説明

流体機械

【課題】本発明は、流体機械内にベローズシールを適用するための新しい解決法を提供する。
【解決手段】本発明は、2つの構成部品(10,20)を有している流体機械(1)であって、2つの構成部品(10,20)に隣接している流体機械(1)の2つの室(40,50)の間に媒体遮断壁がベローズシール(30)によって形成されるように、2つの構成部品(10,20)がベローズシール(30)を介して互いに協働している。本発明では、流体機械(1)が、ガスタービンとして構成されており、2つの室(40,50)のうち一方の室(40)が、ガスタービンの高圧部分の高温ガス室である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の態様の流体機械は、例えば特許文献1より知られている。該文献に記述された、圧力交換機として構成された流体機械においては、2つの構成部品が一つのベローズシールを介して、該ベローズシールにより、これら2つの構成部品に隣接する、流体機械の2つの室の間の媒体遮断壁が形成されるよう、協働している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第1751075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、流体機械内にベローズシールを適用するための新しい解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の流体機械により達成される。本発明の発展形態は従属請求項に規定されている。
【0006】
本発明においては流体機械が2つの構成部品を有しており、該2つの構成部品は一つのベローズシールを介して、該ベローズシールにより、2つの構成部品に直接的に隣接する、流体機械の2つの室の間の媒体遮断壁が形成されるよう、互いに協働する。本発明の流体機械は、流体機械がガスタービンとして構成されていることを特徴としており、その際、前記2つの室のうちの一方の室は、ガスタービンの高圧部分の高温ガス室である。
【0007】
発明者により、ガスタービン運転中、ガス主流内の不均一な周方向分布によりシール面の平坦性が確保できないために、ガスタービンの高圧部分の高温ガス室の直接的なシール部分は、漏れの危険性が非常に高いがことが認められた。一度発生した漏れは、シール面の非平坦性をさらに強める作用を有しているため、漏れ効果が高まる。さらにシール要素が過熱する危険、また、それに関連してシール要素のプレストレス又はシール力を損失する危険がある。
【0008】
この領域にベローズシールを本発明により適用することにより、漏れを確実に回避できる。
【0009】
本発明の一つの実施形態では、前記2つの室のもう一方の室は、ガスタービンの高圧部分の冷却空気室として構成されている。
【0010】
本発明のさらなる一つの実施形態では、ベローズシールは一つの第1の端部を有しており、該第1の端部によりベローズシールは2つの構成部品のうちの第1の構成部品に対してシールし、また、一つの第2の端部を有しており、該第2の端部により2つの構成部品のうちの第2の構成部品に対してシールする。このとき第1の端部は、変形耐性のある接続が生まれるように第1の構成部品に取り付けられている。
【0011】
ベローズシールを本発明により取付けることにより、一方では、ベローズシールのための確実な位置保持が提供され、他方では、良好なシール品質を保ちつつ、ベローズシールと第1の構成部品との接続にある程度の変形が許容され、また、それによりベローズシールを機械特有のパラメータに適合させることが許容される。
【0012】
望ましくは第1端部は第1の構成部品に溶接、はんだ付け、ボルト留め、及び/又は、留め具で留められる。
【0013】
本発明のさらに一つの実施形態によると第2の端部は、軸線方向プレストレスにのみ基づく面接触により、第2の構成部品に対してシールしている。
【0014】
このようにして、ベローズシールと第2の構成部品との間には、動きに対して許容的でありながら媒体密である接続が提供される。
【0015】
本発明のさらに一つの実施形態によると第1の端部はフランジの形で構成されており、該フランジはベローズシールの折り曲げ部の外径から始まって、該折り曲げ部の該外径を超えて径方向外方に延在し、第1の構成部品の、径方向に延在するシール面上に存在する。また、第2の端部は、前記折り曲げ部の外径から始まって、前記第1の端部とは逆に径方向内側に延在し、第2の構成部品の、径方向に延在するシール面上に存在するフランジの形で形成されている。
【0016】
第1の端部がこのように実施されていることにより、第1の端部は特に簡単かつ容易に第1の構成部品にしっかりと取り付けることが可能である。第2の端部は折り曲げ部の外径の内側にあるため、それにより損傷から保護される。
【0017】
本発明のさらなる一つの実施形態によると第1の端部は、折り曲げ部に材料結合的に接続された、軸線方向に延在する接続部分を有しており、それにより折り曲げ部と第1の構成部品のシール面との間に間隙が形成される。
【0018】
この接続部分によりレバーアームが提供され、ベローズシールに軸線方向の負荷がかかった場合に第1の端部が接続部分の領域においてある程度変形でき、それにより変形耐性が提供される。
【0019】
本発明のさらなる一つの実施形態によると第2の端部のシール面には、第1の端部に向かって軸線方向に延在する支持面又は案内面が隣接しており、該支持面は折り曲げ部のために径方向内側の支持を提供している。
【0020】
それにより、ベローズシールが軸線方向に伸縮しても、ベローズシールの折り曲げ部が径方向に座屈すること、及び、それによりプレストレス及びシール作用に悪影響を与えることが確実に回避される。さらに、支持面はベローズシールのために軸線方向の案内を提供する。
【0021】
本発明のさらなる一つの実施形態によると、第2の端部のシール面、支持面及び第1の端部のシール面は共同で、ベローズシールの折り曲げ部のための、U字型で周回する収容ポケットを形成するよう延在している。
【0022】
このようにしてベローズシールの折り曲げ部は、損傷及び軸線方向の座屈に対してより確実に保護されるように収容される。
【0023】
本発明のさらなる一つの実施形態によると第1の端部は、ガスタービンの一つの案内羽根キャリア及び/又は一つのシールキャリアにより形成されている。
【0024】
つまり、ガスタービンの高圧部分内のベローズシールの形の本発明のシールシステムは、軸線方向のシール間隙の大きな変化を補償するために適用され、その際、所与のプレストレス及びΔpにより、2つの構成部品の、一つの室(高温ガス室)からもう一つの室(冷却空気室)への密閉性が達成される。
【0025】
本発明における解決策では、良好なシール品質を保持しつつ、2つのシール要素(ベローズシールと案内羽根キャリア)が耐変形性を有した状態で接続される。そのために3つの可能性が提案され、それらは、ベローズシールの案内羽根キャリアへの溶接(このときベローズの幾何学形状は、構成部品及び溶接部が耐えるべき応力が最小になるようにされる)、及び/又は、ベローズシールのはんだ付け、及び/又は、ベローズシールと案内羽根キャリアとのボルト接続/留め具接続である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一の実施例における流体機械の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明について、好ましい実施形態に基づいて添付図面を参照しつつ以下に詳述する。
【0028】
図1は、ガスタービンとして構成された、本発明の一つの実施例における流体機械1の一部分の断面図である。
【0029】
流体機械1は、第1の構成部品10及び第2の構成部品20を有している。2つの構成部品10,20に直接的に隣接している流体機械1の高圧部分(符号付さず)の高温ガス室40と、2つの構成部品10,20に直接的に隣接している流体機械1の高圧部分の冷却空気室50との間に、ベローズシール30が媒体遮断壁を形成するように、第1の構成部品10及び第2の構成部品20はベローズシール30を介して互いに協働している。
【0030】
第1の構成部品10は、流体機械1の高圧部分の案内羽根キャリアによって形成されている。第2の構成部品20は、例えば流体機械1の高圧部分のハウジング部分によって形成されている。
【0031】
ベローズシール30は、好ましくは耐熱性及び弾性を有している金属又はプラスチックから製造されている。
【0032】
ベローズシール30は、第1の端部31を有しており、第1の端部31を介して第1の構成部品10に対して密着している。また、ベローズシール30は、第2の端部32を有しており、第2の端部32を介して第2の構成部品20に対して密着している。
【0033】
第1の端部31は、溶接、はんだ付け、ボルト留め、又は留め具によって第1の構成部品10に取り付けられており、このような接続は耐変形性を有している。図示された実施形態では、第1の端部31は、例えば溶接又ははんだ付けによって取り付けられている。
【0034】
この目的のために、第1の端部31は、径方向外方に向かって、ベローズシール30の折り曲げ部33の外径33aから折り曲げ部33の外径33aを越えて延在しており、第1の構成部品10の径方向に延在しているシール面11上に配設されたフランジの形態で構成されている。
【0035】
さらに、第1の端部31が軸線方向に延在している接続部分31aを有しており、接続部分31aが折り曲げ部33に材料結合的に結合されているか、又は折り曲げ部33に一体的に形成されており、これにより折り曲げ部33と第1の構成部品10のシール面11との間に、間隙R1が形成されている。
【0036】
ベローズシール30が軸線方向において伸縮する場合には、折り曲げ部33は、当該場合にレバーアームとして作用する接続部分31aの変形を介して間隙R1内に向かって変形されるので、第1の端部31と第1の構成部品10との間における接続は耐変形性を有している。
【0037】
第2の端部32は、第2の構成部品20に向かう軸線方向のプレストレスに基づく面接触のみによって、第2の構成部品に対して密着している。
【0038】
この目的のために、第2の端部32は、第1の端部31の逆方向すなわち径方向内方に折り曲げ部33の外径33aから延在しており、第2の構成部品20の径方向に延在しているシール面21上に配設されたフランジの形態で構成されている。
【0039】
第2の構成部品20のシール面21には、支持面22が隣接しており、支持面22は、第1の構成部品10に向かう方向すなわち軸線方向に延在しているので、折り曲げ部33の径方向内方部分を支持している。
【0040】
図1から理解されるように、第2の構成部品20のシール面21及び支持面22と、第1の構成部品10のシール面11とが共に、ベローズシール30の折り曲げ部33のためにU状に周回している収容ポケットを形成するように延在しており、これにより折り曲げ部33が、確実に、損傷及び軸線方向における座屈に対して保護され、軸線方向において案内可能とされる。
【符号の説明】
【0041】
1 流体機械
10 第1の構成部品
11 シール面
20 第2の構成部品
21 シール面
22 支持面
30 ベローズシール
31 第1の端部
31a 接続部分
32 第2の端部
33 折り曲げ部
33a 外径
40 高温ガス室
50 冷却空気室
R1 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの構成部品(10,20)を有している流体機械(1)であって、前記2つの構成部品(10,20)に隣接している前記流体機械(1)の2つの室(40,50)の間に媒体遮断壁が前記ベローズシール(30)によって形成されるように、前記2つの構成部品(10,20)がベローズシール(30)を介して互いに協働している、前記流体機械(1)において、
前記流体機械(1)が、ガスタービンとして構成されており、
前記2つの室(40,50)のうち一方の室(40)が、前記ガスタービンの高圧部分の高温ガス室であることを特徴とする流体機械。
【請求項2】
前記2つの室(40、50)のうち他方の室(50)が、前記ガスタービンの前記高圧部分の冷却空気室であることを特徴とする請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記ベローズシール(30)が、第1の端部(31)を有しており、
前記ベローズシール(30)が、前記第1の端部(31)を介して前記2つの構成部品(10,20)のうち第1の構成部品(10)に対して密着しており、
前記ベローズシール(30)が、第2の端部(32)を有しており、
前記ベローズシール(30)が、前記第2の端部(32)を介して前記2つの構成部品(10,20)のうち第2の構成部品(20)に対して密着しており、
前記第1の端部(31)が、耐変形性を有した状態で接続されるように前記第1の構成部品(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記第2の端部(32)が、軸線方向のプレストレスに基づく面接触のみによって、前記第2の構成部品(20)に対して密着していることを特徴とする請求項3に記載の流体機械。
【請求項5】
前記第1の端部(31)が、溶接、はんだ付け、ボルト、又は留め具によって、前記第1の構成部品(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の流体機械。
【請求項6】
前記第1の端部(31)が、フランジの形態で構成されており、
前記フランジが、径方向外方に、前記ベローズシール(30)の折り曲げ部(33)の外径(33a)から前記折り曲げ部(33)の前記外径(33a)を越えて延在しており、前記第1の構成部品(10)の径方向に延在しているシール面(11)上に配設されており、
前記第2の端部(32)が、フランジの形態で構成されており、
前記フランジが、前記第1の端部(31)とは逆方向すなわち径方向内側に、前記折り曲げ部(33)の前記外径(33a)から延在しており、前記第2の構成部品(20)の径方向に延在しているシール面(21)上に配設されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の流体機械。
【請求項7】
前記第1の端部(31)が、前記折り曲げ部(33)に材料結合的に結合されていると共に軸線方向に延在している、接続部分(31a)を有しており、
これにより、前記折り曲げ部(33)と前記第1の構成部品(10)の前記シール面(11)との間に、間隙(R1)が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の流体機械。
【請求項8】
支持面(22)が、前記第2の構成部品(20)の前記シール面(21)に隣接しており、
前記支持面(22)が、前記支持面(22)が径方向内方において前記折り曲げ部(33)を支持するように、前記第1の構成部品(10)に向かう方向すなわち軸線方向に延在していることを特徴とする請求項6又は7に記載の流体機械。
【請求項9】
前記第2の構成部品(20)の前記シール面(21)及び前記支持面(22)と、前記第1の構成部品(10)の前記シール面(11)とが共に、前記ベローズシール(30)の前記折り曲げ部(33)のための収容ポケットを形成するように延在していることを特徴とする請求項8に記載の流体機械。
【請求項10】
前記第1の構成部品(10)が、前記ガスタービンの前記高圧部分の案内羽根キャリア及び/又はシールキャリアによって形成されていることを特徴とする請求項3〜9のいずれか一項に記載の流体機械。

【図1】
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【公開番号】特開2012−17847(P2012−17847A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141590(P2011−141590)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(510153962)マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー (65)
【Fターム(参考)】