説明

流体パイプ結合装置

【課題】比較的簡単な構造であっても、差込み部材を収容部に配向し、ロックする際に文句なしの取り扱いを特徴とする流体パイプ結合装置を提供することである。
【解決手段】差込み部材(1)と、収容部(18)と、ロッキング部材(11)を備える流体パイプ結合装置において、差込み部材(1)とロッキング部材(11)にロッキング手段(4、5、17)が形成されている。このロッキング手段は、前記差込み部材(1)が前記収容部(18)内にロックされるロック位置へ前記ロッキング部材(11)が移行するのを、前記ロッキング手段(4、5、17)が相互に所定のように配向されている場合だけ許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による流体パイプ結合(カップリング)装置に関する。即ち、本発明は、差込み部材と、該差込み部材を導入することのできる収容部と、半径方向に前記収容部内をスライド可能に支承されたロッキング部材とを備える流体パイプ結合装置であって、該ロッキング部材により、前記差込み部材が前記収容部に押し込まれた配置ではロック位置にロックされる形式の流体パイプ結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の流体パイプ結合装置は特許文献1から公知である。公知の流体パイプ結合装置は、差込み部材と収容部を有し、この収容部に前記差込み部材を挿入することができる。さらに収容部には半径方向にスライド可能に支承されたロッキング部材が設けられており、このロッキング部材により差込み部材を、収容部に押し込まれた配置構成でロック位置にロックすることができる。
【0003】
特許文献2から、差込み部材に配向突起が形成されている流体パイプ結合装置が公知である。この配向突起は、収容部に押し込まれた配置構成で、収容部に形成された配向切欠部に係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許DE102004038913B3
【特許文献2】米国特許公開公報US2004/0183300A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来の装置において、例えば、特許文献2においては、ロック操作とは別に、差込部材の配向突起の収容部の配向切欠部への配向操作が必要であり、差込結合の際、迅速な配向ロックが困難である。
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の流体パイプ結合装置から出発して、比較的簡単な構造であっても、差込み部材を収容部に配向し、ロックする際に文句なしの(迅速な)取り扱いを可能とする流体パイプ結合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は冒頭に述べた形式の流体パイプ結合装置において、請求項1の特徴部分の構成によって解決される。即ち、本発明の一視点において、前記差込み部材ならびに前記ロッキング部材には、少なくとも1つの配向突起と少なくとも1つの配向切欠部によって配向手段が形成されており、該配向手段は、ロック位置において前記差込み部材が前記収容部に対して正しい角度で配向されるよう連携作用する。(形態1)なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号は専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0007】
これによって本発明の流体パイプ結合装置では、配向手段(ないし機構)が差込み部材とロッキング部材に形成されており、ロッキング部材のロック位置では、差込み部材が収容部に対して正しく配向され、かつ収容部内に正しくかつ迅速に(ワンタッチで)ロックされることが保証される。なお、収容部に対して差込み部材の配向が必要な場合においても収容部としては、従来の収容部が使用できるが、収容部自体はそのために配向することは不要である。
【0008】
本発明のさらなる有利な実施形態は従属請求項の対象である。以下に有利な実施形態について述べる。
前記差込み部材は、半径方向で外側に突き出た少なくとも1つの配向突起を有し、前記ロッキング部材は少なくとも1つの配向切欠部により形成されており、該配向切欠部にはロック位置で前記配向突起が配置されることが好ましい。(形態2)
直径方向に相互に対向する2つの配向突起が設けられていることが好ましい。(形態3)
前記差込み部材は半径方向で外に突き出たリングカラーを有し、前記配向突起は、差込み方向で見て前記リングカラーの後方に配置されていることが好ましい。(形態4)
前記配向切欠部と前記ロッキング突起とは、相互に適合する寸法で相補的に構成されていることが好ましい。(形態5)
前記配向突起は丸められた外端縁部を有し、前記ロッキング部材には該外端縁部と連携作用する、丸められた内縁部が設けられており、前記外端縁部と前記内縁部は、前記差込み部材が前記収容部に対し正しく配向されていない場合、正しい配向位置への前記差込み部材の運動を容易にし、または前記ロッキング部材が前記ロック位置へ自動的に移行するように形成されたことが好ましい。(形態6)
【0009】
本発明のさらなる有利な実施形態および利点は、図面を参照した以下の実施例の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】差込み部材、収容部、およびロッキング部材を備える流体パイプ結合装置の一実施例の展開斜視図である。
【図2】差込み部材、収容部、およびロッキング部材が統合された配置構成にある、図1の実施例の部分断面斜視図である。
【図3】差込み部材が収容部内にロックされたロック位置にあるロッキング部材を備える、図1の実施例の断面図である。
【図4】図3の配置構成に対して回転された差込み部材を備える、図1の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の流体パイプ結合装置の実施例を展開斜視図に示す。図1の流体パイプ結合装置は、実質的にシリンダ形状の差込み部材1を有し、この差込み部材は半径方向で外側に突き出た周回するリングカラー2を有する。リングカラー2の差込み部材1のシャフト端部3とは反対側には、相互に直径方向に対向する2つの配向突起4、5が差込み部材1に設けられており、これらはリングカラー2を越えて半径方向で外方に突き出ている。
【0012】
さらに図1に示した実施例の流体パイプ結合装置は、パッキングユニット6を有する。このパッキングユニット6には、締付けリング7、エラスティックな2つのパッキングリング8、9、およびパッキングリング8、9の間に配置された中間リング10が装備されている。
【0013】
さらに本発明による流体パイプ結合装置には、ロッキング部材11が装備されている。このロッキング部材は、ほぼ正方形の基面からなる偏平な操作プレート12を有する。操作プレート12の相互に対向する縁部側には、一方ではエラスティックな2つロッキングアーム13、14が設けられており、他方ではこのロッキングアーム13、14から間隔をおいて配置され、このロッキングアーム13、14よりも格段に曲げ剛性のある後方把持脚部15、16が設けられている。後方把持脚部15、16間には、本発明の流体パイプ結合装置の配向手段の配向切欠部17が形成されている。
【0014】
さらに本発明の流体パイプ結合装置は収容部18を有する。この収容部18は、ロッキング部材支承部分19、中間部分20、および接続部分21により形成され、この接続部分21は、ロッキング部分20にロッキング部材支承部分19とは反対側に配置されている。ロッキング部材支承部分19は、ロッキングアーム収容空間22、23と後方把持脚部収容空間24、25を有し、この後方把持脚部収容空間24、25はロッキングアーム13、14ないし後方把持脚部15、16を収容するように構成されている。
【0015】
図2は部分断面斜視図に、差込み部材1、ロッキング部材11、および本発明の流体パイプ結合装置の、図1に説明した実施例の収容部18が統合された配置構成にある様子を示す。この配置構成では、パッキングユニット6が締付けリング7とともに収容部18内に閉鎖されており、差込み部材1が図2に図示しないシャフト端部3とともにまずロッキング部材支承部分19に、そして中間部分20に挿入されている。この挿入は、リングカラー2が挿入方向で後方把持脚部15、16の後方(図中右方)に配置され、配向突起4が配向切欠部17と面一に位置決めされるまで行われる。図2の配置構成では、差込み部材11が半径方向外側に収容部18を顕著に越えた解除位置に配置されている。配向突起4は、配向切欠部17に嵌合することにより、2つの部材(差込み部材、収容部)の間の相対角度位置の配向を行う。
【0016】
図3は、図1の本発明の流体パイプ結合装置の実施例を、ロッキング部材11の後方把持脚部15、16の領域での断面図に示す。図3の配置構成では、ロッキング部材11が図2の配置構成に対して半径方向で内側にずらされたロック位置にある。このロック位置では、ロッキング部材11の後方把持脚部15、16が、差込み部材1のリングカラー2を後方から把持し、これにより差込み部材1を、導入方向とは反対の引き抜き運動に対して収容部18内でロックする。さらに図3から、ロッキング部材11のロック位置では、図2の配置構成で配向切欠部17に適合して配向された配向突起4が配向切欠部17に沈み込んで(嵌合して)おり、この配向切欠部17により、実質的に正しい寸法で相補的に構成されているから包囲されていることが分かる。これにより差込み部材11は2つの可能な配向位置の一方で、収容部18に対して(角度位置が)ねじれないように確保されている。
【0017】
図4は、図3に相応する横断面に差込み部材1を示す。この差込み部材1は、図2および図3の配向状態に対して捻られた配置構成にあり、ここでは配向突起4、5のいずれもが配向切欠部17と合致して配置されていない。図4から、差込み部材1が収容部18を基準にして、このような正しくない(不適合)配置にある場合、ロッキング部材11がロック位置に移行できないことがよく分かる。
【0018】
有利には、収容部18を基準にして差込み部材1を正しく(角度)配向するのを容易にするため、配向突起4、5の半径方向で外側を指す側面26、27、ならびに後方把持脚部15、16の半径方向で内側を指す縁部28、29は丸み付けられて形成されている。これにより、収容部18に対して正しい(角度)配向へ差込み部材1をねじることが容易になる。または相互のスライドによって自動的に行われる。なお、この丸味付けは配向突起の若干の角度ずれを許容する程度のものであり、ロッキング部材11の押圧により、配向突起4が回動されて、配向切欠き17に整合(嵌合)するよう形成されることが好都合である。
【0019】
本題の実施例について図面を参照しつつ以上説明したが、本発明は上記図示の実施例に限定されるものではなく、開示した解決原理思想に基づく、各種変形、態様の修正、用途目的に応じた設計変更等が可能である。また、開示した各要素間の組合せ態様の変更も当業者が適宜使用目的に応じてなしうるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込み部材(1)と、該差込み部材(1)を導入することのできる収容部(18)と、半径方向に前記収容部(18)内をスライド可能に支承されたロッキング部材(11)とを備える流体パイプ結合装置であって、
該ロッキング部材(11)により、前記差込み部材(1)が前記収容部(18)に押し込まれた配置ではロック位置にロックされる形式の流体パイプ結合装置において、
前記差込み部材(1)ならびに前記ロッキング部材(11)には、少なくとも1つの配向突起(4、5)と少なくとも1つの配向切欠部(17)によって配向手段が形成されており、
該配向手段は、ロック位置において前記差込み部材(1)が前記収容部(18)に対して正しい角度で配向されるよう連携作用すること、
を特徴とする流体パイプ結合装置。
【請求項2】
請求項1記載の流体パイプ結合装置において、
前記差込み部材(1)は、半径方向で外側に突き出た少なくとも1つの配向突起(4、5)を有し、
前記ロッキング部材(11)は少なくとも1つの配向切欠部(17)により形成されており、
該配向切欠部にはロック位置で前記配向突起(4、5)が配置されること、
を特徴とする流体パイプ結合装置。
【請求項3】
請求項2記載の流体パイプ結合装置において、
直径方向に相互に対向する2つの配向突起(4、5)が設けられている流体パイプ結合装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の流体パイプ結合装置において、
前記差込み部材(1)は半径方向で外に突き出たリングカラー(2)を有し、
前記配向突起(4、5)は、差込み方向で見て前記リングカラー(2)の後方に配置されていること、
を特徴とする流体パイプ結合装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項記載の流体パイプ結合装置において、
前記配向切欠部(17)と前記ロッキング突起(4、5)とは、相互に適合する寸法で相補的に構成されていること、
を特徴とする流体パイプ結合装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項記載の流体パイプ結合装置において、
前記配向突起(4、5)は丸められた外端縁部(26、27)を有し、
前記ロッキング部材(11)には該外端縁部(26、27)と連携作用する、丸められた内縁部(28、29)が設けられており、
前記外端縁部と前記内縁部は、前記差込み部材(1)が前記収容部(18)に対し正しく配向されていない場合、正しい配向位置への前記差込み部材(1)の運動を容易にし、または前記ロッキング部材(11)が前記ロック位置へ自動的に移行するように形成されたこと、
を特徴とする流体パイプ結合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−261590(P2010−261590A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104823(P2010−104823)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(507046288)アー ライモント エ カンパニュイ (71)
【Fターム(参考)】