説明

流量センサの単位表示構造

【課題】表示部を小型化することができるとともに視認性を向上させることができる流量センサの単位表示構造を提供すること。
【解決手段】流量センサ1の単位表示画面43に、「m」表示セグメント50、「L」表示セグメント51、「3」表示セグメント52、および「/min」表示セグメント53を設け、各表示セグメント50〜53を「mL3/min」と配置する。そして、各表示セグメント50〜53を、CPU基板22からの指令により、液晶34に対する通電を制御することによって独立して点灯・消灯させることにより、瞬時流量単位である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量単位である「mL」「L」「m3」の合計6種類の単位表示を切り替えて表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量センサにより検出される流量の単位を表示するための流量センサの単位表示構造に関する。
【背景技術】
【0002】
流量センサにおいて使用する単位表示文字としては、瞬時流量である「mL/min」「L/min」「m3/min」および積算流量である「mL」「L」「m3」を使用している。そして、このような単位を表示板に表示するには、必要な単位表示文字を予め透かし文字で形成しておき表示板に並べておき、表示させたい単位に対して表示板の裏面から光を当てることにより表示板に表示していた(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−239198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した表示構造を流量センサに用いた場合には、瞬時流量である「mL/min」「L/min」「m3/min」および積算流量である「mL」「L」「m3」等の単位を、予め透かし文字で形成しておき表示板に並べておかなければならず、表示部が大きくなってしまうという問題があった。特に、近年の流量センサは小型化が進んでおり、表示部に対しても小型化が望まれている。
また、上記した表示構造では、透かし文字で形成した単位を並べて必要な部分を発光させているが、発光していない部分も透けて計測者に見えてしまうため、視認性が良くないという問題もあった。このため、計測者が流量単位を読み間違えてしまうおそれがあった。
【0004】
そこで、本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、表示部を小型化することができるとともに視認性を向上させることができる流量センサの単位表示構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る流量センサの単位表示構造は、流量センサの表示部に流量単位の表示を行う流量センサの単位表示構造であって、表示セグメントとして「m」「L」「3」「/min」の4種類のセグメントを備え、前記各表示セグメントが前記表示部に「mL3/min」と配置されており、前記各表示セグメントの点灯・消灯を独立して行うことにより、前記表示部に流量単位を表示することを特徴とする。
【0006】
この流量センサの単位表示構造では、独立して点灯・消灯が可能な4種類の表示セグメント「m」「L」「3」「/min」を備えており、これらの表示セグメントが流量センサの表示部にて、「mL3/min」と配置されている。そして、各表示セグメントの点灯・消灯を独立して行うことにより、流量センサの表示部に流量単位を表示する。これにより、瞬時流量である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量である「mL」「L」「m3」の単位をすべて表示することができる。
【0007】
このように、この流量センサの単位表示構造によれば、流量センサに必要となる瞬時流量である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量である「mL」「L」「m3」の単位をすべて予め並べておく必要がなく、4種類の表示セグメントを表示部に「mL3/min」と配置しておくだけで、瞬時流量である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量である「mL」「L」「m3」の単位をすべて表示することができる。従って、4種類の表示セグメントを配置する小さなスペースだけ単位表示することができるため、流量の単位表示部を小さくすることができ、ひいては表示部自体を小型化することができる。
【0008】
また、この流量センサの単位表示構造によれば、各表示セグメントを点灯あるいは消灯させることにより、上記した単位を表示するので、従来の表示構造のように他の単位表示が透けて見えることがなく、単位表示の視認性を向上させることもできる。このため、流量単位を読み間違えることを確実に防止することができる。
さらに、この流量センサの単位表示構造によれば、上記した6種類の単位を表示することができることから、流量レンジが異なる流量センサであっても共通化して使用することができる。
【0009】
本発明に係る流量センサの単位表示構造においては、前記各表示セグメントが液晶で作成されていることが望ましい。あるいは、前記各表示セグメントがLEDで作成されていてもよい。
これにより、各表示セグメントの視認性を向上させることができるため、各表示セグメント自体を小さくすることができるので、表示部を小型化することができる。また、電力消費を小さくすることもできる。
【0010】
また、本発明に係る流量センサの単位表示構造においては、前記流量センサの省電力モード時には、前記各表示セグメントのうち「L」のみを点灯させることが望ましい。
【0011】
このようにすることにより、新たな表示セグメントを追加することなく、単位表示の他に流量センサの状態(省電力モード)を表示することができる。つまり、小さな流量の単位表示部でありながら、流量センサの状態(省電力モード)をも表示することができる。これにより、流量センサの状態把握が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る熱式流量計によれば、上記した通り、単位表示を切り替える場合であっても表示部を小型化することができるとともに視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の熱式流量計を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、ガスの流体を計測する熱式流量センサに本発明を適用したものである。そこで、まず、本実施の形態に係る熱式流量センサの構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る熱式流量センサの分解斜視図である。
【0014】
本実施の形態に係る流量センサ10は、図1に示すように、ガスが流れる流路が形成されたボディ11と、ボディ11に装着されてバイパス流路を形成する流路ブロック12と、抵抗体が架橋されたセンサ流路が形成されているセンサ部15と、センサ部15の検出信号に基づきガスの流量を算出するとともに、計測された流量等を表示する表示部30と、表示部30における表示の制御などを行う制御部20とを備えている。そして、流量センサ10において、制御部20により、センサ部15で検出された流量信号に基づき、表示部30に流量値および流量単位が表示されるようになっている。
【0015】
この流量センサ1では、流路ブロック12が装着されたボディ11に対して、センサ部15が、シールパッキン13を介して4本のネジ17によってモジュール押さえ16で密着・固定されている。これにより、流量センサの本体部が構成され、その上方に制御部20および表示部30が配置されている。
【0016】
ここで、制御部20には、増幅回路などが構成されたアンプ基板21と、制御回路などが構成されたCPU基板22と、アンプ基板21とCPU基板22との間に介在する樹脂製スペーサ23とが備わっている。また、表示部30には、スペーサ31、ゼブラゴム32、拡散シート33、液晶34、フロントシート35、および樹脂製の液晶カバー36が備わっている。そして、これらの部品がケース18によって保持される。これにより、センサ部15とアンプ基板21およびCPU基板22が電気的に接続されるとともに、CPU基板22と液晶34とがゼブラゴム32を介して電気的に接続されるようになっている。
【0017】
続いて、流量センサ1の表示部30における表示画面について、図2を参照しながら説明する。図2は、表示部における表示画面の構成を示す図である。表示画面40には、図2に示すように、メイン画面41と、サブ画面42と、単位表示画面43とが備わっている。これらの各画面41〜43の表示は、CPU基板22からの指令により、液晶34に対する通電が制御されることにより、各種表示が行われるようになっている。各画面41〜43の表示を液晶を使用して行うことにより、消費電力を非常に小さくすることができる。
【0018】
具体的には、メイン画面41には、4桁の数字が表示可能となっており、主として瞬時流量が表示されるようになっている。サブ画面42には、4桁の数字表示、および右矢印表示と左矢印表示が可能になっており、主として流れ方向表示(選択時あるいは計測時)および設定値(計測時)が表示されるようになっている。また、メイン画面41およびサブ画面42を連動させて、流量を最大で8桁表示することもできるようになっている。
【0019】
そして、本発明の特徴である単位表示画面43には、「m」表示セグメント50、「L」表示セグメント51、「3」表示セグメント52、および「/min」表示セグメント53が備わっている。これらの各表示セグメント50〜53は、CPU基板22からの指令により、液晶34に対する通電が制御されることにより、独立して点灯・消灯されるようになっている。そして、各表示セグメント50〜53が「mL3/min」と配置されている。これにより、単位表示画面43では、図3に示すように、瞬時流量単位である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量単位である「mL」「L」「m3」の合計6種類の単位表示を行うことができるようになっている。なお、図3は、単位表示画面における単位表示例を示す図である。
【0020】
次に、上記した流量センサ10の動作について単位表示を中心に説明する。まず、流量センサ10にガスが流されてその流量がセンサ部15において検出される。そして、センサ部15における検出値に基づきCPU基板22において流量が算出されるとともに、算出された流量の単位が決定される。この算出結果および単位決定結果に基づくCPU基板22から指令により、液晶34の駆動(通電)が制御される。その結果、表示画面40に、流量および単位が表示される。
【0021】
例えば、瞬時流量単位「mL/min」を表示させる場合には、「m」表示セグメント50、「L」表示セグメント51、および「/min」表示セグメント53が点灯されて単位表示画面43に「mL /min」と表示される。また、瞬時流量単位「L/min」を表示させる場合には、「L」表示セグメント51と「/min」表示セグメント53が点灯されて単位表示画面43に「 L /min」と表示される。瞬時流量単位「m3/min」を表示させる場合には、「m」表示セグメント50、「3」表示セグメント52、および「/min」表示セグメント53が点灯されて単位表示画面43に「m 3/min」と表示される。
また、積算流量単位「mL」を表示させる場合には、「m」表示セグメント50と「L」表示セグメント51が点灯されて単位表示画面43に「mL 」と表示される。また、積算流量単位「L」を表示させる場合には、「L」表示セグメント51のみが点灯されて単位表示画面43に「 L 」と表示される。また、積算流量単位「m3」を表示させる場合には、「m」表示セグメント50と「3」表示セグメント52が点灯されて単位表示画面43に「m 3 」と表示される。
【0022】
このように流量センサ10の単位表示画面43では、限られたスペース内に6種類の単位を表示することができる。これにより、単位表示を切り替える場合であっても、単位表示に使用する表示スペースを小さくすることができる。その結果、表示画面43を小型化することができる。また、単位表示画面43では、上記した6種類の単位を表示することができるから、流量レンジが異なる流量センサであっても共通化して使用することができる。さらに、各表示セグメント50〜53を点灯あるいは消灯させることにより、上記した単位を表示するので、従来の表示構造のように表示不要な部分が透けて見えることがなく、単位表示の視認性を向上させることもできる。このため、流量単位を読み間違えることを確実に防止することができる。
【0023】
さらに、流量センサ1が省電力モードに入った場合には、メイン画面41およびサブ画面42の表示セグメントのすべてが消灯された状態で、「L」表示セグメント51のみが点灯されて単位表示画面43に「 L 」と表示される。これにより、流量センサ1では、省電力モードであるか否かを容易に把握することができる。
【0024】
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る流量センサ10によれば、単位表示画面43に、「m」表示セグメント50、「L」表示セグメント51、「3」表示セグメント52、および「/min」表示セグメント53が設けられ、各表示セグメント50〜53が「mL3/min」と配置されている。そして、各表示セグメント50〜53が、CPU基板22からの指令により、液晶34に対する通電が制御されることによって独立して点灯・消灯される。これにより、瞬時流量単位である「mL/min」「L/min」「m3/min」、および積算流量単位である「mL」「L」「m3」の合計6種類の単位表示を画面上に予め並べておく必要がなく、4種類の表示セグメント50〜53を配置する小さなスペースだけで合計6種類の単位表示を行うことができる。従って、単位表示画面43を小さくすることができ、ひいては表示画面40を小型化することができる。
また、各表示セグメント50〜53を点灯あるいは消灯させることにより、単位表示を切り替えるので、表示していない単位表示が透けて見えることがないため、単位表示の視認性を向上させることもできる。従って、流量単位を読み間違えることを確実に防止することができる。
【0025】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、表示画面40における各表示セグメントを液晶により構成したものを例示しているが、液晶の代わりにLEDにより表示セグメントを構成することもできる。
また、上記した実施の形態では、ガスの流量を測定する熱式流量センサの表示部に本発明を適用したものを例示したが、ガス以外の流体の流量を測定するための流量センサ(例えば、渦型流量センサなど)であれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る熱式流量センサの分解斜視図である。
【図2】表示部における表示画面の構成を示す図である。
【図3】単位表示画面における単位表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10 流量センサ
11 ボディ
12 流路ブロック
13 シールパッキン
15 センサ部
16 モジュール押さえ
17 ネジ
18 ケース
20 制御部
21 アンプ基板
22 CPU基板
30 表示部
31 スペーサ
32 ゼブラゴム
33 拡散シート
34 液晶
35 フロントシート
36 液晶カバー
40 表示画面
41 メイン画面
42 サブ画面
43 単位表示画面
50 「m」表示セグメント
51 「L」表示セグメント
52 「3」表示セグメント
53 「/min」表示セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量センサの表示部に単位の表示を行う流量センサの単位表示構造であって、
表示セグメントとして「m」「L」「3」「/min」の4種類のセグメントを備え、
前記各表示セグメントが前記表示部に「mL3/min」と配置されており、
前記各表示セグメントの点灯・消灯を独立して行うことにより、前記表示部に流量単位を表示することを特徴とする流量センサの単位表示構造。
【請求項2】
請求項1に記載する流量センサの単位表示構造において、
前記各表示セグメントが液晶で作成されていることを特徴とする流量センサの単位表示構造。
【請求項3】
請求項1に記載する流量センサの単位表示構造において、
前記各表示セグメントがLEDで作成されていることを特徴とする流量センサの単位表示構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載するいずれか1つの流量センサの単位表示構造において、
前記表示セグメント制御手段は、前記流量センサの省電力モード時には、前記各表示セグメントのうち「L」のみを点灯させることを特徴とする流量センサの単位表示構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−281369(P2008−281369A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123882(P2007−123882)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】