説明

流動体吐出ポンプ

【課題】 簡易な構成でありながら、流動体の漏洩を防止することができる流動体吐出ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】 流動体吐出ポンプ1は、流出口から流入口に向かって同心状に幅広となる形状を有し、ノズルヘッド2により押圧されることにより、その内部に比較的大量の流動体を収納する拡張姿勢から、その内部に比較的少量の流動体を収納する縮小姿勢に変形する樹脂製の蛇腹部材6と、流入口に連結された流入弁機構4と、ノズルヘッド2に連結され、その内部に流動体通路を形成し、その下端に蛇腹部材6の上部内壁に凸部を介して当接することにより前記流出口を閉止するとともに、蛇腹部材6が拡張姿勢から縮小姿勢に変形するときに当該凸部が離隔して流動体の流通を可能にする漏洩防止部材を有する連結筒5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、その内部に流動体貯留部を形成する流動体容器本体の上方に配設されたノズルヘッドを押圧することによって、流動体貯留部内に貯留された流体をノズルヘッドから吐出させるための流動体吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このような流動体吐出ポンプとしては、たとえば特許文献1に記載されるように、流動体を吐出するためのノズルヘッドと、流動体を貯留する流動体貯留部と、蛇腹状の形状を有し、その内部に比較的大量の流動体を収納する拡張姿勢と、その内部に比較的少量の流動体を収納する縮小姿勢との間で変形可能な樹脂製の蛇腹部材と、当該蛇腹部材の流入口に連結された流入弁機構と、蛇腹部材の流出口に連結された流出弁機構とを備える流動体吐出ポンプが提案されている。
【特許文献1】特開2004−051201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に記載されている流動体吐出ポンプは、蛇腹部材が縮小姿勢から拡張姿勢に変形するときに生じる流入弁機構に対する蛇腹部材内部と蛇腹部材外部との間の圧力差によって、流動体貯留部に貯留される流動体が流入弁機構を通過して蛇腹部材の内部へ流入する構成となっている。このため、流動体貯留部に対して大きな負荷がかかる場合や、流動体貯留部および流動体吐出ポンプの天地を逆様にした場合には、蛇腹部材内部に流動体が流入する。この流動体の蛇腹部材内部への流入が進むと、流入した流動体により、流出弁機構に対する蛇腹部材内部圧力が蛇腹部材外部の圧力よりも大きくなる。この結果、流出弁機構から流動体吐出ポンプの外部へ流動体が漏洩するという問題が生じる。
【0004】
この発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成でありながら、流動体の漏洩を防止することができる流動体吐出ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、その内部に流動体貯留部を形成する流動体容器本体の上方に配設されたノズルヘッドを押圧することにより、当該流動体貯留部内に貯留された流動体を当該ノズルヘッドから吐出させるための流動体吐出ポンプにおいて、流出口から流入口に向かって同心状に幅広となる形状を有し、前記ノズルヘッドにより押圧されることにより、その内部に比較的大量の流動体を収納する拡張姿勢から、その内部に比較的少量の流動体を収納する縮小姿勢に変形する樹脂製の蛇腹部材と、前記流入口に連結された流入弁機構と、前記ノズルヘッドに連結され、その内部に中空状の流動体通路を形成し、前記蛇腹部材の上部内壁に凸部を介して当接することにより前記流出口を閉止するとともに、前記ノズルヘッドに付与された押圧力により前記蛇腹部材が拡張姿勢から縮小姿勢に変形するときに当該凸部が前記蛇腹部材の上部内壁から離隔して流動体の流通を可能な位置に移動する漏洩防止部材を有する連結筒と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ノズルヘッドへの押圧力が解除された後、前記蛇腹部材はそれ自身の弾性力により、前記縮小姿勢から前記拡張姿勢へと復元する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、その中央に前記ノズルヘッドの移動が可能な孔部を有し、前記蛇腹部材を覆うように配設することにより前記ノズルヘッドの移動を案内する案内部材を備える。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記流入弁機構は、流動体流入用の開口部が形成され、前記容器本体の口頸部に螺合させる螺合部を有する弁座部材と、前記開口部の近傍に配設される弁部材とを備える。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記弁座部材は、前記開口部が底部に形成された円筒形状を有し、前記弁部材は、環状の支持部と、前記開口部と対応する形状を有する弁部と、当該支持部と弁部とを連結する複数の連結部とからなる弁部材とから構成される。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記弁座部材は、略逆円錐の形状を有し、当該略逆円錐の傾斜面に前記開口部を複数形成させ、前記弁部材は、前記弁座部材の略逆円錐の形状に対応する可撓性を有する弁部と、前記開口部に係止する係止部と、前記開口部に遊嵌され当該弁部と係止部とを連結する軸部とから構成される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、蛇腹部材の流入口に連結された流入弁機構と、蛇腹部材の上部内壁に当接して流出口を閉止する漏洩防止部材を有する連結筒を備えることから、簡易な構成でありながら、流動体の漏洩を防止することができ、かつ、流動体吐出ポンプをより簡易な構成にすることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、蛇腹部材は、それ自身の弾性力により、縮小姿勢から拡張姿勢へと復元することから、流動体吐出ポンプの流動体を吐出させるための取り扱い動作を容易にすることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、ノズルヘッドの移動を案内する案内部材を備えることから、蛇腹部材を使用した場合においても、ノズルの押圧動作を安定して行うことが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、弁座部材を容器本体に口頸部に螺合させる構成としたことから、流動体吐出ポンプをより簡易な構成にすることが可能となる。
【0015】
請求項5および請求項6に記載の発明によれば、ノズルヘッドに押圧力が付与されていない状態においては弁部材により流入口を確実に閉止できるため、簡易な構成でありながら流動体の逆流を確実に防止することができ、また、当該流入弁機構における流動体の流入側と流出側との圧力差に応じて通過する流動体の流量を任意に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。また、図2乃至図4は、その使用の状態を示す縦断面図である。
【0018】
なお、これらの図のうち、図1は流動体吐出ポンプ1に応力を付与することなく放置した状態を、図2はノズルヘッド2における押圧部11を押圧し、蛇腹部材6が拡張姿勢から縮小姿勢になりつつある状態を、図3はノズルヘッド2における押圧部11の押圧を解除し、蛇腹部材6が縮小姿勢から拡張姿勢になりつつある状態を、図4は蛇腹部材が初期の拡張姿勢に戻った状態を示している。
【0019】
この流動体貯留容器は、美容の分野で使用されるヘアージェルやクレンジングジェル等の一般にジェルと呼称されるゲル(gel)、または、栄養クリームやマッサージクリーム等のクリーム状物、あるいは、化粧水等の液体などを貯留するための化粧品用の容器として使用されるものである。なお、この流動体貯留容器を、一般の薬品や溶剤あるいは食品等の容器として使用してもよい。
【0020】
この明細書においては、高粘度の液体や半流動体あるいはゾルがジェリー状に固化したゲルやクリーム状物等と通常の液体とを含めて流動体と呼称する。ただし、この発明は、上述した流動体を対象としたポンプに限定されるものではなく、気体を含む流動体全体を対象とした流動体吐出ポンプに適用しうるものである。
【0021】
この流動体貯留容器は、流入弁機構4と蛇腹部材6と連結筒5とを有する流動体吐出ポンプ1と、押圧部11と流動体の吐出口12とを有するノズルヘッド2と、シリンダ15とピストン16とを有しその内部に流動体貯留部3を形成する容器本体10と、ノズルヘッド2の移動を案内する案内部材8とから構成される。
【0022】
ここで、ノズルヘッド2は、押圧部11と、流動体を吐出するための吐出口12と、蛇腹部材6と結合するための第1結合部13と第2結合部14とを備えている。
【0023】
流動体貯留部3は、円筒形のシリンダ15と、シリンダ15内を上下方向に移動するピストン16と、複数の通気孔17が穿設された底蓋18と、底蓋18に内接しピストン16がシリンダ15内における下限に位置するときに当該ピストン16を支持する支持部材19とを有している。
【0024】
この流動体貯留容器においては、ノズルヘッド2における押圧部11を押圧して上下方向に往復移動させることにより、流動体吐出ポンプ1の作用で、流動体貯留部3内に貯留された流動体が、ノズルヘッド2における吐出口12から吐出される。そして、流動体貯留部3内に貯留される流動体の減少に伴って、ピストン16はシリンダ15内をノズルヘッド2方向に移動する。
【0025】
なお、この明細書においては、図1乃至図4における上下方向を流動体貯留容器における上下方向と規定する。すなわち、この発明の第1実施形態に係る流動体貯留容器においては、図1に示すノズルヘッド2側を上方向とし、ピストン16側を下方向とする。
【0026】
また、案内部材8は、その中央にノズルヘッド2が移動可能な孔部21を形成し、蛇腹部材6を覆うようにして容器本体10の外周に沿って形成させた上部凸部20に係合して接続されるカバー部材である。このため、ノズルヘッド2の垂直方向の移動運動を安定して行いつつ、使用者による流動体貯留容器使用時の把持を容易とするとともに、蛇腹部材6の外的衝撃による損傷を防止することができる。
【0027】
図5は、流動体吐出ポンプ1における蛇腹部材6を示す説明図である。なお、図5(a)は蛇腹部材6の平面図、図5(b)はその断面図、図5(c)はその正面図である。
【0028】
蛇腹部材6は、所定の弾性力を有する樹脂を蛇腹状に成型してなる蛇腹部601と、蛇腹部601の下部に形成され、流入弁機構4と結合するための結合部602を備えるカバー部603とを有する。また、蛇腹部材6は蛇腹部601の上部に、後に詳細に説明する連結筒5を固着する筒部510と、ノズルヘッド2における第1結合部13と接続するフランジ512を形成させている。なお、この蛇腹部材6を構成する蛇腹部601と、カバー部603と、筒部510およびフランジ512とは一体的に形成されてもよい。これらの部材を一体化することにより、組み立て負担を軽減するとともに、製造コストを削減することが可能となる。
【0029】
蛇腹部601は、例えば、ブロー成型または射出成型により形成される。このため、この蛇腹部材6は、図1に示すような、その内部に比較的大量の流動体を収納する拡張姿勢と、図2に示すような、その内部に比較的少量の流動体を収納する縮小姿勢との間で変形可能となっている。
【0030】
次に、流入弁機構4の構成について説明する。流入弁機構4は、弁座部材410と弁部材420から構成される。図6は、流動体吐出ポンプ1における流入弁機構4を構成する弁座部材410を示す説明図である。また、図7は、流動体吐出ポンプ1における流入弁機構4を構成する弁部材420を示す説明図である。なお、図6(a)は弁座部材410の平面、図6(b)は弁座部材410の側断面を示し、図7(a)は弁部材420の側面、図7(b)は弁部材420の側断面、図7(c)は底面を示している。
【0031】
この流入弁機構4は、流動体貯留部3から蛇腹部材6内への流動体の通過を許容するとともに、蛇腹部材6から流動体貯留部3への流動体の逆流を防止するためのものである。
【0032】
弁座部材410は、図6に示すように、その底部に円形の開口部412が形成された略筒状の弁座部411と、容器本体10における口頸部9に螺合する螺合部413とを有する。また、この弁座部材410には、弁部材420と係合するための第1係合部414と、蛇腹部材6における係合部602と係合するための第2係合部415とが設けられる。
【0033】
弁部材420は、図7に示すように、弁座部材410の内部に配置される環状の支持部421と、弁座部材410の開口部412と対応する形状を有する弁部422と、支持部421と弁部422とを連結する可撓性のある4個の連結部423と、支持部421を補強するための補強部425とを有する。支持部421の外周面には、弁座部材410の第1係合部414と係合するための係合部426が設けられる。4個の連結部423は、各々、一対の屈曲部424を有する。この弁部材420においては、4個の連結部423の可撓性により、弁部422が、弁座部材410における開口部412を閉鎖する閉鎖位置と開口部412を開放する開放位置との間で移動可能に構成されている。
【0034】
そして、弁部材420は、弁座部材410の内部に挿入され、弁部材420の第1係合部414と弁座部材410の係合部426とが嵌合することにより、弁部材420が弁座部材410に対して固定される。なお、これらの弁座部材410および弁部材420は、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂、シリコンゴム等の合成ゴム、あるいはこれらの混合物等を使用した材料により構成される。
【0035】
このような構成を有する流入弁機構4において、図3に示すように、蛇腹部材6の内部が減圧された場合には、弁部材420における弁部422が弁座部材410における開口部412から離隔して開口部412を開放する開放位置に移動する。これにより、流動体貯留部3に貯留された流動体が開口部412を通過する。一方、蛇腹部材6の内部が減圧されていない場合には、図4に示すように、4個の連結部423の可撓性により、弁部材420における弁部422が弁座部材410における開口部412を閉鎖する閉鎖位置に移動する。
【0036】
この流入弁機構4においては、弁部材420における支持部421と弁部422とは、図7(c)に示すように、4個の連結部423により連結されている。このため、弁部422に生じる不適切な傾きの発生を防止することが可能となる。なお、弁部422に生じる不適切な傾きの発生を有効に防止するためには、連結部423は3個以上とすることが好ましく、また、それらを均等に配置することがより好ましい。
【0037】
また、この流入弁機構4においては、連結部423は補強部425により囲まれている。このため、弁部422の閉鎖位置から開放位置に移動する際に、弁部422に不適切な傾きが発生した場合には、連結部423が補強部425と当接することとなる。したがって、弁部422がそれ以上に傾斜することはない。
【0038】
さらに、この流入弁機構4においては、支持部421と弁部422とを連結する4個の連結部423は、各々、一対の屈曲部424を有している。このため、各連結部423が適当な弾性を持つこととなり、弁部422が閉鎖位置と開放位置との間をスムースに往復移動することが可能となる。なお、この連結部423の厚みは、1mm以下とすることが好ましく、0.3mm乃至0.5mmとすることがより好ましい。
【0039】
以上のような流入弁機構4の構成により、この実施形態に係る流動体吐出ポンプ1では、簡易な構成でありながら、流動体の逆流を確実に防止することができ、また、当該流入弁機構4における流動体の流入側と流出側との圧力差に応じて通過する流動体の流量を任意に変更することが可能となる。
【0040】
次に、連結筒5の構成について説明する。図8(a)は連結筒5の平面図、図8(b)はその断面図、図8(c)はその底面図である。
【0041】
この発明に係る流動体吐出ポンプ1における連結筒5は、図8に示すように、その内部に流動体通路155が形成され、その外周面に蛇腹部材6における筒部510と嵌合させるための凸部154が形成された筒部151と、その筒部151の下端部に配設された漏洩防止部材152とから構成される。また、筒部151の下端付近であって漏洩防止部材152の接続部近傍には、流動体通路155に流動体を流入させるための流入口156が形成されている。
【0042】
連結筒5における筒部151は、その外周面に形成させた凸部154を介して蛇腹部材6における筒部510に接続され、その上部がノズルヘッド2に筒状に形成された第2結合部14内に固着される。これにより、蛇腹部材6内からノズルヘッド2における吐出口12に至るまでの流動体の移動路が連通されることになる。
【0043】
漏洩防止部材152は、ノズルヘッド2に押圧力を付与しない状態において、拡張姿勢となっている蛇腹部材6における蛇腹部601の上部内壁が有する傾斜面に対応する傾斜面をその上部に備える形状を有し、ノズルヘッド2への押圧動作と連動して蛇腹部601内を移動可能に配設される。そして、漏洩防止部材152が蛇腹部601の上部内壁面に対応する面には、蛇腹部601の上部内壁面に当接させる凸部153を形成させている。この漏洩防止部材152が蛇腹部601の上部内壁に凸部153を介して当接することにより連結筒5における流入口156が閉止され、流動体が容器外に漏洩することを防止する。
【0044】
このような漏洩防止部材152において、ノズルヘッド2における押圧部11が押圧されると、図2に示すように、蛇腹部材6が拡張姿勢から縮小姿勢に変形するときに凸部153が蛇腹部601の上部内壁面から離隔する。これにより連結筒5における流動体通路155への流動体の流通が可能となる。
【0045】
次に、上述した構成を有する流動体貯留容器における流動体の吐出動作について、再度図2乃至図4を用いて説明する。
【0046】
まず、図2に示すように、ノズルヘッド2における押圧部11が押圧されると、蛇腹部材6が縮小姿勢に変形する。このときに、その断面視において蛇腹部601の上部内壁面の傾斜形状が水平形状への変化するとともに、漏洩閉止部材152に形成させた凸部153が蛇腹部材6における蛇腹部601の上部内壁面から離隔する。そして、ノズルヘッド2における吐出口12から流動体が吐出され、蛇腹部材6内部に収納可能な流動体の体積が減少する。
【0047】
その後、ノズルヘッド2の押圧部11への押圧が解除されると、図3に示すように、蛇腹部材6の弾性力により、蛇腹部材6が拡張姿勢へと変形する。この変形に伴って蛇腹部材6内部が減圧されると、流入弁機構4における弁部422が開口部412から離隔して流動体が蛇腹部材6内に流入可能となる。そして、流動体貯留部3から蛇腹部材6内部に、蛇腹部材6の形状が押圧前の拡張姿勢となるまで流動体が流入する。
【0048】
上述したように流動体が吐出されると、流動体貯留部3内に貯留される流動体が減少するため、容器本体10に嵌合されたピストン6が貯留される流動体の体積に合わせて上昇する。これにより、流動体貯留部3内における流入弁機構4の周辺には、常に流動体が存在する状態となる。
【0049】
さらに、蛇腹部材6の形状がノズルヘッド2における押圧部11に応力を付与する前の状態に戻ると、図4に示すように、漏洩防止部材152の凸部153と蛇腹部601の上部内壁面とが密接する。これにより、弁座部材420と漏洩防止部材152との間に仕切られる蛇腹部材6における空間に収納された流動体は、漏洩防止部材152を通過してノズルヘッド2における吐出口12から容器外に漏れることがない。
【0050】
なお、この実施形態においては、漏洩防止部材152は図8に示すように凸部153を備えるものを使用しているが、凸部153を省略してもよい。この場合には、漏洩防止部材における拡張姿勢となっている蛇腹部601の上部内壁が有する傾斜面に対応する傾斜面を、蛇腹部601の上部内壁に密着させることによりノズルヘッド2における吐出口12に向かう蛇腹部材6における流出口を閉止する構成となる。また、凸部153を2乃至3個程度形成させて、蛇腹部材6における上部内壁面に凸部153の先端が線状に多重に当接することにより、流動体の漏洩防止効果を高める構成としてもよい。そして、この凸部153の断面形状には、略円形状のものや多角形状のもの等、流動体の性状に応じて多様な形状および大きさのものが適用可能である。
【0051】
次に、この発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
【0052】
図9は、この発明の第2実施形態に係る流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。また、図10乃至図12は、その使用の状態を示す拡大図である。なお、第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
これらの図のうち、図9は流動体吐出ポンプ100に応力を付与することなく放置した状態を、図10はノズルヘッド2における押圧部11を押圧し、蛇腹部材6が拡張姿勢から縮小姿勢になりつつある状態を、図11はノズルヘッド2における押圧部11の押圧を解除し、蛇腹部材6が縮小姿勢から拡張姿勢になりつつある状態を、図12は蛇腹部材6が初期の拡張姿勢に戻った状態を示している。
【0054】
第2実施形態における流動体吐出ポンプ100は、図9に示すように、第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1が流入弁機構4を備えるのに対し、流入弁機構400を採用している点において異なる。
【0055】
図13はこの発明の第2実施形態に係る流入弁機構400を構成する弁座部材430を示す説明図であり、図14は流入弁機構400を構成する弁部材450を示す説明図である。
【0056】
なお、これらの図のうち、図13(a)は弁座部材430の平面図、図13(b)はその断面図、図13(c)は図13(b)において一点鎖線で円形に囲んだ部分を拡大して示す拡大図である。また、図14(a)は弁部材450の平面図、図14(b)はその断面図、図14(c)はその底面図である。
【0057】
弁座部材430は、図13に示すように、その底部に弁部材450を係止するための円形の孔部432が形成された略円錐状の弁座部441と、容器本体10における口頸部9に螺合する螺合部433と、蛇腹部材6と係合するための係合部436とを有する。そして、弁座部441には、流動体貯留部3と蛇腹部材6の内部とを流動体が流通可能に連通する流入口431が、孔部432を中心に等間隔に3個形成されている。なお、流入口431はその孔の形状や大きさにもよるが、1乃至4個程度形成させるのが好ましい。
【0058】
また、この実施形態において、図13(c)に示すように、弁座部材430における弁座部441に、後述する弁部材450における弁部451に対し線状に当接する当接凸部442を形成させている。この当接凸部442は、弁部材450の閉止の効果を高めるためのものであるが、流動体の性状として漏れにくいものであれば省略してもよい。
【0059】
弁部材450は、図14に示すように、弁座部材430における略円錐状の弁座部441の壁面に対応する形状を有する弁部451と、弁座部材430における孔部432に弁部材450を係止するための係止部452と、弁部451と係止部452との間を連結する連結部453とを備える。
【0060】
この流入弁機構400における弁部451は、変形可能に可撓性樹脂を薄肉に成型したものである。このため、弁部451は流動体貯留部3内部に貯留される流動体が蛇腹部材6内部に流入するときには、変形して弁座部材430における弁座部441の壁面から離隔し、弁座部441に形成された流入口431を開放する。これにより、流動体貯留部3から蛇腹部材6内部に流動体が流入可能となる。
【0061】
上述した構成を有する流入弁機構400を備える流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器における流動体の吐出動作について、再度図9乃至図12を用いて説明する。
【0062】
まず、図10に示すように、ノズルヘッド2における押圧部11が押圧されることにより、蛇腹部材6が縮小姿勢に変形し、蛇腹部材6内に収容可能な流動体の体積が減少し、その減少分に相当する量の流動体をノズルヘッド2の吐出口12から吐出する。
【0063】
その後、ノズルヘッド2の押圧部11への押圧が解除されると、図11に示すように、蛇腹部材6の弾性力により、蛇腹部材6が拡張姿勢に変形する。この変形により、蛇腹部材6内部に収納可能な流動体の体積が増加する。これにより、蛇腹部材6の内部が減圧され、流入弁機構400が開放される。流入弁機構400が開放されると、流動体貯留部3内に貯留される流動体が流入弁機構400を通過して、蛇腹部材6内に流入する。この流動体の蛇腹部材6内への流入により、流動体貯留部3内に貯留される流動体が減少し、流動体貯留部3内部が減圧される。このため、ピストン16が容器本体10内を流動体吐出ポンプ100側に向かって移動し、流動体が吐出された分、流動体貯留部3の容積が小さくなる。容器本体10内においてピストン16の下側となる空間には通気孔17を介して外部から内部へ空気が取り込まれ、圧力変化による容器の変形が防止される。
【0064】
さらに、蛇腹部材6の変形が進み、初期状態に戻ると、漏洩防止部材152における凸部153が蛇腹部601の上部内壁面に密接する。これにより、弁座部材420と漏洩防止部材152との間に仕切られる空間に収納された流動体は、ノズルヘッド2における吐出口12から漏洩することはない。
【0065】
図15は、この発明の第3実施形態に係る流動体吐出ポンプ200を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。
【0066】
この流動体吐出ポンプ200を適用する流動体貯留容器は、図15に示すように、流動体が容器外に吐出されると、その容器本体210内においてピストン216が流動体吐出ポンプ1側から容器本体710の底部に向かって下降するものである点において、上述した流動体貯留容器とは異なる。
【0067】
このため、この流動体貯留容器は流動体を容器本体710の底部から流動体吐出ポンプ1に連通させるための管部材730を備え、ピストン216の中心には、管部材730をピストン216の摺動を妨げないように嵌合させるための孔部を形成させている。なお、ピストン216は略椀状の弾性部221を一対備え、その各々の弾性部221の先端当接部222で容器本体210の円筒形シリンダ215の内壁面に液密に当接する。
【0068】
この流動体貯留容器においては、容器本体210に流動体を充填した後に、容器本体210の内径とほぼ同径の外周を有するピストン216を流動体を充填した容器本体210に気密に装填するため、流動体貯留容器210本体の上部は容器の筒径と同径に開口されている。このため、流動体吐出ポンプ200において弁座部材には、容器本体710の筒径に対応する形状を有する蓋部462と弁部材420を配設する弁座部461とを一体に形成し、流動体の吐出に伴う変形を防止するための空気流入口463と管部材接続部464とを備える弁座部材460を採用している。また、このように蓋部462と弁座部461を一体成型したことにより、部品点数を減少させている。そして、この流動体吐出ポンプ200が、この蓋部462と容器本体710との嵌合により容器本体210に接続されることで流動体貯留容器が完成される。
【0069】
図16は、この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した他の流動体貯留容器の縦断面図である。
【0070】
この流動体貯留容器は、上述したこの発明の第3実施形態に係る流動体吐出ポンプ200を適用した流動体貯留容器と同様に、容器本体710内にピストン716を備え、流動体が容器外に吐出されると、その容器本体710内においてピストン716が流動体吐出ポンプ1側から容器本体710の底部に向かって下降するものである。なお、容器本体710内に装填されるピストン716は、この発明の第3実施形態に係る流動体吐出ポンプ200を適用した流動体貯留容器の容器本体210内に装填されるピストン216でもよく、適宜多様なピストンを採用することができ、この実施例に限定されるものではない。
【0071】
また、この流動体容器では流動体吐出ポンプ1を適用できるように、流動体吐出ポンプ1におけるネジ蓋部413と螺合させる口頸部709と、容器本体710の筒径に対応する形状を有する蓋部材720とを一体に形成した蓋部材720を採用している。そして、この蓋部材720を流動体吐出ポンプ1に螺合により接続した後に、蓋部材720を容器本体710と嵌合させることにより、流動体貯留容器は完成する。
【0072】
なお、この流動体貯留容器においては弁座部材420の流入口412に管部材730を接続する必要があるため、弁座部材420に管部材接続部764を形成させる変形を加えているが、管部材730の方に管部材接続部を設けるなどして流動体吐出ポンプ1をそのまま適用することも可能である。
【0073】
上述したように、この第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1は、流動体貯留容器の構成として、容器本体や容器本体に嵌合させるピストンの形状に拠ることなく、かつ、吐出される流動体が容器本体における流動体貯留部3の上部から、または、下部から流動体吐出ポンプ1内に供給されるかいずれの方式の流動体貯留容器においても適用可能である。
【0074】
さらに、この第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1は、例えば、図16に示した蓋部材720において、特開2005−218946号公報に記載されたような容器本体内への空気流入口に弁部材を配設した流入弁機構を備え、容器本体の内部にピストンを備えない一般的な流動体貯留容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図5】流動体吐出ポンプ1における蛇腹部材6を示す説明図である。
【図6】流動体吐出ポンプ1における流入弁機構4を構成する弁座部材410を示す説明図である。
【図7】流動体吐出ポンプ1における流入弁機構4を構成する弁部材420を示す説明図である。
【図8】流動体吐出ポンプ1における連結筒5示す説明図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係る流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係る流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る流動体吐出ポンプ100を適用した流動体貯留容器の要部を示す拡大図である。
【図13】流動体吐出ポンプ100における流入弁機構400を構成する弁座部材430を示す説明図である。
【図14】流動体吐出ポンプ100における流入弁機構400を構成する弁部材450を示す説明図である。
【図15】この発明の第3実施形態に係る流動体吐出ポンプ200を適用した流動体貯留容器の縦断面図である。
【図16】この発明の第1実施形態に係る流動体吐出ポンプ1を適用した他の流動体貯留容器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 流動体吐出ポンプ
2 ノズルヘッド
3 流動体貯留部
4 流入弁機構
5 連結筒
6 蛇腹部材
8 案内部材
9 口頸部
10 容器本体
11 押圧部
12 吐出口
13 第1結合部
14 第2結合部
15 シリンダ
16 ピストン
17 通気孔
18 底蓋
19 支持部材
100 流動体吐出ポンプ
151 筒部
152 漏洩防止部材
153 凸部
154 凸部
155 流動体流通路
200 流動体吐出ポンプ
210 容器本体
216 ピストン
400 流入弁機構
410 弁座部材
411 弁座部
412 開口部
413 螺合部
414 第1係合部
415 第2係合部
420 弁部材
421 支持部
422 弁部
423 連結部
424 屈曲部
426 係合部
427 案内部
430 弁座部材
431 弁座部
432 開口部
433 螺合部
434 第1係合部
436 第2係合部
450 弁部材
451 弁部
452 結合部
453 連結部
460 弁座部材
461 弁座部
462 蓋部
463 空気流入口
464 管部材接続部
501 弁座部材
502 弁部材
512 フランジ
601 蛇腹部
602 結合部
710 容器本体
716 ピストン
720 蓋部材
730 管部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に流動体貯留部を形成する流動体容器本体の上方に配設されたノズルヘッドを押圧することにより、当該流動体貯留部内に貯留された流動体を当該ノズルヘッドから吐出させるための流動体吐出ポンプにおいて、
流出口から流入口に向かって同心状に幅広となる形状を有し、前記ノズルヘッドにより押圧されることにより、その内部に比較的大量の流動体を収納する拡張姿勢から、その内部に比較的少量の流動体を収納する縮小姿勢に変形する樹脂製の蛇腹部材と、
前記流入口に連結された流入弁機構と、
前記ノズルヘッドに連結され、その内部に中空状の流動体通路を形成し、前記蛇腹部材の上部内壁に凸部を介して当接することにより前記流出口を閉止するとともに、前記ノズルヘッドに付与された押圧力により前記蛇腹部材が拡張姿勢から縮小姿勢に変形するときに当該凸部が前記蛇腹部材の上部内壁から離隔して流動体の流通を可能な位置に移動する漏洩防止部材を有する連結筒と、
を備えることを特徴とする流動体吐出ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の流動体吐出ポンプにおいて、
前記ノズルヘッドへの押圧力が解除された後、前記蛇腹部材はそれ自身の弾性力により、前記縮小姿勢から前記拡張姿勢へと復元する流動体吐出ポンプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流動体吐出ポンプにおいて、
その中央に前記ノズルヘッドの移動が可能な孔部を有し、前記蛇腹部材を覆うように配設することにより前記ノズルヘッドの移動を案内する案内部材を備える流動体吐出ポンプ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の流動体吐出ポンプにおいて、
前記流入弁機構は、
流動体流入用の開口部が形成され、前記容器本体の口頸部に螺合させる螺合部を有する弁座部材と、
前記開口部の近傍に配設される弁部材と、
を備える流動体吐出ポンプ。
【請求項5】
請求項4に記載の流動体吐出ポンプにおいて、
前記弁座部材は、前記開口部が底部に形成された円筒形状を有し、
前記弁部材は、環状の支持部と、前記開口部と対応する形状を有する弁部と、当該支持部と弁部とを連結する複数の連結部とからなる弁部材と、
から構成される流動体吐出ポンプ。
【請求項6】
請求項4に記載の流動体吐出ポンプにおいて、
前記弁座部材は、略逆円錐の形状を有し、当該略逆円錐の傾斜面に前記開口部を複数形成させ、
前記弁部材は、前記弁座部材の略逆円錐の形状に対応する可撓性を有する弁部と、前記開口部に係止する係止部と、前記開口部に遊嵌され当該弁部と係止部とを連結する軸部と、
から構成される流動体吐出ポンプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−296948(P2008−296948A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143779(P2007−143779)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(599047550)
【Fターム(参考)】