流体加熱装置
【課題】 本発明は、被加熱流体の流入口および流出口を有する外管と、外管に固定設置されて被加熱流体の流路を画成する内管と、内管に収容設置されて流路を通過する被加熱流体を加熱するランプヒータとを具備して成る流体加熱装置を対象とし、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得る、流体加熱装置の提供を目的とするものである。
【解決手段】 本発明に関わる流体加熱装置は、両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に被加熱流体の流出口を有する外管と、この外管における長手軸の方向と交差し、外管を貫通して固定設置されるとともに、外管との間において被加熱流体の流路を画成する内管と、この内管に収容設置されるランプヒータとを具備している。
【解決手段】 本発明に関わる流体加熱装置は、両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に被加熱流体の流出口を有する外管と、この外管における長手軸の方向と交差し、外管を貫通して固定設置されるとともに、外管との間において被加熱流体の流路を画成する内管と、この内管に収容設置されるランプヒータとを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の被加熱流体を所望の温度に加熱するために使用される流体加熱装置に関し、詳しくは、被加熱流体の流入口および流出口を有する外管と、外管に固定設置されて被加熱流体の流路を画成する内管と、内管に収容設置されて流路を通過する被加熱流体を加熱するランプヒータとを具備して成る流体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造分野においては、様々な製造プロセスにおける薬液(被温調流体)の温度管理に、ランプヒータを加熱手段に用いて薬液を温度調節する流体加熱装置が採用されている。
【0003】
また、上述した流体加熱装置の一態様として、両端部が閉止された外管と、この外管に設置されて薬液の流路を画成する内管と、この内管に挿入設置されるランプヒータとを備えて成る流体加熱装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13および図14に示す流体加熱装置Aは、上記構成の一具体例であって、ケーシングAcの内部に加熱ユニットAuを収容設置して成り、この加熱ユニットAuは、両端部を閉塞された円筒形状を呈する外管Bと、この外管Bの端壁を貫通して設置された円筒形状の内管C、C…とを備えている。
【0005】
上述した各内管C、C…の内部には、それぞれ加熱手段としてのハロゲンランプヒータDが挿入設置されており、上記ハロゲンランプヒータDは、フィラメントを封入した耐熱ガラス製のヒータ管Da両端部を、端部ベースDb、Dbで封止することによって構成されている。
【0006】
上記ハロゲンランプヒータDの挿入設置された内管Cによって、外管Bの内部には薬液(被温調流体)Lの流路Bgが画成されており、外管Bに設けられた流入口Biから供給された薬液(被温調流体)Lは、流路Bgを通過する際に、ハロゲンランプヒータDから放射される赤外線を吸収して加熱され、外管Bに設けられた流出口Boを介して排出されて行く。
【0007】
因みに、上述した流体加熱装置Aは、定格3kwのハロゲンランプヒータDを4本使用することにより、加熱能力を12kwとしたものであり、また上述した流体加熱装置Aは、個々のハロゲンランプヒータDが約450mmの全長を有するため、ケーシングAcを含めた長手方向の外観寸法は500mm前後に設定されている。
【特許文献1】特開平5−231712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した如き構成の流体加熱装置Aに採用されているハロゲンランプヒータDは、その構造上、フィラメントの早期断線を招く等の問題があるため、上下方向に沿って縦置きすることが困難であり、図14に示す如く水平方向に横置きせざるを得ない。
【0009】
このため、従来の流体加熱装置Aにおいては、横置きされたハロゲンランプヒータDの全長に影響されて、外観形状における長手方向の寸法が大きなものとなり、所望箇所へ据え付ける際に広いセットスペースを必要とする問題があった。
【0010】
さらに、従来の流体加熱装置Aにおいては、メンテナンス作業時にハロゲンランプヒータDを長手方向に沿って引き出す必要から、上述した広いセットスペースに併せて、さらに長大なメンテナンススペースをも確保しなければならず、運用に際して極めて広い設置スペースを用意する必要があった。
【0011】
本発明は上記実状に鑑みて、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得る、流体加熱装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく、請求項1に関わる流体加熱装置は、両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に被加熱流体の流出口を有する外管と、この外管における長手軸の方向と交差し、外管を貫通して固定設置されるとともに、外管との間において被加熱流体の流路を画成する内管と、この内管に収容設置されるランプヒータとを具備して成ることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明に関わる流体加熱装置は、請求項1記載の流体加熱装置において、複数個の内管を、外管における長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことを特徴としている。
【0014】
また、請求項3の発明に関わる流体加熱装置は、請求項2の発明に関わる流体加熱装置において、外管が両端部の閉塞された四角筒形状を呈していることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4の発明に関わる流体加熱装置は、請求項1記載の流体加熱装置において、複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことを特徴としている。
【0016】
また、請求項5の発明に関わる流体加熱装置は、請求項4記載の流体加熱装置において、外管が両端部の閉塞された円筒形状を呈していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を縦置きに設置するとともに、ランプヒータを収容設置した内管を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いランプヒータを採用するとともに、全長が短い故に出力の小さいランプヒータの設置本数を増やすことで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0018】
また、ランプヒータを収容設置した内管を、外管の長手軸方向と交差させて略水平に配設したことで、外管の下部の流入口から上部の流出口へ向けて上昇する被加熱流体が、上記ランプヒータを収容設置した内管と交差して流れるため、上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0019】
請求項2の発明に関わる流体加熱装置によれば、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、外管における長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことで、外管の下部の流入口から上部の流出口へ向けて上昇する被加熱流体が、外管内部の流路をスムーズに流れることとなり、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0020】
請求項3の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を両端部の閉塞された四角筒形状とすることで、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、外管の側壁と平行する平面上に配設することにより、流路における外管の側壁と内管との距離を、各々の内管の全域に亘って等距離とすることができ、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0021】
請求項4の発明に関わる流体加熱装置によれば、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことで、隣り合う内管同士が熱の干渉によって過熱することを緩和でき、もってランプヒータの長寿命を期待することができる。
【0022】
請求項5の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を両端部の閉塞された円筒形状とすることで、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置した際、各々の内管に対する外管の流路は均等なものとなり、各々の内管毎における加熱効率の斑が抑制され、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に関わる流体加熱装置を、半導体製造の様々なプロセスで使用される薬液(被温調流体)を、任意に温度調節するための流体加熱装置に適用した例を示している。
【0024】
上記第1実施例の流体加熱装置10は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング10Aと、該ケーシング10Aの内部に収容設置された加熱ユニット10Uとを具備して成る。
【0025】
上記加熱ユニット10Uは、両端部の閉塞された外管11と、この外管11を貫通して設置された円筒形状の内管12、12…とを備え、透明の耐熱ガラスから成る内管12、12…の内部には、加熱手段としてのハロゲンランプヒータ13、13…が挿入設置されている。
【0026】
上記加熱ユニット10Uにおける外管11は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、その長手軸(横断面における対角線の交点を通って外管11の長手方向に沿って延びる軸線)を上下方向に沿わせた姿勢で、上記ケーシング10Aの内部において縦置きに設置されている。因みに、本実施例における外管11のサイズは、470(H)mm×250(W)mm×250(D)mmである。
【0027】
さらに、上記外管11における下部には、薬液の供給パイプ(流入口)11iが設けられているとともに、上記外管11における上部には、薬液の排出パイプ(流出口)11oが設けられており、これら供給パイプ11iおよび排出パイプ11oは、上記ケーシング10Aの正面を貫通して延在している。
【0028】
上記加熱ユニット10Uにおける内管12、12…は、両端の開放された円筒形状を呈し、上述した外管11における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管11に貫通させて固定設置(溶接)されており、外管11の内部には、内管12、12…とのスペースにより、薬液の流路11gが画成されている。
【0029】
ここで、上記加熱ユニット10Uにおいては、合計10本の内管12、12…が設けられており、これら10本の内管12、12…は、5本ずつ、2列に亘ってレイアウトされている。
【0030】
図2(a)、(b)中における右列の内管12、12…は、個々の軸線a−a(図3参照)を、上記外管11における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置されている。
【0031】
同じく、図2(a)、(b)中における左列の内管12、12…は、個々の軸線b−b(図3参照)を、上記外管11における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置されている。
【0032】
また、右列の内管12、12…の軸線a−aと、左列の内管12、12…の軸線b−bとは、平面視において互いに平行を成しているとともに、外管11の側壁に対しても平行を成しており、さらに右列の内管12、12…と、左列の内管12、12…とは、正面視において千鳥状にレイアウトされている。
【0033】
なお、個々の内管12、12…におけるピッチ間距離、具体的には隣合う内管12の周壁同士の間隔(寸法)は、外管11に対する内管12の溶接作業を考慮して、現行の流体加熱装置(図13、14参照)と同等に設定されている。
【0034】
上述した内管12、12…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ13は、内部にフィラメントを封入した2本のヒータ管13a、13aを並設し、これらヒータ管13a、13aの両端部を端部ベース13b、13bで支持するとともに、各々のフィラメントを奥側の端部ベース13bにおいて接続してシングルエンド化したもので、手前側の端部ベース13bからは2本の配線が導出している。
【0035】
ここで、上記ハロゲンランプヒータ13の全長は約300mmと短く、その定格出力も1.2kwと小さいものではあるが、10本の内管12、12…にハロゲンランプヒータ13を挿入設置して、計10本のハロゲンランプヒータ13、13…を使用することにより、上記流体加熱装置10の加熱能力を12kwとしている。
【0036】
すなわち、本実施例の流体加熱装置10では、加熱能力が12kwの現行の流体加熱装置(図13、14参照)と同等の加熱能力を得るために、ハロゲンランプヒータ13の定格出力が小さい分、言い換えればハロゲンランプヒータ13の全長の短い分、その設置本数を増やすことによって、受光面積を現行の流体加熱装置と同じにしているものである。
【0037】
上述した流体加熱装置10において、加熱ユニット10Uにおける外管11の下部に設けられた供給パイプ11iから供給された薬液は、外管11内の流路11gを通過する際に、各内管12、12…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ13、13…から放射される赤外線を吸収して加熱され、外管11の上部に設けられた排出パイプ11oを介して排出されて行く。
【0038】
上述した如き構成の流体加熱装置10によれば、外管11を縦置きに設置するとともに、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いハロゲンランプヒータ13を採用するとともに、全長が短い故に出力の小さいハロゲンランプヒータ13の設置本数を増やすことで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0039】
また、上記構成の流体加熱装置10によれば、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…を、外管11の長手軸の方向と交差して略水平に配設させたことで、外管11の下部の供給パイプ11iから上部の排出パイプ11oへ向けて上昇する薬液が、上記ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…と交差して流れるため、上記ハロゲンランプヒータ13による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0040】
さらに、上記構成の流体加熱装置10によれば、外管11を両端部の閉塞された四角筒形状とすることで、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した複数個の内管12、12…を、外管13の側壁と平行する平面上に配設することにより、流路11gにおける外管11の側壁と内管12との距離を、各々の内管12、12…の全域に亘って等距離とすることができ、もって上記ハロゲンランプヒータ13による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0041】
図4および図5は、本発明に関わる流体加熱装置の第2実施例を示しており、この流体加熱装置20は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング20Aと、該ケーシング20Aの内部に収容設置された加熱ユニット20Uとを具備して成る。
【0042】
加熱ユニット20Uの外管21は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、本実施例における外管21のサイズは、470(H)mm×250(W)mm×230(D)mmである。
【0043】
また、加熱ユニット20Uの内管22、22…は、一端の閉塞された円筒形状を呈しており、外管21における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その開放側の端部を外管21の前壁に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0044】
上記内管22、22…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ23は、内部にフィラメントを封入した1本のヒータ管23aをヘアピン状に屈曲させ、両端を1つの端部ベース23bで支持することによりシングルエンド化したもので、上記端部ベース23bからは2本の配線が導出している。
【0045】
ここで、上記ハロゲンランプヒータ23は、第1実施例のハロゲンランプヒータ13と同じく定格1.2kwであるが、端部ベース23bがヒータ管23aの一端のみに設けられているため、第1実施例のハロゲンランプヒータ13よりも全長が短いものとなっている。
【0046】
なお、上述した流体加熱装置20は、内管22およびハロゲンランプヒータ23の構成以外、第1実施例の流体加熱装置10と変わるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に10を加算した20番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0047】
上述した如き構成の流体加熱装置20によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0048】
また、上記構成の流体加熱装置20によれば、ハロゲンランプヒータ23の全長が短いことから、該ハロゲンランプヒータ23の挿入設置される内管22、22…の全長も短く、さらに上記ハロゲンランプヒータ23の構造に基づき、内管22、22…は外管21の前壁に貫通するのみで、外管21の後壁からは何ら突出しないため、加熱ユニット20Uの更なる小型化、延いては、流体加熱装置20における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0049】
また、上記構成の流体加熱装置20によれば、内管22、22…における一方の端部のみを、外管21に貫通させて固定設置(溶接)しているので、外管21に対する内管22、22…の溶接箇所が少なく、もって加熱ユニット20Uの製造の簡易化、延いては流体加熱装置20の製造に関わるコストの低減を図ることができる。
【0050】
図6および図7は、本発明に関わる流体加熱装置の第3実施例を示しており、この流体加熱装置30は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング30Aと、該ケーシング30Aの内部に収容設置された加熱ユニット30Uとを具備して成る。
【0051】
加熱ユニット30Uの外管31は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、本実施例における外管31のサイズは、485(H)mm×160(W)mm×360(D)mmである。
【0052】
上記加熱ユニット30Uの内管32、32…は、両端の開放された円筒形状を呈しており、外管31における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管31に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0053】
上記加熱ユニット10Uには、合計6本の内管32、32…が設けられており、これら6本の内管32、32…は、図7に示す個々の軸線a−a、b−b、c−c、d−d、e−e、f−fを、外管31における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置され、さらに外管31の側壁に対しても平行を成す態様で設置されている。
【0054】
上述した内管32、32…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ33は、第1実施例に使用されたハロゲンランプヒータ13と同一の構造であるが、その全長はやや長く、定格出力も2kwとやや大きく、計6本のハロゲンランプヒータ33、33…を使用することで、流体加熱装置30の加熱能力を12kwとしている。
【0055】
なお、上述した流体加熱装置30は、外管31の形状、内管32およびハロゲンランプヒータ33の配置以外、第1実施例の流体加熱装置10と基本的に変わらるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に20を加算した30番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0056】
上述した如き構成の流体加熱装置30によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0057】
特に、上述した流体加熱装置20においては、複数本のハロゲンランプヒータ33、33…を縦一列にレイアウトしたことで、外管31における幅方向の外形が大幅にスリムなものとなり、もって加熱ユニット30Uの大幅な小型化、延いては、流体加熱装置30における設置スペースの大幅な省スペース化を図ることができる。
【0058】
なお、上述したハロゲンランプヒータ33に換えて、第2実施例に使用されたハロゲンランプヒータ、すなわちヘアピン状に屈曲させた1本のヒータ管の両端を1つの端部ベースで支持したハロゲンランプヒータを採用するとともに、上述した内管32に換えて、第2実施例に使用された内管、すなわち、一端が閉塞されているとともに開放側の端部を外管に貫通させて固定設置した内管を採用することも可能であり、上述した構成を採用することによって、加熱ユニット30Uの更なる小型化、延いては流体加熱装置30における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0059】
図8および図9は、本発明に関わる流体加熱装置の第4実施例を示しており、この流体加熱装置40は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング40Aと、該ケーシング40Aの内部に収容設置された加熱ユニット40Uとを具備して成り、加熱ユニット40Uの外管41は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈している。
【0060】
また、加熱ユニット40Uの内管42、42…は、一端の閉塞された短い円筒形状を呈しており、外管41における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その開放側の端部を外管41の前壁に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0061】
ここで、上記加熱ユニット40Uにおいては、合計12本の内管42、42…を備えており、これら12本の内管42、42…は、6本ずつ、2列に亘ってレイアウトされている。
【0062】
上記内管42、42…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ43は、内部にフィラメントを封入したヒータ管(バルブ)43aと端部ベース43bとを備えた豆球タイプのランプヒータであり、その全長は極めて短く、定格出力も1.0kwと小さいものの、計12本のハロゲンランプヒータ43、43…を使用することで、流体加熱装置40の加熱能力を12kwとしている。
【0063】
なお、上述した流体加熱装置40は、内管42の形状と配置態様、およびハロゲンランプヒータ43の構造以外、第1実施例の流体加熱装置10と基本的に変わるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に30を加算した40番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0064】
上述した如き構成の流体加熱装置40によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0065】
さらに、上記構成の流体加熱装置40によれば、第2実施例における流体加熱装置20と同様にして、内管42、42…およびハロゲンランプヒータ43の全長が短く、かつ内管42、42…の一方端部のみを外管21に貫通固定したことで、設置スペースの更なる省スペース化を図ることができるとともに、流体加熱装置40の製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
図10〜図12は、本発明に関わる流体加熱装置の第5実施例を示しており、この流体加熱装置50は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング50Aと、該ケーシング50Aの内部に収容設置された加熱ユニット50Uとを具備して成る。
【0067】
上記加熱ユニット50Uは、両端部の閉塞された外管51と、この外管51を貫通して設置された円筒形状の内管52、52…とを備え、透明の耐熱ガラスから成る内管52、52…の内部には、加熱手段としてのハロゲンランプヒータ53、53…が挿入設置されている。
【0068】
上記加熱ユニット50Uにおける外管51は、上方と下方との両端部が閉塞された円筒形状を呈し、その長手軸(横断面における円の中心を通って外管51の長手方向に沿って延びる軸線)を上下方向に沿わせた姿勢で、上記ケーシング50Aの内部において縦置きに設置されている。因みに、本実施例における外管51のサイズは、470(H)mm×200(φ)mmである。
【0069】
さらに、上記外管51における下部には、薬液の供給パイプ(流入口)51iが設けられているとともに、上記外管51における上部には、薬液の排出パイプ(流出口)51oが設けられており、これら供給パイプ51iおよび排出パイプ51oは、上記ケーシング50Aの正面を貫通して延在している。
【0070】
上記加熱ユニット50Uにおける内管52、52…は、両端の開放された円筒形状を呈し、上述した外管51における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管51に貫通させて固定設置(溶接)されており、内管52、52…とのスペースによって、外管51の内部には薬液の流路51gが画成されている。
【0071】
また、上記加熱ユニット10Uにおいては、合計4本の内管52、52…を備えており、これら4本の内管52、52…は、図12に示す個々の軸線a−a、b−b、c−c、d−dを、上下に隣り合う内管52同士の軸線が互いに平行を成さない位置態様で設置されている。
【0072】
ここで、上記4本の内管52、52…における軸線a−a、b−b、c−c、d−dは、平面視において互いに22.5°ずつ回転した位置に設置されており、最上位の内管52の軸線a−aと最下位の内管52の軸線d−dとの間には、90°の交差角が設定されている。
【0073】
また、上記4本の内管52、52…における軸線a−a、b−b、c−c、d−dは、外管51の正面視において左右45°(計90°)の範囲に納められており、各内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53、53…を、加熱ユニット50U(流体加熱装置50)の前方に取り出し得るよう設定されている。
【0074】
上述した内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53は、第1実施例に使用されたハロゲンランプヒータ13と同一の構造、かつ定格出力は1.2kwであり、計4本のハロゲンランプヒータ53、53…を使用することで、流体加熱装置50の加熱能力は4.8kwとなっているが、内管52同士の隙間を可及的に狭く設定することで、外管51に10本の内管52、52…を設置することが可能であり、上記構成によって流体加熱装置50の加熱能力を12kwとすることができる。
【0075】
上述した流体加熱装置50において、加熱ユニット50Uにおける外管51の下部に設けられた供給パイプ51iから供給された薬液は、外管51内の流路51gを通過する際に、各内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53、53…から放射される赤外線を吸収して加熱され、外管51の上部に設けられた排出パイプ51oを介して排出されて行く。
【0076】
上述した如き構成の流体加熱装置50によれば、外管51を縦置きに設置するとともに、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いハロゲンランプヒータ53を採用することで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0077】
また、上記構成の流体加熱装置50によれば、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…を、外管51の長手軸の方向と交差して略水平に配設させたことで、外管51の下部の供給パイプ51iから上部の排出パイプ51oへ向けて上昇する薬液が、上記ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…と交差して流れるため、上記ハロゲンランプヒータ53による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0078】
また、上記構成の流体加熱装置50によれば、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した複数個の内管52、52…を、隣接する内管52同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことで、隣り合う内管52同士が熱の干渉によって過熱することを緩和でき、もってハロゲンランプヒータ53の長寿命、延いては流体加熱装置50におけるメンテナンス間隔の大幅な延長を図ることができる。
【0079】
さらに、上記構成の流体加熱装置50によれば、外管51を両端部の閉塞された円筒形状とすることで、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した複数個の内管52、52…を、隣接する内管52同士が互いに平行を成さない位置態様で設置した際、各々の内管52に対する外管51の流路51gは均等なものとなり、もって各々の内管52毎における加熱効率の斑が抑制され、上記ハロゲンランプヒータ53による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0080】
また、上記構成の流体加熱装置50においては、ハロゲンランプヒータ53に換えて、第2実施例に使用されたハロゲンランプヒータ、すなわちヘアピン状に屈曲させた1本のヒータ管の両端を1つの端部ベースで支持したハロゲンランプヒータを採用するとともに、上述した内管52に換えて、第2実施例に使用された内管、すなわち、一端が閉塞されているとともに開放側の端部を外管に貫通させて固定設置した内管を採用することも可能であり、上述した構成を採用することによって、加熱ユニット50Uの更なる小型化、延いては流体加熱装置50における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0081】
なお、上述した各実施例においては、半導体装置の製造分野に本発明を適用した例を示したが、精密な温度調節を必要とする様々な産業分野における諸設備に対しても、本発明の流体加熱装置を有効に適用し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に関わる流体加熱装置の第1実施例を示す全体斜視図。
【図2】(a)、(b)および(c)は、図1に示した流体加熱装置における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図3】(a)および(b)は、図2中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図4】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第2実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図5】(a)および(b)は、図4中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図6】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第3実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図7】(a)および(b)は、図6中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図8】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第4実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図9】(a)および(b)は、図8中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図10】本発明に関わる流体加熱装置の第5実施例を示す全体斜視図。
【図11】(a)、(b)および(c)は、図10に示した流体加熱装置における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図12】(a)および(b)は、図11中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図13】従来の流体加熱装置を概念的に示した全体斜視図。
【図14】図13に示した流体加熱装置の断面側面図。
【符号の説明】
【0083】
10、20、30、40、50…流体加熱装置、
10A、20A、30A、40A、50A…ケーシング、
10U、20U、30U、40U、50U…加熱ユニット、
11、21、31、41、51…外管、
11i、21i、31i、41i、51i…供給パイプ(流入口)、
11o、21o、31o、41o、51o…排出パイプ(流出口)、
11g、21g、31g、41g、51g…流路、
12、22、32、42、52…内管、
13、23、33、43、53…ハロゲンランプヒータ(ランプヒータ)、
13a、23a、33a、43a、53a…ヒータ管、
13b、23b、33b、43b、53b…端部ベース、
L…薬液(被温調流体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の被加熱流体を所望の温度に加熱するために使用される流体加熱装置に関し、詳しくは、被加熱流体の流入口および流出口を有する外管と、外管に固定設置されて被加熱流体の流路を画成する内管と、内管に収容設置されて流路を通過する被加熱流体を加熱するランプヒータとを具備して成る流体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造分野においては、様々な製造プロセスにおける薬液(被温調流体)の温度管理に、ランプヒータを加熱手段に用いて薬液を温度調節する流体加熱装置が採用されている。
【0003】
また、上述した流体加熱装置の一態様として、両端部が閉止された外管と、この外管に設置されて薬液の流路を画成する内管と、この内管に挿入設置されるランプヒータとを備えて成る流体加熱装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13および図14に示す流体加熱装置Aは、上記構成の一具体例であって、ケーシングAcの内部に加熱ユニットAuを収容設置して成り、この加熱ユニットAuは、両端部を閉塞された円筒形状を呈する外管Bと、この外管Bの端壁を貫通して設置された円筒形状の内管C、C…とを備えている。
【0005】
上述した各内管C、C…の内部には、それぞれ加熱手段としてのハロゲンランプヒータDが挿入設置されており、上記ハロゲンランプヒータDは、フィラメントを封入した耐熱ガラス製のヒータ管Da両端部を、端部ベースDb、Dbで封止することによって構成されている。
【0006】
上記ハロゲンランプヒータDの挿入設置された内管Cによって、外管Bの内部には薬液(被温調流体)Lの流路Bgが画成されており、外管Bに設けられた流入口Biから供給された薬液(被温調流体)Lは、流路Bgを通過する際に、ハロゲンランプヒータDから放射される赤外線を吸収して加熱され、外管Bに設けられた流出口Boを介して排出されて行く。
【0007】
因みに、上述した流体加熱装置Aは、定格3kwのハロゲンランプヒータDを4本使用することにより、加熱能力を12kwとしたものであり、また上述した流体加熱装置Aは、個々のハロゲンランプヒータDが約450mmの全長を有するため、ケーシングAcを含めた長手方向の外観寸法は500mm前後に設定されている。
【特許文献1】特開平5−231712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した如き構成の流体加熱装置Aに採用されているハロゲンランプヒータDは、その構造上、フィラメントの早期断線を招く等の問題があるため、上下方向に沿って縦置きすることが困難であり、図14に示す如く水平方向に横置きせざるを得ない。
【0009】
このため、従来の流体加熱装置Aにおいては、横置きされたハロゲンランプヒータDの全長に影響されて、外観形状における長手方向の寸法が大きなものとなり、所望箇所へ据え付ける際に広いセットスペースを必要とする問題があった。
【0010】
さらに、従来の流体加熱装置Aにおいては、メンテナンス作業時にハロゲンランプヒータDを長手方向に沿って引き出す必要から、上述した広いセットスペースに併せて、さらに長大なメンテナンススペースをも確保しなければならず、運用に際して極めて広い設置スペースを用意する必要があった。
【0011】
本発明は上記実状に鑑みて、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得る、流体加熱装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく、請求項1に関わる流体加熱装置は、両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に被加熱流体の流出口を有する外管と、この外管における長手軸の方向と交差し、外管を貫通して固定設置されるとともに、外管との間において被加熱流体の流路を画成する内管と、この内管に収容設置されるランプヒータとを具備して成ることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明に関わる流体加熱装置は、請求項1記載の流体加熱装置において、複数個の内管を、外管における長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことを特徴としている。
【0014】
また、請求項3の発明に関わる流体加熱装置は、請求項2の発明に関わる流体加熱装置において、外管が両端部の閉塞された四角筒形状を呈していることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4の発明に関わる流体加熱装置は、請求項1記載の流体加熱装置において、複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことを特徴としている。
【0016】
また、請求項5の発明に関わる流体加熱装置は、請求項4記載の流体加熱装置において、外管が両端部の閉塞された円筒形状を呈していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を縦置きに設置するとともに、ランプヒータを収容設置した内管を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いランプヒータを採用するとともに、全長が短い故に出力の小さいランプヒータの設置本数を増やすことで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0018】
また、ランプヒータを収容設置した内管を、外管の長手軸方向と交差させて略水平に配設したことで、外管の下部の流入口から上部の流出口へ向けて上昇する被加熱流体が、上記ランプヒータを収容設置した内管と交差して流れるため、上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0019】
請求項2の発明に関わる流体加熱装置によれば、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、外管における長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことで、外管の下部の流入口から上部の流出口へ向けて上昇する被加熱流体が、外管内部の流路をスムーズに流れることとなり、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0020】
請求項3の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を両端部の閉塞された四角筒形状とすることで、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、外管の側壁と平行する平面上に配設することにより、流路における外管の側壁と内管との距離を、各々の内管の全域に亘って等距離とすることができ、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【0021】
請求項4の発明に関わる流体加熱装置によれば、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことで、隣り合う内管同士が熱の干渉によって過熱することを緩和でき、もってランプヒータの長寿命を期待することができる。
【0022】
請求項5の発明に関わる流体加熱装置によれば、外管を両端部の閉塞された円筒形状とすることで、ランプヒータを収容設置した複数個の内管を、隣接する内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置した際、各々の内管に対する外管の流路は均等なものとなり、各々の内管毎における加熱効率の斑が抑制され、もって上記ランプヒータによる被加熱流体への加熱効率が良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に関わる流体加熱装置を、半導体製造の様々なプロセスで使用される薬液(被温調流体)を、任意に温度調節するための流体加熱装置に適用した例を示している。
【0024】
上記第1実施例の流体加熱装置10は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング10Aと、該ケーシング10Aの内部に収容設置された加熱ユニット10Uとを具備して成る。
【0025】
上記加熱ユニット10Uは、両端部の閉塞された外管11と、この外管11を貫通して設置された円筒形状の内管12、12…とを備え、透明の耐熱ガラスから成る内管12、12…の内部には、加熱手段としてのハロゲンランプヒータ13、13…が挿入設置されている。
【0026】
上記加熱ユニット10Uにおける外管11は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、その長手軸(横断面における対角線の交点を通って外管11の長手方向に沿って延びる軸線)を上下方向に沿わせた姿勢で、上記ケーシング10Aの内部において縦置きに設置されている。因みに、本実施例における外管11のサイズは、470(H)mm×250(W)mm×250(D)mmである。
【0027】
さらに、上記外管11における下部には、薬液の供給パイプ(流入口)11iが設けられているとともに、上記外管11における上部には、薬液の排出パイプ(流出口)11oが設けられており、これら供給パイプ11iおよび排出パイプ11oは、上記ケーシング10Aの正面を貫通して延在している。
【0028】
上記加熱ユニット10Uにおける内管12、12…は、両端の開放された円筒形状を呈し、上述した外管11における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管11に貫通させて固定設置(溶接)されており、外管11の内部には、内管12、12…とのスペースにより、薬液の流路11gが画成されている。
【0029】
ここで、上記加熱ユニット10Uにおいては、合計10本の内管12、12…が設けられており、これら10本の内管12、12…は、5本ずつ、2列に亘ってレイアウトされている。
【0030】
図2(a)、(b)中における右列の内管12、12…は、個々の軸線a−a(図3参照)を、上記外管11における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置されている。
【0031】
同じく、図2(a)、(b)中における左列の内管12、12…は、個々の軸線b−b(図3参照)を、上記外管11における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置されている。
【0032】
また、右列の内管12、12…の軸線a−aと、左列の内管12、12…の軸線b−bとは、平面視において互いに平行を成しているとともに、外管11の側壁に対しても平行を成しており、さらに右列の内管12、12…と、左列の内管12、12…とは、正面視において千鳥状にレイアウトされている。
【0033】
なお、個々の内管12、12…におけるピッチ間距離、具体的には隣合う内管12の周壁同士の間隔(寸法)は、外管11に対する内管12の溶接作業を考慮して、現行の流体加熱装置(図13、14参照)と同等に設定されている。
【0034】
上述した内管12、12…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ13は、内部にフィラメントを封入した2本のヒータ管13a、13aを並設し、これらヒータ管13a、13aの両端部を端部ベース13b、13bで支持するとともに、各々のフィラメントを奥側の端部ベース13bにおいて接続してシングルエンド化したもので、手前側の端部ベース13bからは2本の配線が導出している。
【0035】
ここで、上記ハロゲンランプヒータ13の全長は約300mmと短く、その定格出力も1.2kwと小さいものではあるが、10本の内管12、12…にハロゲンランプヒータ13を挿入設置して、計10本のハロゲンランプヒータ13、13…を使用することにより、上記流体加熱装置10の加熱能力を12kwとしている。
【0036】
すなわち、本実施例の流体加熱装置10では、加熱能力が12kwの現行の流体加熱装置(図13、14参照)と同等の加熱能力を得るために、ハロゲンランプヒータ13の定格出力が小さい分、言い換えればハロゲンランプヒータ13の全長の短い分、その設置本数を増やすことによって、受光面積を現行の流体加熱装置と同じにしているものである。
【0037】
上述した流体加熱装置10において、加熱ユニット10Uにおける外管11の下部に設けられた供給パイプ11iから供給された薬液は、外管11内の流路11gを通過する際に、各内管12、12…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ13、13…から放射される赤外線を吸収して加熱され、外管11の上部に設けられた排出パイプ11oを介して排出されて行く。
【0038】
上述した如き構成の流体加熱装置10によれば、外管11を縦置きに設置するとともに、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いハロゲンランプヒータ13を採用するとともに、全長が短い故に出力の小さいハロゲンランプヒータ13の設置本数を増やすことで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0039】
また、上記構成の流体加熱装置10によれば、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…を、外管11の長手軸の方向と交差して略水平に配設させたことで、外管11の下部の供給パイプ11iから上部の排出パイプ11oへ向けて上昇する薬液が、上記ハロゲンランプヒータ13を収容設置した内管12、12…と交差して流れるため、上記ハロゲンランプヒータ13による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0040】
さらに、上記構成の流体加熱装置10によれば、外管11を両端部の閉塞された四角筒形状とすることで、ハロゲンランプヒータ13を収容設置した複数個の内管12、12…を、外管13の側壁と平行する平面上に配設することにより、流路11gにおける外管11の側壁と内管12との距離を、各々の内管12、12…の全域に亘って等距離とすることができ、もって上記ハロゲンランプヒータ13による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0041】
図4および図5は、本発明に関わる流体加熱装置の第2実施例を示しており、この流体加熱装置20は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング20Aと、該ケーシング20Aの内部に収容設置された加熱ユニット20Uとを具備して成る。
【0042】
加熱ユニット20Uの外管21は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、本実施例における外管21のサイズは、470(H)mm×250(W)mm×230(D)mmである。
【0043】
また、加熱ユニット20Uの内管22、22…は、一端の閉塞された円筒形状を呈しており、外管21における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その開放側の端部を外管21の前壁に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0044】
上記内管22、22…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ23は、内部にフィラメントを封入した1本のヒータ管23aをヘアピン状に屈曲させ、両端を1つの端部ベース23bで支持することによりシングルエンド化したもので、上記端部ベース23bからは2本の配線が導出している。
【0045】
ここで、上記ハロゲンランプヒータ23は、第1実施例のハロゲンランプヒータ13と同じく定格1.2kwであるが、端部ベース23bがヒータ管23aの一端のみに設けられているため、第1実施例のハロゲンランプヒータ13よりも全長が短いものとなっている。
【0046】
なお、上述した流体加熱装置20は、内管22およびハロゲンランプヒータ23の構成以外、第1実施例の流体加熱装置10と変わるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に10を加算した20番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0047】
上述した如き構成の流体加熱装置20によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0048】
また、上記構成の流体加熱装置20によれば、ハロゲンランプヒータ23の全長が短いことから、該ハロゲンランプヒータ23の挿入設置される内管22、22…の全長も短く、さらに上記ハロゲンランプヒータ23の構造に基づき、内管22、22…は外管21の前壁に貫通するのみで、外管21の後壁からは何ら突出しないため、加熱ユニット20Uの更なる小型化、延いては、流体加熱装置20における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0049】
また、上記構成の流体加熱装置20によれば、内管22、22…における一方の端部のみを、外管21に貫通させて固定設置(溶接)しているので、外管21に対する内管22、22…の溶接箇所が少なく、もって加熱ユニット20Uの製造の簡易化、延いては流体加熱装置20の製造に関わるコストの低減を図ることができる。
【0050】
図6および図7は、本発明に関わる流体加熱装置の第3実施例を示しており、この流体加熱装置30は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング30Aと、該ケーシング30Aの内部に収容設置された加熱ユニット30Uとを具備して成る。
【0051】
加熱ユニット30Uの外管31は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈し、本実施例における外管31のサイズは、485(H)mm×160(W)mm×360(D)mmである。
【0052】
上記加熱ユニット30Uの内管32、32…は、両端の開放された円筒形状を呈しており、外管31における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管31に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0053】
上記加熱ユニット10Uには、合計6本の内管32、32…が設けられており、これら6本の内管32、32…は、図7に示す個々の軸線a−a、b−b、c−c、d−d、e−e、f−fを、外管31における長手軸の方向(上下方向)に並列して配置させるとともに、上記長手軸の方向(上下方向)に沿って展開する同一平面上に位置させる態様で設置され、さらに外管31の側壁に対しても平行を成す態様で設置されている。
【0054】
上述した内管32、32…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ33は、第1実施例に使用されたハロゲンランプヒータ13と同一の構造であるが、その全長はやや長く、定格出力も2kwとやや大きく、計6本のハロゲンランプヒータ33、33…を使用することで、流体加熱装置30の加熱能力を12kwとしている。
【0055】
なお、上述した流体加熱装置30は、外管31の形状、内管32およびハロゲンランプヒータ33の配置以外、第1実施例の流体加熱装置10と基本的に変わらるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に20を加算した30番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0056】
上述した如き構成の流体加熱装置30によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0057】
特に、上述した流体加熱装置20においては、複数本のハロゲンランプヒータ33、33…を縦一列にレイアウトしたことで、外管31における幅方向の外形が大幅にスリムなものとなり、もって加熱ユニット30Uの大幅な小型化、延いては、流体加熱装置30における設置スペースの大幅な省スペース化を図ることができる。
【0058】
なお、上述したハロゲンランプヒータ33に換えて、第2実施例に使用されたハロゲンランプヒータ、すなわちヘアピン状に屈曲させた1本のヒータ管の両端を1つの端部ベースで支持したハロゲンランプヒータを採用するとともに、上述した内管32に換えて、第2実施例に使用された内管、すなわち、一端が閉塞されているとともに開放側の端部を外管に貫通させて固定設置した内管を採用することも可能であり、上述した構成を採用することによって、加熱ユニット30Uの更なる小型化、延いては流体加熱装置30における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0059】
図8および図9は、本発明に関わる流体加熱装置の第4実施例を示しており、この流体加熱装置40は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング40Aと、該ケーシング40Aの内部に収容設置された加熱ユニット40Uとを具備して成り、加熱ユニット40Uの外管41は、上方と下方との両端部が閉塞された四角筒形状を呈している。
【0060】
また、加熱ユニット40Uの内管42、42…は、一端の閉塞された短い円筒形状を呈しており、外管41における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その開放側の端部を外管41の前壁に貫通させて固定設置(溶接)されている。
【0061】
ここで、上記加熱ユニット40Uにおいては、合計12本の内管42、42…を備えており、これら12本の内管42、42…は、6本ずつ、2列に亘ってレイアウトされている。
【0062】
上記内管42、42…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ43は、内部にフィラメントを封入したヒータ管(バルブ)43aと端部ベース43bとを備えた豆球タイプのランプヒータであり、その全長は極めて短く、定格出力も1.0kwと小さいものの、計12本のハロゲンランプヒータ43、43…を使用することで、流体加熱装置40の加熱能力を12kwとしている。
【0063】
なお、上述した流体加熱装置40は、内管42の形状と配置態様、およびハロゲンランプヒータ43の構造以外、第1実施例の流体加熱装置10と基本的に変わるところはないので、流体加熱装置10と同一の作用を為す構成要素に、図1〜図3中の符号に30を加算した40番台の符号を附すことで詳細な説明を省略する。
【0064】
上述した如き構成の流体加熱装置40によれば、第1実施例における流体加熱装置10と同様にして、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成し得るとともに、ハロゲンランプヒータによる薬液への加熱効率を良好なものとすることができる。
【0065】
さらに、上記構成の流体加熱装置40によれば、第2実施例における流体加熱装置20と同様にして、内管42、42…およびハロゲンランプヒータ43の全長が短く、かつ内管42、42…の一方端部のみを外管21に貫通固定したことで、設置スペースの更なる省スペース化を図ることができるとともに、流体加熱装置40の製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
図10〜図12は、本発明に関わる流体加熱装置の第5実施例を示しており、この流体加熱装置50は、四角い箱形状を呈する縦長のケーシング50Aと、該ケーシング50Aの内部に収容設置された加熱ユニット50Uとを具備して成る。
【0067】
上記加熱ユニット50Uは、両端部の閉塞された外管51と、この外管51を貫通して設置された円筒形状の内管52、52…とを備え、透明の耐熱ガラスから成る内管52、52…の内部には、加熱手段としてのハロゲンランプヒータ53、53…が挿入設置されている。
【0068】
上記加熱ユニット50Uにおける外管51は、上方と下方との両端部が閉塞された円筒形状を呈し、その長手軸(横断面における円の中心を通って外管51の長手方向に沿って延びる軸線)を上下方向に沿わせた姿勢で、上記ケーシング50Aの内部において縦置きに設置されている。因みに、本実施例における外管51のサイズは、470(H)mm×200(φ)mmである。
【0069】
さらに、上記外管51における下部には、薬液の供給パイプ(流入口)51iが設けられているとともに、上記外管51における上部には、薬液の排出パイプ(流出口)51oが設けられており、これら供給パイプ51iおよび排出パイプ51oは、上記ケーシング50Aの正面を貫通して延在している。
【0070】
上記加熱ユニット50Uにおける内管52、52…は、両端の開放された円筒形状を呈し、上述した外管51における長手軸の方向(上下方向)と交差する態様で略水平方向に延び、その両端部を上記外管51に貫通させて固定設置(溶接)されており、内管52、52…とのスペースによって、外管51の内部には薬液の流路51gが画成されている。
【0071】
また、上記加熱ユニット10Uにおいては、合計4本の内管52、52…を備えており、これら4本の内管52、52…は、図12に示す個々の軸線a−a、b−b、c−c、d−dを、上下に隣り合う内管52同士の軸線が互いに平行を成さない位置態様で設置されている。
【0072】
ここで、上記4本の内管52、52…における軸線a−a、b−b、c−c、d−dは、平面視において互いに22.5°ずつ回転した位置に設置されており、最上位の内管52の軸線a−aと最下位の内管52の軸線d−dとの間には、90°の交差角が設定されている。
【0073】
また、上記4本の内管52、52…における軸線a−a、b−b、c−c、d−dは、外管51の正面視において左右45°(計90°)の範囲に納められており、各内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53、53…を、加熱ユニット50U(流体加熱装置50)の前方に取り出し得るよう設定されている。
【0074】
上述した内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53は、第1実施例に使用されたハロゲンランプヒータ13と同一の構造、かつ定格出力は1.2kwであり、計4本のハロゲンランプヒータ53、53…を使用することで、流体加熱装置50の加熱能力は4.8kwとなっているが、内管52同士の隙間を可及的に狭く設定することで、外管51に10本の内管52、52…を設置することが可能であり、上記構成によって流体加熱装置50の加熱能力を12kwとすることができる。
【0075】
上述した流体加熱装置50において、加熱ユニット50Uにおける外管51の下部に設けられた供給パイプ51iから供給された薬液は、外管51内の流路51gを通過する際に、各内管52、52…に挿入設置されているハロゲンランプヒータ53、53…から放射される赤外線を吸収して加熱され、外管51の上部に設けられた排出パイプ51oを介して排出されて行く。
【0076】
上述した如き構成の流体加熱装置50によれば、外管51を縦置きに設置するとともに、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…を略水平に配設することにより、従来よりも全長の短いハロゲンランプヒータ53を採用することで、従来の流体加熱装置と同等の加熱能力を維持しつつ、セットスペースおよびメンテナンススペース等、運用に関わる設置スペースの可及的な省スペース化を達成することが可能となる。
【0077】
また、上記構成の流体加熱装置50によれば、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…を、外管51の長手軸の方向と交差して略水平に配設させたことで、外管51の下部の供給パイプ51iから上部の排出パイプ51oへ向けて上昇する薬液が、上記ハロゲンランプヒータ53を収容設置した内管52、52…と交差して流れるため、上記ハロゲンランプヒータ53による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0078】
また、上記構成の流体加熱装置50によれば、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した複数個の内管52、52…を、隣接する内管52同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことで、隣り合う内管52同士が熱の干渉によって過熱することを緩和でき、もってハロゲンランプヒータ53の長寿命、延いては流体加熱装置50におけるメンテナンス間隔の大幅な延長を図ることができる。
【0079】
さらに、上記構成の流体加熱装置50によれば、外管51を両端部の閉塞された円筒形状とすることで、ハロゲンランプヒータ53を収容設置した複数個の内管52、52…を、隣接する内管52同士が互いに平行を成さない位置態様で設置した際、各々の内管52に対する外管51の流路51gは均等なものとなり、もって各々の内管52毎における加熱効率の斑が抑制され、上記ハロゲンランプヒータ53による薬液への加熱効率が良好なものとなる。
【0080】
また、上記構成の流体加熱装置50においては、ハロゲンランプヒータ53に換えて、第2実施例に使用されたハロゲンランプヒータ、すなわちヘアピン状に屈曲させた1本のヒータ管の両端を1つの端部ベースで支持したハロゲンランプヒータを採用するとともに、上述した内管52に換えて、第2実施例に使用された内管、すなわち、一端が閉塞されているとともに開放側の端部を外管に貫通させて固定設置した内管を採用することも可能であり、上述した構成を採用することによって、加熱ユニット50Uの更なる小型化、延いては流体加熱装置50における設置スペースの更なる省スペース化を図ることができる。
【0081】
なお、上述した各実施例においては、半導体装置の製造分野に本発明を適用した例を示したが、精密な温度調節を必要とする様々な産業分野における諸設備に対しても、本発明の流体加熱装置を有効に適用し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に関わる流体加熱装置の第1実施例を示す全体斜視図。
【図2】(a)、(b)および(c)は、図1に示した流体加熱装置における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図3】(a)および(b)は、図2中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図4】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第2実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図5】(a)および(b)は、図4中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図6】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第3実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図7】(a)および(b)は、図6中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図8】(a)、(b)および(c)は、本発明に関わる流体加熱装置の第4実施例における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図9】(a)および(b)は、図8中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図10】本発明に関わる流体加熱装置の第5実施例を示す全体斜視図。
【図11】(a)、(b)および(c)は、図10に示した流体加熱装置における加熱ユニットの平面図、正面図および側面図。
【図12】(a)および(b)は、図11中のa−a線断面図およびb−b線断面図。
【図13】従来の流体加熱装置を概念的に示した全体斜視図。
【図14】図13に示した流体加熱装置の断面側面図。
【符号の説明】
【0083】
10、20、30、40、50…流体加熱装置、
10A、20A、30A、40A、50A…ケーシング、
10U、20U、30U、40U、50U…加熱ユニット、
11、21、31、41、51…外管、
11i、21i、31i、41i、51i…供給パイプ(流入口)、
11o、21o、31o、41o、51o…排出パイプ(流出口)、
11g、21g、31g、41g、51g…流路、
12、22、32、42、52…内管、
13、23、33、43、53…ハロゲンランプヒータ(ランプヒータ)、
13a、23a、33a、43a、53a…ヒータ管、
13b、23b、33b、43b、53b…端部ベース、
L…薬液(被温調流体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に前記被加熱流体の流出口を有する外管と、
前記外管における前記長手軸の方向と交差し、前記外管を貫通して固定設置されるとともに、前記外管との間において前記被加熱流体の流路を画成する内管と、
前記内管に収容設置されるランプヒータと、
を具備して成ることを特徴とする流体加熱装置。
【請求項2】
複数個の前記内管を、前記外管における前記長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項3】
前記外管が、両端部の閉塞された四角筒形状を呈していることを特徴とする請求項2記載の流体加熱装置。
【請求項4】
複数個の前記内管を、隣接する前記内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項5】
前記外管が、両端部の閉塞された円筒形状を呈していることを特徴とする請求項4記載の流体加熱装置。
【請求項1】
両端部が閉塞されているとともに、長手軸を上下方向に沿わせて縦置きに設けられ、下部に被加熱流体の流入口を有し、かつ上部に前記被加熱流体の流出口を有する外管と、
前記外管における前記長手軸の方向と交差し、前記外管を貫通して固定設置されるとともに、前記外管との間において前記被加熱流体の流路を画成する内管と、
前記内管に収容設置されるランプヒータと、
を具備して成ることを特徴とする流体加熱装置。
【請求項2】
複数個の前記内管を、前記外管における前記長手軸の方向に沿って展開する同一の平面上に設置したことを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項3】
前記外管が、両端部の閉塞された四角筒形状を呈していることを特徴とする請求項2記載の流体加熱装置。
【請求項4】
複数個の前記内管を、隣接する前記内管同士が互いに平行を成さない位置態様で設置したことを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項5】
前記外管が、両端部の閉塞された円筒形状を呈していることを特徴とする請求項4記載の流体加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−92346(P2009−92346A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265521(P2007−265521)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(590000835)株式会社KELK (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(590000835)株式会社KELK (40)
【Fターム(参考)】
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