流量計測装置
【課題】計測流量値の信頼性を高める。
【解決手段】メモリ2−2に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとを格納する。この特性テーブルTL,TB,THから現在の差圧ΔPおよび弁開度θに応ずる流量係数Cvを求め、この流量係数Cvと現在の差圧ΔPとから管路1−1を流れる流体の流量Qを算出する。
【解決手段】メモリ2−2に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとを格納する。この特性テーブルTL,TB,THから現在の差圧ΔPおよび弁開度θに応ずる流量係数Cvを求め、この流量係数Cvと現在の差圧ΔPとから管路1−1を流れる流体の流量Qを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管路内を流れる流体の流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管路には流量計と弁の両者を配置し、流量計によって計測された流量に基づいて弁の開度を制御するようにしていた。しかし、このような方法では、流量計と弁の両者を配管しなければならず、コストもアップする。そこで、流量計測機能と弁開度の制御機能との両機能を具備した流量制御弁が望まれ、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この流量制御弁は、流体流路を形成する管路とこの管路内を流れる流体の流量を規制する弁体とを備えた弁本体と、この弁本体に取り付けられ弁体の開度を制御するアクチュエータとを備えている。弁本体には、弁体の上流側の流体圧力P1を検出する第1の圧力センサと、弁体の下流側の流体圧力P2を検出する第2の圧力センサと、弁体の開度(弁開度)θを検出する弁開度センサが設けられている。アクチュエータにはCPUやメモリが搭載されている。
【0004】
アクチュエータのCPUは、第1の圧力センサからの流体圧力P1と第2の圧力センサからの流体圧力P2とから弁体の上下流間の差圧ΔPを求め、弁開度センサからの弁開度θに応じた流量係数Cvをメモリに格納されている特性テーブルから読み出し、この流量係数Cvと差圧ΔPから弁本体の管路内を流れる流体の流量Qを下記(1)式により算出する。そして、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように弁開度θを制御する。
【0005】
Q=A・Cv・(ΔP)1/2 ・・・・(1)
但し、Aは定数。
【0006】
この流量制御弁において、弁開度θと流量係数Cvとの関係は、弁本体の口径や種類(ゲート弁、ディスク弁、ボール弁、バタフライ弁、スプール弁、フラッパ弁など)などによって異なる。このため、弁本体の口径や種類に合わせて適切な弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルを求めておき、この特性テーブルを取り付けられる弁本体に合わせて出荷時にアクチュエータのメモリに書き込んでいる。図10にその特性テーブルの例を示す。
【0007】
一般的には、弁体の上下流間の差圧に対してある基準差圧(例えば、0.1MPa)を決めておき、この基準差圧の下で弁体の弁開度θを所定値刻み(例えば、数パーセント刻み)で変えた場合の各開度に対する流量係数Cvを求め、この流量係数Cvを各開度θに対応させた特性テーブルを出荷時にアクチュエータのメモリに書き込んでいる。
【0008】
そして、実際の流量の計測時には、メモリに書き込まれている特性テーブル上の現在の弁開度θの前後近似2点に対応する流量係数Cvを用いて補間計算し、現在の弁開度θに対応する流量係数Cvを算出し、上記(1)式に代入して流量Qを求めるようにしている。
【0009】
【特許文献1】特開平4−232514号公報
【特許文献2】特開昭60−168974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人は、差圧ΔPを様々に変え、その時の弁開度θに対応する流量係数Cvを求めてみた。この場合、基準差圧(例えば、0.1MPa)を境にして、それ以上の高差圧においては、同開度の基準差圧での流量係数Cvの偏差は5%程度に収まるのに対して、基準差圧よりも低い低差圧においては、十〜数十%の大きな偏差が生ずることが分かった。また、弁開度θがある開度より低開度(例えば、30%〜40%以下)になると、高差圧,低差圧に拘わらず、流量係数Cvの偏差が非常に大きくなることも分かった。図11にその結果を例示する。
【0011】
しかしながら、従来の流量制御弁では、弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルとして、基準差圧における弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルのみを使用しているたため、基準差圧より低い低差圧時や高差圧でも低開度時に求められる流量係数Cvに大きな誤差が生じ、計測流量値の信頼性が非常に低いという問題があった。
【0012】
なお、流量制御弁では流量計測を行わずに、流量制御弁に接続した流量測定装置において、流量制御弁の管路内を流れる流体の流量の計測を行うようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。この場合、流量測定装置では、流量制御弁からの流体圧力P1とP2とから弁体の上下流間の差圧ΔPを求め、流量制御弁からの弁開度θに応じた流量係数Cvをメモリに格納されている特性テーブルから読み出し、この流量係数Cvと差圧ΔPから流量制御弁の管路内を流れる流体の流量Qを計測する。このような場合にも、流量測定装置のメモリには基準差圧における弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルしか書き込まれていないため、流量計測機能を有する流量制御弁と同様の問題が生じる。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、計測流量値の信頼性を高めることができる流量計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、メモリに、弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、基準差圧よりも低い差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルとを少なくとも記憶させ、現在の差圧が基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0015】
第2発明(請求項1に係る発明)は、メモリに、弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、基準差圧よりも低い差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルと、基準差圧よりも高い差圧における弁体の予め定められた低開度閾値以下の弁開度と流量係数との関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルとを少なくとも記憶させ、現在の差圧が基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出し、現在の差圧が基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が低開度閾値以下である場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を高差圧低開度時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。また、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁開度が低開度閾値以下である場合、基準の特性テーブルではなく、高差圧低開度時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0016】
第3発明(請求項3に係る発明)は、第2発明において、現在の差圧が基準差圧よりも高く、現在の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を基準の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁体の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、基準の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。この場合、基準の特性テーブルから求められる流量係数は実際の流量係数と比較してその偏差が小さいので、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
また、第3発明では、高差圧高開度時には基準の特性テーブルから流量係数を求めるので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリの記憶容量を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められるものとなり、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0018】
第2発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められ、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が低開度閾値以下である場合、基準の特性テーブルではなく、高差圧低開度時の特性テーブルから求められ、これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0019】
第3発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁体の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、基準の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められ、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、この場合、高差圧高開度時には基準の特性テーブルから流量係数を求めるので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリの記憶容量を小さくすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:流量制御弁〕
図1は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量制御弁の一実施の形態の概略を示す図である。同図において、100は流量制御弁であり、弁本体1と、この弁本体1に取り付けられたアクチュエータ2とで構成されている。
【0021】
弁本体1は、流体流路を形成する管路1−1と、この管路1−1内を流れる流体の流量を規制する弁体1−2とを備えており、弁体1−2の上流側にはその管路内の流体圧力(上流側の流体圧力)P1を検出する第1の圧力センサS1が設けられ、弁体1−2の下流側にはその管路内の流体圧力(下流側の流体圧力)P2を検出する第2の圧力センサS2が設けられている。
【0022】
アクチュエータ2は、CPU2−1と、メモリ2−2と、表示部2−3と、モータ2−4とを備えており、モータ2−4の駆動軸は弁体1−2に連結されている。モータ2−4の駆動軸と弁体1−2との連結部には、弁体1−2の弁開度θを検出する弁開度センサS3が設けられている。
【0023】
アクチュエータ2のCPU2−1には、第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θ、上位装置からの設定流量Qspが与えられる。
【0024】
アクチュエータ2のメモリ2−2には、図2に示すように、基準差圧(この例では、0.1MPa)における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧(この例では、0.02MPa、0.35MPa)における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧(この例では、0.15MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPa)における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth(この例では、32.63%)以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。なお、この実施の形態では、特性テーブルTBとTLとTCとを合わせたテーブルを特性テーブルTCvとする。
【0025】
以下、図3に示すフローチャートを参照して、メモリ2−2に格納されているプログラムに従ってアクチュエータ2のCPU2−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
【0026】
CPU2−1は、弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を読み込む(ステップS101)。また、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS102)、この読み込んだ流体圧力P1とP2とから弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する(ステップS103)。
【0027】
そして、ステップS101で読み込んだ弁体1−2の現在の弁開度θとステップS103で算出した弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ2−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS104)。
【0028】
ここで、CPU2−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0029】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0030】
そして、CPU2−1は、ステップS104で求めた流量係数CvとステップS103で求めた現在の差圧ΔPとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS105)、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして表示部2−3に表示する(ステップS106)。
【0031】
そして、上位装置からの設定流量Qspを読み込み(ステップS107)、計測流量Qpvと設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように、弁体1−2の弁開度θを制御する(ステップS108)。CPU2−1は、このステップS101〜S108の処理動作を定周期で繰り返す。
【0032】
図4にCPU2−1の処理動作として実現される流量計測部3の機能ブロック図を示す。この流量計測部3は、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1および第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を入力とし、弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する差圧算出部3Aと、この差圧算出部3Aからの差圧ΔPと弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を入力とし、メモリ2−2内の特性テーブルTCv(TB、TL、TC)から現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応じた流量係数Cvを求めるCv値演算部3Bと、差圧算出部3Aからの現在の差圧ΔPとCv値演算部3Bからの流量係数Cvとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出する流量算出部3Cとから構成される。
【0033】
本実施の形態では、ステップS104での処理動作から分かるように、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。また、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0034】
また、本実施の形態では、ステップS104での処理動作から分かるように、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。この場合、基準の特性テーブルTBから求められる流量係数Cvは実際の流量係数と比較してその偏差が小さいので、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0035】
また、本実施の形態では、高差圧高開度時には基準の特性テーブルTBから流量係数Cvを求めるようにしているので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、すなわち図2に斜線で示した部分に対応する特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリ2−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0036】
〔実施の形態2:流量測定装置〕
図5は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの一実施の形態の概略を示す図である。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0037】
この実施の形態では、流量制御弁101に流量測定装置5を接続し、流量測定装置5で流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Q(計測流量Qpv)を算出するようにしている。
【0038】
なお、この実施の形態において、流量制御弁101におけるアクチュエータ4は、CPU4−1と、メモリ4−2と、モータ4−3とを備えた構成とし、アクチュエータ4のCPU5には、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θ、流量測定装置5からの計測流量Qpv、上位装置からの設定流量Qspを与えるようにしている。
【0039】
流量測定装置5は、CPU5−1と、メモリ5−2と、表示部5−3と、インタフェース5−4とを備えている。流量測定装置5のCPU5−1には、インタフェース5−4を介して、第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θが与えられる。
【0040】
流量測定装置5のメモリ5−2には、実施の形態1と同様に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。すなわち、図2に示した特性テーブルTCv(TL,TB,TH)が格納されている。
【0041】
以下、図6に示すフローチャートを参照して、メモリ5−2に格納されているプログラムに従って流量測定装置5のCPU5−1が実行する処理動作について説明する。
【0042】
CPU5−1は、弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を読み込む(ステップS201)。また、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS202)、この読み込んだ流体圧力P1とP2とから弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する(ステップS203)。
【0043】
そして、ステップS201で読み込んだ弁体1−2の現在の弁開度θとステップS203で算出した弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ2−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS204)。
【0044】
ここで、CPU5−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0045】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0046】
そして、CPU5−1は、ステップS204で求めた流量係数CvとステップS203で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS205)、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして表示部2−3に表示するとともに(ステップS206)、インタフェース5−4を介して流量制御弁101のアクチュエータ4へ送る(ステップS207)。CPU5−1は、このステップS201〜S207の処理動作を定周期で繰り返す。
【0047】
アクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置5から計測流量Qpvが送られてくると、この送られてきた計測流量Qpvと設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように、弁体1−2の弁開度θを制御する。この弁開度θの制御はメモリ4−2に格納されているプログラムに従って行われる。
【0048】
図7にCPU5−1の処理動作として実現される流量計測部6の機能ブロック図を示す。この流量計測部6は、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1および第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を入力とし、弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する差圧算出部6Aと、この差圧算出部6Aからの差圧ΔPと弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を入力とし、メモリ5−2内の特性テーブルTCv(TB、TL、TC)から現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応じた流量係数Cvを求めるCv値演算部6Bと、差圧算出部6Aからの現在の差圧ΔPとCv値演算部6Bからの流量係数Cvとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出する流量算出部6Cとから構成される。
【0049】
この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。これにより、低差圧,高差圧に拘わらず精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、メモリ5−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0050】
〔実施の形態3:流量測定装置〕
図8は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの他の実施の形態の概略を示す図である。同図において、図5と同一符号は図5を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0051】
この実施の形態では、複数の流量制御弁101を流量測定装置7に接続し、流量測定装置7でこれら複数の流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出するようにしている。この例では、複数の流量制御弁101を2つの流量制御弁101A,101Bとし、この流量制御弁101A,101Bの管路1−1,1−1内を流れる流体の流量QA,QB(計測流量QApv,QBpv)を算出するようにしている。
【0052】
流量測定装置7は、CPU7−1と、メモリ7−2と、表示部7−3と、インタフェース7−4とを備えている。流量測定装置7のCPU7−1には、インタフェース7−4を介して、流量制御弁101Aにおける第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1A、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2A、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θA、流量制御弁101Bにおける第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1B、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2B、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θBが与えられる。
【0053】
流量測定装置7のメモリ7−2には、実施の形態1と同様に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。すなわち、図2に示した特性テーブルTCv(TL,TB,TH)が格納されている。
【0054】
以下、図9に示すフローチャートを参照して、メモリ7−2に格納されているプログラムに従って流量測定装置7のCPU7−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
【0055】
CPU7−1は、流量制御弁101Aの弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θA(現在の弁開度θA)を読み込む(ステップS301)。また、流量制御弁101Aの第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1Aと第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2Aを読み込み(ステップS302)、この読み込んだ流体圧力P1AとP2Aとから流量制御弁101Aの弁体1−2の上下流間の差圧ΔPを算出する(ステップS303)。
【0056】
そして、ステップS301で読み込んだ流量制御弁101Aの弁体1−2の現在の弁開度θAとステップS303で算出した流量制御弁101Aの弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ7−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS304)。
【0057】
ここで、CPU7−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0058】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0059】
そして、CPU7−1は、ステップS304で求めた流量係数CvとステップS303で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101Aの管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS305)、この算出した流量Qを計測流量QApvとして表示部7−3に表示するとともに(ステップS306)、インタフェース7−4を介して流量制御弁101Aのアクチュエータ4へ送る(ステップS307)。
【0060】
流量制御弁101Aにおけるアクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置7から計測流量QApvが送られてくると、この送られてきた計測流量QApvと設定流量QAspとを比較し、計測流量QApvが設定流量QAspに一致するように、弁体1−2の弁開度θAを制御する。
【0061】
次に、CPU7−1は、流量測定装置7に接続されている次の流量制御弁かあるか否かをチェックする(ステップS308)。この場合、流量測定装置7には次の流量制御弁として流量制御弁101Bが接続されているので、ステップS308のYESに応じてステップS301へ戻る。
【0062】
CPU7−1は、ステップS301において、流量制御弁101Bの弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θB(現在の弁開度θB)を読み込む。そして、流量制御弁101Bの第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS302)、この読み込んだ流体圧力P1BとP2Bとから流量制御弁101Bの弁体1−2の上下流間の差圧ΔPを算出する(ステップS303)。
【0063】
そして、ステップS301で読み込んだ流量制御弁101Bの弁体1−2の現在の弁開度θBとステップS103で算出した流量制御弁101Bの弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ7−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS304)。
【0064】
ここで、CPU7−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0065】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0066】
そして、CPU7−1は、ステップS304で求めた流量係数CvとステップS303で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101Bの管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS305)、この算出した流量Qを計測流量QBpvとして表示部7−3に表示するとともに(ステップS306)、インタフェース7−4を介して流量制御弁101Bのアクチュエータ4へ送る(ステップS307)。
【0067】
流量制御弁101Bにおけるアクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置7から計測流量QBpvが送られてくると、この送られてきた計測流量QBpvと設定流量QBspとを比較し、計測流量QBpvが設定流量QBspに一致するように、弁体1−2の弁開度θBを制御する。
【0068】
次に、CPU7−1は、流量測定装置7に接続されている次の流量制御弁かあるか否かをチェックする(ステップS308)。この場合、流量測定装置7には次の流量制御弁は接続されていないので、ステップS308のNOに応じてステップS301〜S308の処理ループを脱する。CPU7−1は、この処理動作を定周期で繰り返す。
【0069】
この実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。これにより、低差圧,高差圧に拘わらず精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、メモリ7−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0070】
また、この実施の形態3では、複数の流量制御弁101における流量計測を1つの流量測定装置7で行うことができるので、実施の形態1のように流量制御弁101のアクチュエータ2に個々に流量計測機能を設けなくてもよく、また実施の形態2のように流量制御弁101に1つずつ流量制御装置5を接続しなくてもよく、システムの大幅なコストダウンが図られるものとなる。
【0071】
なお、実施の形態1では、メモリ2−2に高差圧低開度時の特性テーブルTHを設けるようにしたが、高差圧低開度時の特性テーブルTHをメモリ2−2には設けずに、高差圧高開度時と同様にして基準の特性テーブルTBを用いるようにしてもよい。また、メモリ2−2の記憶容量は大きくなるが、基準の特性テーブルTBと低差圧時の特性テーブルTLと高差圧低開度時の特性テーブルTHに加え、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにしてもよい。実施の形態2や実施の形態3でも同様である。
【0072】
また、上述した実施の形態1では、アクチュエータ2において計測した流量Qpvと設定流量Qspとを一致させるように弁体1−2の弁開度θを制御するようにしたが、アクチュエータ2に設定開度θspを与えるようにし、この設定開度θspと弁開度センサS3が検出する弁開度θ(θpv)とを一致させるように弁体1−2の弁開度θを制御するようにしてもよい。この場合、アクチュエータ2で計測された流量Qpvは、表示されるのみとなる。
【0073】
また、実施の形態2でも同様に、流量制御弁101において設定開度θspと検出される弁開度θpvとを一致させるように、弁体1−2の弁開度θを制御してもよい。この場合、流量測定装置5から流量制御弁101に計測流量Qpvを送る必要はない。実施の形態3でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量制御弁の一実施の形態の概略を示す図である。
【図2】この流量制御弁で使用する特性テーブル(低差圧時の特性テーブルTL、基準の特性テーブルTB、高差圧低開度時の特性テーブルTH)を例示する図である。
【図3】この流量制御弁のアクチュエータにおけるCPUが実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】このアクチュエータにおけるCPUの処理動作として実現される流量計測部の機能ブロック図である。
【図5】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの一実施の形態の概略を示す図である。
【図6】この流量測定装置におけるCPUが実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】この流量測定装置におけるCPUの処理動作として実現される流量計測部の機能ブロック図である。
【図8】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの他の実施の形態の概略を示す図である。
【図9】この流量測定装置におけるCPUが実行する処処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】従来用いられていた特性テーブルの一例を示す図である。
【図11】差圧ΔPを様々に変えた場合の基準差圧時の弁開度θに対応する流量係数Cvに対する偏差を例示する図である。
【符号の説明】
【0075】
1…弁本体、1−1…管路、1−1…弁体、2…アクチュエータ、2−1…CPU、2−2…メモリ、2−3…表示部、2−4…モータ、S1…第1の圧力センサ、S2…第2の圧力センサ、S3…弁開度センサ、3…流量計測部、3A…差圧算出部、3B…Cv値演算部、3C…流量算出部、4…アクチュエータ、4−1…CPU、4−2…メモリ、4−3…モータ、5…流量測定装置、5−1…CPU、5−2…メモリ、5−3…表示部、5−4…インタフェース、6…流量計測部、6A…差圧算出部、6B…Cv値演算部、6C…流量算出部、7…流量測定装置、7−1…CPU、7−2…メモリ、7−3…表示部、7−4…インタフェース、100,101,101A,101B…流量制御弁、TL…低差圧時の特性テーブル、TB…基準の特性テーブル、TH…高差圧低開度時の特性テーブル。
【技術分野】
【0001】
この発明は、管路内を流れる流体の流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管路には流量計と弁の両者を配置し、流量計によって計測された流量に基づいて弁の開度を制御するようにしていた。しかし、このような方法では、流量計と弁の両者を配管しなければならず、コストもアップする。そこで、流量計測機能と弁開度の制御機能との両機能を具備した流量制御弁が望まれ、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この流量制御弁は、流体流路を形成する管路とこの管路内を流れる流体の流量を規制する弁体とを備えた弁本体と、この弁本体に取り付けられ弁体の開度を制御するアクチュエータとを備えている。弁本体には、弁体の上流側の流体圧力P1を検出する第1の圧力センサと、弁体の下流側の流体圧力P2を検出する第2の圧力センサと、弁体の開度(弁開度)θを検出する弁開度センサが設けられている。アクチュエータにはCPUやメモリが搭載されている。
【0004】
アクチュエータのCPUは、第1の圧力センサからの流体圧力P1と第2の圧力センサからの流体圧力P2とから弁体の上下流間の差圧ΔPを求め、弁開度センサからの弁開度θに応じた流量係数Cvをメモリに格納されている特性テーブルから読み出し、この流量係数Cvと差圧ΔPから弁本体の管路内を流れる流体の流量Qを下記(1)式により算出する。そして、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように弁開度θを制御する。
【0005】
Q=A・Cv・(ΔP)1/2 ・・・・(1)
但し、Aは定数。
【0006】
この流量制御弁において、弁開度θと流量係数Cvとの関係は、弁本体の口径や種類(ゲート弁、ディスク弁、ボール弁、バタフライ弁、スプール弁、フラッパ弁など)などによって異なる。このため、弁本体の口径や種類に合わせて適切な弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルを求めておき、この特性テーブルを取り付けられる弁本体に合わせて出荷時にアクチュエータのメモリに書き込んでいる。図10にその特性テーブルの例を示す。
【0007】
一般的には、弁体の上下流間の差圧に対してある基準差圧(例えば、0.1MPa)を決めておき、この基準差圧の下で弁体の弁開度θを所定値刻み(例えば、数パーセント刻み)で変えた場合の各開度に対する流量係数Cvを求め、この流量係数Cvを各開度θに対応させた特性テーブルを出荷時にアクチュエータのメモリに書き込んでいる。
【0008】
そして、実際の流量の計測時には、メモリに書き込まれている特性テーブル上の現在の弁開度θの前後近似2点に対応する流量係数Cvを用いて補間計算し、現在の弁開度θに対応する流量係数Cvを算出し、上記(1)式に代入して流量Qを求めるようにしている。
【0009】
【特許文献1】特開平4−232514号公報
【特許文献2】特開昭60−168974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人は、差圧ΔPを様々に変え、その時の弁開度θに対応する流量係数Cvを求めてみた。この場合、基準差圧(例えば、0.1MPa)を境にして、それ以上の高差圧においては、同開度の基準差圧での流量係数Cvの偏差は5%程度に収まるのに対して、基準差圧よりも低い低差圧においては、十〜数十%の大きな偏差が生ずることが分かった。また、弁開度θがある開度より低開度(例えば、30%〜40%以下)になると、高差圧,低差圧に拘わらず、流量係数Cvの偏差が非常に大きくなることも分かった。図11にその結果を例示する。
【0011】
しかしながら、従来の流量制御弁では、弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルとして、基準差圧における弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルのみを使用しているたため、基準差圧より低い低差圧時や高差圧でも低開度時に求められる流量係数Cvに大きな誤差が生じ、計測流量値の信頼性が非常に低いという問題があった。
【0012】
なお、流量制御弁では流量計測を行わずに、流量制御弁に接続した流量測定装置において、流量制御弁の管路内を流れる流体の流量の計測を行うようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。この場合、流量測定装置では、流量制御弁からの流体圧力P1とP2とから弁体の上下流間の差圧ΔPを求め、流量制御弁からの弁開度θに応じた流量係数Cvをメモリに格納されている特性テーブルから読み出し、この流量係数Cvと差圧ΔPから流量制御弁の管路内を流れる流体の流量Qを計測する。このような場合にも、流量測定装置のメモリには基準差圧における弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す特性テーブルしか書き込まれていないため、流量計測機能を有する流量制御弁と同様の問題が生じる。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、計測流量値の信頼性を高めることができる流量計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、メモリに、弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、基準差圧よりも低い差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルとを少なくとも記憶させ、現在の差圧が基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0015】
第2発明(請求項1に係る発明)は、メモリに、弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、基準差圧よりも低い差圧における弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルと、基準差圧よりも高い差圧における弁体の予め定められた低開度閾値以下の弁開度と流量係数との関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルとを少なくとも記憶させ、現在の差圧が基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出し、現在の差圧が基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が低開度閾値以下である場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を高差圧低開度時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。また、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁開度が低開度閾値以下である場合、基準の特性テーブルではなく、高差圧低開度時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0016】
第3発明(請求項3に係る発明)は、第2発明において、現在の差圧が基準差圧よりも高く、現在の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を基準の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて管路内を流れる流体の流量を算出するようにしたものである。
この発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁体の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、基準の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められる。この場合、基準の特性テーブルから求められる流量係数は実際の流量係数と比較してその偏差が小さいので、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
また、第3発明では、高差圧高開度時には基準の特性テーブルから流量係数を求めるので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリの記憶容量を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められるものとなり、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0018】
第2発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルではなく、低差圧時の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められ、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が低開度閾値以下である場合、基準の特性テーブルではなく、高差圧低開度時の特性テーブルから求められ、これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0019】
第3発明によれば、弁体の上下流間の差圧が基準差圧よりも高く、かつ弁体の弁開度が低開度閾値よりも大きい場合、基準の特性テーブルから現在の差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数が求められ、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、この場合、高差圧高開度時には基準の特性テーブルから流量係数を求めるので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリの記憶容量を小さくすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:流量制御弁〕
図1は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量制御弁の一実施の形態の概略を示す図である。同図において、100は流量制御弁であり、弁本体1と、この弁本体1に取り付けられたアクチュエータ2とで構成されている。
【0021】
弁本体1は、流体流路を形成する管路1−1と、この管路1−1内を流れる流体の流量を規制する弁体1−2とを備えており、弁体1−2の上流側にはその管路内の流体圧力(上流側の流体圧力)P1を検出する第1の圧力センサS1が設けられ、弁体1−2の下流側にはその管路内の流体圧力(下流側の流体圧力)P2を検出する第2の圧力センサS2が設けられている。
【0022】
アクチュエータ2は、CPU2−1と、メモリ2−2と、表示部2−3と、モータ2−4とを備えており、モータ2−4の駆動軸は弁体1−2に連結されている。モータ2−4の駆動軸と弁体1−2との連結部には、弁体1−2の弁開度θを検出する弁開度センサS3が設けられている。
【0023】
アクチュエータ2のCPU2−1には、第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θ、上位装置からの設定流量Qspが与えられる。
【0024】
アクチュエータ2のメモリ2−2には、図2に示すように、基準差圧(この例では、0.1MPa)における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧(この例では、0.02MPa、0.35MPa)における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧(この例では、0.15MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPa)における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth(この例では、32.63%)以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。なお、この実施の形態では、特性テーブルTBとTLとTCとを合わせたテーブルを特性テーブルTCvとする。
【0025】
以下、図3に示すフローチャートを参照して、メモリ2−2に格納されているプログラムに従ってアクチュエータ2のCPU2−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
【0026】
CPU2−1は、弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を読み込む(ステップS101)。また、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS102)、この読み込んだ流体圧力P1とP2とから弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する(ステップS103)。
【0027】
そして、ステップS101で読み込んだ弁体1−2の現在の弁開度θとステップS103で算出した弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ2−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS104)。
【0028】
ここで、CPU2−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0029】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0030】
そして、CPU2−1は、ステップS104で求めた流量係数CvとステップS103で求めた現在の差圧ΔPとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS105)、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして表示部2−3に表示する(ステップS106)。
【0031】
そして、上位装置からの設定流量Qspを読み込み(ステップS107)、計測流量Qpvと設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように、弁体1−2の弁開度θを制御する(ステップS108)。CPU2−1は、このステップS101〜S108の処理動作を定周期で繰り返す。
【0032】
図4にCPU2−1の処理動作として実現される流量計測部3の機能ブロック図を示す。この流量計測部3は、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1および第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を入力とし、弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する差圧算出部3Aと、この差圧算出部3Aからの差圧ΔPと弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を入力とし、メモリ2−2内の特性テーブルTCv(TB、TL、TC)から現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応じた流量係数Cvを求めるCv値演算部3Bと、差圧算出部3Aからの現在の差圧ΔPとCv値演算部3Bからの流量係数Cvとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出する流量算出部3Cとから構成される。
【0033】
本実施の形態では、ステップS104での処理動作から分かるように、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。また、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められる。これにより、基準差圧よりも低い低差圧時であっても、基準差圧よりも高い高差圧時の低開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0034】
また、本実施の形態では、ステップS104での処理動作から分かるように、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。この場合、基準の特性テーブルTBから求められる流量係数Cvは実際の流量係数と比較してその偏差が小さいので、基準差圧よりも高い高差圧時の高開度時であっても、精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。
【0035】
また、本実施の形態では、高差圧高開度時には基準の特性テーブルTBから流量係数Cvを求めるようにしているので、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、すなわち図2に斜線で示した部分に対応する特性テーブルを設けるようにした場合と比較し、メモリ2−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0036】
〔実施の形態2:流量測定装置〕
図5は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの一実施の形態の概略を示す図である。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0037】
この実施の形態では、流量制御弁101に流量測定装置5を接続し、流量測定装置5で流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Q(計測流量Qpv)を算出するようにしている。
【0038】
なお、この実施の形態において、流量制御弁101におけるアクチュエータ4は、CPU4−1と、メモリ4−2と、モータ4−3とを備えた構成とし、アクチュエータ4のCPU5には、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θ、流量測定装置5からの計測流量Qpv、上位装置からの設定流量Qspを与えるようにしている。
【0039】
流量測定装置5は、CPU5−1と、メモリ5−2と、表示部5−3と、インタフェース5−4とを備えている。流量測定装置5のCPU5−1には、インタフェース5−4を介して、第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θが与えられる。
【0040】
流量測定装置5のメモリ5−2には、実施の形態1と同様に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。すなわち、図2に示した特性テーブルTCv(TL,TB,TH)が格納されている。
【0041】
以下、図6に示すフローチャートを参照して、メモリ5−2に格納されているプログラムに従って流量測定装置5のCPU5−1が実行する処理動作について説明する。
【0042】
CPU5−1は、弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を読み込む(ステップS201)。また、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS202)、この読み込んだ流体圧力P1とP2とから弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する(ステップS203)。
【0043】
そして、ステップS201で読み込んだ弁体1−2の現在の弁開度θとステップS203で算出した弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ2−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS204)。
【0044】
ここで、CPU5−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0045】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0046】
そして、CPU5−1は、ステップS204で求めた流量係数CvとステップS203で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS205)、この算出した流量Qを計測流量Qpvとして表示部2−3に表示するとともに(ステップS206)、インタフェース5−4を介して流量制御弁101のアクチュエータ4へ送る(ステップS207)。CPU5−1は、このステップS201〜S207の処理動作を定周期で繰り返す。
【0047】
アクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置5から計測流量Qpvが送られてくると、この送られてきた計測流量Qpvと設定流量Qspとを比較し、計測流量Qpvが設定流量Qspに一致するように、弁体1−2の弁開度θを制御する。この弁開度θの制御はメモリ4−2に格納されているプログラムに従って行われる。
【0048】
図7にCPU5−1の処理動作として実現される流量計測部6の機能ブロック図を示す。この流量計測部6は、第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1および第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を入力とし、弁体1−2の上下流間の差圧ΔP(現在の差圧ΔP)を算出する差圧算出部6Aと、この差圧算出部6Aからの差圧ΔPと弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θ(現在の弁開度θ)を入力とし、メモリ5−2内の特性テーブルTCv(TB、TL、TC)から現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応じた流量係数Cvを求めるCv値演算部6Bと、差圧算出部6Aからの現在の差圧ΔPとCv値演算部6Bからの流量係数Cvとから弁本体1の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出する流量算出部6Cとから構成される。
【0049】
この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。これにより、低差圧,高差圧に拘わらず精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、メモリ5−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0050】
〔実施の形態3:流量測定装置〕
図8は本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの他の実施の形態の概略を示す図である。同図において、図5と同一符号は図5を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0051】
この実施の形態では、複数の流量制御弁101を流量測定装置7に接続し、流量測定装置7でこれら複数の流量制御弁101の管路1−1内を流れる流体の流量Qを算出するようにしている。この例では、複数の流量制御弁101を2つの流量制御弁101A,101Bとし、この流量制御弁101A,101Bの管路1−1,1−1内を流れる流体の流量QA,QB(計測流量QApv,QBpv)を算出するようにしている。
【0052】
流量測定装置7は、CPU7−1と、メモリ7−2と、表示部7−3と、インタフェース7−4とを備えている。流量測定装置7のCPU7−1には、インタフェース7−4を介して、流量制御弁101Aにおける第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1A、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2A、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θA、流量制御弁101Bにおける第1の圧力センサS1が検出する弁体1−2の上流側の流体圧力P1B、第2の圧力センサS2が検出する弁体1−2の下流側の流体圧力P2B、弁開度センサS3が検出する弁体1−2の弁開度θBが与えられる。
【0053】
流量測定装置7のメモリ7−2には、実施の形態1と同様に、基準差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す基準の特性テーブルTBと、基準差圧よりも低い差圧における弁体1−2の弁開度θと流量係数Cvとの関係を示す低差圧時の特性テーブルTLと、基準差圧よりも高い差圧における弁体1−2の予め定められた低開度閾値θth以下の開度θと流量係数Cvとの関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルTHとが格納されている。すなわち、図2に示した特性テーブルTCv(TL,TB,TH)が格納されている。
【0054】
以下、図9に示すフローチャートを参照して、メモリ7−2に格納されているプログラムに従って流量測定装置7のCPU7−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
【0055】
CPU7−1は、流量制御弁101Aの弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θA(現在の弁開度θA)を読み込む(ステップS301)。また、流量制御弁101Aの第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1Aと第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2Aを読み込み(ステップS302)、この読み込んだ流体圧力P1AとP2Aとから流量制御弁101Aの弁体1−2の上下流間の差圧ΔPを算出する(ステップS303)。
【0056】
そして、ステップS301で読み込んだ流量制御弁101Aの弁体1−2の現在の弁開度θAとステップS303で算出した流量制御弁101Aの弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ7−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS304)。
【0057】
ここで、CPU7−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0058】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0059】
そして、CPU7−1は、ステップS304で求めた流量係数CvとステップS303で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101Aの管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS305)、この算出した流量Qを計測流量QApvとして表示部7−3に表示するとともに(ステップS306)、インタフェース7−4を介して流量制御弁101Aのアクチュエータ4へ送る(ステップS307)。
【0060】
流量制御弁101Aにおけるアクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置7から計測流量QApvが送られてくると、この送られてきた計測流量QApvと設定流量QAspとを比較し、計測流量QApvが設定流量QAspに一致するように、弁体1−2の弁開度θAを制御する。
【0061】
次に、CPU7−1は、流量測定装置7に接続されている次の流量制御弁かあるか否かをチェックする(ステップS308)。この場合、流量測定装置7には次の流量制御弁として流量制御弁101Bが接続されているので、ステップS308のYESに応じてステップS301へ戻る。
【0062】
CPU7−1は、ステップS301において、流量制御弁101Bの弁開度センサS3からの弁体1−2の弁開度θB(現在の弁開度θB)を読み込む。そして、流量制御弁101Bの第1の圧力センサS1からの弁体1−2の上流側の流体圧力P1と第2の圧力センサS2からの弁体1−2の下流側の流体圧力P2を読み込み(ステップS302)、この読み込んだ流体圧力P1BとP2Bとから流量制御弁101Bの弁体1−2の上下流間の差圧ΔPを算出する(ステップS303)。
【0063】
そして、ステップS301で読み込んだ流量制御弁101Bの弁体1−2の現在の弁開度θBとステップS103で算出した流量制御弁101Bの弁体1−2の上下流間の現在の差圧ΔPに応ずる流量係数Cvを、メモリ7−2内の特性テーブルTCvから補間計算によって求める(ステップS304)。
【0064】
ここで、CPU7−1は、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを低差圧時の特性テーブルTLから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧と等しい場合、その差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0065】
また、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを高差圧低開度時の特性テーブルTHから求め、現在の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、その差圧ΔPと弁開度θに応ずる流量係数Cvを基準の特性テーブルTBから求める。
【0066】
そして、CPU7−1は、ステップS304で求めた流量係数CvとステップS303で求めた現在の差圧ΔPとから流量制御弁101Bの管路1−1内を流れる流体の流量Q(Q=A・Cv・(ΔP)1/2)を算出し(ステップS305)、この算出した流量Qを計測流量QBpvとして表示部7−3に表示するとともに(ステップS306)、インタフェース7−4を介して流量制御弁101Bのアクチュエータ4へ送る(ステップS307)。
【0067】
流量制御弁101Bにおけるアクチュエータ4のCPU4−1は、流量測定装置7から計測流量QBpvが送られてくると、この送られてきた計測流量QBpvと設定流量QBspとを比較し、計測流量QBpvが設定流量QBspに一致するように、弁体1−2の弁開度θBを制御する。
【0068】
次に、CPU7−1は、流量測定装置7に接続されている次の流量制御弁かあるか否かをチェックする(ステップS308)。この場合、流量測定装置7には次の流量制御弁は接続されていないので、ステップS308のNOに応じてステップS301〜S308の処理ループを脱する。CPU7−1は、この処理動作を定周期で繰り返す。
【0069】
この実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも低い場合、基準の特性テーブルTBではなく、低差圧時の特性テーブルTLから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁開度θが低開度閾値θth以下である場合、基準の特性テーブルTBではなく、高差圧低開度時の特性テーブルTHから求められ、弁体1−2の上下流間の差圧ΔPが基準差圧よりも高く、かつ弁体1−2の弁開度θが低開度閾値θthよりも大きい場合、基準の特性テーブルTBから現在の差圧ΔPと現在の弁開度θに応ずる流量係数Cvが求められる。これにより、低差圧,高差圧に拘わらず精度よく流量係数が求められ、結果的に精度の良い流量計測が可能となる。また、メモリ7−2の記憶容量を小さくすることができる。
【0070】
また、この実施の形態3では、複数の流量制御弁101における流量計測を1つの流量測定装置7で行うことができるので、実施の形態1のように流量制御弁101のアクチュエータ2に個々に流量計測機能を設けなくてもよく、また実施の形態2のように流量制御弁101に1つずつ流量制御装置5を接続しなくてもよく、システムの大幅なコストダウンが図られるものとなる。
【0071】
なお、実施の形態1では、メモリ2−2に高差圧低開度時の特性テーブルTHを設けるようにしたが、高差圧低開度時の特性テーブルTHをメモリ2−2には設けずに、高差圧高開度時と同様にして基準の特性テーブルTBを用いるようにしてもよい。また、メモリ2−2の記憶容量は大きくなるが、基準の特性テーブルTBと低差圧時の特性テーブルTLと高差圧低開度時の特性テーブルTHに加え、高差圧高開度時の特性テーブルを設けるようにしてもよい。実施の形態2や実施の形態3でも同様である。
【0072】
また、上述した実施の形態1では、アクチュエータ2において計測した流量Qpvと設定流量Qspとを一致させるように弁体1−2の弁開度θを制御するようにしたが、アクチュエータ2に設定開度θspを与えるようにし、この設定開度θspと弁開度センサS3が検出する弁開度θ(θpv)とを一致させるように弁体1−2の弁開度θを制御するようにしてもよい。この場合、アクチュエータ2で計測された流量Qpvは、表示されるのみとなる。
【0073】
また、実施の形態2でも同様に、流量制御弁101において設定開度θspと検出される弁開度θpvとを一致させるように、弁体1−2の弁開度θを制御してもよい。この場合、流量測定装置5から流量制御弁101に計測流量Qpvを送る必要はない。実施の形態3でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量制御弁の一実施の形態の概略を示す図である。
【図2】この流量制御弁で使用する特性テーブル(低差圧時の特性テーブルTL、基準の特性テーブルTB、高差圧低開度時の特性テーブルTH)を例示する図である。
【図3】この流量制御弁のアクチュエータにおけるCPUが実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】このアクチュエータにおけるCPUの処理動作として実現される流量計測部の機能ブロック図である。
【図5】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの一実施の形態の概略を示す図である。
【図6】この流量測定装置におけるCPUが実行する処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】この流量測定装置におけるCPUの処理動作として実現される流量計測部の機能ブロック図である。
【図8】本発明に係る流量計測装置を内蔵した流量測定装置を流量制御弁に接続したシステムの他の実施の形態の概略を示す図である。
【図9】この流量測定装置におけるCPUが実行する処処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】従来用いられていた特性テーブルの一例を示す図である。
【図11】差圧ΔPを様々に変えた場合の基準差圧時の弁開度θに対応する流量係数Cvに対する偏差を例示する図である。
【符号の説明】
【0075】
1…弁本体、1−1…管路、1−1…弁体、2…アクチュエータ、2−1…CPU、2−2…メモリ、2−3…表示部、2−4…モータ、S1…第1の圧力センサ、S2…第2の圧力センサ、S3…弁開度センサ、3…流量計測部、3A…差圧算出部、3B…Cv値演算部、3C…流量算出部、4…アクチュエータ、4−1…CPU、4−2…メモリ、4−3…モータ、5…流量測定装置、5−1…CPU、5−2…メモリ、5−3…表示部、5−4…インタフェース、6…流量計測部、6A…差圧算出部、6B…Cv値演算部、6C…流量算出部、7…流量測定装置、7−1…CPU、7−2…メモリ、7−3…表示部、7−4…インタフェース、100,101,101A,101B…流量制御弁、TL…低差圧時の特性テーブル、TB…基準の特性テーブル、TH…高差圧低開度時の特性テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内を流れる流体の流量を規制する弁体の弁開度と流量係数との関係を示す特性テーブルを記憶するメモリと、このメモリ内の特性テーブルより前記弁体の現在の弁開度に応ずる流量係数を求め、この求めた流量係数と前記弁体の現在の上下流間の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた流量計測装置において、
前記メモリは、
前記特性テーブルとして、前記弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、前記基準差圧よりも低い差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルとを少なくとも記憶し、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を前記低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【請求項2】
管路内を流れる流体の流量を規制する弁体の弁開度と流量係数との関係を示す特性テーブルを記憶するメモリと、このメモリ内の特性テーブルより前記弁体の現在の弁開度に応ずる流量係数を求め、この求めた流量係数と前記弁体の現在の上下流間の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた流量計測装置において、
前記メモリは、
前記特性テーブルとして、前記弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、前記基準差圧よりも低い差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルと、前記基準差圧よりも高い差圧における前記弁体の予め定められた低開度閾値以下の弁開度と流量係数との関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルとを少なくとも記憶し、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を前記低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出し、
現在の差圧が前記基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が前記低開度閾値以下である場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を前記高差圧低開度時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載された流量計測装置において、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも高く、現在の弁開度が前記低開度閾値よりも大きい場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を前記基準の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【請求項1】
管路内を流れる流体の流量を規制する弁体の弁開度と流量係数との関係を示す特性テーブルを記憶するメモリと、このメモリ内の特性テーブルより前記弁体の現在の弁開度に応ずる流量係数を求め、この求めた流量係数と前記弁体の現在の上下流間の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた流量計測装置において、
前記メモリは、
前記特性テーブルとして、前記弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、前記基準差圧よりも低い差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルとを少なくとも記憶し、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を前記低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【請求項2】
管路内を流れる流体の流量を規制する弁体の弁開度と流量係数との関係を示す特性テーブルを記憶するメモリと、このメモリ内の特性テーブルより前記弁体の現在の弁開度に応ずる流量係数を求め、この求めた流量係数と前記弁体の現在の上下流間の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた流量計測装置において、
前記メモリは、
前記特性テーブルとして、前記弁体の上下流間の差圧に対して予め定められた基準差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す基準の特性テーブルと、前記基準差圧よりも低い差圧における前記弁体の弁開度と流量係数との関係を示す低差圧時の特性テーブルと、前記基準差圧よりも高い差圧における前記弁体の予め定められた低開度閾値以下の弁開度と流量係数との関係を示す高差圧低開度時の特性テーブルとを少なくとも記憶し、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも低い場合、その差圧と現在の弁開度に応ずる流量係数を前記低差圧時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出し、
現在の差圧が前記基準差圧よりも高く、かつ現在の弁開度が前記低開度閾値以下である場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を前記高差圧低開度時の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載された流量計測装置において、
前記流量算出手段は、
現在の差圧が前記基準差圧よりも高く、現在の弁開度が前記低開度閾値よりも大きい場合、その差圧と弁開度に応ずる流量係数を前記基準の特性テーブルから求め、この求めた流量係数と現在の差圧とに基づいて前記管路内を流れる流体の流量を算出する
ことを特徴とする流量計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−107419(P2010−107419A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281009(P2008−281009)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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