説明

流動層乾燥装置

【課題】乾燥炉底部への褐炭の堆積を抑制し、褐炭を好適に流動させることができる流動層乾燥装置を提供する。
【解決手段】褐炭を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層3を形成する乾燥炉5と、流動層3の内部に設けられた伝熱管33と、伝熱管33を吊り下げ支持する吊下げ支持体34と、を備え、吊下げ支持体34は、その一端が、伝熱管33の鉛直方向における下方側の部位に接続され、その他端が、乾燥炉5の上面に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭等の湿潤燃料を流動させながら乾燥させる流動層乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような流動層乾燥装置として、底部が多数の開孔を有する通気可能な分散板である乾燥室と、乾燥室下部に位置する風室とを備えた流動乾燥機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この流動乾燥機は、流動化ガス(乾燥用気体)を風室から分散板を介して乾燥室に供給することによって被乾燥物を流動させながら乾燥させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−89243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来の流動層乾燥装置では、被乾燥物の乾燥を促進させるべく、被乾燥物の流動により形成された流動層の内部に伝熱管を設ける場合がある。流動層の内部に設けられた伝熱管は、通常、乾燥炉の底部と接続された支持体により支持される。この場合、支持体と乾燥炉の底部との接続部分には、被乾燥物が堆積し易い。このため、従来の流動層乾燥装置では、被乾燥物の一部が流動し難くなり、被乾燥物の乾燥を好適に行うことが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、乾燥炉底部への湿潤燃料の堆積を抑制し、湿潤燃料を好適に流動させることができる流動層乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流動層乾燥装置は、湿潤燃料を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層を形成する乾燥炉と、流動層の内部に設けられた伝熱管と、乾燥炉の底部から離れた状態で、伝熱管を支持する支持体と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、支持体は、乾燥炉の底部に接触することなく、伝熱管を支持することができるため、湿潤燃料の堆積を抑制することができ、湿潤燃料を好適に流動させることができる。
【0008】
この場合、支持体は、伝熱管を乾燥炉に吊り下げ支持する吊下げ支持体であることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、伝熱管は、吊下げ支持体により吊り下げ支持される。これにより、吊下げ支持体は、乾燥炉の底部に接続されない構成となるため、湿潤燃料の堆積を抑制することができ、湿潤燃料を好適に流動させることができる。
【0010】
この場合、吊下げ支持体は、その一端が、伝熱管の鉛直方向における下方側の部位に接続され、その他端が、乾燥炉の鉛直方向の上方側における部位に接続されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、吊下げ支持体は、伝熱管の下方側の部位を固定できるため、伝熱管の重量を好適に支持することができる。また、吊下げ支持体は、乾燥炉の上方側の部位に固定されるため、伝熱管の重量を乾燥炉で支持することができる。
【0012】
この場合、吊下げ支持体の他端と乾燥炉の上方側における部位との間に設けられ、吊下げ支持体と乾燥炉との振動、または吊り下げ支持体と乾燥炉との熱伸びを吸収する緩衝手段を、さらに備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、吊下げ支持体と乾燥炉との間の振動、または吊り下げ支持体と乾燥炉との熱伸びを、緩衝手段により吸収することができるため、乾燥炉、吊下げ支持体および伝熱管に加わる応力負荷を軽減することができる。
【0014】
この場合、支持体は、伝熱管を乾燥炉の側壁に支持する側壁支持体であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、伝熱管は、側壁支持体により側壁に支持される。これにより、側壁支持体は、乾燥炉の底部に接続されない構成となるため、湿潤燃料の堆積を抑制することができ、湿潤燃料を好適に流動させることができる。
【0016】
この場合、伝熱管は、その基端側が、乾燥炉の対向する一方の側壁に固定される一方で、その先端側が、自由端となっており、側壁支持体は、その一端が、伝熱管の先端側の部位に接続され、その他端が、乾燥炉の対向する他方の側壁に固定されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、側壁支持体は、伝熱管の先端側の部位を側壁に固定できるため、伝熱管の重量を両持ちで好適に支持することができる。また、側壁支持体は、乾燥炉の側壁に固定されるため、伝熱管の重量を乾燥炉で支持することができる。
【0018】
この場合、側壁支持体の側壁側の他端と乾燥炉の側壁との間に設けられ、側壁支持体と乾燥炉との振動、または側壁支持体と乾燥炉との熱伸びを吸収する緩衝手段を、さらに備えたことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、側壁支持体と乾燥炉との間の振動、または側壁支持体と乾燥炉との熱伸びを、緩衝手段により吸収することができるため、乾燥炉、側壁支持体および伝熱管に加わる応力負荷を軽減することができる。
【0020】
この場合、伝熱管は、その基端側が、乾燥炉の対向する一方の側壁に固定される一方で、その先端側が、乾燥炉の対向する他方の側壁に固定されており、支持体は、伝熱管の先端側が固定される乾燥炉の他方の側壁であることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、伝熱管は、乾燥炉の対向する両側壁に固定されるため、伝熱管の重量を両持ちで好適に支持することができる。このとき、支持体は、乾燥炉の他方の側壁となるため、新たに部材を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0022】
本発明の流動層乾燥装置によれば、乾燥炉の底部から離れた状態で、支持体により伝熱管を支持することで、湿潤燃料の堆積を抑制することができるため、湿潤燃料を好適に流動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【図3】図3は、実施例2に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【図4】図4は、実施例3に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【図5】図5は、実施例4に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る流動層乾燥装置について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。実施例1の流動層乾燥装置1が適用された石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)100は、空気を酸化剤としてガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。すなわち、実施例1の石炭ガス化複合発電設備100は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。この場合、ガス化炉に供給する湿潤原料として褐炭を使用している。
【0026】
なお、実施例1では、湿潤燃料として褐炭を適用したが、水分含量の高いものであれば、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等の泥炭を適用してもよく、また、高品位炭であっても適用可能である。また、湿潤燃料として、褐炭等の石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【0027】
実施例1において、図1に示すように、石炭ガス化複合発電設備100は、給炭装置111、流動層乾燥装置1、微粉炭機(ミル)113、石炭ガス化炉114、チャー回収装置115、ガス精製装置116、ガスタービン設備117、蒸気タービン設備118、発電機119、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)120を有している。
【0028】
給炭装置111は、原炭バンカ121と、石炭供給機122と、クラッシャ123とを有している。原炭バンカ121は、褐炭を貯留可能であって、所定量の褐炭を石炭供給機122に投下する。石炭供給機122は、原炭バンカ121から投下された褐炭をコンベアなどにより搬送し、クラッシャ123に投下する。このクラッシャ123は、投下された褐炭を細かく破砕して細粒化する。
【0029】
流動層乾燥装置1は、給炭装置111により投入された褐炭に対して過熱蒸気等の乾燥用蒸気を供給することで、褐炭を流動させながら加熱乾燥し、褐炭が含有する水分を除去するものである。この流動層乾燥装置1は、下部から取り出された乾燥済の褐炭(乾燥炭)を冷却する冷却器131が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭が乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置1は、上部から取り出された蒸気から乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭サイクロン133と乾燥炭電気集塵機134が設けられ、蒸気から分離された乾燥炭の粒子が乾燥炭バンカ132に貯留される。なお、乾燥炭電気集塵機134で乾燥炭が分離された蒸気は、蒸気圧縮機135で圧縮されてから流動層乾燥装置1に乾燥用蒸気として供給される。
【0030】
微粉炭機113は、石炭粉砕機であって、流動層乾燥装置1により乾燥された褐炭(乾燥炭)を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。すなわち、微粉炭機113は、乾燥炭バンカ132に貯留された乾燥炭が石炭供給機136により投下されると、この乾燥炭を所定粒径以下の微粉炭とする。そして、微粉炭機113で粉砕後の微粉炭は、微粉炭バグフィルタ137a,137bにより搬送用ガスから分離され、微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。
【0031】
石炭ガス化炉114は、微粉炭機113で処理された微粉炭が供給されると共に、チャー回収装置115で回収されたチャー(石炭の未燃分)が供給される。
【0032】
石炭ガス化炉114は、ガスタービン設備117(圧縮機161)から圧縮空気供給ライン141が接続されており、このガスタービン設備117で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置142は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン143が石炭ガス化炉114に接続され、この第1窒素供給ライン143に微粉炭供給ホッパ138a,138bからの給炭ライン144a,144bが接続されている。また、第2窒素供給ライン145も石炭ガス化炉114に接続され、この第2窒素供給ライン145にチャー回収装置115からのチャー戻しライン146が接続されている。更に、酸素供給ライン147は、圧縮空気供給ライン141に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
【0033】
石炭ガス化炉114は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。なお、石炭ガス化炉114は、微粉炭の混入した異物を除去する異物除去装置148が設けられている。この場合、石炭ガス化炉114は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉114は、チャー回収装置115に向けて可燃性ガスのガス生成ライン149が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン149にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置115に供給するとよい。
【0034】
チャー回収装置115は、集塵装置151と供給ホッパ152とを有している。この場合、集塵装置151は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉114で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。供給ホッパ152は、集塵装置151で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。なお、集塵装置151と供給ホッパ152との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ152を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ152からのチャー戻しライン146が第2窒素供給ライン145に接続されている。
【0035】
ガス精製装置116は、チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置116は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備117に供給する。なお、このガス精製装置116では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0036】
ガスタービン設備117は、圧縮機161、燃焼器162、タービン163を有しており、圧縮機161とタービン163は、回転軸164により連結されている。燃焼器162は、圧縮機161から圧縮空気供給ライン165が接続されると共に、ガス精製装置116から燃料ガス供給ライン166が接続され、タービン163に燃焼ガス供給ライン167が接続されている。また、ガスタービン設備117は、圧縮機161から石炭ガス化炉114に延びる圧縮空気供給ライン141が設けられており、圧縮空気供給ライン141に昇圧機168が介設されている。従って、燃焼器162では、圧縮機161から供給された圧縮空気とガス精製装置116から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン163にて、発生した燃焼ガスにより回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
【0037】
蒸気タービン設備118は、ガスタービン設備117における回転軸164に連結されるタービン169を有しており、発電機119は、この回転軸164の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ120は、ガスタービン設備117(タービン163)からの排ガスライン170に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ120は、蒸気タービン設備118のタービン169との間に蒸気供給ライン171が設けられると共に、蒸気回収ライン172が設けられ、蒸気回収ライン172に復水器173が設けられている。従って、蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169が駆動し、回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
【0038】
そして、排熱回収ボイラ120で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置174により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突175から大気へ放出される。
【0039】
ここで、実施例1の石炭ガス化複合発電設備100の作動について説明する。
【0040】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備100において、給炭装置111にて、原炭(褐炭)が原炭バンカ121に貯留されており、この原炭バンカ121の褐炭が石炭供給機122によりクラッシャ123に投下され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された褐炭は、流動層乾燥装置1により加熱乾燥された後、冷却器131により冷却され、乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置1の上部から取り出された蒸気は、乾燥炭サイクロン133及び乾燥炭電気集塵機134により乾燥炭の粒子が分離され、蒸気圧縮機135で圧縮されてから流動層乾燥装置1に乾燥用蒸気として戻される。一方、蒸気から分離された乾燥炭の粒子は、乾燥炭バンカ132に貯留される。
【0041】
乾燥炭バンカ132に貯留される乾燥炭は、石炭供給機136により微粉炭機113に投入され、ここで、細かい粒子状に粉砕されて微粉炭が製造され、微粉炭バグフィルタ137a,137bを介して微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。この微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される微粉炭は、空気分離装置142から供給される窒素により第1窒素供給ライン143を通して石炭ガス化炉114に供給される。また、後述するチャー回収装置115で回収されたチャーが、空気分離装置142から供給される窒素により第2窒素供給ライン145を通して石炭ガス化炉114に供給される。更に、後述するガスタービン設備117から抽気された圧縮空気が昇圧機168で昇圧された後、空気分離装置142から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン141を通して石炭ガス化炉114に供給される。
【0042】
石炭ガス化炉114では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、石炭ガス化炉114からガス生成ライン149を通して排出され、チャー回収装置115に送られる。
【0043】
このチャー回収装置115にて、可燃性ガスは、まず、集塵装置151に供給され、集塵装置151は、可燃性ガスに含まれるチャーを分離する。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、供給ホッパ152に堆積され、チャー戻しライン146を通して石炭ガス化炉114に戻されてリサイクルされる。
【0044】
チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置116にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備117では、圧縮機161が圧縮空気を生成して燃焼器162に供給すると、この燃焼器162は、圧縮機161から供給される圧縮空気と、ガス精製装置116から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン163を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
【0045】
そして、ガスタービン設備117におけるタービン163から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ120にて、空気と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備118に供給する。蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
【0046】
その後、ガス浄化装置174では、排熱回収ボイラ120から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突175から大気へ放出される。
【0047】
以下、上述した石炭ガス化複合発電設備100における流動層乾燥装置1について詳細に説明する。図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。実施例1の流動層乾燥装置1は、水分含量が高い石炭である褐炭を、流動化ガスにより流動させながら、加熱乾燥させるものである。
【0048】
図2に示すように、流動層乾燥装置1は、内部に褐炭が供給される乾燥炉5と、乾燥炉5の内部に設けられたガス分散板6と、を備えている。乾燥炉5は、長方体の箱状に形成されている。ガス分散板6は、乾燥炉5内部の空間を、鉛直方向下方側(図示下側)に位置するチャンバ室11と、鉛直方向上方側(図示上側)に位置する乾燥室12とに区分けしている。ガス分散板6には、多数の貫通孔が形成され、チャンバ室11には、蒸気等の流動化ガスが導入される。
【0049】
乾燥炉5の乾燥室12には、褐炭を投入する褐炭投入口31と、褐炭を加熱乾燥した乾燥炭を排出する乾燥炭排出口41と、流動化ガスおよび発生蒸気を排出するガス排出口42と、褐炭を加熱する伝熱管33と、伝熱管33を吊り下げ支持する吊下げ支持体34とが設けられている。
【0050】
褐炭投入口31は、乾燥室12の一端側(図示左側)に形成されている。褐炭投入口31には、上記したクラッシャ123が接続されており、細粒化された褐炭が、乾燥室12に供給される。
【0051】
乾燥炭排出口41は、乾燥室12の他端側(図示右側)に形成されている。乾燥炭排出口41からは、乾燥室12において乾燥された褐炭が、乾燥炭として排出され、排出された乾燥炭は上記した冷却器131へ向けて供給される。
【0052】
ガス排出口42は、乾燥室12の他端側における上面に形成されている。ガス排出口42は、褐炭の乾燥時において、乾燥室12に供給された流動化ガスと共に、乾燥室12から発生する発生蒸気を排出している。なお、ガス排出口42から排出された流動化ガスおよび発生蒸気は、上記した乾燥炭サイクロン133へ向けて供給される。
【0053】
乾燥室12に供給された褐炭は、ガス分散板6を介して供給される流動化ガスにより流動することで、乾燥室12内に流動層3を形成する。また、形成された流動層3の上方には、フリーボード部Fが形成される。乾燥室12に形成される流動層3は、その流動方向が、乾燥室12の長手方向(図2の左右方向)となっている。乾燥室12に供給された流動化ガスは、褐炭を乾燥させることにより発生した蒸気と共に、ガス排出口42から排出される。
【0054】
伝熱管33は、流動層3の内部に設けられており、その基端側が、乾燥炉5の側壁に固定される一方で、その先端側が、自由端となっている。伝熱管33は、その内部に乾燥用蒸気が供給され、流動層3の褐炭中の水分を除去している。よって、伝熱管33に乾燥用蒸気が供給されると、伝熱管33は、乾燥用蒸気の潜熱を利用して、乾燥室12内の褐炭を乾燥させる。この後、乾燥に利用された乾燥用蒸気は、乾燥室12の外部に排出される。
【0055】
吊下げ支持体34は、鉛直方向に亘って設けられており、その下方側の一端が、伝熱管33の下方側の部位に固定され、その上方側の他端が、乾燥炉5の上面に接続されている。乾燥炉5の上面には、吊下げ支持体34が挿通される挿通口38が貫通形成されている。そして、挿通口38を介して乾燥炉5の外部に突出する吊下げ支持体34の他端は、緩衝手段として機能するベローズダンパ39を介して、乾燥炉5の外部上面に接続されている。
【0056】
これにより、伝熱管33は、吊下げ支持体34およびベローズダンパ39を介して、乾燥炉5の上面に支持されるため、乾燥炉5における乾燥室12の底部となるガス分散板6との間に、褐炭が堆積しない空間を形成することができる。つまり、吊下げ支持体34は、乾燥炉5における乾燥室12の底部から離れた状態で、伝熱管33を支持している。
【0057】
以上のように、実施例1の構成によれば、伝熱管33が吊下げ支持体34により吊り下げ支持されることで、乾燥室12の底部に褐炭が堆積しない構成とすることができる。これにより、乾燥室12の底部における褐炭の堆積を抑制することができるため、褐炭を好適に流動させることができる。
【0058】
また、実施例1の構成によれば、吊下げ支持体34は、伝熱管33の下方側の部位に固定されるため、伝熱管33の重量を下方側から支持することができ、これにより、伝熱管33の重量を好適に支持することができる。また、吊下げ支持体34は、乾燥炉5の外部上面に接続されるため、伝熱管33の重量を乾燥炉5で支持することができる。
【0059】
また、実施例1の構成によれば、ベローズダンパ39を設けることにより、吊下げ支持体34と乾燥炉5との間の振動、または吊下げ支持体34と乾燥炉5との熱伸びを吸収することができるため、乾燥炉5、吊下げ支持体34および伝熱管33に加わる応力負荷を軽減することができる。
【実施例2】
【0060】
次に、図3を参照して、実施例2に係る流動層乾燥装置200について説明する。図3は、実施例2に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。なお、実施例2では、重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。実施例1の流動層乾燥装置1では、吊下げ支持体34により伝熱管33を乾燥炉5の上面に吊り下げて支持したが、実施例2の流動層乾燥装置200では、複数の側壁支持体205により伝熱管33を乾燥炉5の側壁に固定している。
【0061】
図3に示すように、流動層乾燥装置200は、実施例1と同様に、乾燥炉5と、ガス分散板6とを備え、乾燥炉5は、ガス分散板6によりチャンバ室11と乾燥室12とに区分けされている。乾燥室12には、褐炭投入口31と、乾燥炭排出口41と、ガス排出口42と、伝熱管33と、複数の側壁支持体205とが設けられている。なお、褐炭投入口31、乾燥炭排出口41、ガス排出口42および伝熱管33は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
伝熱管33は、その基端側が、乾燥炉5の対向する一方の側壁5aに固定される一方で、その先端側が、自由端となっている。複数の側壁支持体205は、鉛直方向に並べて設けられ、各側壁支持体205は、水平方向に亘って設けられており、その一端が、伝熱管33の先端側の部位に接続され、その他端が、乾燥炉5の対向する他方の側壁5bに固定されている。
【0063】
これにより、伝熱管33は、その基端側が乾燥炉5の一方の側壁5aに固定され、その先端側が側壁支持体205を介して乾燥炉5の他方の側壁5bに固定されるため、乾燥炉5における乾燥室12の底部となるガス分散板6との間に、褐炭が堆積しない空間を形成することができる。つまり、側壁支持体205も、実施例1の吊下げ支持体34と同様に、乾燥炉5における乾燥室12の底部から離れた状態で、伝熱管33を支持している。
【0064】
以上のように、実施例2の構成においても、伝熱管33が側壁支持体205により支持されることで、乾燥室12の底部に褐炭が堆積しない構成とすることができる。これにより、乾燥室12の底部における褐炭の堆積を抑制することができるため、褐炭を好適に流動させることができる。
【0065】
また、実施例2の構成によれば、側壁支持体205は、伝熱管33の先端側の部位を側壁5bに固定されるため、伝熱管33の重量を両持ちで好適に支持することができる。また、側壁支持体205は、乾燥炉5の側壁5bに固定されるため、伝熱管33の重量を乾燥炉5で支持することができる。
【実施例3】
【0066】
次に、図4を参照して、実施例3に係る流動層乾燥装置206について説明する。図4は、実施例3に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。なお、実施例3でも、重複した記載を避けるべく、実施例2と異なる部分についてのみ説明する。実施例2の流動層乾燥装置200では、複数の側壁支持体205により伝熱管33を乾燥炉5の側壁に固定したが、実施例3の流動層乾燥装置206では、実施例2の構成に加え、側壁支持体205の側壁側の他端と、乾燥炉5の側壁5bとの間に緩衝手段を設けている。
【0067】
図4に示すように、流動層乾燥装置206は、実施例2と同様に、乾燥炉5と、ガス分散板6とを備え、乾燥炉5は、ガス分散板6によりチャンバ室11と乾燥室12とに区分けされている。乾燥室12には、褐炭投入口31と、乾燥炭排出口41と、ガス排出口42と、伝熱管33と、複数の側壁支持体205とが設けられている。なお、褐炭投入口31、乾燥炭排出口41、ガス排出口42および伝熱管33は、実施例2と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
伝熱管33は、その基端側が、乾燥炉5の対向する一方の側壁5aに固定される一方で、その先端側が、自由端となっている。複数の側壁支持体205は、鉛直方向に並べて設けられ、各側壁支持体205は、水平方向に亘って設けられており、その一端が、伝熱管33の先端側の部位に接続され、その他端が、乾燥炉5の側壁5bに接続されている。乾燥炉5の側壁5bには、各側壁支持体205がそれぞれ挿通される挿通口207が貫通形成されている。そして、挿通口207を介して乾燥炉5の外部に突出する側壁支持体205の他端は、緩衝手段として機能するベローズダンパ208を介して、乾燥炉5の側壁5bに接続されている。このとき、側壁支持体205の他端には、側壁支持体205を支持すると共に側壁支持体205の鉛直方向への移動を規制する規制部材209が設けられている。
【0069】
これにより、伝熱管33は、側壁支持体205およびベローズダンパ208を介して、乾燥炉5の側壁5bに支持されるため、乾燥炉5における乾燥室12の底部となるガス分散板6との間に、褐炭が堆積しない空間を形成することができる。
【0070】
以上のように、実施例3の構成によれば、ベローズダンパ208を設けることにより、側壁支持体205と乾燥炉5との間の振動、または側壁支持体205と乾燥炉5との熱伸びを吸収することができるため、乾燥炉5、側壁支持体205および伝熱管33に加わる応力負荷を軽減することができる。
【実施例4】
【0071】
次に、図5を参照して、実施例4に係る流動層乾燥装置210について説明する。図5は、実施例4に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。なお、実施例4でも、重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。実施例1の流動層乾燥装置1では、吊下げ支持体34により伝熱管33を乾燥炉5の上面に吊り下げて支持したが、実施例4の流動層乾燥装置210では、伝熱管215の先端側および基端側を乾燥炉5の両側壁に固定している。
【0072】
図5に示すように、流動層乾燥装置210は、実施例1と同様に、乾燥炉5と、ガス分散板6とを備え、乾燥炉5は、ガス分散板6によりチャンバ室11と乾燥室12とに区分けされている。乾燥室12には、褐炭投入口31と、乾燥炭排出口41と、ガス排出口42と、伝熱管215とが設けられている。なお、褐炭投入口31、乾燥炭排出口41およびガス排出口42は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
伝熱管215は、その基端側が、乾燥炉5の対向する一方の側壁5aに固定される一方で、その先端側が、乾燥炉5の対向する他方の側壁5bに固定される。このとき、伝熱管215は、その先端側が、乾燥炉5の側壁5bを貫通し、乾燥炉5の外部へ突出している。
【0074】
これにより、伝熱管215は、その基端側が乾燥炉5の一方の側壁5aに固定され、その先端側が乾燥炉5の一方の側壁5bに固定されるため、乾燥炉5における乾燥室12の底部となるガス分散板6との間に、褐炭が堆積しない空間を形成することができる。つまり、乾燥炉5の側壁5bが支持体として機能しており、乾燥炉5における乾燥室12の底部から離れた状態で、伝熱管215を支持している。
【0075】
以上のように、実施例3の構成においても、伝熱管215が乾燥炉5の側壁5bにより支持されることで、乾燥室12の底部に褐炭が堆積しない構成とすることができる。これにより、乾燥室12の底部における褐炭の堆積を抑制することができるため、褐炭を好適に流動させることができる。
【0076】
なお、実施例4では、伝熱管215の先端側を、乾燥炉5の側壁5bに貫通させて固定したが、この構成に限らず、伝熱管215の先端側を、乾燥炉5の側壁5bに貫通させずに固定してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 流動層乾燥装置
3 流動層
5 乾燥炉
6 ガス分散板
11 チャンバ室
12 乾燥室
31 褐炭投入口
33 伝熱管
34 吊下げ支持体
38 挿通口
39 ベローズダンパ
41 乾燥炭排出口
42 ガス排出口
200 流動層乾燥装置(実施例2)
205 側壁支持体
206 流動層乾燥装置(実施例3)
207 挿通口
208 ベローズダンパ
209 規制部材
210 流動層乾燥装置(実施例4)
215 伝熱管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤燃料を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層を形成する乾燥炉と、
前記流動層の内部に設けられた伝熱管と、
前記乾燥炉の底部から離れた状態で、前記伝熱管を支持する支持体と、を備えたことを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記伝熱管を前記乾燥炉に吊り下げ支持する吊下げ支持体であることを特徴とする請求項1に記載の流動層乾燥装置。
【請求項3】
前記吊下げ支持体は、その一端が、前記伝熱管の鉛直方向における下方側の部位に接続され、その他端が、前記乾燥炉の鉛直方向の上方側における部位に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の流動層乾燥装置。
【請求項4】
前記吊下げ支持体の他端と前記乾燥炉の上方側における部位との間に設けられ、前記吊下げ支持体と前記乾燥炉との振動、または前記吊り下げ支持体と前記乾燥炉との熱伸びを吸収する緩衝手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の流動層乾燥装置。
【請求項5】
前記支持体は、前記伝熱管を前記乾燥炉の側壁に支持する側壁支持体であることを特徴とする請求項1に記載の流動層乾燥装置。
【請求項6】
前記伝熱管は、その基端側が、前記乾燥炉の対向する一方の側壁に固定される一方で、その先端側が、自由端となっており、
前記側壁支持体は、その一端が、前記伝熱管の先端側の部位に接続され、その他端が、前記乾燥炉の対向する他方の側壁に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の流動層乾燥装置。
【請求項7】
前記側壁支持体の側壁側の他端と前記乾燥炉の側壁との間に設けられ、前記側壁支持体と前記乾燥炉との振動、または前記側壁支持体と前記乾燥炉との熱伸びを吸収する緩衝手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の流動層乾燥装置。
【請求項8】
前記伝熱管は、その基端側が、前記乾燥炉の対向する一方の側壁に固定される一方で、その先端側が、前記乾燥炉の対向する他方の側壁に固定されており、
前記支持体は、前記伝熱管の先端側が固定される前記乾燥炉の他方の側壁であることを特徴とする請求項1に記載の流動層乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44461(P2013−44461A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181667(P2011−181667)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】