説明

流体噴射ガン及びこれを用いた清掃装置

【課題】 塵埃等が舞い上がるのを防止しつつ、作業者の負担を軽減し清掃能力の向上を図ることができる清掃装置を提供する。
【解決手段】 噴射チューブ13と、該噴射チューブ13の径方向外側を囲むように配置されるガイドガイド18とを備え、前記噴射チューブ13の内周側に流体を通過させて噴出させることにより前記噴射チューブを前記ガイド18に沿って旋回させながら流体を噴射させる流体噴射ガンにおいて、前記ガイド18の外側を囲むと共に前記噴射チューブ13の噴射方向に開口部20を有したケース19を設け、該ケース19に前記噴射チューブ13から噴射された流体を吸引する排出管24、分岐ソケット16、分岐管14、フィルタ26から成る吸引手段を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体噴射ガン及びこれを用いた清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動が容易ではないソファや車両のシート等の布地表面を清掃する清掃装置が知られている。このような清掃装置では、高圧のコンプレッサなどから圧送された空気や水等の流体を被清掃物の表面に対して吹き付けることで汚れや塵埃を吹き飛ばしている。
近年、この種の清掃装置の中には、可撓性の円筒体から成るノズルと該ノズルの径方向外側に配置される円形状のガイドとを具備し、流体を前記ノズルの内周側に通過させることにより該ノズルをガイドに沿って高速旋回させて、流体の圧力波を増幅し、流体をより大きな噴出力で噴出させる流体噴射ガンを用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−123350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した流体噴射ガンを用いた清掃装置では、ノズルから高圧の流体を噴出させて汚れや塵埃を叩き出しているため、被清掃物から剥がれ落ちた汚れや叩き出された塵埃等が周囲に舞い上がってしまうという課題がある。
一方、塵埃等が舞い上がるのを抑制するために流体の噴射力を弱めてしまうと清掃能力が低下してしまい、また、バキューム装置を併用して汚れや塵埃等を吸引しながら流体噴射ガンを用いて被清掃物に流体を吹き付けると、作業者の負担が増加するという課題がある。
【0004】
そこで、この発明は、塵埃等が舞い上がるのを防止しつつ、作業者の負担を軽減し清掃能力の向上を図ることができる流体噴射ガン及びこれを用いた清掃装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、可撓性の噴射チューブ(例えば、実施の形態における噴射ノズル13)と、該噴射チューブの径方向外側を囲むように配置されるガイド(例えば、実施の形態におけるガイド18)とを備え、前記噴射チューブの内周側に流体を通過させて噴出させることにより前記噴射チューブを前記ガイドに沿って旋回させながら流体を噴射させる流体噴射ガンにおいて、前記ガイドの外側を囲むと共に前記噴射チューブの噴射方向に開口部(例えば、実施の形態における開口部20)を有したケーシング(例えば、実施の形態におけるケース19)を設け、該ケーシングに前記噴射チューブから噴射された流体を吸引する吸引手段(例えば、実施の形態における排出管24、分岐ソケット16、分岐管14、フィルタ26から成る)を設けたことを特徴とする
このように構成することで、被清掃物にケーシングの開口部を押し付けて流体を噴出させると、この噴出時の反力によって噴射チューブをガイドに沿って旋回させることができるため、噴射チューブから噴射された流体で被清掃物の表面の汚れを効率よく叩き出すことができる。また、これと同時に、被清掃物から叩き出された塵埃等をケーシング内に留まらせつつ吸引手段で吸引することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記吸引手段は、前記ケーシングに連通する排出管(例えば、実施の形態における排出管24)と、該排出管に設けられ流体の集塵を行う集塵手段(例えば、実施の形態におけるフィルタ26)とを備え、前記噴射チューブの内周側を通過する流体の一部を前記排出管内で前記集塵手段側に噴出させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ガン。
このように構成することで、噴射チューブをガイドに沿って旋回させながら流体を噴射する際に、噴射チューブの内周側を通過させようとする流体を利用して排出管内において集塵手段側に向かう流体の流れを発生させることができるため、簡単な構造でケーシング内の塵埃等を排出管内に確実に吸引し、この吸引した塵埃等を集塵手段で集塵することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、可撓性の噴射チューブと、該噴射チューブの径方向外側を囲むように配置されるガイドとを備えた流体噴射ガンと、前記噴射チューブに流体を圧送し前記噴射チューブの内周側に流体を通過させて噴出させることにより前記噴射チューブを前記ガイドに沿って旋回させながら流体を噴射させる流体圧送手段とを備えた清掃装置において、前記流体噴射ガンに前記ガイドの外側を囲むと共に前記噴射チューブの噴射方向に開口部を有したケーシングと、該ケーシングの流体を吸引する吸引手段とを設けたことを特徴とする。
このように構成することで、被清掃物にケーシングの開口部を押し付けて流体を噴出させると、この噴出時の反力によって噴射チューブをガイドに沿って旋回させることができるため、噴射チューブから噴射された流体で被清掃物の表面の汚れを効率よく叩き出すことができる。また、これと同時に、被清掃物から叩き出された塵埃等をケーシング内に留まらせつつ吸引手段で吸引することができる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記吸引手段は、前記ケーシングに連通する排出管と、該排出管に設けられ流体の集塵を行う集塵手段とを備え、前記噴射チューブの内周側を通過する流体の一部を前記排出管内で前記集塵手段側に噴出させることを特徴とする。
このように構成することで、噴射チューブをガイドに沿って旋回させながら流体を噴射する際に、噴射チューブの内周側を通過させようとする流体を利用して排出管内において集塵手段側に向かう流体の流れを発生させることができるため、簡単な構造でケーシング内の塵埃等を排出管内に確実に吸引し、この吸引した塵埃等を集塵手段で集塵することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、被清掃物にケーシングの開口部を押し付けて流体を噴出させると、この噴出時の反力によって噴射チューブをガイドに沿って旋回させることができるため、噴射チューブから噴射された流体で被清掃物の表面の汚れを効率よく叩き出すことができ、したがって、清掃能力を向上することができる効果がある。また、ケーシングに吸引手段を設けたことで、被清掃物から叩き出された塵埃等をケーシング内に留まらせつつ吸引手段で吸引することができるため、従来のバキューム装置等を併用する場合と比較して、確実に塵埃等の舞い上がりを防止でき、したがって、作業者の負担を軽減して商品性を向上することができる効果がある。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、噴射チューブをガイドに沿って旋回させながら流体を噴射する際に、噴射チューブの内周側を通過させようとする流体を利用して排出管内において集塵手段側に向かう流体の流れを発生させることができるため、簡単な構造でケーシング内の塵埃等を排出管内に確実に吸引し、この吸引した塵埃等を集塵手段で集塵することができ、したがって、更なる作業者の負担の軽減を図ることが可能になると共に、バキューム装置等の装置を用いない分コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、被清掃物にケーシングの開口部を押し付けて流体を噴出させると、この噴出時の反力によって噴射チューブをガイドに沿って旋回させることができるため、噴射チューブから噴射された流体で被清掃物の表面の汚れを効率よく叩き出すことができ、したがって、清掃能力を向上することができる効果がある。また、ケーシングに吸引手段を設けたことで、被清掃物から叩き出された塵埃等をケーシング内に留まらせつつ吸引手段で吸引することができるため、従来のバキューム装置等を併用する場合と比較して、確実に塵埃等の舞い上がりを防止でき、したがって、作業者の負担を軽減して商品性を向上することができる効果がある。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、請求項3の効果に加え、噴射チューブをガイドに沿って旋回させながら流体を噴射する際に、噴射チューブの内周側を通過させようとする流体を利用して排出管内において集塵手段側に向かう流体の流れを発生させることができるため、簡単な構造でケーシング内の塵埃等を排出管内に確実に吸引し、この吸引した塵埃等を集塵手段で集塵することができ、したがって、更なる作業者の負担の軽減を図ることが可能になると共に、バキューム装置等の装置を用いない分コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この第1の実施の形態の清掃装置1は、高圧の流体を圧送するコンプレッサ2と、このコンプレッサ2にホース3を介して接続され作業者の操作に基づいて前記流体を噴射する噴射ガン4とで構成され、作業者が前記噴射ガン4を手に持ち、被清掃物の表面にコンプレッサ2から圧送される空気や水などの流体を被清掃物の表面に向けて噴射させながら移動して清掃を行うようになっている。
【0014】
図2に示すように、前記噴射ガン4は、ガン本体5を備えており、このガン本体5の入口側ポート7には前述したホース3がコネクタ6を介して接続されている。この入口側ポート7の上方にはグリップ部8が設けられており、さらに、このグリップ部8よりも上方の前部にはトリガスイッチ9が凸設されている。通常、前記入口側ポート7と後述する出口側ポート10とは遮断状態となっているが、前記トリガスイッチ9が押し込まれることで入口側ポート7と出口側ポート10とが連通状態となる。
【0015】
一方、ガン本体5の上部には前方に向けて延出する出口通路11が形成されており、この出口通路11の前端に出口側ポート10が配置されている。また、前記出口通路11の上縁には鉛直下方に向けてトリガレバー12が傾動自在に支持されており、このトリガレバー12が前記トリガスイッチ9によって前方に向けて付勢されている。したがって、前記トリガレバー12をグリップ部8側に引くことでトリガスイッチ9が押し込まれ、ガン本体5の入口側ポート7と出口側ポート10とが連通状態となり、ホース3を介して圧送されてきた流体が出口側ポート10から後述する噴射ノズル13や分岐管14に送り込まれることとなる。
【0016】
前記出口通路11の出口側ポート10周縁には取り付けネジ部15が形成され、ここにガン本体5から圧送されてくる流体を分岐させるための分岐ソケット(吸引手段)16が螺合されている。この分岐ソケット16には、噴射ノズル(噴射チューブ)13と分岐管(吸引手段)14とが接続されており、前者の噴射ノズル13は、全体が例えば、ナイロン・テフロン(登録商標)・ポリウレタン・ポリプロピレン等の可塑性材料で略一定の肉厚の円筒形状に形成され、この噴射ノズル13の周縁には噴射ノズル13の長手方向に沿って所定間隔で合成樹脂製のガイド体17が配置されている。ここで、このガイド体17は、噴射ノズル13が後述するガイド18に沿って旋回(後述する)する際にガイド18に接触する部分となり、噴射ノズル13の摩耗を防止するためのものである。
【0017】
前記噴射ノズル13の外側には前記噴射ノズル13を案内するための金属製のガイド18が配置され、前記分岐ソケット16側から前方に向かうにつれて拡径する円筒形状(いわゆるラッパ型)を呈している。そして、このガイド18の基部側には前述した分岐ソケット16が螺合され、さらに、この外側には底部支持部材19aを介して前記ガイド18を覆う硬質樹脂製で略円筒状のケース(ケーシング)19が支持されている。
【0018】
このケース19には、噴射ノズル13の前方側である噴射ノズル13の噴射方向に開口部20が形成されている。この開口部20は、前方に向かうにつれて上下方向から押し潰され、上部が下部よりも前方に若干突出した長孔形状となっている。尚、前記ガイド18は摩擦抵抗の低い硬質材であれば金属製に限るものではなく、より軽量な材質を用いれば、噴射ガン4の操作性が向上し有利となる。また、この実施の形態では噴射ガン4の操作方向として上下方向を想定しているため、清掃面積を拡大すべく開口部20を横長に形成しているが、例えば、左右方向を噴射ガンの操作方向として想定し縦長の形状とするなど、噴射ガン4の操作方向に対応した開口部20の形状を設定すればよい。
【0019】
前記ケース19の上部基部側には排出ポート21が形成されている。この排出ポート21には円筒状のジョイント22,23を介して排出管(吸引手段)24が接続されている。この排出管24は鉛直上方に立ち上がった後、後方に向けてL字状に屈曲するように形成され、この排出管24の後端にはこの排出管24よりも縮径して形成されたフィルタ取付部25が後方に延出して形成されている。このフィルタ取付部25には、フィルタ(吸引手段)26が樹脂製の結束バンド27で締め付け固定されており、さらに、このフィルタ取付部25には、フィルタ26を覆うように布製のカバー28が金属バンド29で固定されている。ここで、前記カバー28の下部にはチャック(図示せず)が形成されており、このチャックを開放することで、前記カバー28をフィルタ取付部25から取り外さない状態で、前記フィルタ26の交換作業が行えるようになっている。そして、前記フィルタ取付部25において、前記フィルタ26は、前記カバー28の固定位置よりも後方側に固定されている。尚、前記カバー28を用いずに前記フィルタ26のみの構成としてもよい。
【0020】
ところで、前記L字状に屈曲形成された排出管24の後方に向かう水平部分30の周壁には、孔31が形成されている。この孔31には、一端が分岐ソケット16に接続された分岐管14の他端が挿入固定されている。具体的には、分岐管14の他端は、排出管24の周壁に形成された孔31から排出管24内に挿入され、排出管24の排出出口側であるフィルタ26側に噴射口が向くように固定されている。つまり、前記分岐管14からフィルタ26に向けて流体が噴出されることによって、排出管24内にフィルタ26側に向かう流体の流れが生じ、この結果、排出ポート21付近の圧力が開口部20付近よりも低い状態となるのである。
【0021】
したがって、上述した第1の実施の形態によれば、ケース19の開口部20を車両のシート等の被清掃物表面に押し当てて、ガン本体5のトリガレバー12を引き、コンプレッサ2から圧送されてきた流体を噴射ノズル13の内周側に通過させその先端から噴出させると、噴射ノズル13は、断面円形状をなすガイド18に案内されて先端側が外側に傾斜しつつ円形状の軌跡を描くように旋回させられることになり、拡径する円筒形状に流体を噴出させることができるため、流体の圧力波を増幅し流体をより大きな噴出力で噴出させることができる。
【0022】
そして、噴射ノズル13の先端から円筒形状に噴出した流体によって、車両のシート等の被清掃物の表面から汚れや塵埃等が叩き出されるが、開口部20を被清掃物の表面に押し当てているため、叩き出された塵埃等を前記ケース19の内側に封じ込めることができる。
さらに、噴射ノズル13を容易に移動させながら清掃作業を行うことができるため、例えば、自動車等の車両のシートやソファ等の移動が容易ではなく丸洗いが困難なものの表面清掃に好適である。
【0023】
そして、コンプレッサ2から噴射ノズル13に向けて圧送されてくる流体を有効利用して分岐管14で排出管24に流体を導入するだけで、排出管24内にフィルタ26側に向かう流体の流れを発生させることができるため、前記ケース19の内側に閉じ込められた塵埃等をケース19の外側に漏らすことなく速やかに排出ポート21から排出管24に向けて導くことができ、この結果、流体だけを噴射ガン4の外部に排出しながら塵埃等だけをフィルタ26で集塵することができる。
【0024】
また、この時、フィルタ26は塵埃等によって汚れることとなるが、フィルタ26よりも十分大きい布製のカバー28で被覆しているため噴射ガン4の外観品質が低下することはない。そして、フィルタ26の交換を容易に行うことができるため、作業者の負担を軽減することができると共にフィルタ26の目詰まり等による吸引力低下を防止することができる。
【0025】
また、噴射ノズル13にガイド体17を設けているため、噴射ノズル13の摩耗を防止して噴射ノズル13の交換頻度を低減し、メンテナンス費用の削減を図ることができる。
さらに、流体を噴射する噴射ノズル13と塵埃等を吸引する排出管24とがケース19を介して一体的に形成されているため、作業者が片手で清掃作業を行ったとしても塵埃等が舞い上がるのを確実に防止することが可能となり、この結果、作業者の負担をさらに軽減し、商品性の向上を図ることができる。
【0026】
次に、図3に基づいて第2の実施の形態を説明する。尚、この第2の実施の形態は、前述した第1の実施の形態の排気管24をケース19と同軸上に配置したものであるため、同一部分に同一符号を付して説明し、重複する部分の説明を省略する。
図3に示すように、噴射ガン4は、内部流路の遮断、開放をトリガレバー12の操作によって切替え可能なガン本体5を備えている。このガン本体5の上部には排出管24を支持する支持部32が形成されている。この支持部32は端部が後方に向かって湾曲した先細り形状になっており、固定部分が排出管25と略平行に形成されている。
【0027】
また、前記ガン本体5の出口側ポート10には鉛直上方に延びる配管34を介して分岐ソケット16が接続されている。この分岐ソケット16は、内部の流路が前後方向に分岐して形成されており、この一方には、前述した第1の実施の形態と同様に、噴射ノズル13が接続され、他方には排出管25の出口側に向かう噴射口35が形成されている。
【0028】
前記噴射ノズル13の外側には、第1の実施の形態と同様に円筒状のガイド18が設けられ、さらにこのガイド18の外側にはケース19が配置されている。このケース19の後部には円筒形状の排出管25が挿入固定され、この排出管25と前述した支持部32とが取付バンド33によって固定され前記排出管25がガン本体5に支持されている。そして、前記排出管25の後部にはフィルタ26とこのフィルタを覆うカバー28とが取り付けられている。
【0029】
したがって、第2の実施の形態によれば、ケース19と排出管25とが同一軸線上に配置されているため、第1の実施の形態よりも、ケース19と排出管25との間の流体の流れがスムーズとなり、この結果、噴射ノズル13から噴射された流体を被清掃物に衝突させた後にスムーズに排出管25に導くことができ有利である。
【0030】
尚、上述した各実施の形態の噴射ノズル13を図4に示す流体噴射ノズル40に置き換えてもよい。具体的には、図4(a)〜(c)に示すように、この流体噴射ノズル40は、長さ方向に沿って貫通する貫通孔41を有する筒状のノズル本体42と、該ノズル本体42の一端側に設けられた重量部43とを有するものである。ノズル本体42は、全体が例えばナイロン・テフロン(登録商標)・ポリウレタン・ポリプロピレン等の可撓性材料で略一定肉厚に一体成形されてなるもので、中間所定範囲に、長さ方向に直交する一方向における幅が、長さ方向に直交しかつ前記一方向に直交する方向における幅より小さくされているいわゆる偏平形状の偏平部44が形成されており、該偏平部44の両側すなわちノズル本体42の両端の所定範囲には、それぞれ円筒状の円筒部45,46が形成されている。尚、偏平部44は、ノズル本体42がその長さ方向に沿って直線状をなした状態においても偏平形状をなしている。
【0031】
重量部43は、中央に軸線方向に沿って貫通する貫通孔47が形成されて略円筒状をなすとともに外周部に全長にわたってネジ部49が形成されて、一側の円筒部45にねじ込まれるネジ部材48と、該一側の円筒部45を内側に嵌合させる円筒状の嵌合部材50とで構成されるもので、ネジ部材48は金属材料からなり、嵌合部材50はシリコン等の伸縮性材料からなっている。尚、ネジ部材48は、円筒部45の内周側に予め形成されているメネジ部51にねじ込まれ、このねじ込みによりノズル本体42からの抜けが防止される。尚、円筒部45の内周側にメネジ部51を形成せずに、単に円筒部45にネジ部材48をねじ込んだ際の円筒部の変形により生じる力で固定するようにしてもよい。
【0032】
また、嵌合部材50は、その内径がネジ部材48が螺合された円筒部45の外径よりも小さくされており、これによりその内側に円筒部45を嵌合させることによる変形により生じる力で円筒部45からの抜けが防止される。ここで、嵌合部材50は、その一端側に嵌合させない部分をつくるようにして円筒部45を嵌合させるようになっており、これにより、ネジ部材48の貫通孔47にはかからない程度に、その伸縮性状で、円筒部45の先端側を覆うようになっている。
【0033】
このように構成することで、コンプレッサ2から供給される流体を、流体噴射ノズル40の内周側を通じて該流体噴射ノズル40の先端から噴出させると、該流体噴射ノズル40には、円筒部45,46と偏平部44との断面形状の変化や流体自在の脈動等に起因して内部に流体の乱流が生じ、該乱流の影響や流体の噴出時の力で、可撓性材料からなる流体噴射ノズル40の偏平部44がその偏平方向において湾曲しつつ噴出先端側に偏平方向に沿った往復運動を生じさせることになる。したがって、流体噴射ノズル40の先端側が自動的に往復運動するため広範囲に流体を噴射することが可能になると共に、流体噴射ノズル40の高速往復運動が、流体の圧力波を増幅するので激しい衝撃波となって帯状に発生し、より大きな噴出力を得ることができる。
【0034】
尚、この発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく排出管のフィルタ取付部に掃除機等のバキューム装置を接続して塵埃等を吸引するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では流体として空気や水を用いる場合について説明したが、例えば、洗剤や有機溶剤等を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態における清掃装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における噴射ガンの部分断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における噴射ガンの部分断面図である。
【図4】本発明の各実施の形態おける噴射ノズルの他の態様を示すもので、(a)は断面図、(b)は(a)に示すB−B線に沿う断面図、(c)は(a)に示すC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0036】
13 噴射ノズル(噴射チューブ)
14 分岐管(吸引手段)
16 分岐ソケット(吸引手段)
18 ガイド
19 ケース(ケーシング)
20 開口部
24 排出管(吸引手段)
26 フィルタ(吸引手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の噴射チューブと、該噴射チューブの径方向外側を囲むように配置されるガイドとを備え、前記噴射チューブの内周側に流体を通過させて噴出させることにより前記噴射チューブを前記ガイドに沿って旋回させながら流体を噴射させる流体噴射ガンにおいて、前記ガイドの外側を囲むと共に前記噴射チューブの噴射方向に開口部を有したケーシングを設け、該ケーシングに前記噴射チューブから噴射された流体を吸引する吸引手段を設けたことを特徴とする流体噴射ガン。
【請求項2】
前記吸引手段は、前記ケーシングに連通する排出管と、該排出管に設けられ流体の集塵を行う集塵手段とを備え、前記噴射チューブの内周側を通過する流体の一部を前記排出管内で前記集塵手段側に噴出させることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射ガン。
【請求項3】
可撓性の噴射チューブと、該噴射チューブの径方向外側を囲むように配置されるガイドとを備えた流体噴射ガンと、前記噴射チューブに流体を圧送し前記噴射チューブの内周側に流体を通過させて噴出させることにより前記噴射チューブを前記ガイドに沿って旋回させながら流体を噴射させる流体圧送手段とを備えた清掃装置において、前記流体噴射ガンに前記ガイドの外側を囲むと共に前記噴射チューブの噴射方向に開口部を有したケーシングと、該ケーシングの流体を吸引する吸引手段とを設けたことを特徴とする清掃装置。
【請求項4】
前記吸引手段は、前記ケーシングに連通する排出管と、該排出管に設けられ流体の集塵を行う集塵手段とを備え、前記噴射チューブの内周側を通過する流体の一部を前記排出管内で前記集塵手段側に噴出させることを特徴とする請求項3に記載の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−246928(P2006−246928A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63685(P2005−63685)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(503332466)有限会社ガリュー (6)
【Fターム(参考)】