説明

流動食品の包装機械のための包装材料ウェブの殺菌ユニットおよび方法

流動食品を包装する機械のためのウェブ(2)を殺菌する殺菌ユニット(1,1’)であって、第1の温度(T)の液体殺菌剤を収容する殺菌室(3)と、ウェブ(2)が流動食品用のシール部分のあるパッケージの連続体へと形成される前に、殺菌室(3)を通してウェブ(2)を給送する搬送手段(9a,9b,9c)と、殺菌剤のための保持タンク(11)と、タンク(11)から殺菌剤を殺菌室(3)へ給送するために選択的に作動される給送手段(13,15,16,12)と、包装機械が停止した場合、殺菌室(3)から殺菌剤をタンク(11)へドレンするために選択的に作動されるドレン手段(12,17,18)と、パッケージ製造サイクルの終了時に選択的に作動されて、タンク(11)内の殺菌剤を第1の温度(T)よりも低い第2の温度(T)まで冷却する冷却手段(55;55’)とを有するユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動食品を包装する機械のための包装材料ウェブを殺菌するユニットおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既知のように、フルーツジュース、UHT(超高温処理)ミルク、ワイン、トマトソース等の多くの食品は殺菌処理済み包装材料で作られたパッケージに詰めて販売されている。
【0003】
この形式のパッケージの典型例は、テトラ・ブリック・アセプティック(登録商標)として知られている液体や流動食品用の平行六面体形状のパッケージであり、積層された包装材料ストリップを折曲げ、そしてシールすることで作られている。
【0004】
この包装材料は、剛性および強度を得るための例えば紙のような繊維材料層で形成され得る基材層と、基材層の両面を覆う複数の例えばポリエチレンフィルムのような熱シール可能なプラスチック材料層とを実質的に含む複層構造を有している。
【0005】
UHTミルクのような長期保存製品用の無菌パッケージの場合には、包装材料は熱シール可能なプラスチック材料層の上に重ねられるアルミニュウム箔やエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムのような気体および光遮断材料の層をさらに含むのであり、この層は、その上をさらに他の熱シール可能なプラスチック材料層で覆われ、このプラスチック材料層が最終的に食品に接触することになるパッケージ内面を形成するのである。
【0006】
公知のように、この種のパッケージは全自動包装機械によって製造されており、包装機械においてウェブとして給送される包装材料から連続チューブが形成される。包装材料ウェブはリールから繰出され、殺菌ユニットを通して送られるのであり、このユニットでは、例えば過酸化水素水の濃縮液ような液状殺菌剤室内に浸漬することで殺菌が行われる。
【0007】
ウェブはその後、カネにより殺菌剤が蒸発される無菌室へ送られる。その後、ウェブは、知られているように円筒形となるように折曲げられ、長手方向にシールされて垂直方向の連続チューブが形成される。このチューブは、事実上、無菌室の延長空間を形成する。この包装材料チューブは流動食品を連続的に充填された後、成形/シールユニットへ送られる。成形/シールユニットでは、チューブは対をなすジョーの間にグリップされ、このジョーがチューブを横方向にシールして枕形パックを形成する。枕形パックはその後に2つの隣接パックを結合しているシール部分を切断することで互いに分離され、また、最終折曲げステーションへ搬送されて、機械的に完成形状となるように折曲げられる。
【0008】
さらに詳しくは、殺菌ユニットは殺菌剤を収容する室を含み、その室内へウェブが連続的に給送される。殺菌室は通常、U字形通路を形成するために底部で連結されている2つの平行な垂直方向の走行路を含み、走行路はウェブの走行速度に対して包装材料を処理する十分な時間を与える長さとされる。
【0009】
殺菌室の寸法を小さくして例えば約7秒の効果的で比較的速い処理を行うために、殺菌剤は高温度、例えば約73℃に保持されねばならない。既知の殺菌ユニットでは、例えば殺菌室の垂直走行路の壁に電気ヒーターを取付けることで達成することができる。
【0010】
通常はポリエチレンとされる熱シール可能なプラスチック材料層で覆われることで、包装材料ウェブの両面は殺菌剤に対する完全な不浸透性となる。しかしながら、ウェブの両縁に沿って繊維材料層が露出され、殺菌剤が滲み込む傾向を示す。これは「縁部ウィッキング(edge wicking)」として業界で知られており、許容範囲内の残留とするために、機械の通常運転時の場合にそうであるように、ウェブは殺菌室内に短時間しか留まれなくなる。
【0011】
しかしながら、何らかの理由で機械が停止してしまうと、殺菌室を即座に空にしなければならない。そうしないと、繊維材料層の縁に殺菌剤が滲み込み、幅数ミリメートルの縁部ウィッキングが、上述した包装材料チューブの形成のための引続くウェブの長手方向シール作業に必然的に悪影響を及ぼすことになる。
【0012】
換言すれば、機械が停止したときには、殺菌剤は通常の二重壁構造の保持タンク内へ即座にドレンされる。内側壁は殺菌剤を収容するタンクの内側シェルを形成し、外側壁は該タンクの外側シェルを形成し、外側壁は内側壁とともに通常は空気の充填される空隙を形成しており、この空隙は殺菌剤の断熱を行う。
【0013】
知られた機械で、短時間停止の場合、通常は15〜20を超えず、特に機械の再始動時には、殺菌室を空にするにも拘わらず、いずれにしても縁部ウィッキングが生じる傾向を示す。
【0014】
この現象を注意深く研究することで幾つかの原因が確認された。その主要な原因とは、 紙の製造コストの理由である程度まで減少させることはできるが、繊維材料の多孔性と、
必要とする処理時間に依存するU字形殺菌室の高さによって減少することが同様に困難な、殺菌ユニットの構造を変更する、したがってシステムが全体として複雑化することでのみ減少できる静水圧と、
停止時の殺菌室の、および殺菌室へ戻すときの殺菌剤の温度とである。
【0015】
特に後者に関しては、停止時の殺菌室温度と殺菌室へ戻される殺菌剤温度の間のたった数度の温度差が厳しい縁部ウィッキングを生じることが見出された。通常機械では、この温度差は、殺菌室を空にすることで生じる熱吸収量の低下に対する温度制御の応答性の遅れにより、空にされた殺菌室の温度が上昇する傾向を示すことによって生じる。したがって殺菌室内の温度は通常大体少なくとも80℃である。この結果、付き室の壁部および包装材料内の残留殺菌剤は蒸発する傾向を示し、これにより殺菌室の飽和蒸気状態を生じ、このようにして繊維材料層の孔は飽和した空気/蒸気の混合気を収容することになる。
【0016】
液体殺菌剤は、殺菌室内温度よりも必然的に低い温度で殺菌室へ供給され、ウェブ温度、したがって孔内の空気/蒸気混合気の温度は低下される。この低下は、ほんの僅かなパーセンテージでの体積収縮を生じる特に無視できる程度の影響しか空気に対して与えないが、蒸気に対しては非常に重大な影響を及ぼし、再凝縮を生じて非常に小さな体積の液体状態となる。この劇的な体積の減少は繊維材料層の孔内へ殺菌剤を「吸入」する作用を有し、これが縁部ウィッキングの主原因である。
【0017】
この問題を解決する方法として、殺菌剤が殺菌室へ給送される前に加熱されるように殺菌ユニットが工夫された。
【0018】
例えばパッケージ製造サイクルの終了時のように長時間停止する場合には、たとえ包装機械が再始動されるときであっても、殺菌剤の同様な保持タンクへのドレンは縁部ウィッキングを防止するのに十分である。長い停止の間、殺菌室内の残留殺菌剤は蒸発し、殺菌室内の相対湿度は低下する。包装機械がサイクル停止後に再始動されるとき、殺菌室および包装機械内の包装材料は完全に乾燥している。
【0019】
上述形式の知られた殺菌ユニットでは、殺菌室および包装機械の他の殺菌部品物は、各々の製造サイクルの終了時に換気され、ブローにより全ての残留殺菌剤が空気中に取り除かれる。また、その後に、殺菌室およびそれらの部品は水を噴霧され、残留殺菌剤が除去される。
【0020】
上述形式の包装機械は広範の食品工業界で広く納得されて使用されており、また、特に殺菌ユニットの性能は、無菌パッケージおよび残留殺菌剤の許容量を管理する法規の観点から十分な余裕を持って安全性を保証するものである。
【0021】
しかしながら、特に殺菌剤の平均的「寿命」、すなわち殺菌剤が有効性を保持する平均的な時間長さに関して、さらに他の改良の必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、上述した既知の殺菌ユニットに比較して、簡単かつ安価に殺菌剤の平均的な寿命を延長させる殺菌ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載されたような殺菌ユニットが提供される。
【0024】
本発明はまた、特許請求の範囲の請求項9に記載したような殺菌方法にも関するものである。
【0025】
2つの好ましいが限定する意図のない本発明の実施例が、添付図面を参照して例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例の回路ダイヤグラムを示す。
【図2】或る作動状況のもとでの本発明の第2の実施例の部分的な回路ダイヤグラムを示す。
【図3】異なる作動状況のもとでの本発明の第2の実施例の部分的な回路ダイヤグラムを示す。
【実施例1】
【0027】
図1の符号1は、流動食品を包装する上述した既知の形式の包装機械のための、包装材料ウェブ2を殺菌する殺菌ユニットを全体として示す。
【0028】
ウェブ2は、図示していないが知られた方法によってリールから繰出されてユニット1へ給送され、流動食品用のシール部分のあるパッケージ(図示せず)の連続体へと形成される前に、殺菌される。ユニット1の下流側で既知の方法でウェブ2に対して実施される成形、充填およびシール作業(上述したように)は、本発明の一部を構成するものではないが、本明細書では純粋に明瞭化のために記載する。
【0029】
ウェブ2は複層構造を有しており、剛性および強度を得るための例えば紙のような繊維材料で作られる基材層と、基材層の両面を覆う例えばポリエチレンフィルムのような熱シール可能な材料の複数の層とを含む。
【0030】
UHTミルクのような長期保存製品用の無菌パッケージの場合には、ウェブ2はまた熱シール可能なプラスチック材料層の上に重ねられる例えばアルミニュウム箔またはエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムのような気体遮断材料の層を含むのであり、この層は、その上にさらに他の熱シール可能なプラスチック材料層で覆われ、このプラスチック材料層が最終的に食品に接触することになる。
【0031】
図1を参照すれば、ユニット1は、例えば過酸化水素(H)および水の30%溶液とされる、例えば70℃〜75℃の範囲、好ましくは73℃未満とされる温度Tの液体殺菌剤を収容するU字形の殺菌室または殺菌浴3を含む。殺菌室3は2つの垂直な、それぞれ頂部開口6,7を有するとともに底部が底部分8で互いに連結されている入口導管4および出口導管5によって形成される。
【0032】
例として、図1は殺菌室3の導管4,5および底部分8を通してウェブ2をガイドするための多数の水平なローラー、さらに詳しくは、導管4の頂部開口6の近くの入口ローラー9aと、導管5の頂部開口7の近くの出口ローラー9bと、殺菌室3の底部分8内に収容された戻りローラー9cとを示している。
【0033】
したがって、殺菌室3内では、ウェブ2はU字形通路Pをたどり、その長さはウェブ2の走行速度に依存し、また、殺菌剤の中に包装材料を十分に長く保持するようになされる。
【0034】
殺菌室3は殺菌剤制御回路10の一部を形成し、また、
殺菌剤保持タンク11と、
殺菌室3を充填/ドレンする導管12と、
タンク11の中に沈められ、電気モーター14で付勢されるポンプ13と、
バルブ16を経てポンプ13を導管12に連結する給送導管15と、
バルブ18を経て導管12をタンク11に連結するドレンパイプ17とをさらに含む。
【0035】
タンク11は、進出する濡れたウェブ2によって生じる殺菌剤の損失を埋め合わせるために殺菌室3に殺菌剤を追加するため、および、例えば包装機械の何らかの停止が生じた場合に殺菌室3を排出するときに殺菌剤を保持するために備えられる。
【0036】
バルブ16は、2路2位置常開形式のものであることが好ましく、説明したように製造サイクル時に殺菌室3の不可避な殺菌剤の損失を補償するために閉位置での漏れを許容する流量オン/オフ部材(図示せず)を備えている。この目的のためにはオン/オフ部材に形成された適当寸法の穴を有する市販のバルブで十分である。
【0037】
バルブ18はまた、電気システムに不具合が生じた場合に殺菌室3の排出を許容するために、安全性の面から2路2位置常開形式のものであることが好ましい。
【0038】
回路10はまた、殺菌室3内の最高殺菌剤レベルを定めるために、殺菌室3の入口導管4の頂部に形成された既知のオーバーフロー(図示せず)にタンク11を連結する再循環導管19を含む。
【0039】
ユニット1はまた、殺菌室3内の殺菌剤の温度を制御するシステム20を含む。図1の実施例では、システム20は導管4,5の壁部に取付けられた多数の電気ヒーターを含み、それらは導管壁部の太線で概略的に示されている。
【0040】
ユニット1はまた、殺菌室3に給送される前の殺菌剤を予備加熱するシステム21を含む。
【0041】
システム21は、作動流体として水を使用した向流式熱交換器22を含む。さらに詳しくは、熱交換器22はポンプ13の給送導管15に連結された殺菌剤入口23と、再循環導管19に連結された殺菌剤出口24と、加熱回路25に連結され、入口26および出口27を有する水相系列(water phase series)とを有する。
【0042】
加熱回路25は、熱交換器22の出口27に連結された入口導管29と、電気抵抗ヒーター31に連結され給送導管30とを有する循環ポンプ28を実質的に含み、給送導管30はさらに出口において熱交換器22の入口26に連結されている。
【0043】
ポンプ28の入口導管29は導管32により充填導管33およびドレン導管34に連結され、これらの導管はそれぞれの栓35,36により水管に連結される。加熱回路25の圧力を補償するための水/圧縮空気タンク37と、最大圧力バルブ38とが既知の方法で充填導管33に支管連結されている。
【0044】
ユニット1はまた、図1に概略的に示された既知の換気システム40を含む。
【0045】
換気システム40はパッケージ製造サイクルの最後に作動されて殺菌室3および包装機械の他の殺菌部品に空気をブローし、残留殺菌剤を除去する。また、この空気流はその後洗浄装置48へ送られ、この洗浄装置で既知の方法により水と一緒に噴霧されて残留殺菌剤を除去する。
【0046】
洗浄装置48の下流側では、換気システム40は圧縮機41と、導管49でドレンされた水相を分離するための空気/水の分離器42とを含む。一方、空気は取戻され(導管47)、包装機械の運転時に殺菌されてユニット1へ戻される。
【0047】
図1に示されるように、タンク11は二重壁43,44により横方向に底部で境界され、内壁(43)は殺菌剤を収容するタンク11の内側シェル45を形成し、また、他方の壁(44)はタンク11の外側シェル46を形成し、これはさらに内側シェル45と一緒になって殺菌剤を断熱する通常は空気を充填される空隙50を形成する。
【0048】
タンク11の内側シェル45は、それぞれ栓53,54によって、それぞれ殺菌剤を試料採取および交換するための2つの異なる導管51,52に連結される。
【0049】
ユニット1はまた、パッケージ製造サイクルの終了時に、また、殺菌剤が殺菌室3からタンク11へ排出された後に選択的に作動されて、殺菌剤を温度Tよりも低い温度Tへ冷却する冷却システム55を含むことが有利である。
【0050】
さらに詳しくは、温度Tは殺菌剤の劣化および不安定化を防止するために選択され、また、温度Tよりも少なくとも15%低いことが好ましい。さらに詳しくは、温度Tは60℃以下、そして図示例では58℃である。
【0051】
冷却システム55は、タンク11の充填/ドレン空隙50のための導管56と、それぞれのバルブ58を経て導管56に連結された冷媒給送導管57と、それぞれのバルブ60を経て導管56に連結された第1のドレン導管59と、タンク11の空隙50と連続して連通される第2のドレン導管61とを実質的に含む。
【0052】
図示例では、冷媒は水であり、給送導管57は水主管に連結されている。
【0053】
バルブ58,60は何れも2路2位置形式のものであり、バルブ58は常閉、バルブ60は常開とされる。
【0054】
図1に示されるように、充填/ドレン導管56はタンク11の底部外壁44に形成された開口62を通して空隙50内で終端する。同様に、ドレン導管61はタンク11の側部外壁44の頂部に形成された開口63を経て空隙50に連結される。
【0055】
開口63はタンク11の中の殺菌剤の最高レベルよりも上方に位置されることが好ましい。
【0056】
バルブ58が開かれ、バルブ60が閉じられているとき、冷媒は給送導管57から空隙50を経てドレン導管61へ連続して流れ、したがってタンク11の内側シェル45内の殺菌剤を冷却する。
【0057】
冷媒は、単純にバルブ58を閉じてバルブ60を開くことで空隙50から排出される。
【0058】
ユニット1は以下に説明するように作動する。
【0059】
冷間始動時には、殺菌室3は空であり、殺菌剤の全てはタンク11の内側シェル45の内側にある。また、タンク11の内側シェル45と外側シェル46との間の空隙50は、空気で満たされている。
【0060】
大量の殺菌剤を例えば50リットル/分で熱交換器22を通して推進するために、ポンプ13がオンとされる。
【0061】
この段階で、バルブ16は閉じられているが、説明したように導管12へ少量の漏れ(数リットル/分)が許容される。バルブ18が開かれ、これにより殺菌室3は最良の製造サイクル始動条件が整うまで殺菌室3は充填されない。その間、ポンプ28はヒーター31を通して水を循環させ、また、殺菌室3内の温度を制御するためにシステム20が作動される。
【0062】
サイクル始動条件は、例えば殺菌室3の壁部に固定されたヒーターが72℃、また、タンク11内の殺菌剤が75℃(充填温度)である。殺菌室3およびウェブ2が乾燥している場合、縁部ウィッキングの危険は特にない。
【0063】
サイクル始動時に、バルブ16は開かれ、バルブ18は閉じられ、これにより殺菌室3は迅速に殺菌剤を充填され、その後、バルブ16が閉じられる。
【0064】
包装機械の正常運転時に、殺菌剤は殺菌室3およびタンク11の両方で最低温度の73℃に保持される。それらの温度の何れか一方が所定の閾値よりも下がると、加熱サイクルはシステム20のヒーターおよび加熱回路25によって作動される。
【0065】
ポンプ13は、熱交換器22を通る連続した流れを保持するために、また、前述したように進出する濡れたウェブ2で生じる殺菌室3からの殺菌剤の損失を補償するとともに、殺菌室3の底部および導管12を高温に維持するために、バルブ16を通して通常は数リットル/分の連続した漏れを保持するために、連続駆動される(他方、ヒーター31はこの段階では通常はオフとされる)。殺菌室3から余剰の殺菌剤がオーバーフローし、再循環導管19に沿ってタンク11へ戻るように流れる。
【0066】
ポンプ28はまた連続作動され、殺菌室3内の殺菌剤の温度はシステム20のヒーターで通常の方法で制御され、それらのヒーターは温度が閾値よりも下がったときに即座に付勢される。
【0067】
タンク11内の殺菌剤の温度が閾値よりも下がると、電気抵抗ヒーター31が付勢される。
【0068】
包装機械が停止した場合、バルブ18は直ちに開かれて殺菌室3から殺菌剤をタンク11へ迅速に排出する。
【0069】
15〜20分間よりも短い短時間停止の場合には、殺菌室3は作動温度より低い温度に冷却され、同時に殺菌剤は充填温度(例えば75℃)まで加熱される。
【0070】
殺菌室3は、システム20のヒーターをオフにして、殺菌室3よりも低い温度の殺菌空気をブローすることで冷却される。
【0071】
殺菌剤はヒーター31を付勢することで加熱される。
【0072】
上述の状態は即座に、通常は1分未満に達成され、次の始動における縁部ウィッキングの許容程度を保証する。事実、殺菌室3の冷却、および高い温度への殺菌剤の事前加熱は、殺菌室3が充満されたときの殺菌室3内の蒸気の凝縮を防止する。
【0073】
パッケージ製造の終了時における停止の場合は、殺菌室3が排出された後、殺菌室3および包装機械の他の殺菌部品を換気して残留殺菌剤を全て除去するために換気システム40が作動され、また、既知の方法で霧化水ジェットによる空気流の洗浄が行われ、残留殺菌剤を除去する。
【0074】
冷却システム55もまた、タンク11内の殺菌剤を温度Tへ冷却するために同時に付勢される。
【0075】
さらに詳しくは、バルブ58は開かれ、バルブ60は閉じられて、冷媒が給送導管57から空隙50を経てドレン導管61へ流され、これによりタンク11の内側シェル45内の殺菌剤を冷却する。
【0076】
冷却は通常、換気段階と同じ時間長さ、大体10分間で終了される。
【0077】
殺菌剤が冷却されたならば、バルブ58は閉じられ、バルブ60は開かれてタンク11の空隙50から水を排出する。
【0078】
本出願人は、サイクルの終了時の冷却が、殺菌剤の劣化および不安定化を非常に大きく減じ、これによりその平均的な使用寿命をきわめて長く延長させることを観察した。
【0079】
製造サイクルの終了時に殺菌剤を冷却することは、殺菌剤の蒸発、したがってユニット1の部品の濡れ、および次の殺菌段階における過酸化水素濃度の低下も防止する。
【0080】
これらの結果はタンク11の空隙50を使用して達成される(既知のユニットは既に殺菌剤の断熱を特徴としており、したがって熱交換器を追加する必要性は全くない)。換言すれば、冷却段階を含めることは、既知ユニットに対してほんの小さな変更しか求めない。
【実施例2】
【0081】
図2および図3は、本発明による殺菌ユニットの別の実施例を示しており、全体を符号1’で示され、ユニット1との相違のみ以下に説明される。既に記載した部品と同じまたは対応する部品には同じ符号が使用される。
【0082】
ユニット1’は、パッケージ製造サイクルの終了時にタンク11の空隙50に選択的に給送される冷媒が換気システム40の分離器42からのドレン水と定められることがユニット1と相違する。
【0083】
換気システム40の分離器42からの水は典型的に大体35℃の温度で、したがってタンク11内の殺菌剤の効果的な冷却が可能である。
【0084】
換言すれば、換気システム40の導管49はバルブ65により選択的にタンク11の充填/ドレン空隙50のための導管56’に連結できる。上述の部品は一緒になって、パッケージ製造サイクルの終了時に選択的に付勢できる殺菌剤冷却システム55’を形成する。
【0085】
バルブ65は4路2位置形式のもので、導管49、導管56’、および共にドレンに連結されている2つの導管66,67と相互作用する。
【0086】
さらに詳しくは、バルブ65は図2および図3に示される第1および第2の作動位置にそれぞれセットでき、製造時にとる第1の作動位置(図2)では、バルブ65は導管49を導管66に、また、導管56’を導管67に連結し、すなわち換気システム40および冷却システム55’の両方をドレンし、また、パッケージ製造サイクルの終了時で換気システム40が付勢されているときにとる第2の作動位置(図3)では、バルブ65は導管49を導管56’に、また、導管66を導管67に連結し、すなわち換気システム40の導管49からタンク11の空隙50を通る水の流れを許容して、排出される前の内部の殺菌剤を冷却する。
【0087】
この解決策は、殺菌室3およびユニット1の他の殺菌部材の換気に通常は使用される水を使用して殺菌剤を冷却する、すなわち図1の解決策のさらなる水消費を無くすというさらに他の利点を有する。
【0088】
しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載の保護範囲から逸脱することなく、本明細書に記載したユニット1,1’および方法を変形することができることは明白である。
【符号の説明】
【0089】
1,1’ 殺菌ユニット
2 ウェブ
3 殺菌室
4,5 導管
6 頂部開口
7 頂部開口
8 底部分
9a,9b,9c ローラー
10 殺菌剤制御回路
11 タンク
12 導管
13 ポンプ
14 電気モーター
15 給送導管
16,18 バルブ
17 ドレンパイプ
19 再循環導管
20,21 システム
22 熱交換器
23 殺菌剤入口
24 殺菌剤出口
25 加熱回路
26 入口
27 出口
28 循環ポンプ
29 入口導管
30 給送導管
31 電気抵抗ヒーター
32,33,34 導管
35,36 栓
37 水/圧縮空気タンク
38 最大圧力バルブ
40 換気システム
41 圧縮機
42 空気/水の分離器
43,44 二重壁
45 内側シェル
46 外側シェル
47,49 導管
48 洗浄装置
50 空隙50
51,52 導管
53,54 栓
55 冷却システム
56,56’ 導管
57 冷媒給送導管
58,60,65 バルブ
59 第1のドレン導管
61 第2のドレン導管
62,63 開口
66,67 導管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動食品を包装する機械のためのウェブ(2)を殺菌する殺菌ユニット(1,1’)であって、
第1の温度(T)の液体殺菌剤を収容する殺菌室(3)と、
ウェブ(2)が流動食品用のシール部分のあるパッケージの連続体へと形成される前に、前記殺菌室(3)を通して前記ウェブ(2)を給送する搬送手段(9a,9b,9c)と、
前記殺菌剤のための保持タンク(11)と、
前記タンク(11)から前記殺菌剤を前記殺菌室(3)へ給送するために選択的に作動される給送手段(13,15,16,12)と、
包装機械が停止した場合に、前記殺菌室(3)から前記殺菌剤を前記タンク(11)へ排出するために選択的に作動されるドレン手段(12,17,18)とを含み、
パッケージ製造サイクルの終了時に選択的に作動されて、前記タンク(11)内の前記殺菌剤を前記第1の温度(T)よりも低い第2の温度(T)まで冷却する冷却手段(55;55’)をさらに含むことを特徴とするユニット。
【請求項2】
前記第2の温度(T)が前記第1の温度よりも少なくとも15%低い請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記第2の温度(T)が60℃以下である請求項1または請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記タンク(11)が空隙(50)を互いの間形成している二重壁(43,44)で境界され、また、前記冷却手段(55;55’)がパッケージ製造サイクルの終了時に前記タンク(11)の前記空隙(50)へ冷媒を給送するために選択的に作動される供給手段(56,57,58;49,56’,65)を含む請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のユニット。
【請求項5】
前記冷媒が水である請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記供給手段が水主管に選択的に連結可能な水供給手段(56,57,58)を含む請求項4または請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
パッケージ製造サイクルの終了時に選択的に付勢され、水洗浄空気ジエットを少なくとも前記殺菌室(3)内に吹付ける換気システム(40)をさらに含み、また、前記供給手段が、前記換気システム(40)の水ドレン導管(49)を前記タンク(11)の前記空隙(50)へ連結するために選択的に作動される流体連通手段(56’,65)を含む請求項4または請求項5に記載のユニット。
【請求項8】
包装機械から放出され空気/水ジェットから水部分を分離するための分離手段(42)を含み、また、前記流体連通手段が前記分離手段(42)をドレンに連結する第1の導管(49)と、前記タンク(11)の前記空隙(50)をドレンに連結する第2の導管(56’)と、前記第1および第2の導管(49,56’)を互いに連結する作動位置に選択的に設定できるバルブ手段(65)とを含み、これにより前記空気/水の分離手段(42)によって分離された水部分が排出される前に前記タンク(11)の空隙(50)を通して流される請求項7に記載のユニット。
【請求項9】
流動食品を包装する機械のための包装材料ウェブ(2)の殺菌方法であって、
第1の温度(T)の液体殺菌剤を殺菌室(3)へ給送する段階と、
流動食品用のシール部分のあるパッケージの連続体へと成形される前に、前記殺菌室(3)を通して前記ウェブ2を給送する段階と、
包装機械が停止した場合に、前記殺菌室(3)から前記殺菌剤を補助タンク(11)へ給送する段階とを含み、
パッケージ製造サイクルの終了時に、前記タンク1(1)内の前記殺菌剤を前記第1の温度(T)よりも低い第2の温度(T)まで冷却する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第2の温度(T)が第1の温度(T)よりも少なくとも15%低い前記請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の温度(T)が60℃以下である請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却段階が、前記タンク(11)を形成する二重壁(43,44)の間に形成された空隙(50)内に冷媒を給送する段階を含む請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記冷媒が水である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記給送段階が、前記タンク(11)の前記空隙(50)を水主管に連結する段階を含む請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
パッケージ製造サイクルの終了時に、空気ジエットが少なくとも前記殺菌室(3)内へ吹付けられ、その後に水で洗浄される換気段階を含み、また、前記給送段階が、包装機械から放出される空気水ジエットから水部分を分離する段階と、前記水部分を排出する前に前記タンク(11)の前記空隙(50)内へ給送する段階とを含む請求項12または請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−520712(P2011−520712A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508931(P2011−508931)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055886
【国際公開番号】WO2009/138481
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】