説明

流体合流装置、流体攪拌・混合装置、ラインミキサ、流体混練方法、エアモルタル製造方法

【課題】構成が簡易で、流体の合流、攪拌・混合性能の高い装置を得る。
【解決手段】本発明に係る流体合流装置100は、第1流体を送出する第1送出管110と、第2流体を送出する第2送出管120と、第1流体を第1送出管110から均等に吐出させる流体均等化手段130と、を備えている。
また、本発明に係る流体攪拌・混合装置200は、流体の通過経路に配置された1ないし複数の攪拌板230を備え、攪拌板230は、流体の進行方向に対して所定角度で傾いて固定配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を合流させ、攪拌・混合する装置とその方法、並びにその装置を用いてエアモルタルを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアモルタルの製造方法に関し、『気泡を別途調製する工程を不要にし、安定した品質のエアモルタルを簡便に製造でき、しかも、従来のプレフォーム方式で必要な起泡剤希釈液タンクや希釈液ポンプといった装置さらには起泡剤の希釈作業人員等の装置コストや人件費コストを大幅に低減できる、エアモルタルの製造方法を提供する。』ことを目的とした技術として、『界面活性剤からなる起泡性成分とセメントを含有するスラリーを、発泡手段を内蔵した発泡ノズルに通すことにより直接エアモルタルとする。スラリーには、各種薬剤および/またはセメント混和剤、発泡手段を通過できる粒径の細骨材をさらに含有させることもできる。また、起泡性成分とセメント、さらに必要に応じて、各種薬剤および/またはセメント混和剤や発泡手段を通過できる粒径の細骨材を予め混合してプレミックス粉末としておき、施工現場で水を加えて撹拌混合してスラリーを調製すれば、各成分の現場での計量作業を不要とすることができる。』というものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、発泡モルタル等の発泡装置に関し、『構造が簡単で小型軽量であるので製作コストが安価となり、打設現場に対する搬入や撤去に有利であると共に、高い発泡効率の気泡モルタルや気泡混合軽量土を作成することができる発泡モルタル等の発泡装置を提供する。』ことを目的とした技術として、『起泡剤液とエアを混合する混合器1と、起泡剤液混入エアとモルタル等を混合して発泡モルタル等にするためのミキシング機構2の組み合わせからなり、このミキシング機構2が、チャンバー10の内部に、固定翼と回転翼を設けた上部の強制ミキシング部3と、チャンバー21の内部に邪魔板を上下多段に配置した流下ミキシング部4との二段構造になっている。』というものが提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−299206号公報(要約)
【特許文献2】特開2005−14226号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、起泡剤を水・セメント・細骨材といっしょにミキサーで混ぜてスラリーにしたものを、圧送ポンプにより直接、発泡ノズルに通してエアモルタルを得る方法である。
しかし、この方法では、気泡の性状が安定しない上、発泡ノズルの目詰まりの発生により、安定した品質のエアモルタルを得ることは難しい。
【0006】
上記特許文献2に記載の技術では、回転翼を回転させるためにモータ等が必要となり、構成が複雑化するとともにメンテナンスが必要となる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、構成が簡易で、流体の合流、攪拌・混合性能の高い装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体合流装置は、流体を合流させる装置であって、第1流体を送出する第1送出管と、第2流体を送出する第2送出管と、前記第1流体を前記第1送出管から均等に吐出させる流体均等化手段と、を備えたものである。
【0009】
また、本発明に係る流体攪拌・混合装置は、流体を攪拌・混合する装置であって、前記流体の通過経路に配置された1ないし複数の攪拌板を備え、前記攪拌板は、前記流体の進行方向に対して所定角度で傾いて固定配置されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る流体合流装置によれば、第1流体を第1送出管から均等に吐出させる流体均等化手段を備えているので、第1送出管の吐出口以降において、第1流体と第2流体を均等に混合することができる。
【0011】
また、本発明に係る流体攪拌・混合装置によれば、流体の進行方向に対して傾いた攪拌板を供えているので、流体は進行にともなって自然に攪拌される。したがって、モータ等を用いて攪拌板を回転させる必要はない。
さらには、攪拌板を流体の進行経路に配置するのみで攪拌性能が得られるので、構成が簡易であり、部品コスト等を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るラインミキサ300の側面図である。
ラインミキサ300は、内部に二つの流体を合流させ、撹拌・混合するための装置である。ここでは、気泡群とモルタルという性質の異なる2つの流体を撹拌混合してエアモルタルを製造する例を説明するが、その他の二つの流体を撹拌混合するために用いることもできる。
なお、ここでいうモルタルとは、水、セメント、細骨材、セメント混和材等を混合してスラリー化したもの。もしくは、細骨材を除いたセメントミルクを含む。
【0013】
ラインミキサ300は、流体合流装置100、流体撹拌・混合装置200を備える。
流体合流装置100は、性質の異なる二つの流体を均等に合流させ、混合する装置である。ここでは、気泡群とモルタルを均等に合流させる例を説明する。
流体撹拌・混合装置200は、流体合流装置100で均等に合流した流体を受け取って攪拌・混合する装置である。本実施の形態1では、流体撹拌・混合装置200の具体的な構成は説明しないが、任意の公知技術を用いることができる。
【0014】
図2は、流体合流装置100の構成図である。
図2(a)は流体合流装置100の側面図、図2(b)は流体混合部分の内部拡大図である。また、比較のため、従来の流体合流装置について、図2(b)と同様の図を図2(c)に併記した。
【0015】
流体合流装置100は、2インチ管110、3インチ管120、合流部コマ130を備える。
2インチ管110の流入口からは気泡群が、3インチ管120の流入口からはモルタルが、例えばポンプで圧送されて流入する。流体合流装置100の内部で気泡群とモルタルが混合され、エアモルタルとなって流出する。
【0016】
2インチ管110は、直径2インチの流体送出管である。
3インチ管120は、直径3インチの流体送出管である。
2インチ管110は、3インチ管120の側面から3インチ管120の内部に挿入されており、3インチ管120の内部で気泡群を吐出する。
2インチ間110内を圧送されてきた気泡群と、3インチ管120内を圧送されてきたモルタルは、2インチ管110の吐出口で合流する。
【0017】
合流部コマ130は、先端を2インチ管110の吐出口に向けた円錐状の部材で構成されており、2インチ管110の吐出口に配置されている。
合流部コマ130の側面には、止めネジ140と螺合するネジ穴が設けられている。止めネジ140を締めることにより、合流部コマ130を、3インチ管120の中央部分、即ち2インチ管110および3インチ管120と同軸の位置に固定することができる。
【0018】
本実施の形態1における「第1送出管」は、2インチ管が相当する。
また、「第2送出管」は、3インチ管120が相当する。
また、「流体均等化手段」は、合流部コマ130が相当する。
なお、各送出管の直径は1例であり、これら以外のサイズの管を用いてもよい。また、合流部コマ130を固定する手法として、止めネジ140以外のものを用いてもよい。
【0019】
以上、流体合流装置100の構成を説明した。
次に、流体合流装置100の内部で各流体が混合される過程を説明する。
【0020】
2インチ管110内を圧送されてきた気泡群は、2インチ管110の吐出口で円錐状の合流部コマ130にぶつかることで、3インチ管120の内壁方向に向かって、傘状に吐出される。
傘状に吐出された気泡群は、3インチ管120内をドーナツ状に圧送されてきたモルタルの流れに合流する。
これにより、気泡群とモルタルが均等な割合で混じった状態で、気液混合流体を吐出することができるので、以後に行うミキシング工程の効果を高め、均質なエアモルタルをつくる補助の役割を果たすことができる。
【0021】
一方、図2(c)のように合流部コマ130がない従来の流体合流装置では、2インチ管110から吐出された気泡群は、3インチ管120の内壁に向かって緩やかに拡散するので、気泡群とモルタルは均等に混ざりにくい。
【0022】
このように、気泡群を2インチ管110の吐出口から均等に吐出させる手段を設けたことにより、流体混合性能を高め、さらには後のミキシング工程の効果を高めることが可能となるのである。
【0023】
以上のように、本実施の形態1では、2インチ管110の吐出口に合流部コマ130を配置し、2インチ管110から吐出された気泡群が3インチ管120の内壁に向かって傘状に拡散されるように構成した。
そのため、気泡群とモルタルを均等に合流させることができる。また、これにより、後工程の流体撹拌・混合装置200が行うミキシング効果を高めることができる。
【0024】
また、本実施の形態1において、合流部コマ130は、先端を2インチ管110の吐出口に向けた円錐状部材で構成されているので、簡易な部品構成で、流体合流・混合効果を高めることができ、部品コスト等の観点から有利である。
【0025】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、流体合流装置100の合流部コマ130の取付位置を変更できるように構成した例を説明する。これにより、2インチ管110から吐出される気泡群の流量や流速を調整可能にすることを図る。
【0026】
図3は、本実施の形態2に係る流体合流装置100の側面図である。
本実施の形態2に係る流体合流装置100は、3インチ管120が、3インチ管前段部121と3インチ管後段部122の2部分で構成されている。3インチ管前段部121と3インチ管後段部122は、例えば止め具や取付ネジで接続される。
また、両者の取付位置は、可変することができるように構成されている。例えば、以下の(1)(2)のような構成が考えられる。
【0027】
(1)取付ネジのネジ穴を複数個所に設けて取付位置を選択できるようにする。
(2)両者の間にリング状のパッドを挟み込んで、3インチ管前段部121と3インチ管後段部122の接続部分の間隔を調整できるようにする。
【0028】
合流部コマ130は、3インチ管後段部122と一体的に構成されている。そのため、3インチ管後段部122の取付位置によって、合流部コマ130の位置も可変する。
【0029】
図3(a)(b)は、合流部コマ130の位置が可変する様子を示している。
図3(b)では、図3(a)と比較して、3インチ管後段部122の取付位置が流体の吐出方向に向かって移動している。これにともなって、合流部コマ130の位置も同方向に向かって移動している。
【0030】
図4は、合流部コマ130の位置変化に伴う気泡群の流れの変化を示す図である。
図4(a)は図3(a)における合流部コマ130の位置に対応し、図4(b)は図3(b)における合流部コマ130の位置に対応する。
合流部コマ130の位置が下流側に向かって移動すると、2インチ管110の吐出口と合流部コマ130の間隔が広がり、2インチ管110の開口部面積が大きくなるので、気泡群の流速が低下する。
この反対に、合流部コマ130の位置が気泡群の吐出口に向かって移動すると、2インチ管110の吐出口と合流部コマ130の間隔が狭くなり、2インチ管110の開口部面積が小さくなるので、気泡群の流速が上昇する。
【0031】
図5は、2インチ管110の開口部周辺のサイズを求めるための模式図である。
2インチ管110の開口量W、開口面積Qは、図5のように幾何学的に求めることができる。気泡群やモルタルの流量、流速等に応じて、開口量W、開口面積Qが所望の値となるように、合流部コマ130の取付位置を調整するとよい。
また、開口量W、開口面積Qの値を調整することにより、計画したモルタル圧送量とそれに合流させる所定量の気泡に対し、最適な気泡群の合流速度を調整できるようになる。従って、計画したエアモルタル製造量ごとに最適の開口割合を見つけておけば、安定した品質のエアモルタルを製造することができる。
【0032】
本実施の形態2では、3インチ管後段部122と合流部コマ130を一体的に構成し、3インチ管後段部122の取付位置を変更可能に構成したことを説明したが、合流部コマ130単体の取付位置を変更可能に構成することによっても、同様の効果を発揮する。
例えば、止めネジ140と螺合するネジ穴を合流部コマ130の側面に複数箇所設けて合流部コマ130の取付位置を選択できるようにしておき、止めネジ140を締める位置を変更すれば、同様に合流部コマ130の位置を変更することができる。
【0033】
以上のように、本実施の形態2では、合流部コマ130と2インチ管110の吐出口の間隔を調整することができる。
これにより、計画したモルタル圧送量とそれに合流させる所定の気泡量に対し、最適な気泡群の合流速度を調整できるようになり、後工程の撹拌・混合効率が上昇するため、所望の物性を有するエアモルタル製造に寄与することができる。
【0034】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、合流部コマ130を取り外し可能にした例を説明する。同時に、実施の形態2と同様に合流部コマ130の取付位置を可変にし、気泡群の流速などを調整可能にすることを図る。
【0035】
図6は、本実施の形態3における合流部コマ130の構成を示す拡大図である。
本実施の形態3において、合流部コマ130は、円筒状の台座部131、円錐状の先端部を有するコマ部132を備える。
【0036】
台座部131は、円筒側面にネジ溝が形成されており、3インチ管120の内壁に形成されたネジ溝と螺合して3インチ管120に固定される。ネジ溝に沿った回転量に応じて、台座部131の配置位置を可変することができる。
コマ部132は、実施の形態1〜2と同様に、先端部を2インチ管110の吐出口に向けた円錐状の部材で構成されている。
コマ部132は、例えば実施の形態1で説明した止めネジ140などを用いて、台座部131に固定されている(図示せず)。したがって、台座部131の配置位置が移動すると、コマ部132の位置もこれに伴って移動する。
【0037】
図6(a)はコマ部132の位置を2インチ管110の吐出口に近づけた際の様子、図6(b)はコマ部132の位置を2インチ管110の吐出口から遠ざけた際の様子を示している。
【0038】
図6のように、台座部131をネジ溝に沿って回転させて位置を可変することにより、実施の形態2と同様に、合流部コマ130と2インチ管110の吐出口の間隔を調整することができる。
合流部コマ130が使用に伴って磨耗などしたときは、台座部131をネジ溝に沿って回転させることで、容易に取り外すことができる。
台座部131をより安定的に固定したい場合は、コマ部132を固定するのと同様に、止めネジなどを用いてより強固に固定することもできる。
【0039】
以上のように、本実施の形態3では、合流部コマ130の側面にネジ溝を設け、合流部コマ130を着脱自在に構成するとともに、合流部コマ130と2インチ管110の吐出口の間隔を調整可能に構成した。
これにより、合流部コマ130の交換を容易にするとともに、気泡群の流速などを容易に調整することができるので、流体合流装置100の運用やメンテナンスの簡易化に資する。
【0040】
特に、流体合流装置100を用いて様々な種類の流体を混合攪拌する可能性がある場合は、本実施の形態3のように合流部コマ130の配置位置を容易に可変できるように構成しておくと、流体合流装置100を毎回設計し直す必要がなくなるので、便宜である。
【0041】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、流体合流装置100の構成を工夫して、性質の異なる二つの流体を均一に合流させ、その後工程のミキシング効果を高めることを説明した。
本発明の実施の形態4では、流体攪拌・混合装置200の構成を工夫してコストを抑えること、あるいは流体攪拌性能を高めることを説明する。
【0042】
図7は、本実施の形態4に係る流体攪拌・混合装置200の構成図である。図7(a)は内部構成を半透過した斜視図、図7(b)は内部構成図を示す。
流体攪拌・混合装置200は、円筒状の送出管210を有し、その内部を流体が通過する過程で流体が攪拌される。
【0043】
送出管210の内部には、送出管210の円筒高さ方向に沿って心棒240が配置され、リング状の攪拌板サポート220で送出管210の中央に固定されている。また、心棒240には長方形の攪拌板230が1ないし複数固定的に取り付けられている。
攪拌板230は、流体の進行方向(この場合は送出管210の円筒高さ方向)に対して傾斜して取り付けられている。各攪拌板230の傾斜角度は、それぞれ少しずつ異なっている。
【0044】
図7(b)に示す内部構成一式は、送出管210の内部から着脱自在に構成することができる。
例えば、通常時は攪拌板サポート220の側面と送出管210の内壁をネジ止めするなどして固定しておく。攪拌板230等が磨耗したときなどは、ネジ止めを外して図7(b)の構成一式を送出管210内部から引き抜く。
【0045】
以上、本実施の形態4に係る流体攪拌・混合装置200の構成を説明した。
次に、流体攪拌・混合装置200の内部を流体が流れる際の攪拌効果について説明する。
【0046】
送出管210の内部を流体が通過するとき、流体は進行方向に対して傾斜した攪拌板230に衝突するので、流れが分割合流すると同時に撹拌板230の背面では渦が発生する。また、流体の進行方向も曲げられる。流体が次の攪拌板230に衝突するとき、同じ作用を繰り返すばかりでなく、この攪拌板230はさらに異なる角度で傾斜しているので、流体の進行方向はさらに変化する。
【0047】
このように、流体が送出管210内を進行するにしたがって、流体が自然に攪拌される。そのため、攪拌板230をモータ等で回転させる必要はなく、単に進行方向に対して傾斜して取り付けるだけでよいスタティックミキサーとしての機能を発揮する。
【0048】
なお、攪拌板230の取付角度を調整することで、流体の分割・合流の勢い、渦流の大きさ、流れ方向を調整することもできる。例えば、各攪拌板230の取り付け角度が螺旋状に変化するように取り付けると、流体の流れを螺旋状に変化させることができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態4では、攪拌板230を流体の進行方向に対して傾斜させ、取り付け角度も変えて取り付けた。
これにより、流体が送出管210内部を進行するにしたがって流体が自然に攪拌されるので、攪拌板230を回転させる必要はなく、簡易な構成で強力攪拌効果が得られ、部品コスト等を削減することができる。
【0050】
また、本実施の形態4において、攪拌板230の数や配置間隔を調整することにより、所望の攪拌性能を得ることができる。例えば、配置間隔を狭くすれば、流体がより多くの回数攪拌されることになるので、攪拌をより激しく行うように調整することができる。
【0051】
実施の形態5.
実施の形態4では、攪拌板230の配置間隔や取付角度を調整することで、流体の攪拌性能を調整することを説明した。
本発明の実施の形態5では、攪拌板230の配置間隔や取付角度などの調整をより簡易に行うための構成を説明する。
【0052】
図8は、本実施の形態5における攪拌板230の構成図である。図8(a)は攪拌板230の側面図、図8(b)は攪拌板230を心棒240に取り付けた状態の側面図を示している。
【0053】
攪拌板230は、円筒状の取付部材250に所定角度で傾いた状態で固定されている。また、取付部材250は、止めネジ260と螺合するネジ穴を有している。
攪拌板230を心棒240に取り付けるときは、取付部材250を心棒240に通し、止めネジ260を締める。
【0054】
止めネジ260を緩めれば、攪拌板230の取付位置や円周方向の取付角度を改めて変更することができるので、攪拌する流体に合わせてこれらを任意に調整することができる。また、攪拌板230が磨耗などしたときも、攪拌板230単体での取り外しが容易であるため、メンテナンス性も向上する。
【0055】
図9は、攪拌板230と取付部材250の傾斜角度を様々に調整して構成した様子を示す側面図である。
【0056】
図9の左図の例では、攪拌板230は流体の進行方向を鉛直方向に約60°傾ける向きに傾斜している。図9の右図の例では、攪拌板230は流体の進行方向を鉛直方向に約80°傾ける向きに傾斜している。
このように、鉛直方向の傾きを様々に調整した複数種類の攪拌板230および取付部材250をあらかじめ設けておくと、これらの組み合わせ、取付位置、取付角度によって、流体の鉛直方向の攪拌性能を様々に可変することができる。
【0057】
なお、図9では側面から見た角度を様々に調整した例を示したが、上面から見た角度を様々に調整することもできるし、これらを組み合わせることもできる。
【0058】
図9の構成を任意に組み合わせると、さらに複雑な攪拌を行うことができる。また、これらは止めネジ260で容易に着脱することができるので、組み合わせの調整も容易である。
例えば、図9に示す3種類の構成を1つずつ用いて心棒240に固定すると、流体の流れを少なくとも3段階可変することができる。配置位置や円周方向の取付角度を調整することにより、さらに多くの可変パターンを構成することもできる。
【0059】
なお、図9のように複数種類の攪拌板230と取付部材250を設けておくのではなく、単一種類の攪拌板230と取付部材250のみを用いる場合でも、心棒240に対する取付位置や円周方向角度を調整することによって、流体の流れを一定範囲で調整することができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態5では、攪拌板230は、円筒状の取付部材250に所定角度で取り付けられており、止めネジ260を用いて取付部材250を心棒240に固定することにより、心棒240に着脱自在に取り付けられる。
これにより、攪拌板230を容易に着脱することができるので、攪拌板230の交換が容易になり、メンテナンス性が向上する。
また、簡易な構成で攪拌板230を心棒240に固定することができるので、部品コスト等を少なく抑えることができる。
【0061】
また、本実施の形態5では、止めネジ260を緩めて取付部材250の取付位置や円周方向角度を調整することにより、攪拌板230の取付位置や円周方向角度を調整することができるので、攪拌性能の調整を容易に行うことができる。
例えば、取付部材250をスライドさせて配置間隔を狭めることにより、攪拌板230の配置間隔が狭まって攪拌回数が増えるので、攪拌をより激しく行うように調整することができる。
【0062】
また、本実施の形態5において、傾きを様々に調整した複数種類の攪拌板230および取付部材250をあらかじめ設けておき、これらの組み合せ、配置位置、円周方向角度を様々に調整することにより、さらに複雑な攪拌を行うことができる。
【0063】
実施の形態6.
実施の形態1〜5では、気泡群とモルタルを混合攪拌してエアモルタルを製造する例を説明したが、ラインミキサ300の用途はこれに限られるものではない。
例えば、細骨材として建設現場で発生する土や粘土等の建設副産物や、焼却灰、石炭灰、汚泥等に水、セメントを混合してスラリー化したものに気泡を加えて、気泡混合軽量土を製造するような用途にも本発明に係るラインミキサ300を用いることができる。
合流部コマ130や攪拌板230の配置位置などは、必要な混練性能に合わせて適宜調整すればよい。
【0064】
このように、本発明に係るラインミキサ300は、合流部コマ130や攪拌板230などの調整によって混練性能を調整することができる。
【0065】
本装置は構成が単純で、取り扱いも容易であり、装置寸法が小さいにもかかわらず、性質の異なる流体を比較的大量に効率よく撹拌混合できるので、いままで施工できなかったシールドトンネルのような狭隘空間で長距離のエアモルタル充填が可能となった。
すなわち、地上で製造した非圧縮性のモルタルを長距離圧送し、シールド内の打設位置直近に本装置を設置して、気泡を混合してエアモルタルを製造・打設することが可能となるため、コスト削減効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態1に係るラインミキサ300の側面図である。
【図2】流体合流装置100の構成図である。
【図3】実施の形態2に係る流体合流装置100の側面図である。
【図4】合流部コマ130の位置変化に伴う気泡群の流れの変化を示す図である。
【図5】2インチ管110の開口部周辺のサイズを求めるための模式図である。
【図6】実施の形態3における合流部コマ130の構成を示す拡大図である。
【図7】実施の形態4に係る流体攪拌・混合装置200の構成図である。
【図8】実施の形態5における攪拌板230の構成図である。
【図9】攪拌板230と取付部材250の傾斜角度を様々に調整して構成した様子を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100 流体合流装置、110 2インチ管、120 3インチ管、130 合流部コマ、140 止めネジ、200 流体攪拌・混合装置、210 送出管、220 攪拌板サポート、230 攪拌板、240 心棒、250 取付部材、260 止めネジ、300 ラインミキサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を合流させる装置であって、
第1流体を送出する第1送出管と、
第2流体を送出する第2送出管と、
前記第1流体を前記第1送出管から均等に吐出させる流体均等化手段と、
を備えたことを特徴とする流体合流装置。
【請求項2】
前記第1送出管は、
前記第2送出管よりも小さい径で構成されるとともに、吐出口が前記第2送出管内に挿入されており、
前記流体均等化手段を前記第1送出管の吐出口に配置した
ことを特徴とする請求項1記載の流体合流装置。
【請求項3】
前記流体均等化手段は、
先端を前記第1送出管の吐出口に向けた円錐状部材で構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の流体合流装置。
【請求項4】
前記流体均等化手段と前記第1送出管の吐出口の間隔を調整する手段を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の流体合流装置。
【請求項5】
前記流体均等化手段は、
前記第2送出管の側壁と螺合するネジ溝を側面に有し、
前記ネジ溝を介して前記第2送出管から着脱自在に構成されている
ことを特徴とする請求項3または請求項4記載の流体合流装置。
【請求項6】
流体を攪拌・混合する装置であって、
前記流体の通過経路に配置された1ないし複数の攪拌板を備え、
前記攪拌板は、
前記流体の進行方向に対して所定角度で傾いて固定配置されている
ことを特徴とする流体攪拌・混合装置。
【請求項7】
前記攪拌板は、配置位置と角度を調整可能に構成されている
ことを特徴とする請求項6記載の流体攪拌・混合装置。
【請求項8】
前記流体の進行方向に沿って形成された心棒を備え、
前記攪拌板は、前記心棒に前記所定角度で傾いてネジ止めされており、
前記心棒は当該流体攪拌・混合装置から着脱自在に構成されている
ことを特徴とする請求項6または請求項7記載の流体攪拌・混合装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の流体合流装置と、
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の流体攪拌・混合装置と、
を接続してなることを特徴とするラインミキサ。
【請求項10】
請求項9記載のラインミキサを用いて流体を練り混ぜる
ことを特徴とする流体混練方法。
【請求項11】
請求項9記載のラインミキサを用いて、
モルタルと気泡を練り混ぜてエアモルタルを製造する
ことを特徴とするエアモルタル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−76292(P2010−76292A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247964(P2008−247964)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】