説明

流体噴射装置及び弛み検出方法

【課題】ロール紙の弛みを良好に検出可能なプリンタを提供すること。
【解決手段】プリンタ10は、ロール紙が巻回されているロール体を回転させる支持部3
5と、上記支持部に支持された上記ロール体の上記ロール紙を供給方向に沿って搬送させ
るための搬送駆動ローラ51aと、搬送された上記ロール紙に対して流体を噴射する流体
噴射ヘッド44と、上記ロール紙の弛みを検出する検出手段70とを備えることを特徴と
する。制御部100は、検出手段70による検出結果に基づいて、所定の処理を実行する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置及び弛み検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式のプリンタの中には、用紙サイズがA2以上の大判のものを用いるタ
イプがある。このような大判のインクジェットプリンタにおいては、単票紙以外に、いわ
ゆるロール紙が利用されることが多い。なお以下において、用紙が巻回されたいわゆるロ
ール紙をロール体とし、ロール体から引き出される部分を用紙とする。
【0003】
このようなロール体を用いるプリンタとしては、特許文献1に示すものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−290866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロール体がプリンタに搭載され、ロール体から引き出されたロール紙がプリ
ンタの所定の位置にセットされた状態において、ロール体の巻回しがゆるみ、用紙が弛ん
でしまうことがある。
【0006】
このように用紙が弛むと、例えば、その弛んだ部分が、プリンタの板金部分や印刷ヘッ
ドに接触して、傷付いたり汚れたりしてしまうことがある。用紙の印刷面が傷付くと、当
然、画質は劣化する。また用紙が汚れると、再度印刷をやり直さなければならなくなる。
【0007】
本発明は上記の事情に基づきなされたもので、用紙の弛みを検出することができる流体
噴射装置及び弛み検出方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流体噴射装置は、ロール紙が巻回されているロール体を回転可能に支持する支
持部と、支持部に支持されたロール体からロール紙を供給方向に沿って搬送する搬送駆動
ローラと、搬送されたロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドと、ロール紙の弛
みを検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
検出手段は、ロール体におけるロール紙の弛み、又は流体噴射ヘッドにより流体が噴射
された後に巻き取られたロール紙の弛みを検出することができる。
【0010】
検出手段によりロール紙の弛みが検出されたとき、搬送駆動ローラを駆動させる駆動力
を与えるモータ、若しくはロール体を駆動させる駆動力を与えるモータを駆動制御してロ
ール紙の弛みを取る処理、又はロール紙の弛みが生じていることをユーザに提示する処理
を実行する実行手段をさらに設けることができる。
【0011】
本発明の弛み検出方法は、ロール紙が巻回されているロール体を回転可能に支持する支
持部と、支持部に支持されたロール体からロール紙を供給方向に沿って搬送する搬送駆動
ローラと、搬送されたロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドとを備えることを
特徴とする流体噴射装置のロール紙の弛み検出方法であって、ロール紙の弛みを検出する
検出ステップと、検出ステップの処理でロール紙の弛みが検出されたとき、搬送駆動ロー
ラを駆動させる駆動力を与えるモータ、若しくはロール体を駆動させる駆動力を与えるモ
ータを駆動制御してロール紙の弛みを取る処理、又はロール紙の弛みが生じていることを
ユーザに提示する処理を実行する実行ステップとを含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る流体噴射装置としてのプリンタ10について説明す
る。なお、本実施の形態のプリンタ10は、例えばJIS規格のA2以上のサイズを有す
る、サイズの大きな用紙を印刷するためのプリンタである。また、本実施の形態における
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット式プリン
タは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも
良い。
【0013】
また、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方
側とは、設置される側から離間する側を指す。また、用紙Pが供給される側を供給側(後
端側)、用紙Pが排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態にかかるプリンタ10の外観の構成例を示すブロック図で
ある。図2は、図1のプリンタ10におけるDCモータを用いる駆動系と制御系の関係を
示す図である。
【0015】
この例の場合、プリンタ10は、一対の脚部11と、当該脚部11に支持される本体部
20とを有している。脚部11には、支柱12が設けられていると共に、回転自在なキャ
スタ13がキャスタ支持部14に取り付けられている。
【0016】
本体部20は、不図示のシャーシに支持される状態で、内部の各種機器が搭載されてお
り、それらが外部ケース21によって覆われている。また、図2に示すように、本体部2
0には、DCモータを用いる駆動系として、ロール駆動機構30と、キャリッジ駆動機構
40と、用紙搬送機構50とが設けられている。
【0017】
ロール駆動機構30は、本体部20の背面側かつ上方側に設置されているロール搭載部
22に設けられている。ロール搭載部22は、外部ケース21を構成する一要素である開
閉蓋23を開くことにより、その内部にロール体RPを搭載し、ロール駆動機構30によ
ってロール体RPを回転駆動させることが可能となっている。
【0018】
ロール駆動機構30は、図2及び図3に示すように、回転ホルダ31と、ギヤ輪列32
と、ロールモータ33と、回転検出部34、左右一対の支持部35R,35Lとを有して
いる。
【0019】
回転ホルダ31は、ロール体RPに設けられている中空孔RP1の両端側から挿入され
るものであり、ロール体RPを両端側から支持すべく、一対設けられている。
【0020】
ロールモータ33は、一対の回転ホルダ31のうち、一端側に位置する回転ホルダ31
aに対して、ギヤ輪列32を介して駆動力(回転力)を与えるものである。
【0021】
回転検出部34は、本実施の形態ではロータリエンコーダで構成されている。そのため
、回転検出部34は、円盤状スケール34aと、ロータリセンサ34bとを具備している
。円盤状スケール34aは、その周方向に沿って一定の間隔毎に、光を透過させる透光部
と、光の透過を遮断する遮光部とを有している。ロータリセンサ34bは、不図示の発光
素子と、同じく不図示の受光素子と、同じく不図示の信号処理回路を主要な構成要素とし
ている。
【0022】
支持部35Lは、ガイドレール37の一端に、支持部35Rは、ガイドレール37上に
、それぞれ、支持軸36Lと36Rが向かい合って、同軸線上に位置するように配置され
ている。そして支持部35Rは、ロール体RPの長さに応じて、ガイドレール37上の設
置位置が変更可能となっている。
【0023】
支持部35R,35L(以下、個々に区別しない場合は、支持部35と称する)は、支
持軸36R,36Lが、回転ホルダ31に挿入されることで、ロール体RPを支持する。
支持部35Lの支持軸36Lには、ギヤ輪列32を介してロールモータ33が連結されて
いる。一方、支持部35Rの支持軸36Rは、回転自由となっている。従って、ロールモ
ータ33の駆動により、支持部35Lの支持軸36Lが回転することによって、支持部3
5R,35Lに支持されたロール体RPは、支持軸36R,36Lと共に回転する。
【0024】
ガイドレール37には、用紙Pの弛みを検出する検出部70が設けられている。この検
出部70については、後述する。
【0025】
キャリッジ駆動機構40は、図2、図4等に示すように、インク供給/噴射機構の構成
要素の一部ともなるキャリッジ41と、キャリッジ軸42と、その他不図示のキャリッジ
モータ、ベルト等を具備している。
【0026】
キャリッジ41は、各色のインク(流体に対応)を貯留するためのインクタンク43を
具備していて、このインクタンク43には、図示しないチューブを介して、本体部20の
前面側に固定的に設けられているインクカートリッジ(図示省略)からインクが供給可能
となっている。また、キャリッジ41の下面には、インク滴を吐出可能な印刷ヘッド44
(流体噴射ヘッドに対応)が設けられている。印刷ヘッド44には、各インクに対応づけ
られた不図示のノズル列が設けられていて、このノズル列を構成するノズルには、不図示
のピエゾ素子が配置されている。このピエゾ素子の作動により、インク通路の端部にある
ノズルからインク滴を吐出することが可能となっている。
【0027】
なお、これらキャリッジ41、インクタンク43、不図示のチューブ、インクカートリ
ッジ、印刷ヘッド44によって、インク供給/噴射機構が構成されている。また、印刷ヘ
ッド44は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、例えばインクをヒータで加
熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、ミストを電界
で制御するミスト方式等を採用しても良い。また、インクカートリッジ/インクタンク4
3に充填されるインクは、染料系インク/顔料系インク等、いずれの種類のインクを搭載
しても良い。
【0028】
用紙搬送機構50は、図2、図4等に示すように、搬送ローラ対51と、ギヤ輪列52
と、PFモータ53と、回転検出部54とを有している。
【0029】
搬送ローラ対51は、搬送駆動ローラ51aと、搬送従動ローラ51bとを具備してい
て、これらの間で、ロール体RPから引き出される用紙P(ロール紙に対応)を挟持可能
となっている。
【0030】
また、PFモータ53は、搬送駆動ローラ51aに対して、ギヤ輪列52を介して駆動
力(回転力)を与えるものである。
【0031】
さらに、回転検出部54は、本実施の形態ではロータリエンコーダから構成されており
、上述の回転検出部34と同様に、円盤状スケール54aと、ロータリセンサ54bとを
具備し、パルス信号を出力可能としている。
【0032】
搬送ローラ対51よりも下流側(排紙側)には、プラテン55が設けられていて、用紙
Pは当該プラテン55上をガイドさせられる。また、プラテン55には、印刷ヘッド44
が対向するように配設されている。このプラテン55には、吸引孔55aが形成されてい
る。一方、吸引孔55aは、吸引ファン56に連通可能に設けられていて、吸引ファン5
6が作動することによって、印刷ヘッド44側から吸引孔55aを介して空気が吸引され
る。それにより、プラテン55上に用紙Pが存在する場合には、当該用紙Pを吸引保持す
ることが可能となっている。なお、プリンタ10は、その他、用紙Pの幅を検出する紙幅
検出センサ等、その他の各種センサを備えている。
【0033】
次に、検出部70(検出手段に対応)について説明する。図5は、外部ケース21及び
ロール搭載部22を側面から見た場合の、ロール体RPと検出部70との位置関係を示す
図である。図6は、検出部70の動きを示す図である。
【0034】
検出部70は、本実施の形態では、レバー71及びセンサ部72を有する、いわゆるレ
バー式センサである。
【0035】
検出部70は、図6の上側に示すように、ロール体RPの下側に一定の距離だけ離れた
位置に配置されている。ロール体RPからの距離は、図6の下側に示すように、ロール体
RPの巻回しがゆるんで用紙Pが弛んだとき、その弛み部分がレバー71の上面を押下す
る距離となっている。なおロール体RPの直径は用紙Pの利用に応じて徐々に小さくなる
ことから、ロール体RPからレバー71までの距離は徐々に大きくなる。そこで、ロール
体RPからレバー71までの距離が一定に保たれるように、例えばロール体RPの直径を
計算し、その計算結果に応じて、レバー71の垂直方向の位置が調整されるようにするこ
ともできる。また初期(即ち未使用)のロール体RPの直径に基づいて、一定ものとする
こともできる。
【0036】
用紙Pが弛むと、図6の下側に示すように、その弛み部分がレバー71の上面を押下し
、その結果レバー71はセンサ部72から離間するように回動する。レバー71が離間し
たときセンサ部72はオン状態となる。オン状態のセンサ部72からは、センサ信号(以
下、弛み検出信号と称する)が出力され、その弛み検出信号は、制御部100に入力され
る(図2)。一方、用紙Pが弛んでいないとき、図6の上側に示すように、レバー71の
上側は押下されないのでレバー71はバネの付勢力でセンサ部72と接触する。レバー7
1が接触しているときセンサ部72はオフ状態となる。オフ状態のセンサ部72からは、
信号が出力されない。このように検出部70からは、用紙Pの弛みの有無に応じて信号が
出力される。
【0037】
なおレバー71等の上面は、用紙Pが接触しても傷等が付かないように、例えば、やわ
らかな素材で覆われているものとする。
【0038】
図7は、制御部100の機能的構成例を示すブロック図である。この制御部100には
、ロータリセンサ34b,54b、検出部70、不図示のリニアセンサ、不図示の紙幅検
出センサ、不図示のギャップ検出センサ、プリンタ10の電源をオン/オフする電源スイ
ッチ等の各出力信号が入力される。
【0039】
図2に示すように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、P
ROM104、ASIC105、モータドライバ106等を具備していて、これらが例え
ばバス等の伝送路107を介して相互に接続されている。また、制御部100は、コンピ
ュータCOMに接続されている。そして、これらのハードウエアと、ROM102やPR
OM104に記憶されているソフトウエア及び/又はデータの協働、又は特有の処理を行
う回路や構成要素の追加等によって、図7に示すような、主制御部110と、PFモータ
制御部111と、ロールモータ制御部112とが実現される。
【0040】
制御部100のPFモータ制御部111は、搬送駆動ローラ51aが回転して用紙Pが
供給方向に搬送されるように、PFモータ53の駆動を制御する。なお以下において、用
紙Pを供給方向に搬送する際のPFモータ53の回転の向きを、正転方向と称する。
【0041】
ロールモータ制御部112は、用紙Pの弛みが解消するように、ロール体RPが回転し
て用紙Pがロール体RPに巻き取られるように、ロールモータ33の駆動を制御する。な
お以下において、ロール体RPが回転して用紙Pがロール体RPに巻き取られるように、
ロールモータ33の駆動を制御する処理を、ロールモータ弛み解除処理と称する。
【0042】
なおPFモータ53の駆動により用紙Pが供給方向に搬送されているときは、ロール体
RPが用紙Pを介して引っ張られて回転するように、例えば、ロールモータ33は通電さ
れず、PFモータ53に従動して正転方向に回転する。
【0043】
主制御部110は、PFモータ制御部111を制御して、用紙Pを供給方向に搬送する
処理を実行させる。主制御部110はまた、検知部151及び実行部152を有しており
、その検知部151は、検出部70からの弛み検出信号に基づいて、用紙Pの弛みを検知
する。実行部152は、用紙Pの弛みが検知されたとき、所定の処理を実行する。例えば
実行部152は、ロールモータ制御部112を制御し、ロールモータ弛み解除処理を実行
させる。
【0044】
図8は、制御部100の検知部151及び実行部152の処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【0045】
ステップS1において、主制御部110の検知部151は、検出部70から弛み検出信
号が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合、ステップS2において、実
行部152は、所定の処理を実行する。例えば、ロールモータ制御部112により、ロー
ルモータ弛み解除処理が実行され、ロール体RPが正転方向とは反対方向に回転して用紙
Pがロール体RPに巻き取られる。
【0046】
以上のように、用紙Pの弛みを検出する検出部70をプリンタ10に設置したので、プ
リンタ10における用紙Pの弛みを検出することができる。また弛んだ用紙Pがレバー7
1を押下することに基づいて、用紙Pの弛みを検出するようにしたので、用紙Pの弛みを
直接検出することができる。
【0047】
また以上のように、検出部70をガイドレール37上に配置して、用紙Pの弛みを検出
するようにしたので、ガイドレール37に接触するような用紙Pの弛みを検出することが
できる。
【0048】
大判用のインクジェットプリンタでは、通常、用紙Pの幅について、複数の種類に対応
することができるように、使用する用紙Pの幅に応じて支持部35Rと35Lの間の距離
が調整可能となっている。具体的には、図3に示したように、ガイドレール37が設けら
れ、支持部35Rがガイドレール37上の任意の位置に配置できるようになっている。
【0049】
しかしながらガイドレール37は、ロール体RPの下側にその長手方向に沿って設けら
れており、用紙Pが弛むと、弛んだ用紙Pがガイドレール37に接触する。またガイドレ
ール37には、支持部35Rが移動する溝部が金属等で形成されているので、弛んだ用紙
Pがガイドレール37に接触すると、その金属部分との接触により用紙Pが傷付いたり、
汚れたりすることがある。
【0050】
そこでこのように、ガイドレール37に接触するような用紙Pの弛みを検出することが
できるようにしたので、弛んだ用紙Pがガイドレール37に接触する前に、用紙Pの弛み
を検出することができる。
【0051】
また以上においては、検出部70がガイドレール37の所定の位置に配置されていたが
、例えば使用する用紙Pの幅に応じて変更可能にすることもできる。このようにすること
により、用紙Pの幅に合わせて、検出部70を、例えば用紙Pの幅方向の略中央に配置す
ることができる。また検出部70の位置を固定とすることもできるが、その場合、使用す
る用紙Pのうち最も幅の狭い用紙Pの弛みを検出することができるように、検出部70は
、支持部35Lからの距離が、その用紙Pの幅より短いものとなる位置に配置される(即
ち例えば支持部35Lよりに配置される)。
【0052】
また以上においては、1個の検出部70を用いたが、複数個の検出部70を設けること
もできる。
【0053】
また以上においては、レバー式センサを利用して用紙Pの弛みを検出したが、他のタイ
プのセンサを用いることもできる。例えば光センサを利用し、用紙Pが弛んだとき、その
弛み部分が光信号を遮るようにして、用紙Pの弛みを検出することもできる。
【0054】
また以上においては、検出部70をガイドレール37上に設けたが、検出部70の設置
場所は、それに限定されるものではない。
【0055】
図9は、検出部70の他の配置例を示す図である。この例の場合、検出部70は、開口
部24の下側付近(図9における右下側)に配置されている。開口部24は、外部ケース
21の上方に設けられており、ロール体RPから送られた用紙Pは、その開口部24を通
って、搬送ローラ対51に供給される。用紙Pが、例えばロール体RPと搬送ローラ対5
1の間で弛んで下方側に凸となると、開口部24の下側に接触する。従って図9に示すよ
うに、検出部70を、開口部24の下側付近に配置することで、開口部24の下側部分に
接触するような用紙Pの弛みを検出することができる。
【0056】
また以上においては、ロール体RPにおける用紙Pの弛みを検出する場合を例として説
明したが、巻き取り側における弛みを検出することもできる。
【0057】
図10は、検出部70が巻き取り側における弛みを検出する場合の配置例を示す図であ
る。図10の巻き取り装置200は、排紙側に設けられており、図中矢印方向に回転し、
印刷された用紙Pを巻き取る。この例の場合の検出部70は、巻き取り装置200により
巻き取られた用紙Pが弛んだとき、その弛み部分がレバー71の上面を押下する位置に設
置される。
【0058】
即ち図6に示した場合と同様に、巻き取り装置200により巻き取られた用紙Pが弛み
、その弛み部分がレバー71の上面を押下すると、レバー71がセンサ部72から離間す
るように回動し、レバー71が離間したときセンサ部72はオン状態となり、弛み検出信
号を出力する。また巻き取り装置200により巻き取られた用紙Pに弛みがないとき、レ
バー71の上側は押下されないのでレバー71はバネの付勢力でセンサ部72と接触する
。レバー71が接触しているときセンサ部72はオフ状態となる。
【0059】
また以上においては、用紙Pの弛みが検出されたとき、用紙Pの弛みを解消するために
、用紙Pがロール体RPに巻き取られるようにしたが、用紙Pが供給方向に送られるよう
にして、用紙Pの弛みを解消することもできる。
【0060】
また弛みを解除する処理の他、例えば、弛みが生じていることをユーザに知らせるため
の、アラーム出力や表示の点灯が行われるようにすることもできる。このようにすること
でユーザは、弛みが生じていることを認知することができ、例えばロール体RPを手で回
して弛みを取ることができる。
【0061】
また以上においては、主制御部110の検知部151は、検出部70からの弛み検出信
号に基づいて、用紙Pの弛みを検知する。その際、例えば、一定の時間継続して弛み検出
信号が入力されたとき、弛みが検知されるようにすることができる。このようにすること
により、例えばプリンタ10の振動等で検出部70のセンサ部72がオン状態及びオフ状
態を繰り返し、断続的に弛み検出信号を出力する場合においては、用紙Pの弛みが検知さ
れず、適切に用紙Pの弛みを検知することができる。
【0062】
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下
、それについて述べる。上述の実施の形態においては、プリンタ10を例として説明した
が、プリンタ10に設ける場合には限られず、ロール体(ロール紙)を用いるファックス
等に適用するようにしても良い。また、上述の実施の形態において、用紙Pをロール紙と
しているが、用紙P以外に、フィルム状の部材、樹脂製のシート、アルミ箔等を用いるよ
うにしても良い。
【0063】
また、制御部100は、上述の実施の形態のものには限られず、例えばASIC105
のみでロールモータ33、PFモータ53の制御を司るように構成しても良く、また、こ
れら以外に種々の周辺機器が組み込まれた1チップマイコン等を組み合わせて、制御部1
00を構成するようにしても良い。
【0064】
また、上述の実施の形態におけるプリンタ10は、スキャナ装置やコピー装置のような
、複合的な機器の一部であっても良い。さらに、上述の実施の形態においては、インクジ
ェット方式のプリンタ10に関して説明している。しかしながら、プリンタ10としては
、流体を噴射可能なものであれば、インクジェット方式のプリンタには限られない。例え
ば、ジェルジェット方式のプリンタ、トナー方式のプリンタ、ドットインパクト方式のプ
リンタ等、種々のプリンタに対して、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタにおけるDCモータを用いる駆動系と制御系の関係を示す図である。
【図3】ロール駆動機構の一部の構成を示す斜視図である。
【図4】ロール体と搬送ローラ対、印刷ヘッドの位置関係を示す図である。
【図5】検出部の配置例を示す図である。
【図6】図5の検出部の動作を説明する図である。
【図7】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図7の主制御部の動作を説明するフローチャートである。
【図9】検出部の他の構成例を示す図である。
【図10】検出部の他の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
10…プリンタ、20…本体部、24…開口部、30…ロール駆動機構、33…ロール
モータ、34,54…回転検出部、34b,54b…リニアセンサ、35…支持部(支持
部に対応)、37…ガイドレール、40…キャリッジ駆動機構、44…印刷ヘッド(流体
噴射ヘッドに対応)、50…用紙搬送機構、51…搬送ローラ対、51a…搬送駆動ロー
ラ(搬送駆動ローラに対応)、51b…搬送従動ローラ、53…PFモータ、70…検出
部(検出手段に対応)、71…レバー、72…センサ部、100…制御部、110…主制
御部、111…PFモータ制御部、112…ロールモータ制御部、151…検知部、15
2…実行部、200…巻き取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が巻回されているロール体を回転可能に支持する支持部と、
上記支持部に支持された上記ロール体から上記ロール紙を供給方向に沿って搬送する搬
送駆動ローラと、
搬送された上記ロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドと、
上記ロール紙の弛みを検出する検出手段と
を備えることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記ロール体におけるロール紙の弛み、又は上記流体噴射ヘッドによ
り流体が噴射された後に巻き取られたロール紙の弛みを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記検出手段によりロール紙の弛みが検出されたとき、前記搬送駆動ローラを駆動させ
る駆動力を与えるモータ、若しくは前記ロール体を駆動させる駆動力を与えるモータを駆
動制御してロール紙の弛みを取る処理、又はロール紙の弛みが生じていることをユーザに
提示する処理を実行する実行手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項4】
ロール紙が巻回されているロール体を回転可能に支持する支持部と、
上記支持部に支持された上記ロール体から上記ロール紙を供給方向に沿って搬送する搬
送駆動ローラと、
搬送された上記ロール紙に対して流体を噴射する流体噴射ヘッドと
を備える流体噴射装置の上記ロール紙の弛み検出方法において、
上記ロール紙の弛みを検出する検出ステップと、
上記検出ステップの処理でロール紙の弛みが検出されたとき、上記搬送駆動ローラを駆
動させる駆動力を与えるモータ、若しくは上記ロール体を駆動させる駆動力を与えるモー
タを駆動制御してロール紙の弛みを取る処理、又はロール紙の弛みが生じていることをユ
ーザに提示する処理を実行する実行ステップと
を含むことを特徴とする弛み検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−274306(P2009−274306A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126976(P2008−126976)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】