説明

流体機械

【課題】各回動ユニットの作動評価を個別に行え、かつ、軸方向長さの短縮及び部品点数や加工,組み立て工数の低減を図ることができる流体機械を提供する。
【解決手段】ポンプ一体型膨張機29Aは、回転軸28(主軸)回りに回動するポンプユニット60、及び、回転軸28に対して従動クランク機構81を介して連結される旋回スクロール52を備えた膨張ユニット50を備える。ここで、ポンプユニット60では、ケーシング部材65が、ギヤポンプ61、回転軸28及び従動クランク機構81を支持し、膨張ユニット50では、本体部51a及びケーシング部材54からなる筐体が、固定スクロール51及び旋回スクロール52からなる膨張機23を支持する。そして、ポンプ一体型膨張機29Aは、ポンプユニット60側の筒状部65cと、膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合部分で分離し、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56から引き抜くようにすると、ポンプユニット60と膨張ユニット50とに分割できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1回動ユニット、第2回動ユニット及び従動クランク機構を備えた流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両用エンジンの廃熱を回収して利用するランキンサイクル装置に組み込まれる流体機械として、冷媒などの作動流体を循環させるポンプと、加熱蒸発された流体を膨張させるスクロール型の膨張機とを一体的に連結したポンプ一体型の膨張機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポンプ一体型の膨張機のように、複数の回動ユニットを一体的に備えた流体機械において、複数の回動ユニット間にオルダム継手を設け、各回動ユニットをオルダム継手の部分で分割させることで、各回動ユニットの作動評価を個別に行えるようにした流体機械が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−077827号公報
【特許文献2】特開2010−249130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、主軸に設けた継手部分で各回動ユニットを分割させるようにすると、分割される回動ユニットそれぞれに主軸の軸受を設ける必要が生じ、これによって、流体機械の軸方向長さが長くなり、また、部品点数や加工,組み立て工数が増大して生産コストが高くなるなどの問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、各回動ユニットの作動評価を個別に行え、かつ、軸方向長さの短縮及び部品点数や加工,組み立て工数の低減を図ることができる流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る流体機械は、主軸回りに回動する第1回動ユニットと、固定スクロール、旋回スクロール、自転阻止機構を備えた第2回動ユニットと、前記主軸と前記旋回スクロールとの間に介在し、前記主軸の回転運動と前記旋回スクロールの旋回運動との間の変換を行うと共に、前記旋回スクロールの旋回半径が可変可能な従動クランク機構と、を備え、第1筐体に、前記第1回動ユニットを支持すると共に前記主軸を介して前記従動クランク機構を支持し、第2筐体に、前記第2回動ユニットを支持し、前記第1筐体と前記第2筐体とを分割可能とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る流体機械によれば、第1筐体と第2筐体とに分割することで、第1回動ユニットの作動評価と第2回動ユニットの作動評価とを個別に行え、また、第1筐体は、第1回動ユニットと共に、主軸を介して従動クランク機構を支持するから、第2筐体側に主軸の軸受を設ける必要がなく、これによって、流体機械の軸方向長さの短縮を図り、また、流体機械の部品点数や加工,組み立て工数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態における廃熱利用装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態におけるポンプ一体型膨張機を示す断面図である。
【図3】第1実施形態におけるポンプ一体型膨張機の分割状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における廃熱利用装置の概略構成を示す図である。
【図5】第2実施形態における発電機一体型膨張機を示す断面図である。
【図6】第2実施形態における発電機一体型膨張機の分割状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1実施形態において、本発明に係る流体機械を組み込む廃熱利用装置1Aの構成を示している。
廃熱利用装置1Aは、エンジン10と共に車両に搭載され、エンジン10の廃熱を回収して利用する装置である。
【0010】
廃熱利用装置1Aは、ランキンサイクル装置2Aと、ランキンサイクル装置2Aの出力をエンジン10に伝達する伝達機構3と、制御ユニット4と、を備えている。
エンジン10は、水冷式の冷却装置を備えた内燃機関であり、前記冷却装置は、冷却水を循環させる冷却水循環路11を備える。
冷却水循環路11には、ランキンサイクル装置2Aの蒸発器22を配置してある。
【0011】
ランキンサイクル装置2Aは、エンジン10の冷却水からエンジン10の廃熱を回収し、回収した熱を駆動力に変換して出力する。
ランキンサイクル装置2Aは、作動流体を循環させる循環路21を備え、この循環路21に、作動流体の流れ方向に沿って、蒸発器22、膨張機23、凝縮器24及びポンプ25Aをこの順に配置してある。
【0012】
蒸発器22は、エンジン10から熱を吸収し、冷却水循環路11を流れる高温の冷却水と、ランキンサイクル装置2Aの作動流体との間で熱交換を行わせることによって、作動流体を加熱して蒸発(気化)させる。
膨張機23は、蒸発器22で気化し蒸気となった作動流体を膨張させることで、駆動力を発生するスクロール型の膨張機である。
【0013】
凝縮器24は、膨張機23を経由した作動流体と外気との間で熱交換を行わせることによって、作動流体を冷却して凝縮(液化)させる。
ポンプ25Aは機械式ポンプであり、凝縮器24で液化した作動流体を蒸発器22へと圧送する。
このように、作動流体は、気化、膨張、凝縮を繰り返しながら循環路21を循環する。
【0014】
ここで、膨張機23とポンプ25Aとを、回転軸28で連結して一体化することで、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)として設けてある。即ち、ポンプ一体型膨張機29Aの回転軸28は、膨張機23の出力軸としての機能及びポンプ25Aの駆動軸として機能を有する。
そして、ランキンサイクル装置2Aは、まずエンジン10の出力によってポンプ25A(ポンプ一体型膨張機29Aにおけるポンプユニット)を駆動することによって起動し、その後、膨張機23(ポンプ一体型膨張機29Aにおける膨張ユニット)が十分な駆動力を発生するようになると、膨張機23の駆動力がポンプ25Aを駆動するようになる。
【0015】
伝達機構3は、ランキンサイクル装置2Aの出力であるポンプ一体型膨張機29Aのトルク(軸トルク)をエンジン10に伝達すると共に、ランキンサイクル装置2Aの起動時には、エンジン10の出力トルクを、ポンプ一体型膨張機29A(ポンプユニット)に伝達する。
伝達機構3は、ポンプ一体型膨張機29Aの回転軸28に取り付けたプーリ31と、エンジン10のクランクシャフト10aに取り付けたクランクプーリ32と、プーリ31及びクランクプーリ32に巻回したベルト33と、ポンプ一体型膨張機29Aの回転軸28とプーリ31との間に設けた電磁クラッチ34と、を備える。
【0016】
そして、電磁クラッチ34をオン(締結)/オフ(解放)することにより、エンジン10(クランクシャフト10a)とランキンサイクル装置2A(ポンプ一体型膨張機29Aの回転軸28)との間において、動力を伝達、遮断できるようになっている。
制御ユニット4は、電磁クラッチ34の作動(オン(締結)/オフ(解放))を制御する機能を有し、電磁クラッチ34をオン/オフ制御することで、ランキンサイクル装置2Aの作動/停止を制御する。
【0017】
即ち、制御ユニット4は、ランキンサイクル装置2Aの作動条件の成立を判断すると、電磁クラッチ34を締結(オン)して、エンジン10によってポンプ25A(ポンプ一体型膨張機29Aにおけるポンプユニット)を作動させることで、作動流体(冷媒)の循環を開始させ、ランキンサイクル装置2Aを起動する。
そして、膨張機23が作動して駆動力を発生するようになると、膨張機23で発生した駆動力の一部がポンプ25Aを駆動し、その余の駆動力を、伝達機構3を介してエンジン10に伝達し、エンジン10の出力(駆動力)をアシストする。
【0018】
また、制御ユニット4は、ランキンサイクル装置2Aの作動条件が不成立となった場合には、電磁クラッチ34を解放(オフ)して、作動流体の循環を停止させることで、ランキンサイクル装置2Aを停止させる。
尚、蒸発器22は、ランキンサイクル装置2Aの作動流体と、エンジン10の排気との間で熱交換を行う装置であってもよいし、また、エンジン10の冷却水との間で熱交換を行うと共に、エンジン10の排気との間で熱交換を行う装置であってもよい。
【0019】
また、膨張機23を迂回して作動流体を循環させるバイパス路、及び、当該バイパス路を開閉するバイパス弁を設け、電磁クラッチ34を締結させたランキンサイクル装置2Aの起動直後は、バイパス弁を開弁状態に保持させて、膨張機23を迂回して作動流体を循環させる。そして、膨張機23の前後における作動流体の圧力差が閾値を上回るようになってから、換言すれば、膨張機23が駆動力を発生させるようになってから、バイパス弁を閉じ、膨張機23を介して作動流体を循環させることができる。
係る構成であれば、ランキンサイクル装置2Aの起動直後に、作動流体が膨張機23をバイパスして流通すると共に、蒸発器22内の圧力が低下して作動流体の蒸発温度が低くなるため、ランキンサイクル装置2Aの起動性を向上させることができる。
【0020】
次に、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)の構造を、図2及び図3に基づき詳細に説明する。
ポンプ一体型膨張機29Aは、前述のように、ランキンサイクル装置2Aの作動流体を循環させるポンプ25A(第1回動ユニット、第1流体ユニット)と、ポンプ25Aから圧送された後に、蒸発器22で加熱されて気化した作動流体の膨張によって回転駆動力を発生する膨張機23(第2回動ユニット、第2流体ユニット)とが共通の回転軸28によって駆動される流体機械であり、回転軸28とエンジン10のクランクシャフト10aとの間での動力伝達を行う伝達機構3(動力伝達ユニット)を備えている。
【0021】
ポンプ一体型膨張機29Aの膨張機23の部分(膨張ユニット50)は、ポンプ一体型膨張機29Aの軸方向の一端部に配置される固定スクロール51と、旋回スクロール(回転体)52と、スクロール収容空間53を形成するケーシング部材54とを備える。
固定スクロール51は、円盤状の本体部51aと、本体部51aの一端面にリブ状に立設したスクロール部(渦巻き体)51bと、本体部51aの軸心付近に貫通形成した作動流体の導入口51cとを有する。
【0022】
ケーシング部材54は、両端開放の筒状に形成され、その内側に、固定スクロール51の本体部51aの外周に嵌合する大内径部54aと、ポンプ25A側の部材が内部に嵌合する小内径部54bとを有し、大内径部54aが囲む空間が、スクロール収容空間53となる。
尚、大内径部54aに嵌合する本体部51aの外周部に溝91を設け、この溝91にOリング(シール部材)92を装着してあり、このOリング92によってケーシング部材54と固定スクロール51との間の嵌合隙間を密封し、作動流体の漏れを抑制している。嵌合箇所からの作動流体の漏れを抑制するためのシール部材としては、Oリング92の他、例えばリップパッキンなどを用いることができ、後述するOリングについてもリップパッキンなどへの変更が可能である。
【0023】
旋回スクロール52は、円盤状の本体部52aと、本体部52aの一端面にリブ状に立設したスクロール部(渦巻き体)52bとを有する。
ここで、本体部52aのスクロール部52bを形成した端面の反対面と、前記ケーシング部材54の大内径部54aから小内径部54bに至る段差部54cとの間にボールカップリング55を介装してあり、旋回スクロール52は、ボールカップリング55(自転阻止機構)によって、自転が防止されながら作動流体の膨張に伴って旋回運動を行う。
【0024】
旋回スクロール52の本体部52aのボールカップリング55側の端面には、ドライブベアリング56を設けてあり、このドライブベアリング56に嵌合する偏心ブッシュ83を介して、旋回スクロール52の回転軸28回りの旋回運動を、回転軸28の回転駆動力として伝達する。
ポンプ一体型膨張機29Aのポンプ25A(ポンプユニット60)として、本実施形態では、ギヤポンプ61を採用する。ギヤポンプ61は、回転軸28に軸支した駆動歯車(回転体)62と、回転軸28と平行に回転可能に支持した従動軸63と、従動軸63に軸支され駆動歯車62に噛み合う従動歯車64と、駆動歯車62及び従動歯車64を収容するケーシング部材65とを有する。
【0025】
尚、本実施形態では、ポンプ25Aとしてギヤポンプ61を採用したが、ベーンポンプなどを用いることができ、ポンプ25Aをギヤポンプ61に限定するものではない。
ケーシング部材65は、駆動歯車62及び従動歯車64の収容空間68を凹陥形成したプーリ31側の第1ケーシング部材65aと、第1ケーシング部材65aに接合して収容空間68を閉塞する膨張機23側の第2ケーシング部材65bとからなる。
【0026】
第1ケーシング部材65a及び第2ケーシング部材65bは、ギヤポンプ61の従動軸63を、軸方向に収容空間68を横断するように回転可能に支持する。
第2ケーシング部材65bの膨張ユニット50側には、ケーシング部材54の小内径部54bの内側に嵌合する筒状部(嵌挿部)65cを一体的に形成してあり、該筒状部65cの内部には、回転軸28の大径部28aを支持するボールベアリング66aを設けてある。
【0027】
尚、筒状部65cの外周に設けた溝93にOリング(シール部材)94を装着してあり、このOリング94によって嵌合隙間を密封し、作動流体の漏れを抑制している。
また、駆動歯車62を挟んで両側に、回転軸28とケーシング部材65との隙間を介して作動流体が漏れることを阻止するための軸シール67a,67bを配置してある。
【0028】
第1ケーシング部材65aを貫通して外部に延設した回転軸28には、伝達機構3を構成するプーリ31と電磁クラッチ34とを配置してある。
第1ケーシング部材65aの膨張ユニット50側とは反対側の端面には、回転軸28を内包する筒状部65dを一体的に形成してある。この筒状部65の内側の先端側に前記ボールベアリング66aと共に回転軸28を支持するボールベアリング66bを配置し、筒状部65dの底部側(膨張ユニット50側)には、前記軸シール67aを配置してある。
そして、筒状部65dから突き出た回転軸28の先端にクラッチ板71を取り付け、また、筒状部65dの外周に、ベアリング72を介してプーリ31を回転可能に取り付けてある。
【0029】
更に、プーリ31の膨張ユニット50側の端面に形成した、回転軸28を中心とする環状の溝31aにクラッチコイル73を収容してあり、電磁クラッチ34は、上記のクラッチ板71、クラッチコイル73で構成される。
係る構成において、クラッチコイル73に通電すると、磁気吸引力が発生することでクラッチ板71がプーリ31に接触し、プーリ31とクラッチ板71(回転軸28)とが連動するようになり、結果、ポンプ一体型膨張機29A(回転軸28)とエンジン10(クランクシャフト10a)との間で動力の伝達が行われるようになる。
【0030】
また、第2ケーシング部材65bを貫通して膨張機23側に延びる回転軸(主軸)28に対し、従動クランク機構81を介して旋回スクロール(回転体)52を連結してある。
従動クランク機構81は、回転軸(主軸)28の大径部28aに設けたフランジ部28c(大径部)の端面に、回転軸28と平行にかつ回転軸28に対して軸心をずらして立設したクランクピン82と、クランクピン82が嵌合するクランクピン孔83aを備え、旋回スクロール(回転体)52に設けたドライブベアリング(軸受)56に保持される偏心ブッシュ83とを有し、偏心ブッシュ83は、クランクピン82に対し揺動可能に挿入され、クランクピン82の旋回運動が、そのまま偏心ブッシュ83の旋回運動(公転運動)になる構成である。
尚、偏心ブッシュ83にクランクピンを立設する一方、この偏心ブッシュ83に設けたクランクピンが嵌合するクランクピン孔を、回転軸28の大径部28aに設けることができる。
【0031】
また、偏心ブッシュ83及び旋回スクロール52とのバランスを取り、膨張機23の振動発生を抑制するためのカウンタウェイト(バランスウェイト)84を、偏心ブッシュ83に対して例えばリベットのかしめによって固定してある。
更に、旋回スクロール52の旋回半径を規制するために、回転軸28のフランジ部28cに規制用孔28dを設けると共に、規制用孔28dに嵌合する規制用突起83bを偏心ブッシュ83に設けてあり、規制用孔28dと規制用突起83bとの係合によって、クランクピン82回りの偏心ブッシュ83の揺動を規制している。
【0032】
上記のように、ポンプユニット60においては、筐体(第1筐体)としてのケーシング部材65が、ギヤポンプ61(第1回動ユニット)、回転軸28及び従動クランク機構81を支持し、膨張ユニット50においては、本体部51a及びケーシング部材54からなる筐体(第2筐体)が、固定スクロール51及び旋回スクロール52からなる膨張機23(第2回動ユニット)を支持する。
そして、ポンプユニット60と膨張ユニット50とは、ポンプユニット60側の筒状部(嵌挿部)65cと、膨張ユニット50側の小内径部54bとを嵌合することで、一体化してポンプ一体型膨張機29A(流体機械)を構成する。
【0033】
換言すれば、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)は、図3に示すように、ポンプユニット60側の筒状部(嵌挿部)65cと、膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合部分で分離し、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56から引き抜くようにすると、ポンプユニット60と膨張ユニット50とに分割できる。
また、膨張ユニット50側の小内径部54bにポンプユニット60側の筒状部(嵌挿部)65cを嵌合しつつ、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に嵌合させることで、ポンプユニット60と膨張ユニット50とが回転軸28で連結されて一体化し、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)として機能するようになる。
【0034】
更に、図3に示すように、偏心ブッシュ83の膨張ユニット50側の先端から、筒状部(嵌挿部)65cに装着したOリング(シール部材)94までの軸方向における距離をA、ケーシング部材54(第2筐体)のポンプユニット60側の開放端から旋回スクロール(回転体)52に設けたドライブベアリング(軸受)56の開口縁までの軸方向における距離をB、偏心ブッシュ83の膨張ユニット50側の先端から筒状部(嵌挿部)65cの先端までの軸方向における距離をCとしたときに、A>B>Cを満たすように、各部品の寸法を設定してある。
【0035】
上記のポンプ一体型膨張機29A(流体機械)によると、ポンプユニット60(ポンプ25A)と膨張ユニット50(膨張機23)とに分割できるから、ポンプ25Aの作動評価(性能試験)と、膨張機23の作動評価(性能試験)とを個別に行える。
従って、例えば、無負荷時の膨張機23のトルク測定を、ポンプユニット60から分離させた膨張ユニット50単体で行えば、トルクの測定精度が向上する。
また、ポンプ一体型膨張機29Aに不具合が発生したときに、個別に作動評価を行うことで、ポンプユニット60と膨張ユニット50とのいずれの側に不具合があるのかを特定できるから、例えば、不具合が発生しているユニットのみを交換することが可能で、ポンプ一体型膨張機29Aの生産効率及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0036】
また、例えば、回転軸28の途中に設けた継手部分で、ポンプユニット60と膨張ユニット50とを分離させる場合、膨張ユニット50側にも回転軸28の軸受を設ける必要が生じ、これによって、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)の軸方向長さが長くなり、また、部品点数や加工,組み立て工数が増大して生産コストが高くなる。
これに対し、上記のポンプ一体型膨張機29Aでは、従動クランク機構81及び回転軸28(主軸)を含むポンプユニット60と、膨張ユニット50とに分割できるので、分離される膨張ユニット50側には、回転軸28(主軸)を軸支する軸受は不要である。
従って、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)の軸方向長さを短くでき、また、部品点数や加工,組み立て工数を低下させて、生産コストを低く抑えることができる。
【0037】
また、上記のポンプ一体型膨張機29Aにおいて、距離A,B,Cが、A>B>Cの関係を満たすようにすることで、ポンプユニット60と膨張ユニット50とを一体化させる組み立て工程における作業性を向上させることができる。
即ち、A>B>Cを満たすポンプ一体型膨張機29Aでは、B>Cであるから、ポンプユニット60と膨張ユニット50とを一体化させるときに、偏心ブッシュ83のドライブベアリング56に対する嵌合が開始される前に、ポンプユニット60側の筒状部(嵌挿部)65cと膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合が開始されることになる。
従って、膨張ユニット50に対するポンプユニット60の径方向の位置が確定した状態で、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56との位置合わせを行えばよく、ポンプユニット60側の筒状部65cを膨張ユニット50側の小内径部54bに対して回転させると、回転軸28(主軸)に対する偏心ブッシュ83bの旋回半径が変化し、その結果、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に対して容易に嵌合させることができる。
【0038】
これに対し、ポンプユニット60側の筒状部(嵌挿部)65cと膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合よりも前に、偏心ブッシュ83のドライブベアリング56に対する嵌合が開始されるように設定される場合、即ち、B<Cである場合、膨張ユニット50とポンプユニット60との芯合わせをしながら、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56との位置合わせをする必要がある。このため、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に対して嵌合させる作業が難しくなる。
ここで、旋回スクロール52の旋回半径と、従動クランク機構81における旋回半径とのずれは、規制用突起83bと規制用孔28dとの隙間(ガタ)と、クランクピン82に対する偏心ブッシュ83の回動とによって発生する旋回半径の許容幅によって吸収される。
尚、上記のように、本実施形態では、クランクピン82に対する偏心ブッシュ83の回動、及び、規制用突起83bと規制用孔28dとのガタによって、旋回スクロール52の旋回半径と、従動クランク機構81における旋回半径とのずれを吸収しているが、クランクピン82と偏心ブッシュ83に設けたクランクピン孔83aとが共に矩形状で、クランクピン82に対して偏心ブッシュ83が径方向にスライド可能に挿入されることによって、旋回半径のずれを吸収するスライダ式従動クランク機構であってもよい(例えば、特開2006−342793号の図6参照)。
【0039】
また、上記のポンプ一体型膨張機29Aでは、B>Cであって、かつ、A>Bであるから、ポンプユニット60と膨張ユニット50とを一体化させるときに、偏心ブッシュ83がドライブベアリング56に対して嵌合し始めてから、その後に、Oリング94が小内径部54bに嵌合し始めることになる。
従って、Oリング94と小内径部54bとの嵌合によって、ポンプユニット60と膨張ユニット50との間での相対的な動きが制限されるようになる前に、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56とを位置合わせすることができ、位置合わせを容易に行える。
【0040】
これに対し、偏心ブッシュ83がドライブベアリング56に対して嵌合し始める前に、Oリング94が小内径部54bに嵌合し始める場合、即ち、B>Aである場合は、膨張ユニット50に対してポンプユニット60を動かし難くなり、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56との位置合わせが難しくなる。
このように、A>B>Cを満たす上記のポンプ一体型膨張機29Aでは、ポンプユニット60と膨張ユニット50とを一体化させるときに、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に対して容易に嵌合でき、一体化の作業性を向上させることができる。
【0041】
次に、本願発明の第2実施形態を示す。
図4は、第2実施形態において、本発明に係る流体機械を組み込む廃熱利用装置1Bの構成を示している。
前述した第1実施形態の廃熱利用装置1Aは、ポンプ一体型膨張機29A(流体機械)を用い、膨張機23が発生する駆動力で、ランキンサイクル装置2Aの作動流体(冷媒)を循環させるポンプ25Aを駆動し、かつ、膨張機23が発生する駆動力で、エンジン10の出力をアシストする廃熱利用装置とした。
【0042】
これに対し、図4に示す第2実施形態の廃熱利用装置1Bは、膨張機23が発生する駆動力で発電機101を駆動することで、エンジン10の廃熱を電気エネルギーに変換して利用する装置である。尚、図4においては、図1と同一要素には同一符号を付してあり、同一要素の機能は、第1実施形態と同様であるものとする。
図4において、廃熱利用装置1Bは、ランキンサイクル装置2Bと、ランキンサイクル装置2Bの出力で駆動される発電機101と、制御ユニット4と、を備えている。
【0043】
ランキンサイクル装置2Bは、作動流体(冷媒)を循環させる循環路21を備え、この循環路21に、作動流体の流れ方向に沿って、蒸発器22、膨張機23、凝縮器24及びポンプ25Bをこの順に配置してある。
蒸発器22は、エンジン10の冷却水循環路11内の高温の冷却水(又は、エンジン10の排気)と、ランキンサイクル装置2Bの作動流体との間で熱交換を行わせることによって、ランキンサイクル装置2Bの作動流体を加熱して蒸発(気化)させる。
【0044】
膨張機23は、蒸発器22で気化し蒸気となった作動流体を膨張させることで、駆動力を発生するスクロール型の膨張機である。
凝縮器24は、膨張機23を経由した作動流体と外気との間で熱交換を行わせることによって、作動流体を冷却して凝縮(液化)させる。
【0045】
ポンプ25Bは、例えば電動機からなる駆動ユニット201が駆動する電動式ポンプであり、凝縮器24で液化した作動流体を蒸発器22へと送出する。
尚、ポンプ25Bとしては、ギヤポンプやベーンポンプなどの公知のポンプを適宜採用できる。
また、電動式のポンプ25Bに代えて、エンジン10のクランクシャフトで駆動される機械式ポンプを設け、エンジン10からの機械式ポンプへの動力伝達を、第1実施形態と同様に、電磁クラッチなどで制御することができる。
【0046】
制御ユニット4は、ポンプ25Bの駆動/停止を制御する装置であり、ポンプ25Bが、電動機(モータ)からなる駆動ユニット201で駆動される電動式ポンプであれば、電動機に対する通電を制御することで、ポンプ25Bの駆動/停止を制御する。また、エンジン10で駆動される機械式ポンプを用いる場合には、制御ユニット4は、エンジン10からの駆動力を機械式ポンプに伝達する伝達機構に組み込まれる電磁クラッチのオン/オフを制御することで、ポンプの駆動/停止を制御する。
【0047】
ここで、膨張機23と発電機101とを、回転軸28で連結して一体化することで、発電機一体型膨張機29B(流体機械)としてある。即ち、発電機一体型膨張機29Bの回転軸28は、膨張機23の出力軸としての機能及び発電機101の入力軸として機能を有する。
そして、ランキンサイクル装置2Bは、ポンプ25Bによる作動流体の循環を開始することで起動し、その後、膨張機23(発電機一体型膨張機29Bにおける膨張ユニット)が駆動力を発生するようになると、膨張機23が出力する駆動力によって発電機101が駆動され、発電機101が発電する。
【0048】
発電機101は、発電した電力を負荷301に供給する。負荷301は、車載のバッテリや車両の駆動力(エンジン10のアシスト力)を発生する電動機(モータ)などであり、廃熱利用装置1Bは、エンジン10の廃熱を電気エネルギーに変換して利用する装置である。
尚、膨張機23を迂回して作動流体を循環させるバイパス路、及び、当該バイパス路を開閉するバイパス弁を備えることができる。
【0049】
次に、発電機一体型膨張機29B(流体機械)の構造を、図5及び図6に基づき詳細に説明する。
発電機一体型膨張機29Bの膨張機23の部分(膨張ユニット50)は、第1実施形態と同様に、発電機一体型膨張機29Bの軸方向の一端部に配置される固定スクロール51と、旋回スクロール(回転体)52と、スクロール収容空間53を形成するケーシング部材54とを備える。
【0050】
一方、発電機一体型膨張機29Bの発電機101の部分(発電ユニット121)は、発電機101と、発電機101を支持するケーシング部材110とを有する。
発電機101は、ケーシング部材110内に延設される回転軸28の部分に固定した、例えば永久磁石からなる回転子102と、回転子102を囲むようにケーシング部材110の内周面に固定したステータ103とを備える。
ステータ103は、ヨーク103aと、ヨーク103aに巻回した例えば3組のコイル103bとを有する。コイル103bは、回転子102の回転に伴って3相の交流電流を発生し、当該交流電流を外部の負荷301に供給する。
尚、発電ユニット121は、直流発電機であってもよい。
【0051】
ケーシング部材110は、回転子102、ステータ103などの収容する空間110cを形成する有底筒状の第1ケーシング部材110aと、第1ケーシング部材65aに接合して空間110cを閉塞する第2ケーシング部材110bとからなる。
第2ケーシング部材110bの膨張ユニット50側には、膨張ユニット50のケーシング部材54の小内径部54bの内側に嵌合する筒状部(嵌挿部)110dを一体的に形成してあり、該筒状部110dの内部には、回転軸28の大径部28aを支持するボールベアリング66aを設けてある。
【0052】
また、筒状部110dの外周に設けた溝110eにOリング(シール部材)120を装着してあり、このOリング120によって嵌合隙間を密封し、作動流体の漏れを抑制している。
更に、第1ケーシング部材110aの底部には、回転軸28の端部を回転可能に支持するボールベアリング122を配置し、第2ケーシング部材110bの回転軸28が挿通される貫通孔110fの発電機101側の端部には、軸シール123を配置してある。
また、回転軸(主軸)28に対し従動クランク機構81を介して旋回スクロール(回転体)52を連結してある。
【0053】
従動クランク機構81は、第1実施形態と同様に、回転軸(主軸)28の大径部28aに設けたフランジ部28c(大径部)の端面に、回転軸28と平行にかつ回転軸28に対して軸心をずらして立設したクランクピン82と、クランクピン82が嵌合するクランクピン孔83aを備え、旋回スクロール(回転体)52に設けたドライブベアリング(軸受)56に保持される偏心ブッシュ83とを有し、偏心ブッシュ83はクランクピン82に対し揺動可能に挿入される。
尚、偏心ブッシュ83にクランクピンを立設する一方、この偏心ブッシュ83に設けたクランクピンが嵌合するクランクピン孔を、回転軸28の大径部28aに設けることができる。
更に、カウンタウェイト(バランスウェイト)84を、偏心ブッシュ83に対して例えばリベットのかしめによって固定してあり、また、回転軸28のフランジ部28cに規制用孔28dを設けると共に、規制用孔28dに嵌合する規制用突起83bを偏心ブッシュ83に設けてある。
【0054】
上記のように、発電ユニット121においては、筐体(第1筐体)としてのケーシング部材110が、発電機101(第1回動ユニット)、回転軸28及び従動クランク機構81を支持し、膨張ユニット50においては、本体部51a及びケーシング部材54からなる筐体(第2筐体)が、固定スクロール51及び旋回スクロール52からなる膨張機23(第2回動ユニット)を支持する。
そして、発電ユニット121と膨張ユニット50とは、発電ユニット121側の筒状部(嵌挿部)110dと、膨張ユニット50側の小内径部54bとを嵌合することで、回転軸28を介して連結され一体化し、発電機一体型膨張機29B(流体機械)を構成する。
【0055】
換言すれば、発電機一体型膨張機29B(流体機械)は、図6に示すように、発電ユニット121側の筒状部(嵌挿部)110dと、膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合部分で分離し、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56から引き抜くようにすると、発電ユニット121と膨張ユニット50とに分割できる。
また、膨張ユニット50側の小内径部54bに発電ユニット121側の筒状部(嵌挿部)110dを嵌合しつつ、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に嵌合させることで、発電ユニット121と膨張ユニット50とが回転軸28で連結して一体化し、発電機一体型膨張機29B(流体機械)として機能する。
【0056】
更に、図6に示すように、偏心ブッシュ83の膨張ユニット50側の先端から、筒状部(嵌挿部)110dに装着したOリング(シール部材)120までの軸方向における距離をA、ケーシング部材54(第2筐体)の発電ユニット121側の開放端から旋回スクロール(回転体)52に設けたドライブベアリング(軸受)56の開口縁までの軸方向における距離をB、偏心ブッシュ83の膨張ユニット50側の先端から筒状部(嵌挿部)110dの先端までの軸方向における距離をCとしたときに、A>B>Cを満たすように、各部品の寸法を設定してある。
【0057】
上記の発電機一体型膨張機29B(流体機械)によると、第1実施形態におけるポンプ一体型膨張機29A(流体機械)と略同様な作用、効果を奏する。
即ち、発電ユニット121と膨張ユニット50とに分割できるから、発電機101の作動評価(性能試験)と、膨張機23の作動評価(性能試験)とを個別に行え、また、発電機一体型膨張機29Bに不具合が発生したときに、発電ユニット121と膨張ユニット50とのいずれの側に不具合があるのかを特定できる。
【0058】
また、旋回スクロール52の旋回半径と、従動クランク機構81における旋回半径とのずれは、規制用突起83bと規制用孔28dとの隙間(ガタ)と、クランクピン82に対する偏心ブッシュ83の揺動とによって発生する旋回半径の許容幅によって吸収できる。尚、第1実施形態と同様に、旋回半径のずれを吸収するスライダ式従動クランク機構を採用できる。
また、上記の発電機一体型膨張機29Bでは、従動クランク機構81及び回転軸28(主軸)を含む発電ユニッ121と、膨張ユニット50とに分割できるので、分離される膨張ユニット50側には、回転軸28(主軸)を軸支する軸受は不要である。
従って、発電機一体型膨張機29B(流体機械)の軸方向長さが短くでき、また、部品点数や加工,組み立て工数が低下させて、生産コストが低く抑えることができる。
【0059】
また、上記の発電機一体型膨張機29Bにおいて、距離A,B,Cが、A>B>Cの関係を満たすようにすることで、発電機ユニット121と膨張ユニット50とを一体化させる組み立て工程における作業性を向上させることができる。
即ち、A>B>Cを満たす発電機一体型膨張機29Bでは、発電ユニット121と膨張ユニット50とを一体化させるときに、偏心ブッシュ83のドライブベアリング56に対する嵌合が開始される前に、発電ユニット121側の筒状部(嵌挿部)110dと膨張ユニット50側の小内径部54bとの嵌合が開始されることになる。
【0060】
従って、膨張ユニット50に対する発電ユニット121の径方向の位置が確定した状態で、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56との位置合わせを行えばよく、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に対して容易に嵌合させることができる。
また、A>B>Cを満たす上記の発電機一体型膨張機29Bでは、発電ユニット121と膨張ユニット50とを一体化させるときに、偏心ブッシュ83がドライブベアリング56に対して嵌合し始めてから、その後に、Oリング120が小内径部54bに嵌合し始めることになる。
【0061】
従って、Oリング120と小内径部54bとの嵌合によって、発電ユニット121と膨張ユニット50との間での相対的な動きが制限されるようになる前に、偏心ブッシュ83とドライブベアリング56とを位置合わせすることができ、位置合わせを容易に行える。
このように、A>B>Cを満たす上記の発電機一体型膨張機29Bでは、偏心ブッシュ83をドライブベアリング56に対して容易に嵌合でき、発電ユニット121と膨張ユニット50とを一体化させる作業における作業性が向上する。
【0062】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、スクロール型の膨張ユニットと、発電ユニットと、ポンプユニットとを、共通の回転軸で連結して一体的に備える流体機械であってもよく、更に、発電ユニットは、発電機能と共にモータ機能を有するモータジェネレータであってもよい。
【0063】
また、主軸に対して従動クランク機構を介して連結される回転体を備えた第2回動ユニットは、スクロール型膨張機に限定されず、スクロール型圧縮機であってもよい。更に、第2回動ユニットにおける回転体は、旋回スクロール(揺動スクロール)に限定されず、偏心回転式ピストンなどであってもよい。
例えば、特開2011−032958号公報に開示されるような偏心回転式ピストン機構を有する圧縮機(圧縮機ユニット;第2回動ユニット)と、モータ(電動機ユニット;第2回動ユニット)とを一体的に備える流体機械において、本願発明に係る分割構造を適用でき、この場合、偏心回転式のピストンが、主軸に対して従動クランク機構を介して連結される回転体となる。
【符号の説明】
【0064】
1A,1B…廃熱利用装置、2A,2B…ランキンサイクル装置、10…エンジン、21…循環路、22…蒸発器、23…膨張機(第2回動ユニット)、24…凝縮器、25A…ポンプ(第1回動ユニット)、25B…ポンプ、28…回転軸(主軸)、28a…大径部、28c…フランジ部28c、29A…ポンプ一体型膨張機(流体機械)、29B…発電機一体型膨張機(流体機械)、50…膨張ユニット、51…固定スクロール、51a…本体部(第2筐体)、52…旋回スクロール(回転体)、54…ケーシング部材(第2筐体)、60…ポンプユニット、65…ケーシング部材(第1筐体)、65c,110d…筒状部(嵌挿部)、81…従動クランク機構、82…クランクピン、83…偏心ブッシュ、83a…クランクピン孔、94,120…Oリング(シール部材)、101…発電機、121…発電ユニット(第1回動ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸回りに回動する第1回動ユニットと、
固定スクロール、旋回スクロール、自転阻止機構を備えた第2回動ユニットと、
前記主軸と前記旋回スクロールとの間に介在し、前記主軸の回転運動と前記旋回スクロールの旋回運動との間の変換を行うと共に、前記旋回スクロールの旋回半径が可変可能な従動クランク機構と、を備え、
第1筐体に、前記第1回動ユニットを支持すると共に前記主軸を介して前記従動クランク機構を支持し、
第2筐体に、前記第2回動ユニットを支持し、
前記第1筐体と前記第2筐体とを分割可能とした、流体機械。
【請求項2】
前記従動クランク機構が、
前記主軸の大径部に対して偏心して設けたクランクピンと、
前記クランクピンに対して揺動可能に挿入され、前記旋回スクロールに設けた軸受に保持される偏心ブッシュと、からなり、
前記第1筐体が、前記主軸の大径部を支持する軸受を備える、請求項1記載の流体機械。
【請求項3】
前記第2筐体の開放端の内側に前記第1筐体の嵌挿部の外周が嵌合して、前記第1筐体と前記第2筐体とが結合され、かつ、前記第1筐体の嵌挿部の外周に設けたシール部材によって、前記第1筐体と前記第2筐体との間の嵌合隙間を密封する一方、
前記偏心ブッシュの先端から前記シール部材までの軸方向における距離をA、前記第2筐体の開放端縁から前記旋回スクロールの軸受の開口端縁までの軸方向における距離をB、前記偏心ブッシュの先端から前記第1筐体の嵌挿部の先端までの軸方向における距離をCとしたときに、A>B>Cを満たす、請求項2記載の流体機械。
【請求項4】
前記第2回動ユニットがスクロール型の膨張機であり、前記第1回動ユニットがポンプユニットである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の流体機械。
【請求項5】
前記第2回動ユニットがスクロール型の膨張機であり、前記第1回動ユニットが発電ユニットである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の流体機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−2290(P2013−2290A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131025(P2011−131025)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】