説明

流体混合の方法及び装置

本発明は、流体を液状媒体と混合するための方法及び装置に関する。特に本発明は、処理中に利用可能ないずれかの流体を駆動流体として使用するタービン47を少なくとも部分的に使用して駆動される回転可能なミキサ・ロータ20によって流体が液状媒体と混合される方法及び装置を開示する。ミキサ40は、ミキサ・ロータを形成する混合要素44を備えたシャフト42と、これに装着されてタービン羽根車を形成するタービン羽根46とを有する。シャフト、要素、及び羽根は筐体48内に配置され、筐体48は混合要素のための混合室50及びタービン羽根のためのタービン室52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を液状媒体と混合するための方法及び装置に関する。特に本発明は、流体を液状媒体と混合する方法及び装置であって、ミキサ装置が必ずしも駆動モータを全く備えていなくてもよい、すなわちロータを駆動するために必要な動力の少なくとも一部が、ミキサのロータを回転させるように流体を使用することによって構成された方法及び装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の混合デバイスの大多数は、動く部分のない静力学的ミキサ、或いは混合室内で回転するロータを有する動力学的ミキサであって、ロータが通常は電気モータである駆動ユニットによって駆動される動力学的ミキサのいずれかである。駆動ユニットを持たないような動力学的混合デバイスがその時々に市場に現われる。そのようなデバイスの使用を可能にしているものは、時に、混合室に進入する媒体の運動エネルギーが、特別に設計されたロータによって、ミキサ・ロータを回転させるように利用されることにある。
【0003】
このような混合デバイスの例が、米国特許第6,193,406B1号に開示されている。この米国特許は、木材加工産業において、液体及び気体の双方、又は流れである異なる化学薬品をパルプ懸濁液中に混合するための方法及び装置を検討している。この特許による方法及び装置では、パルプ懸濁液と流体状媒体がミキサ・ケーシングに供給され、自由に回転可能なミキサ・ロータによってそこで混合され、ケーシングから除去される。混合羽根を備えた自由に回転可能なミキサ・ロータがケーシング内に設置され、ロータの混合羽根と接触しているパルプ懸濁液の入来する流れによって回転させられる。流体状媒体、すなわち繊維懸濁液と混合される媒体がミキサ・ケーシングの上流で、又は直接ミキサ・ケーシングに、回転するロータの有効領域内でパルプ流内に導入される。そのため、ミキサ・ロータ及び混合室の双方は、混合室に進入する繊維懸濁液がロータを回転させるように設計されている。すなわち混合機能は、回転機能と同時に、且つ同じキャビティにおいて行われる。
【0004】
しかし、2つ以上の媒体の混合と同じキャビティ内にロータの回転を構成することは問題を招く。なぜなら、混合機能によってキャビティに対して設定される要件は、回転機能によって設定される要件とは異なるからである。ロータの回転は、可能な限り低いエネルギーの使用によって作用されなければならないため、また混合は可能な限り効率的に行われなければならないため、双方の任務の要件を同時に果たすことが可能な装置を開発することは現実的には不可能である。
【0005】
このタイプのミキサの他の問題は、気体状物質が液体との混合を意図された時に現われる。通常、気体と液体を混合する際、ロータは、ロータが混合室の中央での気体の蓄積を防止するように設計されなければならない。これは、半径方向の強力な流れ成分が作られるように、混合室内に強い乱流場を作用するようにロータを構成することによって達成される。しかし、上述の機能を実施可能にするためには、ロータ羽根の設計は、ロータを回転させる観点において理想とはほど遠いものとなる。そのため、ロータ羽根の主な任務がロータを回転させることであれば、ロータ羽根の設計は、それらの羽根が作り出せる半径方向の力場が実質的に弱く、これが、ロータが少なくとも部分的に気泡内で回転することをもたらし、且つその結果、ロータが気体状物質を効率的に液体中に混合することができなくなるようなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,193,406B1号
【特許文献2】欧州特許第0664150B1号
【特許文献3】欧州特許第1755774B1号
【特許文献4】欧州特許第1755774A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明の目的は、従来技術の混合デバイスの問題の少なくともいくつかを克服すること、及び一方では混合機能によって、他方ではタービン機能すなわち回転機能によって設定される異なる要件に適合するように設計可能な動力学的ミキサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、ミキサ・ロータを回転させるため、及び媒体を混合するための異なる室を有する新規な動力学的混合デバイスによって達成することができる。
【0009】
従って上記目的は、媒体のための入口開口部を備えた入口チャネルと、前記媒体及び前記流体の混合物のための出口開口部を備えた出口チャネルと、前記両チャネル間の混合室と、混合室内に配列されたシャフトを有するミキサ・ロータとを含む筐体を有する装置において流体を媒体中に混合する方法によって達成することができ、この方法は、前記流体及び前記媒体を前記混合室内に導入するステップと、前記流体を前記媒体中に混合するための前記混合室内で前記ミキサ・ロータを回転させるステップとを含み、またこの方法はさらに、
タービン室を前記混合室と動作可能に連絡するように配置するステップと、
タービン羽根車を前記タービン室内に配置するステップと、
前記タービン羽根車を前記ミキサ・ロータと動作可能に接続するステップと、
前記タービン羽根車を回転させるように前記タービン室内に駆動流体を導入するステップと
を含み、それによってタービン羽根車の回転がミキサ・ロータに回転を与え、前記媒体中への流体の混合に影響を与えるようになされている。
【0010】
上記目的は、媒体中に流体を混合するための装置によっても達成することができ、前記装置は、媒体のための入口開口部を備えた前記媒体のための入口チャネルと、前記媒体及び前記流体の混合物のための出口開口部を備えた出口チャネルと、前記両チャネルの間の混合室と、前記混合室内のミキサ・ロータとを含む筐体を有し、またこの装置は、前記混合室と動作可能に連絡するように構成されたタービン室を含み、このタービン室は、駆動流体のための入口導管及び出口導管を有し、タービン羽根車が、前記タービン室内に回転可能に配列され、前記ミキサ・ロータと動作可能に接続される。
【0011】
本発明の方法及び装置の他の特徴的な構成は、従属する特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0012】
本発明による方法及び装置は、添付の図面を参照して例として以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術の混合デバイスを示す図である。
【図2】ロータ・シャフトの軸線に沿った断面として本発明の第1の好ましい実施例を示す図である。
【図3】図2の線A−Aに沿って切断された本発明の第1の好ましい実施例を示す図である。
【図4】図2の線B−Bに沿って切断された本発明の第1の好ましい実施例を示す図である。
【図5】本発明の第2の好ましい実施例の部分断面図である。
【図6】本発明の第3の好ましい実施例の部分断面図である。
【図7】混合デバイスの軸線に沿って切断された本発明の第4の好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、従来技術による、すなわち米国特許第6,193,406号による装置を示している。この装置は筐体(ケーシング)10を含み、この筐体10は、その最も簡略化された形態では媒体の流れの方向において円筒形であるが、ロータ軸線の方向において円筒形であってもよい。筐体10には、フランジ14及び18をそれぞれ有する入口12及び出口16が設けられ、出口は、好ましくはロータの回転方向に対して接線方向になっており、ロータ20が筐体10内に回転可能に配置されている。ミキサは、いわゆる入口配管、すなわち入来する繊維懸濁液の流れチャネルにそのフランジ14によって、且つ、いわゆる出口配管、すなわちミキサから排出される繊維懸濁液の流れチャネルにそのフランジ18によってそれぞれ装着されている。ロータ20はベアリング上で筐体10の壁に搭載されたシャフト22から形成され、このシャフトは、好ましくは筐体10の軸線Xに垂直になっている。少なくとも2つの羽根24がシャフト22の端部に装着され、またシャフト22は筐体10の内部に延びており、それによって、羽根24が回転するとロータ20の中心に解放空間が残る。ここではロータに5つの羽根24が設けられ、それらは断面が実質的に長方形であり、また断面の主要軸線は放射状である。しかし、羽根の形状に関して最も基本的なことは、この形状がロータを回転させ、同様に所望の混合効果ももたらすことである。筐体には、懸濁液の流れに適切な混合効果をもたらす渦流をロータ20とともに引き起こすリブ26及び28が設けられていてもよい。リブ26は、リブ26が入口12から筐体10への中央ではない軸流を差し向け、それによってロータ20の回転を確実にするように入口12と連絡して配列されている。すなわち、傾斜誘導部材に加えて、図1のように、リブ26は、例えば流れの経路の軸線に垂直に配置されて流れの経路の一部を覆う板であってもよい。最も基本的なことは、この部材がチャネルの軸線から流れの質量中心をそらせることである。図1は、ミキサ筐体に制御バルブ30が、ミキサの不可欠な部分として、又は代わりにミキサ・フランジ14と接続されて配列されているかのいずれで、どのように設けられるかをさらに示している。バルブ30の1つの任務は流れを自然に制御することであり、したがってロータ20をバルブ30の近くに位置させることがバルブ30の動作にも寄与し、これは、繊維がゲート又は他のバルブ部材に付着できなくすることを可能にし、それによってバルブ開口部32を徐々に詰まらせることを不可能にする。バルブ30の他の任務は、ミキサに基本的なもの、すなわち流れをミキサ筐体10内の入口の側壁に沿って方向付けることである。最後に、図1は、化学薬品、希釈液、水蒸気、又は他の材料を流れに追加するための導管34、34’をミキサ筐体10又は入口配管のいずれかにどのように設けてよいかも示している。
【0015】
図2は、ミキサ軸線に沿って切断された本発明の第1の好ましい実施例による動力学的ミキサ40を示している。ミキサ40は、混合要素44を備えた、ミキサ・ロータを形成するシャフト42と、これに装着された、タービン羽根車47を形成するタービン羽根46を有する。シャフト42、要素44、及び羽根46は、混合要素44のための混合室50及びタービン羽根46のためのタービン室52を有する筐体48内に配置されている。本実施例において、2つの室50及び52は、軸線方向に並んで配置されている。示された実施例において、筐体48には、混合室及びタービン室50及び52の外側面に、シャフト42のためのベアリング及びシーリング54’、54’’がそれぞれ設けられている。当然、もし必要であると考えられれば、混合室50とタービン室52との間に少なくともシーリングを配置することも可能である。ミキサ40が小型である場合、ベアリング及びシーリング54’を筐体48のみの一側面に(恐らくは図2のミキサ40内の筐体48の右側の側面に)配置することも可能である。
【0016】
本実施例においては、混合室50が丸い断面を有している。しかし、混合室の全般的形状は大幅に変更してもよい。混合室50は、円筒形でも、他の適切な形状であってもよい。非常に効率的な混合が必要ないくつかの場合、混合室並びに混合室内で回転しているロータは、筐体の中央を介して(ロータの軸線は水平且つ筐体の中央を介して延びている)引かれた垂直平面(いわゆる中心線平面)に関して対称であることが重要である。
【0017】
本実施例において、混合要素44は、シャフト42に装着された実質的に放射状のアーム56、及びアーム56の遠位端部に配置された実質的に軸線方向に延びる羽根58で形成されている。図2の実施例において、1つの羽根58につき1つのみのアーム56があり、アーム56は、好ましくは上記で定義した中心線平面の上方に位置決めされている。しかし、各羽根につき2つ以上のアームを配置することも可能である。アームの位置決めは、好ましくは、やはり上記で設定した指針に沿って対称なものである。アーム及び羽根の断面形状は自由に選択されてよい。例えば特許文献欧州特許第0664150B1号及び欧州特許第1755774B1号は、羽根の断面についてさらに詳細に検討している。羽根の構成は図2に示されたように真っすぐであってもよいが、同様に、欧州特許第1755774A1号で検討されているように湾曲した、又はシェブロン形状であってもよい。同様にシャフトは、(図2に示されたように)全長にわたって均一な直径を有してよく、又はシャフトの直径も同じく欧州特許第1755774A1号に示されたように変化してもよいかのいずれかである。
【0018】
図2は、混合室50の内部壁60に混合羽根58の端部のための窪み62がどのように設けられるかも示している。当然、同様に他の選択肢も存在する。羽根58は混合室50の内部壁60から適切な距離で終端していてよく、且つ/又は羽根58の端部は、短い距離において内部壁60の輪郭に追従するように形成されていてもよい。
【0019】
図2に示された実施例において、タービン室52は混合室の側部に位置しており、シャフト42に半径方向に近い実質的に狭い第1の部分52’と、シャフト42からさらに離れた環状で広い第2の部分52’’とで形成されている。ここで、第2の部分52’’は丸い断面を有する。タービン室52は、シャフト42に装着されたタービン羽根46を備えている。羽根46の形状は、当然ながら十分な動作クリアランスを保って第1及び第2の室部分52’、52’’の断面形状に従ったものである。
【0020】
図3は図2の線A−Aに沿って、すなわち筐体の中心線に沿って取られた断面を示している。図3は筐体48の反対側の長手方向端部にそれぞれ配列されたミキサ40の入口と出口のチャネル64及び66を示している。入口チャネル64は、処理流すなわち液状媒体をそれより前の処理工程から輸送する配管にミキサ40を装着するためのフランジ70によって取り囲まれた入口開口部68を有する。同様の形で、出口チャネル66は、処理流すなわち液状媒体とこれが混合された流体とをさらに工程中に取り出す配管にミキサ40を装着するためのフランジ74によって取り囲まれた出口開口部72を有する。図3の実施例において、混合室50はミキサ40の出口開口部72により近く位置決めされている。その理由は、筐体48が、その入口チャネル64において、入口チャネル64に沿って混合室50に流入する媒体と混合される流体のための少なくとも1つの入口開口部76を備えているからである。混合室50はこの断面においても同様に丸い形状を有し、これは、混合室が基本的にボールの形状であることを意味している。しかし、混合室の形状は本発明の働きには基本的なものではなく、したがって形状は所望のいずれか1つであってよい。本実施例において、ミキサ・ロータは4組の混合要素44を有する。しかし、要素の数は重要ではなく、混合される流体及び媒体の要求を満たすように自由に選択可能である。同様の形で、もし重要であると考えられるなら、混合室50の内部壁60は、渦流を増大させるために1つ又は複数のリブ又は他の要素を備えていてもよい。
【0021】
図4は、図2の線B−Bに部分的に沿って、且つ部分的に筐体の中心線に沿って切り取った断面を示している。すなわち、図4は、半径方向内側の部分52’及び半径方向外側の部分52’’を有するタービン室52の好ましい実施例の構造を詳細に示している。示されているように、タービン室52は、混合される流体のために、フランジ80から開始する入口導管78と、出口開口部76において終端する、混合室の入口チャネル64の壁内の出口導管82とを有する。混合室は、ミキサ・ロータがタービン羽根車と同じシャフト42に装着されるようにタービン室52の背後に位置決めされている。タービン室52は、本実施例では、8つの実質的に放射状のタービン羽根46を有するタービン羽根車を取り囲んでいる。羽根46の数並びに混合室と比較したタービン室52のサイズは、装置のサイズ、タービン羽根車を回転させる駆動流体の特性、タービンへの駆動流体の流れの量、流体が混合されることになる液状媒体の特性、並びに入来する駆動流体の流れの圧力及び速度に主として依存して、大幅に変化してもよい。入口導管及び出口導管それぞれ78及び82の双方は、好ましくは、タービン室52の外周に接線方向に、すなわち外側室部分52’’と流れが連絡して配列されており、そのため流れの運動エネルギーが可能な限り効果的に利用可能となる。同図の右手側は、混合室の軸線に沿った断面、又は出口導管82がミキサの入口チャネル64における開口部76において終端する部分についての入口チャネル64を示している。すなわち本実施例においては、開口部76は、駆動流体のための出口開口部、及び混合される流体のための入口開口部として同時に呼ばれ得る。
【0022】
本発明の第1の好ましい実施例によるミキサの動作は、図2、3及び4のミキサを参照してより詳細にここに説明される。この動作は、主流すなわち液状媒体と混合される流体が、混合室50内でミキサ・ロータを回転させるという思想に基づいている。所望の機能は、入口導管78に沿った駆動流体の流れを、流体の起動力がタービン羽根車をタービン室52内で回転させるようにタービン室内のタービン羽根車の羽根46へと方向付けることによって達成される。タービン羽根車及びミキサ・ロータの双方が同じシャフト42に結束されているか、又はギヤによって互いと動作可能な連絡状態に少なくとも配列されているため、タービン羽根車の回転がミキサ・ロータを回転させる。ミキサが所望の形で機能するためには、出口導管82における駆動流体及び入口チャネル64における液状媒体の速度及び圧力が、いくつかの要件を満たさなければならない。タービン室52内、及びより詳細にはその出口導管82に誘導される駆動流体の速度及び圧力の双方は、主流のそれらよりも大きなものでなければならない。どのくらい大きいかはいくつかの要因、すなわちほんのいくつかの要因を挙げれば、駆動流体及び媒体の密度、駆動流体及び液状媒体の粘度、主流(液状媒体)の量に関した駆動流体の量、所望の混合効率、ロータの回転の所望の速度に依存する。
【0023】
図5は、本発明の第2の好ましい実施例を示している。図4の実施例に対する大きな相違点はタービン室の入口導管及び出口導管それぞれ178及び182の配置である。図5の実施例において、入口導管178及び出口導管182は実質的に平行であり、それによって、入来する駆動流体は完全に180度にわたりタービン羽根車を効果的に回転させ、一方、図4の実施例において、対応する角度値は約140度である。当然、必要又は所望であれば、この角度値は、入口導管及び出口導管を互いにより近くに寄せることによって180度の値からさらに増加させることが可能である。
【0024】
図6は、本発明の第3の好ましい実施例、すなわち駆動流体を液状媒体の流れに導入するためのさらにもう1つの選択可能な配置を示している。処理の方法について本実施例は、図4及び5で検討されたものと同様である。唯一の例外は、今回、駆動流体が(ミキサ・ロータがタービン羽根車と同じシャフト42に装着されるようにタービン室52の背後に設置された)混合室に直接導入されており、そこへ導く入口チャネル264内へは直接導入されていないことである。これを配置する最も簡単な方法は、タービン室52の出口導管282、及び適切なU字型パイプが装着されたフランジを持つ混合室の入口導管276の双方を提供することである。
【0025】
例えばもし駆動流体が中圧蒸気であり、また液状媒体がパルプ及び製紙産業における繊維懸濁液であれば、蒸気はミキサ・ロータを回転させるために十分な圧力を有している。具体的には、ロータが回転しなければならない速度が大きくないからである。ミキサ・ロータの回転が遅いだけで、パルプ流における蒸気の流通を妨害し、且つパルプ内での蒸気の濃縮を促進する。
【0026】
上記に検討された実施例において、ミキサ・ロータを回転させる駆動流体は、ミキサにおいて液状媒体と混合されることになっている流体であった。駆動流体の流れを配置するためのさらに2つの選択肢が図7に関連して検討されるが、そこでもタービン室52は(図示されていないがタービン室の背後に設置された)混合室と動作可能に連絡しており、混合室は、タービン羽根車と同じシャフト42に配置されたミキサ・ロータであって、タービン室の側部に軸線方向に位置決めされたミキサ・ロータを備えている。本発明の第4の好ましい実施例において、駆動流体は、タービン室52へと流入する入口導管378内に導入され、ミキサ・ロータに回転を与えるタービン羽根46によって表わされるタービン羽根車を回転させ、出口導管382に沿ってタービン室から除去される。本実施例において、入口導管378又は出口導管382のいずれも、入口チャネル及び出口チャネルそれぞれ364及び366並びにそれらの間のミキサ室を含む液状媒体の流れの経路とは何らの連絡もない。液状媒体及び駆動流体の流れのチャネル及び導管に加えて、図7は、化学薬品又は他の物質を液状媒体に混合するための入口も参照番号84によって示している。当然、入口84は図7に示されたように入口チャネル364の壁内の混合室の上流に、又は混合室の壁内のいずれかに配置される。駆動流体はいずれの第3の流体であってもよく、これは、利用可能であるがために使用されるだけである。すなわち駆動流体は、混合される流体でもなく、又は流体が混合されることになっている液状媒体でもない。本実施例の例として、熱交換器又は他の何らかの位置に向かって流れる蒸気が、二酸化塩素を繊維懸濁液中に混合するために使用されるミキサを駆動可能である。
【0027】
図7の第4の実施例はしかし、実例として、図の右手側の最も低い(入口チャネル364の端部、及び出口導管382における)2つのフランジがU字型パイプによって結合され、それによってタービン羽根車を回している駆動流体が、入口84からの流体又は化学薬品を混合される液状媒体となるように、本発明の第5の好ましい実施例を組み込むために変更してもよい。すなわち、液状媒体自体の起動力が液状媒体中への流体の混合を達成するために使用される。1つの方法では、この機能は静力学的ミキサの動作に似ているが、それよりはるかに効果的である。
【0028】
入口84に関して、1つ又は複数のこのような流体入口が本発明のいずれの実施例にも関連して配置可能であることを理解されたい。入口の位置は、好ましくは混合室の入口チャネルの壁又は混合室の壁のいずれかとなる。そのため、1つ又は複数の流体入口の存在が、その経路に導入された駆動流体とともに、又は導入する流体若しくは化学薬品だけとして、液状媒体の流れに1種又は複数種の流体又は化学薬品を導入する可能性を提供することは明らかである。
【0029】
例えば蒸気又は希釈液の駆動流体としての使用に関するもう1つの構造上の代案が、本発明の好ましい実施例として検討可能である。上で検討された実施例は混合室の入口チャネル、又は混合室自体のいずれかの中の液状媒体中に駆動流体を導入するために別個の導管の使用を教示している。しかし、特にタービン室及び混合室が並んで配列されている時の他の代案がある。この2つの室は、適切な量の駆動流体が液状媒体に進入するようなサイズとされた内部導管、または液状媒体に進入する駆動流体の量を調整するためのバルブ手段を備えた内部導管によって接続されてもよい。すなわち、駆動流体を2つの部分に分割することが可能であり、一方は液状媒体に進入し、他方は処理工程中にさらに流れる。
【0030】
上記観点から、タービンを混合室に近いいずれかの位置に位置決めしてよいことが明らかであり、そのため、それらの相互の配置に対するただ2つの要件は、タービン羽根車が混合を妨害しないようにタービン室が混合室の側部に設置されること、及びミキサ・ロータ及びタービン羽根車の双方を担持するシャフトが双方の室の中央を介して延びていることである。しかしこれに関して、もう1つの選択肢として、もし所望されるなら、ギヤ好ましくは減速ギヤが、タービン羽根車とミキサ・ロータとの間に配置可能であることが言え、それによって単一又は共通のシャフトに関した要件は忘れてもよい。そのため、両室の相互の配置もさらに自由に選択可能となる。その理由は、両室が同じ軸線上に配列される必要はないからである。ギヤを使用することにより、ミキサ・ロータの回転速度をタービン羽根車の回転速度よりも小さくすることができ、或いはもし所望であれば、大きくすることもできる。
【0031】
従って、上記に示され且つ説明された好ましい実施例が、例示する目的のためのみのものであること、及び添付の特許請求の範囲のみに適切に記載した本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解されよう。上記説明の観点から、ミキサには、上記の明細書において検討されたタービンに加えて、動力駆動手段が設けられてもよいことを理解されたい。しかし、タービンが存在することによって、動力駆動手段の消費電力は本発明のタービン手段のない場合よりも大幅に低くなる。上記説明の観点から、語句「液状媒体」は、媒体の1つの、又は唯一の成分として液体を含む流動可能な全ての媒体を網羅することも理解されたい。すなわち、液状媒体は、大部分に空気、大部分に乾燥物質、並びに大部分に水又は他の液体を含んでいてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合室(50)と、該混合室(50)に動作可能に連絡しているタービン室(52)とを含む筐体(48)を有する装置内で第2の流体を第1の流体中に混合する方法であって、
前記混合室は、前記第1の流体のための入口開口部(68)を備えた入口チャネル(64)と、前記第1及び前記第2の流体の混合物のための出口開口部(72)を備えた出口チャネル(66)と、前記混合室(50)内に配置されたミキサ・ロータとを有し、
前記タービン室(52)は、駆動流体のための入口導管(78、178、278、378)と、タービン羽根車(47)とを有し、
前記タービン羽根車(47)は、前記ミキサ・ロータに動作可能に接続されており、
前記方法が、前記第1の流体及び前記第2の流体を前記混合室(50)内に導入するステップと、前記タービン羽根車(47)を駆動するために前記タービン室(52)内に前記駆動流体を導入するステップとを含み、それによって前記タービン羽根車(47)の回転が前記ミキサ・ロータに回転を与え、前記第1の流体中への前記第2の流体の混合に影響を与える
方法において、
前記タービン室(52)から出口導管(82、182、282、382)に前記駆動流体を排出するステップと、
前記出口導管(82、182、282、382)から前記混合室(50)及び前記入口チャネル(64、164、276、364)の1つに前記駆動流体を導入するステップと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の流体が、パルプ及び製紙産業の繊維懸濁液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タービン羽根車(47)を回転させるために前記第1の流体を前記タービン室(52)内に第1に導入するステップと、前記第1の流体を導管(382、364)に沿って前記混合室(50)内に第2に誘導するステップとにより、前記第1の流体を前記駆動流体として使用することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の流体が、パルプ及び製紙産業で使用されている、液体又は気体の化学薬品、又は蒸気であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記タービン羽根車(47)を回転させるために前記第2の流体を前記タービン室(52)内に第1に導入するステップと、前記第2の流体を、前記出口導管(82、182)に沿って前記混合室(50)の前記入口チャネル(64、164、364)内に、或いは導管(282、276)に沿って前記混合室(50)内に第2に誘導するステップとにより、前記第2の流体を前記駆動流体として使用することを特徴とする請求項1、2又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記駆動流体の少なくとも一部が、前記混合室(50)及びその上流のうちの1つにおいて、前記第1の流体と連絡するように導入されることを特徴とする請求項1、2、4に記載の方法。
【請求項7】
前記混合室(50)及びその上流の前記入口チャネル(64、164、364)のうちの1つに配置された入口(84)を介して、1つ又は複数の化学薬品又は流体を前記第1の流体と連絡するように導入するステップを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記タービン羽根車のシャフトと前記ミキサ・ロータのシャフトとの間にギヤを配置するステップを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ミキサ・ロータの駆動を支援するために、前記ミキサ・シャフト(42)に追加の動力駆動手段を結合するステップを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
混合室(50)と、該前記混合室(50)に動作可能に連絡して配置されたタービン室(52)とを含む筐体(48)を有する、第1の流体中に第2の流体を混合するための装置であって、
前記混合室は、前記第1の流体のための入口開口部(68)を備えた入口チャネル(64)と、前記第1の流体及び前記第2の流体の混合物のための出口開口部(72)を備えた出口チャネル(66)と、シャフト(42)を有するミキサ・ロータとを有し、前記タービン室(52)は、駆動流体のための入口導管(78、178、278、378)と、前記ミキサ・ロータに動作可能に接続されたタービン羽根車(47)とを有する装置において、
前記タービン室(52)が、前記駆動流体のための出口導管(82、182、282、382)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記タービン室(52)が、前記混合室(50)の側部に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動流体のための出口導管(82、182)が、前記第1の流体のための前記入口チャネル(64、164)において前記開口部(76、176)と流れ連絡して配置されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記駆動流体のための前記出口導管(282、382)が、前記混合室(50)と流れ連絡して配置されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の装置。
【請求項14】
前記混合室(50)と前記入口チャネル(64、164、264、276、364)のうちの1つが、化学薬品又は流体を導入するための少なくとも1つの入口(84)を備えていることを特徴とする請求項10から13までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記ミキサ・シャフト(42)に結合された追加の動力駆動手段を特徴とする請求項10から14までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−509180(P2011−509180A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541782(P2010−541782)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050174
【国際公開番号】WO2009/087193
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(501260923)ズルツアー プンペン アクチェンゲゼルシャフト (15)
【Fターム(参考)】