説明

流体分離装置、流体導入方法、流体流制御アッセンブリおよび燃料電池システム

【課題】高価な分離装置やエジェクタを必要とせずに、遠心ポンプに流入する気体量を制御する。
【解決手段】遠心ポンプアッセンブリ20は、流体分離部22および遠心ポンプ部24を備える。流体分離装置により、ポンプがガスバウンドになり得ない方法で液体流に混入した空気を遠心ポンプに導くことができる。入口40は、ボルテックスチャンバ42内に接線方向の流れを生じさせるように構成されている。チャンバ42内の液体は、ギャップ44および流路46を通って、ポンプ入口チャンバ48に流入する。旋回抑制チャンバ50は、チャンバ50内の液体の旋回流を妨げるように配列された複数のベーン52を備える。チャンバ42の空気は、エアベント60により、分離装置部22のエアチャンバ62に流入する。空気流路66により、チャンバ62からの空気が小さな気泡として遠心ポンプ部24のロータアッセンブリ26の流出部68に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体が遠心ポンプの作用を妨害しないように、流体混合物中の液体から気体を分離することに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の遠心ポンプの形態が周知である。各々の形態においては、多量の気体つまり空気がポンプに流入して、吸引力を引き起こすのに必要な遠心力を生じさせるロータアッセンブリの機能を妨害する場合がある。そのような状態は、ガスバウンド(gas bound)ポンプと呼ばれることがある。ガスバウンドポンプにより、ポンプ作用が停止してしまうので、そのような状態を修正するための対策を取らなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遠心ポンプには種々の使用方法がある。そのような遠心ポンプの特定用途の1つとしては、燃料電池アッセンブリにおける用途が挙げられる。周知の燃料電池プレートの多孔性の性質により、空気が約3容量%の割合で連続的に冷却液の流れに混ざってしまう。システムの起動時には、非常により多くの空気が混在する場合がある。ポンプに導かれる液体に空気が2%以上取り込まれている場合、燃料電池冷却液の循環に用いられる遠心ポンプは、通常、機能が停止してしまう。したがって、燃料電池アッセンブリにおいては、所望のようにポンプの運転を続けさせるためには液体から空気を分離させることが必要となる。
【0004】
ガスバウンドポンプを有することを避けるために、流体混合物中の液体から気体を分離する種々の試みが周知である。ポンプの入口における種々の相分離の技術が提案されてきた。典型的な相分離器は、液体が底部に移動する間に、空気を分離装置の上部付近に集めることができる容器を備えており、それにより実質的に空気を含まずに液体をポンプの入口に運ぶことができる。空気圧縮機が、吸引力を生じさせるために用いられることが多く、この吸引力により、分離装置の上部から空気が取り除かれて、大気に放出されるか、あるいは関連するシステムの別の部分に供給される。そのような状況においては、水が圧縮機に流入しないように空気流を閉鎖するために液位調節弁が必要となる。
【0005】
別の装置は、圧力を低下させるエジェクタ(排出装置)を分離装置の上部に備えており、このエジェクタは、通常、大気に開放されたシステムアキュムレータに、空気や水を導くように用いられる。そのような装置のひとつの利点は、エジェクタが空気および水に適応しており、レベル制御バルブの必要性が排除されることである。
【0006】
しかし、これらの提案された解決方法では、対応するポンプやシステムが複雑になるとともに、経費がかかってしまう。高価な分離装置やエジェクタを必要とせずに、遠心ポンプに流入する気体量を制御できることが望ましい。本発明は、その要求に対応するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概略的には、本発明は、流体混合物中の液体から気体を分離する装置であり、そのような気体が遠心ポンプなどの装置に流入することを制御する。
【0008】
本発明により構成された1つの流体分離装置は、入口および入口の下流側に位置する出口を有するハウジングを備える。エアチャンバは、入口の反対側に位置する。空気流路は、エアチャンバと連通する流入側と、ハウジングの出口と隣接する流出側と、を備える。入口は、第1の流れ寸法を有し、出口は、第2の流れ寸法を有し、空気流路流出部は、第1または第2の寸法のうちの少なくとも一方より小さい第3の流れ寸法を有する。
【0009】
一実施例においては、空気流路はチューブからなる。このチューブは、ハウジングを通って延びるとともに、エアチャンバ内に配置された第1の端部と、流体分離装置に対応するポンプのロータに隣接して配置された第2の端部と、を有する。この空気流チューブにより、空気の小さな気泡が、ロータアッセンブリによって生じた液体流に、気泡がポンプの運転を妨害する可能性のある(すなわち、ポンプをガスバウンド状態にする)空気量(すなわち、大きな気泡)に集まることができないように導かれる。
【0010】
一実施例においては、流体分離装置は、第1の入口の下流側に位置するとともに選択的に開放される第2の入口を有する。多量の空気が最初に流体分離装置のハウジング入口に導かれた場合でさえも、第2の入口により、ポンプの運転を開始させるのに十分な圧力を生じさせるようにハウジングの出口およびポンプの入口に液体が選択的に導かれる。
【0011】
開示された流体分離装置を組み込んでいる1つの例示的なアッセンブリは、人を暖めたり、冷却するために用いられるベストを備える。
【0012】
開示された流体分離装置の別の使用例は、燃料電池アッセンブリ内におけるものである。一実施例においては、燃料電池電力スタックアッセンブリは、流体分離装置のハウジングに対する入口と流体連通している流出部を有する。燃料電池機構は、通常、冷却液体流に混入したある程度の空気を含んでいるが、流体分離装置により、燃料電池機構内の適切な流れを維持することが促進される。
本発明の種々の特徴および利点は、以下に記載する発明を実施するための最良の形態により当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1では、流体分離装置部22および遠心ポンプ部24を有する遠心ポンプアッセンブリ20が図示されている。一般的なロータアッセンブリ26は、ポンプ入口30から始まるポンプ部24を通る流体流を生じさせるインペラ28を備える。ポンプ24の一部分が図示されており、ポンプ24は周知の方法で作動する。
【0014】
流体分離装置部22は、所望の流体流を引き起こすのに必要な圧力を生じさせるロータアッセンブリ26の能力を妨げてポンプの作動を停止させるように多量の気体(空気など)がポンプ部24に流入しないように気液分離を促進する。流体分離装置部22は、ポンプ部24の入口30に対応する出口32を有する。ハウジング34により、出口32が画定される。図示した実施例においては、シール機構36により、ポンプ部24の入口30とハウジング34の出口32との間の流体密封シールが確実になる。
【0015】
ハウジング34に対する入口40は、装置22の渦(ボルテックス)チャンバ42内に接線方向の流れを生じさせるように構成されている。周知のように、そのようなチャンバに流入する接線方向の流れにより、液体が半径方向外側に移動し、液体に混入している気体つまり空気が半径方向内側つまりチャンバ42の中心に向かって移動するように、流体が旋回する傾向がある。また、接線方向の流れにより、周知のように渦が生じる。液体が流体分離装置部22のポンプ入口チャンバ48に流入することできるように、ボルテックスチャンバ42内の液体は、半径方向のギャップ44を通って流路46に向かって流れることが許容される。
【0016】
図示した実施例は、半径方向ギャップ44の下流側かつ流路46の上流側に旋回抑制(deswirl)チャンバ50を備える。旋回抑制チャンバ50は、旋回抑制チャンバ50内の液体の旋回流を妨げるように周知の方法で配列された複数のベーン52を備える。旋回抑制チャンバ50は、ボルテックスチャンバ42内の気体つまり空気が、渦により流路46を通ってポンプ入口チャンバ48に引き込まれないように効果的に防いでいる。したがって、ポンプ入口チャンバ48は、通常、液体のみを収容している。ポンプ入口チャンバ48は、ポンプ入口30と直接的に流体連通しているため、ポンプ部24の作動によって生じる圧力に応じて、流体がロータアッセンブリ26に向かって流れる。
【0017】
ボルテックスチャンバ42の中心付近においては、エアベント60により、ボルテックスチャンバ42の中心部からの空気が、矢印で概略的に示したように流体分離装置部22のエアチャンバ62に流入する。エアチャンバ62からの空気が空気流路66に流入するとともに該流路66を通ることができるように、空気流路66の流入部64は、エアチャンバ62と直接的に流体連通している。空気流路66の流出部68は、ハウジング34の出口32に隣接して配置されている。図示された実施例においては、流出部68は、ポンプ部24のロータアッセンブリに直接隣接している。
【0018】
空気流路66は、入口40や出口32の流れ寸法よりも、さらに小さい内部寸法を用いて最大の空気流量を送ることができる。空気流路66を通る流れは、入口40に流入する気液混合物のうちの気体部分を処理するのに十分である。
【0019】
図示した実施例においては、ポンプに流入する空気がポンプ部24の運転を妨げる可能性のある容量まで集まらないようにする方法で、複数の相対的に小さい気泡70がポンプ24を通る流体流に流れ込むように、気泡70がインペラ部28に直接隣接して導かれる。
ポンプ部24がガスバウンドになる恐れがないように、流路66の流出部68の位置合わせにより、ボルテックスチャンバ42から直接ポンプ入口に空気が効果的に流れることが可能となる。空気流路66から流れる個々の気泡70は、ロータアッセンブリによって生じた液体流のため、大きな気泡に再集合することができない。小さい気泡70は、中心に集まってポンプの運転を妨害する恐れのあるより大きな気泡になることがなく、ロータを効果的に通過する。
【0020】
図示した実施例では、ポンプ入口チャンバ48と直接的に流体連通している第2の入口80を備える。第2の入口80により、液体をポンプ入口チャンバ48に選択的に導くことが可能であり、これは、ポンプの始動状態時に特に有用である。例えば、いくつかの状況においては、入口40により、ほとんど全ての空気が分離装置のハウジング34に導かれる場合がある。そのような条件下では、ポンプ24のポンプ作用を効果的に開始することができない場合がある。したがって、そのような条件下では、入口80への液体流を選択的に制御することにより、空気をボルテックスチャンバ42からエアチャンバ62に引き上げて空気流路66に通すのに必要な負圧を生じさせるように、ポンプ24を通る最初の液体流が与えられる。この空気は、前述のように、ポンプ入口30に導かれる。適切な量の液体流が、ボルテックスチャンバ42に流入すると、入口80を選択的に閉鎖することができ、分離装置22への全ての液体流が入口40を通ることができる。
【0021】
図では、ボルテックスチャンバ42の液量を測定するセンサ82が概略的に図示されている。液量が少なすぎること(すなわち、ボルテックスチャンバ42内に空気が多すぎる場合)をセンサ82が示した場合には、例えば、ボルテックスチャンバ42内の液量が十分な量に達するまで、入口80を開放して、ポンプ入口チャンバ48に液体を導くことが望ましい。
【0022】
一実施例では、ポンプアッセンブリ20の運転中の大部分の間において、入口80は開放されたままである。別の実施例においては、入口80は、起動状態時に限って用いられる。本明細書の説明の利点を受ける当業者は、特定の状況における要求を満たすように、入口80への液体流を制御する適切な運転パラメータを選択することができるであろう。
【0023】
分離装置部22から全ての空気が除去された状況下では、液体がエアチャンバ62に流入し、空気流路66を通って流れることが許容される。
【0024】
図2では、燃料電池電力スタックアッセンブリ102を備える燃料電池装置100が図示されている。一実施例においては、燃料電池電力スタックアッセンブリ102は、周知の方法で作動する高分子電解質膜(PEM)アッセンブリである。燃料電池電力スタックアッセンブリ102の流入部は、アキュムレータ108から燃料電池電力スタックアッセンブリ102に流れる流体流を制御するように周知の方法で作動するオリフィス106と並列に、ディミネラライジングベッド(dimineralizing bed)104と連結している。
【0025】
電力スタックアッセンブリの流出部は、遠心ポンプアッセンブリ20の入口40と連結しており、遠心ポンプアッセンブリ20は、本実施例において図1の実施態様と同じである。ポンプアッセンブリ20の流出部は、通常、周知の方法で流量調節バルブ112を用いて温度が制御される熱交換機110を通って案内される。熱交換機110を通って流れる流体は、アキュムレータ108の底部に導かれる。いくつかの条件下では、以下で説明する基準を満たすように、ポンプアッセンブリ20から直接アキュムレータ108の上部に流れを導くようにバイパスバルブ114が用いられる。
【0026】
図示された実施例は、制御バルブ116を備え、この制御バルブ116は、システムを選択的に換気するために用いられるとともに、電力スタックアッセンブリ102からアキュムレータ108に冷却液(すなわち、水)を排出することとができるように用いられ得る。別の制御バルブ118により、アキュムレータ108を大気に対し開放することができ、また、別の制御バルブ119により、アキュムレータが、電力スタックアッセンブリ102の排水部(サンプドレーン:sump drain)として機能することが可能となる。概略的に示した燃料電池アッセンブリの一般的な作動は周知である。
燃料電池反応に用いられる水素が適切に含有されるように、燃料電池アッセンブリ100においては、周囲よりも低い圧力で電力スタックアッセンブリ102が作動する。システムの起動時においては、電力スタックアッセンブリ102を正圧にさらすことなく、電力スタックアッセンブリ102内の空気を置換するために、アキュムレータ108から水を送り出さなければならない。図に示すように、熱交換機110およびポンプアッセンブリ20は、システムの起動時に水で満たされるように、アキュムレータ108の下方に位置している。
【0027】
図示された実施例においては、アキュムレータ108から分離装置部22の入口80に液体が流れることができるように、パージバルブ120が開放される。バイパスバルブ114が同時に開放されるとともに、ポンプ部24が起動される。水のパージ流は、アキュムレータ108から、分離装置部22の入口80およびポンプ入口チャンバ48を通ってポンプ部24に引き込まれる。この流れは、バイパスバルブ114とアキュムレータ108との間に延びている導管122を主に通ってアキュムレータ108に再び送られる。より少ない量の流体が、熱交換器110を通ってアキュムレータ108に供給される。
【0028】
ポンプ入口30において生じる吸引力により、分離装置部入口チャンバ42および空気流路66の流入部64における圧力が低下する。電力スタックアッセンブリ102の出口ライン中の液体(すなわち、水)は、アキュムレータ108に素早くポンプで送り込まれて、それにより、電力スタックアッセンブリ102の空気は低圧力のハウジング34に流入する。ポンプ部24を通る流体流に伴う圧力低下により、アキュムレータ108から電力スタックアッセンブリ102に水が引き込まれ、最終的には、電力スタックアッセンブリの水流路内のほとんどの空気が置換される。余分な水を含む置換された空気は、分離装置部22のボルテックスチャンバ42に運ばれる。そのような空気は、最終的に空気チャンバ62に引き込まれ、空気流路66を通ってポンプロータ26を通る流体流に導かれる。これらの条件下では、入口80を通る水は、空気流路66の端部(すなわち、流出部68)を高速で通って流れ、それにより、空気の気泡70をポンプ部のロータアッセンブリ26から、ポンプの出口の外へと押し流し、バイパス導管122を通ってアキュムレータ108の上部へと送る。ポンプの出口で、空気は流体の混合流となり、ここでは、約30容量%の空気および約70容量%の水を含有する場合がある。流体混合物の一部は、熱交換機101を通ってアキュムレータ108の底部に送られる。
【0029】
十分な時間の経過後、電力スタックアッセンブリ102は、効果的に完全に水で満たされ、分離装置部22の入口40への流れは、始動時におけるほぼ全て空気である状態から、通常の運転条件下における大部分を冷却液(すなわち、水)が占める状態に変わる。したがって、初期状態でポンプ入口チャンバに水を有し、ボルテックスチャンバ42、エアチャンバ62(およびいくつかの条件下では旋回抑制チャンバ50)に空気を有していたハウジング34は、ほぼ完全に水で満たされる。これらの条件下においては、液体がさらに入口80に流入しないようにパージバルブ120を閉じることができる。同時に、ポンプの全吸引力が混合流入口40に作用し、かつポンプ出口流の100%が熱交換機110を通ってアキュムレータ108に戻るように、バイパスバルブ114を閉じることができる。
燃料電池システム100の周知の運転パラメータまたは液量を知らせるように設計された専用のセンサからの入力に基づいて、入口80を選択的に開閉するようにバルブ120を制御することができる。当業者であれば、これらの特定の状況に対する適切な制御方法を選択することができるであろう。
【0030】
周知のように、PEM燃料電池電力スタックアッセンブリは、通常、システムを通る液体流内における約3容量%の空気で作動する。燃料電池アッセンブリ100が作動すると、空気と水の混合物は、接線方向にボルテックスチャンバ42に流入する。前述のように、水の部分は、ハウジング壁部に付着する傾向があり、空気の部分は、チャンバの中心に向かって移動する傾向があり、そこから空気の部分は、エアベント60を通ってエアチャンバ62に上昇する。液体の水は、半径方向のギャップ44を通り、旋回抑制チャンバ50を通過した後、流路46を通ってポンプ入口チャンバ48に流れる。旋回抑制チャンバ50では、ベーン52により水の回転運動が妨害されて、渦によって空気がポンプ入口チャンバ48に引き込まれないようにしている。ポンプからの吸引力により、圧力差が生じ、それにより、水が旋回抑制チャンバ50から流路46を通ってポンプ入口チャンバ48に流入し、ポンプ入口30を通る。流路46を通る水の流れに伴う圧力低下により、空気流路66を通る空気流量全体を引き込むのに必要な圧力差がもたらされる。この流れは、入口40に流入する気体と液体との混合物のうちの気体部分を処理するのに十分である。
【0031】
空気流路66の端部68における圧力低下により、空気はエアチャンバ62から入口64に引き込まれて、最終的に空気はロータアッセンブリ26に対する入口30において液体と混合される。小さい気泡70は、次いで、ポンプを通って押し流され、熱交換機110を通ってアキュムレータ108に送り戻される。最終的に、空気はアキュムレータ108において水の上に上昇して、周知の方法で大気に排出され得る。
【0032】
図3では、前述のような流体分離装置部22を組み込んだ別の例示的なアッセンブリ200を概略的に図示している。アッセンブリ200は、一実施例において、着用している人に冷却をもたらすように用いられる温度調整ベスト(temperature−altering vest)202を備える。ベスト202を通る流体流を用いる種々の周知のベスト形態をそのようなアッセンブリに用いてもよい。別の実施例においては、ベスト202により、加熱効果または暖房効果がもたらされる。流体分離装置部22は、前述と同様の方法で作動して、ベスト202に流れる流体、またはベスト202から流れる流体に混入している空気を処理する。
【0033】
一実施例では、ポンプの運転を妨げる可能性なしに、空気または別の気体を20容量%までの割合で分離装置部22に連続的に取り入れることができる。一実施例においては、本発明の装置は、ポンプの運転を妨げないようにポンプを通る空気流を運ぶ空気流路66の能力に過度の負荷を課すことなく20容量%までの気体を処理することができる。空気の塊が、ハウジング34内の容積のほとんどを占める場合には、液体がポンプに流入するのを許容するように入口80を開けることができ、それにより、前述の作用によりポンプがガスバウンドになるのを妨げる。
【0034】
前述の説明は、性質を限定するものではなく、例示するものである。当業者であれば、本発明の本質から必ずしも逸脱しない開示された実施例に対する変更形態および修正形態が明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲を検討することによってのみ、本発明に与えられる法的保護の範囲を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】部分的に図示された遠心ポンプを備えるとともに、本発明の実施態様により構成された例示的な流体分離装置の断面図。
【図2】図1の実施態様のような流体分離装置を組み込んでいる燃料電池アッセンブリの概略図。
【図3】図1の実施態様のような流体分離装置を組み込んでいるベストアッセンブリの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と、前記入口の下流側に位置する出口と、前記入口の反対側に位置するエアチャンバと、前記エアチャンバと連通する流入側および前記出口付近に位置する流出側を有する空気流路と、を有するハウジングを備え、
前記入口が、第1の流れ寸法を有し、前記出口が、第2の流れ寸法を有し、前記空気流路の流出部が、前記第1の流れ寸法または前記第2の流れ寸法の少なくとも一方よりも小さい第3の流れ寸法を有することを特徴とする流体分離装置。
【請求項2】
前記入口に流入する空気が、前記入口に流入することが許容された前記空気よりも小さな単位として前記空気流路流出部から放出されることを特徴とする請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項3】
前記空気流路が、直径が一定のチューブからなることを特徴とする請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項4】
前記入口と前記出口との間で、かつ前記入口の下流側に第2の入口を備え、前記第2の入口が、前記ハウジング内に流体を流すように選択的に開放されることを特徴とする請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項5】
前記入口と直接流体連通しているボルテックスチャンバと、前記ボルテックスチャンバの下流側に位置する旋回抑制チャンバと、液体が前記旋回抑制チャンバから前記出口に流れることを許容する液体流路と、を備える請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項6】
前記旋回抑制チャンバが、前記ボルテックスチャンバから前記液体流路に向かって流れる流体の回転流を妨げるように配置された複数のベーンを備えることを特徴とする請求項5に記載の流体分離装置。
【請求項7】
前記液体流路と前記出口との間にポンプ入口チャンバを備え、液体が前記ポンプ入口チャンバに直接流入するのを選択的に許容する第2の入口を備えることを特徴とする請求項5に記載の流体分離装置。
【請求項8】
ポンプの入口付近にロータを有するポンプを備え、前記流出部を通って流れる空気が前記ロータにより生じた流れに流れ込むように、前記空気流路流出部が前記ロータに隣接することを特徴とする請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項9】
ロータを有する遠心ポンプに空気および液体を含有する流体を導入する方法であって、
前記ロータから間隔を隔てた第1の位置で前記流体を受容するステップと、
前記第1の位置において受容された量よりも小さな単位として前記受容された流体からの気体量を前記ロータに隣接する第2の位置に導くステップと、
を含む流体導入方法。
【請求項10】
前記第1の位置の下流側で、かつ前記ロータに近い第2の箇所で液体量を選択的に受容するステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記選択的に受容された液体がロータを通って流れることを許容すると同時に前記受容された気体を前記第2の位置に導くステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ロータに導かれた気体の量が、選択された閾値より少ない場合を測定し、次いで、前記第2の箇所における液体流を止めるステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
流体流を制御するアッセンブリであって、
流体が選択的に通って流れる少なくとも1つの部分を有する第1の構成部品と、
前記第1の構成部品から流体を引き込むとともに、前記第1の構成部品に向かって流体を導くポンプ部と、
前記第1の構成部品の出口と流体連通している分離装置入口と、前記ポンプ部の入口に連通している前記分離装置入口の一方の側に位置する分離装置出口と、前記分離装置入口の反対側に位置するエアチャンバと、前記エアチャンバに連通している空気流入口および前記分離装置出口の近くに位置する出口を有する空気流路と、を有する流体分離装置部と、
を有するポンプ装置と、
を備え、
前記空気流路が、前記分離装置入口または前記分離装置出口の少なくとも一方よりも小さい流れ寸法を有することを特徴とする流体流制御アッセンブリ。
【請求項14】
前記第1の構成部品が、ベストを備えることを特徴とする請求項13に記載のアッセンブリ。
【請求項15】
前記第1の構成部品が、燃料電池スタックを備えることを特徴とする請求項13に記載のアッセンブリ。
【請求項16】
電力スタックアッセンブリと、
冷却流体を蓄えるアキュムレータと、
前記電力スタックアッセンブリを通る冷却液を選択的に導くように前記電力スタックアッセンブリおよび前記アキュムレータと連通しているポンプ装置と、
を備え、
前記ポンプ装置が、
ポンプ部と、
分離装置部と、を備え、
前記分離装置部が、前記電力スタックアッセンブリの出口と連通している分離装置入口と、前記ポンプ部の入口と連通している分離装置出口と、前記分離装置入口の反対側に位置するエアチャンバと、前記エアチャンバと連通している流入部および前記分離装置出口付近に位置する流出部を有する空気流路と、を有し、
前記空気流路が、前記分離装置入口または前記分離装置出口の少なくとも一方の流れ寸法よりも小さい流れ寸法を有することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項17】
前記ポンプ部が、前記ポンプ部を通して流体を引き込むように圧力差を生じさせるロータ部を備え、前記空気流路流出部が、前記ロータ部に隣接することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記分離装置入口に流入する空気の量が、前記分離装置入口に流入する前記量より小さな単位として前記空気流路流出部から放出されることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記分離装置入口と前記ポンプ部入口との間で、かつ前記分離装置入口の下流側に第2の分離装置入口を備え、液体が前記ポンプ部入口に向かって流れることができるように前記第2の分離装置入口が選択的に開放されることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の分離装置入口と前記アキュムレータとの間にバルブを備え、液体が前記アキュムレータから前記第2の入口を直接通って前記ポンプ部入口に向かって流れることができるように前記バルブが選択的に開放されることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記分離装置部が、前記分離装置入口と直接的に流体連通しているボルテックスチャンバと、前記ボルテックスチャンバの下流側に位置する旋回抑制チャンバと、前記旋回抑制チャンバからの液体が前記分離装置出口に流れることを許容する液体流路と、を備えることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記旋回抑制チャンバが、前記ボルテックスチャンバから前記流体流路に向かって流れる流体の回転流を妨げるように配置された複数のベーンを備えることを特徴とする請求項21に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−181573(P2006−181573A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−355527(P2005−355527)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】