説明

流量計測装置

【課題】流体管路に水が浸入した場合でも正確に流量計測をすることを目的とする。
【解決手段】超音波を送信する第1振動子2と、超音波を受信する第2振動子3と、超音波の受信信号を増幅する増幅手段7と、増幅された信号と基準信号と比較する比較手段8と、超音波の送信から受信までをカウントする計時手段9と、流体管路1の垂直方向の距離を測定する距離測定手段20と、流体管路1の断面積を補正する断面積補正手段10と、計時手段9と断面積補正手段10の情報から流量を算出する流量演算手段11とを備え、流体管路1に水が浸入した場合でも、流体管路1の垂直方向の距離を測定することで流体管路1の断面積を補正し正確な流量演算が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波を利用してガスなどの流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流量計測装置は、管路を流れる流体の流速と、流体が流れる管路の断面積より流量を算出するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は特許文献1に記載された従来の流量計測装置を示すものである。図3に示すように、流体管路31の途中に超音波を発振する第1振動子32と受信する第2振動子33を流れ方向に配置されている。第1振動子32は送信回路34により駆動する、第2振動子33で受信した信号を増幅回路35で増幅し、この増幅された信号は基準信号と比較回路36で比較され、発信から受信までの時間を計時手段37で求める。
【0004】
前記計時手段37による超音波伝搬時間に応じて管路の大きさや流れの状態を考慮して流量演算手段38で流量値を求める。
【0005】
静止流体における超音波の音速をcとし、流体の流速をvとすると、流れの順方向の超音波の伝搬速度は(c+v)となる。
【0006】
第1振動子32と第2振動子33の間の距離をLとし、超音波伝搬軸と流体管路31の中心軸とがなす角度をφとすると、超音波が到達する時間tは、t=L/(c+vCOSφ)となり、前式より流速vは、v=(L/t−c)/COSφとなり、Lとφが既知ならtを測定すれば流速vが求められる。
【0007】
この流速により流量Qは、通過面積をSとし、補正係数をKとすればQ=KSvとなり流量が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3945530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の流量計測装置では流体管路に水が浸入し、流体管路の一部が水に浸かってしまうと、流体管路の断面積が狭くなってしまう。流体管路の断面積は既知として流量演算を行っているため正常に流量を計測できないという課題を有していた。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、流体管路に水が浸入した場合でも正確に流量演算を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の流量計測装置は、流体管路の垂直方向の距離を計測する距離測定手段を設ける構成としたものである。
【0012】
これによって、流体管路に水が浸入し流体管路の断面積が変化した場合でも、流体管路の断面積が計算でき正確な流量演算が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流量計測装置は、流体管路に水が浸入し流体管路の一部が水に浸かった場合でも流体管路の断面積を計測することで正常な流量演算が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における流量計測装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における流量計測装置のブロック図
【図3】従来の流量計測装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、超音波を送信する第1振動子と、前記第1振動子を駆動する送信手段と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2振動子と、前記第2振動子の出力信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力と基準信号とを比較する比較手段と、前記第1振動子から送信され前記第2振動子で受信されるまでの時間を計測する計時手段と、流体管路の垂直方向の距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段からの情報に基づいて流体管路の断面積を補正する断面積補正手段と、前記計時手段と前記断面積補正手段からの情報に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えることにより、前記流体管路に水が浸入し断面積が小さくなった場合でも、前記断面積補正手段により断面積を補正し、正確な流量演算をすることが出来る。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の距離測定手段を超音波振動子とすることにより、前記第1振動子、前記第2振動子と同じ駆動回路を使用することが可能となる。
【0017】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における流量計測装置のブロック図を示すものである。
【0019】
図1において、断面が略矩形の流体管路1の途中に超音波を発振する第1振動子2と受信する第2振動子3と、流体管路1の上部に流体管路1の垂直方向の赤外線により距離を測定する距離測定手段4と、流量の計測を開始する信号を出力する計測開始手段5と、第1振動子2を駆動する送信手段6と、第2振動子3で受信した信号を増幅する増幅手段7と、増幅手段7の信号を基準電圧と比較する比較手段8と、超音波の送信から受信までをカウントする計時手段9と、距離測定手段4の情報より流体管路1の断面積を補正する断面積補正手段10と、計時手段9と断面積補正手段10の情報より流量を算出する流量演算手段11とで構成している。
【0020】
以上のように構成された流量計測装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、計測開始手段5より計測開始の信号が送信手段6に出力されると、送信手段6は第1振動子2を駆動する。第1振動子2より出力された超音波は流体管路1を伝搬し第2振動子3に到達する。
【0022】
第2振動子3で受信した超音波信号を増幅手段7で増幅し、増幅手段7で増幅された信号を比較手段8で基準信号と比較し超音波の受信点を検出し、計時手段9で超音波の送信から受信までの時間をカウントする。
【0023】
流量演算手段11が流量Qを算出する方法を以下に記述する。
【0024】
まず、計時手段9で計測した超音波伝搬時間より流速vを求める。
【0025】
静止流体における超音波の音速をcとし、流体の流速をvとすると、流れの順方向の超音波の伝搬速度は(c+v)となる。
【0026】
第1振動子2と第2振動子3の間の距離をLとし、超音波伝搬軸と流体管路1の中心軸とがなす角度をφとすると、v=(L/t−c)/COSφとなり、この流速により流量Qは、通過面積をS、補正係数をKとすれば、Q=KSvとなり流量が求められる。
【0027】
断面略矩形の流体管路1に水が浸入すると、流体管路の断面積が小さくなるため、距離測定手段4で流体管路の高さを計測する。断面積補正手段10は、この高さと流路幅より断面積を求める。
【0028】
流量演算手段11は計時手段9の情報と断面積補正手段10の情報により正確な流量Qを算出する。
【0029】
以上のように、流体管路1に水が浸入した場合でも、流体管路1の断面積を補正することにより、正確な流量を算出することが出来る。
【0030】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態の流量計測装置のブロック図である。
【0031】
図2において、流体管路1の途中に超音波を発振する第1振動子2と受信する第2振動子3と、流体管路1の上部に流体管路1の垂直方向の距離を測定する超音波振動子を使用した距離測定手段20と、第1振動子を駆動する送信手段6と、第2振動子で受信した信号を増幅する増幅手段7と、増幅手段7の信号を基準電圧と比較する比較手段8と、超音波の送信から受信までをカウントする計時手段9と、計時手段9の情報に基づき流体管路の断面積を算出する断面積補正手段10で構成している。
【0032】
上記のように本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、距離測定手段として超音波振動子を使用した距離測定手段20を採用したことである。
【0033】
以上のように構成された流量計測装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
第1振動子2を駆動する送信手段6からの信号を切替えて距離測定手段20を駆動し、送信された超音波が流体管路1に反射し距離測定手段20で受信する。
【0035】
距離測定手段20の信号を増幅手段7で増幅し、増幅手段7で増幅された信号を比較手段8で基準信号と比較し超音波の受信点を検出し、超音波の送信から受信までを計時手段9でカウントする。
【0036】
計時手段9の超音波の伝搬時間より流体管路1の距離を算出し、断面積補正手段10で流体管路1の幅との演算を行い流体管路1の断面積を算出する。
【0037】
以上のように本実施の形態においては、距離測定手段を超音波振動子にすることにより、送信回路と受信回路を共通化することができ、安価に回路を構成することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように本発明にかかる流量計測装置は、流体管路に水が浸入しても正確に流量を測定することが可能となるので、ガスメーター等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 流体管路
2 第1振動子
3 第2振動子
4、20 距離測定手段
6 送信手段
7 増幅手段
8 比較手段
9 計時手段
10 断面積補正手段
11 流量演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管路に流れる被測定流体に向けて超音波を送信する第1振動子と、
前記第1振動子を駆動する送信手段と、
前記被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2振動子と、
前記第2振動子の出力信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された信号を基準信号と比較する比較手段と、
超音波の送信から受信までの時間をカウントする計時手段と、
前記計時手段の情報から流量を求める流量演算手段と、
前記流体管路の垂直方向の距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段の情報に基づいて流体管路の断面積を補正する断面積補正手段と、を含む、
流量計測装置。
【請求項2】
前記距離測定手段が、超音波振動子である、
請求項1に記載の流量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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