説明

流体供給用ポンプ及び流体の供給方法

【課題】 製作コストの低減化を図ること。
【解決手段】 固定側部材1に、一つの駆動モータ21と、該駆動モータ21の出力軸22と共働する駆動歯車23並びに伝動歯車26と、これらの歯車23,26に選択的に係脱するクラッチ34を備えたクラッチ機構Yとをそれぞれ設け、一方、前記内筒体の端部に前記押し出し作動体18の作動杆20に遊嵌合しかつ前記駆動歯車23と噛合する従動歯車14を設け、また、前記固定側部材の支持板の間に位置すると共に前記作動杆の螺杆部分に螺合し、かつ、前記伝動歯車26と噛合する筒状螺合体27を設けたことを特徴とする流体供給用ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を定量ずつ吐出可能な流体供給用ポンプ及び流体の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜特許文献5には、供給源から外筒体を介し、かつ、内弁機能を有する内筒体に受け入れた具入りスープ類を定量ずつ吐出する流体供給用ポンプが記載されている。
すなわち、上記特許文献には、(a)第1駆動モータの駆動力により、押し出し作動体を所定位置に後退させて、具入りスープを外筒体の吸引孔を介して内筒体の定量容積室に入れる事項、(b)前記第1駆動モータとは別個の第2駆動モータの駆動力により、内筒体を外筒体の吐出孔に連通するように所定量回転させる事項が記載されている。
【0003】
しかしながら、前記特許文献に記載の発明は、具入りスープ類を小分けしてコップ類に注ぐことができる利点を有するものの、押し出し作動体用の第1駆動モータと内筒体用の第2モータが別個であることから、コスト高となるという問題点があった。なお、前記特許文献は、本発明者が提案したものである。
【特許文献1】特開2000−226100号公報
【特許文献2】特開2002−112742号公報
【特許文献3】米国特許明細書第6,006,657号
【特許文献4】米国特許明細書第6,152,020号
【特許文献5】米国特許明細書第6,153,421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、製作コストの低減化を図ること。第2の目的は、駆動モータの出力軸に設けた内筒体側の駆動歯車並びに押し出し作動体側の伝動歯車に、クラッチ機構のクラッチが合理的にかつ適格に結合すること。第3の目的は、押し出し作動体が円滑に往復動すること。第4の目的は、固体側部材から、少なくとも内筒体(或いは外筒体及び内筒体)を容易に取り外すことかできること。したがって、内筒体の洗浄が容易であること、その他の目的は、駆動モータの出力軸を安定的に支持すること、具入りスープ類に適合する等である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の流体供給用ポンプは、吸引孔3及び吐出孔6を有する外筒体2と、この外筒体に回動自在に組み込まれ、かつ、内弁機能を有する内筒体11に摺動部分19が組み込まれた押し出し作動体18と、内筒体及び押し出し作動体を作動させる駆動モータとを備えた流体供給用ポンプに於いて、固定側部材1に、一つの駆動モータ21と、該駆動モータ21の出力軸22と共働する駆動歯車23並びに伝動歯車26と、これらの歯車23,26に選択的に係脱するクラッチを備えたクラッチ機構Yとをそれぞれ設け、一方、前記内筒体の端部に前記押し出し作動体18の作動杆20に遊嵌合しかつ前記駆動歯車23と噛合する従動歯車14を設け、また、前記固定側部材の支持板の間に位置すると共に前記作動杆20の螺杆部分20aに螺合し、かつ、前記伝動歯車26と噛合する筒状螺合体27を設けたことを特徴とする。
【0006】
上記構成に於いて、クラッチ機構Yのクラッチが伝動歯車26に結合すると、押し出し作動体18は、作動杆20に設けた係合部20bと固定側部材1に設けた被係合部37aとで構成される回転防止手段を介して往復動可能である。
【0007】
また、駆動モータ21の出力軸22に駆動歯車23及び伝動歯車26がそれぞれ固定され、また、クラッチ34は、駆動歯車23及び伝動歯車26に選択的に結合することができるように前記出力軸22にスライド自在に設けられている。また、押し出し作動体18の作動杆20は、従動歯車14及び筒状螺合体27の中心部を貫通し、かつ、固定側部材の支持板に支持されている。また、内筒体11は、吸引孔3及び吐出孔6に選択的に連通可能な開口12を有する内筒体11の長筒状本体と、該長筒状本体と係脱可能な短筒状後端部とを有し、前記短筒状後端部は、押し出し作動体18の作動杆に間接的に設けられた弾発性部材により常に係合方向に付勢されている。さらに、固定側部材1には、支持板或いは取付け枠を介して、押し出し作動体の進退動位置を検出するための複数個の検出手段が配設されている。
【0008】
また、本発明の流体供給用ポンプを用いた流体の供給方法は、吸引孔及び吐出孔を有する外筒体と、この外筒体に回転自在に組み込まれ、かつ、内弁機能を有する内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体と、内筒体及び押し出し作動体を作動させる駆動モータとを備えた流体供給用ポンプを用いた流体の供給方法に於いて、クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、一つの駆動モータ21の駆動力を利用して前記押し出し作動体を後退させる押し出し作動体後退工程Aと、前記クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、前記駆動モータ21の駆動力を利用して内筒体11を所定量回転させて内筒体11の定容積室a内の流体9を落下させる内筒体回転工程Bと、前記クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、前記駆動モータ21の駆動力を利用して押し出し作動体18を前進させる押し出し作動体前進工程Cと、前記クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、前記駆動モータ21の駆動力を利用して内筒体11を所定量回転させて内筒体11を原点位置へと回転させる待機待ち工程Dとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1,請求項2及び請求項7に記載の発明は、一つの駆動モータの駆動力を、押し出し作動体往復動用と内筒体回転用に利用したので、駆動モータの数がり、その結果、製作コストの低減化を図ることができる。
(2)請求項2、請求項8に記載の発明は、押し出し作動体が安定し、円滑に往復動する。
(3)請求項3に記載の発明は、各部材の組合せが合理的であると共に、クラッチは適格に両歯車に結合する。
(4)請求項4に記載の発明は、押し出し作動体が安定した状態で作動する。
(5)請求項5に記載の発明は、短筒状後端部が簡単に分離するので、内筒体、押し出し作動体等の分解が容易となる。したがって、各部品の洗浄作業が容易となる。
(6)請求項6に記載の発明は、押し出し作動体の移動位置及び内筒体の回転位置を検出することができる。特に、押し出し作動体用の検出手段S2が複数個配設されている場合には、押し出し作動体のストローク(往復動の距離)を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態(物の発明)により説明する。
【0011】
(1)基本的な構成部材
Xは流体供給用ポンプで、このポンプXの外筒体、内筒体等は、ケース状、棚状などの固定側部材1の上部水平板1aの上面に横方向に配設されている。固定側部材1は、例えば具入りスープ類の供給装置Zのフレームの一部を構成する。
【0012】
また、上部水平板1aには、符号を付さない吐出管用の開口、駆動歯車用の開口、伝動歯車用開口など複数個の開口或いは切欠部が適宜に形成されている。
また、上部水平板1aの下面側には、ポンプX用の一つの駆動源(駆動モータ)21が横方向にモータ取付け板を介して配設されている。
【0013】
また、上部水平板1aの上面側の後端部には、ケース状の取付け枠1cが設けられ、該取付け枠1cの貫通孔は後述する押し出し作動体18の作動杆20の後端部を案内する。そして、取付け枠1cには、押し出し作動体18用の検出手段S2が所要間隔を有して複数個配設されている。また、取付け枠1c内には、図6で示すように、押し出し作動体18用の回転防止台37が設置され、該回転防止台37の上面には、作動杆20に設けた係合部20bと係合する被係合部37aが形成されている。前記作動杆20の係合部20bは、作動杆20と交差する垂直の係合片(例えば係合ピン)であり、一方、前記被係合部37aは、長溝状のガイト溝である。本実施例では、係合部20bの突出上端部に、検出手段S2用のインデックス或いは磁石片38が水平状態に設けられている。
【0014】
したがって、押し出し作動体18は、作動杆20に設けた係合部20bと固定側部材1に設けた被係合部37aとで構成される回転防止手段を介して往復動可能である。
【0015】
さらに、固定側部材1は、上部水平板1aと対向する下部水平板1bを有し、この下部水平板1bの上面には、クラッチ機構Yを構成する駆動手段(ソレノイド)31が横方向に配設されている。以下、本発明を基本的な構成部材であるポンプXの主な部材、該ポンプX用駆動源21、クラッチ機構Yを説明する。
【0016】
(2)ポンプXの外筒体2
外筒体2は、左右の両端部がそれぞれ開口する長筒状の周胴部分2aと、この周胴部分2aの一端部側の開口に嵌合するヘッド2bとから成る。
【0017】
まず、周胴部分2aの構成について説明する。3は一端部上面に形成された吸引孔で、この吸引孔3にはホッパー5が取り外し可能に装着されている。なお、ホッパー5は、図11で示すように、攪拌手段47を備えている。
【0018】
さて、6は一端部下面に形成された吐出孔で、この吐出孔6は、前記吸引孔3と対向すると共に、該吐出孔6にはシール部材を含む吐出管或いは吐出ノズル7が取付けられている。外筒体2は、所要の長さを有し、かつ、上部水平板1aに取り外し可能に固定されている。
【0019】
次に、ヘッド2bは、例えば周胴部分2aの先端部及びヘッド2bにそれぞれ周設したフランジ及び複数個の締め付け手段8を介して周胴部分2aの端部に固定される。
【0020】
特に図示しないが、単数又は複数のシール部材(Oリング)は、両部材2a,2bの嵌合箇所に適宜に設けられている。また、前記吸引孔3と吐出孔6は、本実施例では単数である。吸引孔3と吐出孔6の形状は、例えば周胴部分2aの周方向に長孔状(例えば半円弧状)に形成されている。もちろん、長孔、円形、角孔等その形状は特に問わない。
【0021】
(3)ポンプXの内筒体11
内筒体(内弁)11は、一つの駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から吸引孔3を介して所定量の流体9を内部に取り込み、かつ、吐出孔6を介して外部に吐出する定量筒体である。
【0022】
したがって、内筒体11は、弁本体に相当する外筒体2に対して内弁の機能を発揮する。そこで、内筒体11の挿入先端部(図面上、左)には、外筒体2の吸引孔3及び吐出孔6に選択的に連通する一つの開口12が形成されている。
【0023】
ところで、本実施例の内筒体11は、吸引孔3及び吐出孔6に選択的に連通可能な開口12を有する長筒状本体11aと、該長筒状本体11aと係脱可能な短筒状後端部11bとを有し、前記短筒状後端部11bは、押し出し作動体18の作動杆に間接的に設けられた弾発性部材4により常に係合方向に付勢されている。つまり、内筒体11は、外筒体と共に固定側部材1から容易に取り外すことができるように工夫されている。
【0024】
ここで、図4を参照にして長筒状本体11aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。図4は長筒状本体11aの後端部の概略縦断面である。この図4から明らかなように、長筒状本体11a後端部の接合端面には、単数又は複数個の被係合部(切欠溝)13が形成されている。したがって、短筒状後端部11bの接合端面には、前記被係合部13と係脱する単数又は複数個の係合部(突起)が形成されている。本実施例の弾発性部材4は、固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられた第1支持板17aと短筒状後端部11bの外壁面との間に位置するように従動歯車14の筒状軸部14aに巻装されている。
【0025】
また、図5を参照にして、従動歯車14の筒状軸部14aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。図5は従動歯車14と内筒体11とが一体的に組み合っている概略説明図である。従動歯車14は、筒状軸部14aの外周壁に複数個の被係合部分(軸方向の切欠部分)15を有している。したがって、短筒状後端部11bは、その軸孔の縁部に前記被係合部分15に係合する複数個の係合部(突起)16を有している。
【0026】
従動歯車14は、内筒体11の後端部に押し出し作動体18の作動杆に遊嵌合し、かつ、駆動歯車23と噛合するように第1支持板17aと第2支持板17bとの間に配設されている。第2支持板17bは、第1支持板17aと対向するように固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられている。駆動モータ21の駆動力により、出力軸22側の駆動歯車23が回転すると、従動歯車14及び内筒体11が同時に回転する。
【0027】
しかして、内筒体11の開口12は、上方の吸引孔3と連通している間下方の吐出孔6は閉鎖され、一方、開口12が吐出孔6と連通している間吸引孔3は閉鎖される(図2,図3、図4参照)。
【0028】
(4)内筒体11用の検出手段S1
固定側部材1の上部水平板1aの上方には、内筒体11用の検出手段S1が第2支持板17bを介して配設されている。この検出手段S1は、内筒体11の回転位置を検出する。検出手段S1は、ホールIC原理を利用したもの、発光素子と受光素子を利用してもの等が適宜に採用され得る。
【0029】
本実施例では、従動歯車14の外周壁の適宜部位に複数の磁石をそれぞれ固定し、一方、固定側部材1の検出手段S1としてホール素子を採用している。
【0030】
したがって、内筒体11が駆動源21の駆動力によって「180度」回転し、一つの磁石が検出手段S1に対面した時、検出手段S1は磁石16の「N極」の磁束を拾って、図示しない制御部に内筒体11の回転位置を出力し得る。なお、前記磁石に代えてインデックスを用いても良い。後述する検出手段S2も同様である。
【0031】
(5)押し出し作動体18
押し出し作動体18は、内筒体11に組み込まれた先端部に摺動部分19を有する。摺動部分19は、図8で示すように所定位置(例えば最大吐出量の所)へ後退すると、所定容積室aを形成し、一方、図10で示すように所定位置へ前進すると、所定容積室a内に流入した流体9を押し出す機能を有している。
【0032】
また、押し出し作動体18は、内筒体11、従動歯車14、支持板17a,17b等を貫通する長杆状の作動杆(ピストンロッドに相当)20を有している。
【0033】
ところで、本実施例の押し出し作動体18は、固定側部材1に設けたクラッチ機構Yのクラッチ34を介して同一の駆動モータ21の駆動力により、該駆動モータ21の軸方向に往復動するように設けられている。そこで、ポンプX用の駆動源21について説明する。
【0034】
(6)駆動源21
駆動源としての駆動モータ21は、左右一対の軸受け板24,25を介して上部水平板1aの下面側に横設されている。左側の軸受け板24は、出力軸22の基部側を支持すると共に、モータ取付け板の役割を果たしている。一方、右側の軸受け板25は出力軸22の突出端部を支持している。したがって、駆動モータ21の出力軸22は、安定状態に支持されている。
【0035】
前述したように、駆動モータ21の出力軸22には、従動歯車14と噛合する駆動歯車23が固定されている。したがって、駆動歯車23は出力軸22と共働する。
また、出力軸22には、駆動歯車23に対して所要間隔Lを有して対向する伝動歯車(第2の駆動歯車)26が固定されている。したがって、伝動歯車26も出力軸22と共働する。
【0036】
そして、伝動歯車26には、作動杆20の突出後端部側に形成した螺杆部分20aに螺合する筒状螺合体(第2の従動歯車)27が噛合する。したがって、筒状螺合体27が駆動モータ21の駆動力により正転方向・逆転方向にそれぞれ回転すると、押し出し作動体18は、回転防止手段を介して内筒体11内を往復動する。
【0037】
前記筒状螺合体27は、上部水平板1aの上面に所定間隔を有して固定された一組の第1支持板17aと第2支持板17bにサンドイッチ状に支持されている。したがって、筒状螺合体27は、所定位置にて安定状態に回転する。
【0038】
(7)押し出し作動体用の検出手段S2
押し出し作動体18用の検出手段S2は、押し出し作動体の原点(始動)位置、押し出し作動体の前進端位置等を検出するために検出手段用取付け片或いはケース状の取付け枠1c(本実施例)に複数個(例えば3個,4個など)配設されている。検出手段S2の一例としてはリミットスイッチが用いられている。なお、検出手段S2用のインデックス或いは磁石38は、作動杆20の係合部20b(本実施例)を介して設けられている。
【0039】
(8)クラッチ機構Y
ところで、駆動歯車23及び伝動歯車26の対向面には、被係合部(小孔、小溝など)23a,26aが複数個形成されている。被係合部23a,26aにはクラッチ機構Yを構成するクラッチ34が係脱する。
【0040】
図2,図7を参照にして、一つのクラッチ機構Yの構成部材を説明する。31は下部水平板1bの上面に横設されたクラッチ用駆動手段(例えばソレノイド)である。32はソレノイド31の作動杆、33は作動杆32の先端部に直交状態に固定された上向きの係合腕である。
【0041】
34は駆動モータ21の出力軸22に軸方向にスライド自在に設けられ、かつ、駆動歯車23又は伝動歯車26に選択的に結合するクラッチである。本実施例のクラッチ34は、段面視、外観形状がH型形状に見えるブロック体であり、一方の垂直板35には、駆動歯車23の被係合部23aと係脱する複数個の係合ピン35aが設けられている。
【0042】
一方、他方の垂直板36には、伝動歯車26の被係合部26aと係脱する複数個の係合ピン36aが設けられている。前述した係合腕33の上端部は、垂直板35,垂直板36の間に位置する。
【0043】
したがって、図2で示すように、ソレノイド31の作動杆32が伸長した場合には、クラッチ34は駆動モータ21に接近する方向へスライドし、左側の垂直板35が駆動歯車23に結合する。
【0044】
一方、図7で示すように、ソレノイド31の作動杆32が収縮した場合には、クラッチ34は駆動モータ21から離れる方向へスライドし、右側の垂直板36が伝動歯車26に結合する。それ故に、クラッチ機構Yを介して一つの駆動モータ21の駆動力により内筒体11を回転することが出来ると共に、内筒体11に組み込んだ押し出し作動体18を往復動させることができる。
【0045】
(9)作用
今仮に、図示しない操作手段(始動スイッチ)を操作すると、例えばレノイド31の作動杆32が収縮する。作動杆32が、図7で示すように右方向へ移動すると、クラッチ34も同方向にスライドして伝動歯車26と結合する。
【0046】
そこで、駆動モータ21が起動(正転)すると、押し出し作動体18は、伝動歯車26と噛合する筒状螺合体27を介して所定位置(200cc,300ccなど吐出量の設定値)まで後退し、この時、押し出し作動体18用検出手段S2の一つが押し出し作動体の後退位置を検出する。
【0047】
押し出し作動体18が後退すると、該押し出し作動体18が所定位置で停止することから、内筒体内に流体9を所定量しか吸い込まない。
【0048】
次に、図2で示すようにソレノイド31の作動杆32が伸長すると、クラッチ34も同方向に出力軸22をスライドして駆動歯車23に結合する。この時、クラッチ34の垂直板35の係合ピン35aが駆動歯車23の被係合部23aに係合する。
【0049】
そこで、駆動モータ21が起動すると、内筒体11は、駆動歯車23と噛合する従動歯車14を介して所定量(例えば180度)回転する。内筒体11の回転位置は、検出手段S1によって検出される。内筒体11が所定量回転すると、一つの開口12は下方へ移行して外筒体2の吐出孔6に連通する(図9参照)。
【0050】
したがって、内筒体11内の流体9は吐出管7から落下し始める、例えばコップ類に注がれる。この時、図7で示すように、ソレノイド31の作動杆32が復帰(収縮)すると共に、駆動モータ22が逆転方向へ回転可能となる。したがって、押し出し作動体18は、伝動歯車26の伝動力により、所定位置まで前進する。これにより、押し出し作動体18の摺動部分19により、内筒体11内の流体9に混入する具が全て押し出される(図10参照)。
【0051】
しかる後に、ソレノイド31の作動杆32が伸長する。そうすると、駆動モータ21の駆動力は駆動歯車23に伝わるので、内筒体11は再び所定量回転する。
【0052】
以上のように、本発明は、内筒体(内弁)11は、駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から吸引孔3を介して所定量の流体9を内部に取り込み、かつ、吐出孔6を介して外部に吐出する。一方、押し出し作動体18は、クラッチ機構Yを介して前記駆動源21の駆動力により軸方向に往復動する。
【0053】
(10)本発明を用いた流体の供給方法
ここで、図12を参照にして、本発明を用いた流体供給方法(方法の発明)を説明する。なお、方法の発明を説明するに当たって、物の発明に用いた符号をそのまま援用し、重複する説明を割愛する。
【0054】
Aは、外筒体に回転自在に組み込まれ、かつ、内弁機能を有する内筒体11に摺動部分19が組み込まれた押し出し作動体18を後退させる押し出し作動体後退工程である。この押し出し作動体後退工程Aでは、固定側部材1の下部側に配設されたクラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、一つの駆動モータ21の駆動力を利用して押し出し作動体18を後退させる。
【0055】
前記クラッチ34は、固定側部材1に横設したソレノイド31の作動杆20の作動により、かつ、前記駆動モータ21の出力軸22を軸方向にスライドして該出力軸22に固定した伝動歯車26に係合する。伝動歯車26は固定側部材1の上部側に配設された押し出し作動体18の作動杆20の螺杆部分20aに螺合し、かつ、所定位置にて回転する筒状螺合体27に噛合していることから、例えば前記駆動モータ21が正転方向へ回転すると、最大吐出量の設定位置まで後退する。そうすると、供給源の一例としてのホッパー5から一定量の流体9が内筒体11の開口12を介して内筒体11の定容積室aへ導かれる。
【0056】
Bは、上部側に吸引孔3及び下部側に吐出孔6を有する外筒体に対して内筒体11を所定量回転させる内筒体回転工程である。この内筒体回転工程Bでは、前記クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、前記駆動モータ21の駆動力を利用して内筒体11を所定量回転させて、内筒体11の定容積室a内の流体9を落下させる。
【0057】
すなわち、この内筒体回転工程Bでは、一定量の流体9が内筒体11内に入ったならば、前記クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、前記駆動モータ21の駆動力を利用して内筒体11を所定量回転させて、その開口12を外筒体の吐出孔7に連通させる。この時、クラッチ34はソレノイド31の作動杆20の作動により、かつ、前記駆動モータ21の出力軸22を軸方向にスライドして該出力軸22に固定した駆動歯車23に係合する。駆動歯車23は、内筒体11の後端部に固定した従動歯車14に噛合していることから、内筒体11は駆動モータ21の駆動力により、例えば180度回転する。そして、内筒体11の開口12が外筒体2の吐出孔6に連通すると、定容積室a内の流体9が落下する。したがって、コップ類bに流体9が注がれる。
【0058】
Cは、押し出し作動体を所定位置まで前進させる押し出し作動体前進工程である。この押し出し作動体前進工程Cでは、例えば具入りスープ類の場合には具を完全に押し出す必要がある。
【0059】
そこで、クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、駆動モータ21の駆動力を利用して押し出し作動体18を前進させる。この時、前述したように、クラッチ34は、ソレノイド31の作動杆20の作動により、かつ、前記駆動モータ21の出力軸22を軸方向にスライドして伝動歯車26に係合する。
【0060】
したがって、駆動モータ21の駆動力は伝動歯車26を介して筒状螺合体27に伝達され、押し出し作動体18が前進する。その結果、定容積室a内に残存する肉、にんじん、ごぼう、豆腐等の物(例えば具)cも吐出孔6からコップ類bへと落下する。
【0061】
Dは、内筒体11を原点位置へと回転させる待機待ち工程である。この待機待ち工程Dでは、前述したB工程と同様に、クラッチ機構Yのクラッチ34を介し、かつ、駆動モータ21の駆動力を利用して内筒体11を所定量回転させて、その開口12を外筒体の吐出孔7に連通させる。その結果、図示しない操作手段(例えば操作ボタン)を操作すると、前述したAの工程に入ることができる。
【0062】
なお、A工程及びB工程に於いて、適用例の攪拌手段47,48を起動させ、ホッパー5内の流体9を攪拌させることが望ましい。
【0063】
(11)適用例−利用発明
図11は、本発明のポンプXの適用例(利用発明Z)である。この利用発明Zの一例は、具入りスープ類の供給装置である。この供給装置Zは、固定側部材1の適宜箇所(例えば上部水平板1aの先端部)に複数個の操作手段40を有する操作パネルが設けられている。また、固定側部材1の右上に制御箱41が設けられている。この制御箱41の内部にコントロール基板42、電源基板43等が設けられている。
【0064】
流体9を収納するホッパー5は、制御箱41の前方(図面上、右側)に加熱手段46を備えた加熱箱45を介して固定的に配設されている。ホッパー5には、攪拌手段47が適宜に内設され得る。また、ホッパー5の上方には、攪拌手段47用の駆動モータ48を内装したモータボックス49が開閉自在に設けられている。利用発明Zの具体的構成は、本発明の限定要件ではないので、詳細な説明を割愛する。
【実施例】
【0065】
発明の実施の形態で示した実施例に於いて、押し出し作動体18は、作動杆20に凹所状の被係合部20bを形成し、一方、固定側部材1に突起状の係合部37aを設けても良い。
【0066】
また、流体9は、具入りスープ類を示したが、本発明はこれに限定するものではない。ホッパー5には、加工食品、塗料、各種材料などの流体9が投入され得る。加工食品の具体例は、豆乳、トマトケキャップ、マヨネーズ、スープ類、アイスクリームなどである。塗料の具体例はペンキなどである。材料の具体例としては化粧用クリーム、ペースト状歯磨きなどである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、主にポンプ業界で製造され、例えばスープ類を小分けしてお客に提供する食品サービス業の業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1乃至図10は本発明(物の発明)の一実施例を示す各概略断面説明図。
【図1】概略断面説明図(例えば内筒体と押し出し作動体とが原点位置)。
【図2】要部(駆動源、クラッチ機構)の説明図(クラッチが駆動歯車に結合した場合)。
【図3】内筒体、従動歯車、螺合体等の概略説明図。
【図4】長筒状本体11aの後端部の概略縦断面である。
【図5】従動歯車14と内筒体11とが一体的に組み合っている概略説明図。
【図6】要部の概略説明図(回転防止手段、押し出し作動体用検出手段)。
【図7】要部の概略説明図(クラッチが伝動歯車に結合した場合)。
【図8】概略断面説明図(押し出し作動体が後退)。
【図9】概略断面説明図(内筒体が回転して開口が吐出孔に連通)。
【図10】概略断面説明図(押し出し作動体が前進)。
【図11】本発明のポンプXの適用例(利用発明Z)。
【図12】本発明を用いた方法の発明を示す工程図。
【符号の説明】
【0069】
X…流体供給用ポンプ、Y…クラッチ機構、1…固定側部材、1a…上部水平板、1b…下部水平板、1c…取付け枠、2…外筒体、2a…周胴部分、2b…シリンダーヘッド、3…吸引孔、4…弾発性部材、5…ホッパー、6…吐出孔、7…吐出管、8…締め付け手段、9…流体、11…内筒体、12…開口、13…被係合部、14…従動歯車、14a…筒状軸部、S1…内筒体用検出手段、S2…押し出し作動体用検出手段、17a,17b…支持板、18…押し出し作動体、19…摺動部分、20…押し出し作動体の作動杆、20a…螺杆部分、20b…係合部、21…駆動モータ、22…出力軸、23…駆動歯車、24,25…軸受け板、26…伝動歯車、27…筒状螺合体、28…第2支持板、31…駆動手段(ソレノイド)、32…ソレノイドの作動杆、33…係合腕、34…クラッチ、35,36…垂直板、37…回転防止台、37a…被係合部(ガイド溝)、38…インデックス、39…押し出し作動体用検出手段、A…押し出し作動体後退工程、B…内筒体回転工程、C…押し出し作動体前進工程、D…待機待ち工程、a…定容積室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引孔及び吐出孔を有する外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれ、かつ、内弁機能を有する内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体と、内筒体及び押し出し作動体を作動させる駆動モータとを備えた流体供給用ポンプに於いて、固定側部材に、一つの駆動モータと、該駆動モータの出力軸と共働する駆動歯車並びに伝動歯車と、これらの歯車に選択的に係脱するクラッチを備えたクラッチ機構とをそれぞれ設け、一方、前記内筒体の端部に前記押し出し作動体の作動杆に遊嵌合しかつ前記駆動歯車と噛合する従動歯車を設け、また、前記固定側部材の支持板の間に位置すると共に前記作動杆の螺杆部分に螺合し、かつ、前記伝動歯車と噛合する筒状螺合体を設けたことを特徴とする流体供給用ポンプ。
【請求項2】
請求項1に於いて、押し出し作動体は、作動杆に設けた係合部と固定側部材1に設けた被係合部とで構成される回転防止手段を介して往復動可能であることを流体供給用ポンプ。
【請求項3】
請求項1に於いて、駆動モータの出力軸に駆動歯車及び伝動歯車がそれぞれ固定され、また、クラッチは、駆動歯車及び伝動歯車に選択的に結合することができるように前記出力軸にスライド自在に設けられていることを特徴とする流体供給用ポンプ。
【請求項4】
請求項1に於いて、押し出し作動体の作動杆は、従動歯車及び筒状螺合体の中心部を貫通し、かつ、固定側部材の支持板に支持されていることを特徴とする流体供給用ポンプ。
【請求項5】
請求項1に於いて、内筒体は、吸引孔及び吐出孔に選択的に連通可能な開口を有する内筒体の長筒状本体と、該長筒状本体と係脱可能な短筒状後端部とを有し、前記短筒状後端部は、押し出し作動体の作動杆に間接的に設けられた弾発性部材により常に係合方向に付勢されていることを特徴とする流体供給用ポンプ。
【請求項6】
請求項1に於いて、固定側部材には、押し出し作動体の進退動位置を検出する複数個の検出手段がそれぞれ配設されていることを特徴とする流体供給用ポンプ。
【請求項7】
吸引孔及び吐出孔を有する外筒体と、この外筒体に回転自在に組み込まれ、かつ、内弁機能を有する内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体と、内筒体及び押し出し作動体を作動させる駆動モータとを備えた流体供給用ポンプを用いた流体の供給方法に於いて、クラッチ機構のクラッチを介し、かつ、一つの駆動モータの駆動力を利用して前記押し出し作動体を後退させる押し出し作動体後退工程と、前記クラッチ機構のクラッチを介し、かつ、前記駆動モータの駆動力を利用して内筒体を所定量回転させて内筒体の定容積室内の流体を落下させる内筒体回転工程と、前記クラッチ機構のクラッチを介し、かつ、前記駆動モータの駆動力を利用して押し出し作動体を前進させる押し出し作動体前進工程と、前記クラッチ機構のクラッチを介し、かつ、前記駆動モータの駆動力を利用して内筒体を所定量回転させて内筒体を原点位置へと回転させる待機待ち工程とを備える流体供給用ポンプを用いた流体の供給方法。
【請求項8】
請求項7に於いて、押し出し作動体は、作動杆に設けた係合部と固定側部材1に設けた被係合部とで構成される回転防止手段を介して往復動可能であることを特徴とする流体供給用ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−336610(P2006−336610A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165520(P2005−165520)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(503428817)株式会社ベイシティサービス (17)
【Fターム(参考)】