説明

流体圧式送り速度制御装置

【課題】微速送りから速い送り速度(穴あけ時の切削送り速度)に変換し、その後再び微速送りに変換する。
【解決手段】ピストン4によって流体圧室12の流体を送り速度調節機構Cおよび流路13を経て貯溜室14に押し出して往復運動体の送り速度を調整する流体圧式送り速度制御装置Bであって、送り速度調節機構Cは、シリンダ2の前端部に配置され、流体圧室12から流路13へ流れる流量を調整するための第1絞り弁10および第2絞り弁11を備え、ピストン4は、一体に移動して第2絞り弁11を開閉させる第2ピストン3を有し、第2ピストン3は、第2絞り弁11に嵌合して閉塞する外周部31と、外周部31の前部31aと後部31bの間に形成された凹部32と、内周部に形成された流通孔33と、外周部31の後部31bと流通孔33とを連通する後部逃げ孔34、および凹部32と流通孔33とを連通する凹部逃げ孔35と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧式送り速度制御装置に係り、特に、微速送りから速い送り速度に変換し、その後再び微速送りに変換する流体圧式送り速度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルやタップ、リーマ、ミル等の回転工具を回転および往復動させて、ワークを加工するドリルユニット等の送り速度を制御する流体圧式送り速度制御装置において、速い送りと微速送りの2段階の速度調節が可能な制御装置がある。これは、回転工具でワークを切削する際には速い送り速度で送り、回転工具がワークを貫通する抜け際には微速送りに変換するものである(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−666号公報
【特許文献2】実公昭61−7860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置においては、切削時に速い送り速度で送って切削時間を短縮しドリルの抜け際に速い送り速度から遅い送り速度に変換するものであり、回転工具がワークに当接して切削を開始する際にも切削時と同じ速い送り速度で送るため、この切削開始における回転工具の食い付き時にバリや加工穴の位置ずれが発生しやすくなるという問題があった。
【0005】
また、微速送りにおける流量調整では微小な流量調整が必要になるため、特に、油圧を利用した速度制御装置は、長く使用していると作動油の流量を調節して速度制御を行う弁や溝部分にゲル状になった作動油が詰まってしまい、微小な速度制御に影響を及ぼすという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するために創案されたものであり、精度よく微速送りから速い送り速度に変換し、その後再び微速送りに変換することができる流体圧式送り速度制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、円筒状のボディと、該ボディに内設されたシリンダと、該シリンダ内に往復動可能に配置されたピストンと、該ピストンに連結され前後方向に移動可能に配置されたピストンロッドと、前記ピストンの前方に設けられて、流体が貯溜される流体圧室と、前記ピストンの後方に設けられて、前記流体が貯溜される貯溜室と、該貯溜室に連通すると共に、前記ボディと前記シリンダとの間に設けられた流路と、前記シリンダの前端部に設けられて、前記流体圧室から前記流路に流れる流体の流れを制御することによって前記ピストンの移動速度を調整する送り速度調節機構と、前記貯溜室の後方に配置されて、前記ボディの内周面および前記ピストンロッドに摺接させつつ前後方向に移動可能に設けられた差動ピストンと、を備え、前記ピストンによって前記流体圧室の流体を、前記送り速度調節機構および流路を経て前記貯溜室に押し出すことにより、往復運動体の送り速度を調整する流体圧式送り速度制御装置であって、前記送り速度調節機構は、前記シリンダの前端部に配置され、前記流体圧室から前記流路へ流れる流量を調整するための第1絞り弁および第2絞り弁を備えて構成され、前記ピストンは、一体に移動して前記第2絞り弁を開閉させる第2ピストンを有し、前記第2ピストンは、前記第2絞り弁に嵌合して閉塞する外周部と、この外周部の前部と後部の間に形成された凹部と、当該第2ピストンの内周部に形成された流通孔と、前記外周部の後部と前記流通孔とを連通する後部逃げ孔、および前記凹部と前記流通孔とを連通する凹部逃げ孔と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、前記流体圧室から前記流路へ流れる流量を調整する第1絞り弁と第2絞り弁を備えたことで、ピストンによって流体圧室内から押し出された流体が第1絞り弁および第2絞り弁を通過する際に、第1絞り弁と第2絞り弁によりそれぞれ流体の流量を規制することができるので、ピストンの移動速度を適切に調節することができる。
【0009】
また、前記第2ピストンは、前記第2絞り弁に嵌合して閉塞する外周部の前部と後部の間に形成された凹部を備えたことで、前記第2ピストンの前部が前記第2絞り弁を閉塞して閉弁した状態では、第1絞り弁のみを開弁させてピストンの移動速度を遅く設定することができる(微速送り)。
【0010】
そして、この第2絞り弁を閉弁した状態から、第2ピストンが前記ピストンロッドによって押圧されてさらに移動し、前記流体圧室から前記後部逃げ孔、前記流通孔、および前記凹部逃げ孔を介して前記流体圧室から前記第2絞り弁までが連通した状態では、前記第2絞り弁を開放して開弁することができる。
このため、第1絞り弁に加えて第2絞り弁も開弁した状態では、流体の流量が増加するのでピストンの移動速度を速く設定することができる(増速送り)。
【0011】
さらにこの位置から、第2ピストンを前記ピストンロッドによって押圧して移動し、前記第2ピストンの後部が前記第2絞り弁を閉塞して閉弁した状態では、第1絞り弁のみが開弁しているためピストンの移動速度を遅く設定することができる(微速送り)。
【0012】
したがって、請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、例えば、穴あけを行うドリルユニットに適用することで、切削開始時におけるドリルがワークに当接して食い付く際にはピストンの移動速度を遅く設定し(食い付き時の微速送り)、切削中は前記増速送りである速い送り速度に変換し(穴あけ時の切削送り)、そしてドリルがワークから抜ける際には再び微速送り(抜け際の微速送り)に変換して加工条件に合わせたきめ細かな送り速度を設定することができる。
【0013】
以上のように、本発明の請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、精度よく微速送りから速い送り速度に変換し、その後再び微速送りに変換することができる流体圧式送り速度制御装置を提供することができる。
このため、本発明の請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、特に、穴あけを行うドリルユニットの送り制御に好適に採用することができ、切削中は最適な送り速度を維持しながらドリルの食い付き時と抜け際には微速送りに変換することで、加工穴の位置ずれやバリの発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る流体圧式送り速度制御装置は、請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置であって、前記第1絞り弁および前記第2絞り弁の少なくとも一方は、前記シリンダ内に回動自在に配置されると共に、前記シリンダに穿設され前記流路に連通する連通孔に流れ込む前記流体圧室からの流体の流量を回動することによって調整する流量調整部を有する回転弁体と、該回転弁体を回動させることが可能なノブと、このノブの回動を規制する回り止め手段と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、第1絞り弁および第2絞り弁の開度を調整する場合は、ノブを回動操作することで、回転弁体が回動して、シリンダの連通孔に流れ込む流体圧室からの流体の流量を好適に調整することができる。
また、ノブの回動を規制する回り止め手段により、ノブを回動して流量を調整した後はノブの回動を規制して不用意な操作を回避することで、調整位置を安定して保持することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る流体圧式送り速度制御装置は、請求項1または請求項2に記載の流体圧式送り速度制御装置であって、前記第1絞り弁を通過する流体を濾過するフィルター、および前記第2絞り弁を通過する流体を濾過するフィルターのうち、少なくとも一方のフィルターを備えていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、流体を濾過するフィルターを備えたことで、第1絞り弁および第2絞り弁に流体が詰まることを抑制して、精度よく流体の流量を調節することができるため、好適に微速制御を実行することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る流体圧式送り速度制御装置は、微速送りから速い送り速度に変換し、その後再び微速送りに変換することができる。
このため、本発明に係る流体圧式送り速度制御装置は、特に、穴あけを行うドリルユニットの送り制御に好適に採用することができ、切削中は最適な送り速度を維持しながらドリルの食い付き時と抜け際には微速送りに変換することで、加工穴の位置ずれやバリの発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置を搭載したドリルユニットを示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置の構成を示す図1のV−V断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置の食い付き時における微速送りの動作を説明するための図であり、(a)は図2の部分拡大図、(b)は図1の正面図を示す。
【図4】本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置の切削時における切削送りの動作を説明するための図であり、(a)は図2の部分拡大図、(b)は図1の正面図を示す。
【図5】本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置の抜け際における微速送りの動作を説明するための図であり、(a)は図2の部分拡大図、(b)は図1の正面図を示す。
【図6】図2の第1絞り弁のZ−Z拡大断面図であり、(a)は作動油の流量が最大のときの状態を示す、(b)は流体の調整範囲内における一例を示す、(c)は流体の流れを遮断したときの状態を示す。
【図7】図2の第2絞り弁のY−Y拡大断面図であり、(a)は作動油の流量が最大のときの状態を示す、(b)は流体の調整範囲内における一例を示す、(c)は流体の流れを遮断したときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bについて詳細に説明する。説明の便宜上、図1に示すドリルユニットAに装着した状態を想定して、流体圧式送り速度制御装置Bのピストンロッド5側を後側、ノブ8,9側を前側として前後方向を定める。
【0021】
本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bは、図1に示すように、ドリル、タップ、リーマ、ミル等の回転工具を回転および往復動させてワークW(図3参照)を加工する自動式のドリルユニットAに好適に搭載することができる。
なお、本発明の流体圧式送り速度制御装置Bは、油圧や空気圧等の流体圧によって作動する装置であり、以下、油圧で作動する場合を例に挙げて説明する。
【0022】
ドリルユニットAは、回転工具であるドリルTを把持するチャック310と、チャック310が装着される主軸320と、主軸320を進退移動させるラム330と、主軸320を回転駆動させるための電動モータMと、ラム330を直線往復移動させる送り装置300と、電動モータMおよび送り装置300を収納したハウジング340と、このハウジング340に対して進退可能に設けられたバー350と、このバー350に固定された板部材360と、この板部材360に固定された衝接部材370と、ドリルユニットAと流体圧式送り速度制御装置Bとを連結するための連結部材380と、を備えている。
【0023】
流体圧式送り速度制御装置Bは、流体である作動油の流れを制御することによって、ドリルユニットAのドリルT、ラム330等を往復移動させる送り装置300の送り速度を円滑に制御できる制御装置である。
図2に示すように、この流体圧式送り速度制御装置Bは、円筒状のボディ1に内設されたシリンダ2と、このシリンダ2内に往復動可能に配置されたピストン4と、このピストン4に連結され前後方向に移動可能に配置されたピストンロッド5と、ピストン4の前端部に一体に固定された第2ピストン3と、ピストン4の前方に設けられた流体圧室12と、ピストン4の後方に設けられた貯溜室14と、シリンダ2の前端部に設けられた送り速度調節機構Cと、送り速度調節機構Cおよび貯溜室14に連通する流路13と、貯溜室14の後方に配置された差動ピストン17と、を備えている。
【0024】
流体圧式送り速度制御装置Bは、前記衝接部材370に押圧されたピストンロッド5が前進することによって、ピストンロッド5と一体のピストン4を前進させて、流体圧室12内の作動油を送り速度調節機構Cおよび流路13を経て貯溜室14に押し出す構造になっている。つまり、流体圧式送り速度制御装置Bは、ピストン4によって送り出される流体圧室12の作動油の流量を第1絞り弁10および第2絞り弁11で調整して、ピストン4の前進速度を制御することにより、ラム330の送り速度を制御する装置である。
【0025】
ピストンロッド5は、円柱状の部材からなり、蓋部材19、スプリング15および差動ピストン17を挿通して、前端にベロフラム18およびピストン4が固定されている。
【0026】
ボディ1は、流体圧式送り速度制御装置Bのアウタケースであり、ドリルユニットAの外周部に固定された円筒体からなる。ボディ1の前側には、第1ノブ8および第2ノブ9が配置され、後側には、ピストンロッド5が配置されている。このボディ1の内周面1a内には、後側から前側へ順に、止め輪21、蓋部材19、スプリング15、差動ピストン17、ベロフラム18、スペーサ20、シリンダ2、流路13、第2回転弁体7および止め輪22が設けられている。
【0027】
蓋部材19は、ピストンロッド5を進退自在に支持すると共に、ボディ1の後側開口端を閉塞する部材である。蓋部材19は、シール部材23を介在してボディ1に内嵌されて、止め輪21によってボディ1に固定されている。
スプリング15は、ボディ1内の蓋部材19と差動ピストン17との間に圧縮した状態に介在された圧縮コイルばねであり、差動ピストン17およびベロフラム18をばね力で前方向へ押圧している。
【0028】
前記差動ピストン17は、ボディ1の内周面1aおよびピストンロッド5の外周面に摺接させつつ前後方向に移動可能に装着された略円筒状の部材からなる。差動ピストン17は、貯溜室14の後方の位置に、ベロフラム18が介在されて、スプリング15のばね力に抗して貯溜室14内の作動油の油圧によって移動するようになっている。
【0029】
ベロフラム18は、貯溜室14と差動ピストン17との間を隔離して、貯溜室14内の油が差動ピストン17側に漏れるのを阻止すると共に、貯溜室14内に流入した作動油の流量に応じた油圧で差動ピストン17を進退させる筒状弾性部材であり、隔膜状の薄いゴム製部材からなる。
【0030】
貯溜室14は、ピストンロッド5が押圧された際に、ピストン4によって流体圧室12内の作動油が押し出されることより、送り速度調節機構Cを介して、流路13から貯溜室14へと作動油が流れ込むことで、その作動油の油圧によってベロフラム18および差動ピストン17を後退させる部位である(図3(a)を併せて参照)。
【0031】
また、貯溜室14は、衝接部材370が後退してピストンロッド5への前方向への押圧力が開放され、スプリング15のばね力で差動ピストン17が前進したときに、貯溜室14内の油が逆止弁16の弁ばね16bに抗して弁体16aを開弁させて、戻り流路4aから逆止弁16内を通って流体圧室12内に流れ込むようになっている。貯溜室14は、ピストン4の外周面と、スペーサ20の内周面と、ベロフラム18とによって形成されている。
【0032】
スペーサ20は、ピストン4が軸方向に移動自在に挿入されると共に、ボディ1の内周面1aにシール材24を介在して固定された略円筒状の部材からなる。このスペーサ20は、ピストン4のストッパーの機能も果たす。
【0033】
シリンダ2は、流体圧室12の内側側壁を形成する円筒状の部材であり、ボディ1の内周面1aに流路13を介して内嵌されている。シリンダ2内の後側寄りには、ピストン4が往復動自在に嵌入され、シリンダ2内の前側寄りには、第1回転弁体6および第2回転弁体7が回動可能に内嵌されている。シリンダ2の前側寄りには、第1絞り弁10の第1流量調整部10aに合致した位置に穿設された第1連通孔2aと、第2絞り弁11の第2流量調整部11aに合致した位置に穿設された第2連通孔2bと、が設けられている。
【0034】
ピストン4は、ピストンロッド5が衝接部材370に押圧されているときに、ピストンロッド5と一体に往復動して、流体圧室12内の作動油を押し出して送り速度調節機構Cを介して流路13側へその作動油を流動させる部材である。ピストン4には、中央部に軸方向に穿設された戻り流路4aと、流体圧室12側に略筒状に形成されたピストン流路4bと、貯溜室14側に円柱状に形成された棒状部4cと、を有している。ピストン4は、シール材25を介在してシリンダ2内に往復動自在に挿入されている。
戻り流路4aは、貯溜室14、流路13およびピストン流路4bに連通している。ピストン流路4bには、逆止弁16と、第2ピストン3を介して止め輪28が内設されている。
【0035】
逆止弁16は、ピストン4が前進する際に、流体圧室12内の油が第2ピストン3内、ピストン流路4b、戻り流路4aを通って流路13側へ流れるのを阻止するバルブである。逆止弁16は、ピストン流路4bの内底に形成された弁座と、この弁座を閉塞する弁体16aと、この弁体16aを押圧する弁ばね16bと、から構成されている。
弁体16aは、スチールボールにより形成されている。弁ばね16bは、前端が第2ピストン3を前側へ押圧し、後端が弁体16aを後側へ押圧する圧縮コイルばねからなる。
【0036】
第2ピストン3は、図3(a)に示すように、略円筒形状の部材からなり、ピストン4の前端部に配置されて一体に往復動して、後記する第2シリンダ室6aに内嵌される外周部31と、この外周部31の前部31aと後部31bの間に外周部31よりも縮径して形成された凹部32と、内周部に貫通して形成された流通孔33と、外周部31の後部31bと流通孔33とを連通する後部逃げ孔34、および凹部32と流通孔33とを連通する凹部逃げ孔35と、を備えている。
【0037】
かかる構成により、第2ピストン3の前部31aが第2シリンダ室6aに内嵌された状態では、第2絞り弁11を閉塞して閉弁する。
また、この第2絞り弁11を閉弁した状態から、第2ピストン3がピストンロッド5によって押圧されてさらに移動し、流体圧室12から後部逃げ孔34、流通孔33、および凹部逃げ孔35を通り、外周部31よりも縮径して形成された凹部32を介して流体圧室12から第2絞り弁11までが連通した状態では、第2絞り弁11を開弁する。
さらに、第2ピストン3をピストンロッド5(図2参照)によって押圧して第2ピストン3の後部31bが第2絞り弁11を閉塞するまで移動すると、第2絞り弁11を閉弁することができる。
【0038】
流体圧室12は、作動油の圧力室となるシリンダ室であり、シリンダ2と、ピストン4と、第2ピストン3と、第1回転弁体6等によって形成されている。
流路13は、ボディ1の内壁とシリンダ2の外壁との間に形成されて、後記する第1絞り弁10および第2絞り弁11を通過した作動油が貯溜室14へ流れるようになっている。
【0039】
送り速度調節機構Cは、流体圧室12から流路13に流れる作動油の流れを制御することによってピストン4の移動速度を調整するバルブ装置であり、シリンダ2の前端部に複数配置されている。送り速度調節機構Cは、流体圧室12から流路13へ流れる作動油の流量を調整するための第1絞り弁10および第2絞り弁11から主に構成されている。
【0040】
第1絞り弁10は、流路13に連通する第1連通孔2aに流れ込む流体圧室12からの作動油の流量を調整する第1流量調整部10aを有する第1回転弁体6と、この第1回転弁体6を回動させることが可能な第1ノブ8と、前記第2ピストン3と、を主に備えて構成されている。
【0041】
第1回転弁体6は、流体圧室12内から流路13へ流れる作動油の流量およびピストン4の移動速度を調整する調整部材としての機能を果たす部材であり、シリンダ2および第2回転弁体7内に回動可能に配置されている。
第1回転弁体6は、第2ピストン3に形成された流通孔33に連通する第2シリンダ室6aと、第2回転弁体7が回動可能に外嵌される円筒部6bと、流体圧室12に開口して形成された第1流入口6cと、この第1流入口6cに装着されたフィルターF1と、円筒部6bに形成された第2流入口6dと、第1流入口6cに連通する第1流量調整溝6e(図6(a)〜(c)参照)と、鍔状に形成された円盤部6fと、第2シリンダ室6aを閉塞する栓29と、第1流入口6cの流量を調整する第1ノブ8と、を備えている。
【0042】
第2シリンダ室6aは、第1回転弁体6の内部に形成された作動油の充填室からなり、第2ピストン3に形成された流通孔33を介して流体圧室12に連通している。
第1流入口6cは、流体圧室12から第1流量調整部10aまで連通するように円盤部6f(図6(a)参照)に形成された流路であり、微速送りの流路としての機能を奏する(図3(a)参照)。
【0043】
フィルターF1は、第1流入口6cに流入する作動油を濾過することで、第1絞り弁10の第1流量調整溝6e(図6(a)〜(c)参照)に作動油が詰まることを抑制して、作動油の微小な流量を精度よく調節する機能を有する。
【0044】
第2流入口6dは、流体圧室12内の作動油を円筒部6bの外側にある第2絞り弁11の第2流量調整部11aに送るための油路であり、切削送り時のメイン油路となる。
具体的には、第2流入口6dは、第2絞り弁11の第2流量調整部11aに連通しているため、第2ピストン3の外周部31に縮径して形成された凹部32と第2流入口6dが対向する位置に第2ピストン3が位置する場合には、図4に示すように、流体圧室12から後部逃げ孔34、流通孔33、および凹部逃げ孔35を通った作動油が凹部32を介して流体圧室12から第2絞り弁11まで連通する状態になる。
【0045】
第1流量調整溝6eは、流体圧室12の作動油が第1流入口6cに流れ込む状態のときに、その作動油が流路13に流れる流量を調整するための溝である。
第1絞り弁のZ−Z拡大断面図である図6(a)〜(c)に示すように、第1流量調整溝6eは、円盤部6fの外周面の第1流入口6cの付近から略半周以上(約3/4周)に亘って徐々に溝の深さが浅くなるように形成されたV溝からなり、この第1流量調整溝6eとシリンダ2の内壁とによって油路を形成している。
【0046】
円盤部6fは、図3(a)に示すように、第1流量調整部10a、第1流入口6cおよび第1流量調整溝6eを形成する円盤状の部位であり、流体圧室12の前側に内嵌されている。
栓29は、第2シリンダ室6aの前端部を密閉した状態に閉塞するために、シール材27を介在して円筒部6bの先端に内嵌されている。
【0047】
第1ノブ8は、回動操作することによって第1回転弁体6を回動させて、第1連通孔2aに対する第1流量調整溝6eおよび第1流入口6cの位置を調整して、第1流入口6cから流路13へ流れる作動油の流量を調整するためのボリュームである(図6(a)〜(c)参照)。
また、第1ノブ8には、回動を規制する回り止め手段である止めねじ81が設けられている。止めねじ81は、第1ノブ8と第2回転弁体7を一体として固定して、第1ノブ8には、回動を規制できるようになっている。
【0048】
図4(a)に示すように、第2絞り弁11は、シリンダ2内に回動自在に配置されると共に、シリンダ2に穿設された第2連通孔2bに流れ込む流体圧室12からの作動油の流量を調整する第2流量調整部11aを有する第2回転弁体7と、この第2回転弁体7を回動させることが可能な第2ノブ9と、を主に備えて構成されている。
【0049】
第2回転弁体7は、第1回転弁体6の円筒部6bに回動可能に外嵌されると共に、シリンダ2およびボディ1の開口端部内に回動可能に嵌入され、前記した第1回転弁体6と同様に、流体圧室12内から流路13へ流れる作動油の流量およびピストン4の移動速度を調整する調整部材としての機能を果たす。
【0050】
第2回転弁体7は、第2流入口6dに連通する弁孔7aと、シリンダ2の前端部に回動可能に内嵌される円筒部7cと、円筒部7cの外周面に形成された第2流量調整溝7bと、ボディ1内に回動可能に内嵌されたボディ閉塞部7dと、第2ノブ9が装着されるノブ装着部7eと、第2流量調整溝7bに流入する作動油を濾過するフィルターF2と、を有している。
そして、第2ノブ9を回動操作すれば、第2流量調整溝7b内を流れる作動油の流量が調整できるようになっている。
【0051】
弁孔7aは、第1回転弁体6の第2流入口6dと流路13との間を流れる作動油の油路の一部を形成する部位であり、軸心側が第2流入口6dに連通し、外周部側が第2連通孔2bを介して流路13に連通している。
円筒部7cは、この円筒部7cに形成された弁孔7aおよび第2流量調整溝7bが、シリンダ2の内壁面によって閉塞および規制されるように回動可能に内嵌される部位である。
【0052】
第2流量調整溝7bは、前記第1流量調整溝6eと同様に、第2流入口6dから流路13に流れる油の流量を調整するための溝である。図7(a)〜(c)に示すように、第2流量調整溝7bは、円筒部7cの外周面の弁孔7aの付近から略半周以上(約3/4周)に亘って徐々に溝の深さが浅くなるように形成されたV溝からなり、この第2流量調整溝7bとシリンダ2の内壁とによって油路を形成している。
【0053】
図2に示すように、ボディ閉塞部7dは、ボディ1の前側開口端部を閉塞する部位であり、シール材26を介在してボディ1内に回動可能に内嵌されると共に、止め輪22によってボディ1に固定されている。
ノブ装着部7eは、第2ノブ9が外嵌されてねじ止めされると共に、円筒部6bに回動自在に外嵌される部位であり、筒状に形成されている。
【0054】
第2ノブ9は、この第2ノブ9を回動操作することにより第2回転弁体7を回動させる操作部材であり、図7(a)〜(c)に示すように、第2連通孔2bに対する第2流量調整溝7bおよび弁孔7aの位置を調整して、第2シリンダ室6aの第2流入口6dから流路13へ流れる作動油の流量を調整するためのボリュームである。
第2ノブ9には、図4に示すように、回動を規制する回り止め手段である止めねじ91が設けられている。止めねじ91は、第2ノブ9とボディ1を一体として固定できるようになっている。
【0055】
次に、各図を参照しながら本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bの作用について主として図3〜図5を参照しながら説明する。
≪ドリルユニットの本体送り工程≫
ドリルユニットAの本体送り工程は、ドリルTをワークWの加工面の近傍まで送る穴あけ加工前の工程である。本体送り工程では、図1に示すように、衝接部材370がピストンロッド5と非接触状態である。このため、ドリルユニットAの送り装置300は、流体圧式送り速度制御装置Bによって制動されることがないので、速い送り速度でドリルTを送ることができる。
【0056】
≪食い付き時の微速送り工程≫
食い付き時の微速送り工程は、図3(b)に示すように、ワークWに対してドリルTが穴あけ加工を始める位置の直前から、振動等が発生せずに安定して穴あけ加工が進行するまでの所定の送り位置まで実行される工程である。
所定の送り位置とは、例えば、ドリルTの刃先部による加工では振れや振動の不具合が発生しやすくなるため、この不具合を解消できる所定の送り位置であり、加工工具の種類、加工径、回転数、およびワークの材質や形状を考慮して適宜設定する。
【0057】
食い付き時の微速送り工程は、衝接部材370がピストンロッド5に当接した位置から開始され、第2ピストン3によって第2流入口6dが閉塞された状態から、第2ピストン3が前進して第2流入口6dを開放して第2絞り弁11を開弁状態にするまでの間に実行される。
食い付き時の微速送り工程では、図3(a)に示すように、第2ピストン3の前部31aが第2シリンダ室6aに内嵌された状態であり、第2絞り弁11が閉弁され、第1絞り弁10のみが開弁されているため、ピストン4の移動速度が遅い微速送りが実行される。
【0058】
具体的には、食い付き時の微速送り工程では、ピストンロッド5が前進すると、ピストン4および第2ピストン3が流体圧室12内の油を押圧して、流体圧室12に開口する第1流入口6cから第1流量調整部10a、第1連通孔2aおよび流路13を通って貯溜室14内に流れ込む。貯溜室14内に流れ込んだ作動油は、ベロフラム18および差動ピストン17を押圧して後退させて流動抵抗による制動力を生じる。
【0059】
<食い付き時の微速送り工程での送り速度の調節>
微速送り工程での送り速度を調節したい場合は、作業前に予め、第1ノブ8を回動操作して、第1絞り弁10の第1流量調整部10aを流れる作動油の流量を調整することによって、送り速度を調節することができる。
具体的には、図6(a)に示すように、第1ノブ8を矢印aの右方向の最右側位置まで回動操作すると、第1流入口6cと第1連通孔2aとの間に配置されたV溝からなる第1流量調整溝6eの深さが最も深い位置になり、第1流入口6cから第1流量調整溝6eを介して第1連通孔2aへ流れる作動油の流量が最大となる。
【0060】
また、図6(b)に示すように、第1ノブ8(図2参照)を矢印bの左方向の中間位置まで回動操作すると、第1流量調整溝6eの深さが減少し、第1流入口6cから第1流量調整溝6eを介して第1連通孔2aへ流れる作動油の流量も減少する。
また、図6(c)に示すように、第1ノブ8(図2参照)を矢印cの左方向の最左側位置まで回動操作すると、第1連通孔2aが第1回転弁体6によって閉塞され、作動油の流れが停止する。
このようにして、図6(a)に示す第1ノブ8の位置から図6(c)に示す位置の間で回動角度を調整して、第1連通孔2aへ流れる作動油の流量を調整することで、微速送り工程における送り速度を調節することができる
【0061】
≪切削送り工程≫
切削送り工程は、図4(b)に示すように、食い付き時の微速送り工程を終了した位置からワークWの裏面に貫通する寸前までの送り位置である。
切削送り工程では、前記した食い付き時の微速送り工程および抜け際の微速送り工程よりも、比較的安定した切削条件が得られるため、微速送り工程よりも速い送り速度で送ることができる。切削送り工程における送り長さや送り速度は、ワークWの材質や加工工具(ドリル)の形状等を考慮して適宜設定される。
【0062】
切削送り工程では、図4(a)に示すように、第2ピストン3がピストンロッド5によって押圧されてさらに前進し、第2流入口6dが第2ピストン3の外周部31に縮径して形成された凹部32に臨むように対向し、流体圧室12から後部逃げ孔34、流通孔33、および凹部逃げ孔35を通り、外周部31よりも縮径して形成された凹部32を介して流体圧室12から第2絞り弁11までが連通して、第2絞り弁11を開弁する。
【0063】
切削送り工程では、流体圧室12から押し出された作動油は、一方が、第1流入口6cから第1流量調整部10a、第1連通孔2aおよび流路13を通って貯溜室14内に流れ込み、他方が、第2流入口6dから第2流量調整部11a、第2連通孔2bおよび流路13を通って貯溜室14内に流れ込む。
【0064】
このようにして、切削送り工程では、流体圧室12内の作動油が二つの油路から流路13を通って貯溜室14へ流れるので、貯溜室14へ流れる流量が多く、流動抵抗が小さい。このため、ピストン4およびピストンロッド5は、前進速度が速く、衝接部材370を制動させる制動力が小さいので、送り速度を速く設定することができる。
【0065】
<切削送り工程での送り速度の調節>
切削送り工程での送り速度を調節したい場合は、作業前に予め、第2ノブ9を回動操作して、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる作動油の流量を調節することによって、送り速度を調節する。
【0066】
具体的には、第2ノブ9を最右側まで回動操作すると、図7(a)に示すように、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる作動油の流量が最大となり、切削送り時の最速状態になる。
また、第2ノブ9(図2参照)を中間位置まで回動操作すると、図7(b)に示すように、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる油の流量が減少し、切削送り時の送り速度を中間速度に調節することができる。
また、第2ノブ9(図2参照)を最左側位置まで回動操作すると、図7(c)に示すように、第2連通孔2bが第2回転弁体7によって閉塞され、作動油の流れが停止する。
【0067】
このようにして、図7(a)に示す第2ノブ9の位置から図7(c)に示す位置の間で回動角度を調整して、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる作動油の流量を調整することで、切削送り工程における送り速度を調整することができる
【0068】
≪抜け際の微速送り工程≫
抜け際の微速送り工程は、図5(b)に示すように、ドリルTがワークWを貫通する寸前の所定の位置から、微速送りに切り換えてワークWを貫通して穴あけ加工が終了するまで実行される工程である。
【0069】
ドリルTがワークWを貫通する寸前の所定の位置とは、例えば、ドリルTが貫通する寸前(抜け際)には、ワークWの裏面に残された薄皮が破れて貫通孔の周りにバリが発生しやすくなるため、このバリの発生を防止するためにワークWの裏面に必要な厚さを確保することができる位置であり、加工工具の種類、加工径、回転数、およびワークWの材質や形状を考慮して適宜設定する。
【0070】
抜け際の微速送り工程は、第2ピストン3をピストンロッド5によって押圧して第2ピストン3の後部が第2絞り弁11を閉弁する位置から開始され、この第2絞り弁11を閉弁した状態では、第1絞り弁10のみが開弁しているためピストン4の移動速度を遅く設定することができる。なお、抜け際の微速送り工程における動作や送り速度の調節は、食い付き時の微速送り工程と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
以上のように、本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bは、ドリルユニットAに搭載することによって、切削開始時におけるドリルTがワークWに当接して食い付く際にはピストン4の移動速度を遅く設定し(食い付き時の微速送り)、切削中は速い送り速度に変換し(穴あけ時の切削送り)、そしてドリルTがワークWから抜ける際には再び微速送り(抜け際の微速送り)に変換するとともに、送り速度調節機構Cにより、微速送りおよび切削送り時の送り速度を適切に調節して加工条件に合わせたきめ細かな送り速度を設定することができる。
このため、本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bは、加工工具の振れや振動の発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
【0072】
以上本発明の実施形態について説明したが、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能である。
例えば、本発明の実施形態としては、図1に示すようなドリルユニットAのラム330を送る場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、往復移動する往復運動体を有する機械であれば適用させることができ、その他の装置であっても構わない。
【0073】
また、前記実施形態では、微速送りから切削送りに切り換えて、さらに微速送りに切り換える3段階の送り速度で使用する場合について説明したが、凹部32(図3)を2箇所以上設けることで、4段階以上の送り速度で使用することもできる。
【0074】
さらに、第1絞り弁10および第2絞り弁11は、それぞれ1つずつ設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2流入口6dを軸方向にずらした位置に複数個所配置して、第2ピストン3によって閉塞される流入口の位置が相違すれば、さらに、絞り弁を増設して数を増やしても構わない。このようにすれば、送り速度を細かく複数段に調整することが可能になり、さらに、穴あけ加工が行われるワークWの材質に適合した送り速度に設定できる。
【符号の説明】
【0075】
1 ボディ
1a 内周面
2 シリンダ
2a 第1連通孔
2b 第2連通孔
3 第2ピストン
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 第1回転弁体
6a 第2シリンダ室
6b 円筒部
6c 第1流入口
6d 第2流入口
7 第2回転弁体
8 第1ノブ(ノブ)
9 第2ノブ(ノブ)
10 第1絞り弁
10a 第1流量調整部
11 第2絞り弁
11a 第2流量調整部
12 流体圧室
13 流路
14 貯溜室
17 差動ピストン
31 外周部
31a 前部
31b 後部
32 凹部
33 流通孔
34 後部逃げ孔
35 凹部逃げ孔
B 流体圧式送り速度制御装置
C 送り速度調節機構
F1,F2 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のボディと、
該ボディに内設されたシリンダと、
該シリンダ内に往復動可能に配置されたピストンと、
該ピストンに連結され前後方向に移動可能に配置されたピストンロッドと、
前記ピストンの前方に設けられて、流体が貯溜される流体圧室と、
前記ピストンの後方に設けられて、前記流体が貯溜される貯溜室と、
該貯溜室に連通すると共に、前記ボディと前記シリンダとの間に設けられた流路と、
前記シリンダの前端部に設けられて、前記流体圧室から前記流路に流れる流体の流れを制御することによって前記ピストンの移動速度を調整する送り速度調節機構と、
前記貯溜室の後方に配置されて、前記ボディの内周面および前記ピストンロッドに摺接させつつ前後方向に移動可能に設けられた差動ピストンと、を備え、
前記ピストンによって前記流体圧室の流体を、前記送り速度調節機構および流路を経て前記貯溜室に押し出すことにより、往復運動体の送り速度を調整する流体圧式送り速度制御装置であって、
前記送り速度調節機構は、前記シリンダの前端部に配置され、前記流体圧室から前記流路へ流れる流量を調整するための第1絞り弁および第2絞り弁を備えて構成され、
前記ピストンは、一体に移動して前記第2絞り弁を開閉させる第2ピストンを有し、
前記第2ピストンは、前記第2絞り弁に嵌合して閉塞する外周部と、
この外周部の前部と後部の間に形成された凹部と、
当該第2ピストンの内周部に形成された流通孔と、
前記外周部の後部と前記流通孔とを連通する後部逃げ孔、および前記凹部と前記流通孔とを連通する凹部逃げ孔と、
を備えていることを特徴とする流体圧式送り速度制御装置。
【請求項2】
前記第1絞り弁および前記第2絞り弁の少なくとも一方は、前記シリンダ内に回動自在に配置されると共に、前記シリンダに穿設され前記流路に連通する連通孔に流れ込む前記流体圧室からの流体の流量を回動することによって調整する流量調整部を有する回転弁体と、
該回転弁体を回動させることが可能なノブと、
このノブの回動を規制する回り止め手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置。
【請求項3】
前記第1絞り弁を通過する流体を濾過するフィルター、および前記第2絞り弁を通過する流体を濾過するフィルターのうち、少なくとも一方のフィルターを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体圧式送り速度制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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