに従属する管状体148bを備え、ピストン部材114の前方区画114aがその中に滑動可能に取り付けられる前方封止要素148を通る軸方向の開放型ボア149を提供する。ボア149は、前方ボア区画149a及び後方ボア区画149bと、拡大した中央チャンバ149cとを備える。前方ボア区画149a及び後方ボア区画149bはそれぞれ、中央チャンバ149cから、前方封止要素148の前方端部148c及び後方端部148dの開口部まで延びる。前方端部148cは、その中の前方ボア開口部と交差する溝148gを備える。中央ボアチャンバ149cは、管状体148bを通る一対の正反対にある窓149fを備える。
【0059】
ピストン部材114の環状フランジ114iは、中央ボアチャンバ149cの内部に位置する。中央ボアチャンバ149cは、横断方向に向いた前方端壁149d及び後方端壁149eを有し、それらは、ピストン部材114の環状フランジ114iを選択的に係合して、ピストン部材114上での前方封止要素148の滑動を画定する。具体的には、ピストン部材114に対する前方封止要素148の最前方位置は、後方端壁149eが環状フランジ114iに当接することによって画定され(例えば、図3Bを参照)、反対に、ピストン部材114に対する前方封止要素148の最後方位置は、前方端壁149dが環状フランジ114iに当接することによって画定される(例えば、図3Cを参照)。
【0060】
前方封止要素のボア149内での前方ピストン部材区画114aの滑動は、一方向弁を形成する。一方向弁は、より詳細に後述するように、前方封止要素148がピストン部材114に対してその最後方位置にあるときは開き、前方封止要素149がピストン部材114に対してその最前方位置に向かって移動すると開く。
【0061】
この目的のため、前方封止要素148がその最後方位置にあるとき、環状フランジ114iが中央ボアチャンバ149cの前方端部149dに接して液密シールを形成することが理解されるだろう。
【0062】
動作の際、ピストン部材114が投薬チャンバ120に対して前方に摺動すると(例えば、図3Cを参照)、環状フランジ114iと中央ボアチャンバ149cの前方端壁149dとの係合によって、前方封止要素148はピストン部材114とともに前方に移動する。したがって、ピストン部材114が前方に摺動する際には、一方向弁は閉じる。前方への摺動によって、また、前方封止要素148が投薬チャンバ120の前方区画120aを滑り封止してそれと係合する。
【0063】
ピストン部材114がその前方への摺動の終わりに、前方封止要素148の前方端部148cと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの当接によって画定されるような、その前方位置に達すると(図3Cを参照)、ピストン部材114は、その後方位置に向かって元に戻る後方への摺動を始める。後方への摺動の初期段階では、ピストン部材114は前方封止要素148に対して後方に移動するので、一方向弁は、後方への摺動するためにその開放位置へと移動される。ピストン部材114の後方への摺動は、ピストン部材114がその後方位置に配設されて終わり、その場合、前方封止要素148は前方の投薬チャンバ区画120aの後方に、すなわち後方の投薬チャンバ区画120b内に、又は、図3Bに示されるように段差120sに配設されるので、前方の投薬チャンバ区画120a及び後方の投薬チャンバ区画120bは前方封止要素148の周りで(例えば、休止位置が段差120sのところであるフルート120dを通して)フロー連通する。
【0064】
したがって、投薬チャンバ120内において、ピストン部材114がその休止位置からその前方位置に向かって前方へと摺動する初期段階では、ピストン部材114は前方封止要素148に対して前方に移動して、一方向弁を(再)閉止する。
【0065】
この実施形態の後方封止要素128及び前方封止要素148は、低密度ポリエチレン(LDPE)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0066】
ピストン部材114を、図1B及び3Bに示される、投薬チャンバ120に対するその前方(休止)位置に付勢するため、戻し圧縮ばね118が流体ディスペンサ110内に設けられる。ばね118は、金属(例えばステンレス鋼、例えば、316若しくは304等級)、又はプラスチック材料から作られてもよい。戻しばね118の復帰力又は付勢力は、休止時には5Nで、圧縮されると8.5Nまで増加してもよい。戻しばね118の付勢力は、主ハウジングの環状フランジ112bに作用して、主ハウジング112を図1B及び3Bに示されるその相対位置まで前方に付勢することによって、ピストン部材114を、主ハウジング112内に画成される投薬チャンバ120に対するその後方位置にリセットするように作用する。
【0067】
図15A及び15Bを参照すると、流体ディスペンサ110は別個の円筒状キャップ165を含む。キャップ165は、カップ状のものであって、キャップ165の後方端部165dのところで開いている内部円筒状チャンバ165cの境界壁を形成する、環状の側面スカート165aと前方端壁165bとを有する。さらに、中央封止先端部の形態のニップル160が、前方端壁165bから前方に突出する。
【0068】
複数のアパーチャ165eがまた、前方端壁165bに封止先端部160の基部の周りで形成されて、内部チャンバ165cと連通する。この実施形態では、三つの等角で間隔が空けられたアパーチャ165eがあるが、その代わりに、三つよりも少数又は多数のアパーチャがあってもよい。
【0069】
内部チャンバ165の内周側面165fは、一対の円周ビード165gを備える。前方端壁165bの外周縁部は弾性の環状封止リップ165hを呈する。
【0070】
この実施形態では、キャップ165はLDPEから形成されるが、やはり他のプラスチック材料を使用することができる。
【0071】
図3B及び3Cに示されるように、例えば、キャップ165は、主ハウジング112の前方ボア区画112fを囲むように、主ハウジング112の前方区画112hの上に取り付けられる。キャップ165は、内部ビード165g及び外部ビード112iが相互にクリップ留めされるか、又は噛み合うことによって、主ハウジング112に固定されるので、主ハウジング112及びキャップ165は同調して移動する。
【0072】
図3B及び3Cにさらに示されるように、弁機構189は、主ハウジング112の前方ボア区画112fに位置する。弁機構189は、前方ボア区画112f内で軸方向に移動するように取り付けられた円筒状の細長い弁要素191を備える。
【0073】
図13A及び13Bに示されるように、弁要素191は、円筒状の前方区画191aと同軸の拡大した後方区画191bとを有する。後方区画191bは、前方部分191cと、主ハウジング112を閉止するようにその制限されたボア区画112eを封止してそれに嵌合するようにサイズ決めされた、切頭円錐状の後方部分191dとを有する。複数の軸方向溝191eは、後方区画191bの外周表面に形成されて、前方部分191cを通って延び、後方部分191dに一部入り込む。
【0074】
図3B及び3Cに戻ると、弁機構189はさらに、キャップ165の前方端壁165bの内表面から、弁要素191の後方区画191bの前方端部にある環状フランジ191f上へと後方に延びる戻し圧縮ばね193を備える。戻しばね193は、弁要素191を後方に付勢するように作用して、制限されたボア部分112eを封止して閉止するため、その中に切頭円錐状の後方部分191dが配設される。
【0075】
この実施形態の弁要素191は、低密度ポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。戻しばね193は、金属(例えば、304若しくは316等級などのステンレス鋼)又はプラスチック材料のものであってもよい。戻しばね193は約0.4Nの復帰力を有してもよい。
【0076】
図1〜3から、流体ディスペンサ110は、ここではボトル(例えば、ガラス製又はプラスチック材料製)である、流体供給源170を有することが理解されるであろう。
【0077】
図3B及び3Cはまた、流体ディスペンサ110が、ボトル170の首部178に適合するキャップ形態の円筒状のストッパー部分176を含むことを示す。この実施形態では、ストッパー部分176はポリプロピレン(PP)から射出成形される。ただし、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0078】
さらに図9A及び9Bを参照すると、ストッパー部分176は、ボトル首部178のフランジ180の外周表面を取り囲む外側環状スカート176aと、ボトル首部178に栓をする同心で配置された内側環状スカート176bとを有する。外側環状スカート176aの内周表面は、ボトル首部178のフランジ180の下方に係合して、ストッパー部分176をボトル170にスナップ嵌め接続するように、円周方向に向いたビード176qを備える。ビード176qは、連続的であるか、又はストッパー部分176の成形を単純化するため(本例のように)セグメント化されてもよい。
【0079】
ストッパー部分176は、その前方端部に、外側スカート176aから内側スカート176bまで半径方向内向きに延びる屋根176cを有する。内側スカート176bは、屋根176cの開口部176eから後方に延びる内部キャビティ176dを囲む。キャビティ176dは、その後方端部に床176fを有し、そこから細長い管状突出部176gが直立する。
【0080】
管状の突出部176gは、開いた後方端部176hと、前方端壁176iと、開いた後方端部176hから前方端壁176iまで前方に延びる内部キャビティ176jと、内部キャビティ176d、176jをフロー連通させる前方端壁176iの前方開口部176kとを有する。
【0081】
図3Bに示されるように、例えば、供給(浸漬)チューブ172(例えば、ポリプロピレン(PP)製)は、締まり嵌めとして管状突出部176gの内部キャビティ176jに入り込み、供給チューブ176が管状突出部176gの前方端壁176iに当接する。同様に、管状突出部176gは、ピストン部材114の後方区画114bの内部キャビティ114fに入り込み、それによって、管状突出部176gの前方端壁176iは内部キャビティ114fの前方面114nに当接する。このように、ピストン部材114のボアネットワーク114jは、供給チューブ172を介して流体供給源170とフロー連通される。供給チューブ172は、流体供給源170の底部近くまで延びるので、ほぼ空になっても依然として通常の使用(すなわち、直立又はほぼ直立)では流体供給源170から流体が送達することができる。
【0082】
ピストン部材114の内部キャビティ114fがその内周表面上に、管状突出部176gの外周表面上に設けられた円周ビード176sがクリップ留めされる、又は噛み合う複数の円周ビード114vを呈することによって、管状突出部176gは、ピストン部材114の内部キャビティ114f内で相対移動しないように固定される。
【0083】
図3Bにさらに示されるように、例えば、主ハウジング112の管状体112aも、相対的な滑動のため、ストッパー部分176の内部キャビティ176d内に取り付けられる。ピストン部材114は管状突出部176gのストッパー部分176上にあるので、ストッパー部分176と主ハウジング112との間の相対的な滑動は、ピストン部材114と投薬チャンバ120との間の相対的な滑動をもたらす。相対的な滑動は、主ハウジング112を移動させ、流体供給源170を静止させて維持することによって、若しくはその逆によって、又は、主ハウジング112及び流体供給源170を同時に移動させることによって達成可能である。
【0084】
例えば、図3Bから、封止リング171は、ストッパー部分176と流体供給源170との間の漏れを防ぐため、その間に挟まれることが分かる。封止リング171は、熱可塑性エラストマー(例えば、SANTOPRENE(登録商標))、エチレン酢酸ビニルゴム(EVA)、ポリテン、又はLDPE外側層の間にLDPEフォームコアが挟まれた低密度ポリエチレン(LDPE)積層体(「TriSeal」の商標名で販売されている)から作られてもよい。
【0085】
流体ディスペンサ110はさらに、主ハウジング112の管状体112aを取り囲む円筒状のキャリア部材195を備える。図12A及び12Bに示されるように、キャリア部材195は、主ハウジング112の管状体112aから半径方向外向きに間隔が空けられた環状体195aを有して、それらの間に環状空間187を画成する。環状体195aは、その後方端部195cに、内向きに突出する環状フランジ195bと、その前方端部195eに、スプライン加工された断面によって画成される舌部195f上に配設される複数の外向きに突出するクリップ195dとを有する。
【0086】
図3Bに示されるように、戻しばね118は、主ハウジングの環状フランジ112bの後方面112jから後方に、キャリア部材195と主ハウジング112との間の環状空間187内へと、且つそれを上で支えるキャリア部材の環状フランジ195b上へと延びる。
【0087】
流体ディスペンサ110の通常の使用では、後述する流体ディスペンサ110の休止位置及び発射後位置の両方において、キャリア部材195はストッパー部分176の屋根176c上に設置される。キャリア部材195のこの通常位置は、図3B(休止)及び3C(発射後)に示される。
【0088】
この実施形態のキャリア部材195もポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料が使用されてもよい。
【0089】
ストッパー部分176を示す図9A及び9Bを再び参照すると、屋根176cは、一対の正反対にある主突起176nと、屋根開口部176eを中心にして等角で配置された一連の小突起176pとを持つ。主突起176nは、使用の際、キャリア部材195が屋根176c上に設置されると、キャリア部材195の外周に作用して、それをストッパー部分176に対して心出しするように適合される。小突起176pは、キャリア部材195の環状フランジ195bの補完的な溝(図示なし)に嵌合して、クリップ195dが後述するノズル116のT字形トラック116g内にクリップ嵌めされるように、キャリア部材195を屋根176c上で正しい向きにする。図31に示されるような変形例では、主突起の一つから半径方向の延長部をそれぞれ形成する二つの小突起のみが設けられてもよい。
【0090】
流体ディスペンサ110はまた、主ハウジング112の前方区画112h上に取り付けられたキャップ165を取り囲む管状のノズル挿入具197を備える。図14A及び14Bは、ノズル挿入具197が中空本体197aを有し、その前方端部197bに端壁197cを有し、そこを通して中央アパーチャ197dが設けられることを示す。本体197aは、前方端壁197cから後方に延び、その後方端部を中心にして、ノズル116の内表面とシールを形成するための外周ビード197pを有する環状区画197eを備える。ノズル挿入具本体197aの後方端部197fは、間隔が空けられ、後方に延びる複数の脚部197gによって示される。この実施形態では四つの脚部197gがある。脚部197gは、本体197aに対して後方の開口部197hを中心にして、本体197a上で円周方向に配置される。各脚部197gは外向きに延びる足197iを備える。
【0091】
ノズル挿入具本体197aはさらに、第1の環状区画197eの後方へと間隔が空けられ、脚部197gがそれに従属する第2の環状区画197jを備える。第1の環状区画197e及び第2の環状区画197jは、本体197aの外周上に配設され、第1の環状区画197eと第2の環状区画197jとの間で対角線の経路上を延びる、間隔が空けられた複数の弾性リブ197kによって相互に接合される。
【0092】
第2の環状区画197jは、一対の正反対にある前方に向いた弾性舌部197lを呈する。舌部197lはリブ197kの間に配設される。
【0093】
前方端壁197cの前方面上には、中央アパーチャ197dを中心にして環状リップ197mが設けられる。前方端壁197cはさらに、そこを通るアパーチャ197nを備える。
【0094】
この実施形態のノズル挿入具197は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、当業者には理解されるように、他のプラスチック材料から作ることができる。
【0095】
図3B及び3Cは、キャップ165の封止先端部160がノズル挿入具197の前方端壁197cの中央アパーチャ197dを通って突出するようにして、ノズル挿入具197がキャップ165を中心にして流体ディスペンサ110内に配置されることを示す。さらに、キャップ165の封止リップ165hは、ノズル挿入具197の第1の環状区画197eの内周表面を滑り封止してそれと係合される。
【0096】
ノズル挿入具197とキャップ165との間に形成される環状空間は流体分配チャンバ146を画成する。
【0097】
図15A〜Bから、キャップ165は、外向きに突出する環状フランジ165iを備えることが分かる。図14A〜B及び図3Bをさらに参照することによって理解されるように、組立て中にキャップ165がノズル挿入具197に挿入されると、フランジ165iは、ノズル挿入具197の弾性舌部197lを押しのけて、ノズル挿入具197の第1の環状区画197eと第2の環状区画197jとの間の空間内で保持される。
【0098】
図3Bは、キャップ165の封止先端部160上に取り付けられるのが封止部材154であることを示す。封止部材154は、封止先端部160を封止してその上に取り付けられ、ノズル挿入具197の前方端壁197c上に設置される。封止部材154の向かい合った長手方向表面と封止先端部160との間に形成されるシールは、流体がそれらの間を通過できないようなものである。
【0099】
封止部材154は、天然ゴム又は熱可塑性エラストマー(TPE)から作られるが、封止部材154をその元の状態に戻す「記憶」を有する他の弾性材料が使用されてもよい。封止部材154は、例えば射出成形EPDM構成要素として、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から作られてもよい。
【0100】
図3A及び4に示されるように、流体ディスペンサ110のこの先端シール配置では、戻しばね118が、ノズル挿入具197と当接するようにキャップ165を付勢して、封止部材154に対する封止先端部160の位置を制御する。より具体的には、キャップ165の前方端壁165bは、ノズル挿入具197の前方端壁197cの後方面と直接係合するように付勢される。これは、当然ながら流体ディスペンサ110の主要な状態である、流体ディスペンサ110の休止状態において、封止先端部160によって過剰な力が加えられないように封止部材154を保護するという利点を有する。
【0101】
図1及び2によって示されるように、ノズル116の一対の後方に向いたランナー116aが、ストッパー部分176の外周上の補完的なトラック176m内に係合することによって、ノズル116はストッパー部分176に滑動可能に接続される。ランナー116aをトラック176m内で固定し、且つノズル116とストッパー部分176との間の最大滑動距離を画定するため、ランナー116aは外向きに延びるクリップ116bを備える。
【0102】
さらに図10A及び10Bに示されるように、ノズル116は、ヒトの鼻孔に挿入するようにサイズ及び形状が決められた、中に流体出口152が形成されたノズル区画116cと、ノズル区画116cの後方端部に、ランナー116aが従属する肩部116dとを有する。
【0103】
ノズル区画116cは、後方開放端部116fを有する内部キャビティ116eを囲む。一対のT字形の切欠き116gが内部キャビティ116eの両側に設けられる。長手方向区画116lはトラックを画成し、その中にキャリア部材195のクリップ195dがクリップ留めされて、キャリア部材195をノズル116に固定するとともに、それらの間の滑動を提供する。
【0104】
さらに、T字形の切欠き116gのクロスバー区画116vの角116nはそれぞれ、ノズル挿入具197の足197iの一つにクリップ留めされて、ノズル挿入具197をノズル116の内部キャビティ内に固着する。これらの接続は図1A〜Cで最も良く分かる。ノズル挿入具197の弾性リブ197kはばねとして作用して、ノズル挿入具197をノズル116に挿入し、次に第2の環状区画197jを圧縮して、足197iがT字形の切欠き116g内で固着されることが可能になる。それにより、ノズル挿入具197はノズル116内で拘束される。さらに、第1の環状区画197aは、ノズルの内部キャビティ116eの隣接した内表面に接して液密シールを形成して、それらの間を液体が漏れることを防ぐ。
【0105】
図11に示されるように、ノズルの内部キャビティ116eの前方端壁116iにスワールチャンバ153が形成される。スワールチャンバ153は、中央の円筒状チャンバ153aと、中央チャンバ153aに対して正接関係でそれを中心にして等間隔を置いた複数の供給チャネル153bとを備える。中央チャンバ153aの中心には、スワールチャンバ153を流体出口152接続する通路153c(出口)がある。供給チャネル153bは、正方形の切れ目であってもよく、また、100〜500ミクロン(包括的)、例えば100〜250ミクロン(包括的)の範囲、例えば、150〜225ミクロン(包括的)の範囲の深さを有してもよい。幅は、深さと同じ、例えば400ミクロンであってもよい。
【0106】
流体が中央チャンバ153aに向かって流れるにしたがってそれを加速させるため、供給チャネル153bは、流体が流れる方向で減少する断面積を備える。
【0107】
図11に示されるように、この例では、供給チャネル153bは、中央チャンバ153aに近付くにしたがって幅が減少する。したがって、減少する断面積は、供給チャネル153bの長さに沿って一定のチャネル深さを維持することによって提供されてもよい。
【0108】
代替例では、チャネル153bの幅は全体を通して均一のままであってもよく、チャネル深さが、供給チャネル153bが中央チャンバ153aに近付くにしたがって減少する。これに関して、供給チャネル153bの深さは、例えば、400ミクロンから225ミクロンまで均一に変化してもよい。
【0109】
また、流体が流れる方向で減少する断面積を提供しながら、供給チャネル153bの幅及び深さが両方ともそれらの長さに沿って変化してもよい。これに関して、供給チャネル153bの長さに沿ったアスペクト(幅:深さ)比は一定に維持されてもよい。
【0110】
好ましくは、供給チャネル153bは、例えば封止部材材料のクリープにより、封止部材154によって妨げられるのを抑制するため、狭い幅のものである。好ましくは、供給チャネル153bは低いアスペクト(幅:深さ)比を有し、すなわち狭く深いものであり、好ましくは、幅は深さよりも小さい(例えば、長方形の断面)。
【0111】
図4から理解されるように、流体がスワールチャンバ153に向かって流れることができるようにするため、封止部材154の側面154dと、ノズル116の内部キャビティ116eの隣接した内側側面との間に間隙が存在する。この流体経路は、代わりに、封止部材154の外側側面及び/又はノズル116の内側側面に長手方向の溝を形成することによって形成することができる。より具体的には、封止部材154とノズル116との間の間隙/流体経路は、アパーチャ197nを介して、また任意に、封止部材154とノズル挿入具197の前方開口部197dとの間の間隙を介して、スワールチャンバ153の供給チャネル153bをチャンバ146とフロー連通させる。
【0112】
しかし、図4で最も明白に示されるように、可撓性の封止部材154の前方面154cは、ノズル挿入具197によって、ノズル116の前方端壁116iと封止係合されて保持される。つまり、封止部材154はスワールチャンバの供給チャネル153bの上を封止し、封止部材154の側面154dとノズル116の内部キャビティ116eの隣接した表面との間の間隙を進んでくるあらゆる液体はスワールチャンバの供給チャネル153bに入り、そこからスワールチャンバ153の中央チャンバ153aに入らなければならない。
【0113】
さらに、戻しばね118は、主ハウジング112をノズル116内で前方に付勢するように作用し、それによって、主ハウジング112の前方区画112h上に固着されたキャップ165上の封止先端部160は、封止部材154の前方面154cの中央部をスワールチャンバ153の中央チャンバ153aに押し込んで、流体出口152への通路153cを封止して閉止する。このようにして、封止先端部160がより詳細に後述する弾性封止部材154の中央部を解放するまで、流体は、流体出口152、より具体的にはスワールチャンバ153に入ることもそこから出ることもできない。
【0114】
変形例では、スワールチャンバ153の中央チャンバ153aの真直ぐな壁は、封止部材154の中央部をその中に押し込むのを容易にするため、面取りされてもよい。これは、面取りされた表面が参照番号153dによって表される図17に示される。
【0115】
この実施形態のノズル116は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0116】
流体ディスペンサ110を動作させるため、最初に、流体ディスペンサ110に呼び水を入れて、流体出口152と流体供給源170との間の流体経路全体を充填する必要がある。呼び水を入れるため、流体ディスペンサ110は、後の分配動作とまったく同じやり方で操作される。図1B〜C及び3B〜Cに示されるように、これは、(i)ノズル116若しくは流体供給源170の一方を固定して保ちながら他方に作用して、又は両方に作用して、流体ディスペンサをその休止位置(図1B及び3B)からその発射後位置(図1C及び3C)に移動させることによって、ノズル116を流体供給源170に向かって相対的に滑動させ、(ii)戻しばね118によって、ノズル116を流体供給源170に対するその分離位置に戻して、流体ディスペンサ110をその休止位置に戻すことによって行われる。ノズル116及び流体供給源170の相対的な滑動は、ノズル116のランナー116aが、流体供給源170の首部178に固着されたストッパー部分176のトラック176m内で滑動することによってもたらされる。
【0117】
ディスペンサ110の呼び水入れとそれに続く分配とをもたらす、ノズル116と流体供給源170との間の相対移動は、実際には、ノズル116及びそれに組み合わされた構成要素(ノズル挿入具197、キャップ165、及び主ハウジング112を含む「ノズルアセンブリ」)と、流体供給源170及びそれに組み合わされた構成要素(ストッパー部分176及びピストン部材114を含む「ボトルアセンブリ」)との間の相対移動であることが理解されるであろう。戻しばね118は、ノズルアセンブリを付勢してボトルアセンブリから離し、したがって、ピストン部材114を、主ハウジング112内の投薬チャンバ120内のその後方休止位置に付勢する。
【0118】
図16A〜16Jは、呼び水入れプロセスと、呼び水入れの間の液体の流れとを示すが、図1〜15の流体ディスペンサ110のわずかな変形例(ただし、機能的には等価)である流体ディスペンサ310については、同様の機能には同様の参照番号が割り当てられている。流体ディスペンサ110についての記載の後に、図16A〜16Jの流体ディスペンサ310についてより詳細に考察するが、図16A〜16Jは、以下の流体ディスペンサ110の呼び水入れについての詳細な記載に対する有用な参照である。
【0119】
ノズル116と流体供給源170との間の上述した滑動(「給送サイクル」)の完全な(往復)サイクルはそれぞれ、投薬チャンバ120内に、流体供給源170からの液体を供給チューブ172まで引き上げる負圧を作り出す段階を含み、この循環運動は、以下により詳細に記載するように、流体供給源170から流体出口152までの流体経路全体が液体で充填されるまで継続する。
【0120】
より詳細には、液体は、供給チューブ172を通って前方に流れ、ピストン部材114の後方開口部114mを通してそのボアネットワーク114jに入り、ボアネットワーク114jの前方開口部114qから出て、ピストン部材114の外周にある軸方向溝114rを通して投薬チャンバ120の後方区画120bに入る(図16A〜16Cを参照)。
【0121】
上述したように、ノズル116及び流体供給源170がそれぞれ、主ハウジング112及びピストン部材114を支えている結果として、ノズル116及び流体供給源170の相対移動の各往復サイクルによって、ピストン部材114が、それに対応して往復する形で、主ハウジング112によって画成される投薬チャンバ120内部で後方(休止)位置から摺動する。
【0122】
ピストン部材114が、各サイクルの後半においてその前方位置からその後方の休止位置に戻ると、投薬チャンバ120内に負圧が作り出されて、液体がさらに前方に流れる。さらに、上述したように、ピストン部材114が前方封止要素148に対して後方に移動して、一方向弁を開き、その結果、液体が前方に流れて、一方向弁を介して前方の投薬チャンバ区画120aに流れ込むことが可能になる(図16D〜16Gを参照)。リップシール148aと投薬チャンバ壁との間の摩擦力は、前方封止要素148がピストン部材114の上に嵌まり込む助けとなる。
【0123】
具体的には、ピストン部材114の環状フランジ114iが、前方封止要素148のボア149の中央ボア区画149cの前方端壁149dから係脱すると、一方向弁の後方にある液体が、前方封止要素148の窓149fを通してピストン部材114のフランジ114iの周りを流れ、ピストン部材114の先端部114uの上を流れ、前方封止要素148の前方ボア区画149aを通って、投薬チャンバ120の前方区画120aに流れ込むことができる。
【0124】
流体ディスペンサを十分な給送サイクルで呼び水入れすることによって、投薬チャンバ120(前方区画120aを含む)が液体で充填されると(図16Gを参照)、その後、各サイクルによって、同量(計量体積)の液体が投薬チャンバ120から主ハウジング112の制限されたボア区画112eを通って前方に給送される(図16Gと16Hを比較されたい)。
【0125】
より詳細には、ピストン部材114が投薬チャンバ120内の前方位置へと前方に摺動する際、前方封止要素148が前方の投薬チャンバ区画120aの内表面と封止係合するようになるまで、前方ボア区画112fの弁機構189は、制限されたボア区画112eを閉じたまま保つ。これは、前方封止要素148が滑動して前方の投薬チャンバ区画120aと封止係合して、前方の投薬チャンバ区画120aと後方の投薬チャンバ区画120bとを封止して分離するのに先立って、弁戻しばね193の付勢力を、ピストン部材114の前方への摺動の初期(第1)段階において生じる液体の水圧が超えないためである。
【0126】
この第1段階は「抜取り段階」と呼ばれてもよいが、その理由として、この段階によって、ピストン部材114が前方封止要素148を前方の投薬チャンバ120a内に位置させるまで(すなわち、それにより、それらの間には流れがまったくなくなって、ピストン部材114上の前方封止要素148によって画成される一方向弁がピストン114の前方への摺動によって再閉止されることが想起される)、液体が投薬チャンバ120から流体供給源170内へと後方に給送される(すなわち、抜き取られる)ためである。抜取りフローは、投薬チャンバ120の段差120sに少なくとも一つの軸方向フルート120dを設けることによって支援される。
【0127】
前方封止要素148が前方の投薬チャンバ120a内に位置すると、前方の投薬チャンバ120a及びそれを充填する液体の計量体積が封止される。フルート120dはもう前方の投薬チャンバ区画120a内への流体流路を提供しなくなるが、それは、前方封止要素148がフルート120dの前方端部に、又はその前方にあり、チャンバ区画120aの内壁と封止係合しているためである。
【0128】
ピストン部材114の連続的な前方への摺動の次の(第2)段階では、ピストン部材114は、主ハウジング112の環状肩部112dによって示される前方の投薬チャンバ区画120aの前方端壁120cに向かって相対的に移動するにつれて、前方の投薬チャンバ区画120a内の液体の水圧を増加させる。ほぼ瞬間的であり得るピストン部材114の前方への摺動の第2段階におけるある時点において、前方の投薬チャンバ区画120a内の液体の水圧は、弁機構189の戻しばね193の付勢力よりも大きいレベルであり、それによって、図16Hに示されるように、弁要素191と制限されたボア区画112e(「弁座」として機能する)との封止係合が外れる。これは、ピストン部材114の連続的な前方への摺動の最終(第3)段階の始まりであり、この段階は、ピストン部材114が、前方封止要素148の前方端部148cと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの当接によって画定される、その前方位置に達すると終わる。この最終段階では、前方の投薬チャンバ区画120a内の計量体積の液体が、制限されたボア区画112eを介して分配されて、弁部材191の溝191eに沿って主ハウジング112の前方ボア区画112f内へと運ばれ、その後、弁機構189は、弁部材191を制限されたボア区画112eと封止係合するように戻す戻しばね193によって再閉止される。
【0129】
弁機構189は、この最終(第3)段階でのみ開き、他のすべての時は閉じたままである。
【0130】
第2及び第3段階は、総合して「分配段階」と見なすことができる。
【0131】
戻しばね118によって駆動される、投薬チャンバ120内でピストン部材114が後方へと戻り摺動する初期(第1)段階では、ピストン部材114は、投薬チャンバ120に対してだけではなく、前方封止要素148に対しても後方に移動するので、前述したように一方向弁が開く。さらに、後方へと移動しているピストン部材114の前にある前方の投薬チャンバ区画120a内に形成される頭隙において、負圧(又は真空)が発生する。
【0132】
この負圧によって、より多量の液体が流体供給源170から引き出され、前方封止要素148が前方の投薬チャンバ120aから係脱して段差120sに入るまで、開いた一方向弁を介して前方の投薬チャンバ区画120aに引き込まれる(図16Iを参照)。戻り摺動(return stroke)の初期段階において開く一方向弁をピストン114上に設けることによって、それがなければ戻り摺動を阻止又は抑制する可能性があるあらゆる流体固着がピストン部材114の前に生じることが回避される。
【0133】
ピストン部材114の後方への摺動の最終(第2)段階では、ピストン部材114は、前方封止要素148が段差120sに配設されている中間位置からその後方位置に移動する。この最終段階では、後方の投薬チャンバ区画120bから、開いた一方向弁を通すことに加えて、前方封止要素148の外側を通して、前方の投薬チャンバ区画120a内へと液体を直接引き込むことができる。前方封止要素148が段差120s内で後方に移動しているとき、液体はフルート120dを通してその周りを流れる。付随的に、前方封止要素148が前方区画120aに向かって段差120s内で前方に移動しているとき、前方の投薬チャンバ区画120aから後方の投薬チャンバ区画120bへの液体の抜取りはフルート120dを通る。
【0134】
後方への戻り摺動の終わりには、投薬チャンバ120は液体で充填される。換言すれば、後方封止要素128の前方リップシール128aと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの間の体積が充填される。したがって、戻り摺動は「充填段階」と呼ばれてもよい。
【0135】
したがって、ノズルアセンブリとボトルアセンブリとの間の往復移動によってもたらされる、投薬チャンバ120内におけるピストン部材114の移動の各サイクルは、抜取り段階、分配段階、及び充填段階を含む。
【0136】
ピストン部材114の移動の後続の各サイクルにおいて、前方への摺動により、液体の別の計量体積が前方の投薬チャンバ区画120aに捕捉され、次に制限されたボア区画112eを介して放出され、一方後方への摺動により、液体が流体供給源170から引き出されて、投薬チャンバ120が充填される。
【0137】
呼び水入れの間、そのような後続の給送サイクルは、液体が投薬チャンバ120から流体出口152までの流体流路を充填するまで続く(図16Iを参照)。これに関して、制限されたボア区画112eを通過する液体は、主ハウジング112の前方ボア区画112fを通り、主ハウジング112の前方端部の上に取り付けられたキャップ165の前方端壁165bのアパーチャ165eを通って流体分配チャンバ146に流れ込み、キャップ165を囲むようにノズル116の内部に嵌合したノズル挿入具197のアパーチャ197nを通過することによって、封止部材154の周りの空間に流れ込み、そこから、供給チャネル153bを通ってスワールチャンバ153に流れ込む。
【0138】
流体供給源170から流体出口152までの流体流路を液体が充填すると、次の給送サイクルにおける投薬チャンバ120に対するピストン部材114の前方への摺動によって、別の計量体積の液体が制限されたボア区画112eを介して給送され、それにより、制限されたボア区画112eの下流で待機している液体が加圧される。流体分配チャンバ146内のこの圧力によって、ノズル挿入具197内のキャップ165(及び主ハウジング112)が戻しばね118の復帰力に対抗して後方へと滑動し、それにより、封止先端部160が封止部材154を封止してその中を後方に滑動する。これは、流体分配チャンバ146を境界付ける(また、したがって、加圧流体がそこに作用する)封止キャップ165の表面積が、ノズル挿入具197の表面積よりも大きいためである。
【0139】
その結果、封止部材154の弾性によって、封止部材154の前方面154cの中央部が平らになり、その元の状態に戻って、スワールチャンバ153の中央チャンバ153a及び通路153cを開く(図3Cを参照)。その結果として、計量体積の液体は、霧化するためにスワールチャンバ153を通って流体出口を介して給送されて、その前方への摺動において制限されたボア区画112eを介して給送される計量体積のための空間が作られる(図16Jを参照)。
【0140】
封止先端部160の向かい合った長手方向側部と封止部材154との間の動的シールによって、封止先端部160が中に配設され、封止先端部160によって解放されたときに封止部材154の前方面154cの中央部に対抗してそれを元の状態に戻すように作用する封止部材キャビティ154e(図4)に、水圧下にある液体が入ることが防止される。
【0141】
戻しばね118の復帰力は、復帰力が流体分配チャンバ146内の水圧よりも大きくなって、封止先端部160が封止部材154を撓ませて流体出口152を(再)閉止すると、主ハウジング112及び封止キャップ165を、ノズル挿入具197内のその通常の休止位置へと(前方に)戻す。
【0142】
このように、封止部材154は、分配(すなわち、流体ディスペンサ110が発射される)の間のみ開くので、ディスペンサ110外部の汚染物質が流体出口152を介して入り込むことによって、流体ディスペンサ110内部の液体が汚染されないように保護する。
【0143】
同じ給送サイクルの後方への摺動によって、液体が液体供給源170から引き出されて投薬チャンバ120が再充填され、次の給送サイクルの準備ができる。
【0144】
ここでディスペンサは十分に呼び水入れされており、その後の各給送サイクルによって、流体供給源170が空になるまで、一定の計量体積の液体が流体出口152から給送される。
【0145】
流体ディスペンサ110の構成は、制限されたボア区画112eが、前方への摺動の分配段階以外は弁機構189によって密閉されているため、投薬チャンバ120と流体出口152との間の経路に待機している液体の逆流がまったく、又はほとんどないようなものであることが理解されるであろう。したがって、ディスペンサの呼び水入れを再度行う必要が回避されるか、又は大幅に軽減される。さらに、封止部材154及び封止先端部160によって形成される先端封止配置と弁機構189とによって、充填段階において投薬チャンバ120内に作り出される負圧(例えば、真空)によって、周囲空気が流体出口152を介して流体ディスペンサ110に引き込まれることが防止されるか、又はほぼ防止される。
【0146】
また、流体ディスペンサ110の呼び水入れの間、液体に関して上述したのと同じ機構によって、液体の上にある頭隙内の空気(及び他のあらゆる気体)は流体出口152から押し出されることに注目すべきである。
【0147】
上述したように、キャップ165の前方端壁165bとノズル挿入具197の端壁197cの後方面との係合は、ノズル挿入具197を介して封止部材154の後方面上に突出する可能性がある封止先端部160の長さを限定する。このようにして、封止先端部160によって封止部材154に加えられる応力が制御され、したがって、ディスペンサ110の寿命全体にわたる封止部材154のクリープも制御される。その結果として、この配置では、封止部材154がスワールチャンバの供給チャネル153b内へとクリープして、その中に恒久的な妨げが生じる可能性が低くなるとともに、上述したように、流体ディスペンサ110の使用の際、封止先端部160が後方に移動すると流体出口152が開くように、封止部材154が依存している弾性/形状記憶性が失われる可能性が低くなる。
【0148】
さらに、封止キャップ165とノズル挿入具197との上述の係合によって、ノズル116内における主ハウジング112の最前方位置が画定されるが、ノズル挿入具の足197iがT字形の切欠き116gに係合していることによって、ノズル挿入具197はノズル116内の定位置に固着されることに留意すべきである。ノズル116内における主ハウジング112のこの最前方位置は、戻しばね118の作用の結果として、その通常の休止位置である。主ハウジング112は、流体ディスペンサ110の動作サイクルの分配段階において、流体分配チャンバ146内の流体が加圧されているときにのみ、この休止位置から後方に移動する。ノズル116内における主ハウジング112の休止位置のこの固定によって、投薬チャンバ120からの信頼性の高い計量のため、分配段階でピストン部材114が投薬チャンバ120の前方端壁120cに当接することができることが確保されるが、主ハウジング112がノズル116内で「浮遊」しており、中でさらに前方に移動させることができた場合、ピストン部材114は、ピストン部材114の前方への摺動の終わりに、ストッパー部分176の屋根176cとノズル116の後方端部116fとの係合によって画定される、投薬チャンバの前方端壁120cから後方に間隔が空けられることに留意すべきである。
【0149】
また、封止キャップ165とノズル挿入具197との相互係合によって、ピストン部材114が投薬チャンバ120の前方端壁120cに接触したとき、ピストン部材114が封止先端部160をさらに封止部材154に押し込む可能性も防止されることが理解されるであろう。
【0150】
図1A及び3Aは、ノズル116(及びその付随構成要素)が、図1B及び3Bに示される休止位置よりもボトル170からさらに間隔が空けられた、開放(完全拡張)位置にある流体ディスペンサ110を示す。より具体的には、休止位置では、キャリア部材195は、ストッパー部分176の屋根176c上に、又はそれに近接して載置されるが、開放位置では、キャリア部材195はストッパー部分の屋根176cから間隔が空けられる。開放位置では、ノズル116のランナー116a上のクリップ116bは、図3Aに示されるように、ストッパー部分176上にトラック176mに対して最前方位置にある。対照的に、休止位置では、クリップ116bは、図3Bにも示されるように、最前方位置の後方へと間隔が空けられる。ノズル116及びボトル170が通常の休止位置からさらに分離することができるので、流体ディスペンサは、落下したり衝撃を受けた場合の破損から保護される。
【0151】
流体ディスペンサ110は、キャリア部材195がストッパー部分176から分離されることによって、開放位置に適合することができることが理解されるであろう。図1Bは、休止位置にあるとき、キャリア部材195のクリップ195dがT字形のトラック116gの後方端部に位置付けられることを示す。キャリア部材195をノズル116とともにボトル170に対して前方に運ぶことが可能であることによってのみ、ボトル170に対してノズル116を前方に移動させることができる。
【0152】
以下、流体ディスペンサ110に使用することができる代替の封止配置について記載する。図1〜15の封止配置と同様の部分及び特徴を示すため、同様の参照番号を使用する。
【0153】
図18及び19A〜Bには、流体ディスペンサ110に使用することができる第1の代替の先端封止配置が示される。図18において、封止部材154'及びノズル挿入具197'は、図1〜15の流体ディスペンサ110における相当物とは異なる形状のものであるが、それら相当物と同様に機能する。しかし、ここでは、キャップ165の前方端壁165bは、戻しばね118が封止部材154'の後方面154b'と直接接触することによって付勢される。これは、長くなった封止部材154'が通過して封止キャップ165と接触できるようにするため、図1〜15の封止部材154を支持するノズル挿入具197'の中央アパーチャ197d'の段差又は肩部を除去したことによるものである。ノズル挿入具197'及び封止部材154'は、図1〜15の流体ディスペンサ110について記載したのと同じ材料のものである。
【0154】
図20には、第1の代替の先端封止配置と類似点を有する、流体ディスペンサ110に使用することができる第2の代替の先端封止配置が示される。この第2の代替例では、封止部材154"及びノズル挿入具197"は、図18及び19A〜Bの第1の代替案における相当物とは異なる形状のものであるが、それら相当物と同様に機能し、また同じ材料から作られる。
【0155】
図21には、流体ディスペンサ110のための異なるタイプの封止配置が示され、図22〜25は、この封止配置の構成要素を示す。
【0156】
弾性封止部材154の代わりに、プラスチック材料から作られた環状のバッキングプレート254(図23A〜B)が設けられる。この実施形態では、バッキングプレートはポリプロピレン(PP)から射出成形される。バッキングプレート254の前方面254cは、スワールチャンバの供給チャネル153bを封止するように、ノズル116の前方端壁116iと封止係合した変形例のノズル挿入具297(図24A〜B)によって保持され、それによって、バッキングプレート254の側面254dとノズル116との間の間隙を上がってくるあらゆる液体がスワールチャンバの供給チャネル153bに入り込まなければならなくなる。長手方向の溝又はフルート254yが、プレート254とノズル116との間の流体流路としてプレートの側面254dに設けられることが分かるであろう。
【0157】
封止ピン255(図22A〜B)は、封止ピン255の前方封止区画255aがバッキングプレート254の貫通孔254nを介して、スワールチャンバ153の中央チャンバ153a内に突出して、通路153cを封止して閉止するように、ノズル挿入具297上に載置される。したがって、封止ピン255は弾性封止部材154と同様に機能する。
【0158】
図21に示されるように、封止ピン255は、断面が先細状の拡大された後方端部255bを有し、それは、変形例のキャップ265(図25A〜B)の前方端壁265bの貫通孔265n内で拘束されるので、封止ピン255は、キャップ265が固着される主ハウジング112と調和して移動する。
【0159】
したがって、戻しばね118は主ハウジング112に作用して、封止ピン255をスワールチャンバの通路153cの上に封止係合するように付勢することが理解されるであろう。さらに、投薬チャンバ120内でピストン部材114が前方へと摺動する分配段階中、流体分配チャンバ146内に生じる水圧によって、キャップ265は戻しばねの力に対抗して後方に移動し、その際に、封止ピン255が後方に移動して、スワールチャンバの通路153cを開き、計量体積の液体が放出される。
【0160】
封止ピン255は、前方環状フランジ255c及び後方環状フランジ255dを備えることが分かるであろう。後方フランジ255dは、キャップの貫通孔265nへの封止ピン255の挿入を画定する。前方フランジ255cは、バッキングプレート254の後方面に接して封止する。
【0161】
さらに、主ハウジング112内の弁機構189の弁要素191は、封止ピン255を収容するような短縮された長さを備えることが分かるであろう。
【0162】
この実施形態の封止ピン255は、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0163】
変形例のキャップ265及び変形例のノズル挿入具297は、図1〜15の流体ディスペンサ110の対応する部品について記載したのと同じ材料から作られる。変形例のノズル挿入具297はまた、他の図示されるノズル挿入具197、197'、197'Iと同様に、スプライン加工された前方端壁297cを有してもよい。
【0164】
図21〜25の配置は、次に、封止ピン255がキャップ265の一部として一体的に形成(例えば、成形)されるように変形することができる。その結果、後方環状フランジ255d及び/又は後方端部255bは省略されてもよい。それに加えて、又はその代わりに、前方環状フランジ255cが省略されてもよく、また、ピン255又は封止部材254の内周表面が、それらの間を封止するリップシールを備えてもよい。この後者の選択肢は、図21の先端封止配置の別の独立した改良例として使用することができる(すなわち、ピン255が、別の方法として図21に示されるようなキャップ265とは別個の構成要素であるとき)。
【0165】
次に、図16A〜Jに示される流体ディスペンサ310を参照すると、これは、図1〜15の流体ディスペンサ110と同じように機能する。封止先端部360、封止部材354、前方封止要素328、及びストッパー部分376は、流体ディスペンサ110の対応する構成要素とはわずかに異なる構造のものである。より具体的には、先端封止配置は、図20を参照して記載した代替タイプのものである。ただし、最も注目すべきは、流体ディスペンサ310内に戻しばね318のためのキャリア部材がないことである。図16Aから、環状の保持壁376tがストッパー部分376の屋根376cから前方に突出していることが分かるであろう(図31も参照)。図16Aにさらに示されるように、戻しばね318は、ストッパー部分の屋根376c上で支えられ、環状の保持壁376tと主ハウジング312との間に形成された環状の間隙を介して主ハウジング312の環状フランジ312bまで前方に延びる。また、落下するか別の形で衝撃を受けた場合の損傷に対する保護を改善するため、流体ディスペンサ110のように、流体ディスペンサ310は開放位置を有さないことが理解されるであろう。
【0166】
図26は、二つの顕著な点以外は図1〜15の流体ディスペンサ110に対応する、さらなる流体ディスペンサ410に示す。第1に、先端封止配置は、図18及び19A〜Bを参照して記載した代替のタイプのものであるが、本明細書に記載する他のもののいずれかを使用することもできる。第2に、変形例の前方封止要素448はピストン414上に固着される。この実施形態の前方封止要素448は、ピストン414上で移動しないように固着され、流体ディスペンサ110のように、流体が後方側から前方側へそこを介して流れる貫通チャネルは設けられない。変形例の前方封止要素448は、ピストン414がその前方位置へと前方に摺動する際は、流体ディスペンサ110の前方封止要素148と同様に機能し、すなわち、計量用量の流体が弁489を介して給送されるように、前方リップシール448aは前方の投薬チャンバ区画420aに接して滑動して封止する。しかし、ピストン414がその後方位置へと後方に戻り摺動する際、前方封止要素448の弾性の前方リップシール448aの両端間に生じる圧力差によって、前方リップシール448aが内向きに屈曲又は変形して、その周りに環状空間が作られて、投薬チャンバ420内の流体が前方リップシール448aを超えて前方に流れ、後退するピストン414の前にある前方の投薬チャンバ区画420aに流れ込む。
【0167】
したがって、前方リップシール448aの弾性によって、前方封止要素448が戻り摺動の初期段階において開く一方向弁として機能できるようになり、それによって、それがなければ戻り摺動を阻止又は抑制する可能性があるあらゆる流体固着がピストン部材414の前に生じることが回避される。
【0168】
意図せずに空気が投薬チャンバ420の前方区画420a内に、例えばリップシール448aの後ろにある前方封止要素448内の環状空間内に捕捉された場合、ピストン部材414が後方へと戻り摺動する間、リップシール448aは、前方の投薬チャンバ区画420aの壁を封止してそれと滑り接触したままであってもよく、上述の空気が存在することによって流体固着は生じない。換言すれば、リップシール448aは撓まない。リップシール448aが段差420sに入り込むと、流体は、圧力差によって、例えば少なくとも一つの軸方向フルート420dを介して、前方の投薬区画420aに引き込まれる。
【0169】
しかし、前方リップシール448aが一方向弁として作用するように、投薬チャンバの前方区画420aには、まったく又はほとんど空気が捕捉されないことが好ましい。
【0170】
ディスペンサ410の休止位置では、前方リップシール448aは、軸方向フルート420dが画成される投薬チャンバ壁の区画と接触している(図3Bを参照)。しかし、ディスペンサ410は、休止時に、前方リップシール448aがフルート(一つ又は複数)420dの後方に間隔が空けられて、投薬チャンバ壁から間隔が空けられるように適合されてもよい。
【0171】
図27は、図26の流体ディスペンサ410と同じように機能する、別の代替の流体ディスペンサ510を示す。類似の機能は類似の参照番号によって示し、違いについて以下に説明する。
【0172】
第1に、図28にも示されるように、前方封止要素548は、その後方端部548dにおいて張り出したわずかに異なる形状を有し、その外周表面に、後方端部548dから前方に延びる少なくとも一つの軸方向溝又はフルート548mを備える。張り出した後方端部548dは、主ハウジング512が、流体ディスペンサ510を組み立てる際にピストン部材514の上を相対的に後方に移動するとき、後方封止要素528の前方リップシール528aに当たるのを防ぐ。これに関して、後方封止要素528の前方リップシール528aは丸み付けられたリップ(図示なし)を備える。前方封止要素548の後方端部548dの外径は、少なくとも後方封止要素528の前方リップシール528aの内径と同じである。したがって、主ハウジング512が組立ての際にピストン部材514の上を相対的に後方へと滑動するとき、前方封止要素548の後方端部548dは、主ハウジング512の後方端部を後方封止要素528の前方リップシール528aの丸み付けられた表面上へと案内し、それが次に、主ハウジング512の後方端部をその上で滑動するように案内する。
【0173】
後方リップシール528bも丸み付けられたリップを備えて、対称的な後方封止要素528を形成してもよく、それが、組立てを単純化するため逆にピストン部材114上に取り付けられてもよい。或いは、前方リップシール528aのみが丸み付けられたリップを有し、後方リップシール528aは、例えば四角い切断部であってもよい。
【0174】
前方封止要素548の後方端部548dは、上述した実施形態よりも小さいものの、図27に示されるように投薬チャンバ520の内周表面からやはり間隔が空けられているが、軸方向フルート548mは、投薬チャンバ520内でピストン部材514が移動する際の、前方封止要素548の後方端部548dの周りの流体フローに対する抵抗を減少させる。
【0175】
これらの構造的な違いに関わらず、後方封止要素528及び前方封止要素548は、図26の流体ディスペンサ410におけるそれらの相当物と同じように機能する。
【0176】
第2に、ストッパー部分576は一連の小突起576pを有するが、それらは、流体ディスペンサ410の小さな屋根上の突起(図9A及び9Bを参照)とは異なり、屋根開口部576eの延長部を形成し、流体ディスペンサ510の組立ての際に主ハウジング512を屋根開口部576e内へと案内する先細の引込み表面576uを有する。
【0177】
第3に、戻しばね518のためのキャリア部材595は、環状体595aの後方端部に一連の半径方向内向きに向いた突起595hを有し、それらは、ストッパー部分の小突起576pと嵌合して、キャリア部材512がストッパー部分576に対して回転するのを防ぐとともに、図1〜15の流体ディスペンサ110について上述したように、クリップ(図示なし)がノズル516のT字形のトラック(図示なし)にクリップ留めされるように、キャリア部材595を正しい角度方向で見当合わせする。便利には、キャリア部材の突起595hの数はストッパー部分の小突起576pの2倍であり、キャリア部材の突起595hは対にして配置される。キャリア部材の突起595hの各対は、ストッパー部分の小突起576pの一つの反対側に位置する。図示されるように、戻しばね518はキャリア部材の突起595hの上で支持される。
【0178】
キャリア部材595はさらに、その後方端部において環状体595aから半径方向外向きに延びる、一対の正反対にあるアーム595jを有する。
【0179】
第4に、ノズル597の前方端壁597cは、特に流体分配チャンバ546内において、ディスペンサ510内の死空間を低減するため、わずかに異なる幾何学形状を有する。
【0180】
第5に、少なくとも一つの軸方向フルート520dは、図26のものとは異なる(したがって、図1〜15及び16のものに対応する)幾何学形状を有する。この実施形態では、少なくとも一つのフルート520dは、ディスペンサ510が休止しているとき、前方リップシール548aが少なくとも一つのフルート520dに隣接して、ただしそこから間隔が空けられて位置するように配置され、すなわち、リップシール548aが投薬チャンバ520内でその休止した後方位置にあるとき、その周りに環状の空間がある。このようにして、前方リップシール548aが少なくとも一つのフルート520d内へとクリープする可能性が回避される。
【0181】
この実施形態では、少なくとも一つのフルート520dの側縁部は、上述の実施形態のように段状になるのではなく、長手方向軸に対して角度を成す。少なくとも一つのフルート520dの側縁部は、長手方向軸に対して、例えば8°〜12°、例えば10°の鋭角を形成してもよく、ピストン部材514の前方への摺動の際に、前方の投薬チャンバ区画520a内への前方リップシール548aの移動を案内する引込み表面を提供する。少なくとも一つのフルート520dの床は、長手方向軸に対して、例えば15°〜25°、例えば20°のより急な鋭角を形成してもよい。
【0182】
図29は、流体ディスペンサ510の代替の先端封止配置を示す。図1〜15のディスペンサ110と同様に、キャップ565の封止先端部560が封止部材554を圧迫する程度は、前方端壁565bとノズル挿入具597の端壁597cの後方面との相互係合によって制御される。
【0183】
この実施形態の封止先端部560は、中に陥凹部560a'を設けることによって凹面形態を有することが分かるであろう。封止部材554は、その後方面上に陥凹部560a'に嵌合する後方隆起554s'を備えて形成(例えば、成形)される。さらに、封止部材554は、その前方面上に流体出口552を閉止する前方隆起554t'を備えて形成(例えば、成形)される。流体ディスペンサ510がその通常の休止状態にあるとき、前方隆起554t'は、封止先端部560によって後方隆起554s'に加えられる力によって、流体出口通路553cに押し付けられてそれを封止する。しかし、ピストン部材514が一方向弁(図27の589を参照)を介して計量体積の流体を給送するにつれて、流体分配チャンバ546内に生じる液圧の増加によって、封止キャップ560が後方に押し付けられると、その結果、後方隆起554s'に加えられる力は解放されて、前方隆起554t'が後方に弛緩し、流体出口通路553cが開く。実際には、通常の休止位置では、封止先端部560は後方隆起554s'を圧縮し、その際に、前方隆起554t'が外向きに押される。封止先端部560が後方に移動すると、封止部材554が作られる材料(例えば、EPDMなどの熱可塑性エラストマー)の固有の付勢によって、隆起554s'、554t'は両方ともそれらの休止状態に向かって後ろに移動することができ、その結果、封止部材554と流体出口通路553cとの間に空間が形成され、それにより、計量体積の流体を、スワールチャンバ553を介して霧化した噴霧として流体出口552から給送することができる。
【0184】
図示しないが、さらに別の代替の先端封止配置では、後方隆起554s'は省略されてもよく、封止先端部560が、流体出口通路553cと封止係合するように前方隆起554t'を外向きに押すのに使用される。封止先端部560は、この場合も、図1〜26の流体ディスペンサの場合のように、凸面の自由端を有するように変形されてもよい。
【0185】
封止部材554に前方隆起554t'を使用するこれらの配置は、先端の力を流体出口通路553cの封止が必要な封止部材554の中心に集中させ、スワールチャンバの供給チャネルの上で封止部材554に加えられる先端の力を低減させ、それによって、これらのチャネルが閉塞される(例えば、封止部材554のクリープによって)傾向が低減される。
【0186】
図30A及び30Bには、上述の流体ディスペンサに使用される変形例のストッパー部分676が示される。このストッパー部分676は、図9A及び9Bのものに密接に対応するが、主突起676nの一つから半径方向の延長部をそれぞれ形成する二つのみの小突起676pを備える。
【0187】
図31は、戻しばねのキャリア部材がストッパー部分776の一体部品776tとして形成され、好ましくはそれと一体に形成される、上述の流体ディスペンサ用のさらなる変形例のストッパー部分776を示す。そのようなストッパー部分776を使用することによって、例えば図1〜15の流体ディスペンサ110のように、別個のキャリア部材によって達成される開放(完全拡張)位置を有する、関連する流体ディスペンサが排除されることが理解されるであろう。
【0188】
図32及び33は、上述の流体ディスペンサのいずれかに使用される、好ましくはプラスチックのボトル870を示す。ボトル870は、ここでは一対の軸方向の間隔が空けられた円周ビード870cの間に画成される溝870b内に位置する、二つの正反対にある軸方向リブ870aの対である回転防止機構を備えて、ボトル870が、それに取り付けられたストッパー部分876内で回転するのを防ぐ。図33に示されるように、ストッパー部分876の内表面も、ここではボトルの回転防止機構870aと協働してそれらの間の相対的な回転を防ぐ、円周方向に向いたビード876qの角度を成すセグメントである回転防止機構を備える。したがって、ストッパー部分870の機構に対するボトル870の角度方向は、流体ディスペンサの組立ての際に事前設定することができる。また、環状セグメント876qが円周方向溝870bに嵌合して、ストッパー部分876に対してボトル870を軸方向で位置付けることが理解されるであろう。
【0189】
ボトル870は、ここではV字形の先細底部870dを有し、供給チューブ(図示なし)の入口がその中へと延びることが注目されるであろう。このようにして、ボトルが平らな底部を有する場合とは異なり、すべて又はほぼすべての流体がボトル870から引き出される。
【0190】
図示しないが、上述の実施形態の変形例では、ボトルシールが省略されてもよく、ボトルの首部とストッパー部分の内側環状スカートとの間にボアシールが形成される。
【0191】
図示しないが、上述の実施形態の別の変形例では、ノズルの後方開放端部は、ディスペンサ構成要素の挿入を案内する引込み表面又は案内表面を提供するように面取りされてもよい。
【0192】
図示しないが、上述の実施形態の別の変形例では、封止先端部がノズル挿入具に対して後方に移動すると、流体出口を封止する封止部材の少なくとも中央部分がそれとともに後方に引張られて、計量体積の流体を分配するために流体出口を開くように、封止キャップ(例えば、封止先端部)は封止部材に接続されてもよい。
【0193】
図37は、ピストン部材814'が投薬チャンバ820'内におけるその最前方位置にあるとき、主ハウジング812'の制限されたボア区画812e'内へと突出し、それによって、ピストン部材814'の前の液圧が下がったときに戻しばね893'の作用によって一方向弁889'が再閉止するのを止めるように弁部材891'を下支えする長さの、前方に延びる突出部又はスピゴット848s'を、前方封止要素848'の前方端部848c'が有する、上述の流体ディスペンサ110、310、410などのいずれかのさらなる変形例を示す。このようにして、ピストン部材814'がその休止位置に向かって十分に後方へと戻って、スピゴット848s'が制限されたボア区画812e'から、除去されたとき、例えば0.1〜0.2mm後方に移動したときにのみ、一方向弁889'が再閉止することができる。一方向弁889'をより長く保持することで、ピストン部材の前方への摺動の終わりに、ディスペンサ内部の圧力が軽減される時間を与えることによって、分配サイクル後にノズル816'上の流体出口の上に流体の泡が形成されることが防止又は抑制されると考えられる。当然ながら、ピストン部材814'の前方への摺動の終わりに一方向弁889'を開いたままにする代替のやり方、例えば、図38に示されるように、弁部材891''の後方端部891d''上に突出部891s''を有するものを想到することができる。弁部材上のそのような突出部は、前方封止要素の突出部848s'の代わり、又はそれに追加されるものであってもよい。ピストン部材も突出部を持つことができる。
【0194】
本明細書に開示する先端封止配置の利点の一つは、上述したものに加えて、封止先端部によって封止部材に加えられる封止力を超える液圧を作り出すため、分配サイクルの始めにより高い操作力(「拘束力(commitment force)」)が必要とされるという点で、流体ディスペンサに拘束の特徴が提供されることである。先端封止配置が開かれると、拘束力が解放されて、流体出口を介する流体の高速放出が生じる。これは、正確な計量と、分配される計量体積それぞれにおける滴径分布などの再現可能な流体特性とを提供するのを支援する。
【0195】
上述の流体ディスペンサの実施形態は、他の実施形態の構成要素又は特徴の一つ若しくは複数を含むように変形してもよいことが理解されるであろう。さらに、一つの実施形態の構成要素を作るための記載された材料は、他の実施形態の対応する構成要素にも使用されてもよいことを理解すべきである。
【0196】
図1〜33、37、及び38を参照して本明細書に記載した流体ディスペンサは、呼び水入れを行い、次に計量体積の流体を繰り返し分配するため、上述したノズルアセンブリとボトル/流体供給源アセンブリとの往復相対移動をもたらすように構成された、アクチュエータと連結されてもよい。
【0197】
これに関して、可能なそのようなアクチュエータが、2007年11月29日出願の英国特許出願第0723418.0号に記載され図示されており、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0198】
別の可能なアクチュエータが図34〜36に示されており、そのアクチュエータは、英国特許出願第0723418.0号のものと同じ一般原理にしたがって動作する。
【0199】
図34には、アクチュエータ4405に挿入され連結されている、図1〜33及び37のいずれかに対応する流体ディスペンサ910が示され、そのアクチュエータは、GlaxoSmithKlineが販売している、また参照により本明細書に組み込むUS-A-2007/0138207に示されるVERAMYST(登録商標)鼻内噴霧器に外観が類似した、中空の硬質プラスチック製のハウジング4409(例えば、ABS製)であって、流体供給源970に残っている流体の量を見るための窓(図示なし)を有するハウジングを含む。窓はハウジング4409のそれぞれの側面に設けられてもよい。
【0200】
流体ディスペンサ910は、その長手方向軸L-Lがハウジング4409の長手方向軸X-X(「ハウジング軸」)と見当合わせされる(すなわち、それと直列又は同軸である)ようにして、ハウジング4409に受け入れられる。流体ディスペンサ910は、その長手方向軸L-L及びハウジング軸X-Xに沿って往復並進移動するようにハウジング4409内に取り付けられる。
【0201】
単純にするため、以下の記載では主にハウジング軸X-Xを参照するが、そのような参照はそれぞれ長手方向軸L-Lにも等しく当てはまることが理解されるべきである。
【0202】
アクチュエータ4405は、軸X-Xに沿って向けられた揚力を流体ディスペンサ910に加えて、流体ディスペンサ910が計量用量の流体をノズル916から給送するように、指操作式のアクチュエータ機構4415を備える。より具体的には、指操作式のアクチュエータ機構4415によって加えられる揚力によって、ボトルアセンブリ(図示しないがピストン部材を含む)をノズルアセンブリ(図示しないが主ハウジングを含む)に対して軸X-Xに沿って前方に並進させ、それによって計量用量の流体を放出させる(呼び水入れは既になされているものと仮定する)。
【0203】
図示されるように、指操作式のアクチュエータ機構4415は、(i)軸X-Xを横断する始動方向で、図34の休止位置から、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリの前方への分配移動をもたらす動作位置(図示なし)へと内向きに、また、(ii)軸X-Xを横断する反対の戻り方向で、動作位置から、別の計量用量の流体を放出するため次に始動できるように流体ディスペンサ910をリセットできる休止位置に戻る外向きに、移動可能であるようにハウジング4409に取り付けられる。指操作式のアクチュエータ機構4415のこの可逆的な内向きの横断移動は、ボトル910から流体をそれ以上給送できなくなるまで(すなわち、ボトル910の流体が空に、又はほぼ空になるまで)継続することができる。
【0204】
指操作式のアクチュエータ機構4415は、二つの部材、すなわち、(i)ハウジング4409に対して軸X-Xを内向き/外向きに横断して移動するようにハウジング4409に取り付けられる、指操作式の硬質の第1の部材4420と、(ii)流体ディスペンサ910のボトルアセンブリとともに移動し、それを持ち上げるように第1の部材4420上で支えられる第2の硬質部材4425とを有する。第1及び第2の部材はプラスチック材料から作られ、それぞれ、ABS(例えば、Teluran(登録商標)ABS(BASF))及びアセタールであってもよい。
【0205】
図34及び36から理解されるように、この例ではレバーである第1の部材4420はハウジング4409とは別個に形成される。
【0206】
軸X-Xを横断する第1の部材4420の内向き/外向きの移動がアーチ状の移動であるように、第1の部材4420はハウジング4409に枢支されて取り付けられる。第1の部材4420は、ハウジング4409に形成される軸方向チャネル4409bに嵌合し、そこを中心として第1の部材4420が枢動する後方端部4420aを有する。
【0207】
第2の部材4425は第1の部材4420上に枢支されて取り付けられるので、アクチュエータ4405を保持している手の指であり得るユーザの一つ若しくは複数の指及び/又は親指によって、内向きの横断方向の力(図34の矢印F))が第1の部材4420に加えられると、第2の部材4425は、内向きに移動する第1の部材4420によって内向きに運ばれるので、反時計方向(図34の矢印A)で枢動することができる。この特定の例では、第2の部分4425はクランクであり、より具体的にはベルクランクである。
【0208】
より詳細には、また図35A及び35Bを部分的に参照すると、ベルクランク4425は、レバー4420に取り付けるための取付け区画4426と、取付け区画4426の一端から延びる第1の対のアーム4425a、4425bとを有する。ベルクランク1425の取付け区画4426は、固定の枢支点4427でレバー4420に枢支されて取り付けられる。
【0209】
図35A及び35Bに示されるように、ベルクランク4425はさらに、取付け区画4426の他端から延びる同一の第2の対のアーム4425a、4425bを備える。このベルクランク構成の結果として、流体ディスペンサ910をアームの各対の第1の(後方)アーム4425aが跨いでおり、第1の対の第1のアーム4425aは図34で見て近い側にあり、第2の対の対応する第1のアームは遠い側にある。
【0210】
各対の第1の(後方)アーム4425aは、軸X-Xをほぼ横断する方向で延びるが、第2の(前方)アーム4425bはノズル916に向かってより前方に角度を成している。
【0211】
ベルクランク4425は、第1のアーム4425a及び第2のアーム4425bとほぼ逆向きのY字形を有して、外側周縁と取付け部分4426の内側周縁とを形成する。図に見られるように、第1のアーム4425aと第2のアーム4425bとの間には90°未満の角度がある。
【0212】
図示されるように、取付け部分4426は、レバー4420に枢支接続するためのスピンドル4426aを備える。図36Aを参照すると、スピンドル4426aは、レバー4420の内表面4420d上に示されるブラケット4420qにクリップ留めされる。
【0213】
図35Cから理解されるように、各対の第2のアーム4425bの構成は、ベルクランク4425がレバー4420によって内向きに動くと、第2のアーム4425bの内表面4428がハウジング4409内の軸方向に向いたプッシャ表面4429に接触し、それによってベルクランク4425が枢動点4427を中心にして反時計方向Aで枢動するようなものである。実際には、ベルクランク4425がレバー4420によって内向きに移動すると、第2のアーム4425bはまたプッシャ表面4429を上向きに滑動する。プッシャ表面4429上における第2のアーム4425bの係合は、ベルクランク4425の枢動を案内する助けとなり、また、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリを持ち上げるときのベルクランク4425を支持する。
【0214】
第2のアーム4425bのプッシャ表面4429は、ハウジング4409の単一の壁機構によって、又はこの場合のように、一つずつが第2のアーム4425bのための別個のハウジング壁機構によって示されてもよい。
【0215】
レバー4420が内向きに移動する際の反時計方向Aでのベルクランク4425の枢動によって、第1のアーム4425aそれぞれの揚力面4431が、流体ディスペンサ910のストッパー部分976上に設けられた正反対にあるエンボスメント976rによって提供される支え面976uそれぞれに接触する。
【0216】
アクチュエータ4405を使用して流体ディスペンサ910を始動させるため、ユーザは、アクチュエータ4405を片手で把持し、その手の親指及び/又は指をレバー4420に置く。ユーザは、自分の鼻孔(又は他人の鼻孔)の中にノズル916を位置させ、横断力Fをレバー4420に加えて、レバーを休止位置から動作(又は作動)位置へとアーチ状に内向きに移動させる。その際、これによって、ベルクランク4425が反時計方向Aで枢動し、第1のアーム4425aの揚力面4431がストッパー部分のエンボスメント976rの支え面976uに作用して、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリを固定のノズルアセンブリに対して上向きに持ち上げ、計量用量の流体薬剤を鼻腔内に放出させる(流体ディスペンサ910は呼び水入れされているものと仮定する)。次に、ユーザは、レバー4420に加えられた力Fを解放して、戻しばね918がアクチュエータ機構4415をリセットするとともに、流体ディスペンサ910を図34に示されるその休止位置にリセットできるようにする。
【0217】
次に、ユーザは、レバー操作を1回又は複数回繰り返して、対応する数のさらなる計量用量を放出させる。任意の所与の時刻に鼻腔内に噴霧する薬剤用量の数は、投与される流体薬剤の投薬計画によって決定される。したがって、投薬処置は、ボトル910内の流体がすべて又はほとんどすべて投与されるまで繰り返すことができる。
【0218】
レバー操作の際に、軸X-Xに沿ったハウジング4409内での流体ディスペンサ910の往復変位を案内するため、ストッパー部分976の正反対にあるエンボスメント976uの対はそれぞれ、トラック976v及び引込み面976tを有する。流体ディスペンサ910がハウジング4409内に取り付けられるとき、ストッパー部分976の回転位置は、トラック976vが、ハウジング4409の内表面上に形成される補完的な軸方向に向いたランナー(図示なし)と見当合わせされるように設定される。使用の際、流体ディスペンサ910がハウジング4409内で軸方向に変位されると、トラック976vはランナーの上に乗る。トラック976vとランナーとの協働は、ハウジング4409内での流体ディスペンサ910の長手方向の変位を案内するだけではなく、ストッパー部分976が、実際にはボトルアセンブリ全体が、ハウジング4409内で回転するのを防ぐ。同様の効果のため、ランナーを流体ディスペンサ910上に設け、補完的なトラックをハウジング4409の内面上に設けることができることが理解されるであろう。
【0219】
アクチュエータ4405はさらに、ハウジング4409の前方端部上に取り付けるための、ノズル916を被覆し保護する保護用エンドキャップ(図示なし)を備える。エンドキャップは、ハウジング4409の前方端部に設けられた適切に配置されたチャネル4451a、4451b内に受け入れられて、エンドキャップをハウジング4409にしっかり付着させてノズル916を被覆するための一対の後方に延びる耳を有する、VERAMYST(登録商標)に使用され、US-A-2007/0138207に開示されているタイプのものである。保護用エンドキャップはまた、その内表面に、エンドキャップがノズル被覆位置にあるとき、ノズル916の流体出口952と封止係合するように配置された、凸面形態の後方に面する弾性ストッパーを有する。エンドキャップは、適切には、ハウジング4409と同じ材料、例えばプラスチック材料、適切にはABSから作られる。ストッパーは、熱可塑性エラストマー、例えばSANTOPRENE(登録商標)から作られてもよい。
【0220】
キャップがノズル被覆位置にあるとき、耳の一つが指操作式アクチュエータ機構4415の、この特定の例ではそのレバー4420の移動に干渉して、例えば、VERAMYST(登録商標)における、且つUS-A-2007/0138207に開示されるのとほぼ同じやり方で、エンドキャップ及び耳が適所(すなわち、ノズル被覆位置)にあるとき、アクチュエータ機構4415の始動を防ぐ(すなわち、移動を係止する)。より詳細には、レバー4420の前方端部は中実のタブ4448を有する。タブ4448は、スロット4409aの内縁部を支えて、レバー4420がスロット4409aを介して外向きに移動するのを防ぐ。それに加えて、保護キャップがアクチュエータハウジング4409の前方端部に受け入れられて、ノズル916を被覆しているとき、キャップの従属する耳の一つがタブ4448の前に位置して、レバー4420が内向きに移動するのを防ぐ。その結果、アクチュエータ4405を使用するため、ユーザは、最初に保護用エンドキャップを除去しなければならない。
【0221】
アクチュエータ4405の組立てと、その中への流体ディスペンサ910の挿入について、以下に概説する。
【0222】
ハウジング4409は、相互にスナップ嵌めされる前方ハウジング半片4409e及び後方ハウジング半片4409fを備える。前方ハウジング半片4409e及び後方ハウジング半片4409fを相互にスナップ嵌めする前に、レバー4420の後方端部4420aを後方ハウジング半片4409fに形成された保持チャネル4409bに挿入して、指操作式のアクチュエータ機構4415が後方ハウジング半片4409fによって保持されるようにする。ハウジング4409を組み立てた後、ベルクランク4425が、前方ハウジング半片4409eによって示されるプッシャ表面4429対して正しい向きになることを確保するため、ハウジング半片4409e、4409fを相互に嵌めながら、ベルクランク4425を反時計方向Aに枢動させる。次に、ベルクランク4425を時計方向に戻して、第2のアーム4425bがハウジングのプッシャ表面4429に接触するようにする。
【0223】
ハウジング半片4409e、4409fを組み立てた後、ノズル916が前方開口部4471bに受け入れられるまで、後方開口部4471aを介して流体ディスペンサ910をハウジング4409に挿入する。これに関して、ストッパー部分976の各トラック976vの前方端部にある漏斗形の引込み表面976tは、流体ディスペンサ910を、ハウジング4409の後方開口部4471aを介してハウジング4409に挿入又は装填するとき、トラック976vをハウジング4409のランナー上へと案内する助けとなる。
【0224】
さらに、ハウジングの内表面は、ストッパー部分のエンボスメント976rの外側の平面断面を補完する断面を備えてもよい(図30Bを参照)。
【0225】
前方ハウジング半片4409eは、ノズル916にスナップ嵌め接続するため、前方開口部4471bに隣接して弾性クリップ4409hを有する。ハウジング4409へのノズル916の軸方向の挿入を限定するため、ノズル916は、クリップ4409hがノズル916に係合するときにハウジング4409の前方端部の下側に当接するその向かい合った面上に、一連の突起又はリブ916p(図10Aの機構116pを参照)を備える。その結果、ノズル916はハウジング4409に対して移動しないように固着される。
【0226】
流体ディスペンサ910がハウジング4409内をその前方端部に向かって前方に移動すると、ノズル916の肩部916d及び外側スカート916sがベルクランク4425の第1のアーム4425aの下側を押しやるので、流体ディスペンサ910がハウジング4409内でスナップ嵌めされる位置まで挿入されるのを妨げないように、ベルクランク4425が反時計方向Aに枢動する。
【0227】
ベルクランク4425は、取付け部分4426から突出するばね脚部4480と一体的に形成される。組立て中に流体ディスペンサ910をハウジング4409に挿入する際に、ノズル916によってハウジング4409の前方端部に向かってベルクランク4425が反時計方向Aに枢動すると、ばね脚部4480は、装填できるようにレバー4420の内表面4420dと係合するようにされる。ストッパー部分976上のエンボスメント976rがベルクランク4425の第1の(後方)アーム4425aを通過すると、はね脚部4480の装填が解放されて、ベルクランク4425が枢動して後方に戻るので、第1のベルクランクアーム4425aはエンボスメントの支え面976uの下に配設され、第2のベルクランクアーム4425bはハウジングのプッシャ表面4429上に位置する。
【0228】
流体ディスペンサ910は、それに加えられる挿入力によって、ハウジング4409に挿入される間にその発射後位置に移動される。流体ディスペンサ910がハウジング4409にスナップ嵌めされると、挿入力が除去され、それによって、戻しばね918がボトルアセンブリを移動させて、拘束するノズルアセンブリから離す(すなわち、ハウジングの後部開放端部4471aに向かう)。ベルクランク4425のばね脚部4480は、ベルクランク4425を枢動させてプッシャ表面4429に接するその休止位置に既に戻しているため、その後、ストッパー部分976を戻すことによって、図34に示されるように、ストッパー部分476のエンボスメント976rの支え面976uが、ベルクランク4425の第1のアーム4425aの関連する揚力面4431と係合するか、それに近接するので、ここで、レバー4420の内向きの移動によってベルクランク4425がボトルアセンブリを持ち上げる。
【0229】
続いて、後方開口部4471aが、例えばABSで作られたエンドキャップ(図示なし)で閉止され、その結果、アクチュエータ4405が「使用可能状態」になる。
【0230】
ベルクランクのばね脚部4480は逆向きの状態で(すなわち、図34に示される向きと上下逆に)流体ディスペンサ910をアクチュエータ4405に組み立てることができるという特別な有用性を有する。ばね脚部4480は、ノズル916がベルクランクの持上げアーム4425aを通り過ぎると、ベルクランク4425を前方の枢動位置で保つ傾向がある重力を超える。
【0231】
アクチュエータ4405が落下するか、他の衝撃を受けて、流体ディスペンサ910をその完全拡張(開放)位置(すなわち、別個のキャリア部材995が使用される場合)に移動させた場合、レバー4420はレバータブ4448によって外向きに移動することができないので、ストッパー部分976がノズル916からさらに離れて移動すると、エンボスメント976rによってベルクランク4425がゆがむ。より詳細には、ベルクランク4425の第1の、すなわち持上げアーム4425aが、エンボスメント976rによってそれに対して加えられる後方の力によって後方に屈曲される。これによって、ベルクランクの持上げアーム4425aはエンボスメントの支え面976uそれぞれと係合したままにされ、それにより、レバー4420を単に内向きに押すことでボトルアセンブリが前方に持ち上がって、流体ディスペンサ910がその休止位置にリセットされる。
【0232】
アクチュエータ4405は、ハウジング4409の他方の側に別の対応する作動機構(図示なし)を有するように変形させてもよい。ユーザはレバー4420を握り締め、その際に、関連するベルクランク4425がそのそれぞれの側からボトルアセンブリを前方に持ち上げる。
【0233】
上述したように、完全拡張位置、及びそれによって流体ディスペンサ910の部品が落下の際に破損するのを防ぐ能力は、キャリア部材995がストッパー部分976と統合されている場合には利用できない。ただし、ボトル970がガラスよりも軽量の材料、例えばプラスチック材料で作られている場合、この落下に抵抗する機構は必ずしも必要ではないことがあるが、恐らくは付加的な保護のためにやはり好ましい。換言すれば、統合されたストッパー部分976とキャリア部材995との使用は、例えば図32に示されるもののような、軽量の、例えばプラスチックのボトル970と組み合わせる必要があることがある。
【0234】
プラスチック材料から作られる、本明細書に記載される流体ディスペンサ又はアクチュエータのそれらの部品は、一般的には成形プロセスによって、より一般的には射出成形によって形成される。
【0235】
代表的実施形態では、流体ディスペンサ110、310、410などの流体出口152、352、452などの封止配置は、微生物及び他の汚染物質が流体出口152、352、452などを介してディスペンサ110、310、410などに、また結果として投薬チャンバ120、320、420などに、且つ最終的には流体のボトル/リザーバに進入するのを防止又は抑制するように作用する。流体が、例えば鼻に投与する液体薬剤調合物である場合、これによって、調合物に防腐剤を含まないようにすることができ、又は、恐らくより高い可能性として、防腐剤節約型の調合物にすることができる。それに加えて、シールは、ディスペンサが作動の間の休止状態にあるとき、投薬チャンバ内の大気中の流体用量が供給源又はリザーバに逆流するのを防止又は抑制するように作用する。これによって、次の使用のためにディスペンサの呼び水入れを行う必要性が回避又は低減される(したがって、呼び水入れは、実質上、流体ディスペンサを初めて使用するときに投薬チャンバを充填するのに必要なだけで、最初の使用後には不要である)。
【0236】
本明細書の流体ディスペンサ110、310、410などの変形例では、例えばゲートルの形態の封止管状スリーブが、流体ディスペンサの上に位置して、それが、ストッパー部分176、376、476など又は流体供給源170、370、470などの外表面に対して一つの(後方)地点(例えば、後方スリーブ端部若しくはその付近)で、及び、ノズル116、316、416などの外表面に対して別の(前方)地点(例えば、前方スリーブ端部若しくはその付近)で封止されてもよい。封止スリーブの材料は、スリーブとディスペンサ部品との間に形成されるシールと同様に、微生物及び他の汚染物質を透過させないように選択される。適切な材料及び封止技術は当業者には知られている。そのような封止スリーブはさらに、微生物及び他の汚染物質がディスペンサに進入しないようにディスペンサを保護する。それによってさらに、ディスペンサ内部(すなわち、先端封止配置及びボトルシール171、371、471など以外)の封止許容差を低減することができるが、それは、これらのシール(例えば、128a、b/328a、b/428a、b、165h、365h/465h、197pなど)が結果として、分配出口152、352、452など以外を介する進入に対する防御の第2のラインとなるためである。スリーブは、取り付けられたディスペンサ部品が相互に向かって、且つ相互に離れる方向に移動するのに適応する必要があり、例えば、拡張可能及び/又は収縮可能であるか、或いは、例えば、シール地点の間に余分な長さのスリーブ材料を有することによって、その最大分離距離にあるシール地点の間に、その最大距離において伸張しない長さのスリーブ材料を有する。したがって、発射段階においてディスペンサ部品が相互に向かって移動するとき、スリーブシール地点の間でスリーブ材料の緩みが生じてもよい。そのような封止スリーブの使用は、一つの(例えば、後方の)部品が別の(例えば、前方の)部分に対して移動してディスペンサを作動させる、他のディスペンサにおける用途が見出される。封止スリーブは各部品に対して封止される。
【0237】
本発明の流体ディスペンサは、例えば、予防/対症療法のために、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状を治療するため、液体薬剤配合物を分配するのに使用されてもよい。投与される正確な用量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の薬剤、並びに投与の頻度に応じて変わり、最終的には看護する医師の判断による。薬剤の組み合わせが用いられるとき、その組み合わせの各成分の用量は、一般に、各成分が単独で使用されるときに用いられるものである。
【0238】
配合物に適した薬剤は、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、若しくはモルヒネなどの鎮痛薬、ジルチアゼムなどのアンギナ性製剤、クロモグリケート(例えば、ナトリウム塩として)、ケトチフェン、又はネドクロミル(例えば、ナトリウム塩として)などの抗アレルギー薬、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、及びペンタミジンなどの抗感染薬、メタピリレンなどの抗ヒスタミン薬、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えば、フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステル、又は6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルなどの抗炎症薬、ノスカピンなどの鎮咳薬、アルブテロール(例えば、遊離塩基若しくは硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素酸塩として)、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、ピルブテロール(例えば、酢酸塩として)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、又は4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアオゾロンなどの気管支拡張薬、シロミラスト又はロフルミラストなどのPDE4阻害薬、モンテルカスト、プランルカスト、及びザフィルルカストなどのロイコトリエン拮抗薬、2R,3R,4S,5R)-2-[6-アミノ-2-(1S-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-プリン-9-イル]-5-(2-エチル-2H-テトラゾル-5-イル)-テトラヒドロ-フラン-3,4-ジオール(例えば、マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作用薬、(2S)-3-[4-({[4-(アミノカルボニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]-2-[((2S)-4-メチル-2-{[2-(2-メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例えば、遊離酸若しくはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬、アミロリドなどの利尿薬、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロンなどのホルモン、アミノフィリン、コリンテオフィリナート、リジンテオフィリナート、又はテオフィリンなどのキサンチン、インシュリン又はグルカゴンなどの治療タンパク質及びペプチドから選択されてもよい。薬剤の活性及び/又は安定性を最適化するため、且つ/又は推進剤中での薬剤の可溶性を最適化するため、適切であれば、塩(例えば、アルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として)、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、或いは溶媒和物(例えば、水酸化物)としての形態で薬剤を使用してもよいことが、当業者には明白となるであろう。
【0239】
好ましくは、薬剤は、喘息及び鼻炎などの炎症性疾患又は疾病の治療のための抗炎症性化合物である。
【0240】
一つの態様では、薬剤は、抗炎症性を有するグルココルチコイド化合物である。一つの適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-17α-(1-オキソプロポキシ)-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル(プロピオン酸フルチカゾン)という化学名を有する。別の適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルという化学名を有する。さらに適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルという化学名を有する。
【0241】
他の適切な抗炎症性化合物としては、PDE4阻害薬、ロイコトリエン拮抗薬、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、β2インテグリン拮抗薬、並びにアデノシン2a作用薬などのNSAIDが挙げられる。
【0242】
配合物に含まれてもよい他の薬剤は、6-({3-[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}スルホニル)-8-メチル-4-{[3-(メチルオキシ)フェニル]アミノ}-3-キノリンカルボキサミド、6a,9a-ジフルオロ-11b-ヒドロキシ-16a-メチル-17a-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17b-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6a,9a-ジフルオロ-11i-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-17a-(2,2,3,3,-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17i-カルボチオン酸S-シアノメチルエステル、1-{[3-(4-{[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]アミノ-6-メチル-1H-インダゾール-1-イル)フェニル]カルボニル}-D-プロリンアミド、及び、2007年4月18日出願の国際特許出願PCT/EP2007/053773の実施例24に開示されている化合物、特にその24Cの形態である。
【0243】
本明細書の流体ディスペンサは、鼻炎、例えば季節性鼻炎及び通年性鼻炎など、鼻の通路の炎症性及び/又はアレルギー性症状、並びに喘息、COPD、及び皮膚炎など、他の局所的な炎症性症状を治療するための流体薬剤配合物を分配するのに適している。
【0244】
適切な投薬計画は、鼻腔をきれいにした後に、患者が鼻を介してゆっくり吸入するものである。吸入中、一つの鼻孔を手で圧迫しながら別の鼻孔に配合物を適用する。次に、この処置を他方の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、一つの鼻孔当たり一回又は二回の吸入を、一日三回以下、理想的には一日一回上述の処置によって投与する。用量はそれぞれ、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤を送達してもよい。正確な用量は、当業者には知られているか、又は容易に確認可能である。
【0245】
パラメータ又は性質に関して、「約」「ほぼ」などの用語の本明細書における使用はすべて、正確なパラメータ又は性質、並びにそこからのわずかな逸脱を含むものとする。
【0246】
上述した本発明の実施形態は単に例示である。本発明は、本明細書に開示したすべての新規な態様に関する。さらに、本発明は、薬剤の投与に使用される流体ディスペンサに制限されず、流体ディスペンサ全体に適用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鼻内噴霧器用の流体ディスペンサに関し、具体的には、限定するものではないが、薬剤投与のための流体ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば流体を鼻腔に分配するための、従来技術の液体ディスペンサが、US-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103によって知られており、それらの元の開示全体(並びにそれらのパテントファミリー)を参照により本明細書に組み込むものである。これらのディスペンサは、流体リザーバと、出口と、リザーバから出口を介して流体をポンプ給送するためのポンプとを備える。出口はノズルの形で設けられ、そのノズルは鼻孔内で位置付けるために形状及びサイズが決められてもよい。ディスペンサは、計量体積の流体を分配するためのものであるので、少なくとも一つの計量チャンバ入口を介してリザーバと、且つ出口と選択的に流体連通した状態にされる計量チャンバをさらに備える。ポンプは、計量チャンバが計量体積よりも大きい第1の体積を有する拡張状態と、収縮状態との間で計量チャンバを移動させるように往復運動する。ディスペンサは、さらに、計量チャンバと、「弁閉止」位置へと付勢される出口との間に一方向弁を備える。計量チャンバがその収縮状態からその拡張状態に移動すると、計量チャンバとリザーバは少なくとも一つの入口を介して流体連通した状態にされ、流体は、リザーバから計量チャンバ内へと引き込まれて、計量チャンバが過剰な体積の流体で充填される。計量チャンバが拡張状態から収縮状態に向かって移動するとき、計量チャンバ内の余剰体積の流体が少なくとも一つの入口を介してリザーバ内へと戻されて、計量チャンバ内の計量体積の流体を離れる初期抜取り段階(initial bleed phase)がある。計量チャンバがその収縮状態に戻る最終分配段階では、計量チャンバ内の計量体積の流体は一方向弁に向かって給送され、それにより、流体に発生した増加圧力が一方向弁を一時的に開いて、計量体積を出口から給送することが可能になる。
【0003】
なお、他の流体ディスペンサ装置がWO-A-2007/138084の図1〜21に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの目的は、新規な流体ディスペンサと、流体ディスペンサ用の新規な構成要素を提供することであり、その流体ディスペンサは、任意に、US-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103に開示されている給送原理を組み込むものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、ピストン部材が中で摺動する投薬チャンバを画成する流体ディスペンサの構成要素と、流体ディスペンサの流体出口又は流体出口に重なるシールを係合して、流体出口又はシールを選択的に開閉するように適合された端部を提供する。
【0006】
端部は先端の形態であってもよい。構成要素は部品のアセンブリであってもよい。第1のそのような部品は端部を形成してもよい。第1の部品はキャップ部であってもよい。
【0007】
構成要素は、その外表面上に、流体ディスペンサ内に滑り封止嵌め(sliding sealing fit)を形成するシールを備えてもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。シールは構成要素の第1の部品によって示されてもよい。
【0008】
投薬チャンバは、第2のチャンバを画成する構成要素と、投薬チャンバと第2のチャンバの間の流体経路と、を備え、流体経路を選択的に開閉する弁を有する第1のチャンバであってもよい。
【0009】
本発明の第2の態様は、流体供給源とともに使用する流体ディスペンサを提供し、ディスペンサは、投薬チャンバと、流体出口と、並びに、(i)投薬チャンバを供給源からの流体で充填する第1の方向と、(ii)チャンバから流体出口に向かって流体を分配する第2の方向とで、投薬チャンバを封止してその中で摺動するように配置されたピストン部材と、を有し、投薬チャンバは幅が異なる第1及び第2の区画を有し、第1の区画は第2の区画よりも狭く、第2の区画に対して第2の方向に位置し、ピストン部材は、第1及び第2の方向で摺動する際に第2の区画を封止するように第2の区画と接触するものであり、ただし、第1及び第2の方向での摺動の際にこの摺動の一部分において第1の区画のみを封止するように第1の区画と接触する。
【0010】
ピストン部材は、第1の区画を封止するように第1の区画と接触するシールを備えてもよい。
【0011】
シールは、第1の区画の幅以上であって、第2の区画の幅よりも小さい外寸法を有してもよい。
【0012】
シールは、ピストン部材と一方向弁を形成してもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。シールはピストン部材の端部に位置してもよい。
【0013】
ピストン部材は、投薬チャンバの第2の区画を封止するように第2の区画と接触するシールを備えてもよい。シールはリップシールタイプであってもよい。
【0014】
ピストン部材は、流体供給源と連通する流体導管であって、使用の際、ピストン部材が第1の方向で摺動するとき、そこを介して流体が流体供給源から投薬チャンバ内へと運ばれる流体導管を備えてもよい。流体供給源は、投薬チャンバの第2の区画と位置を合わせるようにピストン部材に位置付けられた出口を有してもよい。
【0015】
流体ディスペンサは、使用の際、ピストン部材が第2の方向で摺動すると、ピストン部材が投薬チャンバの第1の区画を封止するように第1の区画と接触するまで、投薬チャンバ内の流体が投薬チャンバから抜き取られる(例えば、流体供給源に戻る)ように適合されてもよい。流体は、抜き取られてピストン部材内の流体導管を通して流体供給源に戻されてもよい。
【0016】
流体ディスペンサは、投薬チャンバと流体出口との間に、ピストン部材が第2の方向で摺動して第1の区画を封止するように第1の区画と接触するまで閉じたままである弁を備えてもよい。弁は第1の区画の開口部内に形成されてもよい。
【0017】
流体ディスペンサは、流体が、ピストン部材又は第1の区画と選択的に接触するシールの周りを第1の方向で抜き取られるように適合されてもよい。
【0018】
一方向弁は、シールが第1の区画を封止して第1の区画と接触した状態で、ピストン部材が第1の方向で摺動すると、投薬チャンバの第1の区画に流体が入ることができるように、開くように適合されてもよい。
【0019】
一方向弁は、ピストン部材が第2の方向で摺動すると閉じるように適合されてもよい。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、流体ディスペンサの投薬チャンバ内で摺動するピストン部材であって、その上にOリングではないシールが取り付けられて一方向弁を形成するピストン部材が提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、流体の容器と、投薬チャンバと、流体出口と、並びに、(i)投薬チャンバを容器からの流体で充填する第1の方向と、(ii)流体をチャンバから流体出口に向かって分配する第2の方向とで、投薬チャンバ内で摺動するように配置されたピストン部材と、を備え、ピストン部材が容器と調和して移動するように取り付けられた、流体ディスペンサが提供される。
【0022】
ピストンは、容器上に取り付けられたキャップ構造の形で構成されてもよい。キャップ構造は、容器の開口部に挿入されるストッパーであってもよい。
【0023】
投薬チャンバは、流体出口が中に形成される流体ディスペンサのノズルの形で提供されてもよい。
【0024】
ノズルは、例えばピストン部材を投薬チャンバ内で摺動させるため、容器と相対移動するようにその上に取り付けられてもよい。
【0025】
ノズルはキャップ構造上に取り付けられてもよい。
【0026】
ノズルは、ヒトの鼻孔に挿入されるように形状及びサイズが決められてもよい。当然ながら、異なる用途向けに、例えば、異なる体腔に挿入するように、又は他の身体部位に局所適用するように形成できる。
【0027】
流体ディスペンサは、ピストン部材を投薬チャンバ内の休止位置へと付勢する付勢機構を有してもよい。休止位置は、投薬チャンバ内におけるピストン部材の後退位置であってもよい。
【0028】
本発明の別の態様では、流体の容器と、容器に向かって移動し、且つ容器から離れて移動するように容器上に取り付けられたノズルと、ピストン部材と、投薬チャンバと、を有する流体ディスペンサが提供され、ピストン部材は容器又はノズルに含まれ、投薬チャンバはそれらの他方に含まれ、それにより、ノズルと容器との相対移動によって、ピストン部材が投薬チャンバ内で摺動して投薬チャンバを充填したり空にしたりし、流体ディスペンサは、休止時にはノズル及び容器が第1の間隔で分離するように適合され、流体ディスペンサを作動させると、ノズル及び容器は相互に向かって移動し、次に第1の間隔に戻り、また、衝撃があった際に、例えば流体ディスペンサが落下したときの流体ディスペンサの保護を改善するため、ノズル及び容器は、第1の間隔よりも大きい第2の間隔まで分離可能である。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、流体供給源とともに使用する流体ディスペンサを提供し、ディスペンサは、流体出口と、投薬チャンバと、投薬チャンバを流体供給源からの流体で選択的に充填し、且つ流体を投薬チャンバから流体出口に向かって給送するため、投薬チャンバ内で往復運動するように配置されたピストン部材と、任意に、シールによって流体が流体出口を介して分配されなくなる通常の閉止状態から、シールが流体出口を開いてそこからの分配を可能にする開放状態へと移動可能な、流体出口を封止するシールと、並びに、部材が流体出口を封止するか又はシールを閉止状態に位置させるようにシールに作用する通常の第1の位置と、流体出口を開くか又はシールが開放状態へと移動するのを可能にする第2の位置との間で移動可能な構成要素であって、投薬チャンバを含む構成要素と、を有する。
【0030】
本発明の別の態様では、流体ディスペンサの流体出口を封止する封止装置であって、シール部材を備える装置が提供され、シール部材は、流体出口を封止する第1の面と、陥凹部が設けられた第2の面と、内側位置と外側位置との間でシール部材に対して滑動するように、陥凹部内でそれを封止して滑動可能に取り付けることができる構成要素とを有し、構成要素が内側位置にあるときは、第1の面が外向きに撓み、外側位置にあるときは第1の面がその元の状態に戻ることができる。
【0031】
シール部材は、弾性材料、又は、形状記憶を有する、すなわち元の形状に戻る能力を有する他のタイプの材料から作られてもよい。
【0032】
本発明の各態様はまた、(i)本発明の他の態様、又は(ii)添付図面を参照して記載する代表的実施形態の追加の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0033】
本発明のこれら及び他の態様及び特徴は、添付図面を参照して以下に記載する代表的実施形態から理解されるだろう。
【0034】
なお、本出願は、2007年5月30日出願の英国特許出願第0710315.3号及び2007年11月29日出願の英国特許出願第0723420.6号の優先権を主張するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、完全拡張(開放)位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図1B】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、休止位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図1C】本発明による流体ディスペンサの側面斜視図であり、発射後位置にある流体ディスペンサを示す図である。
【図2A】図1Aの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図2B】図1Bの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図2C】図1Cの流体ディスペンサのアセンブリを示す図である。
【図3A】完全拡張位置にある図1Aの流体ディスペンサの横断面図である。
【図3B】休止位置にある図1Bの流体ディスペンサの横断面図である。
【図3C】発射後位置にある図1Cの流体ディスペンサの横断面図である。
【図4】先端シール配置を示す図1〜3の流体ディスペンサのノズル領域の拡大断面図である。
【図5A】図1〜4の流体ディスペンサのピストン部材の側面図である。
【図5B】図1〜4の流体ディスペンサのピストン部材の横断面図である。
【図6A】図5A〜Bのピストン部材上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの後方封止要素の斜視図である。
【図6B】図5A〜Bのピストン部材上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの後方封止要素の横断面図である。
【図7A】図5A〜Bのピストン部材上に滑動可能に取り付けられて一方向弁を形成する、図1〜4の流体ディスペンサの前方封止要素の斜視図である。
【図7B】図5A〜Bのピストン部材上に滑動可能に取り付けられて一方向弁を形成する、図1〜4の流体ディスペンサの前方封止要素の横断面図である。
【図8A】図5A〜Bのピストン部材を滑らせて受け入れる図1〜4の流体ディスペンサの主ハウジングの斜視図である。
【図8B】図5A〜Bのピストン部材を滑らせて受け入れる図1〜4の流体ディスペンサの主ハウジングの横断面図である。
【図9A】流体供給源上に取り付けられ、図5A〜Bのピストン部材が取り付けられる、図1〜4の流体ディスペンサのストッパー部分の斜視図である。
【図9B】流体供給源上に取り付けられ、図5A〜Bのピストン部材が取り付けられる、図1〜4の流体ディスペンサのストッパー部分の横断面図である。
【図10A】図9A〜Bのストッパー部分上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのノズルの斜視図である。
【図10B】図9A〜Bのストッパー部分上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのノズルの横断面図である
【図11】図10A及び10Bのノズルの端面に形成されるスワールチャンバを示す背面斜視図である。
【図12A】図10A〜B及び11のノズル上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャリア部材の斜視図である。
【図12B】図10A〜B及び11のノズル上に滑動するように取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャリア部材の横断面図である。
【図13A】図8A〜Bの主ハウジング内に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの弁機構の弁要素の斜視図である。
【図13B】図8A〜Bの主ハウジング内に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサの弁機構の弁要素の斜視図である。
【図14A】図10A〜B及び11のノズルに入り込む図1〜4の流体ディスペンサのノズル挿入具の斜視図である。
【図14B】図10A〜B及び11のノズルに入り込む図1〜4の流体ディスペンサのノズル挿入具の横断面図である。
【図15A】図8A〜Bの主ハウジング上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャップの斜視図である。
【図15B】図8A〜Bの主ハウジング上に取り付けられる図1〜4の流体ディスペンサのキャップの横断面図である。
【図16A】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16B】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16C】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16D】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16E】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16F】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16G】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16H】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16I】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図16J】ディスペンサの呼び水入れ(priming)の間の中にある液体の連続的な前進を示す、本発明による図1〜15の流体ディスペンサの変形例の横断面図である。
【図17】図11に対応する、スワールチャンバの変形例を示す図である。
【図18】図4に対応する、ただし図1〜15の流体ディスペンサのための代替の先端シール配置を示す図である。
【図19A】図18のノズル挿入具の側面図である。
【図19B】図18のノズル挿入具の横断面図である。
【図20】図4に対応する、ただしさらなる代替の先端シール配置を示す図である。
【図21】図4に対応する、ただし図1〜15の流体ディスペンサのための代替の封止装置を示す図である。
【図22A】図21の封止ピンの側面図である。
【図22B】図21の封止ピンの横断面図である。
【図23A】図21のバッキングプレートの斜視図である。
【図23B】図21のバッキングプレートの横断面図である。
【図24A】図21のノズル挿入具の斜視図である。
【図24B】図21のノズル挿入具の横断面図である。
【図25A】図21のキャップの斜視図である。
【図25B】図21のキャップの横断面図である。
【図26】発射後位置で示される図1〜15の流体ディスペンサの別の変形例であって、ただし図3A〜3Cの図に垂直に取った断面で示した横断面図である。
【図27】発射位置で示される図1〜15の流体ディスペンサのさらに別の変形例であって、ただし分配の終わりに先端シール配置が再閉止されている横断面図である。
【図28】図27の流体ディスペンサの前方封止要素の斜視図である。
【図29】図27の流体ディスペンサの代替の先端シール配置の拡大部分図である。
【図30A】第1の代替のストッパー部分の斜視図である。
【図30B】第1の代替のストッパー部分の下面図である。
【図31】別の代替のストッパー部分の斜視図である。
【図32】本発明の流体ディスペンサに使用されるボトルの斜視図である。
【図33】ストッパー部分における図32のボトルの断面図である。
【図34】手持ち型の手動流体分配システムの形態の、アクチュエータに取り付けられる図27の流体ディスペンサの横断面図である。
【図35A】図34のアクチュエータのベルクランクの斜視図である。
【図35B】図34のアクチュエータのベルクランクの斜視図である。
【図35C】図35Aに対応する、ただしアクチュエータによって提供されるプッシャ表面に対するベルクランクを示す図である。
【図36A】図35A及び35Bのベルクランクが取り付けられる図34のアクチュエータのレバーの斜視図である。
【図36B】図35A及び35Bのベルクランクが取り付けられる図34のアクチュエータのレバーの斜視図である。
【図37】図1〜15、16、26、又は27の流体ディスペンサのピストン部材及び弁要素の代替構成の部分図である。
【図38】図1〜15、16、26、又は27の流体ディスペンサのピストン部材及び弁要素の別の代替構成を示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による非限定的な特定の実施形態の以下の記載において、所与の特徴の相対的な位置、向き、構成、方向、又は移動(例えば、「前方」、「反時計方向」など)に関するあらゆる用語は、その記載が参照する指定の一つ若しくは複数の図面に示される視点から見たその特徴の配置にのみ関連する。さらに、これらの用語は、特段の指定がない限り、本発明の配置を限定することを意図しない。
【0037】
さらに、本発明による代表的な流体ディスペンサの以下の記載において、流体ディスペンサは液体を分配するためのものであり、これらの代表的な流体ディスペンサについての記載に関しての、「流体」に対するすべての言及は液体を意味するものと理解されるべきである。液体は、例えば液体中に懸濁又は溶解された、薬剤を含んでもよい。
【0038】
代表的な流体ディスペンサの根本的な動作原理は、上述のUS-A-2005/0236434及びWO-A-2005/075103に記載されている通りである。
【0039】
類似の参照番号は、参照を容易にするため、様々な代表的な流体ディスペンサ同士で類似の特徴を識別するのに使用する。
【0040】
図1〜15は、本発明の第1の実施形態による流体ディスペンサ110を示す。
【0041】
図3B、5A、及び5Bを参照すると、流体ディスペンサは、ほぼ円筒状のピストン部材114を有し、それは、主ハウジング112によって画成された投薬チャンバ120内部の流体ディスペンサ110の長手方向軸L-Lに沿って往復する形で摺動するように取り付けられる。ピストン部材114は、投薬チャンバ120に対して前方位置と後方位置との間で摺動するように取り付けられる。それは、ピストンとして、ピストン部材114が投薬チャンバ120内で移動すると、投薬チャンバ120内の流体に対して給送力を与える。
【0042】
図8A及び8Bに示されるように、主ハウジング112は、環状フランジ112bがそこから突出する管状体112aによって形成される。管状体112aは、開放型の軸方向ボア112cを有し、その中に環状の肩部112dが突出して、環状の肩部112dの両側に配設された前方ボア区画112f及び後方ボア区画112gに対して制限されたボア区画112eを作り出す。後方ボア区画112gは投薬チャンバ120を画成する。管状体112aの前方区画112hは一対の外周ビード112iを備えており、その目的については以下に簡単に説明する。
【0043】
この実施形態の主ハウジング112は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0044】
図3B、3C、8A、及び8Bを参照すると、投薬チャンバ120は円筒状であり、長手方向軸L-Lと同軸で配置される。投薬チャンバ120は、前方区画120a及び後方区画120bを有する。図から分かるように、前方区画120aは後方区画120bよりも狭い。後方区画120bを前方区画120aに接続するため、段差120sは前方方向F(図3Bを参照)で内向きに先細になっている。図3B及び8Bに示されるように、少なくとも一つの軸方向溝又はフルート120dが段差120sに形成される。この特定の実施形態では、四つのそのようなフルート120dが設けられるが、別の数が選択されてもよい。複数のフルート120dが設けられる場合、理想的には、この特定の実施形態のように等角で間隔が空けられる。
【0045】
前方区画120aは、ディスペンサ110から分配するための流体の体積を計量する計量チャンバを形成する。計量体積は50μLであってもよいが、これは単なる例示であり、流体ディスペンサ110は、所望の計量体積を分配するように配置することができる。
【0046】
図5A及び5Bに戻ると、ピストン部材114は、前方区画114a、後方区画114b、及び中央区画114cを有する。これらは同軸で配置される。
【0047】
後方区画114bは、ピストン部材114の開放型後方端部114dを呈する。後方区画114bはカップ状であって、後方端部114d内で開いた口114gを有する内部キャビティ114fを画成する環状の外周壁114eを有する。
【0048】
前方区画114aは中実であり、ピストン部材114の前方端部114hを呈する。前方区画114aは、前方端部114hの後方に環状フランジ114iを備える。
【0049】
中央区画114cは、前方端部114a及び後方端部114bに接続し、より詳細に後述するように、投薬チャンバ120の後方区画120bを流体供給源170(この特定の実施形態では、例えば、ガラス又はプラスチック材料のボトル(図1A〜1Cを参照))と流体連通させる内部ボアネットワーク114jを備える。ボアネットワーク114jは、軸方向区画114kと複数の横断方向区画114lとから成る。軸方向ボア区画114kは、内部キャビティ114fの前方面114nにある後方開口部114mから接合部114pまで延びる。横断方向ボア区画114lは、中央区画114cの外周表面にある各前方開口部114qから内向きに接合部114pまで横断方向で延びて、軸方向ボア区画114kと接続する。前方開口部114qは中央区画114cを中心にして等角で配置される。この特定の実施形態では、二つの横断方向ボア区画114lがあるが、一つの、又は二つを超える横断方向ボア区画を使用することができる。前方開口部114qはまた、中央区画114cに陥凹部を作る。
【0050】
ピストン部材114は、外周の周りに複数の軸方向に向いた溝114rを備える。溝114rは、前方区画114aの環状フランジ114iの後方表面114sから、内部ボアネットワーク114jの前方開口部114qの後方にある中央区画上の環状リブ114tまで後方に延びる。溝114rは、前方開口部114qの少なくとも一部分が溝114r内にあるように配置される。
【0051】
フランジ114iから前方端部114hまで前方に延びる、ピストン部材114の前方区画114aの先端部114uは、頂点が丸み付けられた三角形の断面形状を有する。
【0052】
この実施形態のピストン部材114は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0053】
図3B、3C、6A、及び6Bを参照すると、ピストン部材114は、その中央区画114c上に、ピストン部材114と投薬チャンバ120の後方区画120bとの間に恒久的な動的(滑り)シールをもたらす、管状の後方封止要素128を持つ。後方封止要素128は、ピストン部材114に固着されてそれと調和して移動するので、ピストン部材114が投薬チャンバ120内で摺動するとき、それらの間に相対的な軸方向の移動はまったく又はほとんどない。
【0054】
後方封止要素128は、リップシールタイプのものであり、その前方及び後方端部にそれぞれ、弾性の環状封止リップ128a及び128bを備える。後方封止要素128の材料は、封止リップ128a、128bに固有の外向きの付勢をもたらす。封止リップ128a、128bは、後方の投薬チャンバ区画120bの内径よりも大きい外径を有し、それにより、封止リップ128a、128bは、後方の投薬チャンバ区画120bの内表面によって内向きに圧縮される。その結果、封止リップ128a、128bの付勢は、それらが後方の投薬チャンバ区画120bの内表面を封止してそれを係合することを意味する。
【0055】
後方封止要素128はさらに、管状体128cを備え、そこに封止リップ128a、128bが従属し、またそこに、後方封止要素128の内周ビード128dをピストン部材114の中央区画114cの陥凹部分114wに係合することによって、ピストン部材の中央区画114cの外表面が適合する。管状体128cは、ピストン部材114に適合させたとき、ピストン部材114の中央区画114cの軸方向範囲のほぼ全体をカバーするような長さを有する。さらに、封止要素128の後方端部はピストン部材114の後方区画114bの前方端部を支え、その結果として、円周ビード128が陥凹部分114wの前方端部に配設されることが、図3Bから分かる。この配置は、ピストン部材114上における後方封止要素128の相対的な軸方向移動を防ぐか、又はほぼ防ぐものである。
【0056】
次に図7A及び7Bをさらに参照すると、ピストン部材114はさらに、その前方区画114aに管状の前方封止要素148を持って、ピストン部材114と投薬チャンバ120の前方区画120aとの間に動的(滑り)シールを形成するが、ただしこれは、より詳細に後述するように、ピストン部材の摺動の特定段階の間のみである。
【0057】
前方封止要素148もリップシールタイプのものであるが、この場合は、その前方端部にのみ弾性の環状封止リップ148aを備える。シールリップ148aの外径は、後方の投薬チャンバ区画120bの内径よりも小さいが、前方の投薬チャンバ区画120aの内径よりも大きい。したがって、前方封止リップ148aは、前方の投薬チャンバ区画120aの内表面を封止してそれと係合するように付勢することができる。
【0058】
図から分かるように、前方封止要素148は、ピストン部材114の前方区画114a上に滑動可能に取り付けられる。より詳細には、前方封止要素148は、封止リップ148aがそこに従属する管状体148bを備え、ピストン部材114の前方区画114aがその中に滑動可能に取り付けられる前方封止要素148を通る軸方向の開放型ボア149を提供する。ボア149は、前方ボア区画149a及び後方ボア区画149bと、拡大した中央チャンバ149cとを備える。前方ボア区画149a及び後方ボア区画149bはそれぞれ、中央チャンバ149cから、前方封止要素148の前方端部148c及び後方端部148dの開口部まで延びる。前方端部148cは、その中の前方ボア開口部と交差する溝148gを備える。中央ボアチャンバ149cは、管状体148bを通る一対の正反対にある窓149fを備える。
【0059】
ピストン部材114の環状フランジ114iは、中央ボアチャンバ149cの内部に位置する。中央ボアチャンバ149cは、横断方向に向いた前方端壁149d及び後方端壁149eを有し、それらは、ピストン部材114の環状フランジ114iを選択的に係合して、ピストン部材114上での前方封止要素148の滑動を画定する。具体的には、ピストン部材114に対する前方封止要素148の最前方位置は、後方端壁149eが環状フランジ114iに当接することによって画定され(例えば、図3Bを参照)、反対に、ピストン部材114に対する前方封止要素148の最後方位置は、前方端壁149dが環状フランジ114iに当接することによって画定される(例えば、図3Cを参照)。
【0060】
前方封止要素のボア149内での前方ピストン部材区画114aの滑動は、一方向弁を形成する。一方向弁は、より詳細に後述するように、前方封止要素148がピストン部材114に対してその最後方位置にあるときは開き、前方封止要素149がピストン部材114に対してその最前方位置に向かって移動すると開く。
【0061】
この目的のため、前方封止要素148がその最後方位置にあるとき、環状フランジ114iが中央ボアチャンバ149cの前方端部149dに接して液密シールを形成することが理解されるだろう。
【0062】
動作の際、ピストン部材114が投薬チャンバ120に対して前方に摺動すると(例えば、図3Cを参照)、環状フランジ114iと中央ボアチャンバ149cの前方端壁149dとの係合によって、前方封止要素148はピストン部材114とともに前方に移動する。したがって、ピストン部材114が前方に摺動する際には、一方向弁は閉じる。前方への摺動によって、また、前方封止要素148が投薬チャンバ120の前方区画120aを滑り封止してそれと係合する。
【0063】
ピストン部材114がその前方への摺動の終わりに、前方封止要素148の前方端部148cと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの当接によって画定されるような、その前方位置に達すると(図3Cを参照)、ピストン部材114は、その後方位置に向かって元に戻る後方への摺動を始める。後方への摺動の初期段階では、ピストン部材114は前方封止要素148に対して後方に移動するので、一方向弁は、後方への摺動するためにその開放位置へと移動される。ピストン部材114の後方への摺動は、ピストン部材114がその後方位置に配設されて終わり、その場合、前方封止要素148は前方の投薬チャンバ区画120aの後方に、すなわち後方の投薬チャンバ区画120b内に、又は、図3Bに示されるように段差120sに配設されるので、前方の投薬チャンバ区画120a及び後方の投薬チャンバ区画120bは前方封止要素148の周りで(例えば、休止位置が段差120sのところであるフルート120dを通して)フロー連通する。
【0064】
したがって、投薬チャンバ120内において、ピストン部材114がその休止位置からその前方位置に向かって前方へと摺動する初期段階では、ピストン部材114は前方封止要素148に対して前方に移動して、一方向弁を(再)閉止する。
【0065】
この実施形態の後方封止要素128及び前方封止要素148は、低密度ポリエチレン(LDPE)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0066】
ピストン部材114を、図1B及び3Bに示される、投薬チャンバ120に対するその前方(休止)位置に付勢するため、戻し圧縮ばね118が流体ディスペンサ110内に設けられる。ばね118は、金属(例えばステンレス鋼、例えば、316若しくは304等級)、又はプラスチック材料から作られてもよい。戻しばね118の復帰力又は付勢力は、休止時には5Nで、圧縮されると8.5Nまで増加してもよい。戻しばね118の付勢力は、主ハウジングの環状フランジ112bに作用して、主ハウジング112を図1B及び3Bに示されるその相対位置まで前方に付勢することによって、ピストン部材114を、主ハウジング112内に画成される投薬チャンバ120に対するその後方位置にリセットするように作用する。
【0067】
図15A及び15Bを参照すると、流体ディスペンサ110は別個の円筒状キャップ165を含む。キャップ165は、カップ状のものであって、キャップ165の後方端部165dのところで開いている内部円筒状チャンバ165cの境界壁を形成する、環状の側面スカート165aと前方端壁165bとを有する。さらに、中央封止先端部の形態のニップル160が、前方端壁165bから前方に突出する。
【0068】
複数のアパーチャ165eがまた、前方端壁165bに封止先端部160の基部の周りで形成されて、内部チャンバ165cと連通する。この実施形態では、三つの等角で間隔が空けられたアパーチャ165eがあるが、その代わりに、三つよりも少数又は多数のアパーチャがあってもよい。
【0069】
内部チャンバ165の内周側面165fは、一対の円周ビード165gを備える。前方端壁165bの外周縁部は弾性の環状封止リップ165hを呈する。
【0070】
この実施形態では、キャップ165はLDPEから形成されるが、やはり他のプラスチック材料を使用することができる。
【0071】
図3B及び3Cに示されるように、例えば、キャップ165は、主ハウジング112の前方ボア区画112fを囲むように、主ハウジング112の前方区画112hの上に取り付けられる。キャップ165は、内部ビード165g及び外部ビード112iが相互にクリップ留めされるか、又は噛み合うことによって、主ハウジング112に固定されるので、主ハウジング112及びキャップ165は同調して移動する。
【0072】
図3B及び3Cにさらに示されるように、弁機構189は、主ハウジング112の前方ボア区画112fに位置する。弁機構189は、前方ボア区画112f内で軸方向に移動するように取り付けられた円筒状の細長い弁要素191を備える。
【0073】
図13A及び13Bに示されるように、弁要素191は、円筒状の前方区画191aと同軸の拡大した後方区画191bとを有する。後方区画191bは、前方部分191cと、主ハウジング112を閉止するようにその制限されたボア区画112eを封止してそれに嵌合するようにサイズ決めされた、切頭円錐状の後方部分191dとを有する。複数の軸方向溝191eは、後方区画191bの外周表面に形成されて、前方部分191cを通って延び、後方部分191dに一部入り込む。
【0074】
図3B及び3Cに戻ると、弁機構189はさらに、キャップ165の前方端壁165bの内表面から、弁要素191の後方区画191bの前方端部にある環状フランジ191f上へと後方に延びる戻し圧縮ばね193を備える。戻しばね193は、弁要素191を後方に付勢するように作用して、制限されたボア部分112eを封止して閉止するため、その中に切頭円錐状の後方部分191dが配設される。
【0075】
この実施形態の弁要素191は、低密度ポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。戻しばね193は、金属(例えば、304若しくは316等級などのステンレス鋼)又はプラスチック材料のものであってもよい。戻しばね193は約0.4Nの復帰力を有してもよい。
【0076】
図1〜3から、流体ディスペンサ110は、ここではボトル(例えば、ガラス製又はプラスチック材料製)である、流体供給源170を有することが理解されるであろう。
【0077】
図3B及び3Cはまた、流体ディスペンサ110が、ボトル170の首部178に適合するキャップ形態の円筒状のストッパー部分176を含むことを示す。この実施形態では、ストッパー部分176はポリプロピレン(PP)から射出成形される。ただし、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0078】
さらに図9A及び9Bを参照すると、ストッパー部分176は、ボトル首部178のフランジ180の外周表面を取り囲む外側環状スカート176aと、ボトル首部178に栓をする同心で配置された内側環状スカート176bとを有する。外側環状スカート176aの内周表面は、ボトル首部178のフランジ180の下方に係合して、ストッパー部分176をボトル170にスナップ嵌め接続するように、円周方向に向いたビード176qを備える。ビード176qは、連続的であるか、又はストッパー部分176の成形を単純化するため(本例のように)セグメント化されてもよい。
【0079】
ストッパー部分176は、その前方端部に、外側スカート176aから内側スカート176bまで半径方向内向きに延びる屋根176cを有する。内側スカート176bは、屋根176cの開口部176eから後方に延びる内部キャビティ176dを囲む。キャビティ176dは、その後方端部に床176fを有し、そこから細長い管状突出部176gが直立する。
【0080】
管状の突出部176gは、開いた後方端部176hと、前方端壁176iと、開いた後方端部176hから前方端壁176iまで前方に延びる内部キャビティ176jと、内部キャビティ176d、176jをフロー連通させる前方端壁176iの前方開口部176kとを有する。
【0081】
図3Bに示されるように、例えば、供給(浸漬)チューブ172(例えば、ポリプロピレン(PP)製)は、締まり嵌めとして管状突出部176gの内部キャビティ176jに入り込み、供給チューブ176が管状突出部176gの前方端壁176iに当接する。同様に、管状突出部176gは、ピストン部材114の後方区画114bの内部キャビティ114fに入り込み、それによって、管状突出部176gの前方端壁176iは内部キャビティ114fの前方面114nに当接する。このように、ピストン部材114のボアネットワーク114jは、供給チューブ172を介して流体供給源170とフロー連通される。供給チューブ172は、流体供給源170の底部近くまで延びるので、ほぼ空になっても依然として通常の使用(すなわち、直立又はほぼ直立)では流体供給源170から流体が送達することができる。
【0082】
ピストン部材114の内部キャビティ114fがその内周表面上に、管状突出部176gの外周表面上に設けられた円周ビード176sがクリップ留めされる、又は噛み合う複数の円周ビード114vを呈することによって、管状突出部176gは、ピストン部材114の内部キャビティ114f内で相対移動しないように固定される。
【0083】
図3Bにさらに示されるように、例えば、主ハウジング112の管状体112aも、相対的な滑動のため、ストッパー部分176の内部キャビティ176d内に取り付けられる。ピストン部材114は管状突出部176gのストッパー部分176上にあるので、ストッパー部分176と主ハウジング112との間の相対的な滑動は、ピストン部材114と投薬チャンバ120との間の相対的な滑動をもたらす。相対的な滑動は、主ハウジング112を移動させ、流体供給源170を静止させて維持することによって、若しくはその逆によって、又は、主ハウジング112及び流体供給源170を同時に移動させることによって達成可能である。
【0084】
例えば、図3Bから、封止リング171は、ストッパー部分176と流体供給源170との間の漏れを防ぐため、その間に挟まれることが分かる。封止リング171は、熱可塑性エラストマー(例えば、SANTOPRENE(登録商標))、エチレン酢酸ビニルゴム(EVA)、ポリテン、又はLDPE外側層の間にLDPEフォームコアが挟まれた低密度ポリエチレン(LDPE)積層体(「TriSeal」の商標名で販売されている)から作られてもよい。
【0085】
流体ディスペンサ110はさらに、主ハウジング112の管状体112aを取り囲む円筒状のキャリア部材195を備える。図12A及び12Bに示されるように、キャリア部材195は、主ハウジング112の管状体112aから半径方向外向きに間隔が空けられた環状体195aを有して、それらの間に環状空間187を画成する。環状体195aは、その後方端部195cに、内向きに突出する環状フランジ195bと、その前方端部195eに、スプライン加工された断面によって画成される舌部195f上に配設される複数の外向きに突出するクリップ195dとを有する。
【0086】
図3Bに示されるように、戻しばね118は、主ハウジングの環状フランジ112bの後方面112jから後方に、キャリア部材195と主ハウジング112との間の環状空間187内へと、且つそれを上で支えるキャリア部材の環状フランジ195b上へと延びる。
【0087】
流体ディスペンサ110の通常の使用では、後述する流体ディスペンサ110の休止位置及び発射後位置の両方において、キャリア部材195はストッパー部分176の屋根176c上に設置される。キャリア部材195のこの通常位置は、図3B(休止)及び3C(発射後)に示される。
【0088】
この実施形態のキャリア部材195もポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料が使用されてもよい。
【0089】
ストッパー部分176を示す図9A及び9Bを再び参照すると、屋根176cは、一対の正反対にある主突起176nと、屋根開口部176eを中心にして等角で配置された一連の小突起176pとを持つ。主突起176nは、使用の際、キャリア部材195が屋根176c上に設置されると、キャリア部材195の外周に作用して、それをストッパー部分176に対して心出しするように適合される。小突起176pは、キャリア部材195の環状フランジ195bの補完的な溝(図示なし)に嵌合して、クリップ195dが後述するノズル116のT字形トラック116g内にクリップ嵌めされるように、キャリア部材195を屋根176c上で正しい向きにする。図31に示されるような変形例では、主突起の一つから半径方向の延長部をそれぞれ形成する二つの小突起のみが設けられてもよい。
【0090】
流体ディスペンサ110はまた、主ハウジング112の前方区画112h上に取り付けられたキャップ165を取り囲む管状のノズル挿入具197を備える。図14A及び14Bは、ノズル挿入具197が中空本体197aを有し、その前方端部197bに端壁197cを有し、そこを通して中央アパーチャ197dが設けられることを示す。本体197aは、前方端壁197cから後方に延び、その後方端部を中心にして、ノズル116の内表面とシールを形成するための外周ビード197pを有する環状区画197eを備える。ノズル挿入具本体197aの後方端部197fは、間隔が空けられ、後方に延びる複数の脚部197gによって示される。この実施形態では四つの脚部197gがある。脚部197gは、本体197aに対して後方の開口部197hを中心にして、本体197a上で円周方向に配置される。各脚部197gは外向きに延びる足197iを備える。
【0091】
ノズル挿入具本体197aはさらに、第1の環状区画197eの後方へと間隔が空けられ、脚部197gがそれに従属する第2の環状区画197jを備える。第1の環状区画197e及び第2の環状区画197jは、本体197aの外周上に配設され、第1の環状区画197eと第2の環状区画197jとの間で対角線の経路上を延びる、間隔が空けられた複数の弾性リブ197kによって相互に接合される。
【0092】
第2の環状区画197jは、一対の正反対にある前方に向いた弾性舌部197lを呈する。舌部197lはリブ197kの間に配設される。
【0093】
前方端壁197cの前方面上には、中央アパーチャ197dを中心にして環状リップ197mが設けられる。前方端壁197cはさらに、そこを通るアパーチャ197nを備える。
【0094】
この実施形態のノズル挿入具197は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、当業者には理解されるように、他のプラスチック材料から作ることができる。
【0095】
図3B及び3Cは、キャップ165の封止先端部160がノズル挿入具197の前方端壁197cの中央アパーチャ197dを通って突出するようにして、ノズル挿入具197がキャップ165を中心にして流体ディスペンサ110内に配置されることを示す。さらに、キャップ165の封止リップ165hは、ノズル挿入具197の第1の環状区画197eの内周表面を滑り封止してそれと係合される。
【0096】
ノズル挿入具197とキャップ165との間に形成される環状空間は流体分配チャンバ146を画成する。
【0097】
図15A〜Bから、キャップ165は、外向きに突出する環状フランジ165iを備えることが分かる。図14A〜B及び図3Bをさらに参照することによって理解されるように、組立て中にキャップ165がノズル挿入具197に挿入されると、フランジ165iは、ノズル挿入具197の弾性舌部197lを押しのけて、ノズル挿入具197の第1の環状区画197eと第2の環状区画197jとの間の空間内で保持される。
【0098】
図3Bは、キャップ165の封止先端部160上に取り付けられるのが封止部材154であることを示す。封止部材154は、封止先端部160を封止してその上に取り付けられ、ノズル挿入具197の前方端壁197c上に設置される。封止部材154の向かい合った長手方向表面と封止先端部160との間に形成されるシールは、流体がそれらの間を通過できないようなものである。
【0099】
封止部材154は、天然ゴム又は熱可塑性エラストマー(TPE)から作られるが、封止部材154をその元の状態に戻す「記憶」を有する他の弾性材料が使用されてもよい。封止部材154は、例えば射出成形EPDM構成要素として、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から作られてもよい。
【0100】
図3A及び4に示されるように、流体ディスペンサ110のこの先端シール配置では、戻しばね118が、ノズル挿入具197と当接するようにキャップ165を付勢して、封止部材154に対する封止先端部160の位置を制御する。より具体的には、キャップ165の前方端壁165bは、ノズル挿入具197の前方端壁197cの後方面と直接係合するように付勢される。これは、当然ながら流体ディスペンサ110の主要な状態である、流体ディスペンサ110の休止状態において、封止先端部160によって過剰な力が加えられないように封止部材154を保護するという利点を有する。
【0101】
図1及び2によって示されるように、ノズル116の一対の後方に向いたランナー116aが、ストッパー部分176の外周上の補完的なトラック176m内に係合することによって、ノズル116はストッパー部分176に滑動可能に接続される。ランナー116aをトラック176m内で固定し、且つノズル116とストッパー部分176との間の最大滑動距離を画定するため、ランナー116aは外向きに延びるクリップ116bを備える。
【0102】
さらに図10A及び10Bに示されるように、ノズル116は、ヒトの鼻孔に挿入するようにサイズ及び形状が決められた、中に流体出口152が形成されたノズル区画116cと、ノズル区画116cの後方端部に、ランナー116aが従属する肩部116dとを有する。
【0103】
ノズル区画116cは、後方開放端部116fを有する内部キャビティ116eを囲む。一対のT字形の切欠き116gが内部キャビティ116eの両側に設けられる。長手方向区画116lはトラックを画成し、その中にキャリア部材195のクリップ195dがクリップ留めされて、キャリア部材195をノズル116に固定するとともに、それらの間の滑動を提供する。
【0104】
さらに、T字形の切欠き116gのクロスバー区画116vの角116nはそれぞれ、ノズル挿入具197の足197iの一つにクリップ留めされて、ノズル挿入具197をノズル116の内部キャビティ内に固着する。これらの接続は図1A〜Cで最も良く分かる。ノズル挿入具197の弾性リブ197kはばねとして作用して、ノズル挿入具197をノズル116に挿入し、次に第2の環状区画197jを圧縮して、足197iがT字形の切欠き116g内で固着されることが可能になる。それにより、ノズル挿入具197はノズル116内で拘束される。さらに、第1の環状区画197aは、ノズルの内部キャビティ116eの隣接した内表面に接して液密シールを形成して、それらの間を液体が漏れることを防ぐ。
【0105】
図11に示されるように、ノズルの内部キャビティ116eの前方端壁116iにスワールチャンバ153が形成される。スワールチャンバ153は、中央の円筒状チャンバ153aと、中央チャンバ153aに対して正接関係でそれを中心にして等間隔を置いた複数の供給チャネル153bとを備える。中央チャンバ153aの中心には、スワールチャンバ153を流体出口152接続する通路153c(出口)がある。供給チャネル153bは、正方形の切れ目であってもよく、また、100〜500ミクロン(包括的)、例えば100〜250ミクロン(包括的)の範囲、例えば、150〜225ミクロン(包括的)の範囲の深さを有してもよい。幅は、深さと同じ、例えば400ミクロンであってもよい。
【0106】
流体が中央チャンバ153aに向かって流れるにしたがってそれを加速させるため、供給チャネル153bは、流体が流れる方向で減少する断面積を備える。
【0107】
図11に示されるように、この例では、供給チャネル153bは、中央チャンバ153aに近付くにしたがって幅が減少する。したがって、減少する断面積は、供給チャネル153bの長さに沿って一定のチャネル深さを維持することによって提供されてもよい。
【0108】
代替例では、チャネル153bの幅は全体を通して均一のままであってもよく、チャネル深さが、供給チャネル153bが中央チャンバ153aに近付くにしたがって減少する。これに関して、供給チャネル153bの深さは、例えば、400ミクロンから225ミクロンまで均一に変化してもよい。
【0109】
また、流体が流れる方向で減少する断面積を提供しながら、供給チャネル153bの幅及び深さが両方ともそれらの長さに沿って変化してもよい。これに関して、供給チャネル153bの長さに沿ったアスペクト(幅:深さ)比は一定に維持されてもよい。
【0110】
好ましくは、供給チャネル153bは、例えば封止部材材料のクリープにより、封止部材154によって妨げられるのを抑制するため、狭い幅のものである。好ましくは、供給チャネル153bは低いアスペクト(幅:深さ)比を有し、すなわち狭く深いものであり、好ましくは、幅は深さよりも小さい(例えば、長方形の断面)。
【0111】
図4から理解されるように、流体がスワールチャンバ153に向かって流れることができるようにするため、封止部材154の側面154dと、ノズル116の内部キャビティ116eの隣接した内側側面との間に間隙が存在する。この流体経路は、代わりに、封止部材154の外側側面及び/又はノズル116の内側側面に長手方向の溝を形成することによって形成することができる。より具体的には、封止部材154とノズル116との間の間隙/流体経路は、アパーチャ197nを介して、また任意に、封止部材154とノズル挿入具197の前方開口部197dとの間の間隙を介して、スワールチャンバ153の供給チャネル153bをチャンバ146とフロー連通させる。
【0112】
しかし、図4で最も明白に示されるように、可撓性の封止部材154の前方面154cは、ノズル挿入具197によって、ノズル116の前方端壁116iと封止係合されて保持される。つまり、封止部材154はスワールチャンバの供給チャネル153bの上を封止し、封止部材154の側面154dとノズル116の内部キャビティ116eの隣接した表面との間の間隙を進んでくるあらゆる液体はスワールチャンバの供給チャネル153bに入り、そこからスワールチャンバ153の中央チャンバ153aに入らなければならない。
【0113】
さらに、戻しばね118は、主ハウジング112をノズル116内で前方に付勢するように作用し、それによって、主ハウジング112の前方区画112h上に固着されたキャップ165上の封止先端部160は、封止部材154の前方面154cの中央部をスワールチャンバ153の中央チャンバ153aに押し込んで、流体出口152への通路153cを封止して閉止する。このようにして、封止先端部160がより詳細に後述する弾性封止部材154の中央部を解放するまで、流体は、流体出口152、より具体的にはスワールチャンバ153に入ることもそこから出ることもできない。
【0114】
変形例では、スワールチャンバ153の中央チャンバ153aの真直ぐな壁は、封止部材154の中央部をその中に押し込むのを容易にするため、面取りされてもよい。これは、面取りされた表面が参照番号153dによって表される図17に示される。
【0115】
この実施形態のノズル116は、ポリプロピレン(PP)から射出成形されるが、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0116】
流体ディスペンサ110を動作させるため、最初に、流体ディスペンサ110に呼び水を入れて、流体出口152と流体供給源170との間の流体経路全体を充填する必要がある。呼び水を入れるため、流体ディスペンサ110は、後の分配動作とまったく同じやり方で操作される。図1B〜C及び3B〜Cに示されるように、これは、(i)ノズル116若しくは流体供給源170の一方を固定して保ちながら他方に作用して、又は両方に作用して、流体ディスペンサをその休止位置(図1B及び3B)からその発射後位置(図1C及び3C)に移動させることによって、ノズル116を流体供給源170に向かって相対的に滑動させ、(ii)戻しばね118によって、ノズル116を流体供給源170に対するその分離位置に戻して、流体ディスペンサ110をその休止位置に戻すことによって行われる。ノズル116及び流体供給源170の相対的な滑動は、ノズル116のランナー116aが、流体供給源170の首部178に固着されたストッパー部分176のトラック176m内で滑動することによってもたらされる。
【0117】
ディスペンサ110の呼び水入れとそれに続く分配とをもたらす、ノズル116と流体供給源170との間の相対移動は、実際には、ノズル116及びそれに組み合わされた構成要素(ノズル挿入具197、キャップ165、及び主ハウジング112を含む「ノズルアセンブリ」)と、流体供給源170及びそれに組み合わされた構成要素(ストッパー部分176及びピストン部材114を含む「ボトルアセンブリ」)との間の相対移動であることが理解されるであろう。戻しばね118は、ノズルアセンブリを付勢してボトルアセンブリから離し、したがって、ピストン部材114を、主ハウジング112内の投薬チャンバ120内のその後方休止位置に付勢する。
【0118】
図16A〜16Jは、呼び水入れプロセスと、呼び水入れの間の液体の流れとを示すが、図1〜15の流体ディスペンサ110のわずかな変形例(ただし、機能的には等価)である流体ディスペンサ310については、同様の機能には同様の参照番号が割り当てられている。流体ディスペンサ110についての記載の後に、図16A〜16Jの流体ディスペンサ310についてより詳細に考察するが、図16A〜16Jは、以下の流体ディスペンサ110の呼び水入れについての詳細な記載に対する有用な参照である。
【0119】
ノズル116と流体供給源170との間の上述した滑動(「給送サイクル」)の完全な(往復)サイクルはそれぞれ、投薬チャンバ120内に、流体供給源170からの液体を供給チューブ172まで引き上げる負圧を作り出す段階を含み、この循環運動は、以下により詳細に記載するように、流体供給源170から流体出口152までの流体経路全体が液体で充填されるまで継続する。
【0120】
より詳細には、液体は、供給チューブ172を通って前方に流れ、ピストン部材114の後方開口部114mを通してそのボアネットワーク114jに入り、ボアネットワーク114jの前方開口部114qから出て、ピストン部材114の外周にある軸方向溝114rを通して投薬チャンバ120の後方区画120bに入る(図16A〜16Cを参照)。
【0121】
上述したように、ノズル116及び流体供給源170がそれぞれ、主ハウジング112及びピストン部材114を支えている結果として、ノズル116及び流体供給源170の相対移動の各往復サイクルによって、ピストン部材114が、それに対応して往復する形で、主ハウジング112によって画成される投薬チャンバ120内部で後方(休止)位置から摺動する。
【0122】
ピストン部材114が、各サイクルの後半においてその前方位置からその後方の休止位置に戻ると、投薬チャンバ120内に負圧が作り出されて、液体がさらに前方に流れる。さらに、上述したように、ピストン部材114が前方封止要素148に対して後方に移動して、一方向弁を開き、その結果、液体が前方に流れて、一方向弁を介して前方の投薬チャンバ区画120aに流れ込むことが可能になる(図16D〜16Gを参照)。リップシール148aと投薬チャンバ壁との間の摩擦力は、前方封止要素148がピストン部材114の上に嵌まり込む助けとなる。
【0123】
具体的には、ピストン部材114の環状フランジ114iが、前方封止要素148のボア149の中央ボア区画149cの前方端壁149dから係脱すると、一方向弁の後方にある液体が、前方封止要素148の窓149fを通してピストン部材114のフランジ114iの周りを流れ、ピストン部材114の先端部114uの上を流れ、前方封止要素148の前方ボア区画149aを通って、投薬チャンバ120の前方区画120aに流れ込むことができる。
【0124】
流体ディスペンサを十分な給送サイクルで呼び水入れすることによって、投薬チャンバ120(前方区画120aを含む)が液体で充填されると(図16Gを参照)、その後、各サイクルによって、同量(計量体積)の液体が投薬チャンバ120から主ハウジング112の制限されたボア区画112eを通って前方に給送される(図16Gと16Hを比較されたい)。
【0125】
より詳細には、ピストン部材114が投薬チャンバ120内の前方位置へと前方に摺動する際、前方封止要素148が前方の投薬チャンバ区画120aの内表面と封止係合するようになるまで、前方ボア区画112fの弁機構189は、制限されたボア区画112eを閉じたまま保つ。これは、前方封止要素148が滑動して前方の投薬チャンバ区画120aと封止係合して、前方の投薬チャンバ区画120aと後方の投薬チャンバ区画120bとを封止して分離するのに先立って、弁戻しばね193の付勢力を、ピストン部材114の前方への摺動の初期(第1)段階において生じる液体の水圧が超えないためである。
【0126】
この第1段階は「抜取り段階」と呼ばれてもよいが、その理由として、この段階によって、ピストン部材114が前方封止要素148を前方の投薬チャンバ120a内に位置させるまで(すなわち、それにより、それらの間には流れがまったくなくなって、ピストン部材114上の前方封止要素148によって画成される一方向弁がピストン114の前方への摺動によって再閉止されることが想起される)、液体が投薬チャンバ120から流体供給源170内へと後方に給送される(すなわち、抜き取られる)ためである。抜取りフローは、投薬チャンバ120の段差120sに少なくとも一つの軸方向フルート120dを設けることによって支援される。
【0127】
前方封止要素148が前方の投薬チャンバ120a内に位置すると、前方の投薬チャンバ120a及びそれを充填する液体の計量体積が封止される。フルート120dはもう前方の投薬チャンバ区画120a内への流体流路を提供しなくなるが、それは、前方封止要素148がフルート120dの前方端部に、又はその前方にあり、チャンバ区画120aの内壁と封止係合しているためである。
【0128】
ピストン部材114の連続的な前方への摺動の次の(第2)段階では、ピストン部材114は、主ハウジング112の環状肩部112dによって示される前方の投薬チャンバ区画120aの前方端壁120cに向かって相対的に移動するにつれて、前方の投薬チャンバ区画120a内の液体の水圧を増加させる。ほぼ瞬間的であり得るピストン部材114の前方への摺動の第2段階におけるある時点において、前方の投薬チャンバ区画120a内の液体の水圧は、弁機構189の戻しばね193の付勢力よりも大きいレベルであり、それによって、図16Hに示されるように、弁要素191と制限されたボア区画112e(「弁座」として機能する)との封止係合が外れる。これは、ピストン部材114の連続的な前方への摺動の最終(第3)段階の始まりであり、この段階は、ピストン部材114が、前方封止要素148の前方端部148cと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの当接によって画定される、その前方位置に達すると終わる。この最終段階では、前方の投薬チャンバ区画120a内の計量体積の液体が、制限されたボア区画112eを介して分配されて、弁部材191の溝191eに沿って主ハウジング112の前方ボア区画112f内へと運ばれ、その後、弁機構189は、弁部材191を制限されたボア区画112eと封止係合するように戻す戻しばね193によって再閉止される。
【0129】
弁機構189は、この最終(第3)段階でのみ開き、他のすべての時は閉じたままである。
【0130】
第2及び第3段階は、総合して「分配段階」と見なすことができる。
【0131】
戻しばね118によって駆動される、投薬チャンバ120内でピストン部材114が後方へと戻り摺動する初期(第1)段階では、ピストン部材114は、投薬チャンバ120に対してだけではなく、前方封止要素148に対しても後方に移動するので、前述したように一方向弁が開く。さらに、後方へと移動しているピストン部材114の前にある前方の投薬チャンバ区画120a内に形成される頭隙において、負圧(又は真空)が発生する。
【0132】
この負圧によって、より多量の液体が流体供給源170から引き出され、前方封止要素148が前方の投薬チャンバ120aから係脱して段差120sに入るまで、開いた一方向弁を介して前方の投薬チャンバ区画120aに引き込まれる(図16Iを参照)。戻り摺動(return stroke)の初期段階において開く一方向弁をピストン114上に設けることによって、それがなければ戻り摺動を阻止又は抑制する可能性があるあらゆる流体固着がピストン部材114の前に生じることが回避される。
【0133】
ピストン部材114の後方への摺動の最終(第2)段階では、ピストン部材114は、前方封止要素148が段差120sに配設されている中間位置からその後方位置に移動する。この最終段階では、後方の投薬チャンバ区画120bから、開いた一方向弁を通すことに加えて、前方封止要素148の外側を通して、前方の投薬チャンバ区画120a内へと液体を直接引き込むことができる。前方封止要素148が段差120s内で後方に移動しているとき、液体はフルート120dを通してその周りを流れる。付随的に、前方封止要素148が前方区画120aに向かって段差120s内で前方に移動しているとき、前方の投薬チャンバ区画120aから後方の投薬チャンバ区画120bへの液体の抜取りはフルート120dを通る。
【0134】
後方への戻り摺動の終わりには、投薬チャンバ120は液体で充填される。換言すれば、後方封止要素128の前方リップシール128aと投薬チャンバ120の前方端壁120cとの間の体積が充填される。したがって、戻り摺動は「充填段階」と呼ばれてもよい。
【0135】
したがって、ノズルアセンブリとボトルアセンブリとの間の往復移動によってもたらされる、投薬チャンバ120内におけるピストン部材114の移動の各サイクルは、抜取り段階、分配段階、及び充填段階を含む。
【0136】
ピストン部材114の移動の後続の各サイクルにおいて、前方への摺動により、液体の別の計量体積が前方の投薬チャンバ区画120aに捕捉され、次に制限されたボア区画112eを介して放出され、一方後方への摺動により、液体が流体供給源170から引き出されて、投薬チャンバ120が充填される。
【0137】
呼び水入れの間、そのような後続の給送サイクルは、液体が投薬チャンバ120から流体出口152までの流体流路を充填するまで続く(図16Iを参照)。これに関して、制限されたボア区画112eを通過する液体は、主ハウジング112の前方ボア区画112fを通り、主ハウジング112の前方端部の上に取り付けられたキャップ165の前方端壁165bのアパーチャ165eを通って流体分配チャンバ146に流れ込み、キャップ165を囲むようにノズル116の内部に嵌合したノズル挿入具197のアパーチャ197nを通過することによって、封止部材154の周りの空間に流れ込み、そこから、供給チャネル153bを通ってスワールチャンバ153に流れ込む。
【0138】
流体供給源170から流体出口152までの流体流路を液体が充填すると、次の給送サイクルにおける投薬チャンバ120に対するピストン部材114の前方への摺動によって、別の計量体積の液体が制限されたボア区画112eを介して給送され、それにより、制限されたボア区画112eの下流で待機している液体が加圧される。流体分配チャンバ146内のこの圧力によって、ノズル挿入具197内のキャップ165(及び主ハウジング112)が戻しばね118の復帰力に対抗して後方へと滑動し、それにより、封止先端部160が封止部材154を封止してその中を後方に滑動する。これは、流体分配チャンバ146を境界付ける(また、したがって、加圧流体がそこに作用する)封止キャップ165の表面積が、ノズル挿入具197の表面積よりも大きいためである。
【0139】
その結果、封止部材154の弾性によって、封止部材154の前方面154cの中央部が平らになり、その元の状態に戻って、スワールチャンバ153の中央チャンバ153a及び通路153cを開く(図3Cを参照)。その結果として、計量体積の液体は、霧化するためにスワールチャンバ153を通って流体出口を介して給送されて、その前方への摺動において制限されたボア区画112eを介して給送される計量体積のための空間が作られる(図16Jを参照)。
【0140】
封止先端部160の向かい合った長手方向側部と封止部材154との間の動的シールによって、封止先端部160が中に配設され、封止先端部160によって解放されたときに封止部材154の前方面154cの中央部に対抗してそれを元の状態に戻すように作用する封止部材キャビティ154e(図4)に、水圧下にある液体が入ることが防止される。
【0141】
戻しばね118の復帰力は、復帰力が流体分配チャンバ146内の水圧よりも大きくなって、封止先端部160が封止部材154を撓ませて流体出口152を(再)閉止すると、主ハウジング112及び封止キャップ165を、ノズル挿入具197内のその通常の休止位置へと(前方に)戻す。
【0142】
このように、封止部材154は、分配(すなわち、流体ディスペンサ110が発射される)の間のみ開くので、ディスペンサ110外部の汚染物質が流体出口152を介して入り込むことによって、流体ディスペンサ110内部の液体が汚染されないように保護する。
【0143】
同じ給送サイクルの後方への摺動によって、液体が液体供給源170から引き出されて投薬チャンバ120が再充填され、次の給送サイクルの準備ができる。
【0144】
ここでディスペンサは十分に呼び水入れされており、その後の各給送サイクルによって、流体供給源170が空になるまで、一定の計量体積の液体が流体出口152から給送される。
【0145】
流体ディスペンサ110の構成は、制限されたボア区画112eが、前方への摺動の分配段階以外は弁機構189によって密閉されているため、投薬チャンバ120と流体出口152との間の経路に待機している液体の逆流がまったく、又はほとんどないようなものであることが理解されるであろう。したがって、ディスペンサの呼び水入れを再度行う必要が回避されるか、又は大幅に軽減される。さらに、封止部材154及び封止先端部160によって形成される先端封止配置と弁機構189とによって、充填段階において投薬チャンバ120内に作り出される負圧(例えば、真空)によって、周囲空気が流体出口152を介して流体ディスペンサ110に引き込まれることが防止されるか、又はほぼ防止される。
【0146】
また、流体ディスペンサ110の呼び水入れの間、液体に関して上述したのと同じ機構によって、液体の上にある頭隙内の空気(及び他のあらゆる気体)は流体出口152から押し出されることに注目すべきである。
【0147】
上述したように、キャップ165の前方端壁165bとノズル挿入具197の端壁197cの後方面との係合は、ノズル挿入具197を介して封止部材154の後方面上に突出する可能性がある封止先端部160の長さを限定する。このようにして、封止先端部160によって封止部材154に加えられる応力が制御され、したがって、ディスペンサ110の寿命全体にわたる封止部材154のクリープも制御される。その結果として、この配置では、封止部材154がスワールチャンバの供給チャネル153b内へとクリープして、その中に恒久的な妨げが生じる可能性が低くなるとともに、上述したように、流体ディスペンサ110の使用の際、封止先端部160が後方に移動すると流体出口152が開くように、封止部材154が依存している弾性/形状記憶性が失われる可能性が低くなる。
【0148】
さらに、封止キャップ165とノズル挿入具197との上述の係合によって、ノズル116内における主ハウジング112の最前方位置が画定されるが、ノズル挿入具の足197iがT字形の切欠き116gに係合していることによって、ノズル挿入具197はノズル116内の定位置に固着されることに留意すべきである。ノズル116内における主ハウジング112のこの最前方位置は、戻しばね118の作用の結果として、その通常の休止位置である。主ハウジング112は、流体ディスペンサ110の動作サイクルの分配段階において、流体分配チャンバ146内の流体が加圧されているときにのみ、この休止位置から後方に移動する。ノズル116内における主ハウジング112の休止位置のこの固定によって、投薬チャンバ120からの信頼性の高い計量のため、分配段階でピストン部材114が投薬チャンバ120の前方端壁120cに当接することができることが確保されるが、主ハウジング112がノズル116内で「浮遊」しており、中でさらに前方に移動させることができた場合、ピストン部材114は、ピストン部材114の前方への摺動の終わりに、ストッパー部分176の屋根176cとノズル116の後方端部116fとの係合によって画定される、投薬チャンバの前方端壁120cから後方に間隔が空けられることに留意すべきである。
【0149】
また、封止キャップ165とノズル挿入具197との相互係合によって、ピストン部材114が投薬チャンバ120の前方端壁120cに接触したとき、ピストン部材114が封止先端部160をさらに封止部材154に押し込む可能性も防止されることが理解されるであろう。
【0150】
図1A及び3Aは、ノズル116(及びその付随構成要素)が、図1B及び3Bに示される休止位置よりもボトル170からさらに間隔が空けられた、開放(完全拡張)位置にある流体ディスペンサ110を示す。より具体的には、休止位置では、キャリア部材195は、ストッパー部分176の屋根176c上に、又はそれに近接して載置されるが、開放位置では、キャリア部材195はストッパー部分の屋根176cから間隔が空けられる。開放位置では、ノズル116のランナー116a上のクリップ116bは、図3Aに示されるように、ストッパー部分176上にトラック176mに対して最前方位置にある。対照的に、休止位置では、クリップ116bは、図3Bにも示されるように、最前方位置の後方へと間隔が空けられる。ノズル116及びボトル170が通常の休止位置からさらに分離することができるので、流体ディスペンサは、落下したり衝撃を受けた場合の破損から保護される。
【0151】
流体ディスペンサ110は、キャリア部材195がストッパー部分176から分離されることによって、開放位置に適合することができることが理解されるであろう。図1Bは、休止位置にあるとき、キャリア部材195のクリップ195dがT字形のトラック116gの後方端部に位置付けられることを示す。キャリア部材195をノズル116とともにボトル170に対して前方に運ぶことが可能であることによってのみ、ボトル170に対してノズル116を前方に移動させることができる。
【0152】
以下、流体ディスペンサ110に使用することができる代替の封止配置について記載する。図1〜15の封止配置と同様の部分及び特徴を示すため、同様の参照番号を使用する。
【0153】
図18及び19A〜Bには、流体ディスペンサ110に使用することができる第1の代替の先端封止配置が示される。図18において、封止部材154'及びノズル挿入具197'は、図1〜15の流体ディスペンサ110における相当物とは異なる形状のものであるが、それら相当物と同様に機能する。しかし、ここでは、キャップ165の前方端壁165bは、戻しばね118が封止部材154'の後方面154b'と直接接触することによって付勢される。これは、長くなった封止部材154'が通過して封止キャップ165と接触できるようにするため、図1〜15の封止部材154を支持するノズル挿入具197'の中央アパーチャ197d'の段差又は肩部を除去したことによるものである。ノズル挿入具197'及び封止部材154'は、図1〜15の流体ディスペンサ110について記載したのと同じ材料のものである。
【0154】
図20には、第1の代替の先端封止配置と類似点を有する、流体ディスペンサ110に使用することができる第2の代替の先端封止配置が示される。この第2の代替例では、封止部材154"及びノズル挿入具197"は、図18及び19A〜Bの第1の代替案における相当物とは異なる形状のものであるが、それら相当物と同様に機能し、また同じ材料から作られる。
【0155】
図21には、流体ディスペンサ110のための異なるタイプの封止配置が示され、図22〜25は、この封止配置の構成要素を示す。
【0156】
弾性封止部材154の代わりに、プラスチック材料から作られた環状のバッキングプレート254(図23A〜B)が設けられる。この実施形態では、バッキングプレートはポリプロピレン(PP)から射出成形される。バッキングプレート254の前方面254cは、スワールチャンバの供給チャネル153bを封止するように、ノズル116の前方端壁116iと封止係合した変形例のノズル挿入具297(図24A〜B)によって保持され、それによって、バッキングプレート254の側面254dとノズル116との間の間隙を上がってくるあらゆる液体がスワールチャンバの供給チャネル153bに入り込まなければならなくなる。長手方向の溝又はフルート254yが、プレート254とノズル116との間の流体流路としてプレートの側面254dに設けられることが分かるであろう。
【0157】
封止ピン255(図22A〜B)は、封止ピン255の前方封止区画255aがバッキングプレート254の貫通孔254nを介して、スワールチャンバ153の中央チャンバ153a内に突出して、通路153cを封止して閉止するように、ノズル挿入具297上に載置される。したがって、封止ピン255は弾性封止部材154と同様に機能する。
【0158】
図21に示されるように、封止ピン255は、断面が先細状の拡大された後方端部255bを有し、それは、変形例のキャップ265(図25A〜B)の前方端壁265bの貫通孔265n内で拘束されるので、封止ピン255は、キャップ265が固着される主ハウジング112と調和して移動する。
【0159】
したがって、戻しばね118は主ハウジング112に作用して、封止ピン255をスワールチャンバの通路153cの上に封止係合するように付勢することが理解されるであろう。さらに、投薬チャンバ120内でピストン部材114が前方へと摺動する分配段階中、流体分配チャンバ146内に生じる水圧によって、キャップ265は戻しばねの力に対抗して後方に移動し、その際に、封止ピン255が後方に移動して、スワールチャンバの通路153cを開き、計量体積の液体が放出される。
【0160】
封止ピン255は、前方環状フランジ255c及び後方環状フランジ255dを備えることが分かるであろう。後方フランジ255dは、キャップの貫通孔265nへの封止ピン255の挿入を画定する。前方フランジ255cは、バッキングプレート254の後方面に接して封止する。
【0161】
さらに、主ハウジング112内の弁機構189の弁要素191は、封止ピン255を収容するような短縮された長さを備えることが分かるであろう。
【0162】
この実施形態の封止ピン255は、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)から射出成形されるが、他の機能的に等価なプラスチック材料を使用することができる。
【0163】
変形例のキャップ265及び変形例のノズル挿入具297は、図1〜15の流体ディスペンサ110の対応する部品について記載したのと同じ材料から作られる。変形例のノズル挿入具297はまた、他の図示されるノズル挿入具197、197'、197'Iと同様に、スプライン加工された前方端壁297cを有してもよい。
【0164】
図21〜25の配置は、次に、封止ピン255がキャップ265の一部として一体的に形成(例えば、成形)されるように変形することができる。その結果、後方環状フランジ255d及び/又は後方端部255bは省略されてもよい。それに加えて、又はその代わりに、前方環状フランジ255cが省略されてもよく、また、ピン255又は封止部材254の内周表面が、それらの間を封止するリップシールを備えてもよい。この後者の選択肢は、図21の先端封止配置の別の独立した改良例として使用することができる(すなわち、ピン255が、別の方法として図21に示されるようなキャップ265とは別個の構成要素であるとき)。
【0165】
次に、図16A〜Jに示される流体ディスペンサ310を参照すると、これは、図1〜15の流体ディスペンサ110と同じように機能する。封止先端部360、封止部材354、前方封止要素328、及びストッパー部分376は、流体ディスペンサ110の対応する構成要素とはわずかに異なる構造のものである。より具体的には、先端封止配置は、図20を参照して記載した代替タイプのものである。ただし、最も注目すべきは、流体ディスペンサ310内に戻しばね318のためのキャリア部材がないことである。図16Aから、環状の保持壁376tがストッパー部分376の屋根376cから前方に突出していることが分かるであろう(図31も参照)。図16Aにさらに示されるように、戻しばね318は、ストッパー部分の屋根376c上で支えられ、環状の保持壁376tと主ハウジング312との間に形成された環状の間隙を介して主ハウジング312の環状フランジ312bまで前方に延びる。また、落下するか別の形で衝撃を受けた場合の損傷に対する保護を改善するため、流体ディスペンサ110のように、流体ディスペンサ310は開放位置を有さないことが理解されるであろう。
【0166】
図26は、二つの顕著な点以外は図1〜15の流体ディスペンサ110に対応する、さらなる流体ディスペンサ410に示す。第1に、先端封止配置は、図18及び19A〜Bを参照して記載した代替のタイプのものであるが、本明細書に記載する他のもののいずれかを使用することもできる。第2に、変形例の前方封止要素448はピストン414上に固着される。この実施形態の前方封止要素448は、ピストン414上で移動しないように固着され、流体ディスペンサ110のように、流体が後方側から前方側へそこを介して流れる貫通チャネルは設けられない。変形例の前方封止要素448は、ピストン414がその前方位置へと前方に摺動する際は、流体ディスペンサ110の前方封止要素148と同様に機能し、すなわち、計量用量の流体が弁489を介して給送されるように、前方リップシール448aは前方の投薬チャンバ区画420aに接して滑動して封止する。しかし、ピストン414がその後方位置へと後方に戻り摺動する際、前方封止要素448の弾性の前方リップシール448aの両端間に生じる圧力差によって、前方リップシール448aが内向きに屈曲又は変形して、その周りに環状空間が作られて、投薬チャンバ420内の流体が前方リップシール448aを超えて前方に流れ、後退するピストン414の前にある前方の投薬チャンバ区画420aに流れ込む。
【0167】
したがって、前方リップシール448aの弾性によって、前方封止要素448が戻り摺動の初期段階において開く一方向弁として機能できるようになり、それによって、それがなければ戻り摺動を阻止又は抑制する可能性があるあらゆる流体固着がピストン部材414の前に生じることが回避される。
【0168】
意図せずに空気が投薬チャンバ420の前方区画420a内に、例えばリップシール448aの後ろにある前方封止要素448内の環状空間内に捕捉された場合、ピストン部材414が後方へと戻り摺動する間、リップシール448aは、前方の投薬チャンバ区画420aの壁を封止してそれと滑り接触したままであってもよく、上述の空気が存在することによって流体固着は生じない。換言すれば、リップシール448aは撓まない。リップシール448aが段差420sに入り込むと、流体は、圧力差によって、例えば少なくとも一つの軸方向フルート420dを介して、前方の投薬区画420aに引き込まれる。
【0169】
しかし、前方リップシール448aが一方向弁として作用するように、投薬チャンバの前方区画420aには、まったく又はほとんど空気が捕捉されないことが好ましい。
【0170】
ディスペンサ410の休止位置では、前方リップシール448aは、軸方向フルート420dが画成される投薬チャンバ壁の区画と接触している(図3Bを参照)。しかし、ディスペンサ410は、休止時に、前方リップシール448aがフルート(一つ又は複数)420dの後方に間隔が空けられて、投薬チャンバ壁から間隔が空けられるように適合されてもよい。
【0171】
図27は、図26の流体ディスペンサ410と同じように機能する、別の代替の流体ディスペンサ510を示す。類似の機能は類似の参照番号によって示し、違いについて以下に説明する。
【0172】
第1に、図28にも示されるように、前方封止要素548は、その後方端部548dにおいて張り出したわずかに異なる形状を有し、その外周表面に、後方端部548dから前方に延びる少なくとも一つの軸方向溝又はフルート548mを備える。張り出した後方端部548dは、主ハウジング512が、流体ディスペンサ510を組み立てる際にピストン部材514の上を相対的に後方に移動するとき、後方封止要素528の前方リップシール528aに当たるのを防ぐ。これに関して、後方封止要素528の前方リップシール528aは丸み付けられたリップ(図示なし)を備える。前方封止要素548の後方端部548dの外径は、少なくとも後方封止要素528の前方リップシール528aの内径と同じである。したがって、主ハウジング512が組立ての際にピストン部材514の上を相対的に後方へと滑動するとき、前方封止要素548の後方端部548dは、主ハウジング512の後方端部を後方封止要素528の前方リップシール528aの丸み付けられた表面上へと案内し、それが次に、主ハウジング512の後方端部をその上で滑動するように案内する。
【0173】
後方リップシール528bも丸み付けられたリップを備えて、対称的な後方封止要素528を形成してもよく、それが、組立てを単純化するため逆にピストン部材114上に取り付けられてもよい。或いは、前方リップシール528aのみが丸み付けられたリップを有し、後方リップシール528aは、例えば四角い切断部であってもよい。
【0174】
前方封止要素548の後方端部548dは、上述した実施形態よりも小さいものの、図27に示されるように投薬チャンバ520の内周表面からやはり間隔が空けられているが、軸方向フルート548mは、投薬チャンバ520内でピストン部材514が移動する際の、前方封止要素548の後方端部548dの周りの流体フローに対する抵抗を減少させる。
【0175】
これらの構造的な違いに関わらず、後方封止要素528及び前方封止要素548は、図26の流体ディスペンサ410におけるそれらの相当物と同じように機能する。
【0176】
第2に、ストッパー部分576は一連の小突起576pを有するが、それらは、流体ディスペンサ410の小さな屋根上の突起(図9A及び9Bを参照)とは異なり、屋根開口部576eの延長部を形成し、流体ディスペンサ510の組立ての際に主ハウジング512を屋根開口部576e内へと案内する先細の引込み表面576uを有する。
【0177】
第3に、戻しばね518のためのキャリア部材595は、環状体595aの後方端部に一連の半径方向内向きに向いた突起595hを有し、それらは、ストッパー部分の小突起576pと嵌合して、キャリア部材512がストッパー部分576に対して回転するのを防ぐとともに、図1〜15の流体ディスペンサ110について上述したように、クリップ(図示なし)がノズル516のT字形のトラック(図示なし)にクリップ留めされるように、キャリア部材595を正しい角度方向で見当合わせする。便利には、キャリア部材の突起595hの数はストッパー部分の小突起576pの2倍であり、キャリア部材の突起595hは対にして配置される。キャリア部材の突起595hの各対は、ストッパー部分の小突起576pの一つの反対側に位置する。図示されるように、戻しばね518はキャリア部材の突起595hの上で支持される。
【0178】
キャリア部材595はさらに、その後方端部において環状体595aから半径方向外向きに延びる、一対の正反対にあるアーム595jを有する。
【0179】
第4に、ノズル597の前方端壁597cは、特に流体分配チャンバ546内において、ディスペンサ510内の死空間を低減するため、わずかに異なる幾何学形状を有する。
【0180】
第5に、少なくとも一つの軸方向フルート520dは、図26のものとは異なる(したがって、図1〜15及び16のものに対応する)幾何学形状を有する。この実施形態では、少なくとも一つのフルート520dは、ディスペンサ510が休止しているとき、前方リップシール548aが少なくとも一つのフルート520dに隣接して、ただしそこから間隔が空けられて位置するように配置され、すなわち、リップシール548aが投薬チャンバ520内でその休止した後方位置にあるとき、その周りに環状の空間がある。このようにして、前方リップシール548aが少なくとも一つのフルート520d内へとクリープする可能性が回避される。
【0181】
この実施形態では、少なくとも一つのフルート520dの側縁部は、上述の実施形態のように段状になるのではなく、長手方向軸に対して角度を成す。少なくとも一つのフルート520dの側縁部は、長手方向軸に対して、例えば8°〜12°、例えば10°の鋭角を形成してもよく、ピストン部材514の前方への摺動の際に、前方の投薬チャンバ区画520a内への前方リップシール548aの移動を案内する引込み表面を提供する。少なくとも一つのフルート520dの床は、長手方向軸に対して、例えば15°〜25°、例えば20°のより急な鋭角を形成してもよい。
【0182】
図29は、流体ディスペンサ510の代替の先端封止配置を示す。図1〜15のディスペンサ110と同様に、キャップ565の封止先端部560が封止部材554を圧迫する程度は、前方端壁565bとノズル挿入具597の端壁597cの後方面との相互係合によって制御される。
【0183】
この実施形態の封止先端部560は、中に陥凹部560a'を設けることによって凹面形態を有することが分かるであろう。封止部材554は、その後方面上に陥凹部560a'に嵌合する後方隆起554s'を備えて形成(例えば、成形)される。さらに、封止部材554は、その前方面上に流体出口552を閉止する前方隆起554t'を備えて形成(例えば、成形)される。流体ディスペンサ510がその通常の休止状態にあるとき、前方隆起554t'は、封止先端部560によって後方隆起554s'に加えられる力によって、流体出口通路553cに押し付けられてそれを封止する。しかし、ピストン部材514が一方向弁(図27の589を参照)を介して計量体積の流体を給送するにつれて、流体分配チャンバ546内に生じる液圧の増加によって、封止キャップ560が後方に押し付けられると、その結果、後方隆起554s'に加えられる力は解放されて、前方隆起554t'が後方に弛緩し、流体出口通路553cが開く。実際には、通常の休止位置では、封止先端部560は後方隆起554s'を圧縮し、その際に、前方隆起554t'が外向きに押される。封止先端部560が後方に移動すると、封止部材554が作られる材料(例えば、EPDMなどの熱可塑性エラストマー)の固有の付勢によって、隆起554s'、554t'は両方ともそれらの休止状態に向かって後ろに移動することができ、その結果、封止部材554と流体出口通路553cとの間に空間が形成され、それにより、計量体積の流体を、スワールチャンバ553を介して霧化した噴霧として流体出口552から給送することができる。
【0184】
図示しないが、さらに別の代替の先端封止配置では、後方隆起554s'は省略されてもよく、封止先端部560が、流体出口通路553cと封止係合するように前方隆起554t'を外向きに押すのに使用される。封止先端部560は、この場合も、図1〜26の流体ディスペンサの場合のように、凸面の自由端を有するように変形されてもよい。
【0185】
封止部材554に前方隆起554t'を使用するこれらの配置は、先端の力を流体出口通路553cの封止が必要な封止部材554の中心に集中させ、スワールチャンバの供給チャネルの上で封止部材554に加えられる先端の力を低減させ、それによって、これらのチャネルが閉塞される(例えば、封止部材554のクリープによって)傾向が低減される。
【0186】
図30A及び30Bには、上述の流体ディスペンサに使用される変形例のストッパー部分676が示される。このストッパー部分676は、図9A及び9Bのものに密接に対応するが、主突起676nの一つから半径方向の延長部をそれぞれ形成する二つのみの小突起676pを備える。
【0187】
図31は、戻しばねのキャリア部材がストッパー部分776の一体部品776tとして形成され、好ましくはそれと一体に形成される、上述の流体ディスペンサ用のさらなる変形例のストッパー部分776を示す。そのようなストッパー部分776を使用することによって、例えば図1〜15の流体ディスペンサ110のように、別個のキャリア部材によって達成される開放(完全拡張)位置を有する、関連する流体ディスペンサが排除されることが理解されるであろう。
【0188】
図32及び33は、上述の流体ディスペンサのいずれかに使用される、好ましくはプラスチックのボトル870を示す。ボトル870は、ここでは一対の軸方向の間隔が空けられた円周ビード870cの間に画成される溝870b内に位置する、二つの正反対にある軸方向リブ870aの対である回転防止機構を備えて、ボトル870が、それに取り付けられたストッパー部分876内で回転するのを防ぐ。図33に示されるように、ストッパー部分876の内表面も、ここではボトルの回転防止機構870aと協働してそれらの間の相対的な回転を防ぐ、円周方向に向いたビード876qの角度を成すセグメントである回転防止機構を備える。したがって、ストッパー部分870の機構に対するボトル870の角度方向は、流体ディスペンサの組立ての際に事前設定することができる。また、環状セグメント876qが円周方向溝870bに嵌合して、ストッパー部分876に対してボトル870を軸方向で位置付けることが理解されるであろう。
【0189】
ボトル870は、ここではV字形の先細底部870dを有し、供給チューブ(図示なし)の入口がその中へと延びることが注目されるであろう。このようにして、ボトルが平らな底部を有する場合とは異なり、すべて又はほぼすべての流体がボトル870から引き出される。
【0190】
図示しないが、上述の実施形態の変形例では、ボトルシールが省略されてもよく、ボトルの首部とストッパー部分の内側環状スカートとの間にボアシールが形成される。
【0191】
図示しないが、上述の実施形態の別の変形例では、ノズルの後方開放端部は、ディスペンサ構成要素の挿入を案内する引込み表面又は案内表面を提供するように面取りされてもよい。
【0192】
図示しないが、上述の実施形態の別の変形例では、封止先端部がノズル挿入具に対して後方に移動すると、流体出口を封止する封止部材の少なくとも中央部分がそれとともに後方に引張られて、計量体積の流体を分配するために流体出口を開くように、封止キャップ(例えば、封止先端部)は封止部材に接続されてもよい。
【0193】
図37は、ピストン部材814'が投薬チャンバ820'内におけるその最前方位置にあるとき、主ハウジング812'の制限されたボア区画812e'内へと突出し、それによって、ピストン部材814'の前の液圧が下がったときに戻しばね893'の作用によって一方向弁889'が再閉止するのを止めるように弁部材891'を下支えする長さの、前方に延びる突出部又はスピゴット848s'を、前方封止要素848'の前方端部848c'が有する、上述の流体ディスペンサ110、310、410などのいずれかのさらなる変形例を示す。このようにして、ピストン部材814'がその休止位置に向かって十分に後方へと戻って、スピゴット848s'が制限されたボア区画812e'から、除去されたとき、例えば0.1〜0.2mm後方に移動したときにのみ、一方向弁889'が再閉止することができる。一方向弁889'をより長く保持することで、ピストン部材の前方への摺動の終わりに、ディスペンサ内部の圧力が軽減される時間を与えることによって、分配サイクル後にノズル816'上の流体出口の上に流体の泡が形成されることが防止又は抑制されると考えられる。当然ながら、ピストン部材814'の前方への摺動の終わりに一方向弁889'を開いたままにする代替のやり方、例えば、図38に示されるように、弁部材891''の後方端部891d''上に突出部891s''を有するものを想到することができる。弁部材上のそのような突出部は、前方封止要素の突出部848s'の代わり、又はそれに追加されるものであってもよい。ピストン部材も突出部を持つことができる。
【0194】
本明細書に開示する先端封止配置の利点の一つは、上述したものに加えて、封止先端部によって封止部材に加えられる封止力を超える液圧を作り出すため、分配サイクルの始めにより高い操作力(「拘束力(commitment force)」)が必要とされるという点で、流体ディスペンサに拘束の特徴が提供されることである。先端封止配置が開かれると、拘束力が解放されて、流体出口を介する流体の高速放出が生じる。これは、正確な計量と、分配される計量体積それぞれにおける滴径分布などの再現可能な流体特性とを提供するのを支援する。
【0195】
上述の流体ディスペンサの実施形態は、他の実施形態の構成要素又は特徴の一つ若しくは複数を含むように変形してもよいことが理解されるであろう。さらに、一つの実施形態の構成要素を作るための記載された材料は、他の実施形態の対応する構成要素にも使用されてもよいことを理解すべきである。
【0196】
図1〜33、37、及び38を参照して本明細書に記載した流体ディスペンサは、呼び水入れを行い、次に計量体積の流体を繰り返し分配するため、上述したノズルアセンブリとボトル/流体供給源アセンブリとの往復相対移動をもたらすように構成された、アクチュエータと連結されてもよい。
【0197】
これに関して、可能なそのようなアクチュエータが、2007年11月29日出願の英国特許出願第0723418.0号に記載され図示されており、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0198】
別の可能なアクチュエータが図34〜36に示されており、そのアクチュエータは、英国特許出願第0723418.0号のものと同じ一般原理にしたがって動作する。
【0199】
図34には、アクチュエータ4405に挿入され連結されている、図1〜33及び37のいずれかに対応する流体ディスペンサ910が示され、そのアクチュエータは、GlaxoSmithKlineが販売している、また参照により本明細書に組み込むUS-A-2007/0138207に示されるVERAMYST(登録商標)鼻内噴霧器に外観が類似した、中空の硬質プラスチック製のハウジング4409(例えば、ABS製)であって、流体供給源970に残っている流体の量を見るための窓(図示なし)を有するハウジングを含む。窓はハウジング4409のそれぞれの側面に設けられてもよい。
【0200】
流体ディスペンサ910は、その長手方向軸L-Lがハウジング4409の長手方向軸X-X(「ハウジング軸」)と見当合わせされる(すなわち、それと直列又は同軸である)ようにして、ハウジング4409に受け入れられる。流体ディスペンサ910は、その長手方向軸L-L及びハウジング軸X-Xに沿って往復並進移動するようにハウジング4409内に取り付けられる。
【0201】
単純にするため、以下の記載では主にハウジング軸X-Xを参照するが、そのような参照はそれぞれ長手方向軸L-Lにも等しく当てはまることが理解されるべきである。
【0202】
アクチュエータ4405は、軸X-Xに沿って向けられた揚力を流体ディスペンサ910に加えて、流体ディスペンサ910が計量用量の流体をノズル916から給送するように、指操作式のアクチュエータ機構4415を備える。より具体的には、指操作式のアクチュエータ機構4415によって加えられる揚力によって、ボトルアセンブリ(図示しないがピストン部材を含む)をノズルアセンブリ(図示しないが主ハウジングを含む)に対して軸X-Xに沿って前方に並進させ、それによって計量用量の流体を放出させる(呼び水入れは既になされているものと仮定する)。
【0203】
図示されるように、指操作式のアクチュエータ機構4415は、(i)軸X-Xを横断する始動方向で、図34の休止位置から、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリの前方への分配移動をもたらす動作位置(図示なし)へと内向きに、また、(ii)軸X-Xを横断する反対の戻り方向で、動作位置から、別の計量用量の流体を放出するため次に始動できるように流体ディスペンサ910をリセットできる休止位置に戻る外向きに、移動可能であるようにハウジング4409に取り付けられる。指操作式のアクチュエータ機構4415のこの可逆的な内向きの横断移動は、ボトル910から流体をそれ以上給送できなくなるまで(すなわち、ボトル910の流体が空に、又はほぼ空になるまで)継続することができる。
【0204】
指操作式のアクチュエータ機構4415は、二つの部材、すなわち、(i)ハウジング4409に対して軸X-Xを内向き/外向きに横断して移動するようにハウジング4409に取り付けられる、指操作式の硬質の第1の部材4420と、(ii)流体ディスペンサ910のボトルアセンブリとともに移動し、それを持ち上げるように第1の部材4420上で支えられる第2の硬質部材4425とを有する。第1及び第2の部材はプラスチック材料から作られ、それぞれ、ABS(例えば、Teluran(登録商標)ABS(BASF))及びアセタールであってもよい。
【0205】
図34及び36から理解されるように、この例ではレバーである第1の部材4420はハウジング4409とは別個に形成される。
【0206】
軸X-Xを横断する第1の部材4420の内向き/外向きの移動がアーチ状の移動であるように、第1の部材4420はハウジング4409に枢支されて取り付けられる。第1の部材4420は、ハウジング4409に形成される軸方向チャネル4409bに嵌合し、そこを中心として第1の部材4420が枢動する後方端部4420aを有する。
【0207】
第2の部材4425は第1の部材4420上に枢支されて取り付けられるので、アクチュエータ4405を保持している手の指であり得るユーザの一つ若しくは複数の指及び/又は親指によって、内向きの横断方向の力(図34の矢印F))が第1の部材4420に加えられると、第2の部材4425は、内向きに移動する第1の部材4420によって内向きに運ばれるので、反時計方向(図34の矢印A)で枢動することができる。この特定の例では、第2の部分4425はクランクであり、より具体的にはベルクランクである。
【0208】
より詳細には、また図35A及び35Bを部分的に参照すると、ベルクランク4425は、レバー4420に取り付けるための取付け区画4426と、取付け区画4426の一端から延びる第1の対のアーム4425a、4425bとを有する。ベルクランク1425の取付け区画4426は、固定の枢支点4427でレバー4420に枢支されて取り付けられる。
【0209】
図35A及び35Bに示されるように、ベルクランク4425はさらに、取付け区画4426の他端から延びる同一の第2の対のアーム4425a、4425bを備える。このベルクランク構成の結果として、流体ディスペンサ910をアームの各対の第1の(後方)アーム4425aが跨いでおり、第1の対の第1のアーム4425aは図34で見て近い側にあり、第2の対の対応する第1のアームは遠い側にある。
【0210】
各対の第1の(後方)アーム4425aは、軸X-Xをほぼ横断する方向で延びるが、第2の(前方)アーム4425bはノズル916に向かってより前方に角度を成している。
【0211】
ベルクランク4425は、第1のアーム4425a及び第2のアーム4425bとほぼ逆向きのY字形を有して、外側周縁と取付け部分4426の内側周縁とを形成する。図に見られるように、第1のアーム4425aと第2のアーム4425bとの間には90°未満の角度がある。
【0212】
図示されるように、取付け部分4426は、レバー4420に枢支接続するためのスピンドル4426aを備える。図36Aを参照すると、スピンドル4426aは、レバー4420の内表面4420d上に示されるブラケット4420qにクリップ留めされる。
【0213】
図35Cから理解されるように、各対の第2のアーム4425bの構成は、ベルクランク4425がレバー4420によって内向きに動くと、第2のアーム4425bの内表面4428がハウジング4409内の軸方向に向いたプッシャ表面4429に接触し、それによってベルクランク4425が枢動点4427を中心にして反時計方向Aで枢動するようなものである。実際には、ベルクランク4425がレバー4420によって内向きに移動すると、第2のアーム4425bはまたプッシャ表面4429を上向きに滑動する。プッシャ表面4429上における第2のアーム4425bの係合は、ベルクランク4425の枢動を案内する助けとなり、また、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリを持ち上げるときのベルクランク4425を支持する。
【0214】
第2のアーム4425bのプッシャ表面4429は、ハウジング4409の単一の壁機構によって、又はこの場合のように、一つずつが第2のアーム4425bのための別個のハウジング壁機構によって示されてもよい。
【0215】
レバー4420が内向きに移動する際の反時計方向Aでのベルクランク4425の枢動によって、第1のアーム4425aそれぞれの揚力面4431が、流体ディスペンサ910のストッパー部分976上に設けられた正反対にあるエンボスメント976rによって提供される支え面976uそれぞれに接触する。
【0216】
アクチュエータ4405を使用して流体ディスペンサ910を始動させるため、ユーザは、アクチュエータ4405を片手で把持し、その手の親指及び/又は指をレバー4420に置く。ユーザは、自分の鼻孔(又は他人の鼻孔)の中にノズル916を位置させ、横断力Fをレバー4420に加えて、レバーを休止位置から動作(又は作動)位置へとアーチ状に内向きに移動させる。その際、これによって、ベルクランク4425が反時計方向Aで枢動し、第1のアーム4425aの揚力面4431がストッパー部分のエンボスメント976rの支え面976uに作用して、流体ディスペンサ910のボトルアセンブリを固定のノズルアセンブリに対して上向きに持ち上げ、計量用量の流体薬剤を鼻腔内に放出させる(流体ディスペンサ910は呼び水入れされているものと仮定する)。次に、ユーザは、レバー4420に加えられた力Fを解放して、戻しばね918がアクチュエータ機構4415をリセットするとともに、流体ディスペンサ910を図34に示されるその休止位置にリセットできるようにする。
【0217】
次に、ユーザは、レバー操作を1回又は複数回繰り返して、対応する数のさらなる計量用量を放出させる。任意の所与の時刻に鼻腔内に噴霧する薬剤用量の数は、投与される流体薬剤の投薬計画によって決定される。したがって、投薬処置は、ボトル910内の流体がすべて又はほとんどすべて投与されるまで繰り返すことができる。
【0218】
レバー操作の際に、軸X-Xに沿ったハウジング4409内での流体ディスペンサ910の往復変位を案内するため、ストッパー部分976の正反対にあるエンボスメント976uの対はそれぞれ、トラック976v及び引込み面976tを有する。流体ディスペンサ910がハウジング4409内に取り付けられるとき、ストッパー部分976の回転位置は、トラック976vが、ハウジング4409の内表面上に形成される補完的な軸方向に向いたランナー(図示なし)と見当合わせされるように設定される。使用の際、流体ディスペンサ910がハウジング4409内で軸方向に変位されると、トラック976vはランナーの上に乗る。トラック976vとランナーとの協働は、ハウジング4409内での流体ディスペンサ910の長手方向の変位を案内するだけではなく、ストッパー部分976が、実際にはボトルアセンブリ全体が、ハウジング4409内で回転するのを防ぐ。同様の効果のため、ランナーを流体ディスペンサ910上に設け、補完的なトラックをハウジング4409の内面上に設けることができることが理解されるであろう。
【0219】
アクチュエータ4405はさらに、ハウジング4409の前方端部上に取り付けるための、ノズル916を被覆し保護する保護用エンドキャップ(図示なし)を備える。エンドキャップは、ハウジング4409の前方端部に設けられた適切に配置されたチャネル4451a、4451b内に受け入れられて、エンドキャップをハウジング4409にしっかり付着させてノズル916を被覆するための一対の後方に延びる耳を有する、VERAMYST(登録商標)に使用され、US-A-2007/0138207に開示されているタイプのものである。保護用エンドキャップはまた、その内表面に、エンドキャップがノズル被覆位置にあるとき、ノズル916の流体出口952と封止係合するように配置された、凸面形態の後方に面する弾性ストッパーを有する。エンドキャップは、適切には、ハウジング4409と同じ材料、例えばプラスチック材料、適切にはABSから作られる。ストッパーは、熱可塑性エラストマー、例えばSANTOPRENE(登録商標)から作られてもよい。
【0220】
キャップがノズル被覆位置にあるとき、耳の一つが指操作式アクチュエータ機構4415の、この特定の例ではそのレバー4420の移動に干渉して、例えば、VERAMYST(登録商標)における、且つUS-A-2007/0138207に開示されるのとほぼ同じやり方で、エンドキャップ及び耳が適所(すなわち、ノズル被覆位置)にあるとき、アクチュエータ機構4415の始動を防ぐ(すなわち、移動を係止する)。より詳細には、レバー4420の前方端部は中実のタブ4448を有する。タブ4448は、スロット4409aの内縁部を支えて、レバー4420がスロット4409aを介して外向きに移動するのを防ぐ。それに加えて、保護キャップがアクチュエータハウジング4409の前方端部に受け入れられて、ノズル916を被覆しているとき、キャップの従属する耳の一つがタブ4448の前に位置して、レバー4420が内向きに移動するのを防ぐ。その結果、アクチュエータ4405を使用するため、ユーザは、最初に保護用エンドキャップを除去しなければならない。
【0221】
アクチュエータ4405の組立てと、その中への流体ディスペンサ910の挿入について、以下に概説する。
【0222】
ハウジング4409は、相互にスナップ嵌めされる前方ハウジング半片4409e及び後方ハウジング半片4409fを備える。前方ハウジング半片4409e及び後方ハウジング半片4409fを相互にスナップ嵌めする前に、レバー4420の後方端部4420aを後方ハウジング半片4409fに形成された保持チャネル4409bに挿入して、指操作式のアクチュエータ機構4415が後方ハウジング半片4409fによって保持されるようにする。ハウジング4409を組み立てた後、ベルクランク4425が、前方ハウジング半片4409eによって示されるプッシャ表面4429対して正しい向きになることを確保するため、ハウジング半片4409e、4409fを相互に嵌めながら、ベルクランク4425を反時計方向Aに枢動させる。次に、ベルクランク4425を時計方向に戻して、第2のアーム4425bがハウジングのプッシャ表面4429に接触するようにする。
【0223】
ハウジング半片4409e、4409fを組み立てた後、ノズル916が前方開口部4471bに受け入れられるまで、後方開口部4471aを介して流体ディスペンサ910をハウジング4409に挿入する。これに関して、ストッパー部分976の各トラック976vの前方端部にある漏斗形の引込み表面976tは、流体ディスペンサ910を、ハウジング4409の後方開口部4471aを介してハウジング4409に挿入又は装填するとき、トラック976vをハウジング4409のランナー上へと案内する助けとなる。
【0224】
さらに、ハウジングの内表面は、ストッパー部分のエンボスメント976rの外側の平面断面を補完する断面を備えてもよい(図30Bを参照)。
【0225】
前方ハウジング半片4409eは、ノズル916にスナップ嵌め接続するため、前方開口部4471bに隣接して弾性クリップ4409hを有する。ハウジング4409へのノズル916の軸方向の挿入を限定するため、ノズル916は、クリップ4409hがノズル916に係合するときにハウジング4409の前方端部の下側に当接するその向かい合った面上に、一連の突起又はリブ916p(図10Aの機構116pを参照)を備える。その結果、ノズル916はハウジング4409に対して移動しないように固着される。
【0226】
流体ディスペンサ910がハウジング4409内をその前方端部に向かって前方に移動すると、ノズル916の肩部916d及び外側スカート916sがベルクランク4425の第1のアーム4425aの下側を押しやるので、流体ディスペンサ910がハウジング4409内でスナップ嵌めされる位置まで挿入されるのを妨げないように、ベルクランク4425が反時計方向Aに枢動する。
【0227】
ベルクランク4425は、取付け部分4426から突出するばね脚部4480と一体的に形成される。組立て中に流体ディスペンサ910をハウジング4409に挿入する際に、ノズル916によってハウジング4409の前方端部に向かってベルクランク4425が反時計方向Aに枢動すると、ばね脚部4480は、装填できるようにレバー4420の内表面4420dと係合するようにされる。ストッパー部分976上のエンボスメント976rがベルクランク4425の第1の(後方)アーム4425aを通過すると、はね脚部4480の装填が解放されて、ベルクランク4425が枢動して後方に戻るので、第1のベルクランクアーム4425aはエンボスメントの支え面976uの下に配設され、第2のベルクランクアーム4425bはハウジングのプッシャ表面4429上に位置する。
【0228】
流体ディスペンサ910は、それに加えられる挿入力によって、ハウジング4409に挿入される間にその発射後位置に移動される。流体ディスペンサ910がハウジング4409にスナップ嵌めされると、挿入力が除去され、それによって、戻しばね918がボトルアセンブリを移動させて、拘束するノズルアセンブリから離す(すなわち、ハウジングの後部開放端部4471aに向かう)。ベルクランク4425のばね脚部4480は、ベルクランク4425を枢動させてプッシャ表面4429に接するその休止位置に既に戻しているため、その後、ストッパー部分976を戻すことによって、図34に示されるように、ストッパー部分476のエンボスメント976rの支え面976uが、ベルクランク4425の第1のアーム4425aの関連する揚力面4431と係合するか、それに近接するので、ここで、レバー4420の内向きの移動によってベルクランク4425がボトルアセンブリを持ち上げる。
【0229】
続いて、後方開口部4471aが、例えばABSで作られたエンドキャップ(図示なし)で閉止され、その結果、アクチュエータ4405が「使用可能状態」になる。
【0230】
ベルクランクのばね脚部4480は逆向きの状態で(すなわち、図34に示される向きと上下逆に)流体ディスペンサ910をアクチュエータ4405に組み立てることができるという特別な有用性を有する。ばね脚部4480は、ノズル916がベルクランクの持上げアーム4425aを通り過ぎると、ベルクランク4425を前方の枢動位置で保つ傾向がある重力を超える。
【0231】
アクチュエータ4405が落下するか、他の衝撃を受けて、流体ディスペンサ910をその完全拡張(開放)位置(すなわち、別個のキャリア部材995が使用される場合)に移動させた場合、レバー4420はレバータブ4448によって外向きに移動することができないので、ストッパー部分976がノズル916からさらに離れて移動すると、エンボスメント976rによってベルクランク4425がゆがむ。より詳細には、ベルクランク4425の第1の、すなわち持上げアーム4425aが、エンボスメント976rによってそれに対して加えられる後方の力によって後方に屈曲される。これによって、ベルクランクの持上げアーム4425aはエンボスメントの支え面976uそれぞれと係合したままにされ、それにより、レバー4420を単に内向きに押すことでボトルアセンブリが前方に持ち上がって、流体ディスペンサ910がその休止位置にリセットされる。
【0232】
アクチュエータ4405は、ハウジング4409の他方の側に別の対応する作動機構(図示なし)を有するように変形させてもよい。ユーザはレバー4420を握り締め、その際に、関連するベルクランク4425がそのそれぞれの側からボトルアセンブリを前方に持ち上げる。
【0233】
上述したように、完全拡張位置、及びそれによって流体ディスペンサ910の部品が落下の際に破損するのを防ぐ能力は、キャリア部材995がストッパー部分976と統合されている場合には利用できない。ただし、ボトル970がガラスよりも軽量の材料、例えばプラスチック材料で作られている場合、この落下に抵抗する機構は必ずしも必要ではないことがあるが、恐らくは付加的な保護のためにやはり好ましい。換言すれば、統合されたストッパー部分976とキャリア部材995との使用は、例えば図32に示されるもののような、軽量の、例えばプラスチックのボトル970と組み合わせる必要があることがある。
【0234】
プラスチック材料から作られる、本明細書に記載される流体ディスペンサ又はアクチュエータのそれらの部品は、一般的には成形プロセスによって、より一般的には射出成形によって形成される。
【0235】
代表的実施形態では、流体ディスペンサ110、310、410などの流体出口152、352、452などの封止配置は、微生物及び他の汚染物質が流体出口152、352、452などを介してディスペンサ110、310、410などに、また結果として投薬チャンバ120、320、420などに、且つ最終的には流体のボトル/リザーバに進入するのを防止又は抑制するように作用する。流体が、例えば鼻に投与する液体薬剤調合物である場合、これによって、調合物に防腐剤を含まないようにすることができ、又は、恐らくより高い可能性として、防腐剤節約型の調合物にすることができる。それに加えて、シールは、ディスペンサが作動の間の休止状態にあるとき、投薬チャンバ内の大気中の流体用量が供給源又はリザーバに逆流するのを防止又は抑制するように作用する。これによって、次の使用のためにディスペンサの呼び水入れを行う必要性が回避又は低減される(したがって、呼び水入れは、実質上、流体ディスペンサを初めて使用するときに投薬チャンバを充填するのに必要なだけで、最初の使用後には不要である)。
【0236】
本明細書の流体ディスペンサ110、310、410などの変形例では、例えばゲートルの形態の封止管状スリーブが、流体ディスペンサの上に位置して、それが、ストッパー部分176、376、476など又は流体供給源170、370、470などの外表面に対して一つの(後方)地点(例えば、後方スリーブ端部若しくはその付近)で、及び、ノズル116、316、416などの外表面に対して別の(前方)地点(例えば、前方スリーブ端部若しくはその付近)で封止されてもよい。封止スリーブの材料は、スリーブとディスペンサ部品との間に形成されるシールと同様に、微生物及び他の汚染物質を透過させないように選択される。適切な材料及び封止技術は当業者には知られている。そのような封止スリーブはさらに、微生物及び他の汚染物質がディスペンサに進入しないようにディスペンサを保護する。それによってさらに、ディスペンサ内部(すなわち、先端封止配置及びボトルシール171、371、471など以外)の封止許容差を低減することができるが、それは、これらのシール(例えば、128a、b/328a、b/428a、b、165h、365h/465h、197pなど)が結果として、分配出口152、352、452など以外を介する進入に対する防御の第2のラインとなるためである。スリーブは、取り付けられたディスペンサ部品が相互に向かって、且つ相互に離れる方向に移動するのに適応する必要があり、例えば、拡張可能及び/又は収縮可能であるか、或いは、例えば、シール地点の間に余分な長さのスリーブ材料を有することによって、その最大分離距離にあるシール地点の間に、その最大距離において伸張しない長さのスリーブ材料を有する。したがって、発射段階においてディスペンサ部品が相互に向かって移動するとき、スリーブシール地点の間でスリーブ材料の緩みが生じてもよい。そのような封止スリーブの使用は、一つの(例えば、後方の)部品が別の(例えば、前方の)部分に対して移動してディスペンサを作動させる、他のディスペンサにおける用途が見出される。封止スリーブは各部品に対して封止される。
【0237】
本発明の流体ディスペンサは、例えば、予防/対症療法のために、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状を治療するため、液体薬剤配合物を分配するのに使用されてもよい。投与される正確な用量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の薬剤、並びに投与の頻度に応じて変わり、最終的には看護する医師の判断による。薬剤の組み合わせが用いられるとき、その組み合わせの各成分の用量は、一般に、各成分が単独で使用されるときに用いられるものである。
【0238】
配合物に適した薬剤は、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、若しくはモルヒネなどの鎮痛薬、ジルチアゼムなどのアンギナ性製剤、クロモグリケート(例えば、ナトリウム塩として)、ケトチフェン、又はネドクロミル(例えば、ナトリウム塩として)などの抗アレルギー薬、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、及びペンタミジンなどの抗感染薬、メタピリレンなどの抗ヒスタミン薬、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えば、フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステル、又は6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルなどの抗炎症薬、ノスカピンなどの鎮咳薬、アルブテロール(例えば、遊離塩基若しくは硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素酸塩として)、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、ピルブテロール(例えば、酢酸塩として)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、又は4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアオゾロンなどの気管支拡張薬、シロミラスト又はロフルミラストなどのPDE4阻害薬、モンテルカスト、プランルカスト、及びザフィルルカストなどのロイコトリエン拮抗薬、2R,3R,4S,5R)-2-[6-アミノ-2-(1S-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-プリン-9-イル]-5-(2-エチル-2H-テトラゾル-5-イル)-テトラヒドロ-フラン-3,4-ジオール(例えば、マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作用薬、(2S)-3-[4-({[4-(アミノカルボニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]-2-[((2S)-4-メチル-2-{[2-(2-メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例えば、遊離酸若しくはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬、アミロリドなどの利尿薬、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロンなどのホルモン、アミノフィリン、コリンテオフィリナート、リジンテオフィリナート、又はテオフィリンなどのキサンチン、インシュリン又はグルカゴンなどの治療タンパク質及びペプチドから選択されてもよい。薬剤の活性及び/又は安定性を最適化するため、且つ/又は推進剤中での薬剤の可溶性を最適化するため、適切であれば、塩(例えば、アルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として)、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、或いは溶媒和物(例えば、水酸化物)としての形態で薬剤を使用してもよいことが、当業者には明白となるであろう。
【0239】
好ましくは、薬剤は、喘息及び鼻炎などの炎症性疾患又は疾病の治療のための抗炎症性化合物である。
【0240】
一つの態様では、薬剤は、抗炎症性を有するグルココルチコイド化合物である。一つの適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-17α-(1-オキソプロポキシ)-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル(プロピオン酸フルチカゾン)という化学名を有する。別の適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルという化学名を有する。さらに適切なグルココルチコイド化合物は、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルという化学名を有する。
【0241】
他の適切な抗炎症性化合物としては、PDE4阻害薬、ロイコトリエン拮抗薬、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、β2インテグリン拮抗薬、並びにアデノシン2a作用薬などのNSAIDが挙げられる。
【0242】
配合物に含まれてもよい他の薬剤は、6-({3-[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}スルホニル)-8-メチル-4-{[3-(メチルオキシ)フェニル]アミノ}-3-キノリンカルボキサミド、6a,9a-ジフルオロ-11b-ヒドロキシ-16a-メチル-17a-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17b-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6a,9a-ジフルオロ-11i-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-17a-(2,2,3,3,-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17i-カルボチオン酸S-シアノメチルエステル、1-{[3-(4-{[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]アミノ-6-メチル-1H-インダゾール-1-イル)フェニル]カルボニル}-D-プロリンアミド、及び、2007年4月18日出願の国際特許出願PCT/EP2007/053773の実施例24に開示されている化合物、特にその24Cの形態である。
【0243】
本明細書の流体ディスペンサは、鼻炎、例えば季節性鼻炎及び通年性鼻炎など、鼻の通路の炎症性及び/又はアレルギー性症状、並びに喘息、COPD、及び皮膚炎など、他の局所的な炎症性症状を治療するための流体薬剤配合物を分配するのに適している。
【0244】
適切な投薬計画は、鼻腔をきれいにした後に、患者が鼻を介してゆっくり吸入するものである。吸入中、一つの鼻孔を手で圧迫しながら別の鼻孔に配合物を適用する。次に、この処置を他方の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、一つの鼻孔当たり一回又は二回の吸入を、一日三回以下、理想的には一日一回上述の処置によって投与する。用量はそれぞれ、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤を送達してもよい。正確な用量は、当業者には知られているか、又は容易に確認可能である。
【0245】
パラメータ又は性質に関して、「約」「ほぼ」などの用語の本明細書における使用はすべて、正確なパラメータ又は性質、並びにそこからのわずかな逸脱を含むものとする。
【0246】
上述した本発明の実施形態は単に例示である。本発明は、本明細書に開示したすべての新規な態様に関する。さらに、本発明は、薬剤の投与に使用される流体ディスペンサに制限されず、流体ディスペンサ全体に適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン部材が中で摺動する投薬チャンバを画成し、流体ディスペンサの流体出口又は前記流体出口の上に重なるシールを係合して、前記流体出口又はシールを選択的に開閉するように適合された端部を有する、流体ディスペンサの構成要素。
【請求項2】
前記端部が先端の形態である、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記端部を形成する第1の部品を含む部品のアセンブリである、請求項1又は2に記載の構成要素。
【請求項4】
前記第1の部品がキャップ部である、請求項3に記載の構成要素。
【請求項5】
前記流体ディスペンサ内に滑り封止嵌めを形成するシールを外表面上に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項6】
前記シールがリップシールである、請求項5に記載の構成要素。
【請求項7】
前記シールが前記第1の部品によって示される、請求項3に従属する場合の請求項5又は6に記載の構成要素。
【請求項8】
前記投薬チャンバが第1のチャンバであり、第2のチャンバと前記第1及び第2のチャンバの間の流体経路とを前記構成要素がさらに画成し、前記流体経路を選択的に開閉する弁を前記構成要素がさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項9】
前記第2のチャンバ内に取り付けられるとともに、前記流体経路と封止係合するように付勢されて、前記第1及び第2のチャンバを相互に封止する弁要素を前記弁が備える、請求項8に記載の構成要素。
【請求項10】
前記構成要素が前記投薬チャンバへの開口部を有し、前記開口部を介して前記ピストンを前記投薬チャンバに挿入できる、請求項1から9のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項11】
前記端部が前方端部であり、前記シールの前方に位置付けられる前記投薬チャンバとフロー連通された少なくとも一つの前方開口部を前記構成要素が有する、請求項5、6、若しくは7、又は、請求項5、6、若しくは7に従属する場合の請求項8から10のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項12】
前記前方開口部が前記第1の部品に設けられる、請求項3に従属する場合の請求項11に記載の構成要素。
【請求項13】
前記前方開口部が前記第2のチャンバ及び前記流体経路を介して前記投薬チャンバとフロー連通している、請求項8に従属する場合の請求項11又は12に記載の構成要素。
【請求項14】
前記投薬チャンバが幅が異なる同軸の第1及び第2の区画を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項15】
ばねを支持するレッジを外表面上にさらに有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項16】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバ、流体出口、並びに、(i)前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填する第1の方向と、(ii)前記チャンバから前記流体出口に向かって流体を分配する第2の方向とで、前記投薬チャンバを封止してその中で摺動するように配置されたピストン部材を有し、
前記投薬チャンバが幅の異なる第1及び第2の区画を有し、該第1の区画は該第2の区画よりも狭く、かつ、該第2の区画に対して前記第2の方向に位置しており、
前記ピストン部材が、前記第1及び第2の方向で摺動する際に、前記第2の区画を封止するように絶えず第2の区画と接触し、ただし、前記第1及び第2の方向で摺動する際の該摺動の一部分において前記第1の区画のみを封止するように該第1の区画と接触する、流体ディスペンサ。
【請求項17】
前記ピストン部材が前記第1の区画と接触して該第1の区画を封止するシールを有し、該シールが、該第1の区画の幅以上であって前記第2の区画の幅よりも狭い外寸法を有する、請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記第2の区画から前記第1の区画への流体の流れを可能にする一方向弁を前記シールが形成する、請求項17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記シールがリップシールである、請求項17又は18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記シールが前記ピストン部材の端部上に位置する、請求項17から19のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記投薬チャンバの前記第2の区画と接触して該第2の区画を封止するシールを前記ピストン部材が有する、請求項16から20のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記流体供給源と連通する流体導管であって、使用の際、前記ピストン部材が前記第1の方向で摺動すると、流体がそこを介して前記流体供給源から前記投薬チャンバ内に運ばれる流体導管を前記ピストン部材が有する、請求項16から21のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記投薬チャンバの前記第2の区画と位置を合わせるように前記ピストン部材上に位置付けられる出口を前記流体供給源が有する、請求項16から22のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項24】
使用の際、前記ピストン部材が前記第2の方向で摺動すると、前記ピストン部材が前記投薬チャンバの前記第1の区画を封止するように該第1の区画と接触するまで、前記投薬チャンバ内の流体が該投薬チャンバから抜き取られるようになっている、請求項16から23のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項25】
使用の際、前記流体が前記ピストン部材の周りで前記第1の方向で抜き取られるようになっている、請求項24に記載のディスペンサ。
【請求項26】
前記ピストン部材が前記第2の方向で摺動すると、前記ピストン部材が前記第1の区画を封止するように該第1の区画と接触するまでは閉じたままである、前記投薬チャンバと前記流体出口との間の弁を備える、請求項16から25のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記シールが前記第1の区画と接触して該第1の区画を封止した状態で、前記ピストン部材が該第1の方向で摺動すると、前記投薬チャンバの該第1の区画に流体が入ることができるように、前記一方向弁が開くようになっている、請求項18又はこれに従属する請求項19から26のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項28】
前記投薬チャンバが前記第1及び第2の区画の間に段差を有する、請求項16から27のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項29】
前記第1の区画から前記第2の区画まで延びる少なくとも一つの流体フローチャネルを前記投薬チャンバが備える、請求項16から28のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項30】
流体の容器、投薬チャンバ、流体出口、並びに、(i)前記投薬チャンバを前記容器からの流体で充填する第1の方向と、(ii)流体を前記チャンバから前記流体出口に向かって分配する第2の方向とで、前記投薬チャンバ内で摺動するように配置されたピストン部材を備え、前記ピストン部材が前記容器に対して前記第1及び第2の方向で相対移動しないように固着されるように取り付けられる、流体ディスペンサ。
【請求項31】
前記ピストン部材が前記容器上に取り付けられたキャップ構造の形で構成される、請求項30に記載のディスペンサ。
【請求項32】
前記キャップ構造が前記容器のストッパーである、請求項31に記載のディスペンサ。
【請求項33】
前記投薬チャンバが、前記流体出口が形成される前記流体ディスペンサのノズルの形で提供される、請求項30から32のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項34】
前記ノズルが前記容器に対して相対移動するようにその上に取り付けられて、前記ピストン部材が前記投薬チャンバ内で摺動する、請求項33に記載のディスペンサ。
【請求項35】
前記ノズルが前記キャップ構造上に取り付けられる、請求項31に従属する場合の請求項33又は34に記載のディスペンサ。
【請求項36】
シール部材を備える、流体ディスペンサの流体出口を封止する封止装置であって、前記シール部材が、前記流体出口を封止する第1の面と、陥凹部が設けられた第2の面と、内側位置と外側位置との間で前記シール部材に対して滑動するように、前記陥凹部内でそれを封止して滑動可能に取り付けることができる構成要素とを有し、前記構成要素が前記内側位置にあるときは前記第1の面が外向きに撓み、前記外側位置にあるときは前記第1の面がその元の状態に戻ることができる、封止装置。
【請求項37】
前記シール部材が弾性材料又は形状記憶を有する他のタイプの材料から作られる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、流体出口、投薬チャンバ、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で選択的に充填し、且つ流体を前記投薬チャンバから前記流体出口に向かって給送するため、前記投薬チャンバ内で往復運動するように配置されたピストン部材、任意に、シールによって流体が前記流体出口を介して分配されない通常の閉止状態から、前記シールが前記流体出口を開いてそこからの分配を可能にする開放状態へと移動可能な、前記流体出口を封止するシール、並びに、前記部材が前記流体出口を封止するか又は前記シールを前記閉止状態に位置させるように前記シールに作用する通常の第1の位置と、前記流体出口を開くか又は前記シールが開放状態へと移動するのを可能にする第2の位置との間で移動可能であり、前記投薬チャンバを含む構成要素を有する、流体ディスペンサ。
【請求項39】
流体出口、前記流体出口を横切って位置付けられ、前方表面及び後方表面を有する封止部材、前記封止部材の前記後方表面を押し込んで、前記封止部材の前記前方表面が前記流体出口を封止するようにするプッシャであって、前記後方表面封止部材を押す頭部と、前記頭部がそこから前方に突出する肩部とを有するプッシャ、並びに、前記肩部と係合して、前記プッシャ頭部が前記封止部材の前記後方表面を押し込む程度を制御する停止表面を有する、流体ディスペンサ。
【請求項40】
前記停止表面が壁の後方表面であり、前記プッシャ頭部が前記壁を通って突出する、請求項39に記載のディスペンサ。
【請求項41】
前記封止部材が前記壁の前方表面上に取り付けられる、請求項40に記載のディスペンサ。
【請求項42】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバと、前記投薬チャンバ内で往復運動するように取り付けられ、前記投薬チャンバの壁を封止してその上を滑動するシールを有し、ピストンが前記投薬チャンバ内で往復運動する際、前記投薬チャンバの壁の前方位置と後方位置との間で前記シールが移動するピストンとを有し、前記シールを前記前方位置から前記後方位置へと移動させる前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記シールを前記後方位置から前記前方位置へと移動させる前方への摺動によって、前記ピストンの前にある流体を前記投薬チャンバの外に給送し、前記投薬チャンバの壁に、前記前方及び後方位置の中間の位置から後方に延びる少なくとも一つの流体フロー通路が形成され、それによって、前記ピストンの前記後方への摺動の間に前記シールが前記中間の位置を超えると、前記通路を通って前記シールの前の前記投薬チャンバ内へと流体が前方に流れ込むことができる、流体ディスペンサ。
【請求項43】
前記少なくとも一つの通路が前記投薬チャンバの壁の溝である、請求項42に記載のディスペンサ。
【請求項44】
前記シールが前記ピストンの前方端部にある、請求項42又は43に記載のディスペンサ。
【請求項45】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバと、前記投薬チャンバ内で前方及び後方に往復運動するように取り付けられ、前記投薬チャンバの壁を封止してその上を滑動するシールを有するピストンとを有し、前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記ピストンの前方への摺動によって、前記ピストンの前にある流体を前記投薬チャンバの外に給送し、使用の際、前記後方への摺動の間、前記投薬チャンバを封止してそれと接触している状態から離れるように前記シールが適合されて、流体が前記シールを超えて前方へと流れ、前記ピストンの前の前記投薬チャンバに流れ込むことができる、流体ディスペンサ。
【請求項46】
前記シールが前記後方への摺動の間は内向きに撓むように適合されたリップシールである、請求項45に記載のディスペンサ。
【請求項47】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、出口を有する投薬チャンバと、前記出口を閉止するように付勢される弁と、前記投薬チャンバ内で前方及び後方に往復運動するように取り付けられたピストンとを有し、前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記ピストンの前方への摺動によって、前記投薬チャンバ内にある流体を前記投薬チャンバの前記出口を介して給送し、前記ピストン部材の前記前方への摺動の終わりに前記弁の付勢に対抗して前記弁が開いたままであるように構成され配置された、流体ディスペンサ。
【請求項48】
前記ピストン及び前記弁が協働して、前記前方への摺動の終わりに前記弁を開いたままにするように構成され配置された、請求項47に記載のディスペンサ。
【請求項49】
前記ピストン及び前記弁が協働する表面を有し、そこを介して前記ピストンが前記前方への摺動の終わりに前記弁を開いたままにする、請求項48に記載のディスペンサ。
【請求項50】
前記ピストン及び前記弁の少なくとも一方が他方に作用する突出部を有し、それによって前記ピストンの前記前方への摺動の終わりに前記弁が開いたままになる、請求項48又は49に記載のディスペンサ。
【請求項1】
ピストン部材が中で摺動する投薬チャンバを画成し、流体ディスペンサの流体出口又は前記流体出口の上に重なるシールを係合して、前記流体出口又はシールを選択的に開閉するように適合された端部を有する、流体ディスペンサの構成要素。
【請求項2】
前記端部が先端の形態である、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記端部を形成する第1の部品を含む部品のアセンブリである、請求項1又は2に記載の構成要素。
【請求項4】
前記第1の部品がキャップ部である、請求項3に記載の構成要素。
【請求項5】
前記流体ディスペンサ内に滑り封止嵌めを形成するシールを外表面上に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項6】
前記シールがリップシールである、請求項5に記載の構成要素。
【請求項7】
前記シールが前記第1の部品によって示される、請求項3に従属する場合の請求項5又は6に記載の構成要素。
【請求項8】
前記投薬チャンバが第1のチャンバであり、第2のチャンバと前記第1及び第2のチャンバの間の流体経路とを前記構成要素がさらに画成し、前記流体経路を選択的に開閉する弁を前記構成要素がさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項9】
前記第2のチャンバ内に取り付けられるとともに、前記流体経路と封止係合するように付勢されて、前記第1及び第2のチャンバを相互に封止する弁要素を前記弁が備える、請求項8に記載の構成要素。
【請求項10】
前記構成要素が前記投薬チャンバへの開口部を有し、前記開口部を介して前記ピストンを前記投薬チャンバに挿入できる、請求項1から9のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項11】
前記端部が前方端部であり、前記シールの前方に位置付けられる前記投薬チャンバとフロー連通された少なくとも一つの前方開口部を前記構成要素が有する、請求項5、6、若しくは7、又は、請求項5、6、若しくは7に従属する場合の請求項8から10のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項12】
前記前方開口部が前記第1の部品に設けられる、請求項3に従属する場合の請求項11に記載の構成要素。
【請求項13】
前記前方開口部が前記第2のチャンバ及び前記流体経路を介して前記投薬チャンバとフロー連通している、請求項8に従属する場合の請求項11又は12に記載の構成要素。
【請求項14】
前記投薬チャンバが幅が異なる同軸の第1及び第2の区画を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項15】
ばねを支持するレッジを外表面上にさらに有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の構成要素。
【請求項16】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバ、流体出口、並びに、(i)前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填する第1の方向と、(ii)前記チャンバから前記流体出口に向かって流体を分配する第2の方向とで、前記投薬チャンバを封止してその中で摺動するように配置されたピストン部材を有し、
前記投薬チャンバが幅の異なる第1及び第2の区画を有し、該第1の区画は該第2の区画よりも狭く、かつ、該第2の区画に対して前記第2の方向に位置しており、
前記ピストン部材が、前記第1及び第2の方向で摺動する際に、前記第2の区画を封止するように絶えず第2の区画と接触し、ただし、前記第1及び第2の方向で摺動する際の該摺動の一部分において前記第1の区画のみを封止するように該第1の区画と接触する、流体ディスペンサ。
【請求項17】
前記ピストン部材が前記第1の区画と接触して該第1の区画を封止するシールを有し、該シールが、該第1の区画の幅以上であって前記第2の区画の幅よりも狭い外寸法を有する、請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記第2の区画から前記第1の区画への流体の流れを可能にする一方向弁を前記シールが形成する、請求項17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記シールがリップシールである、請求項17又は18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記シールが前記ピストン部材の端部上に位置する、請求項17から19のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記投薬チャンバの前記第2の区画と接触して該第2の区画を封止するシールを前記ピストン部材が有する、請求項16から20のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記流体供給源と連通する流体導管であって、使用の際、前記ピストン部材が前記第1の方向で摺動すると、流体がそこを介して前記流体供給源から前記投薬チャンバ内に運ばれる流体導管を前記ピストン部材が有する、請求項16から21のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記投薬チャンバの前記第2の区画と位置を合わせるように前記ピストン部材上に位置付けられる出口を前記流体供給源が有する、請求項16から22のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項24】
使用の際、前記ピストン部材が前記第2の方向で摺動すると、前記ピストン部材が前記投薬チャンバの前記第1の区画を封止するように該第1の区画と接触するまで、前記投薬チャンバ内の流体が該投薬チャンバから抜き取られるようになっている、請求項16から23のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項25】
使用の際、前記流体が前記ピストン部材の周りで前記第1の方向で抜き取られるようになっている、請求項24に記載のディスペンサ。
【請求項26】
前記ピストン部材が前記第2の方向で摺動すると、前記ピストン部材が前記第1の区画を封止するように該第1の区画と接触するまでは閉じたままである、前記投薬チャンバと前記流体出口との間の弁を備える、請求項16から25のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記シールが前記第1の区画と接触して該第1の区画を封止した状態で、前記ピストン部材が該第1の方向で摺動すると、前記投薬チャンバの該第1の区画に流体が入ることができるように、前記一方向弁が開くようになっている、請求項18又はこれに従属する請求項19から26のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項28】
前記投薬チャンバが前記第1及び第2の区画の間に段差を有する、請求項16から27のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項29】
前記第1の区画から前記第2の区画まで延びる少なくとも一つの流体フローチャネルを前記投薬チャンバが備える、請求項16から28のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項30】
流体の容器、投薬チャンバ、流体出口、並びに、(i)前記投薬チャンバを前記容器からの流体で充填する第1の方向と、(ii)流体を前記チャンバから前記流体出口に向かって分配する第2の方向とで、前記投薬チャンバ内で摺動するように配置されたピストン部材を備え、前記ピストン部材が前記容器に対して前記第1及び第2の方向で相対移動しないように固着されるように取り付けられる、流体ディスペンサ。
【請求項31】
前記ピストン部材が前記容器上に取り付けられたキャップ構造の形で構成される、請求項30に記載のディスペンサ。
【請求項32】
前記キャップ構造が前記容器のストッパーである、請求項31に記載のディスペンサ。
【請求項33】
前記投薬チャンバが、前記流体出口が形成される前記流体ディスペンサのノズルの形で提供される、請求項30から32のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項34】
前記ノズルが前記容器に対して相対移動するようにその上に取り付けられて、前記ピストン部材が前記投薬チャンバ内で摺動する、請求項33に記載のディスペンサ。
【請求項35】
前記ノズルが前記キャップ構造上に取り付けられる、請求項31に従属する場合の請求項33又は34に記載のディスペンサ。
【請求項36】
シール部材を備える、流体ディスペンサの流体出口を封止する封止装置であって、前記シール部材が、前記流体出口を封止する第1の面と、陥凹部が設けられた第2の面と、内側位置と外側位置との間で前記シール部材に対して滑動するように、前記陥凹部内でそれを封止して滑動可能に取り付けることができる構成要素とを有し、前記構成要素が前記内側位置にあるときは前記第1の面が外向きに撓み、前記外側位置にあるときは前記第1の面がその元の状態に戻ることができる、封止装置。
【請求項37】
前記シール部材が弾性材料又は形状記憶を有する他のタイプの材料から作られる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、流体出口、投薬チャンバ、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で選択的に充填し、且つ流体を前記投薬チャンバから前記流体出口に向かって給送するため、前記投薬チャンバ内で往復運動するように配置されたピストン部材、任意に、シールによって流体が前記流体出口を介して分配されない通常の閉止状態から、前記シールが前記流体出口を開いてそこからの分配を可能にする開放状態へと移動可能な、前記流体出口を封止するシール、並びに、前記部材が前記流体出口を封止するか又は前記シールを前記閉止状態に位置させるように前記シールに作用する通常の第1の位置と、前記流体出口を開くか又は前記シールが開放状態へと移動するのを可能にする第2の位置との間で移動可能であり、前記投薬チャンバを含む構成要素を有する、流体ディスペンサ。
【請求項39】
流体出口、前記流体出口を横切って位置付けられ、前方表面及び後方表面を有する封止部材、前記封止部材の前記後方表面を押し込んで、前記封止部材の前記前方表面が前記流体出口を封止するようにするプッシャであって、前記後方表面封止部材を押す頭部と、前記頭部がそこから前方に突出する肩部とを有するプッシャ、並びに、前記肩部と係合して、前記プッシャ頭部が前記封止部材の前記後方表面を押し込む程度を制御する停止表面を有する、流体ディスペンサ。
【請求項40】
前記停止表面が壁の後方表面であり、前記プッシャ頭部が前記壁を通って突出する、請求項39に記載のディスペンサ。
【請求項41】
前記封止部材が前記壁の前方表面上に取り付けられる、請求項40に記載のディスペンサ。
【請求項42】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバと、前記投薬チャンバ内で往復運動するように取り付けられ、前記投薬チャンバの壁を封止してその上を滑動するシールを有し、ピストンが前記投薬チャンバ内で往復運動する際、前記投薬チャンバの壁の前方位置と後方位置との間で前記シールが移動するピストンとを有し、前記シールを前記前方位置から前記後方位置へと移動させる前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記シールを前記後方位置から前記前方位置へと移動させる前方への摺動によって、前記ピストンの前にある流体を前記投薬チャンバの外に給送し、前記投薬チャンバの壁に、前記前方及び後方位置の中間の位置から後方に延びる少なくとも一つの流体フロー通路が形成され、それによって、前記ピストンの前記後方への摺動の間に前記シールが前記中間の位置を超えると、前記通路を通って前記シールの前の前記投薬チャンバ内へと流体が前方に流れ込むことができる、流体ディスペンサ。
【請求項43】
前記少なくとも一つの通路が前記投薬チャンバの壁の溝である、請求項42に記載のディスペンサ。
【請求項44】
前記シールが前記ピストンの前方端部にある、請求項42又は43に記載のディスペンサ。
【請求項45】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、投薬チャンバと、前記投薬チャンバ内で前方及び後方に往復運動するように取り付けられ、前記投薬チャンバの壁を封止してその上を滑動するシールを有するピストンとを有し、前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記ピストンの前方への摺動によって、前記ピストンの前にある流体を前記投薬チャンバの外に給送し、使用の際、前記後方への摺動の間、前記投薬チャンバを封止してそれと接触している状態から離れるように前記シールが適合されて、流体が前記シールを超えて前方へと流れ、前記ピストンの前の前記投薬チャンバに流れ込むことができる、流体ディスペンサ。
【請求項46】
前記シールが前記後方への摺動の間は内向きに撓むように適合されたリップシールである、請求項45に記載のディスペンサ。
【請求項47】
流体供給源とともに使用する流体ディスペンサであって、出口を有する投薬チャンバと、前記出口を閉止するように付勢される弁と、前記投薬チャンバ内で前方及び後方に往復運動するように取り付けられたピストンとを有し、前記ピストンの後方への摺動によって、前記投薬チャンバを前記流体供給源からの流体で充填することができ、前記ピストンの前方への摺動によって、前記投薬チャンバ内にある流体を前記投薬チャンバの前記出口を介して給送し、前記ピストン部材の前記前方への摺動の終わりに前記弁の付勢に対抗して前記弁が開いたままであるように構成され配置された、流体ディスペンサ。
【請求項48】
前記ピストン及び前記弁が協働して、前記前方への摺動の終わりに前記弁を開いたままにするように構成され配置された、請求項47に記載のディスペンサ。
【請求項49】
前記ピストン及び前記弁が協働する表面を有し、そこを介して前記ピストンが前記前方への摺動の終わりに前記弁を開いたままにする、請求項48に記載のディスペンサ。
【請求項50】
前記ピストン及び前記弁の少なくとも一方が他方に作用する突出部を有し、それによって前記ピストンの前記前方への摺動の終わりに前記弁が開いたままになる、請求項48又は49に記載のディスペンサ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図16J】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図16J】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2010−527859(P2010−527859A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509827(P2010−509827)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056655
【国際公開番号】WO2008/145714
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(509328009)ミードウエストベーコ カルマー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056655
【国際公開番号】WO2008/145714
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(509328009)ミードウエストベーコ カルマー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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