説明

流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法

【課題】炭種切替えを行い、悪化した流動床ボイラの炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、早期に良好な状態に回復させる流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法を提供する。
【解決手段】流動媒体タンク31、32、41、42に貯留する流動媒体を火炉11、21へ供給し、又は火炉11、21内の流動媒体を流動媒体タンク31、32、41、42に抜出し火炉11、21内の層高を調整する流動床ボイラ10、20において、炭種切替えを行い、悪化した炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、火炉11、21内の流動媒体と流動媒体タンク31、32、41、42の流動媒体との入替えを積極的に行い、炉内流動状態を早期に良好な状態に回復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭種切替えを行い、悪化した流動床ボイラの炉内流動状態を良好な状態に回復させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧流動床複合発電プラントは、加圧流動床ボイラを用い石炭を燃焼させた燃焼熱により蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動するとともに、燃焼ガスでガスタービンを駆動させ発電する複合発電プラントである。加圧流動床ボイラは、流動媒体をボイラ内で流動化させ、供給される石炭を流動化させながら燃焼させるため、燃焼温度が約870℃と低い。その結果、窒素酸化物の発生が抑制され、さらに流動媒体に石灰石を使用することで、炉内脱硫も同時に行われるなどの長所を有している。
【0003】
加圧流動床ボイラでは流動層の高さ(層高)を調整して蒸気量を調整するため、層高の調整は非常に重要であり、原料中の石灰石の割合、火炉からの流動媒体の抜出し量、流動媒体タンクへの流動媒体の抜出し及び流動媒体タンクから火炉への流動媒体の供給等を通じて層高の調整が行われる。また流動媒体の粒径は、層高の調整、流動状態に影響し、特に流動媒体中の粗粒流動子、ズリの濃度管理は重要であり、通常、ズリ濃度には管理値又は目標値が設定されズリ濃度が管理値又は目標値以下になるように管理される。ここで粗粒流動子とは、流動媒体の中で比較的粒径の大きいものを言い、さらにその中でも粒径が3.35mm以上のものをズリと言う。
【0004】
従来から炭種が異なると、燃焼状態、炉内流動特性等が変化することが指摘されており、これに対する対策案も多く提案されている。例えば加圧流動床ボイラにおいて炭種の違い、運転状況の変化により変動する窒素酸化物NO、亜酸化窒素NOの量を予測し、燃焼排ガス温度を制御することによって窒素酸化物の発生を抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また加圧流動床ボイラへ供給する炭種が切替わると流動床ボイラの層温度、層高、流動媒体の炉内流動特性、及びスラリー粘度が変化することが知られており、これに対して本件出願人は、炭種切替えの際の火炉層温、層高の管理方法、安定操業を行うことができる流動媒体の炉内流動特性管理方法、及び適正にスラリー粘度を管理するスラリー粘度管理方法に関する発明を完成させ、既に特許出願を行っている(例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−132413号公報
【特許文献2】特開2007−322070号公報
【特許文献3】特開2008−64411号公報
【特許文献4】特開2008−157546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで石炭は、炭種によりカロリー、灰分、付着水分等が異なるため海外から輸入された新たな石炭を使用する場合、本格的な運転に先立ち、燃焼状態などを確認しておく必要がある。このため通常、運転実績のある石炭(ベース炭)と新たな石炭とを混合して同時に燃焼させる多炭種燃焼試験が行われる。
【0007】
多炭種燃焼試験において、炭種によっては流動媒体中の粗粒流動子、ズリの濃度が非常に高くなることがある。流動媒体中の粗粒流動子、ズリの濃度が高くなると流動状態が悪化するため、流動媒体を火炉から抜出す炉底抜出し回数を増加させ流動状態の改善を図ることが一般的である。またベース炭には通常、粗粒流動子、ズリの濃度が高くなりにくい炭種が選定されているため多炭種燃焼試験からベース炭への切替えを行うことでも、炉内の流動状態は改善される。しかしながら従来、多炭種燃焼試験において流動状態が悪化した場合ベース炭への切替えを行っても、炉内の流動状態はなかなか改善されず、ベース炭へ切替えた後も長期間にわたり炉底抜出し回数を増加させた状態を継続する必要があった。
【0008】
炉底抜出し回数の増加は動力費及び灰処理費の増加につながるため、早期に炉内の流動状態を改善させる方法の開発が待たれている。上記特許文献3、4に記載の技術は、炭種の切替えに伴い変化する炉内流動状態を良好な状態にするに有用な技術ではあるが、悪化した炉内流動状態を早期に改善させるに十分な技術とは言い難い。
【0009】
本発明の目的は、炭種切替えを行い、悪化した流動床ボイラの炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、早期に良好な状態に回復させる流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来の方法において、炭種切替えを行っても悪化した流動床ボイラの炉内流動状態が早期に回復しない原因を鋭意検討したところ、火炉の層高を調整する流動媒体を貯留する流動媒体タンク内の流動媒体が、炉内流動状態が悪化したときの流動媒体であり、この中に多くの粗粒流動子、ズリが含まれていることが原因であることを突止め本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の本発明は、流動媒体タンクに貯留する流動媒体を火炉へ供給し、又は火炉内の流動媒体を流動媒体タンクに抜出し火炉内の層高を調整する流動床ボイラにおいて、炭種切替えを行い、悪化した炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、火炉内の流動媒体と流動媒体タンクの流動媒体との入替えを積極的に行い、炉内流動状態を早期に良好な状態に回復させることを特徴とする流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法である。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法において、前記炉内流動状態の悪化は、流動媒体中の粗粒流動子、ズリの割合が上昇したことに起因することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法において、前記炉内流動状態の悪化は、多炭種燃焼試験によることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法において、前記炭種切替えが多炭種燃焼試験時の炭種からベース炭への切替えであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法は、炭種切替えを行い、悪化した流動床ボイラの炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、火炉内の流動媒体と流動媒体タンク内の流動媒体との入替えを積極的に行う。これにより流動媒体タンク内の流動媒体中に含まれていた多くの粗粒流動子、ズリが早期に払い出され、炉内流動状態を早期に良好状態に回復させることができる。このような流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法は、流動状態が悪化した多炭種燃焼試験からベース炭への切替え時に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態としての流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法を適用する加圧流動床ボイラの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態としての流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法における、BM循環要領を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の一形態としての流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法を適用する加圧流動床ボイラ10、20の概略構成を示す図である。ここで示す加圧流動床ボイラ10、20は、加圧流動床複合発電(PFBC:Pressurized Fluidized Bed combined Cycle)プラントに使用される加圧流動床ボイラである。
【0018】
加圧流動床複合発電プラントは、加圧流動床ボイラ10、20を用い石炭を燃焼させた燃焼熱により蒸気を発生させ、蒸気タービン(図示を省略)を駆動するとともに、燃焼ガスでガスタービン(図示を省略)を駆動させ発電する複合発電プラントである。
【0019】
2基の加圧流動床ボイラ10、20は、それぞれ圧力容器12、22内に火炉11、21を備え、火炉11、21は、それぞれ流動媒体(BM:Bed Material、以下流動媒体をBMと記す場合もある)である石灰石を保有し、火炉11、21の底部から燃焼空気が火炉11、21内に送り込まれる。これにより流動媒体が流動化し、火炉11、21内に流動層が形成される。ここでは2つの火炉を区別するために図面向かって左をA火炉、右をB火炉とする。燃焼空気は、それぞれ圧力容器12、22内に供給された後、火炉11、21に送り込まれ、火炉11、21及び圧力容器12、22内は加圧状態に維持されている。燃料は、所定の粒径に調整された石炭、石灰石及び水からなる石炭・水ペースト(CWP:Coal Water Paste)として、火炉11、21の底部に供給される。石炭は、火炉11、21内で流動化状態で燃焼し、燃焼に伴い発生する硫黄酸化物は、石灰石と反応し石膏となる。
【0020】
水・蒸気管80は、2基の加圧流動床ボイラ10、20に跨って配設され、給水は、B火炉21で加熱された後、A火炉11に導かれ汽水分離器82で水が分離される。蒸気は、A火炉11、B火炉21、A火炉11の順に加熱され、高圧ガスタービン(図示を省略)に送られる。高圧ガスタービンを駆動した蒸気は、再びB火炉21に導かれて再熱された後、中圧タービン(図示を省略)及び低圧タービン(図示を省略)に導かれこれらタービンを駆動する。高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンには、同軸上に発電機(図示を省略)が接続されており、各タービンが駆動されることで発電が行われる。タービンを駆動した蒸気は、復水器(図示を省略)で復水とされた後、給水ポンプ(図示を省略)で昇圧、給水加熱器(図示を省略)で加熱され給水となる。
【0021】
火炉11、21で石炭が燃焼し発生する高温高圧の燃焼ガスは、火炉11、21の上部に連通接続される排ガス配管85、86を通じてガスタービン(図示を省略)に送られ、ガスタービンを回転駆動する。ガスタービンは同軸上に燃焼空気を製造するコンプレッサ(図示を省略)及び発電機(図示を省略)を接続し、ガスタービンを駆動させることで発電及び燃焼空気が製造され、燃焼空気は圧力容器12、22に供給される。
【0022】
火炉11、21には、流動層の高さ(層高)を調整するための流動媒体を貯留する流動媒体タンク(BMタンク)がそれぞれ2基設けられている。A火炉11と接続するBMタンクをA−1BMタンク31、A−2BMタンク32、B火炉21と接続するBMタンクをB−1BMタンク41、B−2BMタンク42とする。各流動媒体タンク31、32、41、42の底部は、流動媒体を火炉11、21に供給する供給管33、34、43、44が設けられ、流動媒体タンク31、32、41、42の頂部は、火炉11、21から流動媒体を抜出すための抜出し管35、36、45、46が接続する。
【0023】
また火炉11、21の底部には、各火炉11、21内に析出した塵芥を含む流動媒体を排出するための炉底抜出し管51、52、61、62が接続する。炉底抜出し管51、52、61、62の管路の途中にはロックホッパ53、54、63、64が設けられ、塵芥を含む流動媒体は、ここで一度圧力を低下させた後、灰処理ライン70を通してBM中継サイロに気流搬送される。灰処理ライン70の一端部には、気流搬送用空気を送り込むBM圧送用ブロワ72が設けられている。
【0024】
流動床ボイラ10、20の炉内流動状態の早期回復方法について、炉内の流動状態が悪化した多炭種燃焼試験からベース炭への切替えを行い、炉内の流動状態を早期に回復させる場合を例に取り説明する。
【0025】
まず多炭種燃焼試験時の運転要領を流動媒体の動きを中心に説明する。A火炉11及びB火炉21にそれぞれCWPが供給され石炭が燃焼することで灰分が出る。同時に石灰石が供給されるので、火炉11、12内に余剰の流動媒体が生じる。このため炉内の流動状態が良好な状態においては、流動媒体を排出する炉底抜出しが一系統当たり2〜3回/日、火炉当たりでは4〜6回/日程度の頻度で行われる。炉内の流動媒体中の粗粒流動子、ズリの濃度が高くなると、流動状態が悪化するので、炉内の流動媒体中のズリ濃度が2重量%を超えると粗粒流動子、ズリ濃度を低下させるべく炉底抜出しが行われる。このため炉内の流動状態が悪化した場合には、火炉当たり10〜16回/日程度の頻度で炉底抜出しが行われる。
【0026】
炉底抜出し回数が増加すると炉内の層高が低下するので、CWP中の石灰石の割合L/Cを大きくし、石灰石の供給量を増加させ層高を所定の高さに維持する。これでも層高を所定の高さに維持できないときは、BMタンク31、32、41、42に貯留する流動媒体を火炉11、21へ供給し、層高を維持する。一方、火炉11、21の層高を下げたいときは、火炉11、21内の流動媒体をBMタンク31、32、41、42に抜出す操作が行われる。また層高の上げ下げに拘わらず、BMタンク31、32、41、42と火炉11、21とを結ぶ管路が閉塞しないように1日に1回の頻度で、BMタンク31、32、41、42から火炉11、21に流動媒体を供給し、火炉11、21からBMタンク31、32、41、42へ流動媒体を抜出すBM循環操作が行われる。このように火炉11、12内の流動媒体の一部は、BMタンク31、32、41、42へ抜出されるため火炉11、21内の流動媒体に粗粒流動子、ズリが含まれているとBMタンク31、32、41、42内の流動媒体にも粗粒流動子、ズリが含まれることとなる。火炉11、21内の流動媒体中の粗粒流動子、ズリ濃度が高い程、また火炉11、21からBMタンク31、32、41、42への抜出しが多い程、BMタンク31、32、41、42内の流動媒体に含まれる粗粒流動子、ズリの量が多くなる。
【0027】
多炭種燃焼試験において、火炉11、21内の流動媒体中の粗粒流動子、ズリ濃度が上昇し、炉内の流動状態が悪化した状態から、ベース炭に切替える。ベース炭に切替えた後、図2に示す要領でBM循環操作を行い、BMタンク内の流動媒体を火炉11、21内の流動媒体に早期に置換する。
【0028】
BM循環は火炉11、21に及ぶ影響が出来るだけ少なくなるように、4つのBMタンクの流動媒体の供給、抜出しを所定の順番に行う。具体的には、A−1BMタンク31から約0.9mの流動媒体を7分間掛けてA火炉11に供給する(ステップS1)。その後直ちにA火炉11から約0.9mの流動媒体を7分間掛けてA−2BMタンク32へ抜出す(ステップS2)。BM循環操作開始15分後からB−1BMタンク41から約0.9mの流動媒体を7分間掛けてB火炉21に供給する(ステップS3)。その後直ちにB火炉21から約0.9mのBMを7分間掛けてB−2BMタンク42へ抜出す(ステップS4)。上記操作では火炉11、21毎に、流動媒体の供給に引続き直ちに流動媒体の抜出しが行われ、かつ1回当たりの流動媒体の供給量、抜出し量は火炉11、21内の流動媒体の約1容量%であるからA火炉11、B火炉21とも層高は大きく変動せず、流動状態に与える影響も非常に少ない。
【0029】
BM循環操作開始60分後からA−2BMタンク32からの供給(ステップS5)、A−1BMタンク31への抜出し(ステップS6)、B−2BMタンク42からの供給(ステップS7)、B−1BMタンク41への抜出し操作(ステップS)を行う。各供給、抜出し要領は、前記要領と同じである。ステップS1からステップS8までの操作で1回のBM循環操作が終了する。1回のBM循環操作に要する時間は2時間である。このBM循環操作を6時間毎に1回、1日に計4回行う。
【0030】
従来、多炭種燃焼試験において、火炉11、21内の流動媒体中の粗粒流動子、ズリ濃度が上昇し、炉内の流動状態が悪化した状態からベース炭に切替えたとき、早期に炉内流動状態を改善させるべく、多炭種燃焼試験と同様に炉底抜出し回数を多くしていた。この方法では、炉底抜出し回数の増加により炉内の粗粒流動子、ズリ濃度は一時的に低下するが、BMタンク31、32、41、42から火炉11、21への流動媒体の供給により再び炉内に粗粒流動子、ズリが供給される結果、早期に炉内流動状態を改善させることができない。これはBMタンク31、32、41、42中の流動媒体に粗粒流動子、ズリが含まれなくなるまで続く。上記実施形態で示すように本発明においては、BM循環操作の回数を従来の4倍としているため、単純計算でBMタンク31、32、41、42内の流動媒体は4倍の速度で置換される。BMタンク31、32、41、42内の流動媒体が粗粒流動子、ズリのない又は粗粒流動子、ズリの少ない正常な流動媒体に置換された後は、BMタンク31、32、41、42から火炉11、21に流動媒体を供給しても炉内流動状態は悪化することはない。
【0031】
流動媒体の循環回数は4回に限定されるものではなく、火炉11、21の運転状態等により適宜決定することができる。BM循環操作回数を多くするほど、BMタンク31、32、41、42内の流動媒体の置換も早く終了するが、必要以上に短い間隔で火炉11、21からのBMタンク31、32、41、42への抜出し、火炉11、21への流動媒体の供給を行うと火炉11、21の流動状態が安定しないため、火炉11、21の流動状態が安定するに十分な間隔をあけてBM循環を行うことが好ましい。
【0032】
以上のように本発明に係る流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法は、従来の方法において、炉内流動状態が早期に回復しない原因が、BMタンクに粗粒流動子、又はズリが多く含まれた流動媒体が貯留されていることにあることを突止め発明を完成させたものであり、炭種切替えを行い、悪化した流動床ボイラの炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、火炉内の流動媒体とBMタンク内の流動媒体との入替えを積極的に行うことで炉内流動状態を早期に良好状態に回復させるので、結果、炉底抜出しの回数が減少し、炉底抜出し時の動力の低減、灰処理費を低減させることができる。このような流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法は、炉内の流動状態が悪化した多炭種燃焼試験からベース炭への切替え時のみならず、何らかの原因でベース炭に異物(石)が混入し、粗粒流動子、ズリ濃度が上昇した場合にも好適に使用することができる。また本発明に係る流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法は、加圧流動床ボイラのみならず、BMタンクを備える常圧流動床ボイラにも適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10、20 加圧流動床ボイラ
11、21 火炉
12、22 圧力容器
31 A−1BMタンク
32 A−2BMタンク
33、34、43、44 供給管
35、36 45、46 抜出し管
41 B−1BMタンク
42 B−2BMタンク
51、52、61、62 炉底抜出し管
53、54、63、64 ロックホッパ
70 灰処理ライン
72 BM圧送ブロワ
80 水・蒸気管
82 汽水分離器
85、86 排ガス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動媒体タンクに貯留する流動媒体を火炉へ供給し、又は火炉内の流動媒体を流動媒体タンクに抜出し火炉内の層高を調整する流動床ボイラにおいて、炭種切替えを行い、悪化した炉内流動状態を良好な状態に回復させるとき、火炉内の流動媒体と流動媒体タンクの流動媒体との入替えを積極的に行い、炉内流動状態を早期に良好な状態に回復させることを特徴とする流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法。
【請求項2】
前記炉内流動状態の悪化は、流動媒体中の粗粒流動子、ズリの割合が上昇したことに起因することを特徴とする請求項1に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法。
【請求項3】
前記炉内流動状態の悪化は、多炭種燃焼試験によることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法。
【請求項4】
前記炭種切替えが多炭種燃焼試験時の炭種からベース炭への切替えであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の流動床ボイラの炉内流動状態早期回復方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−185461(P2011−185461A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48459(P2010−48459)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】