説明

流体供給システム

【課題】弁装置を取り付けるタンク開口を小さくできる流体供給システムを提供する。
【解決手段】加圧水素ガスを内部に貯留可能な水素タンク10,10と、水素タンク10に設けられる弁装置20と、水素タンク10の上流側に位置する充填口30と、水素タンク10の下流側に位置する減圧弁と、水素タンク10に充填口30から弁装置20を介して水素を充填する際に水素が通流するガス充填流路と、水素タンク10から弁装置20を介して水素を減圧弁40の方向に供給する際に水素が通流するガス供給流路と、を備え、弁装置20は、水素充填時および水素供給時に開弁して水素の通流を調整するひとつの開閉弁と、開閉弁と同軸に配置され、当該開閉弁の上流および下流に付与される圧力を調整するパイロット弁と、水素充填時と水素供給時とで水素の通流方向が相違する開閉弁流路と、ガス充填流路と前記ガス供給流路とがひとつの流体路に備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体充填路と流体供給路とを備えた流体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体として、例えばガスをタンクに充填するガス充填路とタンク内のガスをガス消費機器に供給するガス供給路とを備えたガス供給システム(流体供給システム)が種々提案されている。特許文献1には、ガス充填路とガス供給路とが別々に設けられたシステムが記載されている。特許文献2には、ガス充填路とガス供給路とが共有であり、メイン弁とパイロット弁とが別々に配置されたシステムが記載されている。なお、メイン弁は、弁体の前後差圧を利用した背圧式にて作動するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4530644号公報
【特許文献2】米国特許第7309113号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のようにガス充填路とガス供給路とが別々に配置されたシステムでは、タンクの弁装置に、ガス充填時に開弁する逆止弁と、ガス供給時に開弁するバルブ(電磁弁)とを別々に設けなければならず、弁装置を取り付けるタンク開口が大型化する問題があった。このようにタンク開口が大型化することによって、タンク内のガスが弁装置を押し出す推力が大きくなり、弁装置をタンクに強固に取り付ける構造が必要になる。
【0005】
また、ガス充填路とガス供給路とが別々に配置されていると、タンクへのガス充填直後は弁装置下流の供給配管の圧力は低いままなので、弁装置の開弁時に弁装置下流の昇圧スピードが過大となり、減圧弁下流の圧力がオーバーシュートして、リリーフ弁の作動による起動の遅れや、燃費の悪化、弁装置のシール部へのインパルス圧印加による耐久性悪化という問題がある。
【0006】
さらに、これら充填路と供給路とが別々に配置されていると、タンクへのガス充填完了直後は、弁装置の前後差圧が大きく、弁装置のシート部は、圧力差による弁押付け力で強く押さえられており高い耐久性が要求されるが、開弁時には、その押付け力に打ち勝つ推力で強制的に押し返されるため、弁装置のシート部の耐久性が悪化する問題がある。また、弁装置の作動に際して差圧力に打ち勝つ推力を確保しなければならないので、ソレノイドが大型化する問題がある。さらに、ガス充填路とガス供給路とがそれぞれ必要となるため、システムおよびバルブとも構造が複雑になるという問題がある。
【0007】
そこで、特許文献2に記載のようにガス充填路とガス供給路とを共有したガス供給システムでは、前記した充填路と供給路との別配置に伴う問題を概ね解決できる。しかしながら、流路を共有していても弁装置のメイン弁(開閉弁)とパイロット弁とが別体で構成されているため、タンク開口が大型化する問題が残ってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、弁装置を取り付けるタンクの開口を小さくでき、しかも流体充填路と流体供給路との別配置に伴う種々の問題を解決できる流体供給システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧力を加えた流体を内部に貯留可能なタンクと、前記タンクに設けられる弁装置と、前記タンクの上流側に位置し充填時に開いて流体を通す充填口と、前記タンクの下流側に位置する減圧弁と、前記タンクに前記充填口から前記弁装置を介して流体を充填する際に流体が通流する流体充填路と、前記タンクから前記弁装置を介して流体を前記減圧弁の方向に供給する際に流体が通流する流体供給路と、を備え、前記弁装置は、流体充填時および流体供給時に開弁して流体の通流を調整するひとつの開閉弁と、前記開閉弁と同軸に配置され、当該開閉弁の上流および下流に付与される圧力を調整するパイロット弁と、流体充填時と流体供給時とで流体の通流方向が相違する開閉弁流路と、を有し、前記流体充填路と前記流体供給路とがひとつの流体路に備えられることを特徴とする。
【0010】
これによれば、パイロット弁を開閉弁に対して同軸に設けたことにより、弁装置の径方向の寸法を短くすることが可能となり、弁装置を取り付けるためのタンク開口を小さくできる。このようにタンク開口を小さくできることにより、弁装置がタンク内の流体から受ける推力(弁装置を押し出す力)を減らすことができ、弁装置をタンクに取り付けるための構造を簡素化できる。つまり、タンクにねじ込む際の弁装置のねじ込み長さを短くでき、またタンクライナも薄くすることが可能になる。
【0011】
また、充填口から減圧弁までの流体路において流体充填路と流体供給路とを共用化したので、タンクへの流体充填直後における開閉弁の下流圧はタンク内と同等であり、開閉弁の開弁時に、開閉弁下流の昇圧スピードが過大になることもなく、減圧弁下流のオーバーシュートを未然に防止できる。これにより、減圧弁の下流にリリーフ弁が設けられているシステムにおいて、リリーフ弁が作動するという問題を解決でき、リリーフ弁の作動による起動の遅れや、燃費の悪化、開閉弁のシール部へのインパルス圧印加による耐久性の悪化を防止できる。
【0012】
また、背圧式を採用せずキックパイロット式を用いていることから、差圧による開弁機構を回避することで、開閉弁のシート部の耐久性が悪化したり、弁装置のソレノイド(後記する実施形態でのプランジャ、固定コア、電磁コイル)が大型化するのを防止できる。開閉弁のシート部を耐久性の低いものにできるので、シート部にゴム材等(例えば、シール性:良好、強度:低)の材質を選択することも可能になる。
【0013】
また、タンクのメンテナンスの際などにおいて、開閉弁の前後差圧が過大となる場合であってもキックパイロット式の電磁弁を採用することで、過大な開弁力が必要でシート部に負荷の大きい開閉弁の差圧作動を回避することができる。
【0014】
また、流体充填路と流体供給路とを共用化することにより、システム上においては配管の簡素化(削減)、弁装置においては、内部流路の簡素化、逆止弁機能の開閉弁への機能統合によるデバイス削減が可能となり、小型軽量化を達成できる。特に、搭載スペースが限られる車載用複数タンクシステムにおいて好適である。
【0015】
このように、弁装置を小型化でき、タンク開口を小さくできるので、堅牢な燃料供給系を備えた流体供給システムを構成できる。
【0016】
また、前記弁装置は、弁箱と、前記弁箱の内部に設けられ前記開閉弁流路を開閉するための開閉弁弁座と、流体充填時に前記開閉弁弁座から離間する方向に流体圧力を受ける受圧面を備える開閉弁本体と、前記開閉弁本体に開設されたパイロット通路と、前記開閉弁本体の一端に設けられたパイロット弁座と、パイロット弁体と、前記パイロット弁体を一端に備えるプランジャと、前記開閉弁本体と前記プランジャとを所定の遊びを持って連動させる連動機構部と、前記プランジャの他端に一端が接し前記開閉弁本体を前記開閉弁弁座の方向に付勢する付勢部材と、前記付勢部材の他端が接する固定コアと、前記プランジャの周方向に巻回された電磁コイルと、を備えることを特徴とする。
【0017】
これによれば、メンテナンス時など開閉弁の上流と下流との差圧(前後差圧)が大きくなる場合には、まずプランジャが駆動されてパイロット弁が開閉弁本体に形成されたパイロット弁座から離れてパイロット通路が開放されることにより、タンク内の流体がパイロット通路を通って流体路に放出される。このとき、開閉弁本体とプランジャとが所定の遊びを持って連動する連動機構部を備えているので、プランジャが駆動されたとしても、開閉弁本体は前後差圧によって開弁することがなく、パイロット弁のみが開弁する。その後、開閉弁本体の下流側と上流側とが均圧化したときに、プランジャがさらに駆動されて開閉弁本体が開閉弁弁座から離れ、開閉弁流路と流体路とが連通することで、タンク内の流体が開閉弁流路を通って流体路に放出される。流体充填時には、充填流体の圧力によって開閉弁本体が開弁することで、流体が開閉弁流路を流体供給時とは逆向きの流れとなって通過してタンク内に充填される。
【0018】
また、前記付勢部材は、前記タンク内が予め設定された流体圧力に達した際に前記開閉弁本体を閉じるようにばね力が設定されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、タンク内が充填される流体の充填圧に達したとき開閉弁本体が閉じることで、タンク内に充填された流体が抜け出るのを防止できる。
【0020】
また、前記充填口と前記タンクとの間には、前記充填口への流体の流れを妨げる逆止弁が配置されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、タンクから充填口への流体の逆流をより確実に防止し、充填口とタンクとの間の配管に流体が流れ込むことによる供給先への供給流量減少を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、弁装置を取り付けるタンク開口を小さくでき、しかも流体充填路と流体供給路との別配置に伴う種々の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る流体供給システムを示す全体構成図である。
【図2】流体供給システムに用いられる弁装置を示す断面図である。
【図3】ガス充填時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時(P1>P2)、(b)は非励磁時(P2=目標充填圧)である。
【図4】ガス供給時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時(P1=P2)、(b)は励磁時である。
【図5】メンテナンス時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時、(b)は励磁時(P1<P2)、(c)は励磁時(P1=P2)である。
【図6】第2実施形態に係る流体供給システムを示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る流体供給システム1A,1Bについて図1ないし図6を参照して説明する。なお、以下では、流体供給システム1A,1Bを適用した燃料電池システムF1を供えた車両(燃料電池自動車)を例に挙げて説明する。また、本実施形態に係る流体供給システム1A,1Bは、流体として水素ガスを用いており、船舶用や航空機用などの燃料電池システム、または家庭用や業務用などの定置式の燃料電池システムなどにも適用できる。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示すように、流体供給システム1Aは、水素タンク10A,10B(10、タンク)と、この水素タンク10に設けられる弁装置20と、水素タンク10(10A)の上流側に位置する充填口30と、水素タンク10(10B)の下流側に位置する減圧弁40と、ガス配管50(流体路)と、を備えている。
【0026】
水素タンク10は、燃料としての高純度の水素ガスが高圧で充填された容器である。また、水素タンク10には、タンク内の水素の温度を検出する、サーミスタなどで構成された温度センサ(不図示)が設けられている。
【0027】
水素タンク10は、例えば、アルミニウム合金により形成され、その内部に水素ガスを高圧で貯留するライナー(タンク室)10a(図2参照、一部のみ図示)を有し、そのライナー10aの周囲をCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)や、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化プラスチック)等で形成されたカバー10b(図2参照、一部のみ図示)で覆って構成されている。
【0028】
弁装置20は、水素タンク10に形成された開口部10c(図2参照)に取り付けられる、常閉式のキックパイロット式電磁弁であり、後記するECU100によって開閉制御される。なお、弁装置20の詳細な構造については図2を参照して後記する。
【0029】
充填口30は、例えば水素充填ステーションに設けられたディスペンサから延びる水素供給ホースと連結自在に接続される。また、充填口30には、第1逆止弁30aが設けられており、水素の充填が開始されると、第1逆止弁30aが充填時の水素の圧力(充填圧力)によって開弁する。
【0030】
減圧弁40は、水素タンク10から供給された水素の圧力を所定圧に減圧し、燃料電池FCに向けて供給する機能を有している。なお、減圧弁40は、水素充填時、つまり燃料電池FCで水素が消費されていない場合に閉弁する機能を有するものであってもよく、あるいは減圧弁40の上流に常閉式の遮断弁(不図示)が設けられていてもよい。
【0031】
ガス配管50(流体路)は、充填口30から減圧弁40まで延びる配管50aと、前記配管50aから分岐して水素タンク10A(10)の弁装置20に接続される配管50bと、前記配管50aから分岐して水素タンク10B(10)の弁装置20に接続される配管50cと、を含んで構成されている。
【0032】
なお、配管50aにおいて、充填口30から配管50bの分岐部まで延びる部分を配管50a1とし、配管50bの分岐部と配管50cの分岐部との間の部分を配管50a2とし、配管50cの分岐部と減圧弁40との間の部分を配管50a3とする。本実施形態では、水素タンク10Aに水素を充填する場合、配管50a1,50bがガス充填流路(流体充填路)に相当し、水素タンク10Bに水素を充填する場合、配管50a1,50a2,50cがガス充填流路(流体充填路)に相当する。また、水素タンク10Aから水素を減圧弁40側に向けて供給する場合、配管50b,50a2,50a3がガス供給流路(流体供給路)に相当し、水素タンク10Bから水素を減圧弁40側に向けて供給する場合、配管50c,50a3がガス供給流路(流体供給路)に相当する。
【0033】
また、図1では、水素タンク10A,10Bが配管50b,50cを介して配管50aに対して別々の位置で接続されている場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、配管50bと配管50cとが途中で合流して1本の配管として、配管50aに接続される構成であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、2本の水素タンク10A,10Bを備えた流体供給システム1A(1B)を例に挙げて説明したが、水素タンク10を1本のみ備えた流体供給システムでもあってもよく、水素タンク10を3本以上備えた流体供給システムであってもよい。
【0035】
このようにして構成された流体供給システム1Aは、燃料電池システムF1を備えた車両(燃料電池自動車)に適用される。燃料電池システムF1は、流体供給システム1Aとともに、燃料電池FC、リリーフ弁60、エゼクタ61、パージ弁62、コンプレッサ70などを備えている。
【0036】
燃料電池FCは、複数の固体高分子型の単セル(不図示)が積層されることで構成された燃料電池スタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、このMEAを挟む導電性を有するアノードセパレータ(不図示)及びカソードセパレータ(不図示)と、を備えている。
【0037】
MEAは、1価の陽イオン交換膜(例えばパーフルオロスルホン酸型)からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソードとを備えている。アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されると共に、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
【0038】
アノードセパレータには、各MEAのアノードに対して水素を給排するための溝などで形成されたアノード流路12が形成されている。カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するための溝などで形成されたカソード流路13が形成されている。
【0039】
そして、アノード流路12を介して各アノードに水素が供給されるとともに、カソード流路13を介して各カソードに空気(酸素)が供給されると、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、燃料電池FCと外部負荷(走行モータなど)とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池FCが発電するようになっている。
【0040】
リリーフ弁60は、配管50dの圧力が所定圧力を超えたときに開く逆止弁を備えて構成されている。なお、リリーフ弁60は、機械的に開弁するものに限定されず、電気的な信号によって開弁するものであってもよい。
【0041】
エゼクタ61は、リリーフ弁60より下流の配管50dに配置され、燃料電池FCのアノード流路12から排出された未反応の水素を、配管50eを介して燃料電池FCのアノード流路12に戻す機能を有している。なお、エゼクタ61に替えて水素ポンプであってもよい。
【0042】
パージ弁62は、燃料電池FCのアノード流路12の出口側の配管50fに配置され、開弁することにより、燃料電池FCの発電時において水素循環流路(アノード流路12、配管50d,50e)を循環する水素に同伴する不純物(水蒸気、窒素等)を排出する機能を有している。なお、パージ弁を開弁して不純物を排出するタイミングとしては、例えば、燃料電池FCの単セルの電圧を検出するセル電圧モニタ(不図示)から入力される最低セル電圧が所定セル電圧以下となったときである。
【0043】
コンプレッサ70は、燃料電池FCのカソードに空気(酸素)を供給するものであり、モータで駆動されるスーパーチャージャなどで構成され、配管50gを介してカソード流路13の入口と接続されている。コンプレッサ70が駆動されると、車外からの空気が圧縮され、カソード流路13に供給されるようになっている。コンプレッサ70のモータの回転速度は、例えば、図示しないアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)が大きくなると、空気を大流量・高圧で供給するように、高められる設定となっている。
【0044】
なお、燃料電池システムF1のカソード側には、それぞれ図示しない、加湿器、背圧弁、希釈器が設けられている。
【0045】
加湿器は、水分交換可能な複数の中空糸膜を備えており、中空糸膜を介して、燃料電池FCに供給される空気と、カソード流路13から排出された多湿のカソードオフガスとの間で水分交換されて、燃料電池FCに供給される空気が加湿されるように構成されている。
【0046】
背圧弁は、バタフライ弁などで構成された開度調整可能な常開型の弁で構成され、配管50hに設けられている。例えば、背圧弁の開度は、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなると、ECU100によって、空気を高圧で供給するために、小さくなる(絞る)ように制御される。
【0047】
希釈器は、背圧弁の下流の配管50hに設けられており、パージ弁62から配管50fを介して排出されたアノードオフガスが導入され、このアノードオフガス中の水素をカソードオフガスで希釈した後、車外に排出するように構成されている。
【0048】
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成され、弁装置20、パージ弁62の開閉、コンプレッサ70の回転速度を制御する。
【0049】
図2に示すように、弁装置20は、水素タンク10に取り付けられ、弁箱21、開閉弁本体22、パイロット弁体23、ソレノイド24、コイルばね25(付勢部材)、連動機構部Mなどで構成されている。なお、図2は、説明を容易にするために、弁装置20を簡略化して図示している。
【0050】
弁箱21は、内部に開閉弁本体22、パイロット弁体23、ソレノイド24、コイルばね25、弁連動機構Mを収容する略円筒状の収容部21sを有し、水素タンク10の外部と連通する第1連通孔21aと、水素タンク10内と連通する第2連通孔21b,21bと、を備えている。なお、第2連通孔21bは、2箇所に限定されるものではなく、1箇所であっても、3箇所以上であってもよい。
【0051】
また、弁箱21の外周面には、ねじ溝21dが形成されており、このねじ溝21dと、水素タンク10の開口部10cに形成されたねじ溝10dとが、螺合することにより弁装置20が水素タンク10に取り付けられている。なお、水素タンク10と弁装置20とは、オーリングなどのシール部材(不図示)を介して互いに接合され、水素タンク10内の水素が外部に漏れ出ないように構成されている。
【0052】
また、弁箱21の内部には、開閉弁本体22が当接することで第1連通孔21aと水素タンク10内とを遮断し、開閉弁本体22が離間することで第1連通孔21aと水素タンク10内とを連通する開閉弁弁座21cが設けられている。この開閉弁弁座21cは、例えば、弁箱21内において凹面が図示下側を向くように形成された凹部21eが周方向にリング状に形成されるとともに、この凹部21eにゴム製や樹脂製のシール部材21fが嵌合されて構成されている。このように、開閉弁本体22の先端(図示上端)の周縁部がシール部材21fに当接することで、第1連通孔21aと水素タンク10内との連通が遮断される。
【0053】
開閉弁本体22は、弁装置20のメイン弁として動作するものであり、例えば、断面視略T字状に形成され、収容部21s内に収容されている。開閉弁本体22の先部(図示上部)は、第1連通孔21aの開口径よりも大きく、かつ、シール部材21fに当接可能な径となる大径部22a1となっている。なお、本実施形態では、第1連通孔21aと対向する開閉弁本体22(大径部22a1)の上面が、ガス充填時に水素の圧力(ガス圧力)を受ける受圧面22pとなっている。また、開閉弁本体22の基端部(図示下部)は、大径部22a1より径の小さい小径部22a2となっている。
【0054】
また、開閉弁本体22には、大径部22a1および小径部22a2の径方向の中心部に軸O方向に沿って貫通するパイロット通路22bが形成されている。また、開閉弁本体22の基端(一端、図示下端)は、後記するパイロット弁体23のパイロット弁座22cとして機能するように構成されている。
【0055】
パイロット弁体23は、開閉弁本体22と同軸Oとなるように配置され、開閉弁本体22に形成されたパイロット通路22bと対向する位置に配置されるように構成されている。また、パイロット弁体23は、ゴムや樹脂などの弾性材料で形成され、パイロット通路22bの通路径よりも大径に形成されている。このように、開閉弁本体22とパイロット弁体23とが互いに同軸Oに配置されることにより、弁装置20の径方向の寸法を短くすることが可能になる。
【0056】
なお、パイロット弁体23側ではなく開閉弁本体22側にシール部材が設けられてパイロット弁が構成されていてもよく、また開閉弁弁座21c側ではなく開閉弁本体22側にシール部材が設けられて開閉弁が構成されていてもよい。
【0057】
ソレノイド24は、開閉弁本体22およびパイロット弁体23を開弁させる際の駆動力を発生させるものであり、プランジャ24a、固定コア24b、電磁コイル24cなどで構成されている。
【0058】
プランジャ24aは、磁性材料で形成され、軸O方向に棒状に延びる略円柱形状を呈している。また、プランジャ24aの先端(一端、図示上端)には、パイロット弁体23が嵌め込まれている。なお、プランジャ24aも、開閉弁本体22およびパイロット弁体23と互いに同軸なるように配置されている。
【0059】
固定コア24bは、磁性材料で形成され、弁箱21に形成された収容部21sの底部に固定されている。また、固定コア24bは、略円柱形状を呈し、プランジャ24aと同軸Oとなるように、プランジャ24aの基端(図示下端)と対向して配置されている。
【0060】
電磁コイル24cは、図示しないボビンに巻回されて構成され、プランジャ24aおよび固定コア24bの周囲を取り囲むように配置されている。
【0061】
コイルばね25は、一端がプランジャ24aの基端(他端)に接し、かつ、他端が固定コア24bに接するように配置され、プランジャ24aを押圧して、開閉弁本体22を開閉弁弁座21cの方向に付勢するように構成されている。なお、コイルばね25のばね力は、水素充填時(ガス充填時)に、水素タンク10内が予め設定された充填目標圧力(タンク内が予め設定された流体圧力)に達したときに開閉弁本体22を閉じるように設定されている。充填目標圧力とは、例えば、水素タンク10内が満タンとなる圧力である。
【0062】
連動機構部Mは、開閉弁本体22とプランジャ24aとを所定の遊びを持って連動させるものであり、支持部材26aと、係合ピン26bと、プランジャ24aに形成された連結孔24sと、で構成されている。
【0063】
支持部材26aは、軸方向に延びる略円筒状に形成され、開閉弁本体22側(上側)に位置する第1円筒部26a1と、この第1円筒部26a1よりも拡径し、かつ、プランジャ24aよりも大径に形成された第2円筒部26a2と、を有している。第2円筒部26a2は、第2連通孔21bの途中の高さ位置まで延びて形成されている。
【0064】
これにより、第1円筒部26a1が、開閉弁本体22の大径部22a1の下面に当接するとともに、小径部22a2に外嵌することで、開閉弁本体22に固定されている。また、第2円筒部26a2には、開閉弁本体22の基端の一部が突出し、かつ、プランジャ24aの一部(図示上部)が挿入され、第2円筒部26a2とプランジャ24aとの間に水素の通流を可能にするガス通流部Q1が形成されている。
【0065】
係合ピン26bは、軸O方向に直交する方向に延びて配置され、第2円筒部26a2に形成された取付孔26a3,26a3に固定されている。一方、プランジャ24aには、係合ピン26の高さ位置において、係合ピン26が挿通される連結孔24sが貫通して形成されている。この連結孔24sは、内部で係合ピン26が移動可能となる幅(高さ)で形成されるとともに、係合ピン26の上部(開閉弁本体22側、パイロット弁体23側)に隙間(遊び)Sが形成されるように構成されている。なお、図2では、係合ピン26の図示上下に隙間が形成されている構造を図示しているが、弁装置20(開閉弁本体22およびパイロット弁体23)が図2に示すように閉じているときに、係合ピン26の図示上側のみに隙間Sが形成されているものであればよい。
【0066】
また、本実施形態に係る弁装置20では、弁箱21と、開閉弁本体22および支持部材26aとの間に、開閉弁本体22が開弁したときに水素が通流する開閉弁流路Q2が形成されている。この開閉弁流路Q2は、ガス充填時に、第1連通孔21aから水素が導入された後に第2連通孔21bから水素が導出されるように通流し、ガス供給時に、第2連通孔21bから水素が導入された後に第1連通孔21aから水素が導出されるように通流する。このように本実施形態における開閉弁流路Q2は、ガス充填時とガス供給時とで水素が通流する方向が相違している(反対になっている)。
【0067】
なお、本実施形態では、開閉弁弁座21c、開閉弁本体22、ソレノイド24および連動機構部Mにより開閉弁が構成され、パイロット通路22b、パイロット弁体23およびソレノイド24によりパイロット弁が構成されている。
【0068】
次に、第1実施形態に係る流体供給システム1Aの動作について図3ないし図5を参照して説明する。図3はガス充填時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時(P1>P2)、(b)は非励磁時(P2=目標充填圧)、図4はガス供給時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時(P1=P2)、(b)は励磁時、図5はメンテナンス時における弁装置の動作を示す断面図であり、(a)は非励磁時、(b)は励磁時(P1<P2)、(c)は励磁時(P1=P2)である。
【0069】
まず、水素タンク10Aに水素を充填する場合には、ソレノイド24が非励磁(消磁)の状態にあり、開閉弁本体22とパイロット弁体23とが双方とも、コイルばね25の付勢力によって、パイロット弁体23がパイロット弁座22cを押圧する方向、開閉弁本体22が開閉弁弁座21cを押圧する方向に閉弁している(図2に示す状態)。
【0070】
そして、充填口30から水素の充填を開始することにより、充填口30の第1逆止弁30a(図1参照)が開弁し、配管50a1,50bを介して弁装置20に向けて水素の充填が開始される。
【0071】
このとき、図3(a)に示すように、開閉弁本体22の上流側(弁装置20の外側)の圧力をP1とし、開閉弁本体22の下流側(水素タンク10A(図1参照)内)の圧力をP2とすると、圧力P1が圧力P2よりも大きいので(P1>P2)、充填口30側の圧力P1によって、開閉弁本体22の受圧面22pが押圧され、開閉弁本体22が開閉弁弁座21cから離間して、第1連通孔21aと第2連通孔21bとが開閉弁流路Q2を介して連通し、開閉弁流路Q2において水素が矢印方向に流れ、水素が水素タンク10に充填される。
【0072】
そして、図3(b)に示すように、水素タンク10内の圧力P2が予め設定された所定圧(例えば、目標充填圧、水素タンク10が満タンになる圧力)に達すると、圧力P1=圧力P2となり、コイルばね25の付勢力によって開閉弁本体22がパイロット弁体23とともに押圧されて、開閉弁本体22が閉弁し、第1連通孔21aと開閉弁流路Q2との通流が遮断され、水素の充填が完了する。
【0073】
一方、車両のイグニッションスイッチがONにされると、ECU100は、燃料電池FCへの水素の供給を開始する。すなわち、ガス供給時(水素供給時)には、ECU100が弁装置20のソレノイド24を励磁する指令を出力する。このとき、図4(a)に示すように、ガス充填完了直後においては、弁装置20が閉弁したときに圧力P1と圧力P2とがほぼ同等であるので、図4(b)に示すように、ソレノイド24が励磁されることにより、パイロット弁体23が開弁せずに、直ちに開閉弁本体22が開閉弁弁座21cから離間して、開閉弁本体22が開弁する。開閉弁本体22が開弁することにより、第1連通孔21aと第2連通孔21bとが開閉弁流路Q2を介して連通し、開閉弁流路Q2において水素が図4(b)の矢印方向に流れ、水素が水素タンク10から減圧弁40の方向に向けて供給される。
【0074】
水素タンク10から弁装置20を介して供給された水素は、減圧弁40により減圧された後に燃料電池FCのアノードに供給される。また、ガス供給とともに、ECU100によってコンプレッサ70の駆動が開始され、車外から取り込まれた空気が圧縮された後に加湿器(不図示)で加湿され、燃料電池FCのカソードに供給される。燃料電池FCの発電電力は、走行モータ(不図示)などの外部負荷に供給される。
【0075】
ところで、水素タンク10の点検などのメンテナンス(気密検査、耐圧検査など)時には、図5(a)に示すように、開閉弁本体22の下流側の圧力P1は低く、水素タンク10内の圧力P2は高くなり、開閉弁本体22の上流と下流との間での圧力差(前後差圧)が非常に大きくなる。
【0076】
このようにメンテナンス時において、ECU100によってソレノイド24が励磁されると、図5(b)に示すように、プランジャ24aが図示下向きに吸引され、パイロット弁体23がパイロット弁座22cから離間し、パイロット弁体23が開弁する。なお、このとき開閉弁本体22の前後差圧は非常に大きいので、ソレノイド24を励磁したとしても開閉弁体22は開弁することがない。よって、図5(b)において矢印で示すように、水素タンク10内の水素は、第2連通孔21b、ガス通流部Q1、パイロット通路22b、第1連通孔21aを通って、水素タンク10から流出する。
【0077】
このように、水素がパイロット通路22bを通って流出して、開閉弁本体22の下流側(減圧弁40側、燃料電池FC側)の圧力P1が、開閉弁本体22の上流側(水素タンク10側)の圧力P2に徐々に近づいて、図5(c)に示すように、圧力P1と圧力P2とが同等になったときに、開閉弁本体22が開閉弁弁座21cから離間する。つまり、図5(b)に示す状態において、圧力P1と圧力P2とが同等になったときに、ソレノイド24の吸引力によってプランジャ24aが図示下方に吸引される。このとき、係合ピン26bが連結孔24s内の上面24s1にすでに当接しているので、プランジャ24aがさらに吸引されることにより、係合ピン26bが引き下げられて、それと同時に開閉弁本体22も引き下げられ、図5(c)に示すように、開閉弁本体22が開弁する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る流体供給システム1Aによれば、パイロット弁体23(パイロット弁))を開閉弁本体22(開閉弁)に対して同軸Oに設けたことにより、弁装置20の径方向の寸法R(図2参照)を短くすることができ、弁装置20を取り付けるための水素タンク10のタンク開口を小さくできる。このようにタンク開口を小さくできることにより、弁装置20が水素タンク10内のガスから受ける推力(弁装置20を押し出す力)を減らすことができ、水素タンク10にねじ込む際の弁装置20のねじ込み長さL(図2参照)を短くでき、また水素タンク10のライナー10a(図2参照)やカバー10b(図2参照)の厚みDも薄くすることができる。
【0079】
また、本実施形態では、充填口30から減圧弁40までの流体路においてガス充填流路(流体充填路)とガス供給流路(流体供給路)とを共用化する(ひとつの流体路に備えられる)ことにより、水素タンク10へのガス充填直後において開閉弁本体22の下流圧(P1)は水素タンク10内の圧力P2と同等になっているので、開閉弁本体22の開弁時に、開閉弁本体22下流の昇圧スピードが過大になることもなく、減圧弁40下流のオーバーシュートを未然に防止できる。これにより、減圧弁40の下流にリリーフ弁60(図1参照)が設けられている流体供給システム1Aにおいて、リリーフ弁60が作動するという問題を解決できる。
【0080】
また、本実施形態では、開閉弁本体22下流の昇圧スピードが過大になることはないので、開閉弁本体22のシール部材21fへのインパルス圧印加によって耐久性が悪化するのを防止できる。
【0081】
また、本実施形態では、従来のように背圧式(特許文献2)を採用せずキックパイロット式を採用しているので、差圧による作動機構を回避することで、開閉弁本体22のシール部材21fの耐久性が悪化したり、弁装置20のソレノイド24(プランジャ24a、固定コア24b、電磁コイル24c)が大型化するのを防止できる。これにより、開閉弁本体22のシール部材21fを過大に耐久性の大きいものにする必要がないので、シール部材21fにゴム材等(例えば、シール性:良好、強度:低)の材質を選択することも可能になる。また、必要となる開閉弁本体22のシール部材21fへの荷重を低減できるので、必要となる開閉弁本体22の開弁力を小さくすることができ、ソレノイドの小型化が可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、水素タンク10のメンテナンス時などに、一時的に開閉弁本体22の前後差圧が過大になる場合においても、キックパイロット式の電磁弁(弁装置20)を採用することで、過大な開弁力が必要でシール部材21fに負荷の大きい開閉弁の差圧作動を避けることができる。
【0083】
また、本実施形態では、ガス充填流路(流体充填路)とガス供給流路(流体供給路)とを共用化することにより、流体供給システム1上においては配管の簡素化(削減)、弁装置20においては、内部流路の簡素化、逆止弁機能の開閉弁本体22への機能統合によるデバイス削減が可能となり、小型軽量化を達成できる。特に、搭載スペースが限られる車載用複数タンクシステムにおいて好適である。
【0084】
このようにして、弁装置20および水素タンク10のタンク開口をそれぞれ小さくできることで、堅牢な燃料供給系を備えた流体供給システム1Aを構成できる。
【0085】
また、本実施形態では、ガス充填時に、水素タンク10内が予め設定されたガス圧力(目標充填圧)に達したときに開閉弁本体22を閉じるようにコイルばね25のばね力が設定されている。これにより、ガス充填時に、水素タンク10に充填された水素が抜け出るのを防止できる。
【0086】
図6は第2実施形態に係る流体供給システムを示す全体構成図である。第2実施形態に係る流体供給システム1Bは、第1実施形態に係る流体供給システム1Aに第2逆止弁80を追加した構成である。なお、第2逆止弁80が特許請求の範囲に記載の逆止弁に相当する。また、その他の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0087】
流体供給システム1Bに設けられた第2逆止弁80は、充填口30と水素タンク10A(10)との間の配管50a1(50a)に設けられ、水素タンク10側から充填口30への水素(ガス)の通流を遮断する機能を有するものである。
【0088】
第2実施形態に係る流体供給システム1Bによれば、第1実施形態により得られる効果に加えて、図6に示す位置に第2逆止弁80を設けることにより、ガス供給時に、水素タンク10A,10B内の水素が充填口30から漏れ出るのをより確実に防止し、充填口30と水素タンク10A,10Bとの間の配管50a1に水素ガスが流れ込むことによる、供給先(燃料電池FC)への供給流量減少を抑制することができる。
【0089】
前記した2つの実施形態では、流体として水素ガスを記載したが、水素以外のガスや液体燃料、気液混合体等の流体であっても、もちろん良い。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B 流体供給システム
10(10A,10B) 水素タンク
20 弁装置
21 弁箱
21a 第1連通孔
21b 第2連通孔
21c 開閉弁弁座
21e 凹部
21f シール部材
21s 収容部
22 開閉弁本体
22a1 大径部
22a2 小径部
22b パイロット通路
22c パイロット弁座
22p 受圧面
23 パイロット弁体
24 ソレノイド
24a プランジャ
24b 固定コア
24c 電磁コイル
24s 連結孔
25 コイルばね(付勢部材)
26a 支持部材
26a1 第1円筒部
26a2 第2円筒部
26b 係合ピン
30 充填口
40 減圧弁
50a(50a1,50a2,50a3),50b,50c 配管(流体路)
80 第2逆止弁(逆止弁)
FC 燃料電池
Q2 開閉弁流路
M 連動機構部
O 軸
S 隙間(遊び)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を加えた流体を内部に貯留可能なタンクと、
前記タンクに設けられる弁装置と、
前記タンクの上流側に位置し前記タンクの充填時に開いて流体を通す充填口と、
前記タンクの下流側に位置する減圧弁と、
前記タンクに前記充填口から前記弁装置を介して流体を充填する際に流体が通流する流体充填路と、
前記タンクから前記弁装置を介して流体を前記減圧弁の方向に供給する際に流体が通流する流体供給路と、を備え、
前記弁装置は、
流体充填時および流体供給時に開弁して流体の通流を調整するひとつの開閉弁と、
前記開閉弁と同軸に配置され、当該開閉弁の上流および下流に付与される圧力を調整するパイロット弁と、
流体充填時と流体供給時とで流体の通流方向が相違する開閉弁流路と、を有し、
前記流体充填路と前記流体供給路とがひとつの流体路に備えられることを特徴とする流体供給システム。
【請求項2】
前記弁装置は、
弁箱と、
前記弁箱の内部に設けられ前記開閉弁流路を開閉するための開閉弁弁座と、
流体充填時に前記開閉弁弁座から離間する方向に流体圧力を受ける受圧面を備える開閉弁本体と、
前記開閉弁本体に開設されたパイロット通路と、
前記開閉弁本体の一端に設けられたパイロット弁座と、
パイロット弁体と、
前記パイロット弁体を一端に備えるプランジャと、
前記開閉弁本体と前記プランジャとを所定の遊びを持って連動させる連動機構部と、
前記プランジャの他端に一端が接し前記開閉弁本体を前記開閉弁弁座の方向に付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の他端が接する固定コアと、
前記プランジャの周方向に巻回された電磁コイルと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記タンク内が予め設定された流体圧力に達した際に前記開閉弁本体を閉じるようにばね力が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の流体供給システム。
【請求項4】
前記充填口と前記タンクとの間には、前記充填口への流体の流れを妨げる逆止弁が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−219949(P2012−219949A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88041(P2011−88041)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】